2018/08/11

2018年日本旅行記②夢のような琉球誕生日


「夢のような琉球誕生日」「座間味はパラダイス度減少」「嵐の那覇市」「沖縄の博物館」

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■18/07/07(土) □ 夢のような琉球誕生日
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皆さん誕生祝いをありがとうございます。私は沖縄の古民家の座敷に上げてもらい、泡盛を(連れの義兄 AD が)いただきつつ琉球のおばちゃんと談笑していると、いつの間にか村の広場で島唄が静かに始まり、やがてエイサーもやってくる…という夢のような誕生日を過ごしました。いやー、よかった。最高。観光施設、琉球村 in 恩納村。

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琉球村はそれほど有名な施設でもなく、ホテルから近いので気軽に訪れたのだが、行ってよかった。

まず入り口フードコートのステージで三線を持った兄ちゃんが、琉球語でビギン「恋しくて」をいい声で歌っていた。三線でブルーズスケールを弾いて。もうそれだけで俺は感動してうおーと声を上げると、彼はニヤリと笑うんですよ。ちょっとお前! カッコいいなお前!


「恋しくて」が終わると彼は弾き方と歌を三線島唄スタイルに変えてエイヤヤと唄い、エイサーの太鼓踊り子たちが入ってくるというステージング。ちょっとユーたち! カッコいいなユーたち! ブルースマンは島唄もめっちゃうまい。音楽わかってるわけですわ。ユーたち so good と我らカナダ観光客大喜びでした。

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 このウェルカム琉球ブルーズを楽しんでから、施設構内の古民家群へと進む。それぞれの古民家では機織りなどの実演が行われている。お金を払うとお客も物づくり体験ができる。その体験民家の中に冒頭の、泡盛3種味見 200 円という家があったのだ。



呑むのはこのオリオンビール手ぬぐいの AD だけなんですが、みんな座敷に上がっていいですか? イイヨイイヨどうぞどうぞと一行6人全員上げてもらい、真夏の沖縄民家の日をゆっくりと味わったわけです。



この世話好き沖縄おばちゃんの話に耳を傾け、連れのギター少年 EJ は三線も教わり、蚊取り線香の炊かれた古民家のオープンな軒先から広場の島唄を楽しむなんて。これほどのヘブンがお金で買えますかと俺は思った。買えるんです、ここは観光施設だから。ありがたい。マジ最高だった。

泡盛と沖縄民家の夏の日をゆっくりと味わったあと、おみやげセンターでシーサーの焼き物などを買い、島唄ホールへ。


大人数ゆえ行きたいところに即移動できず、ホールに着くとすでに島唄演目は半分終わってる感じだったのだが、リクエストして「ハイサイおじさん」をやってもらった。みなで「ハイサイおじさん(ハーイ)」と声を合わせる。「島んちゅうの宝」ではイーヤーササ! と会場がシャウトする。いやー最高。こういうのを昨夜のホテル島唄で期待してたわけよと、俺はご機嫌で皆に説明したのだった。

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いやーよかった。帰り道俺は、「ミュージシャンと踊り手たちと沖縄古民家と沖縄おばちゃんが全部リアルでさ、最高だよね」とカナダ旅団に熱弁していた。彼らは観光施設の職員だけども、本当のミュージシャンであり、本当の世話好きおばちゃんなのである。そういう人たちと触れ合うという前回の沖縄旅行で果たせなかったカルチャー体験ができて、ほんとよかった。

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 昼飯をスーパー買い出しで済ませMたちを真栄田岬ブルーケイブのダイビングに送り出し、俺はこの旅でようやく初めての単独オフ。ホテルの展望風呂に入ろうかと思ったら閉まっていた。ありゃ。まあ写真でも整理するか。

 琉球古民家村やリゾートホテルなどという浮世の外にいるので、毎日夜になってから洪水や地震やワールドカップのニュースを見て驚いている。台風がこちらへ迫っているのも天気図で実感中。うーむ。



帰ってきたMたちにブルーケーブはどうだったかと聞くと、「混んでた!」という答え。あーそうなの(笑)。海からしかアクセスできない青の洞窟自体は写真の通りよいスポットなのだが、とにかく同様の観光客で混んでいて、順番を待って写真撮影スポットに入り写真を撮るみたいな段取りとなっているらしい。なるほどねえ。

晩飯は今日もホテル内のレストラン、今日は洋食。初日の和食、翌日の焼き肉に続き、ここも味はそこそこだった。Mが憧れたこのリゾートホテルを公平に評価すると、施設と朝食バイキングは素晴らしいが夜のレストランが…というところで、星7つ半くらいかなあ。

ホテル最後の夜なのでおみやげショッピング。ADは地元のオリオンビールとそのロゴが気に入り、オリオンビール手ぬぐいを購入しずっと身につけているのだが、萌はそのTシャツを購入。このシャツが野球チームのユニフォームみたいで非常にカッコいい :-) これはいい思い出になりそう。


このホテルでの沖縄本島滞在はここまで。明日は座間味へ。前回の沖縄本島5日間の思い出は水族館とうるまドライブだけだったのだが、今年は短いながらも文化的なところを楽しめている。うれしい。

中国かららしき若い宿泊者のグループが夜、ビーチで超笑って盛り上がっていた。萌は窓を開けてそれを聞き、「いいなあ、いいよね」という。

ああ…そうだね。家族旅行で充実した観光をしていても、ああいう修学旅行みたいな破竹の盛り上がりは萌にやってこないもんな。家族旅行が充実していても、満たされないヤングハートはあるよな。わかるよ。

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■18/07/08(日) □ 座間味はパラダイス度減少
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 レンタカーのガス補給と那覇のフェリー港での返却などスケジュール通りにうまくいき、予定通りに座間味に到着。

 座間味は3年前に比べるとパラダイス度が下がっていた。世界中から私らツーリストを惹き付けている古座間味ビーチのサンゴ礁の大半がロープ(写真右)で立入禁止になっている。ロープ際の一部だけでも美しさの片鱗は伺えたが、片鱗は片鱗なのでがっくりであった。



 まあそれでも夢のようにすばらしいビーチなのではあるが。




俺と SH 姉がビーチで休んでいると、オリオンビールのロゴマークが海中をズズズズーと一直線にこちらに向かってくる。「SH 見て! あれはなんだ! あれはオリオンマンだ!」と俺が指差すと、オリオンの妻 SH は大笑いしていた。いやーオリオンビールマン AD かっこいい(笑)。てぬぐい巻いてないと、頭が日に焼けて痛いのだそう。



 台風の影響でフェリーが欠航の恐れも出てきた。そうなればしょぼい宿に閉じ込められる可能性すらある。まあ考えてもどうにもならない。晩飯前にオリオンビールガール萌と写真散歩。こんな小さな島なのに、大きな小中学校があるのがなんだかかわいらしい。

晩飯はホテル横の小さなレストラン。食べ物はうまかったがタバコの煙がきつかった。それと若いウェイトレスの客に対する態度が妙に堅い。これはホテルのレストランでも感じた。沖縄の若い人たちの愛想というか客あたりは、日本本土とは微妙に違うコードで構成されているという気がする。

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■18/07/09(月) □ 嵐の那覇市
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 朝食中に WiFi と村内放送で、午後のフェリー欠航と知らせが入る。青ざめる思いだったが、宿のおじさんが「チケット売り場に朝並べば、午後一番の代替便に乗れます。だって乗れなきゃお客さんは困るでしょ」という。急いで並ぶと無事取れた。やはりよくあることであり、地元民は承知しているのだ。



 みなで島を一周散歩し(ゆっくり歩いて30分)、あとは便の時間まで観光協会の待合室でみやげ物を買ったりして過ごす。まだ気持ちよい夏風が吹いている程度なんだけど、離島への旅は台風リスクが高い。那覇には帰れるが、明日の那覇→羽田の飛行機もギリギリらしい。



 フェリーに乗って3時、那覇国際通りのホテルオーシャン着、最高にいいホテルに当たった。ロビーでフリーのコーヒーと近くのコンビニで買ってきたおにぎりを食べ、部屋でチリング・イット(リラックスする)。たとえ明日羽田行きの飛行機がキャンセルになっても、この部屋にいられたらあまり文句ないな (しかし東京で取ってあるホテルの料金は…どうなるのだろうアワワワワ)



有名な牧志の市場とアーケード街を歩くと、さびれた屋根と鉄骨にブレードランナー感があると萌が喜ぶ。たしかに。こういうモールって面白いよね。



TV でよく見る三線専門店を見つけ、おじさんにあれこれ弾いてもらう。指三本でタララッと弾くカスタネットみたいなものもあって、このカッコいい奏法を教えてもらい、俺も彼の三線と一緒にハハハと笑いながら演奏した。

いやーありがとうございますと、演奏のお礼にみんなで沖縄言葉入りギターピックを1枚ずつ購入。



暖かな風がびゅーびゅー吹いている。これはたしかに台風がやってきている。うーむ。

22 時半、飛行機がキャンセルと連絡。くーっ。代替フライトは夜の8時。つまり遅すぎて東京初日の観光ができなくなる。がっくし。しかし今のところそれを取るしかない。つまり明日は那覇でもう一日すごす算段をつけなければならない。

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■18/07/10(火) □ 沖縄の博物館
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ホテルオーシャンの朝飯はこれまで食べた中で最も味付けが和風な沖縄料理が中心のバフェで、めちゃくちゃ美味かった。俺がこれまで泊まったホテルで最も食べ物の種類が多くバラエティに富み、どれもこれもうまかった。沖縄のホテルで第2位と謳っているが本当だろう。いいホテルです。

カナダ人おじさんADはリゾートホテルでは2回お代わりしてたが、ここでは3回お代わりしてました。中国人観光客の多いリゾートホテルは中国人に好まれる沖縄風の味付けで、日本人が多い那覇のホテルは和風になっているのかもしれない。



 JAL が天候についての詳細を自社連絡物に書かないので NHK で台風図を見るまでわからなかったが、今現在から昼前が那覇に最接近する時間帯で、あとは風が弱まる模様。4時からは全便飛ぶようである。安心してもう一日那覇を楽しもう。

ホテルの TV に映る西日本の水害映像にはうちのカナダ人家族も驚いていて、「この未曾有の大雨のあいだ安倍ガバメントは宴会してたそうです」と俺が伝えると、「それを国民は知ってるの!?」と驚愕していた。TV で伝えてないから多分ノー。安倍政権のこういう無責任というか国と国民に対する無関心な体質が、ネットでしか報じられないのが問題なのだ。



 昨日フライトキャンセル問題等でゆっくり歩けなかった牧志のアーケード街をもう一度ゆっくりと歩く。やはり楽しいよな。



Mが前から俺に買え買えといっていた三線をついに買った。自分用に買った。安物だが、土産物屋にあるショートスケールとは違う本式のものをと昨夜のあの専門店で買ったので、ちゃんと沖縄らしい音がする。この大きなケースをかついで飛行機に乗るのかと心配するが、軽いし大丈夫よと旅慣れた彼女はいう。

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そしてSHたちと別れ、俺たちはあの要塞型の沖縄県立博物館へ。外見はすごいが中身は普通の博物館で、今は常設展示ものだけでたいした展示はなかった。なんと明日から水木しげるフェアだったという。惜しい!

 実際首里城でも思ったが、琉球王らは日本史に名が残っているわけではないので、肖像画等を見ても感慨は湧いてこない。その前の前史時代や石器時代など世界中のどの博物館でも大差ないわけで、わざわざ沖縄で広大なスペースを使い展示をしてもなあと思う。



 しかし戦中戦後の人々や町の写真にはやっぱり心を揺さぶられるわけである。彼らは日本人であり、現代に完全につながっている人たちなので。



そこにフォーカスせず、古代から中世がメインの現状の展示は意味が薄い。沖縄県立博物館は中世までの展示を大幅に削り、近代現代沖縄の展示に力を入れるべきだろう。基地問題の事実もできるだけ客観的に展示して、内外の訪問者に考えてもらえばいいではないか。米軍からだって資料はもらえるのではないだろうか。



高校野球の部屋があってM萌がどうしてと不思議がるので、戦後日本に復帰した沖縄が送り出した高校野球部が強くて、日本も沖縄にも感動的でエポックメイキングな出来事だったのだと説明した。この博物館のほかの展示に萌は完全に退屈していたが、俺のこの話を聞いたときだけは「わあ。それは、いいね!」と目を輝かせた。伝えてほしいのはそういうことなんですよ沖縄県立博物館! 沖縄と日本というね。

あのときの沖縄本土復帰フィーバー的なものを私は覚えているよ。沖縄から次々にポップスターが登場することもよかったなあと思っている。だけど基地と人権問題がこれほどエンドレスに続くとは、誰も思わなかったよね。

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 6時に空港へ移動、タクシーの運転手と県立博物館の高校野球展示の話で盛り上がる。8時5分定刻通り出発。さよなら沖縄。まだ風は強く離陸時は左右のブレがすごかったが、巨大な 777 なのでいったん雲の上に出てしまうとすごい安定性である。

うわ。JAL機は空の上からネットにつながるのか! すごい。空の上なう。鹿児島沖あたりを通過中なう。しかし電源つながずラップトップでネットをすると、バッテリー食うなう。

羽田から乗ったモノレール終点浜松町の駅が昭和的迷宮になっていて、出口がわからない。東京タワー側に出たいので方角でいえば西口なのだが、中央口、北口、南口しかない。しかも出口に何があるのかという案内が一切書いてない。仕方ないのでとにかく選んで向かった出口はシャッターが降りた狭く暗い店舗街になっており、これは違うだろうトモと皆に言われる。大荷物を持ち疲労困憊の6人を率いる俺はまことに焦ったのである。

そしてやっと出た地上で捕まえたタクシードライバーが、荷物の積み込みも手伝わず運転席に座ったままで最初から喧嘩腰。眠い頭で俺は、これは筒井康隆の世界に来てしまったと思った。俺がうかつになにかをこいつに言えば、凄惨な「乗越駅の刑罰」に突入する。間違いない。

タクシー車内全員押し黙って、乱暴な運転でホテル着。荷物を自力で降ろしタクシーが走り去ると奥様が、「なんなのあのドライバー!」と大声を出す。「ね。まあケンカにならずによかった。寝よう。もう寝よう」。ケンカしたくて網を張ってる蜘蛛のようなタクシードライバーであった。東京は恐ろしい(笑)。

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