2012/11/02

日記「無邪気なアイデンティティ」

「ハロウィーン間近だが」「北斎で日本語学習」「日本語ボイスと英語ボイス」「やはり楽しいハロウィーン」

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■12/10/19(金) □ ハロウィーン間近だが
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昨夜友達がうちにスリープオーバーし、今日は疲れてややダウナーな萌と過ごす。友達を家まで送った後買い物をしにいくと、プラントショップのビニールハウスでハロウィーン祭りをやっていた。こんなの前はなかったな。素晴らしい。しかしパンプキンづくしオレンジづくしの可愛らしい飾りつけを見て俺がうわあと言ってるのに、萌はふーんという顔で眺めている。

 ハロウィーンはティーンになったら終わりというのが相場だそうで、つまり 12 歳の今年が萌の最後のハロウィーンになるらしい。数年前からもう親は送迎するだけの行事で、準備を手伝うこともそんなにないし子供の頃ほど無邪気に盛り上がってもいなかったが、それにしてもこの萌の反応のなさは物寂しい。

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■12/10/20(土) □ 北斎で日本語学習
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今日は近所日本語キッズ勉強会がキャンセルされたので、萌とマンツーマンで日本語ワーク。せっかく2人きりなので趣向を変えようと、前に録ってあったイッセー尾形が北斎を演じる「歴史秘話・葛飾北斎」を萌に見せた。信州小布施の北斎美術館には何度も行ってるので、うちはみんな北斎が好きなのだ。家は北斎のポスターだらけなのだ。

 番組を見ながら、「北斎の実物はほとんど海外にある」「世界の重要人物として尊敬されている」といったフレーズを拾いノートに書かせる。北斎がいかにあちこちから着想と技術を得て自分の画風を確立していったかという話は面白いし、演じてるイッセー尾形の芝居がまたうまくて説得力があり、萌も楽しかった様子。日本語に限らず親子でマンツーマンでなにかを教えるとケンカになりがちなんだが、いつもとまったく違う内容にしたのが正解で生産的な気持ちになりいい勉強だった。



 日本語学習を自宅勉強会に切り替えて1月以上やってみているけれど、このフレキシブルさがやはりいい。「いつまでにこれだけやる」という期限を設ける必要もないフリースタイル学習なので(今年 12 月の検定は現実的ではないので目指していない)、語彙は覚えるまで何度でも戻っておさらいしている。子供は言葉の音はすぐに覚え、「鎌倉は都内から1時間で、海に面している。鎌倉幕府があった」とコンテキストを与えれば記憶定着率も高い。『幕府は? 面しているは?」と問えば正解が返ってくる。

 しかしその漢字の読みを覚えるのはやはりそう簡単には行かず、書き取りドリル以外の方法がまだ見つからない。英単語なら音とスペルはほぼ一致するので音と同時に覚えられるのだが。小1から中1までずっとやって、週一では何の成果も生まなかった日本式漢字書き取り/単語カード法はやらせたくないので、最小の努力で読みをある程度覚える方法はないかとずっと考えている。

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■12/10/25(木) □ 無邪気なアイデンティティ
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 担任との懇談に行く。毎日学校の帰りに萌に今日は何かあったかと問うと顔で「別に……」と答え会話が終わるので、夏休み前の不機嫌なティーンに戻ってしまったな、学校でもあまり楽しくないんじゃないかと思っていたのだが、授業中はうるさくて常時叱られるほど盛り上がってるのだそうだ。担任いわく去年よりずっと友達が増えハッピーで、自分に自信を持てていると。あれま。ほんとですか。日本での子供っぽい自分と、カナダでのアンチ子供っぽい友達との間で居場所に迷ってるのかなとずっと思っていたのだが、そうではないらしい。

 一緒に行ったMは、逆に「日本で自然に子供らしくしてたおかげで無邪気でハッピーな自分というアイデンティティが確立でき、周りに合わせ大人ぶらずとも平気になったのだろう。それで自分に自信が持てているのだ」と分析する。萌と話してそう感じたらしい。そうだったんですか。

 萌は俺とはそんな話は一切してくれんとMに言うと、あたしだって普通に会話してたらこんな深い話にはならない、萌が面倒がっても話をやめず質問攻めにしていくからこういう話も出るのだという。なるほど。俺はそのへんのスキルはないからなあ。


「LOL(ロル!)」本人画
ともあれ、萌が学校でハッピーだと聞いてうれしいよ、先生たちは萌のことを明らかに好きだねと帰って萌に話す。そのハピネスの一因に、夏のあの日本旅行が関わっているというのは、とてもうれしいことである。

 カナダの中学生は大笑いなことを「LOL(ロル!)」とすんげえイラつく発声でいい、こうして指で(バナナじゃなくて指だそうです)LOL とサインを出す。そんな調子でキャッキャと授業中も騒いでいるんだろう。

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■12/10/30(火) □ 日本語ボイスと英語ボイス
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 最近Lさんと一緒にいることが多いのだが、彼女は英語と日本語を喋るときに声質が変わらないなと気がついた。つまり日本の 12 歳の子のように高く小さな声で、喋る内容は日本の同年齢よりしっかりめのカナダのティーンエイジャーなのだ。ちょっと日本アニメの英語版吹き替えボイスっぽくてナイスな感じ。

 萌は日本語では力まないやわらかい声を出すのに、英語では低く張った無駄に我の強いトーンになる。Mが見るところの「無邪気でハッピーな萌」よりはだいぶ、クールでストロング側に偏っている。


 日英同じは萌の環境的に無理だとは思うが、たとえば力を抜いて英語版「桜蘭ハイスクール」のハルヒみたいに喋ってくれんかな。低いけれど力が抜け無駄な主張のこもらない声。ずいぶん長いこと「桜蘭」を見てないが、今度また見せよう。

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■12/10/31(水) □ やはり楽しいハロウィーン
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「血塗られた花嫁」怖すぎた(汗)。
コスチュームとメイクアップをつけての登校なので 30 分早く起きて準備したのだが、顔に塗るおしろいが難しくてちっともきれいに塗れず、予定を大幅に超過し遅刻して登校。最終的にまったく均一には塗れず、目の下と鼻梁に黒を入れてとにかくコワくするしかなかった。怖いけどいいデキではない。難しいんだなああの白塗りって。練習しておくべきだった。

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 前倒しで晩飯を食わせ萌をコキットラムの丘の上の友人宅に届け、急いで戻りハロウィーン開始。しかし本日はここ 10 年のハロウィーンで初めての大雨で、これがたたりうちは待機を始めて 30 分以上も誰も来ず、結局総計でも 20 人くらいしか来なかったと思う。例年の半分だ。


メーキャップは怖すぎるので学校で
拭きとったとのこと。それで正解だわ。
8時半に玄関灯りを消し(うちは終わりだよの合図)萌を友人宅に迎えに行くと、ずぶ濡れガールズが宝を山分けしていた。床のチョコがだいたい1人分です。この子たちと行くために長距離2往復走ってやった甲斐あって盛り上がりどころ満載だったそうで、萌はずぶ濡れで震えつつもこれまでで最高のハロウィーンだったありがとうと興奮していた。

 ハロウィーンに向かって萌は俺が寂しく思うほどに盛り上がらず、コスチュームや飾り付けも俺が命じてやらせたわけだが、やっぱりやればいつまでだって楽しいんだろう。それほど楽しいのだったら、来年ももう一度くらいやったらいいのではないかと思う。実際これがほとんど唯一の国民的お祭りなわけだからな。

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