2013/06/27

日記「沈鬱のブラジル戦(コンフェデ杯)」

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■13/06/11(火) □ サブの出ぬイラク戦
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 【WC 予選イラク戦】を劣悪映像ながら少し見れた。左ウィングに入った清武がやっぱりいいなと思う。仕掛けの決断が早くて気持ちいい。ぱっと中を見て即アクションを起こす。クロスの質が素晴らしい。24 分、弧を描いて中に切れ込みながら香川に渡し絶妙な位置に走り込みで折り返しをもらい打ったのは、豪戦とこの試合を併せて最も創造的な崩しだった。

 清武はドリブルもうまく決断の早さが効いていて、がっと大きく方向を変え一気にコースに入っていくので相手の大きなリアクションを呼び、敵のファウルやギャップを招きやすい。完成はまだ先だろうが、見るたびに自分も周りも動かせるいい選手だと思う。

 香川はウィングではチャンスを浪費するばかりなので本職のトップ下に期待したのだが、全体の動きとピッチコンディションが悪くてちょっと参考外という感じであった。しかしやはりうまいので技術でアタックを交わしボールをキープでき、技術で周りを生かせる。「俺は点取り屋」などと自己規定し PK ボックス内に入ってばかりいず、ウィングにいても味方にシュートを打たせる工夫をしてほしいと思う。



 清武はなぜか早めに下げられ(コンフェデに向けての温存か?)、その他は特に見所なし。……しかしこのあとの日程はさらにきついのに、なおサブ勢を使わないザック監督(ため息)。ここを憲剛、清武、乾ら全員サブ組で戦ってマイナスなことが、なにか1つでもあるだろうか(たとえイラクに負けてもオーストラリアは自力で2位を取れる)。たとえ噛み合わずより苦戦しても、サブ勢のモチベーションを上げ貴重な経験と戦術学習が得られるではないか。

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 清武を見ていたら懐かしくなって、中田のビデオをまた探してしまう。全盛期の中田はやっぱほんとすごい。俺はメッシやイエニスタを見てもよくあんなハンドボールみたいに点が取れるなと曲芸的な驚きは感じるが、全盛期の中田ヒデを見るときのようなスポーツの躍動の根源的喜びは感じない。他に似てるプレイヤーも思いつかないが、カカーの柳に風の止められなさが似てるかもしれない。

 本田はぶつかっても揺るがず進む体幹の強さが武器だが、体調が万全でもこのアジリティとバランスはない。中田はぶつかりに来る敵の動きを予測して受け身を取り、合気道のようなタイミングで相手を弾き返している (2'00 からの数プレイ)。アジリティ(※)と思考の速さですべての動きが敵の予測の裏を取るか、予測させないプレイになっているところが素晴らしい。

 香川・清武ら日本攻撃陣にやってほしいのはこうして思考の速さを追求しアジリティを使って敵を欺くことで、中田のようにドリブルで敵を引きつけ味方にスペースを与え敵陣を切り裂いてほしい。まあ中田も日本代表じゃペルージャみたいな切り裂きカウンターはそうそうできなかったのだけれども。
 (※)このアジリティが中期からなくなってしまったのが中田の謎なのだが、

「本田△はあと少しアジリティが欲しいんだよなあ。あれはヒデと同じような、筋肉つけすぎのせいなのかなあ(ケット・シー氏)」

というコメントをツイッターで発見した。

「カズもイタリアに行った当時、筋肉つけたためにスピード落ちました。それがためにW杯に行けなかった訳です。トレーニングを変えて、その付けた筋肉が完全に落ちたのは、2003年頃だったそうです(いたう氏)」

 中田の当たりの強さはペルージャ時代から驚異的だが、セリエのあまりの当たりのきつさに体重をつけることで対応してしまった部分があるのかもしれない。


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 「あまちゃん」春子のビンタに怒るアキ。アキは赤ん坊みたいにぬぼーっと登場して、大丈夫かと思っていたらどんどん世界への反応がよくなってきて、言葉遣いと態度がオーバーシュートしてきたぞと思ったらあの涙のまなざしで完全に個人として完成した気がする。すごいな。あそこでやってることのすべてが、役者能年さんを急激に育てているみたい。

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■13/06/15(土) □ 沈鬱のブラジル戦
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【GK】川島永嗣
【DF】内田篤人 吉田麻也 今野泰幸 長友佑都
【MF】長谷部誠 遠藤保仁 本田圭佑
【FW】清武博嗣 岡崎慎司 香川真司

 【コンフェデ・ブラジル戦】やった清武が出る。するとトップは本田? 岡崎? ドキドキ。カナダの TV は「日本はあなどれない」と過去のタイトル、WC での戦績を紹介している。実際「過去4回中3回のアジアカップを制覇」と紹介されると、この実績はすごいなあと実感。看板倒れにならぬよう戦いたい。

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 【前半】ところが開始早々ネイマールが柏戦同様何もないところから点を取ってしまった。どうしろちゅーねんという得点。いやしかしまあいう事故は仕方がない、次いこう次。トップは岡崎と本田が並んでいる感じ。本田の動きは1週間前より良化している。

 香川がシザーズでタックルを交わす素晴らしいドリブルで持ち上がり(初めて見た運ぶドリブル!)、右サイドで受けた清武がためてループで守備陣の頭越しに逆サイドへ送り、走り込んだ本田が打つ。枠を外れたが素晴らしい速攻だった。攻撃の遅い日本代表で、こういう相手に戻りながら守らせるコンビネーションを見たいと思っていたのだ。よしよし、こうしてトライしていけば点は取れるぞ。ブラジルが持つと歓声がすごいから身がすくむ。頑張れ。

 日本は無理なプレスはせずブロックを作りクレバーに戦えているが、マイボールになるとわっとプレスされる。それを交わせるのは日本もなかなかなものなのだが、やっとこ前に持ちだす(あるいはファウルを受けてリスタートする)頃にはブラジルは余裕で待ち構えており、崩しようがないという展開でゲームが落ち着いてしまった。ブラジルMF陣はそんなにプレスに走ってるようにも見えないのに目の前にいるので、攻撃に上がった選手が戻らずうまくすっと寄せてるんだろう。これを交わしながらどんどん前に運べなければ、このレベルではチャンスを作れないわけだ。頑張れ。

 清武もケアされてるようでドリブルでは進めず、攻め手がだんだんなくなってくる。クロスの質は相変わらずいいけれど、中に1人しかいないのではそうそうミートするもんではない。もう少し攻撃で遠藤がなんとかできないかな。ボランチより前の選手はマークがきついのである(あとから録画で見返すと遠藤の淡白なパスミスが序盤から多く、イラク戦の疲れがあった様子)。

 というわけで攻めあぐねて前半は終わる。しかしブラジルにも攻めさせていないのだから悪くはない。ブラジルに対しブーイングが起きている。このブラジルは実際、これまで日本がやった中では最弱だろう。攻め切る力は今日の日本にはないが、守るだけだったら最少失点でいけそうな程度の圧力に見える。

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 【後半】きれいな1-2-3コンビネーションで長友が抜け出すがクロスの精度が悪い。長友はいつも裏取りはできるが左足のクロスに威力がないので、さほどの脅威となっていない。長谷部がドリブルで突っ込むが止められる。なんでそこで攻撃陣は連動しないんだ、パスかシュートのコースを作れよ。なにをぼーっと見てるんだ。―――うわ、何もないところからまた決められた。シュート力がある連中にはかなわん。あんなシュートは CL だってそうそう決まらないので、あの一瞬にシューターに与えられる圧力が足りないんだろうなあ。仕方がない仕方がない、勉強だ頑張ろう。

 清武のグラウンダークロス、DF に抑え込まれ岡崎が流し込めず。惜しい。ここで清武→前田。なぜ代えてしまうのかわからないが、清武には本田・香川とは違うアイデアとクロスがあり効いていた。いつもの日本スタメンは本田と香川の1-2ばかりで攻めるアイデアに乏しいが、清武が第3の決断メーカーとなることでよくなったと思う。

 10 分、香川→前田のシュート。正面。悪くない悪くない。この試合まだ誰も決定的なことはできていないが、香川は俺がこれまで見た中で一番いい。ボールを持つと相手が脚を差し込み奪えないよう地を這うような低い姿勢で懐深くドリブルし、無駄なことをせず早めにつないでいる。こういうプレイをしてくれると、初めて彼に日本代表 MF としての信頼を感じる。交代で入った前田はすごいプレスをかけている。

 しかし本田が疲れた、憲剛おねがいします監督! それとドリブラー枠で乾を! このまま行っても何も起こらない。さっき長谷部が仕掛けていったように誰かがドリブルでチャレンジし、それをトリガーに全体が連動しなければ相手の守備ブロックは永久に崩れないだろう。しかし何もしないザッケローニ。ザックはジーコ化が激しい。疲れた主力を使い続け、フレッシュなサブがフィットし続けず経験が積めないのである。

 77 分、遠藤→細貝。直後に本田がパスミス、本田ももう無理だってばザック。中盤があまりに劣勢なので内田が司令塔になってきた。これは岡田監督時代によく見た。内田がいいのは、他の選手が余裕ないときでも表情が柔らかで、格上を相手にしても実力が出るところだな。

 87 分、本田→乾。遅い。遅すぎて実験にもならない。でも乾はやはり前進力があり、直後に半突破からシュート。香川・乾が近距離で細かいドリブルとパスを交換し崩そうとする。この左サイドトップのキープ力を生かしたミニマルサッカーは可能性を感じさせてくれる。そこからもう一発カウンターを喰らいゲームセット。



 まあ仕方がない。この試合はコンディションも悪かった。この結果を資料として、残り2試合で可能なことを考えてほしい、ザッケローニさん。とにかく攻めのバリエーションを増やしてほしい。本田と香川の即興コンビネーション+αじゃ単調で豪戦でも点は取れなかったわけで、選手たちがピッチ上で見つけられないゴール図をザックが示してほしい。今日マークの緩かった長谷部が突っ込んだり、内田がキープして起点となったり、まだまだ鉱脈は掘れるはず。

 それとサブ使わない采配はいい加減かんべんしてもらいたいが、これはもうそういう人なのだろうなあ。やれやれ。

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