2015/08/31

2015年日本旅行(1)沖縄エイサーまつり

「熱狂ゲスの極み乙女」「ここが大阪やで」「沖縄カーナビ苦戦」「エイサー祭り」「モールでのんびりデイ」

 =======================
■15/07/13(月) □ 熱狂ゲスの極み乙女
 =======================

 日本行きの荷造りをしながら、萌はゲスの極み乙女をガンガンかけている。歌詞はほとんど意味がわからないだろうが(俺だってよくわからない)、音に現れる若さゆえの刹那感に共鳴してるんだろう。音量は小さいのに他のどんなバンドよりもインテンスなのだ。たとえばギターはチャーに似ているし、伝わらないもどかしい言葉を畳み掛けていく感じは友部正人みたいでもある(語彙はすごく現代ユース的で俺にはガツンとこないけども)。

 こないだ俺が初めて聞かせてわずか3日でゲスマニアとなった萌は、これを聞けとおすすめ3連発を聞かせてくれた。「パラレルスペック」「キラーボール」「私以外私じゃないの」。す、す、スゲえ! カッコいい!



ギターもドラムもピアノもこの若さでなんでこんなにすごいんだ(ベースはおじさんぽいのでまあわかるが)。そして汲めども尽きぬこの音楽的ひらめき。もう音楽のワンダーキッズとしか言いようがない。歌詞を分析する気もバンド経歴を調べる気もしないよ、かまわないからその音でもうどこまでも連れてってくれウヒョー! という感じ。

    ----------------------
 うあー台風11号がちょうど私らの飛行機と同日に日本に接近する模様。大阪までは行けたとして、翌日沖縄に行けるかどうか。

 まあ心配してもどうしようもない。最悪の予測でも沖縄に上陸するわけではないし、東日本に抜けるのではという予想もある。空港で夜を明かすとかそういう最悪の事態にはならないだろう。あれほどの労力をかけて分単位まで詰めても、風が吹けばそれまでなんだから飛行機の旅なんてするもんじゃないとほんと思う。

 しかしちょうどいい日に恩納村のお祭りもあるのでエイサーはたっぷり見れそうだと判明し、期日通りに行けさえすれば沖縄本島での観光はこれまでの旅行でもなかったくらい充実しそうである。大阪から那覇まで無事飛んでくれさえすれば。

 =======================
■15/07/15(水) □ ここが大阪やで
 =======================

 10:47 空港チェックインと朝飯を無事済ませ、あとは待つのみ。Air Canada 職員によれば台風は南にそれており本フライトには影響ないとのこと。明日の乗り換え便が問題だよなー。まあ一晩待ち台風がどうするつもりか見るしかない。

この旅は日本行きとしては初めてのエアカナダで、しかも通常より大幅に安い便。格安というほど食事もサービスも悪くはなく、唯一の違いはエンターテインメントモニターがないことで、乗客各自が手持ちのデバイスに WiFi で受信するというシステムになっている。座席にコンセントもある。

これは機内液晶より高い解像度の機材で見れるという点でメリットはあるが、映画のラインナップがやはり格安で全然ダメで、いい映画がまったくなくMたちに呆れられてしまった。まあそういうところで経費を削ってるのかもね。

 俺は1本「深夜食堂」だけ見たが、日本はこういう素材のうまみのとろろかけご飯映画ばかり作っていてはいかんと思う。我らが小林薫を擁してもこれでは伝わらぬ。外国人や若者には見てもらえぬ。「天皇の料理番」級の骨太ドラマを映画で作ってほしい。「そうか。陛下のお料理番というのは、言われるままに飯を炊くだけか。おれにもできそうだな」と篤三を挑発した小林薫の無表情はすごかった。あの日本を見せてほしい。

 Mと萌は Netflix でコリアン映画をけっこう見てるのだが、日本映画はまったく見ない。それは日本がこういう純文学とろろかけ映画ばかり送ってくるからだ。外国人に見せたいなら、素材の旨味がわからなくても面白い映画を作らなければ。

◇     ◇



 無事関西空港着。疲れているが俺と萌は興奮して眠くないのでコンビニで軽食を買い、びゅーびゅー生暖かい風が吹く関空とホテルの周りを萌とぐるぐると歩く(奥様は先に寝た)。俺たちは外国人目線なので何を見てもおーすごいジャパン! クールジャパンやで! となってしまって笑いが止まらない。空港でたくさん見かけたアジアからのお客さんもそうであってくれたらいいな。

 風は強いが暴風というほどではない。「ええか、ここが大阪やで。よーく見とき!」と公衆内で俺が浮かれていると、萌が「お父さんシャラップ・シャラップ・シャットアップ!」とツッコミを入れる。ええでええでその感じや。夕方7時 (カナダ時間午前3時)、ベッドに入る。明日の朝の5時頃までできれば眠りたい。

 =======================
■15/07/17(金) □ 沖縄カーナビ苦戦
 =======================

 夕方7時に寝て断続的に目覚めつつ2時に起きる。計6時間強。もっと寝ていたいがカナダ時間ではもう朝の10時なので致し方なし。

 台風は今まさに中心が神戸あたりに達しているようだが、大阪は雨は強いものの風はさほどでもなさそう。――あ、すでに大阪府の暴風警報は朝4時過ぎに解除されてるとのこと。飛行機は定時発。よかった。

> これ、ヤバイな……
> 普通に学校あるやつやん……
>
> てか、毎度毎度なんやねん
> 結局大阪には台風来ないみたいなやつ!
> 大阪のことオチに使うのマジやめろよ

 と、大阪っていつもこうなんだそうだ。学生が怒ってる。はは :-)。

 沖縄は曇り、降っていないし風も吹いていないとのこと。よし。うまくいっている。関空はバスターミナルみたいなオープンな店や食事処と空港施設が混在した面白い空港だった。時間と空腹があればあれもこれも食ってみたいと思う。おっちゃんたちが「(台風が鼻の先なのに飛べるんだから)奇跡やな!」と声を掛け合っていた。

    ----------------------
飛行機機材の不具合で 1 時間遅れて出発、空の上から海底のサンゴが見える美しい島々に興奮しつつ那覇に到着。さすがに暑い。

 まずレンタカーを借りるのだが、キーがなくてエンジンをかける方法がわからずレンタカー屋に笑われた。人生初のキーレスエントリーである。車から降りてロックし、鍵がかかったかチェックしようとドアに手を触れるとまた開いてしまい一向に車から離れられないというジレンマに陥る。

 とにかく暑いしレンタカー屋は混んでいたのでそのへんの操作習得は後回しにしてとりあえず道に出たのだが、カーナビの設定方法がわからないので右も左もわからない。萌が操作するがわからない。ナビと一体となっているらしいカーラジオでは若干イラつく Jpop 系番組が流れてるのだが、この局を変える方法さえわからない。日本電気製品はなんか操作体系の迷路にハマっているのではないか。これがいわゆるガラパゴス化かと実感する。

 スーパーの駐車場でいったん止まり近場のモスバーガーをカーナビにセットしたのが、走り出してみると表示と実際の位置に30mほどの誤差があり、交差点を曲がり損ねてしまった。するとえらい遠回りにマップが再計算される。それが非効率的なのは自明だが土地カンゼロなのでナビに従うしかなく、ぐるぐるえらい遠回りしてモスバーガーへ。ふー。もうこの時点で馬鹿カーナビに対するストレスで俺はすでに消耗している。



 ここでカーナビにホテルをセット。しかし海沿いを走りたいので高速は通らず行こうとカーナビのマップを見ながら自力で海を目指していくと、カーナビの誤差のせいで曲がるべき道をまた何本もミスし、一向に距離が稼げない。あーイライラするなこのジャパニーズカーナビ。Google ナビはこんなに誤差ないぞ。



 那覇市のはずれで沖縄のメインルートと思われる R58 にようやく入るが、意外や海はよく見えない道だった。日本じゃないみたいなところ(ハワイっぽさと箱物建物がやたらと大きい奇妙なスケール感)と日本の地方都市そのものなところが入り混じり、そこに沖縄ならではの小さな店や民家が点在していて面白い。嘉手納基地は福生立川あたりと同じ風景。基地内の住宅は調布関東村と同じ規格で作られているので俺にはなつかしい。軍関係だけではなく、プライベートな服装のアメリカ人もすごく多い。



 1時間ちょいで着くだろうという見込みが2時間以上かかりへトへトで恩納の外れのホテル着。恩納でビーチが見えるとようやくやはりおおと盛り上がった。
    ----------------------
ホテル前のビーチで萌を少し泳がせ、ホテルのバフェットレストランへ。食べ物は和食と沖縄料理だった。沖縄料理は和食と中華のまさに中間という感じ。うちはみな中華が苦手なので、一口味見してなるほどねという感じ。黒いイモのあれと海ぶどうはたしかにうまい。

 そして今日も M は早く寝て、俺は全日本芸人歌合戦的なものを萌と見る。なんでニッチェが負けるんだおかしいだろ! 「日本ってこういうバカなショーをいつもやっててイイよねー」と喜ぶムスメ in 沖縄。

 萌は「うまい普通の声の人より、特別な声を持った下手な人のほうが聞いてて気持ちいいよね」と超鋭い歌合戦評を述べる。その通り。日本って歌唱力の尺度がおかしいよな。来日のたびに楽しむ日本のコマーシャルにも大喜び。なんかすごい腹筋マシーンの CM を見て、二人で笑い転げた。「I LOVE ジャパニーズコマーシャルズ!」。

CM「積水ハウスです」
萌「セクスィーハウス?」
俺「違う(笑)」


 =======================
■15/07/18(土) □ エイサー祭り
 =======================





 朝、恩納村はずれの真栄田岬裏という絵に描いたように美しいビーチでシュノーケルをし、サンゴに群がるネオンテトラを見た。すごい。しかしこんな観光地なのに国道沿いに手頃なレストランが見つからない。高級ホテルのレストランかジャンクかの二択しかない。

 結局ジャンクを選択したのだが、毎日コンビニ食とジャンクなのでMがアンハッピーとなる。スーパーでパンと野菜を買いたいのだが見つからないのだ。1時間も恩納近辺を走り回るが見つからず、ついにあきらめて無理やり車を止め地元の人に聞くと、スーパーは金武か名護にしかありませんと言われた。マジですか。

 仕方なく粛々と名護市のスーパーまでパンを買うために往復1時間を走る。ふう。

    ----------------------
 ホテルで休み、夕方恩納の村祭りヘ。ステージで音曲が披露され屋台の食べ物屋が並ぶ。いいではないか。



 しかし沖縄の祭りをなめていた。暑い。屋台を眺めて歩くだけでクラクラする。ステージ前のテントの日陰にいても熱風で体力が削られていく。沖縄の人々はこんな日差しの中平気で立ち食いしてるんだからすごい。お好み焼きを買ったのだが俺は気分が悪くなり食えなくなり、これはいかんとステージ前を諦め建物の日陰に避難してエイサーが始まるまでポカリを飲んで休んでいた。

 音楽舞踊音曲は沖縄フォーク青年デュオがよかった。それ以外の演し物はどのグループにも沖縄風味はもちろんあるけれど、まあどこの田舎町もこんなもんかなという感じ。この沖縄音楽を見たくて早めに祭りに来たのだが、エイサーだけにしとけばよかったと思うほど暑くてしんどい。



 しかし待った甲斐あってエイサーは素晴らしかった。村々ごとに個性があるし、踊る沖縄男子は惚れ惚れするほどかっこよく、後ろで可憐な踊りを添える女子はみんな AKB よりかわいい。すごい美男美女の島であります。いやーいいものを見せていただきました。やっぱりグループによる伝統は、音楽をやった人個々人の創造性を上回っていた。

 =======================
■15/07/19(日) □ モールでのんびりデイ
 =======================

今日は雨。連日のスケジュールの疲れも出てきたので(――まだ観光は一日しかしてないが、恩納のホテルに着くのにバンクーバー→大阪→那覇→恩納と都合3日かかってるので、出発して今日でもう5日めという非効率さ――)、沖縄で一番大きなモールというところに入ってのんびりと過ごした。沖縄ならではではないものの面白い店が多く楽しい。

奥様が「これいいわね」とある婦人服屋に入ったので看板を見るとSM2とある。…20代の頃俺が働いてたサマンサモスモスじゃん!

 バンドマン時代に俺が婦人服飾会社で働いてたのは言ってあったが、これまで話だけの幻だったサマンサモスモスが実在していたことに妻子が超ウケる。「こんなフェミニンな会社で何してたのよ」。いや服を畳んで箱に詰めて担いでただけだけど。休憩中に本を読んでたから「先生」と尊敬されてたんだぜ。

サマンサモスモスで今は偉くなっておられるらしいF下さんにはお世話になったなあ。俺がいくら寝過ごしてもクビにせず、廃墟警備の仕事が見つかりやめたいと言ったときには嫌な顔もせず送迎会までしてくれた彼のお陰でバンドもやれ英語も覚えられて、いまカナダに住んでいるんです。尊敬してます。

    ----------------------

(これは45mm、見事なボケ)

モール内のカメラ屋で自分のカメラに自由につけて試し撮りしてくれというレンズ群があったので憧れのオリンパスの 25mm-F1.8、45mm-1.8 で撮ってみる。めっちゃシャープでめっちゃボケる。しかも F2.8 で 1/60s の明るさで 1/160s! 3 倍の速さである。ああ最高。25mm が中古で安かったらほしい!

 そして奥様の提案でモールのスーパーで食材を仕入れ、ダイソーでまな板やプラスチックの食器を買って帰り、ホテルでサンドイッチを作り食べる。ああ家で食べるっていいな。落ち着くな。「そうよね、外食はいくらおいしくても続くと嫌になるわよね」。カナダじゃ売ってないプリンも食いましたうまい。



 萌の沖縄買い物戦利品は、ジブリ下敷き3種となでしこジャパンユニフォーム! 試合観戦時に BC プレイススタジアムで探して見つからず買えなかった本物ユニ! 宿に戻り雨の海を眺めながら、娘は幸せを噛みしめるのであった。

---------------------------------------------
2015年日本旅行(2)沖縄:最強の座間味サンゴ礁

0 件のコメント:

コメントを投稿