2018/08/16

2018年日本旅行記③ジブリ美術館に足りないもの

『ハリネズミカフェ/ジブリ美術館に足りないもの/東京の観光実力』
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■18/07/11(水) X  ハリネズミカフェ
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【東京初日】今日は子供らが行きたがっていた原宿と渋谷へ。外国人日本ツーリストの間で評判のハリネズミカフェに行きましたよ。30 分 1400 円ドリンク付きで、寝ているハリネズミをちょっとすまんが遊んでおくれと起こして手のひらに載せるわけ。はは。


カウンターで寿司食ってるみたいな図ですが、握ってるのはハリネズミ。はは。これでハリネズミの数が少なければかわいそうだが、客(全員外国人・笑)よりハリーたちが寝てるケージのほうが多いので個々はローテーションを取ってたっぷり寝ており、問題なさそう。



起きて活動してるやつは超かわいい。目が覚めて元気なやつに餌をやると、ジャンプしそうな勢いで食べてくれる。かわいい。針の生えたハムスターですわ。



 明治神宮は初めて行ったが、とにかく森がすごかった。



こんな古代の森が戦争を経てよく残ったものだと思ったが、自然の森ではなく大正期の学者やデザインして植樹し職人が世話をし育てた人工森なのだそうだ。デザインセンスすごいなあ職人たち。リスペクト。




最後にこれが日本を代表するティーンカルチャーストリートだよと、竹下通りを案内する。ここでバンド衣装とか探したよ。ここはいつの時代もタガが外れており、見て歩いて面白い。



 渋谷へ移動し、駅前交差点で子供らの写真を撮ったあと駅ビルで寿司。安かったがうまかった。回転してない寿司はやっぱりバランスよくおいしい魚を仕入れられてうまいのかも。


Mたちが食後のデザートを食べてるあいだ、俺は食べ物好きの AD を東急東横デパ地下に連れていき、1時間以上ゆっくりと全フロアを見て回った。いやーデパ地下の食べ物はどれもこれもうまそうで、見ているだけで楽しい。レストランに入る代わりにこういうものを毎食数品ずつ買って食べられたら最高なんだけど、デパ地下には買い食いする場所がないんだよなー。大きなデパート真横のホテルとかに泊まれたら、食べ物的には超幸せな滞在となるんではないだろうか。

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 ホテルに帰着後、一人で東京を歩いてみたいと萌が夕暮れの浜松町をブラつく。俺はあとから出ていって Google チャットで話しかけ萌を捕まえ、一緒に東京タワーを見に行った。



あの辺の都心部は初めて行ったが、周りの建物がみなとんでもなく巨大ですごい。宗教利権の絡んでそうな建物がやたらと多い。それと Mori と書かれたビルね。「Mori って書いてあるから、あれは日本のお金持ちが持ってる、まあトランプタワーみたいなものだよ。すごいねえ」と的確な解説を瞬時に萌にする。



そして東京タワーに近づくに連れ、すごい! すごい! トーキョーすげえなトーキョータワー! と声がデカくなっていく、恥ずかしい田舎者でオノボリさんな私たち。



想像以上に東京タワーはすごかった。いやーすごい。俺が住んでた多摩地区は、ぜんぜんこういうトーキョーじゃなかったよ萌! これは他のメンバーも明日かあさって連れてこなければね。そのときにみんなで登ってみよう。

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 AD もホテルの周りを歩いたようで、ベーカリーを見つけてうまいパンを大量に買い込んで分けてくれた。都会の便利なところにあるホテルなのでそういうものには事欠かないようである。

AD の息子 EJ 14 歳  は一般的なカナダ少年なので外国の文化や食べ物にあまり関心がないのだが(旅行という家族行事にノリノリになることが恥ずかしい年頃でもあるんだろう)、ベビーメタルが好きだそうで CD を買っていた。そして「ホワイ日本のフードはなんでもこんなにうまいのか」と疑問を口にしている。まったくなんでもうまいよね。

日本の食べ物は安くてうまくてありがたいが、調理に手間暇かけてるだろうに給料は安いんだろうなあと申し訳ないくらいである。ワインに詳しい AD は「高級輸入ワインでさえも、同じものをカナダで買うよりはるかに安い」と言っていた。こんなにおいしいものを作るえらい国民の経済が、どうしてうまくいかんのかのうと気の毒になる。

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■18/07/12(木) X  ジブリ美術館に足りないもの
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【東京2日め】吉祥寺ジブリ美術館へ移動中。ホテルのある浜松町はダウンタウン側なので、山の手側への移動は時間がかかる。



 俺と弟が長年住んだ、夢に見るほどなつかしい井の頭。なのだが、暑さとヤブ蚊の不安とジブリ美術館へ逸る気持ちで M 萌がどんどん進んでしまうので、感慨を味わう間もなく進んでしまう。俺は青春のセンチメンタリズムにうわーとなってるのだが、この公園を舞台にした Netflix「火花」を見せておいてもなお家族には伝わってなかったというか。ちょ、ちょっと待ってくれ。一応弟と住んでたアパートの写真だけは撮る。

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3年前はチケットが取れず入れなかった、念願のジブリ美術館。かなりワクワクする入り口の作り。

入ってすぐの部屋にある、動画の元祖とされるトトロの立体ゾートロープがすばらしかった。少しずつポーズの違う人形が、フラッシュライトを浴びると動いて見えるという仕掛け。これはネコバスたちが見事に動いている。他で見たことがない視覚的な面白さ。

このゾートロープを端緒として、アニメがどう発達し、どう作られるのかという資料が豊富に展示されていたが、しかしそういうものはナレーションのついた TV 番組のほうがうまく伝わりそうだなと思った。展示物は説明文にどれだけ目を通すかで理解度と面白さがぜんぜん違ってしまうが、ひとつのものを1分弱眺めて移動するこういう場所ではそこまで説明的にはできないし、されても読めない。絵コンテの現物があるとおーっと見入ってしまうが、日本語を読めない人には鉛筆文字で書き込まれた指示のおもしろさもわかりにくい。


「宮崎監督がイメージする夢の仕事場」っぽい展示もある。素敵でかわいいが、赤毛のアン博物館の「アンの部屋」と同じで、ここに実際宮崎監督がいたわけじゃないしなという非実在感がある。そういうものを見せられてもな。

この美術館に俺が期待してたのは、千と千尋の湯屋やハウルの城に感じた宮崎造形のワンダー(わくわく感)で、アニメの魔法は実写ではなかなか再現できないように、実際の建物からそういうものをあまり感じられなかった。中庭を見下ろす外観とかはよくできてると思うし、渡し廊下やまわり階段で構造的なカラクリ感を与えようという意図はわかるが、およそのフロア構造がわかると俺たちの興奮は鎮まっていった。

宮崎監督が作るからには…という期待感はあったのだが、まあ建物のサイズ、基礎構造からして普通すぎるのかもしれない。ロンドンの博物館には←こういうすごい恐竜骨格展示室があると昔萌が写真を撮って送ってくれたのだが、規格外の古いありものを活かしたこういう建物の迫力には太刀打ちできない。

しかしジブリの魅力は宮崎監督の絵の力なので、建物でそれを表現できずとも、もっと宮崎駿の絵をグイグイと力強くふんだんに見せてほしかった。



宮崎監督自筆イラスト的なものはあったがこの場で見たいのはそういう展示作品ではなくて、たとえば数枚だけ見かけたこういう吹き出しポップ的なものの巨大なやつを館内ところ狭しと飾ってくれたら、遊び場としてオオ! と気持ちが上がったろうなと思うのだ。いいなと思ったから禁じられてる館内写真をこそっと撮ったのだ。

あるいはたとえばうちが昔行ったディズニー・アニマルキングダムのアフリカレストランの天井飾り(←)のように、ネコバスの布製巨大バナー(つまりコイノボリ)をつくり吹き抜けのホールいっぱいに渡すとか。そういうポップで躍動的な美がほしかった。お金かけなくたってアイデアとデザインでジブリの力をもっと見せられるだろう。

宮崎監督の趣味で派手なものは作れないのかもしれないが、それにしてもエンタメ施設として目に飛び込んでくる興奮が足りない美術館であった。ジブリ美術館というよりアニメ資料館といった趣があった。おみやげストアが一番客が多く盛り上がってたもんね。うちの M 萌もあそこで一番ハイになっていたよ。

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しかしあのポップ絵の蜂とカマキリが出てくる宮崎駿の最新短編「毛虫のボロ」は予想以上によかった。英語字幕がないとうちの家族は楽しめないのではないかと心配したのだが、出てるのは毛虫なので言語なし。生まれたばかりの毛虫に世界はどう見えるかという哲学性を具現化した映像で意味不明な箇所もあるのだが、ボロ自身にも世界がまだわからないからそうなのだということが伝わってくる。絵と鳴き声だけでどの国の人たちにも完璧にボロのおかしみが伝わっていた。久々にジブリで笑ったなあ。パンフレット買いました。



 最後に屋上まで登り、ロボット兵と対面する。楽しみにしていた各映画由来のメニューがあるというレストランは、1時間以上屋外テント下に座って待たねばならないのでパス。



入り口からは見えないこのロボット兵が、出口からは少し見えるようになっていた。気づいた奥様が Oh, 見て! いいわねと声を上げた。この角度と見え方に「孤独なロボット兵を置いてラピュタを去っていく私たち」というラピュタ・フィーリングが生まれ、俺もこの瞬間一番胸がときめいた。こういう Oh! という気持ちをもっと増やせるよう、ジブリは頑張ってください。



 帰りに新宿で降りて萌にネオン街を見せる。夜の新宿は絵になる。今日別行動だった AD たちは築地と秋葉原という外国人コースを回って、無事楽しんでくれたとのこと。EJ が秋葉原でお目当てのベビーメタル CD 日本版を購入して喜んでたらしい。

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■18/07/13(金) X  東京の観光実力
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 長野へ移動する前の時間を使い皆で東京タワーへ行くことにする。こないだ夕方ゆっくり歩くにはいい距離だったのだが、昼間は殺人的な日射だ。しかも地図を見て境内の日陰を通っていけるだろうと俺が見当をつけた増上寺が日陰などまるでない殺風景な寺で、とても参拝する気はせずスキップして日陰の道へと回る。



 しかし東京タワーの料金には驚いた。第一展望台 900 円というのは妥当だと思うが、第二展望台 2800 円て! 高いところに行くだけでそんな金とんのかと俺は呆れ、AD と子供らだけ上に行かせ、大人は第一展望台のみとしておいた。たとえば清水寺に行くのに、入園料は 900 円だが清水の舞台に行くには 2800 円とかそういうボッタクリはせんだろう。なんなんだこの観光客の足元見た商売。


 実際上がってみてもまあ見晴らしいいねくらいなもんで、驚くような景色があるわけでもない。しかも東側は工事中で海や隅田川のほうが見れなくなっているのでなおさら景色は楽しめない。写真を5枚くらい撮ったらもうそれで満足という感じだった。2800 円の上組はどう感じるのだろうかと思う。

 降りてきた萌に聞くと、「まあ景色はよかったけど、(修学旅行で行った)エッフェル塔は高いところからパリの美しい町並みを見れるのに東京はただビルだけなので、どうということはない」とのこと。だよね。外国人観光客の方が多い施設で、これで 2800 円はひどいよ。しかもフードコートで食べた高価なラーメンもまずかった。東京タワーはおとといの俺たちみたいに、夕方下から眺めるのがベストだと言わざるを得ない。

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 観光していて俺は、外国人が押し寄せているとはいえ観光地としての東京の実力は案外低いのではないかと感じる。住んでいたらイベントが多く楽しい街だと思うが、通り過ぎる観光客にとってはどこへ行っても何を見ればいいのかよくわからんのではないだろうか。

 渋谷に行ってもあの交差点を歩く以外は何も外国人がすべきことはないだろうし、秋葉原もアニメオタク以外は行っても何をすればいいかわからんはずである(俺はそうだった)。アニメグッズや東京タワーの展望台など、観光客の足元を見るプライスは高い。

名所の魅力は上げることはできないが、駅の英語案内板くらいはもう少しわかりやすくできるだろう。かつて東京に住んでた日本人の俺でさえ、「見たい場所は Chuo Exit(中央口)にある」みたいな前知識がないと駅から出られないわけ。【↑Tokyo Tower】みたいな一目瞭然の名所サインを統一的に作ってほしい。外国人ツーリストにとっては出口の日本語名なんかどうでもいいわけですよ。

JR 新幹線の切符システムも不便で、自動販売機では海外発行のクレジットカードが使えない。さらに新幹線や名鉄空港線のあの2枚切符システムも旅行者は毎度混乱させられる。1枚だけではいずれにせよ乗ることができないトレインなのだから、乗車券と特急券を別にする意味がない。なのに2枚を携行し、自動改札は2枚同時に挿入するという非直観的なユーザーインターフェースなので、外国ツーリストは全員そこでまごつくわけである。

 ともあれこれで東京観光は終わり。ホテルに戻り、荷物をまとめて東京駅へ移動。長野まで数時間の旅。

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沖縄から東京の長い旅が終わり、ついに故郷の信州へ。叔母さんが車で長野駅まで迎えに来てくれたのだが、帰り道を盛大に間違えて、いつまで経っても家に着かない(笑)。しかし文句ないです叔母さん、
この景色! 長野は美しい、泣ける。
そして夏ナスうまい。写真も撮れないくらいうまい。泣ける。

うますぎる信州夏の普通ごはん(ナス、きゅうり、トマトともろこし)をいただくと俺は、この3年間やりたくてもできなかった母の WiFi 環境改善に取り掛かった。ホコリをかぶったルーターがこんがらがって熱をこもらせている。ワイヤーを解きほぐし位置を変えてやるだけでスピード格段にアップ。親孝行! よーしこれから皿とコップも洗っちゃうおう!

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