2012/08/05

【日本滞在記1】カナダ人の子供と旅をする

「スペイン戦で思う日本の進化」「日本の夏サイコー」「劇場通り散歩」「高山プールとワードバスケット」「長野びんずる△」

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■12/07/27(金) □ スペイン戦で思う日本の進化
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【スペイン-日本】うーん、よいぞ日本。全速で走りながら点で合わせる攻撃なのでそうそう成功するわけはないけれど、このレベルの相手にまったく臆せず攻撃してるということが素晴らしい。アトランタでのブラジル戦や、U19のスペイン戦よりずっと戦えている。かつての名選手たちより今の選手がうまいということはないのだが、自信のレベルが違うのである。日本選手の落ち着きと狙いの大胆さが違う。敵が詰めてきてもやるべきことをやれ、成功率は低くとも狙うべきところを狙う。力の差はあっても、選手たちがその差を折り込みアジャストできているという感じ。

そして日本のデキにふさわしい、マグレ感がひとつもない先制点。素晴らしすぎ\(^-^)/。

日本が最後まで2点目を決めにいく、楽しい試合だった。永井が最後まで決死プレスをかけにいく感動的な試合でもあった。日本サッカーはやっぱり面白い。マークを振り切る永井のスピードと方向取り、その永井に合わせる清武らの緩急とパスの角度は、見ていたすべての人に「うーんそこか」という満足感を味合わせてくれたと思う。

永井は当然交代があるだろうと思ったら最後までプレスを掛けており、しかも最後までシュートチャンスを作っていた。あそこまでできればゴールが入るのはもはや必然で、今回は永井が DF を交わしている間にシュート角度を狭めていた GK がうまかったのだろう。見ていたイングランドの観衆は楽しかっただろうし、永井は当然これでパクチソンの後継者と欧州に認識されたと思う。香川より永井のほうがイングランドで通用すると俺は思う。

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萌を迎えに行く。オリンピックの男子サッカーのことなんてカナダじゃ当然話題になってなくて町は静か。日本がスペインに完勝したというのに、俺はこうしてすました顔で澄んだ気持ちで普通に車を運転しているなんて――つまり血湧き肉踊り立ち居ても立ってもいられなくなってはいないことが、不思議なことだなと思う。アトランタの頃とは大違いだ。

アトランタのときもカナダじゃサッカーの放送はなくて、当時はインターネットもないので、見れる唯一の可能性は中米からのサテライトを受信するスポーツバーのみ。そういうバーを探してバンクーバーでラテン系移民が多く住む地区をバイクで駆けまわり、結局見つからず帰宅した。で海外回線でつないだニフティサーブで日本1-0ブラジルというスコアを見て、「やってくれたわ前園中田」と喜びにへたり込んだのである。

それくらい世界は雲の上の世界だったのに、今日の日本はスペインを相手にまったく落ち着いて、持てるもののすべてを存分に発揮できるんだから。変わったわ本当、日本サッカーの世界は。

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萌のサマースクール発表を見にくる。ビギナーバンドの演奏から始まったのだが、楽器のチューニングがちゃんと合っているぞ。ということはやはり、萌の学校のスクールバンドは顧問の先生が悪くてチューニングできないんだ。なんとかならんのか。

こっちのスクールバンドは選曲はクラシックよりだが、アレンジがいいのでビギナーバンドでも聞いていて楽しい。やっている子供らは曲が簡単すぎるので物足りないと感じるかもしれないが、聞く方はチューニングが合いミストーンがないのがなによりなのである。非常に心地よい。

萌の演劇は萌がいい役をもらっていたのだが、子供演劇の常でセリフは聞こえず内容はわからなかった。まあともあれ、送迎する親は普段以上に大変だが、子供が家で退屈する時間が激減するよいサマースクールでした。

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■12/07/29(日) □ カナダ人の子供と旅をする
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1140 萌と二人で日本へ。Mは今回あとからSH姉夫妻とともに合流する。そろそろ搭乗時刻、バンクーバー空港ロビーは日本の高校修学旅行風キッズ集団に占拠されておりかしましい。すでに懐かしい日本フィーリングです。



機内は膝周りと据えつけヘッドレストが快適で、JAL ではいつも面白い映画に当たる。「ハンガーゲーム」は本で冒頭を読んで思った通り俺が興味を感じるような世界ではなかったが(子供が思い描く「すげえエキセントリックな世界」という感じ)、「ももへの手紙」というアニメがよかった。どのシーンを取ってもどこかで見たような、水木しげるやジブリ高畑監督へのリスペクトと昭和の夏へのノスタルジーに満ちた素晴らしい絵。ストーリーまでどこかで見たような内容で凡庸なのだが、悪くない。子供が必死に妖怪を説得するあたりで俺の涙腺はゆるむ。

しかしシニカルなカナダのティーン化している萌はこういう日本式お涙展開には冷淡で、笑える場面は爆笑していたくせに終わると「まあまあね」と小馬鹿にしたジェスチャーをする。まあ稚拙なところは多々あるし(たとえば主人公の声優はアニメ声の女の子がアニメ定形演技をしてるだけで少女の魅力はないし、日本映画的ご都合主義はつよくある)、感動などしなくてもまったくかまわんのだが、バカにすることはない。この「もも」の工芸細工的緻密な絵となにも思わないというのは、ハリウッド文化圏で暮らすがゆえだろう。小さい頃は日本アニメを見て育ったのに。

しかしまあどこかイノセントなところは残っており、JAL のサービスが素晴らしいといってお礼のメモを書きフライトアテンダントに届けて、3人ものお姉さんがお礼に来てくれたので真っ赤になっていた。前より飛行機の速度が落ちて9時間と長くなっていたが、相当に快適な空の旅で過度の疲れも感じず成田着。

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熱風の上野タウン。「すごいね」とごきげん。
1105(カナダ時間1時頃)スカイライナー発。4年前と違い萌は目線が外国人観光客になってるらしく、日暮里あたりの日本最強に込み入ったあたりの光景にすら「すごい日本っぽい!」と感じ入っている。線路に強烈に迫った小さな家屋、どうやって建てたかと思うような密集した家々、ゴテゴテとしたネオンや駅に連なる自転車の群れが、なにか旅情をかきたてているらしい。上野で降りると熱風。だけど風が動いていればさほど苦しくはないな。

1630 新幹線。スカイライナーも新幹線も速くなっている。
1823 長電。さすがに萌は限界突破。俺が萌の荷物も階段を担ぎ上げると、改札でおばあちゃんが待っていた。いやー疲れましたと到着です。

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■12/07/31(火) □ 日本の夏サイコー
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3時頃に目が覚め、出発前から萌が決めていた通り朝イチで勝善寺まで散歩。萌は昨日に続き外国人としての目線で日本滞在を猛烈に楽しんでおり、なにを見ても「すごい日本っぽい! 日本っていいね!」と喜んでいる。土壁の崩れかけた日本家屋なんか見るとしびれまくり。

そして食べ物がなにを食ってもうまい。先週まであれほどに英国かぶれだったのに、昨日からは「私は絶対に日本に住む、プッチンプリン最高!」と豹変している。食べ物はおいしいし軒先でイトコと水浴びをすれば水は温いし、日本の夏サイコーなのは間違いない。


暑さは34度あたりだが想定内で、日向にいればそれはクラクラするほどだが、おばあちゃんちは風通しはよく、常に暑くない部屋に移動していればクーラー無しでも案外しのげる。西日があたる夕方だけクーラーが必要な感じ。

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3G回線でネットにつなぐ Wifi ルーターを貸してもらえ、1月1GBの使用権を購入し快適にネットに繋げるのだが(田舎だからスピードも十分に速い)、データ量が意外に多くてちょっとヤバイかなというところ。朝軽くテストしただけで 14MB 使ってしまった。30 日で 1000GB 使うわけだから 1000/30=33.33MB/day。これ以上は使えないわけである。

スカイプも映像付きで完璧に使えたが、会話1回で 30MB に達してしまった。まあ絵付きでたっぷり喋って 30MB はリーズナブルだと思うが、この調子だと1日で 100MB は余裕で使ってしまうわけである。これじゃ1週間しか持たない。いまどきのネットは知らぬ間にすごいデータ量をダウンロードさせられてるらしい。困った。Mは気にするなじゃんじゃんカードを買えというのだが。

とりあえず昔のモデム時代のように Windows のブラウザで画像を表示しない設定にし、Windows7 やアンドロイドの自動アップデートを勝手にしないよう神経質に設定をいじる。アンドロイドなんてこういう旅先の使うのが当たり前の機器なのに、勝手アップデートを一括オフできなくなっている。Gmail だってほんと使いにくいし、Google マップなんかオフラインじゃデータが消えちゃうし、ネットが繋がってる状態なら最高だが途切れると話にならんものばかり作る Google ってほんとアホだと思う。本当にスマートフォンを使い込みたいならアンドロイドは捨てるべきである。

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■12/08/02(木) □ 劇場通り散歩
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須坂の夏の山だ。日本だ。
旧市街である劇場通りまで朝散歩。廃れつつあるこの町でもあのへんは特に廃れ切っているが、古く奇天烈な家が多くあり面白い。普通の四角いモルタル家屋の上に日本屋根をフロートした状態で載せた家なんてのがあり笑ってしまった。須坂は山が近いので夏の景色は気持ちがいい。しかし1時間半の散歩は長すぎてくたびれた。

そしてゆっくりと朝飯を食うと子供たちがやってきて、それを眺めながら俺はオリンピックを見るというゆるゆる進行の毎日。萌の日本語がきれいだとほめられる。汚い言葉なんてカナダじゃ学ぶ機会がないからな。声がMに似てきたとおばあちゃんに言われた。それは気が付かなかったな。

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夕方KN中3が来て手持ち無沙汰気味なので、「よし、世界カードゲーム大賞作をやろう」とコロレットに誘う。2回やって「あそうか、こうやるとおじちゃんが困るんだ」と分かったあたりでちょっとおもしろさが見えたらしい。それ以上はやらなかったが、それから帰るまで「少年ジャンプって知ってる?」「銀魂が好きなんだ」と延々俺に話しかけてきた。そういうのはわからんし興味はないが、ボードゲームで良ければ遊んでやるからいつでも来てくれたまえ。

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■12/08/03(金) □ 高山プールとワードバスケット
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プールに行きたがる子供らの意見を汲んで高山村のインドアプールへ。アウトドアはあまりの酷暑および4歳NHちゃんがいるので無理である。4歳の子供の世話をするのは8年ぶりで、お兄ちゃんお姉ちゃんについていけないので機嫌が悪くなるのをあやすのがなかなか大変だった。


4歳でもできるんだけど、スピードでかなわない。
帰宅するとおととい発注した「ワードバスケットキッズ」がうまいタイミングで届く。場に出たひらがな1文字で始まり、手持ちの5枚のひらがなどれかで終わる語を言えばよしという単純しりとりゲーム。4歳(&大人アシスト)/小2/小5/中1カナダ人という構成でのプレイとなる。

ルールを読んで2文字でOK、早い者勝ちというのはどうなんだ、早い人が一方的に勝つことになるんじゃないかと思ったのだが、始まってみると場の文字と手札の文字が生み出す絶妙なランダム性で、たった2文字の言葉がそうそう思いつかない。みんなうんうん唸って(そうだ!)とひらめく快感にゲームは瞬間的に発火し、その炎は一向に燃え尽きず10ゲーム以上も連続プレイとなる。これはイイわ。

カナダ中1女子の萌は最初勝てなくてフラストレーションを溜めていたのだが(やはり日本語語彙量では日本小2にもやや劣る)、「英語を使えばいいのだ」とアドバイスするとそこで発火。「カップ」「ノート」といった日本の子でも知ってるカタカナ言葉を使って言葉のハンデを補うことができた。これはいい日本語の勉強だねと本人弁。

4歳の子は大人がサポートしないと無理で、最初に勝てたのだがやはり自分でスピーディに言葉を思いつくことはできず、やがてリタイヤ。しかし小2と大人は互角どころか子供のほうが圧倒的に速くて、日本語学習者でも戦えるのだから、これはよいゲームであります。

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【ブラジル-日本】立ち上がりブラジルがフルパワーで攻め、15分耐えた日本が反撃を開始する。ブラジルは攻められると明らかに脆く、あっという間にシュート数で追いつく。これはフルパワーの時間さえしのげれば日本が上だろう。―――うわ、大儀見がFKで抜け出しゴール。WCからずっと見ていて初めて大試合での彼女のゴールを見た。

ブラジルには攻められたがそれほど危ないシーンはなく、ただ日本も良い攻撃をできず、予想外に盛り上がりのない試合で 2-0 で勝利。結果はフェアだが、日本にはもっといいサッカーをやってほしかった。大儀見の位置に川澄がいれば日本のシュート数は明らかに上がるはずだと誰もが思うのだが、なぜ監督は大儀見ストライカーにこだわり、スピードと技術のある川澄に組み立てと守備をやらせるのだろう。川澄がカウンターで全速で相手を交わしに行きつぶされ相手にイエローを与えたシーンがあったが、あの抜きに行く決意とスピードをゴール前で使わないのはおかしいだろう監督。大儀見にはフィジカルはあっても反転スピードがないからシュートが打てないのだ。WCのときから、国民はこのチームには全幅の信頼を置いているが、監督がどうなのかは今ひとつよくわからないところがある。Jリーグ等での実績もないわけだから。

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■12/08/04(土) □ 長野びんずる△
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暑さと屋台はしっかりと夏祭りだったけど。
夕方、15年ぶりにびんずるを見に行く。権堂駅で降りるとどこもかしこも屋台と露天商に満たされて、久しぶりにお祭りに来たというフィーリングがある。

しかしびんずるは、昔見た時にはもっと混沌としたエネルギーを感じたのだが、「じゃあ開始します。3・2・1・そーれ」という声とともに群衆が手をひらひらさせながら移動をはじめるという感じで、超拍子抜けだった。萌も「ん? これもう始まってるの?」という顔。祭りのパッションというかエネルギーがぜんぜんない。しかも15分踊ったらすぐに15分休みとなってしまい、これじゃちょっと見に来た甲斐がない。こんなもんだったっけ。昔は群衆のきりっと揃った動きを見て快感を感じたものなのだが。

休み時間が終わると観戦ポイントを移動する。ときおり踊りがピシっと揃ったうまいグループがおり、そういうのを見てるとやっぱり気持ちがいい。あちこち移動しながら1時間ほど踊りを眺めていて分かったが、会社のグループは昔ながらの基本形を下手なりにまじめに踊っており、そういうのは見ていて楽しい。かわいい女の子がいるとあああの子は会社の花なんだろうなと微笑ましくなるし。

でそういうのが減り、個人の若者たちが作ったグループが割合として増えている。昔よりだいぶ増えた気がするそれら若いグループは、酔っ払いそーれと声をあげ行進していくだけで、祭りを楽しむ姿は不快なわけではないが踊りに一体感はない。鑑賞に耐えるような踊りではないので見てても面白くないんだな。萌は、「They're just kids」と笑っていた。

ダンス教室のグループはアラビアンナイトの衣装を着てくねくねと創作ダンスを踊っており面白かった。こういうのは悪くない。びんずるというのは人工的に作られた歴史のない祭りなので、祭り全体に「誰が決めたんだよソレわざとらしいw」的な作り物の気恥ずかしさがあり、それを払拭するにはグループごとに揃って一心不乱に踊るしかない。それをやってるグループは見ていて気持ちよく、中途半端なことをやられると気恥ずかしいのである。一心不乱グループがどうも減ったように思え、そこが物足りなかった。

あと開会式のセレモニーを見ていても思ったが、トラブルを避けようというまじめな長野県人の気質で踊っては休み時間を設け、交差点ごとに踊り群衆が入らぬ広大な緩衝空間を作るせいで、祭り全体が整然としすぎている感じがある。パッションがほとばしらないのだ。遥か彼方まで踊る群衆1万2千人が見えるのはなかなかすごい眺めであり、これがもっとぐわーっとエネルギーを発して踊ってくれたら興奮しただろうと思うが、小市民の穏やかな踊り的行進で終わってしまっているなと思った。

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まあ楽しかったけれど、最後まで見ようという気にはならず帰宅。オリンピックサッカー男子エジプト戦の後半を見る。このチームはハードワークで守備がいい上にマイボールではボールを止めず速攻できるとことが素晴らしい。日本は攻撃が遅いところがいつも難点だったのだが、守る側が待ち受けできない速さで日本が攻め込んでいくのでエジプトにファウルが増え、双方に怪我人が増えるという試合になってしまった。日本はラフなことをしてるわけじゃないのにファウルを受ける、気の毒な立場である。最後はとにかくファウルをさせず、怪我人を増やさずに終わって欲しいとそればかり願っていた。

これはメダルは間違いないな。メキシコは普通に戦って五分、チームの完成度でおそらく上回り、永井の怪我でまた五分というところだろう。