■LUMIXからOLYMPUSに復帰
1年間使ったPanasonic LUMIX GX7mk2を手放して、オリンパスOM-D E-M10のMark2に戻った。
2つを使い比べどちらをキープするか考えていたのだが、GX7mk2は横に長くレンズとEVFが左にオフセットしているので重量バランスが悪く、手に取ったときにずしっと重く感じる。E-M10mk2も重さは同等だがセンターグラビティなので軽く手にすぽっと収まり、高精細なEVFを覗いたときにおおとワンダーがある。最終的に道具としての使い心地の良さでOM-Dに決めた。あの一眼レフの形はやはり合理的だった。ストロボ部が細くなって、去年まで使っていた初代E-M10よりデザインもいい。性能も格段に上がっている。
LUMIXは赤がよかった。赤が鮮やかで飽和しにくいチューニングになっており、京都で撮った朱色の塗りモノ(↑)はどれもこれもおおと思った。こんないい色が出るカメラなのかと実際驚いた。町に朱色のないカナダでは、あまり大ヒットは出ないなというのがこの1年の印象だったのである。
一方OLYMPUSはブルーがいい。空の青はLUMIXより自然で、山肌の碧もいい色が出るなあと思う。
川向こうの大きな農家がきれいな風景。GX7mk2は前述の理由で重く感じるので自転車に乗るときなど気軽に持ち出せず、こういう輪行写真はあまり撮らなかった。OM-D最軽量のE-M10mk2なら望遠レンズを付けても持ち出せ、こうして遠くを撮ることが気持ちいい。クリーンなファインダーを覗き込んでオオいいかもとワクワクしつつ、自分で風景画を描いているような気持ちを味わえる。
GX7mk2が重いのは動画用に冷却が必要で、放熱板が入ってるからだそうだ。写真を撮る予定のないときカバンに入れておく街角スナッパーとしてもトゥーマッチ感があり、普段はひと回り以上小さいサブ機オリンパスPL5ばかり使っていた。新カメラE-M10mk2はそのPL5と同じソニー1600万画素センサーなので、画質は大きく変わらない。もともと前々機EM10/PL5の画質は気に入っていたとはいえ変化も欲しくてLUMIXカメラを買ったわけなので、OM-Dに戻ると新鮮味は足りない。
しかしPL5はもちろん、初代E-M10/GX7mk2よりもIS(手ぶれ補正)とEVFの精細さ、操作性が大幅に向上しているおかげで、写真を撮る楽しさと経験の質が大きく上がっている。同じレンズでも巌のように安定したISのおかげでシャープさが違う。9月10月はずっと窓の外の鳥をE-M10mk2で撮って楽しんでいた。メープルの紅葉と鳥たちと。
先週末の野鳥公園では動く鳥たちを追いかけた。下手なのでなかなかうまくいかないが、EVFを覗きつつダイヤルやFnボタンやMFを存分に駆使し、フォーカス絞り明度を追い込んで撮っていると本当に楽しい。こうして道具を使い込む愉しみがやはり、一眼多ダイヤル式のOM-Dは完成されている。
娘の大学卒業式も新E-M10mk2で撮り、気持ちいい写真が撮れた。青がやっぱりきれいだなと思う。娘が中学生の頃買ったOLYMPUS PEN E-PM1から俺のマイクロフォーサーズ人生は始まった。E-PM1、E-PL5、E-M10、GF2、GX7mk2、そしてE-M10mk2。あれから10年で彼女の学生時代が終わり、俺はOLYMPUSに戻ったのだ。
■盛りだくさんだったGX7mk2の機能
GX7mk2ではパナソニック自慢の諸機能を使わなかったなあと思う。
【4Kフォト機能】カメラ内切り出しが不便過ぎ
【フォーカスセレクト】同じくカメラ内切り出しが面倒過ぎ
こういう瞬間は普通の連写でも撮れる |
カメラの小さなモニターとボタンを使い30枚の写真からいいコマを選ぶなんてことは現実的にやってられないので、全く使わなかったのである。4KフォトはMP4ファイルなので必要なら動画として開きベストなコマのスナップショットを保存したが(解像度はカメラ内切り出しとおそらく同じ)、日付等のExif情報は当然残らない。腹立たしい。
上の鳥が着地するシーンなんかは普通の連写でも撮れる。いま稲妻が光っていて、こういうシーンだけはGX7mk2の4Kプリキャプチャーがなければ撮れないが、それ以外でこのクソ不便を押してまで4Kを使う用途は思いつかなかった。
【L.モノクローム】ブラケットできず出番少なし
Lモノクロームで最高だったのはこの1枚。とろける階調。 もっと使えばよかった。気軽に使わせてほしかった。 |
しかしこいつを買ってくれた次のオーナーはFacebookにモノクロの家族写真をたくさん上げてる人で、俺が彼のためにセットしておいたLモノクロームを見ておおこれかこれかと喜んでいた。きっと俺よりもGX7mk2を活かしてくれると思う。ちなみに彼が他に持ってるカメラはライカとFujiという、強烈なカメラ好きだった。
■GX7mk2の長所短所
最後に、徹底的にカスタマイズし使い込んで感じたGX7mk2の長所短所を列挙しておく。
【長所】
◎Vividの赤の発色が素晴らしい。黒と茶はGF2のほうがよかった。青はオリンパスが好き。
◎カスタマイズ性最高。Qメニューの好みの位置に好みの撮影設定や特殊撮影機能を置けるのが超助かる。OLYMPUSはボタンで呼び出す撮影メニューがないのが大弱点。
◎AFは早く正確、すっぽ抜けがOM-Dより少ない。数秒間拡大するピンポイントAFが特に優秀。
◎iDynamicの逆光補正が効果を加減でき使いやすい。これもオリより明確によい。
○超解像も同じく効果を加減できよい。シャープネスを落とし超解像でディテイルを上げ使っていた。
◎普段は静かなメカシャッターで、明るすぎるとオートで電子に変わるのがナイス。
【短所】
▲保存した個人設定をロードすることができないので、A/P/S/Mで設定を変えてしまうと全部手動で戻さねばならない。逆にC1で設定を変えたらC2/C3/Pと3箇所で同じ変更をしなければならない。カスタマイズが超楽しいカメラなのに、そこが超めんどくさいのである。撮影設定をロード&一括リセットできないのはLUMIX最大の欠点だと思う。
▲屋内ミックス光の色が悪い
(GX7mk2 1/60s ISO3200、 E-M10 1/20s ISO2500、同じ光源)
パナソニック1600万画素センサーは同世代のソニーセンサーより屋内ミックス光での発色が劣る。WBやピクチャーモードもいろいろ調整したがイメージ通りの色にならず、屋内はサブ機PL5ばかりを使っていた。屋内で撮りたくならないのがオリンパスに戻った最大の理由である。
特に高ISOはよくないのだがAEはすぐISO3200に上げたがり、ISO Auto上限2500を設定できないことに困った。なぜ?
▲タッチパネルが敏感すぎて、いつもフォーカス点があらぬ方向に飛びピンボケを量産する(結局ユーザーは皆イラついてタッチAFを切る)。
▲顔認証をオンにすると全画面AFになるので、人物がいないシーンではAFがセンターよりコントラストの強いものに引っ張られてしまう。なので一度も顔認証は使わなかった。オリンパスは顔がなければセンターAF枠優先になる。
▲グループAF枠をデザインできるのは素晴らしいが、グループ枠使用時はAFエリアをタッチで移動できないので(ホワイ?)、これも不便すぎ一度も使わなかった。フォーカス自体は強いのに、かように仕様面でオリンパスでは起こらない問題が発生し煩わしい。
▲位置が悪いモードダイヤルのずれによる失敗写真量産。
▲EVFは精細度が低く、視度調整幅の刻みが広すぎて俺の目にはピタリと合わない。フォーカスのピーク強調も非常に薄いので、MFは厳しかった。
▲見方の分からぬ水準器。でかくカッコ型で目障りな水平ゲージが画面中央にありながら、水平は結局ほっそいヘアラインバーの色でしかわからない。撮影対象に集中してるとそんな数ドットのバー情報など目に入らず、横付けレンジファインダーのバランスの悪さも相まって傾く写真が多かった。視界の端にあるゲージの光り具合で見なくても水平がわかり、左右のバランスもいいOM-Dの傾かなさは快感である。
▲再生時オリは拡大確認していらないものをマークし一括削除できるのだが、LUMIXはサムネ画面からしか削除選択できず複数削除が非常に面倒。
△動画のLUMIXなのにスロー動画がないのが残念。
△電費が悪く、設定をじっくりといじっていられない。
というわけで、屋外の色はいいしQメニューなどいいところも多々あるが、撮っててイラつくことも多いGX7mk2の1年だった。E-M10mk2も欠点はあるが根本のところでイラつきが少なく、気分よく撮影できるわけです。逆の感想をいう人もいるので、ユーザーインターフェースは相性もあるのだろう。こうした使い勝手の細部は、所有して使ってみないとわからないものである。
しかしGX7mk2は京都でこれ以上ないと思うほどいい赤の写真をたくさん撮ってくれた。あのLUMIXの赤がオリンパスでは出なくて売ったことを後悔する日も来るだろう。そしたら今度はサブとして小さなGFかGMを買うよ。ありがとう、さようならGX7mk2。◆
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