2011/10/25

日記「グレンモア超高速デモゲーム大成功」

「ゲーム談義を読むのは楽しい」「グレンモア超高速デモゲーム大成功」

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■11/10/18(火) □ ゲーム談義を読むのは楽しい
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英語ボードゲームサイト BoardGameGeek の「グレンモア」フォーラムで、「Grocer(食料品店)のアクティベートに必要なのは同種資源3個なんじゃないか」という面白いルール談議があった。「なんでもいいから資源3個」と「同種資源3個」とで意見が分かれている。ルールを文字通りに解釈すると「なんでも3個」だが、「同ラウンドに出ている歳の市が4種1個ずつ(けっこう難しい)で8点なのに、なんでも3個=8点はイージーすぎるだろう」という意見はもっともである。

それになによりも、「同一資源3個」としたほうが明らかにチャレンジングでやれることが増えゲームが面白くなるではないか。この解釈なら歳の市と違った戦略を要し差別化するタイルとして、食料品店の妙味が大きく出てくる。これに関して作者の公式コメントは出てないようだが、ゲームデザインは天才だがルールブックを書くことはド下手であったこの作者の意図もこっちだったに違いない。うちではこっちの解釈を文句なく採用しよう。

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ここで初めてソリテア3人戦(1人3役!)をやってみた。タイルがどんどん取られて周回が早い。人数が増えると序盤のリソースの奪い合いが激しく、初参戦の緑が出遅れて大きな得点源であるウイスキー工場と酒場を取れなかった。

しかし緑は先を急ぐ皆が取り残した羊牧場(草原)を2枚取り、前半は肉屋で羊毛キューブ2個4点を地道に売り他プレイヤーについていく。そして後半は勝負をかけて大跳びし、例の食料品店をプラン通りにゲット。これにネス湖(毎ターンタイルを1枚自由にアクティベートできる)を組み合わせることで少ない残りターンにうまく2回稼動し、タイル上に貯め込んでいた羊毛6個をどーんと一掃し16点、これが決め手となり見事な勝利となった。やっ・た。こんな勝ち方ができるとは。《羊勝ち》だ。工場と酒場がなくても勝てるんだ。素晴らしい。

やはり食料品店が「同種資源3個」ならば、こうして同種の資源タイルを2枚取っておくことに大きな意味が出てくる。前半はダブつき村人が処理に困っていた資源が、食料品店を建てたおかげで村の主要産業になるんだから楽しいではないか。緑の村長には先見の明があったということだ。いやー、面白い。

システムが練り込まれ戦術上の深みがある現代ユーロ(ドイツ)ゲームでは、こうして愛好者のフォーラムを読んでいると発見が多い。新事実を発見すると新たな戦術が浮かんでくるので、それを試したくなりまた楽しみが増すのである。まあグレンモアのルール上の発見は、それだけ説明書が不出来だったということではあるが。

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Mは忙しいのでいまは無理だが、萌にもグレンモアやらせることはできんかなあと考え始めた。フルルールを一気に説明するのは無理だと思うが、グレンモアの場合じっさい説明が面倒な細則は得点に関することだけで、「最後尾のプレイヤーがタイルを取り、置いたタイルの回りがアクティベートする」というゲームの骨子自体はシンプルですぐに始められるはずだよな。で手番ごとに「いま何ができるのか・何をすればいいのか」を教えてやれば、それなりに楽しめるんじゃないだろうか。週末萌の様子を見て、ちょっとお試しに1ゲームやってみよう。

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■11/10/22(土) □ グレンモア超高速デモゲーム大成功
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午後、満を持して萌にグレンモアを教える。説明を短くするためにアクティベートと得点の処理は全部俺がやり(待たせないために俺自身の手番はタイルを取るだけで処理も適当にする)、萌には各タイルのコストと働きを教え好きなように選ばせてやる。タイルが4枚ほど並びアクティベーションで資源がぞろっと出ると萌がシステムに合点し、身を乗り出してきた。カタンじゃゲーム半ばくらいまで進まないと見えてこない豊作の喜びが、こうしてわずか数ターンで味わえるところがこいつの美点だぜ。

そして資源がたまると萌は、「じゃあ森を取って木を出して次の番で城を買う、どの城がいいの?」と、生産ゲームのキモを一発でわかってくれた。そうそう、それが楽しいんだよ。グレンモアは細かいルールを説明しだすとキリがないが、タイル選びと配置という一番楽しい部分はこうして、説明なしで即プレイできるのだ。とりあえず Castle Stalker を買いなさい、ワーカーが2人貰えてラクになるから。

R2 からはダミーのサイコロ操作とタイル選びと生産系アクティベートは自分でサクサクとやる。自分の手番がときに続けてくるのも非常に気持ちいいらしい。

そして後半はウイスキー樽をタプタプと生産し、タバーンを取ると酒場だ酔っ払ったといってウヒウヒいい、この町をドランクタウンという名前にするといって大盛り上がり。橋を取ると、「このブリッジでお父さんの村につなげられるよホラ」とつなげてくる(笑)。謎のネス湖を取るときにはそのタイルを取るために犠牲になる村人にも名前をつけていた。村や住民に名前をあげるとか橋をつなげるとか、そんなことは考えたこともなかったな。たちまちスコットランドの醸造所をめぐる物語が立ち上がってくる。橋をつないで隣村から泥棒が忍び込むなんていうイマジネーションが広がる。素晴らしい。これぞボードゲームの愉しさだ。

わずか15分で超高速デモゲームを終え、萌は気持ちよさそうにコインを銀行でポイントに両替し、順当な勝利。ウヒウヒと酔声を挙げながらMのところに行き、「麦を出して工場でウイスキーを作るゲームで、自分は酔っ払った」と報告している。これは行けるな。「こういうリソースプロダクション(生産)ゲームって面白いよね。作物を売ったり建物を買ったり、出た資源をまた売ってお金を取り戻したりさ」「ねー!」。よしよし。

というわけで、「グレンモア」というゲームの最初のとっつきの悪さをスピードでごまかす戦法は完全に成功し、いま萌は特別な土地カードをアルファベット順に並べビデオでタイルの解説を録画しながら第2戦を待っております。こりゃ初戦の手応えはカルカソンヌよりもいいくらいだ。何度もプレイして、いろんな店や城の効果を試すようになったらもっと盛り上がってくれるだろう。

やっぱり生産ゲームは偉大なのだ。ビギナーにとっても面白いに決まってるのだ。そしてグレンモアは、生産ゲームの金字塔カタンよりもはるかに面白い。サイコロ次第でそうそう思うように生産できないカタンより、自由度が高く生産と購入は最初からどんどんできるこっちのほうが、ビギナーにとっても気分がいいだろう。ルール面でのとっつきは悪いが、そこは購入者が熱意を持ちネス湖の犠牲となってルールを読みマスターすることで、このように克服できるのです。サイコーなのです。

2011/10/18

日記「グレンモアのデザイナーは天才だ」

末尾に《グレンモアざっくりインスト試案》を追加。(12/06/09)
「非直観的ルールの謎」「なぜ新しいゲームを買うのか」「バドミントン最高」

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■11/10/12(水) □ グレンモアのデザイナーは天才だ
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今日も夜はグレンモア・ソリテア。赤の俺が黄の俺のほしい生産タイルを全部奪う牛歩戦術で、ほとんどの農産品と麦とウヰスキーを独占する作戦に出た。黄の俺は1点も取れず Round 1 を終わる。


Iona AbbeyとLoch Nessのコンボは強力。
道と川が付いているので配置に工夫がいる
そこで黄は R2 から赤とかぶらない大量ワーカー獲得→首長点戦術を取り、Castle of Mey(首長数2倍カウント)で追い上げる。さらに強力タイル・アイオナアビーが出るまで数ターン小物タイルを拾いつつ最後尾で耐え(※)、出た瞬間にまる1周して首尾よくゲット。取れなかった麦畑の代わりにアイオナアビーで麦を出し(これをアクティベートすれば欲しい作物を出せる)、その麦でウイスキーを作り相手のウイスキー点を削るという、もーすんばらしい白熱のゲームとなった。ほしいタイルが出るまで最後尾で待つなんてことが可能なところが実に面白いシステムである。
(※)グレンモアでは常に最後尾のプレイヤーが手番となるので、敵を追い越さない限り何回でも続けて手番を打てる。そして自分の手番はどれだけ前方に跳んでもいいので、欲しいタイルが出たらまる1周することができる。

赤は生産タイルばかり取り村を取らなかったのでワーカーを増やせず、R2 の重要タイルを取れなかった。これは、初期においしい生産タイルばかり取っているとワーカーが増えず、中盤以降いいタイルが取れないというのもおそらくデザイン意図に入っているんだな。赤の領地は広大に広がったが働くワーカーが全体で2名しかいないので、後半はタイルを置ける場所が限られ得点機会が減少していった(黒いワーカー駒に隣接した箇所にしか新しいタイルは置けない)。

中盤以降のポイントを叩き出す強力タイルにはたいてい道か川がついており(上のアイオナアビーもそう)、これが置ける場所を限定する。したがってポイントを取る道と川付近に数名、資源を産出する平原にも数名とうまくワーカーを配置していないと、欲しいタイルを取れなくなり村全体の活性が落ちるのだ。おーいこっちで人手が足りず橋がかけられんぞ、隣村に作物を売りにいけん、何考えてるんだうちの村長は。突出した戦術には弱点が伴うという、素晴らしいデザインである。

結果として赤 54-黄 58、R1 での妨害から華麗な戦術で回復した黄のふさわしい勝利となった。感動。なんてすごいデザインなんだ。天才だな、このマティアス・クラマーというゲームデザイナーは。これがデビュー作だというんだから。

俺が初めてやり驚いたドイツゲーム・カルカソンヌは、「3種の地形を持つタイルを組み合わせ、ワーカーを置く」というシステムを作者が思いついたら後はすべてが奇跡的にうまくいった、まるで神様がくれたシステムみたいなものだと感じるのだが、このゲームは作者がピンセットと虫眼鏡で細々としたシステム要素を緻密に調整して組み上げた、天才的工芸品だと思う。素晴らしい。

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俺は大傑作「プエルトリコ」的な、資源で建物を買うとより多くの資源を産出するという拡大再生産ゲームが欲しかったのだが、グレンモアは富める者がより富んでいくわけではないので拡大再生産ではない。しかしそれが大きな美点となっている。収穫を元により大きな富を産むウイスキー工場や市場を建てるという生産ゲームの王道はきっちり遊べつつ、その富ソースが内陸になりアクティベートできなくなる(いつまでも同じ資産ソースには頼れない)というメカニズムにより、「勝ってるほうがより有利になり差が広がる」という拡大再生産ゲームの弱点が排除されている。驕れる者も久しからずなのである。

勝ってるプレイヤーが後半大きく有利ということはないので、前半振るわなかったプレイヤーもゲームを通じて何度でも得点エンジン構築にトライし、さまざまな工夫と努力を重ね頑張ることができる。サイコロ的な運によって自分のプランが台無しになるということはないので、負けたときも「ここの得点エンジンに期待したのだが、思ったほどの回数稼働(アクティベート)できなかった」という、結果への納得感が得られる。いやー本当にいいゲームだグレンモアとニヤニヤする日々。これは俺がこれまでやったボードゲームで最高だ。

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■11/10/14(金) □ 非直観的ルールの謎
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グレンモアは欠点としていろいろと人工的で非直観的なルールを持っているが、やり込むとそれぞれに理由があるのがわかる。誰もが最初に気づく「ウイスキー樽・カード・首長数で最小の者からの差分によりスコアが入る」という実に不自然な得点法も、しばらくやると

◆5個(8点)以上差をつけても点は増えない
→樽・首長だけで無限に得点することはできない
→樽数で追いつけないプレイヤーは無理して追わず他の方法を取りやすい
→最下位プレイヤーが1~2個樽・首長を作れば8点を5点以下に削れる
→樽プレイヤーも肉屋や市場(歳の市)を狙うので攻防が多面化する

と、差の拡大を抑制し競争を奨励するメリットがあるのだとわかる。差の拡大を止めるために単に「最大5個で8点」としてしまうと5個以上作る意味がゼロになってしまうのだが、差分なので追いつかれたリーダーは「いかん隣村もウイスキーを作り始めたぞ、即急に麦を工場に送れ!」と再生産を命じ(こういう表現ができるところが、テーマを持つボードゲームはうっとりするほど楽しい :-) 、また最大の8点に戻せるのだ。これは実際面白いインタラクションである。

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で唯一俺が納得できずソリテアでは不採用にしていたのが「タイル数が最小数の者より多いプレイヤーは、1枚につきマイナス3点」という最終精算のデカい罰点で、いいタイルを取るために大跳びをすると手番が減る→タイル枚数が減る→でもタイル数が少ないほうが実は最終精算で有利というのはおかしいではないかと思うのだ。この点を BoardGameGeek のグレンモアフォーラムに問いかけてみる。すると目からウロコの回答がドシドシと寄せられた。

◆タイル数を制限するルールがなければ
→なんでもいいから雑魚タイル大量ゲット&アクティベーションしまくりが強力になる
→城タイルのボーナス(Duart Castle+無数の村など)でいくらでも点が取れるようになる

つまり制限がなければ Duart Castle と村 10 個で 30 点なんていう興ざめな戦法も可能になり、ゲームとして牛歩戦術が最強となってしまうということだ。そうか、分かった。「タイル数が少ないほうが有利なルール」はヘンとしか見えなかったが、視点を逆にすると「タイル数を増やすと不利なルール」なんだ。俺がやる程度の半端な牛歩戦術ならともかく、本気で枚数を増やすとキリがなくなるので(ゲーム時間も伸び対戦相手はゲンナリするだろう)、一見大きすぎるように見えるほどの罰点が抑止力として課されているのね。

これがわかり改めてマイナスルールを採用しソリテアをやってみると、「無駄取りは不利」という要素が頭に入り、敵はほしいが自分はいらないタイルを単純に奪うことに歯止めがかかる。たとえば自分にとって必要のない2件目の蒸留所を、「敵が取るのを防ぐためだけに取るか」というところでの判断が変わってくる。取っておけば敵がウイスキーを作り追い上げてくるのを防げて安全だが、たとえ追い上げてきてもそれは現在ある自分の蒸留所に増産せよと号令をかければ無駄タイルの追加なしに対処できるわけで、「稼働しない蒸留所を作ってもタイル数が増えるだけだ、もっといいタイルを取ろう」という判断がアリとなるのである。そしてこっちの方がゲームは面白い。なるほどー。

また敵がどんどんタイルを取っている場合は、自分は増やさず相手のマイナスを増やすという戦術もあれば、こっちも取るタイルを大胆に増やして対抗することもできる(※)。なるほどー。つまり、差分スコアもタイル数マイナスルールも、インタラクションを増やす要素になってるのね。納得しました。

【追記】実際のところ小さな村で効率的に勝つのはかなり難しく、タイル数を気にせず取りガンガンアクティベートし点を稼ぎ重税を収めるほうが、戦術的にも幅があり若干有利だと後に判明。つまりこの「土地税」は、村々の果てなき拡大競争を抑制するために必須なのだった。


しかしファン同士でこうした不可解ルールの謎解きや解釈をするのは文学やロックみたいで楽しいけれど、一般人にとっては直観的プレイを妨げやる気を削ぐ「へんなルール」にしか見えないわけで、ボードゲームのデザイナーは一見して自明ではないルールはその理由をしっかりと明記公表してほしいと思う。

大抵のゲームにそうした非直観的ルールはあり(チケライが残り列車2個で終わりとか、コロレットは人数が何人でも15枚目に終了マークを入れるとか)、そういうのは家族や非ゲーマー友人への説明時に Why? と言われて困るのである。カタンの8枚バーストも同じだ。

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というわけで、これでグレンモアの全てのルールが落ち着いた。以下の2点だけハウスルールを適用:

【最終手番】「ラストタイルが出たら終わり」ではなく、「全員もう1手番やって終わり」というチケットトゥライド方式。自分の最後の手番は正確には知れないので(最後のプレイヤーが何タイルスキップするかで大幅に変わる)、最後に1手番がないと悔いが残りすぎる。
【Loch Oich】全部のタイルを一度だけアクティベートできる Round 3 のパルプンテ的タイル・Loch Oich は、終盤に出ると際限なく点が入り興ざめなので、R2 タイルの中に混ぜるとちょうどいい(BoardGameGeek ではこのタイルを抜いている人もいる)。これは必須の変更だと思う。

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■11/10/11(火) □ なぜ新しいゲームを買うのか
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夜Mとチケライ Euro をやり、熾烈なレースを楽しみつつもグレンモアで生産したいなあと思う。ゲーム後さりげなく「じゃあ新しいゲームも見てみる?」と持ちかけると、「私はおなじみの古いゲームをやりたいのだ、新しいのはイヤだ」と断られた。そんな理由があるかしら(泣)。

「チケットトゥライドをまだ楽しんでるのになぜ新しいゲームを買うのか」とも言われた。そんなことを聞かれても....(汗)。飽きたから買い換えるわけじゃなくて、まだ見ぬ新しい面白さを足していきたいのだが。Mはボードゲームが俺の趣味だということ自体気づいてないんじゃないかと思う。

新しいゲームをやりたいのは、簡単にいえば今までしたことがない体験をしたいからだよな。優れた新しいゲームをやるたびに、目からウロコの快感を味わえる。カルカソンヌのシンプルさと深みの落差を超えるものはさすがにそうないだろうが、グレンモアでも新しい体験が毎日できている。

昨日のようにフォーラムや Twitter でファンとゲームの評価や解釈論議をすることはとても楽しい。作品を味わい作者の意図を解釈しそれについて考え語り書くことが楽しいのは、文学音楽映画スポーツTVゲームといった趣味となにも変わりない。

つまり家族と楽しく晩飯後の時間を過ごすことだけがボードゲームの目的なのではなく(うちの奥さんはそう思っている)、新しいボードゲームのシステムを味わい驚き楽しむこと自体が趣味として面白いのだよ。奥様にはそこがわかってもらえないので、新しいゲームの導入にはいつも苦労するのであります。

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■11/10/17(月) □ バドミントン最高
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【バドミントン2回目】うちの前で毎日練習し、「ジムでは風がないから外でやるよりずっと簡単に打てるよ」と萌に言っていたのだが、期待通り萌は先々週よりはるかにクリーンに打てるようになっていた。それに今日のコーチは中国ではかつて名の通ったプレイヤーだったのだろうと思わせる美しいフォームのおじさんだったのだが、これが先々週のひっつめ髪女子よりもさらにいいコーチで、体の前でしか打てない萌の弱点を矯正するために何度も何度も手本を見せ、フォームを修正してくれた。

萌はつまり両目のセンターで捉えられる体の真ん前で打つときは確実に打てるのだが、体の側方では遠近感が変わるためかからっきしミートできなくなる。だから横に飛んだシャトルは空振りするし、近くにきたシャトルも常に体の前方で打つのでフォームが崩れ、バックスイングを取れないのでインパクトが弱い。シャトルをサイドで捉えることで強く打てるようになるし、動体視力と空間認知を鍛えることができる。なるほどー。

運動音痴の萌は1回は言われた通りにできてもすぐにダメになってしまうのだが、コーチは辛抱強く何度も何度も教えてくれた。体の側方でミートすることはまずサーブで練習できるので、うちでもやらせよう。バドミントンは最高だ。



【追記】2012/06/09
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■《グレンモアざっくりインスト試案》
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グレンモアはクイックでいいゲームで、タイルを買って、置いて、アクティベートという三原則に従えばすべてがきちんと動くクリーンなゲームでもあるのだが、ルール説明は相当にめんどくさい。そこでタイルの補充や作物相場、ミープルの移動法など細かい処理や説明はすでにわかっている人がやりながら教えてあげるという前提で、どこまでルール説明を単純化して未経験者をゲームに導入するかを考えてみた。まあ、めんどくさいゲームが嫌いなうちの奥さんにいつかインストするための覚え書きである。

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■1) ゲーム概要
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□スコットランドの村で作物を作り、その作物を売買したり強力な城や店を買ったりして村を発展させるゲーム。
□タイルを買って自分の村に置くとその地区が活性化し、接するタイルのすべてで生産や商取引などが起きる(「アクティベーション」)というのがゲームの特徴。
(この2点を説明したらもうゲームを始めてしまう。)

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■2) 手番でやれること(三原則)
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□【1. タイルゲット】タイル(畑/店/城/村ワーカー)は中央の町(市場)から取る。常に最後尾のプレイヤーが手番となる。
○タイルの購入に作物が必要な場合は手持ちの作物を使うか、足りない場合は初めに6金配布されるお金で作物を買って支払う。
【追記】ゲームの終わりに村のタイル数を数え、最小村からの差分x3点の土地税がかかることを説明しておく。安い資源タイルをガシガシ取り作物を増やすとゲーム進行上有利だが、あとから重税がかかるというシステムになっている。


□【2. タイル配置&アクティベート】タイルを自分の村に置く。
○ワーカーがいる地域にしか置けない。タイル置きルールを実例で示す。
タイル右下に「取得ボーナス」マークがあれば、最初にそれが産出。
○続いて置いたタイルとそれに接する八方のタイルすべてで1回ずつ作物生産、ウィスキー醸造、ポイントゲット、ワーカー移動などなど、タイル下中央に書かれた生産活動(「アクティベーション」)が起きる。アクティベーションは自分が最適と思う順で自由にできる。アクティベートで麦を作りそれを隣接の酒蔵で酒にするというのが典型的な手順。

□【3. 作物の売買】
作物の売買は手番中何度でも自由にできる。アクティベートで出た石を売った金で麦を買い酒を作るなんてこともOK。買いだめ(買っておいて手元に置き後で使うこと)だけは市場経済を壊すのでできない。

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■3) 得点法(五種)
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□【1. 作物→肉屋/歳の市】作物を売れば即勝ち点ゲット。
□【2. 城、湖】出てくるごとに各種効能を説明。最終ボーナス点がつく強力タイルは念入りに。各城タイル用の効能カードを見えるところに出しておく。
□【3. 麦+蒸留所=ウィスキー】酒は売れないが村を潤し(?)、3つあるラウンドの最後に点となる。リセットがないので同じ酒樽で最大3回点が入り、序盤に作れると強力。後半に飲み屋も作れる。
□【4. ワーカー引退→首長】「ワーカー移動」アクションで余剰人員を引退させ村の首長にすることができる。これが村のステータス(?)となり、酒同様リセットなし最大3回得点。城ボーナスと合わせると強力。
□【5. 城・湖の所有数】酒、首長と同じく各ラウンドの最後に最大3回得点。

○各ラウンド最後のタイルが出た時点で、上記酒・首長・城所有数の《ラウンド精算》をする。最小保有者からの差分で計算する。この「差分」概念は説明が面倒なので、経験者がさくっと計算。

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■4) ゲームの終わり
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□R3の最後にはラウンド精算に加え、城ボーナスの精算、1金x1点の換金を行い、
最後に土地税を払いスコア確定。最小タイル数の村との比較で超過タイル数x3点の土地税を払い清算終了。



◆こうして書くとサマライズしても相当にルール量が多いが、実際にやりながらだと簡潔に説明でき、娘にはわずか15分で理解し遊んでもらえた。一度やってもらえば、あとは各タイルの効能特徴をプレイしながら教えていくだけで、誰にでも村の機能をデザインし戦略を練る楽しさを味わいつつ、経験者といい勝負がしてもらえるゲームなのである。

2011/10/15

ソリテアで楽しきグレンモア

「新ゲーム候補・グレンモア」「ひょろひょろバドミントン」「初の居残り」「予想以上に難しいグレンモア」「資料を揃え本格研究」「楽しくなってきたグレンモア」

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■11/10/02(日) □ 新ゲーム候補「グレンモア」
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こんな感じに個々の小さな集落ができる
「ボードゲーム 拡大再生産」でひたすら検索を続けて、ついにプエルトリコより軽そうなゲームが見つかった。「グレンモア」という、スコットランドの牧草地帯をタイルで表したゲーム (iska の道楽日記「そこそこの時間で楽しめる拡大再生産ゲーム」)。土地の購買、資源産出、加工、売却、建物効果と俺がほしいものが全部あり、ルールを読んでいるとワクワクしてくる。これは面白いに違いない。45 分で終わり、2人戦もきっちり面白いとのこと。これだ。

問題はチケライと違い、萌とMが気に入り、やろうと誘ってくれるような軽さと華やかさに欠けていそうなことだな。タイル1枚1枚はきれいだが、機能タイルなので並べても景観はできず美しくないのである。カルカソンヌみたいに美しい領地ができ、そこに建物があるという絵柄になれば印象は全く違うのだが。

それに建物種類が多い=処理が煩雑ということなので(だからいろいろできて面白いのだが)、導入に失敗するとプレイを拒否されそうである。その辺はやってみないとなんとも言えない。


グレンモアの元ネタ? アルハンブラ
これと見た目がそっくりでファミリーゲームとして評価が高いアルハンブラというのも浮上している。これはみんなが問題なく楽しいだろうが、ルールを読むと「カードを集めタイルを買い並べて各色が多いものがポイント」とある。つまりチケライとカルカソンヌとコロレットがあるうちでは、このゲームで新しい要素はないわけだ(笑)。やっぱ町を作ったら生産したいに決まってるわけで、アルハンブラプレイヤーのその当然の欲求がグレンモアを作ったに違いない。

ボードゲームで生産をしたい。プエルトリコやサンファンの面白さを、萌とMにもやらせたい。別に勝たなくても自分の町構築と生産と拡大が楽しめれば、萌もMも喜ぶと思うのだ。

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■11/10/04(月) □ ひょろひょろバドミントン
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手足がひょろひょろと伸びすぎて運動神経が鈍い萌の hand-eye-coordination(動体視力系)と敏捷性を鍛えるため、今日からバドミントンのレッスン。行ってみたら生徒とコーチが全員アジア人で、ああそうか、バドミントンはアジアのスポーツなのかと気がついた。中国とマレーシアあたりが強豪だったもんな、たしか。

そしてヘッドコーチは頑固そうなオヤジで、意外やお楽しみ要素皆無のシリアスクラブだった。上級者は素振り百回、萌たち初級者は床に投げられた羽根を素早く拾い投げるという反復練習から始まる。うひゃー、こりゃマジだ。

萌はナニコレなんなのという顔で嫌々やっているが、なにしろ羽根を投げるとき左を前足に2軸動作で投げることすらできない運動音痴なので、体を動かせば何をやってもためになる。右を前足でしばらくやっていると、コーチが直してくれた。よしよし。過去に萌が入ったスポーツクラブの中にはやる気がまるでないコーチも多く、こういう明らかに駄目なフォームを放置されたりもしたのである。このクラブはためになるためになる。


ほんとにヒョロヒョロな娘ざんす
次にようやくラケットを持ってサーブの練習。萌は当然ながらまるで羽根にラケットが当たらない。これはまあ予期した通りで、萌が空振りを続けていると中国体育公司羽球部出身風ひっつめ髪の女子コーチがやってきて(萌によるとやはり英語は少しなまっていたとのこと)、羽根から手を放し落ちてくるところを迎え撃つのよという感じでコツを教えてくれる。これで 1/2 回くらい当たるようになった。萌は遠目にもうれしそうである。よしよし。

しかし回りのレベルが高いのが予想外だった。体育館のこちら側半分の上級エリアで全力ラリーをやってるシリアスにうまい小学生たちは、どう見ても中高で州選手権を目指すような子たちだ。このクラブはおそらく地域で真剣にバドミントンに打ち込む子供が入る、虎の穴的クラブなんだろうな。

続いてシャドウレシーブ動作をしてからバックステップしオーバーヘッドで打ち返すという練習。これはもう動体視力ゼロの萌には無理に決まってるのだが、それでもサーブをくれる子がかなり上手でいい弾道のサーブをくれるので、1/4 回くらいは打ち返せていた。これも楽しそう。こりゃいいぞ。これまでやったサッカーやホッケー、つまり下手な子は手も足も出ずただ立ち尽くすだけだったチームスポーツとは違った手応えがある。

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ジムから出てくると萌は、超楽しい、もうバドミントンに夢中だと声が弾んでいた。やっぱバドミントンは楽しいよな。ラケットを使うスポーツで一番素人が楽しめる種目だろう。羽根がゆっくりと落ちてくるから、駄目かと思っても間に合うんだよね。私も高校の時大好きで、県大会に出てる選手に挑戦して1ポイントも取れずヘロヘロになったりしたよと体験談を話す。頑張って楽しんでくれ。うちの前の道でも練習できるしな。

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■11/10/06(木) □ 初の居残り
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この学区だけかもしれんが、カナダ小中学校では百科事典みたいな巨大ハードカバー数学教科書を生徒がレンタルして代々使うというシステムになっている。5キロもあるバカ本(いったいどうやったら数学教科書をあんなにでかくできるのだ)を子供が毎日運ぶことが馬鹿馬鹿しい上に、レンタルなので理解を助けるために書き込みすることもできない。さらに宿題では、教科書が手元に残らないからだろうが数学設問の文章までノートに書き写せと命じられる。信じられん。そんな無意味拷問的作業はやめろ答えだけ書けくだらんと俺は昨夜萌に命じたのだが、そのせいで今日彼女は初の居残りになってしまった。

もう我慢ならんと低能固陋数学教師マダムザザ(仮名)に抗議しに行くと、高圧的でいかにも物分かりの悪そうな銀髪の鬼婆……ではなくて、俺よりずっと若く優しそうな先生が出てきた。ありゃ。こりゃどうもとなぜか途端に冷静になった俺は、紳士的態度で質問する。「―――文章問題のコピーなんて意味のないことはやめろと私が止めて、それで娘が居残りになり悪いことをしたと思ってるんですがねえ。一体なぜ文章をコピーせねばならなかったのか。いかような教育的意図がそこにあるのでしょうかねえ?」

するとマダムザザは全文コピーなどとは言っておりませんわ、テストのため復習する際ひと目でわかるよう、また生徒が各問題について実際に考えたことを示すため、問題の要点をノートに書き留めなさいということなんですのよと答える。

なるほど。すると全文逐語コピーじゃなく、単に《自分のための要点メモ》でよいと? ――そうですわ。そうですか。そうですわ。――といったあたりで談話終了。本当はこの膨大な量の宿題を全部やめてくれ、これじゃあんまりだ子供ライフが台無しだと言いたいのだが、他の生徒もいる手前そこまでは言えなかったのであった。まあ一歩ムダ削減か。やれやれ。日本の学校は詰め込みで海外の学校は自由だなんて、まったくの嘘だよな。どこから発生したのかという都市伝説のたぐいである。

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居残りになって悪かったね、先生とは話したよと謝り、萌と家に帰りバドミントンをした。萌は本当に動体視力がないのだが、それでも振りを小さく速く、シャトルは落ちてくるのに時間がかかるから、よく見てステップすれば落下地点に入りフォームを崩さず打てると指示していると5回くらいラリーが続くことがあり、気持ちいーと叫んでいた。よしよし。とにかく敏捷性とボディバランスと判断力と動体視力、このすべてを鍛えていこう。

晩飯後暗くなってシャトルが見えなくなるまでもう一度バドミントンをし、そのあとまたパフュームのビデオを一緒に見たり、友達のことなどいろいろと話をしたりした。やっぱTVを消すと話が弾むな。

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■11/10/07(金) □ 予想以上に難しいグレンモア
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ニューウエストのゲーム屋でついにグレンモアをゲット。あそこのオヤジは俺がこれで購入4~5個目だというのに、そして俺はおそらくそれなりに珍しいだろう外国人ゲーマーだというのに、毎度ありがとう的態度が全然ない。カナダじゃ珍しいくらい口下手な人らしい。

「グレンモア」は箱を開けてみて驚いた。ち、小さい。タイルはカルカソンヌより1回り以上小さく、城カードも小さく、説明書とそのフォントまで小さい。トラベル用ミニチュア縮刷版ゲームという感じ。小さいタイル上の極小アイコンは正直見えない(見えないほど極小なアイコンは1枚だけだったので、これは木と石と覚えてしまえば支障はなかったが)。箱の仕切りも他のゲームの流用で、パーツが全然きれいに収まらない。いろんなところでコストをカットしていることをヒシヒシと感じる。

ともあれソリテアで始めてみると、やはり連鎖処理が難しい。置いたタイルの8方向がアクティベートするというのを忘れそうになり、まごまごとキューブを置いていく感じ。産物は思ったよりも大量に産出し、市場に売れる量は決まっているので処理に困る。

3周くらいしたところで産物をポイントに交換できる Annual Fair(歳の市)を取れ、これで余剰の産物を一気に5点に変換。うおー気持ちいい。これだ。序盤はこの Fair の回りに俺の村を作っていけばいいのだ。次に持ってない産物を買ってそれを使い初めて城を買い建てる。美しい。これを建てることでまた産物が出て、購入費用はその場でペイできる。楽しくなってきた。

ソロ(相手はダミー1名)で1回最後まで回してみた感想は、やはり難しい。置いたタイルに接する全タイルにアクティベーションが起きるというのはカルカソンヌの建築士と似て人工的で非直観的なルールなので、えーととこれか、いやこれはさっきもうやったかと考えないと処理できない。かなり慣れが必要だ。中間決算も最終決算も、どれを計算するんだっけと悩む感じ。全体にまごついている。これを家族に楽しんでプレイしてもらうには、よほど俺が熟達し、ルールをスムーズに説明し処理を明解にやらないと無理だなー。

それに処理手順が説明書からはわからないものがいくつもある(ネス湖の処理など)。このルールの曖昧さが片付かないとゲーム全体を集中して楽しむに至らないという感じ。そうした細々を BGG で調べ整理してからでないと、当分対人プレイはできなそうだ。ルール全体は REDHAWK_Black さんの写真付き日本語ルール解説ページをメインに、わからないところを BoardGameGeek(英語)で検索する感じで進む。

もう一度プレイすると少し流れが出てきたが、家族ゲームとして捉えるとこれは難しすぎるかもなー。これがもし家族でプレイできなかったら、あきらめてカタンの中古でも買おうかと思いつつ寝る。

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■11/10/08(土) □ 資料を揃え本格研究
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グレンモアをやりたくてバキっと目を覚まし、これまで手に入れておいた資料を精査し、「特別な土地」写真一覧と、各タイルの詳細を俺が整理しなおしたチャート、ルールサマリーの計3枚をプリントした(どれも英文)。これでようやくプレイに支障がなくなる。カードを使うゲームはすべて、最初からこれくらいしといてもらいたい。

ソロ3回目は森を取っておかなかったのが失敗で、R3 の段階では取れるカードがなくなり手詰まりになってしまった。失敗した、やり直したいと強烈に思う。そう思うということは面白いということだ。面白さレベルとしてカタンくらいになってきた。

これは想像してた自分のイメージ通りの町を作るという感じのゲームではなく、手に入るタイルを組み合わせポイントを搾り出していくゲームだな。初期の生産地がだんだん内陸になりアクティベートできなくなるので、得点法を新たなプランへとシフトしていく必要がある。そこが難しく考えどころだが、重要なウイスキー工場を初期に建てても、だんだんその工場のアクティベート機会が減るのでそれだけで独走はできないという優れたバランス取り装置にもなっている。実にクレバーなメカニズムだ。

資料も揃ったしおよそのプレイ感覚は掴めたので、1人2役+ダミー1名の2P戦をシミュレートしてみる。赤と黄で黄をメインにプレイ。赤に工場を取られウイスキーは作れん、ここは肉屋と歳の市作戦だとサンファンのように見通しが立つようになってきた。プラン通りに歳の市でコツコツ稼ぎ、最後に教会のアクティベート効果で産物を5色揃え、それを歳末大歳の市(一番大きな Fair)に出し 12 点を加え、53 点。よし、会心の勝利。面白い。

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夜最後のソリテア2P戦は 62-61 と驚くべき接戦。一日中ソリテアをやってみて現時点での感想としては、戦術がやや単調かなというところ。少しやれば木と石と麦(ウイスキー)がなければ駄目とわかるから、ソリテア2P戦では序盤はまったく同じミラー戦術になってしまう。そして主要な得点源であるウイスキーを競って生産し、中盤の引きでできるだけいい城を取ろうと努力し、最後のまとめで歳の市を使って終わるというパターンに固定しかけている。これじゃちょっと戦術的に淡白すぎるな。

しかし BoardGameGeek を読むと、ウイスキーなしで勝てるという人も多い。明日はウイスキー対それ以外でやってみよう。

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■11/10/09(日) □ 楽しくなってきたグレンモア
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【ウイスキー対それ以外】赤がウイスキー量産に成功し大量9個生産。タベルナも合わせて 62 点のハイスコア。黄はテストのためウイスキーをわざと生産せず、肉屋と歳の市で稼ぐつもりだったのだが、畑類をあちこちに分散させのが失敗で一向に売るものが取れない不作に悩み、村x3点の城で一矢報いただけに終わり 49 点。ウイスキーゼロで進むなら畑類を集中させ、毎回順調にアクティベートできるよう最低でも牧場・肉屋・畑のどれかをダブルで量産体制にすべきだったのだろう。

しかし赤にはザクザクと作物が出、黄は不作に悩みつつ大物城タイル獲得にギャンブルで逆転を狙いと、別の戦術を取ったことにより明暗が分かれ面白いゲームだった。昨日の2P戦は全部同じ戦術だった(それしか俺にはできなかった)からイマイチだったんだな。

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萌とのバドミントンの合間に、ウイスキーなしで樽(ウイスキー生産)農家に勝てる方法はないかあれこれとトライを重ねる。何戦目かで樽農家に2件目を取らせないために自分が蒸留所を取り、他は思うようにプレイして熱戦となる。結果としてまた樽プレイヤーが勝ったが、これはウイスキーなしでも勝てるなとわかってきた。樽と同等の点を取れる首長などのオルタネイティヴ得点源も豊富に用意されている。今度は肉屋&首長点戦法を試してみよう。こうしていろいろ戦術を考えること自体がやはり楽しいタイプのゲームである。BoardGameGeek の戦術・ルールフォーラムを読むのも楽しい。


小皿がたくさんほしくなるキューブたち
こういうキューブやチップがある本格ボードゲームを持つのは初めてだが、サイズ的にミニチュアとはいえやはりなんともいえない気持ちよさがある。作物がじゃらっとタイルに乗るのは理屈抜きにうれしいし、スコアも実はカルカソンヌのスコアボードを使ったほうが計算は楽で正確だが、自分のアクションの結果チップをもらったり、それをまとめて両替することにはなんともいえない満足感がある。チップは単なる厚紙なのだがさすがは Alea という大メーカー製で、数枚手に取るとチャリっというプラスチックとは違ったいい音がする。たまらん\(^-^)/。

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■11/10/10(月) □ ソリテアで楽しきグレンモア
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グレンモアソリテアを続行中。1人2役でも付属の特製サイコロによるダミーが頑張ってくれて本当に面白い。マーケットの取引もサイコロがやってくれるともっと面白いなと思い、ダミーが生産タイルを取ったらその作物価格をサイの目に従い上下している。現在の価格より上のサイの目でそこに止まった場合はアップ、逆はダウンという感じ。これはやってみると非常に良い塩梅に働く。

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┃ ソリテアのみのグレンモア感想 ┃
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戦術的バラエティは期待通りに多彩で面白い。その分悩むことは多く、相当に慣れてもタイルの選択には時間がかかる。カルカソンヌなら「ここに置けるタイルがほしい」という待ち受けポイントを作り、出たタイルを見て次の手をほぼ瞬時に判断できるのだが、グレンモアは取れるタイル約 10 枚と自分の領地を見比べて、最も有効なポイント産出メカニズムを発見しなければならない―――というかしたくなるので時間がかかるわけである。まあ俺は1人2役ゲームなので、待ち時間に次の手を考える暇なく2人分をずっと考えており、それで時間もかかり悩むというのもあるが。

このように考えどころが複合的でときに難しいこと、システムがやや非直感的でとっつきが悪いところ、見た目が小さく視認性が悪いところ、そしてルールブックに不備がありこれだけではプレイしにくいところ(※)と、欠点はある。しかしゲーム自体のデキは素晴らしい
(※)BoardGameGeek のグレンモアフォーラムではルールの議論が一番多く、ファンによる英語版全文改訂訳が出ており、フォーラムではこっちが公式ルールになっている。
とっつき悪さの壁を突破すると、すべてのルールは「取って置いて自由にアクティベート、売買はいつでも必要なだけ自由に」という3つほどの手番原則に則っており、妙な例外はなく、その原則通りにプレイすればほとんど何をしてもいいゲームなのだとわかる。超自由度が高いのだ。何をしても壊れないほどシステムは堅牢で、そして間違いなく面白い。カルカソンヌにほしかった生産要素が加わり、カタンではサイの目に翻弄されコントロールできない資源産出が自分でデザインでき、プエルトリコでは限定されていた得点法がより多岐にわたっている。これは面白いに決まってると、購入前にルールを読んで想像した通りの面白さがある。

今日最後のソリテアでは、赤が樽5差をキープし順調に進み、強力城タイルも有効に使い大量 55 点を取る。黄は初期は樽の5差を削ろうとしたがあきらめ、首長点を増やすメイ城もダミーに奪われたが、産物を選択して出せる「アイオナアビー」と毎ターン1タイル余分にアクティベートできる「ネス湖」を組み合わせ、毎ターン確実に3種の産物を揃えて小市場に出し 5pt を生み出す省燃費エンジンを組み上げ、村数×3pt のデュアート城ポイントも加えて 61-55 の逆転勝利。やっ・た。ウイスキーなしでの完璧な勝利。サイコー。これが Youtube でレビュアーが言っていた「小さな得点エンジンを組み上げる喜び」だ。これはカタンでもプエルトリコでも味わえないのである。

というわけで夢見たような牧歌的な箱庭ゲームではなかったが、俺にはプエルトリコよりもはるかに面白い。まったくゲーマーではない家族が楽しんでくれるかはわからんが、1人2役でもどちらかを勝たせたいと思えば、知恵を絞りスリルに胸が鳴るくらいに面白い。ダミーがよく仕事をするとは事前に読んでいたが、1人2役でも面白いというのはボーナスだった。ありがたや\(^-^)/。

2011/10/05

日記「カナダの大声生活考」

「クラリネットの異常な難しさ」「フレンチエマージョン非効率」「パフューム礼賛」「サクセスな日」「安定ゲームはボリュームに支えられている」「ストーンエイジ期待はずれ」

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■11/09/24(土) □ クラリネットの異常な難しさ
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吹奏楽に入った萌がレンタルしたクラリネットを吹いてみて、なんと音を出すのが難しい楽器なのかとびっくりした。リードがついてるから金管より楽だろうと想像してたのだが、リードが全然振動してくれない。あれこれトライしているとたちまち酸欠になる(ハァハァ)。

リードの取り付け方が悪いのかと教本を見てみたが、これがいかにも英語世界の教本で、「マウスピースの平らな面にリードの平らな面を髪の毛1本分ずらして…」と文章で書いてある。図を1個つければ一発でわかるのに。クラリネット本体の組み立て方も図がなくて苦労したのだ。

ともかく萌に課題その1をやらせてみると、G を吹いても G の音が出ない。ピアノで音を取ると F になっている。なんなんだこれは。もしかするとこのクラリネットと教本の「Bb クラリネット」というのが違うキーなんじゃないのか? わからん(※)。
(※)ネットで調べると「クラリネットの解放音は G(実音 F)」という記述が見つかる。意味がわからん(苦笑)。


あとで調べたら日本の教本の
ほうが指使いの指示まであり、
親切だった。やはり。
英語で書かれたマニュアルはほぼ全部バカだと俺は思っているが、クラシック楽器教本はそれにバカの輪をかけている。これほど音が出ず教本がヘルプにならんと、モチベーションを保つのは非常に難しい。

というわけで萌はげんなりして中止したのだが、そこへ帰ってきたMがさらに萌に吹くよう命じ、どう努力しても出ない音は出ないので、萌はとうとうフラストレーションに泣いてしまった。これは難しい楽器を選んでしまった。はあ。誰でも弾けるギターはなんてラクな楽器かと思う。

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午後は気を取り直し、萌の学校裏のリバートレイルへ萌を連れていく。前回学校のMTBクラブでここを走った萌は靴ひもが絡まって転び、自転車も不調で皆に置いていかれてしまい、付き添いの先生と2人だけで落ち込みつつ彷徨ったのだそうだ。今日は自転車の調子は完璧だし靴も安全なやつに買い替えたしで、萌もうれしげな爽快ランだった。

帰りは萌に案内させ、迷って彷徨い見つけた道から学校の敷地内を通って帰る。これは前回の失敗でくじけたMTBマインドを癒し自信を培うのに最適なツーリングだったろう。

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■11/09/25(日) □ カナダの大声生活考
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NHKドラマ「生むと生まれるそれからのこと」を見る。こういう声の小さな日本人たちの物語は大好きで、実に面白いと思う。俺がカナダのTV番組にまったく興味が湧かないのは、これの正反対で大声のアメリカ・カナダ人の怒号とジョークに満ちているからだよな。

どんなことでも大声で明確に言語化しないと意志が通じないのが、カナダ生活にまつわる最大の疲労だ。老若インテリジェンスに関係なく皆さん察しが悪く、何の話をしてるかがわかるまで理解のスイッチが一切入らないという感じ。話の大半を喋ってから「いったい何の話なのだ」と険しい顔をされると、いやもういいすよたいしたことじゃないしとコミュニケーション心が折れる。

俺の喋りが下手なのはあるとしても、話を聞きながらコンテキストを類推し耳をチューンしていく能力が、カナダ人は日本人よりだいぶ低い。MKのように、どう切り出しても俺が何の話をしているか一発で察してくれる人のほうが珍しい。MKの体と声はでかいが、聴覚というかコミュニケーション力は声の小さな日本人的なのだ。

日本人はコミュニケーションが下手だのなんだのとよく言うけれど、英米加人はギャップがあっても体力で強引に乗り越えコミュニケーションするというだけの話であり、言語化未満の疲れないコミュニケーション能力では、日本人のほうが格段に上だろうと思う。

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■11/09/26(月) □ フレンチエマージョン非効率
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今日も萌が延々と宿題に時間を取られる。あまりに遅いので何が問題なのかとチェックしてみると、フランス語の新語を辞書で調べろという課題で、その語義をフランス語で書かないとならないので頓挫している。萌の持ってる辞書は仏英だけなので、意味はわかっても答えを仏語で書けないのだ。

そこでオンライン辞書サイトに連れていき、仏英と英仏辞書を並列で開かせ、コピー&ペーストで作業を大幅に効率化して残り20個を終わらせた。こんな課題はさっさと済ませていいよ。紙の辞書でコツコツ調べたほうがいいなんて私は全然思わないから。だいたい言葉の意味をその言語で書けといわれたら、それはどんな言葉でも相当に大変な課題である。無神経にそれを30個も出すほうが悪い。

カナダ中学仏語科(フレンチエマージョン)ではこうしてすべてをフレンチで書かねばならず、宿題に限らずそれが子供の労力と時間を無駄に奪っているように思えて仕方がない。外国語を習得するにはその言語漬け(エマージョン)にするのが一番という考えに基づいているのはわかるが、その考え方自体が疑わしい。喋るのと聞くのはそれが最良に決まっているが、覚えることや考えることはすでに備わった母語とそれにより構築された思考方法を活用したほうが効率が高いと、俺は実体験から思う。

俺は英語は日本で日本語の教本を買っての独学だったが、もしカナダに来て英英辞書しかない環境で英語を学んでいたら、耳と口は短時間でより高いレベルまで達したろうが、語彙と文法は耳と口のレベルに追いつかなかっただろう。

今萌がいるのはそういう環境だと思うのだ。選択可能な仏語学習環境で最強なのはわかるが、効率は悪いと思う。効率の悪さゆえカリキュラム的には英語の学校より遅れているだろうし(別にカリキュラム進度など気にしてはいないが)、宿題も他の学校より多い上に、数学の宿題をやるのに子供が問題を英語に苦労して訳しない限り親はヘルプできないわけで、馬鹿げた時間と労力がかかる。高い負荷で目的を達成するのだから、これは一種の詰め込み教育である。まあ本人が文句を言ってるわけじゃないから、とことんサポートしていくしかないが。

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■11/09/27(火) □ パフューム礼賛
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このビデオのパフォーマンスも
衝撃的にかっこいい。
パフュームにめちゃめちゃはまっている萌がMに「ボイス」のビデオを見せたのだが特に反応はなし。後から「あれはどういう歌なのだ、恋とダイヤモンドがほしいという(よくある)ポップソングなのか?」と聞かれ、歌詞を改めて読んでみると、なかなかいい。未完成でぎくしゃくしたカップルが、声が聞こえれば一瞬の恋に胸がときめくという歌らしい。

パフュームってじっさい歌詞がどれもいいよな。新しいアパートに入ったときめきに踊る「ワンルーム・ディスコ」とか。その歌詞も合わせて紹介し、「というわけで俺は彼女らの音にはあまり興味はないのだが歌詞はいいし、あのダンスの動きは革命的だと思う。萌が好きになるのも道理」と説明。

さらに「髪を染めてないし、セクシーなことをせんし、喋るとバカじゃなくて感じがいい」とパフュームの美点をとくとくと説明してしまった。何をやってるんだ俺は。だけど言いながら気づいたのだが本当なんだよな。パフュームには Jpop 的ボンクラさがない。「信じて待って」ないで自立している。

アイドルというよりスポーツに打ち込んでいるアスリートみたいな強靭さが感じられる。あんな、体のキレ的に何歳まで続けられるのかと心配になるほどの研ぎ澄まされたダンスをやってること自体が、アスリートでなくてなんなのかという感じである。なでしこジャパンである。パフュームが司会をする MUSIC JAPAN に出る「ダンスユニット」系の人たちは、達人の前で演武をやらされる白帯みたいにカタくなってることだろう。

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驚いたことに、萌は何も教わってないのに自力でクラリネットの音が出せるようにになってしまった。もうメロディを探して吹いている。吹いてるメロディのレベルはリコーダーと変わりないが、最初は俺も萌もロングトーン1つ吹けなかったのに自由に音を出せるようになってしまったのだからすごい。子供の対応力恐るべし。

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■11/09/29(木) □ サクセスな日
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今日は萌のMTB部2回目。バイクの調子は万全だし土曜に同じコースをテストランしたわけで、今日はいいツーリングができドロドロのハッピーで帰ってきた。

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夜萌の宿題を手伝いガガっと早めに終わらせ、よしじゃあ寝る前にコロレットでも一発やろうぜと誘うと、《声を出しちゃダメというルール》でやろうという。なるほどいいよとそれで開始すると、双方とも困る手を相手に打たれるたびにそれを指さし「□◇☆◆(ちょっとオイ…)!」と顔色で抗議するので、爆笑大盛り上がりゲームとなった。で俺の負け。

あまりに盛り上がったので萌が再戦コール。今度は俺がわざと小マイナス列を取り、萌に大マイナスカード列を残すというアグレッシブな戦術を取る。(ちょっとヒドイ!)(仕方ないだろう、どちらの列を取りなさいニヤニヤ)。これがうまくはまり大量13点ほどのマイナスを取らせ勝ったと思ったのだが、萌が拾っていた2点カードが意外や多く、またも負けていた。がくー。

しかしほんとに盛り上がった。クールなコロレットに不足しがちな熱さを、喋っちゃダメというおバカルールがうまく補ってくれ、ついにコロレットの実力がうちでも炸裂したのである。「うーん、そこか」と将棋みたく静かに唸りジレンマを表すより、大げさにジェスチャーで表したほうが面白いのだ。2回でわずか15分ほどのゲームで大いに盛り上がりスカッと気分がよくなった。コロレットは小さな高級チョコレートだ。物足りないけどすごくおいしい。

MTB、宿題、コロレットと今日は萌と俺にとっていい日だったなと、気分よく眠れる夜だった。ボードゲームは最高だな。人と一緒に盛り上がる以上に楽しいことはこの世にないわけで、ボードゲームは全てそれを至上の目標として作られているのだから、うまくいけばこれはもう当たり前に楽しい。コンピュータゲームで一緒にやり盛り上がるというのは、なかなか難しいのである。

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■11/09/30(金) □ 安定ゲームはボリュームに支えられている
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NHK「おひさま」最終回。この番組は悲劇とハピネスの挿話を波風効果として重ねているだけで物語はないと感じ、中盤以降見なくなったのだが、最終盤も相も変わらず波風要素だけが積み重ねられていた。最終回1回前にしてまーだ子供の怪我というワンポイント波風を入れている。

そんな一大事をお話1回分の波風要素として気軽に入れないでもらいたい。これはもう単なるシナリオ作者のボンクラさを超え、無神経さと感じイラっとする。その子供の描写ひとつ取っても、本当のあの子はあの演技よりもきっとずっと面白くけなげでかわいいだろうと思う。

子供には児童劇程度のセリフと演技しか与えられていないから、親子の交流なんてものも児童劇レベルになってしまう。手練役者たちがやってたことも、役者自身の魅力で補っていたが、実は全部児童劇レベルの芝居だった。甘味処のおばちゃん(渡辺えり)の芝居が典型例で、

あんなに強烈な役者が、孫がほしくて人がいいおばちゃん芝居要員としてしか使われないなんて馬鹿げている。彼女が出るたびにその能力が引き出されていないがゆえの違和感が生まれていた。同じく個性派の安藤サクラも単に田舎の嫁さんとして2回ほど出てきただけで、彼女を使う意味がわからなかった。全体として、これだけの役者陣と6ヶ月をかけてこれだけだすかの番組でありました。

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夜Mがゲームコールをすると萌が、チケライ Euro よりもコロレットをやりたいという。で昨日大盛り上がりした「だんまりコロレット」となったのだが、今日はあまり盛り上がらなかった。Mが長考しマイナスを避け慎重に打つため、テンポが悪いからかな。多少マイナスがあってもいいのだ、むしろある方が面白いのだと豪快にプレイしないと、コロレットは面白くならないな。

続いてチケライ Euro 。皆が上達し、常に盛り上がるようになったチケライの安定性は偉大だ。たとえ各々のチケットが分散しプレイヤー間の絡みが不足しても、お互いの路線のつながり具合を愛でつつ(うちはチケット達成時発表ルールなので、おーそこかなるほどおめでとうという感想戦がゲーム中ずっとある)、自分のチケットをどうつなげるか策を練り、高得点と最長路線を狙う熾烈なレース感を味わえる。

ほんといつやっても楽しい。これはやはり大きなボリュームが生み出すテーマとメカニズムの勝利であって、コロレットのようにコンパクトな短時間ゲームでその安定性を出すのは難しいのだろう。

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チケライでもコロレットでも満たされない生産の喜びを家族が手軽に楽しめるゲームを俺は真剣に探しているのだが、生産系ゲームで短いものって本当に見当たらない。サンファンくらいだろう。

これは生産ゲームの面白さもボリュームによって支えられているからかもしれない。その点で頂点に立つのが巨大農業ゲーム「アグリコラ」なのだろう。実際農業が好きなMにとっては夢のゲームだろうが、しかし1ゲーム最短で2時間とかとなると、週に一度プレイする機会があるかどうかとなる。真性ゲーマーでなければとても維持できないゲームだと思う。なにかないかなあ、短時間でできる生産ゲーム。

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■11/10/01(土) □ ストーンエイジ期待はずれ
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【2012Nov 追記】その後ネットでやり込んで、意見をガラっと変えました。こちら→「日記「ストーンエイジは大傑作でしたすいませんでした


ボードは本当に美しいのだが...
生産ゲームに憧れて、オンラインゲーム BrettspielWelt のクライアントを2つ立ち上げ、ルールを読みながら「ストーンエイジ」擬似2人戦を試してみた。

5ターンほどで食べ物がなくなり苦しみ、食糧増産に投資をしたくなる。しかし買えるカードは勝ち点ゲットのものだけで、こんな序盤にそんなものを買っても仕方がない。食料を増産する拡大要素があるはずだとここで資料をあたり、なんと建物は全部単なる勝利点で、「文明カード」も資源プラスボーナス点だと判明。地道な毎ターンごとの畑開墾と、道具開発によるサイの目増加しか拡大要素はないらしい。えー?

説明を読みつつ1時間ほどやってみて、①資材採集②開墾・道具強化③得点購入以外にゲーム上やることはないとわかった。つまりこれは生産物を売り建物を買ってその効果で発展していく、プエルトリコ的な拡大再生産ゲームじゃないんだ。資材を集め勝利点を買うゲームなんだ。

わかってしまえばあとは繰り返しである。生産がやりたい俺は勝ち点カードなど買う気はせんので、食料と資材を不足がない程度に集めるだけとなる。カードを買うのに必要な資材の種類もない。残り5枚の勝利点カードを買うまで終わらないので、まだ残り数十分かかる。やめよう。BoardGameGeek で「このゲームで時間がかかりすぎるなら、それは初心者が資材を溜め込みすぎ建物カードを買わないからだ」という意見があったが、勝ち点カードなんか買ってもゲーム上の効果はなくつまらんと初心者はわかるから買わないのである。ゲーム上の特典効果があれば買うに決まってる。

BoardGameGeek などですごく人気の高いゲームなのに、日本での評価が軒並み低いのを不思議に思っていたのだが、その理由がわかった。これほど美しいボードと原始時代という生産性山盛り的なテーマを持ちながら、「ストーンエイジ」のその全貌は、「資材をこつこつ集めて勝ち点購入」だけなのだ(【追記】 ここを心底研ぎ澄ませた傑作だったと、後に考え直し)。サイコロを使った資材集めは楽しいが、それが何かを作る喜びにつながらない。がっくし。まあ買わなくてよかった。


はあ。どこかに理想の生産ゲームはないものかと、今夜もまた検索にさまよい出る俺。