2009/01/13

日記「ハチの巣みたいだ東京」

「イトコと一緒のホリデイ」「グローバル経済連鎖型世界食糧危機?」「人間60年ジュリー祭り」ほか

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■09/01/01(木) □ イトコと一緒のホリデイ
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またまた小雪。天皇杯サッカーを見て、お汁粉を食べ、紅白歌合戦の感想を書いて、カニ鍋をやった。お正月らしい一日だった。

イトコのミドルティーンSFがクリスマス後4日間ステイしてくれたおかげで、萌はお姉さんができたかのようなご機嫌なホリデイだった。この4日間彼女に張り付いて、萌は2階にはまるで上がってこなかったのである。料理好きなSFと一緒にスープやクッキーを作ったり、解説つきで「トトロ」を見せたり、チャットを楽しんだり。

萌の喋り方がいつもと全然違って、「これで遊ぶ? いや、つまり私が言いたいのは、あなたがやりたいならばってことだけど。無理強いするつもりはないんだけど、もしやりたいならやろうってことだけど」と、とにかくくどい(笑)。SFとはティーンエイジャーのように喋りたいのだろうが、そういう理屈を積み上げるのが大人っぽい会話だと萌は思っているのかもしれない。

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天皇杯は、準決勝で初めて見た柏の菅沼が、抜群に切れがあり気持ちが強くすばらしいな思った、速くてうまい選手はJに多いが、あんなに攻守とも相手に突っかかっていく選手は珍しい。うまい選手はみんな敵から離れて仕事をしようとするが、菅沼は狭いところに突っ込んで何かを起こそうとしており、非常に面白かったのである。

岡田監督がやたらと代表に呼ぶ若い攻撃陣よりも菅沼のほうがずっといいと思い、決勝も彼に注目していたのだが、代表レベルが揃うガンバ相手には明確なコレハという働きはできなかった。加地らを交わしてチャンスは作るにはもう一段レベルアップしないと。柏も同じことで、ガンバがあれほど動きが悪かった前半にケリをつけられないのでは、タイトルに手をかけるには実力がまだまだであるという結果だった。

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■09/01/03(土) □ 雪の砦
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今日も雪。昨日おとといよりも多く、10cmくらい行きそうである。バンクーバー名物の冬の雨が全部雪になってしまっている。家も車も町もそういう気候にはデザインされてないのである。まったく弱った。

なにはともあれ雪かきに出る。すでに例年の数倍出動しているだろうラッセル車がなんかヤケクソ気味に通りをぶっ飛ばしている。雪かきが終わりふーと汗を拭いていると、俺と一緒に雪を掘っていた隣のRB青年がミニバンをバックで出し、よりにもよって雪の土手があるところでハンドルを切り乗り上げてしまった。あちゃー。なんのためにみんな雪かきをしてると思ってるのかいオマイは。

シャベルを持って駆けつけ、「こないだ俺もスタックして、君の親父に助けてもらったんだよ」と笑いヘルプする。その親父もやがて怒った顔で出てきて一緒に掘る。この親子は仲が悪いので、RBはどこで転回すれば安全なのかを聞かずに自分の判断で出してしまったのだろうなー。

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 午後、KT・HNを呼びカマクラ/フォート(砦)を作る。今回の雪で初めて何か形のあるものを作ったので盛り上がった。年末までは固まらない粉雪だったし、なによりもあまりの雪の量で雪かきに忙殺され、何かを作るどころではなかったのである。同時に俺は今日2回目の雪掘り。ふー。

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■09/01/04(日) □ 除雪ブルドーザ登場
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萌が昨日のフォートで遊ぶというので、1人じゃかわいそうだからと俺も出ていって雪かきをする。1時間ほどで済んでふーと飯を作っていると、なんと除雪ブルドーザがやってきてうちの前のカルデサック(ロータリー)を除雪し始めた。えーっ。こんなことは初めてである。

 各家のドライブウェイはまめに除雪され出入りに苦労はないので、現時点で特に必要でもないのだが(2週間前にきてくれたら感動していたが)、とんでもない勢いでがーと雪をかき集めうちの前庭に積み上げていく。このカルデサックに面した庭の面積はうちが一番広いので、他の家も前の雪も自然とうちの庭にかき寄せられ、2mを超える大汚雪山脈ができてしまった。これは春まで溶けん。間違いない。今後はさすがに気温が上がり雨になりそうだが、この積雪は25年ぶりだそうである。

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■09/01/05(月) □ グローバル経済連鎖型世界食糧危機?
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今日から学校。学校までの道は問題なかったが、学校の周り中雪で車線が狭まり、車を止める場所がない。10台以上の車が止める場所を探して狭い道をぐるぐる走り回る状態。うちの前のカルデサックなど放っておいてくれてもいいのであって、こういう公共施設回りをこそ念入りに除雪しておいてくれないとどうにもならん。何を考えているのだ阿呆シティ。明日からは1ブロック以上離れたところに止めるしかないようである。

クリスマスと雪の影響で久しぶりとなるスーパーに行くと、ないもの(organic ポテトとほうれん草)と古いもの(org ミルク)と値段が上がったものばかりで、全然必要なものが揃わなかった。チップス 235g が $2.50 から$3.50 と強烈な値上がりをしたのが象徴的で、NHKでやってたグローバル経済連鎖型世界食糧危機の波がカナダにも来たっぽいなと冷やりとする。ガスプライスもまた上がってきたしなあ。

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■09/01/07(水) □ ハチの巣みたいだ東京
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大寒波は過ぎ昨日今日はついに大雨。雨と雪解けが同時進行で進むわけで、ポンプと雨どいの排水状況を念入りに最適化しておく。

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夜、「チャットモンチー・夢が夢でなくなる瞬間」を見る。音楽番組で見るたびに、持てるテクと出したい音と歌が見事にマッチしたカックイーバンドだと思っていたが(たとえばプリンセスプリンセスはチャットよりもはるかにうまかったが、曲が求めるドライブ音圧を出すには腕力が足りていなかった)、こうしてまとめて見ると聞けば聞くほどいい。ローテクなのにツボにはまってかっこいいんだから、まるでクラッシュである。音の面白さは今NHKで見られるあらゆるバンドを超えている。

最後の「ハチの巣みたいだ東京 働きバチの行列だ(東京ハチミツオーケストラ)」という歌ではもう、うーんと唸ってしまった。

ハチの巣みたいだ 東京
働きバチの行列だ
私はまだやわらかな幼虫
甘い甘い夢を見てる

夢が夢でなくなる東京
おいしそうな花のミツ
私はまだまだ世間知らず
甘い匂いに負けそう

大島弓子のような澄んだ言葉が、プレーンなメロディとリズムに乗って自然にぽろぽろと出てくる。実にすばらしい。昔バンクーバー出身の歌手が東京を訪れ冷たいコンクリートジャングルだと歌うのを聞いて、アスファルトから咲く花をイメージできないその貧困な眼力に恐れ入ったのだが、チャットの眼前ではその花の周りにミツバチがわんわん飛んでいるわけである。楽しいではないか。

サンボマスターやチャットモンチーの発する言葉と音の鮮やかさと比べれば、信じてる待っている系 Jpop は全部演歌だといってもまったく過言ではない。絢香という人などボイスレッスンに遠距離通学してたという下積み経歴や苗字を使わないところまでなんか演歌というか水商売的だ。ボイスレッスンに音楽の奇跡は宿らないのである。

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■09/01/09(金) □「人間60年ジュリー祭り」
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「人間60年ジュリー祭り 沢田研二IN東京ドーム」。このタイトルからしてそうだが、なんで「60にもなって....」と腰が低く謝罪っぽくなるのかなあ。ミックジャガーは還暦ですいませんなんて言わないだろう。いくつになっても沢田の声と歌が不滅だから客が集まるのではないか。まあミックと違って太ってることにすごい引け目があるようなのだが。しかしロッドスチュワートは太っているぞジュリーよ。そんなに気弱になるな。彼はたぶん太って声量がある、オペラの人とかと似た体質なのだろう。

沢田のコンサートは、いつ見ても選曲が今イチと感じる。この放送でも沢田にありがちな凝りすぎた新曲と、古くて聞く価値をもう感じない曲が多い。「不良時代」「我が窮状」「いい風よ吹け」など、ミディアムの曲は圧倒的に良いけれど。俺が最後に日本に住んだ頃に沢田はとんでもなくかっこいい音楽をやってたのだが(「彼は眠れない(89)」~「サーモスタットな夏(97)」)、自分ではそう評価してないのか「ポラロイド GIRL」も「彼は眠れない」も放送しなかった。全セットリストを探してみると「ジャストフィット」「彼は眠れない」「SPLEEN」「PEARL HARBOR LOVE STORY」などが入っていない。

沢田のライブが今ひとつ物足りなく感じるのはそうした選曲に加え、楽器やコーラスで沢田と伍して音を引っ張る存在がいないからだと思う。ギターは下山淳なのだが彼はフロントマン的な資質はないようで、単に有能なセッションギタリストっぽく丹精に弾いている。昔ほどすごい音も出していない。バンドにそういう存在がいないのだからゲストを呼べばいいのにと思うが、歌の力みたいな思い入れがあるゆえか、そうしたお楽しみは一切盛り込まず歌だけの6時間半だったようだ。ショーケン、井上堯之など、今の関係は知らぬがもし呼べていたらすごかっただろうなあ。Coba を呼んで ACT シリーズの歌をやってくれても感動したろうし。このドームにもし自分がいても、6時間半楽しめたかどうか微妙だなと思いながら、1時間半画面を見つめていた。

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