2013/08/02

日記「カナダ東海岸旅行記③鯨と鳥の楽園」

「シグナルヒル」「帰宅ハイ」

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■13/07/13(土) □ 鯨と鳥の楽園
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今日はついにホエールウォッチング決行。天候は曇り、気温は20度。霧は出ており鯨見に最適な気候ではないが、日程的にもう待てないのである。

 クジラは前に一度ノバスコシアで見たことがあり、至近距離であの巨体を見ればもちろん「おお」と声は出るが、その巨体のすべてを見れるわけでもないので俺はそんなに高揚はしない。

 しかしこのウィットネス湾のクジラたちは見られることに慣れ、人にほとんどなついているらしく、まるで近所の猫のようにボートの近くにやってきて愛想を振りまいてくれる。口を突き出したり、腹を上にしてゴロゴロと寝返りを打ったり。これは可愛いわ :-)。

 クジラたちはボートの真下をくぐり抜けていく。近い! 鯨の息がむわーと臭う! うっぷ(笑)。これを俺たちに見せたくて、滞在初日からうずうずしていたERさんも、俺たちの反応に満足気であった。彼は週に何度も、飽くことなく来ているのだそうだ。




(クリックして高解像度表示必見です)


 そのクジラたちもよかったのだが、ツアー最後のバードウォッチングが衝撃的だった。クジラを追っている最中にも霧の中を遠くからものすごい数の鳥の声が聞こえていたのだが、霧が晴れると1キロほど離れた孤島が鳥の島だったのである。崖一面に鳥・鳥・鳥。ボートで近づいていくともう、空も海も崖も四方八方、上から下まですべて鳥・鳥・鳥。鳴きまくり飛びまくり泳ぎまくる鳥のサラウンドシステム。うわー。すげえ。「すげえというのは日本語で awesome という意味なのよ」とMがERさんに説明する。そうなんですよ、すげえとしか言いようがない。



  数キロも続くバードサンクチュアリ島のあらゆる側面に、星の数ほどの鳥たちがいる。何万何十万という単位だろう。あとで知ったがこのウィットレス湾は、北米最大のパフィン(ペンギンに似たウミスズメ科の海鳥)の生息区なのだという。パフィン 20 万、ウミガラス 30 万、保護区3島全体で二百万もの海鳥がいるとのこと。そんなすごい湾に俺たちはいたのである。出発前にちゃんと話を聞いとかなかった俺がバカでした。



 低騒音のモーターボートでしずしずと進んでいきながらうわーんとかしましいツイートに包まれ、俺はうわーと声を上げすごい爽快感を感じていた。自転車で森の中を駆け抜けていくみたいな気持ちよさ。視覚聴覚一体となったサラウンド効果。こないだの遅々として進まないカヤック体験に欠けていたのは、この駆け抜けていくスピード感だった。



 俺は鳥というもの自体にはそれほど興味はなく、いろいろ説明してもらっても種別などは頭に入らない。しかしただただ気持ちがいい。鳥を体に浴びてるという感じ。鳥浴。ニューファンドランドで最も有名な観光名所である世界有数の鳥名所セントメリーズにセントジョンから片道3時間かけて行く気はしないが、それに匹敵するような体験をここで簡単に提供してもらえて本当によかった。お手軽バードウォッチングは素晴らしい。

 ボートを降りると事務所でピンを渡され、壁の世界地図にどこから来たのか刺してくれと言われる。日本から来てるのは俺だけだった。まったくファーイーストから見たら地の果ての、ファーファーウェストの島である。



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 この鳥と鯨ウォッチングはこの旅のメインイベントとして申し分ないものだったので、明日は博物館訪問等の軽い市内観光で後悔なく旅を終われそう。あさっては帰宅である。長い旅だった。毎日イベントだったので長く感じるんだろう。

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■13/07/14(日) □ シグナルヒル
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 ニューファンドランド最終日、セントジョンズ地質学センター。ニューファンドランドはパンゲア大陸分裂の形跡をいろ濃く残す地質学者のドリームランドだそうで、石がたくさん飾ってある。よくできた展示だが、本物の石を見それがどうできたかという地質学的考察があっても素人にはどうということもない。


シグナルヒルから港を見下ろす姫。
「またつまらぬものを撃ってしまった。」

この世に戦は尽きぬのか……
どこのミュージアムでも思うが、書物で読めるような情報を旅行中に半日使って読むのは時間の無駄だよな。すべてのミュージアムは移動を止めずに読めるツイートみたいな 140 字以内に説明を収めるべきである。まあおとといの州博物館 The Rooms でも歴史部分は興味が湧きすぎて長い説明でもけっこう読んでしまったが、コンサイスにうまくツイートされていたらもっと多くを読めただろう。



 そして 1901 年に大西洋間の電信に初めて成功したというシグナルヒルを見て観光は終了。ここはセントジョンズが一望できる絶景だった。町全体を眺めていて思うが、俺が住む西海岸は東海岸よりも雨が多く温暖なおかげで、景色に潤いがある。セントジョンズは住民の努力で庭木や街路樹がきれいに整えられているが、基本高い木は育たない気候で灌木ばかりなのだ。BC は緑に恵まれている。

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■13/07/15(月) □ 帰宅ハイ
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 長い旅の終わり、小さなエアポートに日焼けしたアジア人バックパッカーがいる。「あれはきっと日本人ね」とM。たぶんね。なぜわかるのかと萌が聞く。バックパッカー、貧乏旅行はヒッピー文化で、中韓は国としてそういうものを経験してないからね。後でもう一度すれ違うと彼はやはり日本人だった。俺はバックパッカーだったことなどない軟弱なツーリストですが、頑張ってください。

 帰宅。東海岸から帰ってくると、BCは山があり緑が濃く本当に豊かだと思う。そして家に帰り荷物を解くともう快適すぎ。2週間ぶりのNHKがしみじみ気持ちいい。取るに足らぬ番組を流し見していると、外国から日本へ帰ったみたいな擬似帰朝フィーリングで心がウキウキしている。帰宅ハイだなこれは。自宅ハイ。

 東海岸では日本食はスシしかなく(アジア人自体が少ない)、肉+ポテト or 魚+ポテトばっかり食ってきたので、白いご飯が食べたくて仕方がなかった。今日はとにかく米のご飯となにかテキトーに作ろう。納豆もいただこう。

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