『この世界の片隅に』をやっと見た。何も知らずにいようと決めこれまで情報を入れずにきたので、「火垂るの墓」の呉・広島版的な映画なのかと安直に思っていたのだが、ぜんぜん違った。見終わると即二度目を見始める。何回も何回も見たい。すずさんの素敵な絵は、きっと本当にあったのだろう。
戦前のバンクーバー日本移民の日記を読んだことがある。日系収容所に送られた激動の世代の人の手記なので期待したが、「醤油がなくなった。隣の○○さんだと思う。親切にしてるのにひどい」みたいな非劇的な些事が延々と書かれていて、拍子抜けした。
だけど今になって思う。この世界の太平洋のこっち側の片隅にいた女性は、すずのような絵を描けず、字もカタカナでしか書けず、伝える力や表現力はなかった。だけどきっとすずのように楽しいこともあって、笑って暮らしていたんだろうと。世界のそういうすべての片隅に、光が射していくような映画でした。
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