2023/09/04

【まとめ23年8月後半】夏の夜のビートルズとシェイクスピア

「久々の熱帯夜」「BCの山火事」「女子W杯おわる」「開発で思い出が消えていく 」「わが町のオソ」

■8月15日                 久々の熱帯夜

週末から暑さが戻り31度。車はエアコンかけてなくても屋根があるから日陰だけど、バイクは大変だろうな。 自分が東京で夏でも冬でもバイクに乗っていたことなど、もはや遠い昔。

最近町のあちこちの歩道にキックボードが置いてある。ロックしてないしバス停周辺では乗り捨てられてるので、スマホで借りてGPSで回収するサービスなんだろう。

今夜は久々の熱帯夜になっている。去年導入した室外機のないポータブルエアコンはかなり役立ってくれていて、それほど強くかけずとも広いリビングがしのぎやすくなる。カーテンで仕切られた寝室側には階下の冷気を送っており、エアコンの冷気は届かないそちら側もエアコン導入前より冷えていて効率的だ。

うちのエアコンは設定温度に達すると送風を止めるタイプで、風が止まるとリビング反対側にいる俺の居場所はけっこう暑くなる。それに気づいて扇風機をまわしリビングの空気を循環させると、エアコンオフの間も格段に涼しくなり、設定温度を1度上げられるほど効きがよくなった。やっぱり涼って空気の動きなんだな。 


■8月17日

ピカはカナダの猫なので生魚や煮干しはあまり食べないのだが、かつおぶしは好きで、缶フードがまずくて食が進まないときなどパラパラとかつおぶしを振ってやるとすぐに食べる。カツオの香りが食欲をそそるらしい :-) 


■8月18日                旧TweetDeck廃絶

あ。晩飯後奥様とゼルダやってたら旧TweetDeckが停止されていた。いまはまだリロードしてないので使えるが、これが最後のTweetDeckツイートになりそう。

しかしほんと全てに於いて前触れがなかったなイーロンTwitter改革。別にOldTweetDeckユーザーは違法なことをしていたわけではないのに、いきなり遮断する。前触れなく改悪を断行することだけが就任以来一貫している。日本に来たぞイエーイって今朝ツイートしてたが、イエーじゃないよイーロン :-(

マスク氏ってPaypalを作ったのはまあ時代先読みの成功だとわかりますが、なんでテスラなんて成功事業を起こせたんですか? いまの有り様を見ればテック技術者ではないでしょ? そういう評伝を読む気すら起こさせない人だがw


■8月18日                 BCの山火事

うわ、ケロウナ(バンクーバーから5時間くらい)の山火事もすさまじい。これは怖い。地図を見るとあの大きな橋の西側が燃えており、レイクの狭い箇所を超え延焼してるのか…。

今日はバンクーバー近郊でも西から強く涼しい風が吹いている。これが山火事を一気に燃え上がらせたのだろうか。


■8月20日

まだ近くで大きなものはないが、バンクーバー近郊にも山火事の煙が流れてきた。今年最初のこの空の色。

外に出ると少しケム臭く、州の緊急事態宣言も出て外を歩くのも身体によくなさそうなので、週末の自転車は我慢して家族に頼まれた家の大工仕事などをしていた。


夜、煙の度合いはどうかなと表通りまで歩いてみると、視界は思ったより良好だった。霧の夜よりは遠くを見通せる。街灯が煙を照らしている。光芒がきれいだ。 


■8月21日                  女子W杯おわる

#女子W杯 ナイジェリア等に苦戦しつつ馬力で勝ち進んできた英国を、スペインが技巧とひらめきで破っていた。決勝ゴールまでのボールの動きは素晴らしかった。かつて時代を築いたマンUがバルセロナとやり、ルーニー以外は手も足も出んと感じた頃を彷彿とさせる試合だった。

#女子W杯 今年はなでしこが強かったので、勝ち進みを想定して他国の試合もケアして観戦し、ことに楽しかったな。どこもどんどん進歩していると思うし、ナイジェリアが英国を追い詰めるなど、格下が旋風巻き起こすロマンチシズムも残っている。女子ワールドカップは愉しい。

◇  ◇  ◇

W杯が終わったので他にはMLSくらいしか見るものがないスポーツchは解約する予定だが、試しにMLSを見るとオースティンとセントルイスという知らないチーム同士がやっている。調べるとほんの2~3年目を離したらMLSは5チームも増えていた。スポーツ界に金があるのだろうがUSA、29チームもあって降格もないんだから粗製乱造すぎだろw

しかも順位表を見たら


今年加入のこのセントルイスが西地区首位! 東の首位は加入4年目のシンシナティ。大味すぎだろMLS :-) 全試合見てた頃も、お金のないバンクーバーが弱いのは不変だがどこが強いのかさっぱりわからんリーグだと思っていたが、そこは変わらんなー。

女子W杯で、特になでしこの緊張感ある組織守備を楽しんだばかりの俺には、個々の選手たちが頑張って守るだけなのでマークのズレからスコスコ点が入り6対3という西地区首位のこの試合は、ほとんど素人サッカーに見えた。満場の観客もあまりに点が入るので白けていた。俺はスポーツチャンネル解約します。


■8月22日                思いがけずも陰謀論

午後山火事の煙がだいぶ薄まったので、晩飯後数日ぶりに歩いた。煙がきつかった土日は窓を締め切って身体を使うことを何もしなかったので、しまいには頭痛がしてきた。歩くとほっとする。涼しくなってきちゃったなと娘と話しつつ、家々の庭や畑を眺めて歩いた。

日本語でケロウナの山火事をツイート検索すると、俺のようなBC地元日本人以外は陰謀論ばかりだと気がついた。

「マウイとケロウナはスマートシティだから5Gで木が燃えた」
「左翼が山火事を温暖化のせいにしたいのだ」
「世界征服を目論むディープステートの仕業」

だとかなんとかイカれている。いろいろとキナ臭い。


■8月23日           開発で思い出が消えていく 

おお、煙が晴れた。山火事の方角にある秀峰ゴールデンイヤズがくっきりと見える。ありがたし。被害の大きいケロウナも、風向きが変わり煙の数値だけは半分になっている。火の勢いも落ちてきてるのだろうか。

煙が晴れた町を歩いていて、改めて涼しくなっちゃったなと思う。日が射していてももう暑くない。クルマのウィンドウにはうっすらと山火事の灰が残っていた。

町の八百屋とベーカリーで用を足し、ふと寄った公園で野外音楽堂が取り壊されていてショックを受けた。ああ。

娘の中学はここで卒業式をやったのだ。教職組合が長期ストライキ中で校舎を使えず、親が主催し教師たちがボランティア参加して。いろいろと思い出ある場所がなくなってしまう。 

うちの町の行政は商業開発志向で、次々に公共建物を建て替えている。選挙権はないが市民である俺に言わせるとクソみたいなデザインばかりでため息が出る。愛らしい図書館はこのつまらぬハコモノ複合施設となり、思い出の音楽堂は駐車場のコンクリ広場に替えられてしまった。

美しかった市役所前の木々(↑)も抜かれ、できたのはただの花壇(↓)である。花壇ですよ(ため息)。図書館前と裏の桜も同じく全部抜かれて花壇。頭オカシイのか、あるいは樹木を抜く業者に仕事を流すためやってるとしか思えない。そういうことは日本だけじゃないのだろう。 


うちの家族は当然この開発志向の市政に反対する環境派議員を応援していたのだが、些細な義務違反を咎められ裁判にかけられ失職してしまったのだ。こんな小さな町でも政争はあり、結局マネーがこういう町を作っていくんだなと悲しい。(樹木があった頃はきれいでドラマのロケにも使われてたのに)◆ 


■8月25日               わが町のオソ

クマ撃退システムが効いてほぼ2ヶ月来なかった巨大クマが久々に来たが、今回も撃退に成功した。しかし前回より太ってる、腹タプタプ! なに食ってんのお前。ライトに気圧され意気消沈し、通りをのったりのったりと山へ帰っていった。 pic.twitter.com/fW6wSbb255

クロクマは人を襲うことはないので住宅地に来ても見逃されているのだが、こいつはさすがにあまりデカいので遠目から見るだけで怖い。わが町のオソだ。まだ明るいうちから歩いてることもあるので、ムスメは夕方の散歩時に警笛ホイッスルを持ち歩いている。


■8月28日           夏の夜のビートルズとシェイクスピア

バンクーバーの夏の名物(らしい)半野外シェイクスピア劇場バード・オン・ザビーチで、以前大好評だったというビートルズ版ミュージカル「お気に召すまま」の再演があり、お前はビートルズ好きだから騙されたと思ってついてこいと奥様友夫妻に連れて行かれた。評判に違わずよかった。

山火事の煙がまだ消えず少し煙っていたが、涼しくて快適な夕べだった。テントの向こうはバンクーバー・ベイである。

バードとは吟遊詩人のことで、The Bardといえばシェイクスピアを指すのだそう。同行の奥様友人が英文学教師で、その場でいろいろと教わった。 

ストーリー無知で英語劇なんて難易度高すぎなので、前日シェイクスピアの和訳を読んだ。時間切れで熟読は1/3、残りはパラパラ読みだったが大筋と雰囲気を掴み、「昔も今もいい言葉=詩とは普遍だな」という感想を抱いたんだけど、それと同じ『ラブの普遍性』がビートルズの曲でバチーンと炸裂する歌劇なわけです。

◇   ◇   ◇

たとえば序盤、ステージに組まれたリング上の格闘で勝った主人公オーランドーを、ヒロインであるロザリンドが祝福する。彼はたちまち恋に落ちる。彼女が去ったあと、呆然とするオーランドーに人がいう。

「君が好きだと彼女は言ってるぜ。わかるだろ、悪い話じゃない。
シー・ラブズ・ユー、わかるだろ、喜びなって」

そしてドラムロールからあの曲が始まるのだ。キャーッ!

一目惚れにノックアウトされ彼女の前では言葉も出なかったオーランドーが、続いてつぶやく。ああ何も言えなかった。言葉が出てこなかった。ぼくは…ぼくは…

Oh Yeah I'll…tell you SOMETHINGとにかく、なにか君に話しかけたいんだ
 I think you'll understand. (わかってくれるはずさ)」

ダダダーンと「I Wanna Hold Your Hand」が始まるんですよキャーッ! そういう絶品な瞬間に満ち満ちてました。

台詞や歌を邪魔しないささやくような低音量で弾きながら、グイグイとビートルズソングのよさを弾き出すこのバンドが凄腕であった。歌は皆ミュージカル俳優なんでああいう非ロック的ボイストレーニング発声なんだけど、みんなうまいので5人も10人もコーラスが重なっていくと気持ちよかった。


途中で幕間がある長い劇だった。俺ならシェイクスピアの台詞部分を1時間削るな(笑)。

バンクーバーの催し物に来ると、みんなお金を使うなあと思う。働いてる人も多いし、そのお金が演し物と施設に潤沢に使われ、快適に回っている。演劇愛好家を英語でパトロンと呼ぶけれど、やはり富裕層がこのシーンを支えてる感がある。ロックシーンと違う。

◇   ◇   ◇

全体の感想として、やっぱりビートルズは最高だなってバカ感想が第一なんだけど、シェイクスピアよりすごいなという感想も重なった。

至高の吟遊詩人が書いた台詞はさすがに良いが長い! 本でも台詞がいちいちくどいと感じ、それが舞台で延々続くとけっこうつらかった。

それに比べビートルズのリリックと曲の短さ、強さ、キャッチーさがすごいわけですよ。世界を席巻したわけだし、席巻し続けているのも道理だよ。ビートルズは普遍だから、こうした派生作品もずっと作られていくんだろう。
というわけで、


With a love like that, you know you should be...... glad!
Yeah, yeah, yeah
Yeah, yeah, yeah, yeah(おしまい)◆