2013/06/17

日記「泣くな、はらちゃん(最終回)」

「偉大なるカナダの旅(バンクーバー島)」「【豪戦】日本代表の遅い攻撃」「 コードを拾うムスメ 」「Aiko「花火」の歌詞解釈」

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■13/06/04(日) □ 偉大なるカナダの旅(バンクーバー島)
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干潮時は幻想的な風景

鏡のキャメロン湖

渓流釣り師が泣いて喜びそうなクリーク

リトルクオリカムフォールズ

このような曲がりくねりの滝の連続。
登山道マークがついた対岸の崖がまた
すごい景観。
金曜午後から久しぶりのバンクーバーアイランド、遠浅ビーチのパークスヴィルで2泊旅行。海を見ながらコーヒーとクロワッサンをいただく。うまい。

 観光は名所マーケットであるクームスを抜けた山間の方へ森と湖を見に行く。愛車 Aerio がエンジン絶好調で久々のワインディングが気持ちいい。

 BC 最古級らしい森はまあカナダならどこでも似たようなものだが、鏡のようなキャメロン湖はこれぞカナダという素晴らしい景色だった。その湖畔でMが作ってきたサンドイッチを食っていると最高で(うちの奥さんは火を使わない料理は超うまい)、この自然あふれる島で夕べのようにレストランに行く必要なんてないよなと思う。空腹とこの自然があればなにを食ってもうまいのだ。なのになんでわざわざうまいかどうか見当もつかぬレストランに行くんですか。昨夜の晩飯なんて1時間待たされ出てきたのは冷凍イカリングだぜ。ひどかったぜ。

 続いてキャメロン湖下流のリトルクオリカムフォールズ(little qualcum falls)へ。滝っつってもまあ無名なところだから水がザーくらいなもんだろと谷を降りていき驚いた。キャメロン湖から吹き出した白い濁流が、岩をかち割りガガガと曲がりくねって渓谷を駆け抜けていく。滝というよりも小さな瀑布である。よくこれほど見事な地形部分を水が抜けてきてくれたもんで、小さいながら自然の奇跡としか言いようがない。

 遊歩道がまたよくできており、流れに沿ってぐるりとフェンスが設置され、身を乗り出して瀬を覗きながら橋を渡り、切り立った岩島のような対岸まで行くことができる面白い地形散策となっている。3D のジオラマ内を移動するようなワクワク感がある。滝壺からしぶきがガンガン舞ってくる。こりゃすごい。小さいがこれまで俺が見た滝で一番すごい。これに勝つにはそれこそナイアガラその他の巨大瀑布に行くしかない、素晴らしい渓谷公園だった。キャメロン湖とこの滝には、カナダに来て見た自然で一番感動したかもしれない。デカイとか高いとか広くなくても人は景色に感動するのね。

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 夜はキャンプファイヤを囲みギターで歌おうとなったのだが、年齢層が高いのでいくらビートルズをやっても誰も乗って来ない。ニールセダカとボールアンカをリクエストされた。知らんて(笑)。

 萌はこれがキャンプファイヤでのギターデビューだったのだが、カナダの最新ヒット「スタンパ」を歌とともに披露してこれはさすがにウケていた。それと萌が養老院を訪問したときに覚えていった「マイボニー」「二人で自転車を(?)」その他の懐メロをまだ覚えていたので弾かせると、やはりこれがすごいウケた。日本でいったらデュークエイセス、美空ひばりあたりの年代ソングだろうか。

 しかし萌のレパートリーが尽きるとあとはもう、なにをやっても盛り上がらない。おじさんおばさんたちは俺が 50 年代ソングのリクエストに応えられないもので、古い歌を Youtube でさっさと見つけてスマホに合わせ歌っていた。もうギターじゃ勝てない時代です。日本でもカナダでもやっぱり、ビートルズ登場以前と以後では本当に時代が違うんだなあと実感する夜であった。

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 【Sun】クームズにもう一度寄って全日程終了。いい旅行でした。フェリーに乗って海を渡りながら、カナダはでかいなあすごいなあ、日本全体でも BC 州より小さいんじゃないかなと萌に言い続けた。

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■13/06/04(火) □ 【豪戦】日本代表の遅い攻撃
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 【WC 最終予選・ホーム豪戦】午前3時起床、お茶を入れて観戦に入る。豪が意外やプレスせず引いて守っており、日本は余裕を持ってプレイする、思ったよりも淡々とした展開。11 分、目にも留まらぬトラップ&ターンから香川のスルー、惜しくも岡崎に通らず。マン U の試合でも一度これを見たが、香川のこのトラップ・反転・スルーまでの速さはたしかにすごい。ボールを一瞬にさばき前進を始める一歩目の速さは中田の全盛期を思い起こさせる。

 18 分、本田・岡崎がコンビネーションで PK エリアに入り込み、こぼれ球を香川が打ち止められる。この豪 GK シュバルツアーはほんとにうまい。日本はドリブルで突っかけていく選手がいないので、豪は人数をかけてスペースを埋めシュートコースを切っていけば、これはシュバルツアーが 90 分守り切れてしまうな。香川・岡崎は今したように自分は潰れる覚悟で突っ込み、守備ブロックを崩して後につないでほしい。豪のカウンターを日本守備陣は抑えているが、常に1対1となっており破られたらそこで終わりのぎりぎりの攻防をやっている。もしミスが出たらたちまち点を取られるわけである。

 37 分香川勝負に行った! 1人抜き2人めにコーナーに逃げられたが悪くない、どんどんそれをやってくれ。香川のドリブルはうまいとは思わないが、しかしあれをトライし磨かなくてはマン U でだって試合に出れんだろう。

 43 分、岡崎がカニ移動からシュート、弱い。岡崎は縦にいく力が自分にないのを自覚してるようで、横移動しながらコースが見えたら即打つというのを何度もトライしている。しかしああいう無理な体勢のショットは体重が乗らず、打っても弱すぎる。敢闘精神はわかるが効果は薄いだろう。

 日本人には脚が短く軽いがゆえにキックが弱いという大きな弱点があるわけだが、憲剛や清武は助走の方向を工夫することで体重を乗せ強いシュートを打っている。岡崎は FW なので助走を取る時間とスペースがより限定されるわけだが、しかし強いシュートが打てなくては次の WC も「強豪には通用しないので本番はサブ」ということになってしまう。頑張ってくれ。

 ハーフタイム。本田のキープ力は効いているが、当たりもスピードも控えめにプレイしており、まだ復調途上なことが感じられる。怪我のリスクを押して出るほどの働きでもないし、そもそも相手がプレスしてこないので細身の憲剛でもここは十分以上に戦える。あと左右をドリブルできる清武、乾にしたほうが破壊力は当然上がるだろう。つまり後半 AMF 3人を全部交代し攻め込んでくれたら興奮するなー。お願いします。

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 【後半】 0分、のっけから香川の巧みなターン、ターン、シュートはブロック。これは典型的香川でブルガリア戦でもやっていたが、うまいから取られはしないが、結局その場でくるくる回ってるだけで敵 DF を引き剥がせず、シュートコースが作れない。来たボールの勢いを使いファーストタッチですぱっと動かしドカンと打てたらメッシになれるんだが。彼が独力で仕掛けて打ったシュートはほとんど、GK ではなく DF の脚が止めていると思う。

 3分、香川・本田の1-2がカット、4分本田が走り込み香川がスルーを狙うも余裕でカット。豪はボールが網にかかってくるのを待っていればいいわけで、こんな単純な攻撃で崩せるわけがない。本田はこの試合フィジカルにも思考にもスピードがない。

 8分、香川が珍しく縦に走りクロス、本田が打てず。惜しい。11 分、香川・本田が今度は工夫のある曲線的な1-2で崩し、惜しくも打てず。これはよかった。豪の足が止まり、本田・香川のアイデアが豪を振り回すようになってきた。香川自身も抜き切れないまでも勝負するようになっている。いいぞ。

 30 分、足の止まった豪が引きこもり日本が FK やミドルにトライする。もうアイデアも尽きた、乾、清武、憲剛を入れてくれ。

 34 分、ザックは攻撃カードを入れず長友を上げてきた。即突破&シュート、惜しい。長友の攻撃力はもちろん有効だが、乾、清武がいるのになんで使わないんだ―――と思っていると 35 分、相手 MF オアーに左を突破され、上がったクロスを川島が目測ミス。川島はここ最近3点くらいミスしてるんじゃないかな。そろそろセカンド GK にもチャンスを与えるべきだろう。

 やっとザックが交代カードを切るがもう手遅れ、と思ったら最後 PK に助けられドローで試合終了。結果は助かったけれども、ザックの采配にフラストレーションを感じる試合だった。現時点で最強の相手に対し引き分けでもいい試合なんだから、ベスト布陣がなんとかしてくれるのを待つだけじゃなくて、あらゆる策を講じて先取点を取りに行く采配をしてほしかったな。

 ◇

 カナダ戦、ヨルダン戦、オーストラリア戦を見て、やはり香川に最大の問題を感じる。というか香川に点を取らせようというチーム戦術に限界を感じる。香川が素晴らしいトラップ反転ができるのはわかったが、それ以外のプレイは何度見ても普通のうまい選手としか感じられない。一歩目は速いがそこから敵を抜く走力はないし、ドリブルの緩急や方向転換で大型 DF を振り回すこともない。ボールをコントロール下に置く技術は高いがボールを動かす距離やフェイント幅は小さく、何度フェイクを入れ切り返しても DF に対応されてしまう。つまり1対1で勝てる場面がほとんどない。これはアタッカーとしては厳しいだろう。

 スポナビのリンクで偶然見つけたのだが、「香川は1トップ下ならば世界の超一流だけれども、サイドアタッカーとしては……」というブログ記事がある(「戦術的なサッカーの見方」)。サイドアタッカーとしての弱点についてはまったく同感。

香川がスタメンから落とされる日
「香川は加速性能に欠け、フェイントのバリエーションも少なく、クロスの精度に難がある。サイドを突破してクロスというプレーならば、仙台の太田やFC東京の石川のほうがレベルが上だ。

カットインは苦手ではないが、中を切って縦へ誘導すれば問題ないということが相手にバレているので、そもそも切り込ませてもらえない。アジア予選でも、サイドに追い込まれて相手のSBに何度も完封されてしまっている。」

本田と香川の微妙な関係
「ドリブルの際の香川はあまりフェイントを使わず、スピードにモノをいわせて抜いていくタイプだ。とはいえ特別速いわけではないので、ブンデスやプレミアの鈍足長身CBならスコスケと抜けても、機動力のあるSBが相手だとなかなか抜けない。残念だが香川のサイドアタッカーとしての突破力は、アジアですら通用しているとは言い難い。」


 前半 18 分に岡崎がつぶれながら流した球を香川がうまく打ったが、香川はああして味方が潰れた時に飛び込んできてボールをスパっとかっさらいゴールに流し込むのが職人的にうまい選手であり、U-23、ドルトムント、マン U、代表と彼の試合を何度見てもそれ以上のことをやってくれない。

 香川自身が PK ボックスで自分で点を取ろうとせず、技術を生かして敵を引きつけ岡崎に送ったようなスルーを出していったほうが有効だろうと思うが、自分がボックス内で仕事をするイメージで常にプレイしているようで、どんどん中に入り FW がボールに触る機会を減らしている。アジアではこれで勝てていたのでザッケローニも同じ戦術を引っ張ってきたのだろうが、敵が強くなり、人数をかけて敵ゴール前に入り込むこと自体ができなくなるこれから、そういうシャドウストライカーを主得点源としてサッカーをやっても勝てんだろうと思うわけである。

 カナダ代表とのフレンドリーマッチの時に思ったが、今の日本代表はカナダよりもやってるサッカーが遅い。遅いサッカーはミスが出ないが、敵守備ブロックも崩せない。相手が待ってる状態で日本みたいな1-2を仕掛けてクリーンにシュートを打てるのは、アジアでも B クラスまでだろう。もっと縦に速く自力で打開する能力のある選手を置いたり、永井や原口を呼んで長駆カウンターにトライしたり、要は相手が守りに戻る前の流動的な状態から崩しに入る攻撃を磨いてほしい。本田のコンディションも万全ではないだろうし、このまま行ったらコンフェデではまるで点が取れないだろう。

 というわけで、WC を1年後に控えた代表チームらしく、見る方には順調に不満がたまってきております(笑)。

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■13/06/06(木) □ コードを拾うムスメ
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 娘と見る【泣くな、はらちゃん⑨】(ネタバレ注意)サッカーの回。やがて現実がはらちゃんと越前さんを打ちのめすだろうとはずっと思っていたけれど、ぺしゃんこにされたはらちゃんを見るのはやはり実に悲しい。「これがこの世界ですか!」と吠えるはらちゃんをワナワナと見つめていた萌も、越前さんがあのコマを描き入れたところでついにポロポロと泣き出した。オープニングに描かれたあの越前さんの顎の線が、ここの伏線になってたんだね。不思議に落ち着いてはらちゃんをなぐさめていた越前さんは、もう胸を決めていたんだな。

 萌は「越前さんは最初からこうすればよかったんだよ」という。しかし入ってしまったら自分じゃ出られないしね。「百合子さんに出してもらえばいいじゃない。―――あ、百合子さんが続きを描いてくれるんじゃない?」。おお、それはいいアイデアかも。しかし。しかしこのハッピーエンドで越前さんが満足してしまっては、やはり困る。はらちゃんのおかげで彼女は、「もともと好きじゃない」世界でも大きな声を出せるようになってきたのに。それは素晴らしかったのに。

 みんなの歌に首を揺らす越前さんの静かな笑顔は、やはりそれくらいしかない居酒屋世界の寂しさを表している。予告に出てきた弟ヒロシの行動に期待だ。
(ネタバレ終わり)


こわいなその髪型
二度目だったが俺もまたじーんと来て、その余韻とともに就寝前の皿洗いをしていると、後ろからギターでAm/Dm/G/C/と「はらちゃん」の悲しい場面ソングが! ウガと崩折れながら振り向くと、ギターを持ちニヤリと笑う萌。その歌はやめてくれ。悲しくて皿が洗えない。

 やめろというと萌はますます力を込め弾きまくる。Bm に転調して悲しみをさらにせり上げる。なんでなんですか! なんでこんなことをするんですか! これがこの世界ですか! さらに Cm に転調して「キーが Cm だと Dm はなに?」と聞いてきた。知らんて(笑)。

 しかしなんでこんなにコードを拾う能力が高いんですか。どんな歌でも即コードを拾い、転調による盛り上げという勘所も掴んだギター娘として成長しております。

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■13/06/08(土) □ Aiko「花火」の歌詞解釈
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【子供日本語勉強会】今日の歌詞解釈お題は Aiko「花火」。

夏の星座にぶらさがって上から花火を見下ろして
こんなに好きなんです 仕方ないんです
夏の星座にぶらさがって上から花火を見下ろして
涙を落として火を消した

 星座にぶらさがり上から恋の花火を見下ろすというイメージが鮮烈で、歌詞をあらためて読んでみると三角目の意地悪天使にからかわれたり、こぼす涙で花火を消したりしちゃってる。


抽象画解釈ゲーム・ディクシット
子供たちに語彙を教え解釈を述べながら「これはすごくいい詩だね」というと、「すごい。Aiko が年を取り引退したらポエット (詩人) になればいい」という。いやすでに詩人じゃん(笑)。

「でもシンガーでしょ」
「シンガーだって詩人だよ。本を書けば詩人ということじゃないよ」

 実際カナダでヒットしてるポップソングは惚れた腫れた彼氏と別れた悔しいみたいな直截的な歌詞ばかりで、揺れる心をこんな比喩で表すなんて歌はあまりないのかもしれない。

「星座にぶらさがって花火を見てるって、ディクシットの絵みたいだね」と、子供らは想像を巡らせていた。たしかに。美しいイメージ。

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■13/06/09(日) □ 泣くな、はらちゃん(最終回)
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 【泣くな、はらちゃん(終】(ネタバレ注意)

 越前さんを迎えたはらちゃんは今日も同じ歌を歌っている。やはりそれくらいしかやることのない越前マンガ世界の薄さが、やがて二人の恋をしおれさせる予感に満ちている。はらちゃんの「自分と、世界と両想いになってください」という潔い言葉とヒロシの奮闘が、越前さんを元の世界に戻してくれてよかった。ヒロシかっこいい萌は言う。

 しかしそこから神輿のはらちゃん、新婚さん、田中さんとの両想いドライブ(田中おまえはいいヤツだ涙!)と、最後のお別れにどんどん流れが向かっていく。ちょっと待ってくれ、これで最後なの? 越前さんが両想いになろうとしてるこの世界に、はらちゃんは残らないの? どうして?

 「離れていても両想いだから帰ります。越前さんが幸せならば私も幸せです」「それは愛だよ」とストーリーは流れる。―――いや、それは愛とはいっても博愛とかそっちのほうじゃないかな。はらちゃんは存在自体がもとより世界を全部受け入れ愛す博愛そのもので、だから誰もが彼を愛したけれど、彼の越前さんへの想いはその博愛を超えあふれた過剰な恋だ。それを受けて越前さんの想いもあふれてるのに、どうしても噛み合わないことの切なさにみんな泣かされてきたのだ。ちょうど二人が回想していた、「あなた誰なんですか!」「はらちゃんです」「ばかにしないで!」というたまらないシーンから始まってね。

 そうやって強い気持ちでようやく結ばれた恋が、どういう理由であれ博愛に交換されてしまい二人が会えなくなるなら、それは切ないというよりも悲しい。愛が恋の上位互換なのかよロックじゃないぜと安田顕が言いそうだ。飼いならされた豚どものなぐさめかと叫びそうだ。君たちのロマンスがそれで満足できるはずがない。ヘイはらちゃん、がっかりさせないでくれ。君は彼女を見つけたんだ、ナウゴーアンドゲットハー。

 ◇

 というわけで二人の結論には賛同できなかったけれど、ヒロシがマンガを始め、百合子さんもマンガに戻り(内容を見たかった)、越前マンガも明るく開いていき……そしてやはりはらちゃんはまた来てくれたのです。トトロのように傘をさして。再会に輝く二人の顔! すばらしい :-)。


 ヘイはらちゃん、そして越前さん。悲しい歌を両想いに変えてね。はらちゃんは、越前さんを抱き締めチューまたの名をキス。そしてその恋を、素晴らしいものにしてください。

(そしてカナダで放送してくれてありがとう、TVJAPAN)

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