2011/03/10

日記「モノポリーよりバンカース」

「キヨシローみたいに連れていかないでください」ほか。

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■11/02/26(土) □ モノポリーよりバンカース
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 今日は小雪。風邪がまだ抜けない萌は一人でアクセサリーを作っている。そしてこれをフリーマーケットで売りたいという。ものを売るというのはほんと難しいんだ、同じものがどこのアクセサリショップでも買えるわけだからと説明するが、そうしたバリュー感覚などまだわからんようである。子供にとってなにかを売るということはすごくエキサイティングなことなんだろう。一昨年の夏に近所の子一同でレモネードスタンドを出し、通りがかった人数人に買ってもらって狂喜していたしな。

 そうだ、何かを売るゲームを萌にやらせたい。とりあえずうちにあるのはモノポリーだけなので、これはカルカソンヌ購入の前に試してみてなんか面倒だったんだよなと思いつつ萌とやってみる。


デザインはまことにニートなんですが
サイコロを振り土地を買いチャンスカードを引くのは、俺が子供の頃胸踊らせ大好きだった「バンカース(日本製のモノポリークローン)」と同じ昔ながらの普遍性ある楽しさで、萌も張り切って土地を買いまくる。

 しかし改めてモノポリー公式ルールを読んでみて、そのめんどくささに呆れた。「バンカース」や「いただきストリート」は止まったところに即家を建てられるのだが、これは止まったところは土地の権利証しか買えない。そこにコマを置くことすらできない。そしてそこに敵が止まっても $200 の土地で $16 とかの、ほとんどゲーム的に意味がない家賃しか取れない。で2~3箇所の《同色の町を独占して初めて家を建てられる》というのだ。なんだこのめんどくささは。つまり敵が妨害して1箇所土地を取ったら、もうその色の町は資産価値ほぼゼロではないか。

 とここでモノポリーは取り引きがあるんだと思いだした。とりあえず敵がほしい土地を買っておいて高い値で売りつけるというのが戦略なのだろう。しかし同色独占してから家というだけでもクソ時間がかかるのに、その上交渉事まであるんじゃ面倒でやる気がせん。最初は土地の購入に盛り上がった萌も、ぐるぐる回り購入資金が尽きたあたりで興味をなくしてしまい、ひとまず中止。

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 俺はとにかくお手軽に遊びたいので、

《止まったら即家建築、同色町2個ゲットで家賃2倍、3で3倍》

 の「いたスト」式ルールでもう一度やることにした。家の所有者が誰か一目でわかるよう、単色の家ピース(※)の代わりにとりあえず2色のミープル(カルカソンヌのコマ)を使う。このルールだと2周目からさっそく金の取り合いが始まり、即座に盛り上がり笑える。本式ルールより5周以上早いだろう。
(※)最初は土地の所有者を示すコマが何もないので「ここ誰か持ってる?」といちいち聞かねばならないし、家が建つと全員が同じ色の家なので、「この家誰の?」といちいち聞かねばならない。この馬鹿げたルールが半世紀にも渡り改められていないというのは、めんどくささの軸が日本人とは異なるアメリカカナダらしい。「いちいち聞かなくて済むように」とは思考が進まず、「聞けば分かるんだから」となるのである。こういう例はカナダに暮らしているとしょっちゅう見つかる。

 萌はさらに、「自分の町に止まったらそこでは自分が一番偉いのだから、リスペクトマネー(1家賃と同額)をもらえることにしよう」という。面白いのでとりあえず採用(笑)。これで10周くらいしてサイコロを振るたびにガンガン巨額のマネーが飛び交うような状況になり、うわーとえらい盛り上がった。俺が萌の家賃 $1000 地獄タウンに2度止まり、明らかに勝負がついたところで終了。ボードゲームは当事者が楽しければいいのであり、これでよし。

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 独占しないと建てられない家、土地競売、交渉、ゾロ目システム、無闇に出にくい刑務所、破産負け抜け制といった公式ルールは、すべて省略した。これらはモノポリーしかゲームがなかった時代にゲームをふくらませるために加えられたのだろうが、現代のゲーム感覚ではそれらによる深みよりもプレイ時間増大の苦痛のほうが大きい。こうしたルールが煩雑で時間がかかるからモノポリーは誰でも知ってるけど誰もやらず、カナダのどこの中古屋でも山積みキングのゲームとなっているのだろう。

今検索して写真を見、バンカースの地名はなんと
全部日本の町名だったのだと思いだした。栄町とか、

「電車に乗り遅れる」とか、懐かしすぎ。
どれほど子葉を充実させても勝負を決するのはやはりサイコロ運なわけで、このゲームはその面白さのキモであるサイコロと売買とお金のやりとり(と交渉)を味わえればいいのである。そうするとつまり「バンカース」と「いただきストリート」になる。「バンカース」は今にして思うとコマがちゃんと色分けしてあるし、子供が覚えられないルールはすべて省略され、モノポリーのキモだけを抜き出してあったのだ。日本のおもちゃ屋さんはアイデアはパクリでも気が利いてるよ。


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■11/02/28(月) □ キヨシローみたいに連れていかないでください
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 NHK 国際で桑田佳祐復活の軌跡という番組があり、1年で復帰したからそうとは知らなかったのだが、実は食道と臓器の一部も切除する大手術だったのだそうだ。入院中の写真を見るとやはりびっくりしてしまう。

 桑田がフィルムコンサートの後サプライズで登場し歌い始めると、客席中が涙に包まれる。神から授かったかのような才能と、まだ体がきついのにこんな風にサービスをしないではいられない親切心が同居している奇跡のような人だから、だから帰ってきてくれたことにみんな泣けてしまうんだよ。日本ポピュラー音楽界の頂点を極めながら、超絶高品質歌謡曲カバーのコンサート(Act Against AIDS)をやってくれるし、病に倒れてもこうしてお客さんに会いに行かずにはいられない。この働き者っぷりは他の国の大御所ミュージシャンではあり得ない。まさに日本的な音楽者なのである。

 どうかどうか神様。この勤勉さと親切さに免じて、この人をキヨシローみたいに連れていかないでください。

1 件のコメント:

  1. こんにちは、検索でたまたまこちらのページがヒットしたので通りがかりました。
    モノポリーですが、何人で遊ばれたのでしょう?少なくとも4人くらいはいないと面白くないと思います。
    仰るように、好きな遊び方で楽しめればいいのですが、長年楽しまれて世界大会まであるゲームですから、バカにできないゲームだったりするのが私見です。

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