2018/09/08

【PNE】シンディ・ローパー - パンキーファンキーで気さくなミューズ



夏の終わりの風物詩、バンクーバーの PNE(Pacific National Exhibition)。2週間ほど続くこのお祭りは日本では相当するものがないと思うんだけど、遊園地とジャンクな食べ物とマーケットと毎年変わる展示や催し物と夜の無料コンサートが合わさった大規模なイベントで、入場者は約70万というから毎日5万人くらい入ってるらしい。



催し物のクオリティはもっと多くの百万人級の客が入っていた10数年前が俺たちの知る限りベストで、なぜだか年々目に見えてショーがしょぼく少なくなっていくのだが、今年の「テクノロジーと大衆文化展」はとてもよかった。


ハル 9000 とか 8 ビットテクノロジーの説明だとか、各種のロボットアームを遠隔操作する遊びとか、近年の PNE 展示でベストといえるもの。娘が子供の頃いつも行ってたサイエンスワールドが完全リニューアルしたような高揚が味わえた。


ヘイスティングス競馬場に隣接し馬場がある公園で行われる祭りなので毎年乗馬イベントもあり、今年は初めての障害馬術だった。父がかつて選手だったので俺はこの競技をよく知っており、観戦スポーツとして面白くて大好きなのだ。「キミにはこれの名手だったおじいちゃんの遺伝子が(笑)」と娘に説明しながら楽しんだ。


◇  ◇  ◇


そしてメインイベントは夜の野外コンサート、今年はなんとシンディ・ローパーだ。俺がこれまでここで見た中でビーチボーイズと並ぶビッグネームだし、ビーチボーイズみたいな半引退バンドとはものが違う現役感がある。彼女のロックンロールを信頼し、「I Drove All Night とかめちゃカッコいいし、これまでの PNE バンドと違って完全に現役ロッカーなはずだよ」と娘にお勧めしてたのだが、なんとその曲で始まった。俺はしびれて娘の腕を握りしめた。カッコイー!



「I Drove All Night」がバーンと終わると、シンディが舞台袖に引っ込んじゃった。あれ? 「ソーリー、すぐ戻るから」と声が聞こえる。出てきて即「She Bop」を決めてまた袖へ。「コルセットがきつくて息ができないの」と、ゆるめてもらってたのでしたカワイイ :-)



そして「ロックンロール行くわよ。ワン!ツー! スリー! フォー!」と、「Money Changes Everything」。これはもうほんと最高にカッコよかった。


80 年代よりもはるかに狂ってしまった世界に向かい、ステージを転がりながらどうせすべては金なのよとシャウトしまくるシンディ。客席にグイグイ入ってきて歌うシンディ。彼女が若い頃見ても今見ても、彼女のカッコよさにはなんの違いもなかっただろうと俺は思った。「これは私がカナダで見たコンサートでベストだよ」と、この時点で娘に向かって叫んでました。

自らスティール・ギターを鳴らし新しい曲とつなげミックスして歌う「Time After Time」。シンディ・ローパーは今も新しい曲を作っていて、ただの懐メロコンサートはやらないのである。しかし新しい曲は誰も知らないから盛り上がらないというのもわかってるから、名曲とつないで演奏し客を楽しませるという客と音楽への愛情がある。

 奥様と出会った頃、友だちの結婚式で今度これをやるんだよとこの曲を弾いてみせたことを思い出した。じわっとくる。しかし俺は歌詞を覚えてなかった。サビでみんな感極まって歌ってるのに俺は歌えない。すまんシンディ。

バンドもガレージバンドっぽくてカッコいい。たぶん見た目がロッキンでカッコいいというところを最も高く評価して選んだのだと思われる女性ギタリストと女性ドラマーを引き連れてるところがいい。

だいたい今どきスターシンガーが自分で「ワン!ツー! スリー! フォー!」なんてカウントできひんやん普通。でも彼女はどの曲も自分でカウントし、エンディングも自分で決める。プリミティブでおおらかでパンキーファンキーで気さくで、いったん音が出たらカッコよくて仕方がないミューズなんである。

若い頃はただジャスワナハブファンと歌っていた歌が、ガールズパワー讃歌となって自分にフィードバックしてきてるのよと語ってから歌う「ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン」。なんという豊かさだろう。

最後の曲「トゥルーカラー」ですっかり感激した俺は帰り道、「シンディ・ローパーってのはつまりムスメ、君のようなね、若くてつまずきやすいガールズのためにずっと歌ってるんだよ」と熱弁し、ドローブオールナイトで家に帰りました。今年はいい PNE だったなあ。◆