2026/08/18

【2026イングランド旅行記④】ロンドン(前)驚愕のV&A博物館

 「憧れのロンドン急行」「陶磁器3万点の森」

■6月6日             憧れのロンドン急行




【英国旅の最終滞在地ロンドン】バカンスの都バースから、エクスプレス列車で王都ロンドンへ。陽水の『憧れのロンドン急行』が脳内で鳴っていた。あこがれのロンドン急行/ブルーの色に白帯かけて。陽水は若い頃ロンドンに滞在したのだろうか。


ロンドン到着。ロンドンの駅はどこもカッコいい。南イングランドの長距離列車が発着するターミナル駅パディトンも、→

賃貸アパートのあるこの地下鉄アールズコート駅も。どちらも実用の美を感じさせる素晴らしいデザインだ。アールズコートはホーム端の階段を登れば改札という、初見でも迷わせない動線のクリアーさが見事だ。日本も見習ってほしい。 pic.x.com/2O9JBmUTyX

 

滞在するEarl's Courtの表通りは活気があり、裏通りは静かで閑静な高級アパート群となっている。東京でいうと原宿とかそんな感じか。道路白線のギザギザはなんなのだろう。

トランク引きずる移動中スナップは片手で撮るGF10+20mmが最高だ。パンケーキで平たいのでカバンから取り出すとき引っかからない。他のレンズは引っかかりイラつくのだ。平たいズームのLM1442PZも持ってくればよかった。 

Mはロンドンでやりたいことが山ほどあるそうだ。俺はとにかくロンドンはどこの地名も聞き覚えがあるので笑っている。今サッカーのフラムとチェルシースタジアムの真ん中あたりに泊まってるのか、地下鉄の終点はウィンブルドンなのね、ロックの殿堂ハマースミス・オデオンがすぐ近くだなどなど。ポップ文化頂点の町だよね🙂

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しかし【イングランドはインフラがやたらと壊れている】。初日のピカデリー線熱波運休にはじまり、何度も列車移動をしたがすべての駅で改札機がいくつか壊れていた。稼働中の改札機で入ったり、改札員がQRコードスキャンや目視確認などで客が乗り降りしている。なんでそんな壊れるの? メンテ悪いの? 

そして今日入ったロンドンの宿では、エレベータが壊れていた。もう修理は頼んであるというが、同宿の客によれば1週間以上壊れたままらしい。「5階ね」と言われてトホホとラゲッジを運んだが、英国は1階がGround Floorで、5階とはつまり6階なのである。死ぬ。毎日の帰宿が憂鬱になるレベルの段数である。 pic.x.com/zbSvFnIDYf



ともあれロンドンのアパートは、小さいがエレベータ以外は快適だ。周りは低層のアパート群で、遠くに都心が見える。バース同様ここも観光向けロケーション最高で、アクティブな滞在となりそうである。

■6月6日            驚愕のV&A博物館

ロンドン観光初日はアパートからバスで10分のヴィクトリア&アルバート博物館。「イングランドが世界の半分を所有してた(M談)」大英帝国ピークのビクトリア女王時代に、女王の夫アルバートが作ったそう。ものすごい物量の美術品と宝物がランダムに並んでいる。めちゃくちゃ面白い。

収蔵品は東西南北、英国欧州はさらに時代ごとに分けられているのだが、宗教美術がとにかく無限にある。どこの英国都市で観光をしても、キリスト教というもののとめどなさに驚く。どうしてここまで民の情熱が注がれるのだろう。日本は寺はすごいが、仏教美術と庶民はほぼ無関係ではないか。

逆に日本では、浮世絵や工芸品など大衆向けの美術は欧州より普及が早く江戸時代。 英国で美術工芸品が一般に普及するのは、それよりだいぶ後だそうだ。 これら莫大な宗教美術を見ていると、美は長いことキリスト教に占有されていたのではないかとすら感じる。

…まあ庶民も教会に行けば、宗教美術を楽しめたのか。ステンドグラスなんかまさにそうだ。そりゃそうか。所有しなくても見られたのだから、そこは日本より恵まれてたか。

地階の彫像回廊がすばらしい。この大理石像の美しさ、きめ細やかさを、手で触れられる距離で見られるのは贅沢な体験だ。テラコッタ(素焼きの陶土像)の母子像はMが絶賛していた。なんともいえぬ愛情の像だ。

絵画もたっぷりとある。ターナーの本物を間近で見れて感動したり、システィーナ礼拝堂ラファエロ天井画の原画に圧倒されたり、

 

名を知らぬ作家のかわいらしい佳作を発見してときめいたり。 pic.x.com/99w2OjjOW7

アジア、中東、ヨーロッパ。チャイナの工芸細工、メソポタミアの彫板。とにかく、どう回ったらくまなく回れるのかも分からないくらいの広さと重層的な構造で、宝物が詰め込まれている。美術も宝物も限りない。これが無料なんだからロンドンはすごいな、王都の王立博物館だからね。

中庭のカフェで休憩。2時間以上見てまだ2階の途中で、4階まであるらしい。これは終わらない。幸いにも休むところはいくらでもある作りだが、キリがない。

現代のポップカルチャーや演劇美術フロアもある。The Smiths のライブが£4はすごい。すでに4時間見たが、これは絶対今日中に見終わらないな。V&Aってルーブルと同レベルの規模なんじゃないの、1日で終わらないという意味でとGEMINIに聞く。『ルーブル 約3万8,000点、V&A約6万点、見られるモノの数だけで言えばルーブルを遥かに凌ぐ密度です』。やっぱりねえ。あちらは名品ばかりで、こちらは日本の雑誌切抜きなど有象無象もあるとはいえ。 pic.x.com/w0mvGDYnr2

今日はここまでかとあきらめ2階から降りてきて、巨大なものたちがある入口近くの隠しフロアを発見した。なにこれー! ヤバい、古代ローマの巨大石柱(トラヤヌスの記念柱)の二分割レプリカ! ヒャー! ここは世界中の有名彫像のカタを取った石膏像の館だった。4時間歩いてもこのフロアが目に入らなかったという規模と迷路感! 

ダビデってこんなデカかったのか! ピエタ美しい! しかしミケランジェロなんて人類の至宝中の至宝を、よく石膏でカタなんて取らせてくれたよね。昔の人は無茶をするというか、それが英国の威光というものなのか。

19世紀には教育目的の複製文化というものがあり、世界中の名作の石膏型を取ることが許されていたのだそう。今は保護観点から当然禁止されている。

これを見たところで、本日はもう5時間見てさすがにもう無理となり帰宿をきめた。いやーすごかった。無料の博物館で土曜にも普通に観覧できるのは、あまりにも広く多彩でお客が分散してるからだなと気がついた。参りました大英帝国。 

晩飯はMが好きな英国高級スーパーマークス&スペンサーのデリで買ってきたチキン。外食は高いので、この旅はずっと自炊している。テイクアウトの味はカナダと同じ。外でうまいものが食える国でもないので、満足である。

イギリスにいると聴こえてくる英語が全部ブリティッシュ英語なんで、やっぱり耳に心地いい。もう2週間いるので俺もブリティッシュ発音になってるような気がしているが、気のせいだろう。しかしカナダから見れば外国なのに俺の言葉もちゃんと通じていてうれしい。英語話せてよかったなと思う🙂

■6月7日           V&A2日め:陶磁器3万点の森


V&Aに隣接する自然博物館をさくっと回る。ここは子供向け教育施設でクジラの骨と建物以外見るものはなく、やはりV&Aに戻り、有名なレストランで食事をし、V&A day2・見逃し編を挙行しようとなった。

昨日見落とした「イングランド」部門には膨大な量の貴族の調度品や宝物があった。王族の部屋になど俺は興味を感じないが、Mはじっくりと時間をかけ見ていた。バース同様英国文学好きには面白いのかもしれない。

3階以降はあまり客もおらず、展示テーマも本当にMISC(雑多)となっている。ウォークマンなどが飾られたモダン工業品のフロアもあった。日本趣味が流行した時期の絵画だとか。建物も宮殿づくりだよねこれは。

俺のカメラロールの西武ポスターの次には、階の彫像の回廊に飾られていないのか不思議なほど見事な大理石の彫像が写っていた。電話の歴史みたいな展示もある。このカメラロールのランダムさが、カオスなV&Aの上層階エクスペリエンスを現している。


そして最後の4階最深部まで極めるともうそこはお客がまったくおらず、無限に続く陶磁器コレクションが眠っていた。


なんという埋蔵量。4ホールほどにわたり置かれたキャビネットに、無数の陶磁器が収められている。「世界最大規模かつ最も包括的な陶磁器コレクション。世界のあらゆる時代・地域の陶磁器約7万点以上を収蔵し、3万点展示(GEMINI)」だそう。すごい。スペクタキュラーな芸術品は昨日見た1階に集まっていたが、重箱の奥の奥にもこんな宝が詰まっていたかという感じである。V&Aの展示品6万のおよそ半分が、このフロアにあるのだ。 pic.x.com/OEdWuQS9QR 

 

王室だけでなく富裕層がこぞって集めた世界中の陶器がここに寄贈され、英国の製陶業の手本となる王立コレクションとして公開したのだそうだ。らく焼きの名品やそれに影響されたモダンらく焼き、現代陶器アートも面白かった。 pic.x.com/wLOwJ0XHmd

V&Aはもともと “Museum of Manufactures(製造博物館)” として始まり、「英国の産業とデザインのレベルを上げること」を目的とした、職人・デザイナー・労働者が学ぶための博物館だったんだそうだ。1階は古い宝物を集めた大衆向けの博物館だが、「中世鋳鉄製の門コレクション」などどこに需要があるのかよく分からぬMISCなものが上層階に無限にあるのは、そういうわけだったのである。門扉職人が見に来て学ぶという。


 ◇    ◇    ◇

【帰宿】さすがにV&Aは見尽くしたなと早めに切り上げ、スーパーで買い出しして帰宿。イギリスはコーヒーすら4ポンド=800円と高くて出先で飲めないので、宿に帰ると自分で淹れてガブガブ飲んでいる。ミルクはどこへ行ってもかわいいユニオンジャック印を買う。

イギリスは水道水がマズイ。田舎の親戚の一軒家でもそう思ったが、ロンドンのホテルだと水にカルシウム分が強くかなりヒドイ。コーヒーならまあ飲めるが、水は飲む気がしない。欧州でドリンクウォーターが売れるのも分かる。たまにはうまい水を飲みたいという気持ちになる。うちも買った。

イギリスのコンセントは230Vと電圧が日米の倍なので、ヤカンのお湯が体感2分くらいで瞬時に沸き、すぐにコーヒーが飲める。電圧が高いのでコンセントプラグは3本目の脚が安全ピンとなる超イカツイ形状となっており、カナダから持ってきたラップトップやUSBを使うには巨大なアダプターが必要となる。

これは戦後復興でできた仕様だそうで、調べているうちにイギリスもそんなに爆撃されたの? と疑問が湧きGEMINIに尋ねると、1940〜41年の数ヶ月にわたる空襲Blitzでロンドンの1/3、100万棟以上が損壊したのだという。そうだったのか。日本人は「我が国は灰燼の中から立ち上がった」ナラティブが強すぎるので、戦勝国イギリスも爆撃されていたなんて知らないよね。

そこまで爆撃されたロンドンになんで古い建物が残っているのとさらに問いを重ねると、石造りの住居は爆風や火災で内部が壊滅しても、外壁構造は残るのだそうだ。だから外観は残し、内部と壊れた部分だけを作り直せるのだという。なるほど…。旅をするといろいろ疑問が湧き、今はAIパイセンがなんでもすかさず教えてくれる。旅とAI学習は楽しい。◆