2023/01/11

【まとめ22年12月後半】楽しみがたき紅白

「凍てつく里」「あまりにも劇的なW杯決勝」「ひと晩で驚きのドカ雪」「荒井由実の50年」「公共サービスのありがたさ」「停電のクリスマス」「日加クリスマスの思い出」「ビートルズを所有してしまった」「新しい戦前」



■12月16日                  凍てつく里

カリカリに冷えた朝、グリーンゴミの葉っぱが凍ってしまい、回収トラックのロボットアームがガンガン振っても中身が出なかった。ああゴメンすいません。急いでシャベルで中身をほぐし、通りの向かい側にもう一度出す。前回もこれで二度回収してもらったんだよな、ホントすいません。 

アラスカからカナダ上空に寒気が入ってきてるとかで、寒い日が続いている。冬タイヤのインストールを予約していて、来週はもうクリスマスなのだと気がつきびっくりした。早いなあ。プレゼントとかまだ全然間に合ってないわ。

冬は夜のうちに車のフロントをシャワーカーテンで覆っている。フロントは広大で角度が寝てるせいか、凍るとコチコチに堅くなり超大変なのだ。サイドとリアはスクレーパーでガリガリ簡単に落とせるのだが。

出かけると霧も出ていて、これはいつもと違う公園の風景が見れるかもとちょっと寄ってみると、池がきれいに凍結していた。静かだ。こんなときカモたちはどこにいるのだろう。

■12月19日                      あまりにも劇的なW杯決勝

【ワールドカップ決勝:アルゼンチン・フランス】ディ・マリア出られずドイツに負けた8年前決勝のイメージが強いので、舞い踊る美しいゴール後のディ・マリアの感極まった顔にはこちらも泣けてきた。結果はまだわからないが、またもや記憶に残る劇的な決勝だなあ。

あまりの予想外な試合展開に、「フットボールとはなんという非論理的なゲームなのでしょう」と叫んでいた英アナが(同感w)、120分が終わったところで「What a game. Thank you. Thank you」とつぶやいた。なんというゲームなのでしょう。

そして試合後英アナは「one of the best games EVER played!」と感極まり、カナダ解説は「これ以上の試合は、あなたが生きてる間は見られないでしょう悪いけど!」と言葉を極めていた。すごい試合は数あれど、あまりの劇的展開とその価値に、映画かと思う歴史的試合でした。

すごい試合が劇的に終わり、「じゃ、初詣に行きますか。的なムードになっている。」とえのきどいちろうさんがつぶやく。いやー、カナダも決勝の今日大雪となってそういう感じです。初詣の3人連れが道を歩いてる。よいお年越しワールドカップでした :-) twitter.com/ichiroenokido/ 

ワールドカップと雪だなんて、季節が真逆な感じも記憶に残るだろうな。雪かきせねば。しかしすごい試合だった。英語アナが「なんという試合でしょう、サンキュー、サンキュー!」と双方に感謝を述べるほどの劇的な熱闘であった。 




■12月19日                      鎌倉殿最終回

#鎌倉殿の13人 いつも真実を伏せ鎌倉ダークネスから遠ざけてきた姉上のことを、小四郎は本当に好きだったんだなと思う最期だった。その弟の暴走を最後に一つだけ止めた姉上も同じく、おなごのキノコ好きを信じていたあの頃から最後まで愛し続けたのだった。姉上のあふれる熱い涙。ご苦労さまでした。最期は目から光が消えていくのが見えるようだったよ、小四郎。 

本当に面白い大河ドラマだった。終盤は主役にシンパシーを抱けないように描きながら、最後は壮絶でありつつ美しくて。先週少しだけ写った「誰の頼み事も断れない人の良い小四郎」や「おなごはキノコ好きを信じる小四郎」の記憶が、ラストシーンの姉上と小四郎の身体に重なっていた。


■12月20日                       雪のあとの来客

雪が止むと鳥たちが現れ、丸一日何も食べてないよという勢いで餌を探す。どういうわけか道路の雪上に食べ物が散っていたようで、小鳥たちがずっとついばんでいた。 pic.twitter.com/ggu7UMBbu7

うちのメープルは近隣でも目立つ大きな広葉樹で、葉っぱが落ちると止まりやすいらしく鳥たちがたくさんやってくる。今日何羽も集まっていた赤くふくらみクチバシが長い来客はツグミの一種らしい。かわいいなあ。バードフィーダーやバードハウスを置いて招待したいよねと奥様と話している。クリスマスに買おう。 


■12月21日                         ひと晩で驚きのドカ雪

ひと晩で大変な積雪になっていた。カーテンを開けたら積雪で向こうが見えないので目を疑った。信じられん。昨夜は5cmほどだったのに、40cmは超えている。 


庭のビニールハウスが潰れてしまった。ここまで降ると予測してたらシートの張りを直しておいたのだが、油断してた。いやはや。フレームがいってなければ直せるけどなあ。

うちの町のバイパス交差点で、バスが動けなくなって交差点をふさいでいるそうだ。いやホント新潟とかに比べたら…なのだが、これは交通マヒですよね。道行く車は4駆のトラックだけだ。学校がもうクリスマス休暇に入っていてよかった。 

■12月21日                     立山黒部の雪の壁

奥様がさっそく雪かきをはじめる。遅れて出ていくと、うちの前に立山黒部の雪の壁みたいのができていた。こりゃ40cmくらいあるな。車の屋根の雪がたまったところはさらにうず高く、ドアも開けられない。今日は車を出すのは当然無理だが、とりあえず除雪作業用の足場を広げていくという感じ。 

明日以降必要ならば車を出せるよう、2時間近く雪を掘って家から通りまでの動線を確保した。ソリを曳いてもらう子供や、雪で喜び飛び跳ねてるイヌがいる。雪が楽しい年頃はいいな :-)


■12月21日                         荒井由実の50年

【松任谷由実~私と荒井由実の50年】ユーミンのバックでアメリカの有名ベーシストが弾いてたとは知らなかった。少し流れたこの映像の演奏がすばらしい。演奏も歌も絶品だしユーミンきれい! やっぱり日本ポップスのミューズだったよね。◆中央フリーウェイ Live in LA

 

ユーミンは近年SONGS等に出てくるとどうも自省的で、荒井由実を超えなければとホログラムと並んで歌ったりするのはピンと来ない。あんな歌は書けず声も変わってしまったけれど、あんな歌と音を残したことはただただ偉大なのだから、美輪明宏みたいにドンとしてればいいのに。

この番組でもバブルの頃を「下から引っ張られる圧は感じた」と振り返っていたが、いやいやそんなことなかったでしょう。99年「リフレインが叫んでる」「ラブウォーズ」あたりは俺のバイト先で流れていて、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだなと思っていたよ。「春よ来い」のような滋味ソングが近年代表曲になる頃からは、アウトプットに限界を感じてただろうけど。

荒井由実時代を振り返りたくなる気持ちはわかる。松任谷黄金時代は彼女の才能と環境の合理として堂々飛行するスターシップだったが、紙ヒコーキ荒井由実時代は奇跡だったから。今俺がカナダで聴いても胸がキュンとする。詩も曲も声も、演奏の音もたまらない。娘にも勧めているのだ。


■12月21日

50年前立川基地に住みジュリーの追っかけをやっていたポーラさんは、「ランドリーゲート」に出てくるユーミンの友だちと米軍ハイスクールで同級生だったという驚きのお話。 twitter.com/tomosakata/sta


■12月22日                   山はしろがね、朝日を浴びて

晴れてピカピカに美しい雪景色。山はしろがね、朝日を浴びて露出オーバーです。路面は昨日よりは締まっているが、依然としてスラッシュの量が多すぎて、いったん車でハマったら動けなくなりそうである。

晴れたので家周りの除雪を再開するが、雪で潰れたビニールハウスはフレームのジョイントがポッキリ折れていた。ジョイント交換で直るか微妙だ。ハア。へこんでいたからか平地以上の雪が屋根に溜まっていて、タープを持ち上げ排出しようとしてその重みに驚いた。雪ってこんなに重いのか。 


■12月23日                   公共サービスのありがたさ

市のツイッターを朝確認するとゴミ回収は通常通りやってくれるとのことで、雪深い庭からゴミバケツを道までズリズリと引き出す。トラックが入ってくる角度を考えて配置。マイナス11度、ほんと寒い。──あー来てくれた、ありがたいありがたい。 

融雪の塩をまくトラックも通っていった。公共って本当にありがたい。うちの奥様はクリスマスに、ゴミ回収のドライバーと郵便配達人にビールや宝くじをプレゼントしている。彼ら彼女らはそれが仕事とはいえ、感謝の念は尽きないもんね。 

しかし今夜からまた降り明日から気温が上がり氷雨となって、それから大雨がくるらしい。氷水バシャバシャで最悪な路面状況のクリスマスとなるでしょう、親戚訪問はよしたほうがいいかもとTVが言っていた。そうもいかないと皆決死の移動をするんだろうけど。

天候が荒れる前に用事を済ませたが、車自体が凍っていて不調で大変だった。冬って大変すぎるよねと家族にボヤくと、「だからトロピカルな地に住むべきなのよ私たちは」と奥様がいう。カナダにはないからじゃあ沖縄で :-) 冬がいいのは雪景色がきれいなことくらいだな。ピカも雪景が好き。 


■12月24日                フリージングレイン

今週3度めの積雪となった。今日は20cmほど。毎回雪かきしているから3人交代1時間で済んだが、本格的な豪雪地帯では毎日やり直しというキツさなんだろうなと思いながら働く。ふう。交代で入ってもらった若き雪掘りガール(娘)がカッコいい。 

気温がはんぱに上がったので氷雨となっていて、頭や車の窓に降った雨がどんどん凍っていく。降ったはしから重い氷となり電線を切るフリージングレインというやつで、これかーと脅威を体感した。昔モントリオールのフリージングレイン停電で自宅凍死者が出たのである。

地面をきれいに除雪するとそこに降った氷雨がまっ平らな氷膜となってしまい危ないので、ギザギザをつけた。難しい。

隣の老夫婦宅の除雪を手伝いに、友人が芝刈り機のような『パーソナル除雪機』を持ってきていた。カナダの男たちは単機能高性能マシンがえらい好きで、BCでも年に数回は役立つこういうのを持ってる人がいるのだw


■12月24日                    停電のクリスマス

恐れられた板通り、フリージングレインがどこかの樹木を倒し停電になってしまった。雪の倒木で近くの電線が切れたそう。ハア。とてもクリスマスっぼいけれど。

わずか1時間半で電気復旧。ありがとう優秀なBCハイドロ水力発電。ちょうど晩飯を作っていたので、ガスコンロとヘッドランプで調理を続けた。「ヘッドランプつけてると炭鉱夫(miner)の気分になるよ」と笑う。♪I've been a miner for a Heart of Gold, and I'm getting old. 

停電中ムスメが雰囲気のある映像を撮っていた。湯気も立ってすごくおいしいターキーっぽいけれど、今日はまだクリスマスじゃないのでただの肉野菜炒めでした。暗闇の中、俺はハシで無心に鍋の具材をひっくり返している。黄金の心を探す炭鉱夫のように。


■12月25日               日加クリスマスの思い出

なつかしいなあ。日本のクリスマスには、カナダのとは違った懐かしさがあります。

カナダのクリスマスは、プレゼントの買い出しや親戚間の手配連絡(&数年ごとに大雪の対処)に追われ24日まで疾走し、急停止して迎えるホーリーナイトという感じで、せわしなさは日本の大晦日元旦に近い。

子供らをハッピーにするために大人が全力を尽くす日という感じで、そうされ育ったカナダの大人はそのハッピーな記憶にクリスマスの懐かしさを感じるのだろう。育ちの違う俺は親族のボヘミアン枠に入っていて、あまり必死にやらなくても許されている。

カナダではクリスマスケーキも売っていない。むかしバイトしてた世田谷の大きなパン屋では、クリスマス前に職人たちが徹夜でいちごのケーキを作り、暖房を切り窓を開けた休憩室に山積みストックしていた。その寒い休憩室のコタツにもぐって休憩してたこととか、日本のクリスマスはとても懐かしい。 

あの頃(85年頃)バイト先のケーキはバンバン売れてたなあ、景気よかったんだろうなと回想にひたっていると、ニッポンのバカ殿・自民総裁がお家芸「災害中の逆なで仕草」で高級魚を食べてる一方、ボランティアは無料のクリスマスケーキを配布しているというNHKニュースをちょうどやっていて、隔世の感があるなあと思った☹

■12月25日

温度が上がり雨も弱まり、雪解け洪水の心配もなくなった。明日はクリスマスで親族が集まるので、これくらいの穏やかな気候になってくれると本当にありがたい。これは奥様がライトで型作った今年のうちのツリー。イカにも見える。おやすみなさい、メリークリスマス。 


■12月27日                     寒暖差22度

ボクシングデイ。クリスマス包装紙の特別ゴミ回収があるので外に出ると驚きの暖かさ10度で、寒波の数日前から22度上がったことになる。雪解け水があふれる雨樋からおととい必死で取り出し放り投げた10x40cmの氷柱が、ヒョロヒョロになっていた。


■12月27日           ビートルズを所有してしまった

奥様にクリスマスプレゼントでバードフィーダーを贈ろうと思いつつ間に合わなかったのだが、逆にハミングバードのフィーダーをもらってしまった。これに砂糖水を注いでおくとやがて見つけてやってくるのだそう。砂糖水なんて栄養あんの? と驚く感じである。

そしてプレゼントはもう一つ。包みを空けたとき大声を出してしまった。ディズニー映画「ゲット・バック」のDVD! あれDVDなんてあるの!? あの映像と音を俺が所有できるの!? 信じられん。信じられん。さっそくまた見てジョンの声に涙腺じわっとなってしまった。あの8時間が俺のものになったんだ。信じられん。

「ゲットバック」見ながら一緒にギターを弾いてごきげんなところをムスメが撮ってくれた。いまのiPhoneは魚眼レンズがついてるのね、すごい。いやはや幸せなクリスマスとなった。



■12月27日                      濱田岳の本物っぽさ

#ベトナムのひかり 濱田岳が演じるベトナムに派遣された眼科医。彼は近年NHKでエキセントリックで(正直不自然でつまらない)役を多く見るが、普通の人をやるとやはりたまらないものがある。英語で働く同胞そのもので、俺が見た日本俳優の英語台詞史上最高のリアリティに胸が震えた。「彼らがプアだから治療できないんじゃ…俺がベトナムに来た意味がないんですよ!」 

若手医師との和解の台詞にも泣いた。「少しだけでも技術を教えて下さい」「No. Don't say a little bit」。この野郎!w こんな人がベトナムの人々のために働いてたのかと誇らしい。光を取り戻した人たちが見たであろうベトナムの風景が美しい。ナースたちもほんと美しかった。 


■12月27日                     記憶にございません

#記憶にございません 悪政と嘘と雑言まみれのダメ総理が頭を打ち、記憶をなくして国民のために生まれ変わるというコメディで、無軌道な総理夫人などモデルありありで面白かった。配役が「真田丸」と「鎌倉殿」でできてるところも最高。宮澤エマの大統領通訳が絶品だったw 


■12月29日                     「新しい戦前」

「新しい戦前」というタモリの言葉が鳴り響く。しかし日本の民主主義がここまで劣化した原因の一つに、タモリのように世の中が見える人が政治にはノーコミットメントでいたことがあると俺は思っている。このたった一言でさえいま警鐘として世に鳴り響くだろうけど、遅きに失したのではないだろうか。

子供の頃からタモリは好きで、若い頃の思想家との対談集なども読んだが、いいとも以降の彼は考えを表明しなすぎだと思っている。Mステの司会もそう。音楽好きのタモリにはいろんなことが見えているだろうと視聴者は思って見るが、彼はなにも言わないのだ。

日本の(庶民を含めた)政治思潮の後退を黙して受け入れたトレンドセッターという点でたとえば糸井重里と大差ないのに、タモリだけが二言三言で称揚されるのはバランスが悪いのである。糸井重里が潔癖なリベラルから全否定されるのも過剰だと感じるけれど。


■12月29日                       春のような

公園の散歩。大雪が溶け水かさが見たことないほどに増し、わずかに残った氷の合間をカモたちが泳いで大変美しかった。下の3枚のおととい散歩では氷が大量に残り、何一つ動くものがなかったのに、もう春がきたかのよう。 


■12月30日                お年越しの準備完了

掃除と買い出しは今日終わらせて、明日の大晦日は昼におそばを食べ、夜は薄切り豚としいたけを買ってきたのですき焼きにしようと楽しみにしている。正月用のお餅も少しある(冷蔵庫内でカビてなければ)。家族は大晦日と正月にはさほどスペシャル感を感じてないのだが、俺は感じたいのだ。



■12月31日               楽しみがたき紅白

#NHK紅白 娘が紅白だーとやってきてオープニングを一緒に見る。「司会いつもこの人たちじゃん!」だよねw 天童よしみの脇で「居心地悪そうに踊ってる出演者全員」という絵に彼女が笑う。これが紅白トラディションなんだよ。序盤は昭和の有名人の間を駆け抜ける郷ひろみが圧倒的に良かった。

次々に出てくる韓国資本グループの品質と現代性に比べ、ジャニーズや坂道シリーズの百年一日ぶりはなんなのかと毎年思う。歌やダンスのうまい下手ではなくて、音と踊りで最新のカッコいいものを作ろうとする制作陣の気概が違うのではないか。

中盤に出た韓国ガールズの「ここから先はカラフルな暗示」という歌詞は歌ってる方も聴いてる方も意味わからんのだが、韓国訛りもあり変拍子のブレイクとしてすごいインパクトがある。英語圏の人が聴いても耳を奪われると思う。ああいう音にジャニーズや秋元氏は嫉妬を感じないのだろうか。

セカイノオワリの集団ダンスでもNiziUが際立っていて、普段やってるダンスで体幹が鍛えられてるんだろうなと思った。アイドルならば見せ所は制作陣の創造性と演者のフィジカルだよね。セカイノオワリは創造性はあれどフィジカルを感じさせない歌唱が惜しかった。Perfumeはさすがだった。

そして三浦大知「燦燦」。『ちむどんどん』はこの歌に支えられたと暢子が言っていたが、本当にそうだったと思う名曲であり、素晴らしいパフォーマンスだった。暢子一人だけぽつねんとあそこに立たせるのではなく、比嘉一家みんなで腕を組み見せてやりたかったよ。

加山雄三。所さんで自ら話していた通り声はかすれているが、喉や口やハートのあらゆるところを使って一番いい声を出そうとしているのが伝わる。素晴らしい。途中の語りが泣かせる。もっとやってという黒柳徹子の声に、もういいよと笑う爽やかさにもまいったな。まいったなあ(拍手)。

藤井風。この人は圧倒的だな。歌い出す直前のコードがすごく70年代スティービー・ワンダーっぽくて、そのコードを何度も聴きたいと思った。歌が始まると藤井の風に圧倒され、そのコードがどこにあるのか見つからなかった。バンドも初めて聞いたが小さな音でグルーヴしてすごかった。

星野源。彼もこの紅白で藤井風と並びその才能は圧倒的だが、俺は音楽記憶容量的に複雑な才能は記憶に残らず、ただいいねと感じ流れてしまう。King Gnuとか藤井風とか星野源とか、きみたちは曲が難しすぎる!  こういう才能ありすぎて普通のいい歌をやらない人たちも、紅白に出しても盛り上がらんと思うのだ。荒井由実「卒業写真」のように、単純でいいメロディやシンプルな言葉がやはり耳に残っていく。

安全地帯。直前にSONGSで見ちゃったのであまり特別感はないのだが、ホールで客前でやってくれるならそれは別物なので見たい。──別スタジオであった。これだとSONGSだよなあ。いやSONGSはいい番組ですが、別スタジオでの演奏は紅白ではノーカンだと思う。

桑田と軽音なかまたち。この軽音部室に加山雄三が入ってきて桑田と一緒に「夜空の星」を歌えば紅白史上最高のハプニング&日本ポップス史上最高のハッピーエンドとなったのに、それが起き得ないから別スタジオでの演奏は紅白ではノーカンだと思うのだよねえ。惜しい。

「時代遅れのRock’n’Roll Band」の演奏は最高だった。佐野元春とチャーが歌う2番が最高だなあこの歌。Charの歌もちょっとどうなってんだ、何歳なんだというくらいすごい。もともとうまかったけど、歌うまモンスター桑田世良公則と同等のパワーというのはすごいだろw

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というわけで紅白の感想としては、この番組を通して見れば、老いも若きもつまらんだろうなあと思った。若者と中高年層が聴く音楽が食い違うのはいつのどこの国でもあることだが、アメリカのグラミー賞あたりはどの年齢層も未知でも楽しめるミュージシャンがぞろぞろ出てくるもんね。おじさんは紅白前半のアイドルがわからんし、若き才能は難解な音楽をやっている。大衆性と音楽性を兼ね備えたバンドがいなかった。

NHKは子供も大人も楽しめるバンドを紅白に連れてきてほしい。きっといるでしょ、サブスク再生数とか無視して探せば。たとえば震災後のドリカムの「何度でも」は圧倒的だった。なぜTVに出なくなったのかは知らないが、ドリカムがやがて紅白ではトリを取るんだろうなと俺は思っていた。それがどうしたことかいつの間にかMISIAという、よくわからない無国籍ジェネリック歌うま姫が締める紅白になってしまったのである。