2021/02/13

【まとめ21年1月】Kindleで政経解説本を読み漁る

「元旦にふさわしい日本風土記 」「岡村靖幸再発見」「アベノミクスが失敗した理由」「野党に光明があるとすれば」「なぜこんなクソジジイを倒せないのか(笑)」「なぜ日本人はリベラルを信じないのか」「家族で東京物語」「森永理論を信じよう」

■1月1日     元旦にふさわしい日本風土記 

元旦、年末録画した #新日本風土記 『東京紅白歌合戦』を見ながらおしるこをいただく。東京のバスガールさんはやっぱり歌がうまい。力まず自然体ですっといい声が出る恵まれたアッパーボディ。そして彼女が畏敬を感じつつ歌う「東京だよおっかさん」の戦後センチメンタリズムに圧倒された。 pic.twitter.com/jDAI8zqS0f

#新日本風土記 東村山音頭のオリジナルは「狭山茶どころ情けが厚い」から別メロにいく、長くメロディの覚えにくい歌だった。それを志村けんがスッキリ収まりパンチのあるA-A-B-Aの短いブルース形式にしてたんだ。いやさすが!

#新日本風土記 中島みゆき。タクシードライバー苦労人と見えて、あたしの泣き顔見て見ぬふり。紅白で見たあいみょんは節回しから中島みゆきが好きそうだが、自己肯定感つよそうなのが中島みゆきとは違うなと思った。失恋しても彼女は、タクシーの後席にうずくまり泣いたりはしなそうだ。 pic.twitter.com/DdWTOkgb9b

元旦にふさわしい好番組でした。紅白本編よりよかったな。


■1月2日        「限界集落(ギリギリ)温泉」最高

鈴木みそ「限界集落(ギリギリ)温泉」全4巻読了、最高だった。見た目いいだけでワガママでやる気ないのに人を引きつけるあゆに俺もドキドキしてしまった。Kindle Unlimited(10冊まで借りられる電子図書館)本なので返却せねばならんのだが、購入して自分Kindleに所蔵したくなってなってしまうほど。 pic.twitter.com/YerS2dDPwE

「限界集落温泉」は伊豆の話で、俺は修善寺の旅館の娘さんと仲良くなりバイクで何度も行ったので、「~ら」という伊豆訛りがなつかしかった。


正月休みはずっとマンガを読んでいた。「ストップひばりくん」等のコメディを読むとギャグがドリフ的でなつかしい。ロマンスは時代で古びないがギャグは時代で変わるなあと思う。 pic.twitter.com/iZa99QV2Xk

もし「限界集落温泉」のような未知の傑作がたくさんあり、マンガ名作が全巻読めるなら一生Unlimitedを継続するが、そうでなければ読みたいものは数ヶ月で掘り尽くしちゃうかもしれないと思う。まだわからない。今のところは掘れば宝が出てくるが、マンガも文学も名作の品揃えが薄い感じ。

Kindle Unlimitedは読みたい本、好きだった本を探すとないことが多いが、掘ると意外な本が見つかりうれしかったりする。品揃えが古本屋のようだ。かつて古本屋巡りが大好きで今も帰国時は必ず行くのだが、カナダに来てなくしたその環境が再び手に入り幸せだ。 


■1月9日     Kindleで政経解説本を読み漁る

舛添要一「内閣総理大臣(2010)」読了。面白かった。この本を読んだのは、誰か信頼に足る人による民主党政権の評価を読んでみたかったからだ。安倍スガ政権のていたらくを眼前に見ながらなお「民主党政権は悪夢だった」と引き合いに出す人たちの考えが、俺にはよくわからないのである。

舛添氏は官僚を操れず離反されマニフェストを実行できない民主政権のひ弱さを批判しているが、自民の劣化と腐敗についてはより詳らかに批判している。はは :-) 全体に自民を筆頭とする日本政治の劣化を糺す書物であり、自民党という名を変えようと提起し、自分がいずれ総理になる気だったことが伺える。

小沢氏の力は少し認めているが自分が入閣した安倍、福田、麻生氏のことは一言も褒めていないw 空っぽだった小泉元首相への批判が鋭い。総理職に必須と説いたビジョン/人心掌握力/経験/危機管理力/カリスマをことごとく欠いたスガ『庶民』総理に、舛添氏はさぞやイラついてることだろう。


■1月10日              初めての経済書

毎日Kindleで長時間本を読んでいる。いまは「アベノミクスが失敗した理由~民主党の政策で日本が必ず復活する理由」。経済学者ではなく知的な詩人雅羊々が、一般に手に入る資料から民主党の経済政策とアベノミクスを分析した書物で、民主党政権の正味の評価を知りたい俺にドンピシャである。実に面白い。 pic.twitter.com/9OITElDckh

民主党政権は欧米不況とドルユーロ安の煽りをモロに食らうという構造的不利があったと分析している。

そういえば脱成長コミュニズムの斎藤幸平氏も、「安倍政権は欧米が不況から抜け出したこれ以上ない構造的好条件で、誰にもできなかった異次元の公金をつぎ込みまくったが、しかしアベノミクスは不況を変えられなかった」と言ってたな。なにかが間違っていたのだ。


■1月12日    岡村靖幸再発見

Spotifyで日本の古いポップスを掘って聴いてるムスメが、この曲めっちゃカッコいいと岡村靖幸を見つけてきた。「これホラ、こないだNHK SONGSで見せたあのカッコいいサラリーマンみたいな人だよ」「あーそうか!」「若い頃より今のほうがむしろカッコいい」「Oh Yeah!」◆岡村靖幸 - ビバナミダ(LIVE)

車の中で聴きながら、彼はドラッグで何度も捕まっていてねと話す。「日本のポップスターはドラッグ事件を起こすと人気落とすことが多いんだけど、彼の場合ファンは『あー岡村ちゃん何やってんだよバカー! またかよー』って反応だったよ。愛されてるんだね」「ハハハ」

岡村靖幸は声がすごいね。心を狂わせるものがある。『電車を飛びおり会いに行こう』ってメロディにも気が遠くなりそうだ。

ジョンレノンやミックジャガーや岡村靖幸の声には過剰なものが溢れ出しクラクラと正気をさらっていくものがあって、そこが音楽の魔力だと思う。ムスメが岡村を自力で掘り出し、私がかつてストーンズの歌詞などわからぬまま夢中になったのはそうした音の魔力なんだよね…的なことを話しながら車を走らせた。


■1月15日   アベノミクスが失敗した理由


『アベノミクスが失敗した理由~民主党の政策で日本が復活する理由(雅羊々、2015)』読了。
経済書を読むのは初めてだが、これでよかった。長過ぎる題名以外は素晴らしい本である。なぜこんな日本経済なのかと疑問を感じた詩人が、一般に手に入る資料でわかることから「普通に考えればこうだ」と言えることだけを書いている。

ざっくりまとめると、株価だけを上げ恋も結婚もできない低給与の若者を増やす自民党国家は、「普通に考えれば」滅ぶ。社会保障と少子化対策という「普通に考えて」良いことをやりたい民主党やリベラル野党の政策は、株価ではなくアベノミクスが上げられなかった内需を押し上げ、倫理はもとより経済的にも正しいのだという内容。それを政府統計という一般的資料で検証している。

民主党政権時代輸出業は苦戦したがそれは世界的な構造不況によるもので(写真1)、輸入型の内需は順調でGDP自体も上がっていたのだが、自民と輸出型大企業による今も続く反民主プロパガンダを民主党は跳ね返せず(写真2)、国民も早々に民主党政策をあきらめ、日本は経済問題の根っこである少子化と貧困対策を果たせなかったわけである。

自国の労働者や市場が弱っても、経団連の多国籍企業は困らない。賃金を下げ途上国と競わせ内需を冷え込ませた小泉構造改革をアベノミクスは加速しただけである。安倍政権の雇用で増えたのは非正規の女性と高齢労働者であるため、相対賃金は下がった。内需冷え込みでGDPは安倍政権初期に落ち、原料輸入依存のお菓子は小さくなった――と、日本不景気モデルの本質とその対論を本書はデータを示し、「確かにそうだ」といえる明晰平易な良文で書いている。

自民党は岩盤支持層を喜ばす政策にだけ熱心で、困窮対策など内政に対し意欲も能力も低いのは、コロナ禍で誰もが痛感しているところだろう。国民全体ではなく特定業界に奉仕する自民党の経済政策はいまGoToを見ての通り明らかにバランスを欠いているし、コロナで経済壊滅しかけてるのに株価だけは史上最高な世の中を見ても(※)、実体経済とかけ離れた株価という架空経済にお金が回るだけのアベノミクスの空虚さが示されている。

(※)コロナ下の株価向上は「コロナ感染拡大→各国中央銀行の量的緩和→マネーの量的拡大→株価上昇という流れ」という構造的なものだという経済記事を見た。つまり金が量的に増えれば実価値1.0の社の株価が1.5と額面だけ上昇し、資金が流れ込み株価アップは不可避的に起きるらしい。このへんは俺には仕組みがわからないが、この現象をアベノミクスはPRの燃料に使ったわけである。

著者はあとがきで、経済学者ではなく詩人の自分がツイッターで社会問題を知り、この国はなにかがおかしいと調べた結果この本ができたと言っている。俺もツイッターで「国を滅ぼしている自民党が常勝の日本はなにかがおかしい」と思いこの本に行き着いたわけで、出発点もゴールも同じなのだった。彼があとがきで引いたデカルトの、 「あることに対して『確かにそうである』と感じる力は誰にでも与えられている」とはなんという名言だろう。チャクラが開く思いがする。レポートを書きたくなる。学生時代みたいだよ、勉強楽しいよとオンライン大学生の娘に話す。 

国民が生活に使える金こそが世をまわり畑を潤すのだ。確かにそうだ。日本の衰退を止めるため、リベラルはもう一度信頼を取り戻さなくてはならない。本書は情緒的ではなく詩人らしい正確さの凛々しい文章で、それを確信させてくれる。


■1月16日      耕野裕子「CLEAR」

#耕野裕子 『CLEAR』がすごくいい。序盤親に反抗する高校生編はどうということはなかったが、東京のデザイン学校生となってからは楽しさと切なさとバカさに満ちた東京青春グラフィティだ。彼女の最長の作品なので、きっと最大のヒット作だったんだろう。わかる。


耕野のアバターと俺が思う(気が強くキリッとしていて姉御肌の売れっ子マンガ家で、耕野ユニバースのあちこちに出てくる)蓮見麗華が、脇役なのにカワイー! :-) :-) :-) pic.twitter.com/eNpPCxwXbA

#耕野裕子 は悲しい恋をよく書く人で(というか少女マンガ全般の重要テーマなのか)、この物語にも主人公の仙太が通り過ぎていくそういう恋が描かれている。身に覚えのあるようなそれはアカン展開に、胸がチクチク痛む。主人公がいつも男なのも耕野の特徴だ。だから俺は彼女が好きなんだな。


■1月17日

『CLEAR』全11巻読了。よかったー。#耕野裕子 を好きなのはバンドマンやマンガ家の話が多いし、考えの足りない男やカワイイ女の子たちにシンパシー感じるからでもあるが(心クリアーなサイ子かわいいなあ)、こういういけすかない女の子が出てくるところもいい。ハハなんだキミはw pic.twitter.com/8oF0UhKDeb

#耕野裕子 が心情寄せてる女の子は『CLEAR』サイ子やマンガ家蓮見麗華など作者自身に似た黒髪でズバズバものをいう子が多く、いけすかない女は髪フワフワで言うことピヤピヤ小鳥のごとしという傾向が明確にあるのだ。ははは。(蓮見先生ほんと名キャラ♥)

Kindle Unlimitedのひと月で、俺はマンガ新書雑誌で50冊以上読んだ。立ち読み相当がもう50冊。90年代リバイバルだ。気に入った本には感想を書いたのだがKindleサイトにアップできなかった。購入してない本の感想は書けないみたい。そりゃそうか、借りてるやつにいいだの悪いだの言われたくないよな。

もうじきKindle Unlimited1ヶ月無料期間が終わるが、もうやめる気はない。マンガだけじゃなく政治経済本あさりにもどっぷりハマっているので。

■1月18日     奥様冬のボートローイング

奥様は数カ月ぶりにボートローイングに行った。寒さが少し緩み、コロナ拡大もピークを過ぎた頃合いで。複数人乗りボートはリスクあって乗れないので、一人用シングルスカルに乗っている。リングフィット効果は、「もしリングフィットやってなかったら体力ガタ落ちしてたはず」だそうです :-) 

写真に写っているのはハクトウワシ。普段はオスプレイ(ミサゴ、魚を獲る鷹)が使う巣なのだが今年は留守なのかハクトウワシが使っていて、奥様も驚いていた。

pic.twitter.com/vzxd4Nk06E









■1月19日       野党に光明があるとすれば

Kindle Unlimitedに「中央公論」があることに気づき、初めて読むとあまり著名な筆者がいない文春という感じで、中央よりだいぶ右寄りな雑誌なんだなと思う。パラパラと不熱心に読んでいると、俺が知りたいとずっと思ってる「野党はどうしたら勝てるのか」という中島岳志氏の記事が。ありがたし。 pic.twitter.com/jVvIBaFva9

中島「野党の声が国民に届きそうになった機会は二回あった。立憲民主党結党時、枝野は『リスクの社会化』と『リベラル』という明確なビジョンを訴えた。さらにラディカルな形で見せたのがれいわ新選組・山本太郎。政治に目を向ける余裕がなかった人たちが、山本の叫び声に反応し寄付する姿を見た」 

中島「政党政治家も知識人も労働組合も、こうした人たちに向けて声が届かなかった部分がある。自分自身反省している。山本太郎への敬意を忘れてはならない」――ですよね。政治に変化は起こせるのだと国民に伝えることをメディアと知識人が怠り、その結果がリスクの社会化失敗中の2020-21ジャパンなのだ。

中島「野党に支持が集まらないのは実務面での不安があるから。実務面で力のある地方自治体の首長が野党再編に関わるかがポイント」

中島「保坂展人・世田谷区長と愛知県の大村秀章知事、こうした方々の実務の知見が野党に加わると、安定性ある政権像が見えてくる」――保坂さんは渋谷せいこうSIGHT RADIOのレギュラーゲストだ。彼を首相にとは番組でも言ってたし、リスナーも思ったよイェー。この記事を読んで少し希望が湧いてきた :-)

アベノミクスが空振りし、不正と見苦しい隠蔽が果てしなく続き、危機対応という政治能力そのもので自民が馬脚を現しても野党への期待が上がらない理由を知りたくて、俺は書物を探しては読んでいるわけである。なんとか他国のようにあるいは昔の日本のように、ダメな政党は正当に評価が落ちる国になってほしいのだ。


■1月19日               腐海の底の風景

「世界水槽レイアウトグランプリ」というページを教わって見たら、すごい。家の中の水槽に森があるという驚異。このタンクなんか「腐海の底の風景」という感じがする。
jp.iaplc.com/about/gp_works

pic.twitter.com/XEoNEat1Zo


■1月20日    なぜこんなクソジジイを倒せないのか(笑)

二階氏が「国民はいちいち文句言うな」と発言した #クロ現 見たけど、俺はテコでも謝らねえというクソジジイ感がすごいな二階氏w 国民の「やり場がない」のは、感染拡大を必死に抑えようとしなかった自民党への怒りだよ。 pic.twitter.com/zfduMPsenq

枝野氏も枝野氏で、「政権批判の受け皿になれていません」と問われ謙虚に受け止めないでくれ。イヤイヤ最高な受け皿用意してるのに国民に知らせてくれないのがおたくの公共放送さんだから! と山本太郎なら笑わせるよ。自民がスガ二階麻生のクソジジイ推しで落としてる点数を拾うのは、まじめ謙虚さじゃなく笑いと希望だ枝野さん。 

もの言える機会をこうして真面目に謙虚に逸失していく枝野にはガッカリさせられる。謙虚な政治家に希望は描けない。まずその入社面接みたいな座り方やめろw 次にせやろがいおじさんをアドバイザーに雇え! :-) pic.twitter.com/wdV5xSJ6Uc

枝野氏の能力は自民幹部の比較にならないほど高いと思うが、とにかく国民に受け入れられないと話は始まらない。


■1月20日      Kindle Unlimited購読継続

Kindle Unlimitedはお試しが終わり、今日から購読となる。最初の月はマンガ乱読バカになってたので雑多に100冊も借り出したのだが(1/3は完読し、その他は速読と立ち読みで返却)、二月目はさすがに読書ペースが落ちそう。

しかし全書物をブックオフで買ったとしても1万円はくだらないくらいのコストパフォーマンスだろう。無尽蔵Unlimitedありがたし。

継続すると決めてからは読めるだけマンガを読むというケチな心境は消え本探しと読書をじっくり楽しんでるが、雑誌も意外と楽しい。雑誌をパラパラ読むという行為が俺にはノスタルジックなのだと気がついた。日本を離れて以来買ってないもんな。 pic.twitter.com/UXl28Szwpd

Kindleアプリはなかなかよくできていて、マンガや雑誌など表示するものが画像だと拡大し、右・左・右下・左下→次のページと移動してくれる。レイアウトによっては手動でちょっと戻して読んだりもするが、悪くない。 

俺はムスメが昔木工クラスで作ったブックスタンドを改造し、Kindleタブレット書見台を作った。お侍さんの書見台そのものだ。読書快適すぎる :-) Kindle Unlimitedで手に入るもののすべてが、新しくノスタルジックだ。pic.twitter.com/SvzkXUmf3s


■1月21日       リンダリンダ誕生日

友だちがパンデミック下のバースデーなのでケーキを届け、玄関先でギターを弾きうちの家族全員でハッピーバースデーを歌った。せっかくだからもう一曲やろう、なにがいい? リクエストされたのは彼女が日本で自己紹介すると決まって大合唱が起きたという名曲、「リンダ・リンダ」。 pic.twitter.com/xOO4nKtWZY

ドブネズミみたいに~と元気に歌うと、「オーマイゴッド、リリック本物じゃない! なんてスイートなプレゼントなの!」と感動してくれた。日本語歌詞ならお安い御用で、いつでもお届けしますよ。愛じゃなくても恋じゃなくても、キミを離しはしない :-)

■1月22日     アジアの情

韓国スーパーで買い物し、支払いしてる間にレジのお姉さんがササっと俺のバッグに食材を詰めてくれた。あ、ありがとう! なんだか感激してしまった。1年ぶりですよ。知らない人はバイキンと思えのこの世の中で、コリアンマートあなたたちにはアジアの情がある :-)(中華マートではあまり感じないw) pic.twitter.com/NRd627GA6z


■1月23日     「安倍政権のメディア支配」

【Kindleアンリミ】鈴木哲夫「安倍政権のメディア支配」2015読了。メディアの強権的支配に批判的なのは冒頭古賀茂明氏との対談だけで、あとは小泉政権からの自民党メディア対策のうまさを解説した本だった。小泉政権でメディア対策に抜擢された世耕氏が有能な広報担当だったとは知らなかった。 pic.twitter.com/ESxrfTJxGr

一世風靡した小泉政権の反動(PRに軽々と操られ世論を動かしたメディアの反省からの辛口報道)もあって安倍一次、福田、麻生と党勢を下げ政権を失い、捲土重来でPRとメディア支配を最重視したのが第二次安倍政権だったのだと学ぶ。なるほどな。しかし本書2015年頃から比べても、安倍政権末期はガバナンスもPRもガタガタだったよな。それが慢心というものか。

政治と宣伝という内容で面白い本ではあったが、与党が税金を使いメディアを支配して権力を固定化することへの批評はなく、食い足りないという読後感。

■1月24日   『博多っ子純情』発見

Kindleアンリミに『博多っ子純情』があった。これはすばらしい。純情ってすばらしい。このマンガが大ヒットしチューリップの歌が作られたのは70年代後半だが、六平は普段着で浴衣を着てるので50年代くらいの話なのかな。どんどん遠ざかっていく気がする博多ドリーミングの時代に胸がきゅっとする。 pic.twitter.com/xX8MTpIdOj

 名曲「博多っ子純情」が入ったチューリップのこの傑作アルバムは友だちが持っていて、聞くたびに公園の裏にありドラムセットが置かれていた彼の家を思い出す。この曲も演奏も本当にすばらしい。いつか君ゆくといい。博多いつか行ってみたいよ。◆TULIP 博多っ子純情 youtu.be/rKFWESZp_gA


■1月24日    なぜ日本人はリベラルを信じないのか

Kindle Unlimitedに山本太郎の2019参院選を追ったルポがあった。動画を見て俺も心動いた街頭演説の様子が再録され、彼が浴びせられたヤジと中断アクシデントに1章が充てられていた。山本太郎だけがなぜあれほど熾烈なヤジを浴びたのだろう。 pic.twitter.com/5qnZsSCWQT

ヤジる人たちの主な言い分は「山本太郎は偽善だ、そんな(国が金を出し国民の窮乏を救う)ことができるわけがない」というもの。しかし、政治が国民の窮乏を救った試しがないからといって、それでいいのかダメでしょと山本太郎は問いかけているのではないか。偽善というなら日本一の偽善は自民だし。

2019年当時のサンデー毎日にも(Kindle Unlimitedは掘ればいろいろあるw)、れいわ新選組はポピュリズムだ警戒せよというエコノミスト浜知子氏の記事があった。しかしそれを読んでも、国民の生活向上だけをやりたいポピュリストの何が問題なのかと俺にはわからず、それに対する答えはない。 pic.twitter.com/6KeqJ91Jga

日本でのリベラル野党の徹底した不人気にも同じ謎を感じる。彼らは民主政権で一度失敗したが、政治は単なる手段でほしいのは金目と権力である自民党とは、そもそも動機と目的が違うではないか。なぜ日本は米国のように、保守とリベラルに同等のチャンスを与えられないのだろう。わからない。勉強続けますハイ :-)


■1月25日    日本ドラマの無頓着な暴力

『博多っ子純情』がとても面白い。バカだが気持ちのいい中学生六平たちの青い目覚め、大人たちへの程よい反抗心と信頼、番長とのケンカ交流など実にいい。六平が家で浴衣着てるからすごい昔の話かと思ったが、博多新幹線が出てきたので75年くらいの話だった。 

『博多っ子純情』には後味悪い暴力が出てこない。いまのマンガはわからんが、日本のドラマは未だに暴力や性暴力未遂を気軽に描く。倫理を語る最新のNHKドラマでさえ、タバコの火を押し付けるなどという狂気の沙汰を不良あるある仕草として描いていた。カナダでは放送できないと思う。日本の創作物はそこの倫理が麻痺している。 pic.twitter.com/18hwhT9i0I

■1月25日

#麒麟がくる 麒麟の光秀は終盤、謀反した者たちの気持ちを拾い集めている。信長を愛せない者たちの気持ちが光秀に集まってしまう。この光秀なら麒麟の歌をたかだかと歌い、信長なき世を平らかにできるはずだが、そうは全くならなかった史実と残り2回でどうつながるのか。もしやつながらないのか?

つながらないとすると、ここまで光秀にすべての集中線が集まっているのに、結局は誰も光秀に味方せず与党大勝という、現代日本政治の写し絵のようなエンディングがやってくるのか…w

■1月25日      家族で「東京物語」

今日は家族で「東京物語」を見た。俺は何度も見てはそのたび目がジワジワになるのだが、二度目の奥様は前回同様シゲたち東京ピープルの身勝手さを怒りながら見ていたw 娘は意外と俺に近い心境らしく、よかったとニコニコと笑い日本のおばあちゃんに優しくしろと俺にいい、なぜか鶴を折ってくれた。 pic.twitter.com/9SS28oUvtR

「東京物語」を見るたび東京の子供らの身勝手さに怒る奥様と話す。「でもさ、君の父さんがクリスマスに来たとき、誰が面倒見るのかどの家が車貸すのかって一族揉めてたじゃん。『東京物語』だと俺は思ったよw」「違うわよ! うちの父さんは『東京物語』の両親みたいな、あんないい人じゃないから!」

「日本に君の父さんが来たときも、酒飲みの俺の兄貴に預けて俺たちはやれやれと退散したじゃん。酔って帰った父さんと君がケンカしてさ。君が『東京物語』の杉村春子だったんだよ!」「ちょっと違うわよ!www」 pic.twitter.com/DboUEyq5r1




■1月26日    杉咲花はすごい

#おちょやん あの厚保化粧でまた千代はチャンスを台無しにするのかと思ったら、茶碗でスイッチが入った。すごいなあ。テルヲの暴走を察知し廊下を追いかける速さも、この人が一番えらいんや社長さんやと渾身の力でテルヲを引きずり出そうとする勢いも、ドキドキするほどすごい。本当に杉咲花はすごい。

#おちょやん 社長は千代になにかあると見て茶碗で試し、首尾よくあの演技を引き出したわけですが、現代の映画女優のようなあのリアル芝居は無声映画が「今のままじゃ」使いようがないということなのかなと思った。映画村にいて「なんも楽しない。うちお芝居大好きやったのに」ならば、台詞があり客の拍手をもらえる舞台に戻るのもアリなのかもしれない。

■1月30日    愛の不時着おもしろ

奥様がなにか一緒に見ようというので、じゃあと俺がこないだ初回だけ見て家族団らん用にキープしといた #愛の不時着 をおすすめする。英題が「Crash Landing on You(アナタに不時着♥)」とひどいので英語圏ではあまり話題になってないらしい。見せるとやっぱり気に入っていた。一緒に見ていこう。

■1月31日

#愛の不時着 昨日見せた1話ですっかり気に入ってくれた奥様と続けて第2話。国境を超えた恋のまわりに二層三層四層とえらい多重にストーリーが重ねてあって、大丈夫なのかこれとっ散らかるのではと初回思ったが、早くも二層目のこの悪上官ががっちり絡んできた。これは面白いと二人叫ぶ :-) pic.twitter.com/JBx0XnYHL7

#愛の不時着 それと第2話に「パラサイト」のあの彼が出てきて、俺は心底ぶったまげた。出る映画によってこんなに違うの!www

■1月31日    森永理論を信じよう

俺はいつも、「他国から借りたわけではない国債という借金で、儲けたのは主にそのお金で日銀に株価を上げてもらった大企業と投資家。その債権を取り立てる人もいないのに、国民が税金から返すという財務省のロジックは意味がわからん、道理が全然つながらない」と思っている。

その財務省論理と真っ向から対立する「お札を刷って国民に使ってもらおう」のMMT理論がなぜ賛否両論なのか知りたいとずっと本を探してたのだが、いつもラジオで財務省のいうことを信じるなと明るい未来を楽しく語ってくれる森永卓郎氏の本があった。森永卓郎『消費税は下げられる(2017)』。やった。

この本に、なぜ日本でリベラルが超不人気なのか、その診立てがあった(←)。民主政権内の反米反財界反官僚派である小沢鳩山が失脚させられ、党内政権交代した前原野田ら保守派に公約はすべて反故にされ、リベラルなんて実現不可能な妄想と国民に焼き付けられてしまったのだと。森永さんから見ても雅羊々氏から見ても実現可能なよい政策だったのに。ため息。

これが俺がずっと謎に感じている、なぜ日本人はリベラルを信じないのかの答えか。なんてことをしてくれたんだ前原野田派。まあたった一度の失敗で自民しかないと手もなく洗脳される国民の方もたいがいだが。

また、民主政権が経済面で最も不評を買ったのは円高(というかリーマンショック対策でドルとユーロが猛然と刷られたのに円を刷って対抗しなかったこと)らしいのだが、 民主党が円高対策をやれず安倍政権でやれた理由の診立てもこの本の白眉だった。つまり売国的政策と引き換えに得た円安で大企業の信任を得、政権を維持しているのが自民党なのである。だからあれほど米国寄りの政策になるのか。なるほどなー。はあ :-( 

   ◇   ◇   ◇

ともあれ、お札を刷って国民に使ってもらおう論に、この本を読む限り致命的な穴はない。すべての反論に森永さんは整然と答えている。アベノミクスは刷ったお金を国民に渡さなかったから内需が動かず景気停滞したというのは前読の「アベノミクスが失敗した理由」と同じ。「刷って消費減税か給付金に使え」というのが本書の主張。コロナの今にも通ずる。「アベノミクスが失敗した理由」で語られた民主党の政策同様成功させるのは難しいが、やらなければ30年の衰退がこれからも続くだけである。

  ◇   ◇   ◇



というわけで、森永卓郎さんのラジオトークから想像するほど気軽で楽しい本ではなかったが、先月感動した「アベノミクスが失敗した理由~」でわからなかったことが補完されていく部分があり気持ちよかった。

この自分の知見が線で結ばれていく感じを、PC上のテキストノートで表せないかなーと考えている。もちろんこういう手書きノートがベストで学生時代は楽しくやったが、手で文章を書くという行為がもはや耐え難いほどめんどくさいw なんとかキーボード入力で、できるだけコピペだけでできぬものか :-) pic.twitter.com/hrbwjaIRkw