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■11/09/24(土) □ クラリネットの異常な難しさ
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吹奏楽に入った萌がレンタルしたクラリネットを吹いてみて、なんと音を出すのが難しい楽器なのかとびっくりした。リードがついてるから金管より楽だろうと想像してたのだが、リードが全然振動してくれない。あれこれトライしているとたちまち酸欠になる(ハァハァ)。
リードの取り付け方が悪いのかと教本を見てみたが、これがいかにも英語世界の教本で、「マウスピースの平らな面にリードの平らな面を髪の毛1本分ずらして…」と文章で書いてある。図を1個つければ一発でわかるのに。クラリネット本体の組み立て方も図がなくて苦労したのだ。
ともかく萌に課題その1をやらせてみると、G を吹いても G の音が出ない。ピアノで音を取ると F になっている。なんなんだこれは。もしかするとこのクラリネットと教本の「Bb クラリネット」というのが違うキーなんじゃないのか? わからん(※)。
(※)ネットで調べると「クラリネットの解放音は G(実音 F)」という記述が見つかる。意味がわからん(苦笑)。
あとで調べたら日本の教本の
ほうが指使いの指示まであり、
親切だった。やはり。
というわけで萌はげんなりして中止したのだが、そこへ帰ってきたMがさらに萌に吹くよう命じ、どう努力しても出ない音は出ないので、萌はとうとうフラストレーションに泣いてしまった。これは難しい楽器を選んでしまった。はあ。誰でも弾けるギターはなんてラクな楽器かと思う。
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午後は気を取り直し、萌の学校裏のリバートレイルへ萌を連れていく。前回学校のMTBクラブでここを走った萌は靴ひもが絡まって転び、自転車も不調で皆に置いていかれてしまい、付き添いの先生と2人だけで落ち込みつつ彷徨ったのだそうだ。今日は自転車の調子は完璧だし靴も安全なやつに買い替えたしで、萌もうれしげな爽快ランだった。
帰りは萌に案内させ、迷って彷徨い見つけた道から学校の敷地内を通って帰る。これは前回の失敗でくじけたMTBマインドを癒し自信を培うのに最適なツーリングだったろう。
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■11/09/25(日) □ カナダの大声生活考
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NHKドラマ「生むと生まれるそれからのこと」を見る。こういう声の小さな日本人たちの物語は大好きで、実に面白いと思う。俺がカナダのTV番組にまったく興味が湧かないのは、これの正反対で大声のアメリカ・カナダ人の怒号とジョークに満ちているからだよな。
どんなことでも大声で明確に言語化しないと意志が通じないのが、カナダ生活にまつわる最大の疲労だ。老若インテリジェンスに関係なく皆さん察しが悪く、何の話をしてるかがわかるまで理解のスイッチが一切入らないという感じ。話の大半を喋ってから「いったい何の話なのだ」と険しい顔をされると、いやもういいすよたいしたことじゃないしとコミュニケーション心が折れる。
俺の喋りが下手なのはあるとしても、話を聞きながらコンテキストを類推し耳をチューンしていく能力が、カナダ人は日本人よりだいぶ低い。MKのように、どう切り出しても俺が何の話をしているか一発で察してくれる人のほうが珍しい。MKの体と声はでかいが、聴覚というかコミュニケーション力は声の小さな日本人的なのだ。
日本人はコミュニケーションが下手だのなんだのとよく言うけれど、英米加人はギャップがあっても体力で強引に乗り越えコミュニケーションするというだけの話であり、言語化未満の疲れないコミュニケーション能力では、日本人のほうが格段に上だろうと思う。
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■11/09/26(月) □ フレンチエマージョン非効率
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今日も萌が延々と宿題に時間を取られる。あまりに遅いので何が問題なのかとチェックしてみると、フランス語の新語を辞書で調べろという課題で、その語義をフランス語で書かないとならないので頓挫している。萌の持ってる辞書は仏英だけなので、意味はわかっても答えを仏語で書けないのだ。
そこでオンライン辞書サイトに連れていき、仏英と英仏辞書を並列で開かせ、コピー&ペーストで作業を大幅に効率化して残り20個を終わらせた。こんな課題はさっさと済ませていいよ。紙の辞書でコツコツ調べたほうがいいなんて私は全然思わないから。だいたい言葉の意味をその言語で書けといわれたら、それはどんな言葉でも相当に大変な課題である。無神経にそれを30個も出すほうが悪い。
カナダ中学仏語科(フレンチエマージョン)ではこうしてすべてをフレンチで書かねばならず、宿題に限らずそれが子供の労力と時間を無駄に奪っているように思えて仕方がない。外国語を習得するにはその言語漬け(エマージョン)にするのが一番という考えに基づいているのはわかるが、その考え方自体が疑わしい。喋るのと聞くのはそれが最良に決まっているが、覚えることや考えることはすでに備わった母語とそれにより構築された思考方法を活用したほうが効率が高いと、俺は実体験から思う。
俺は英語は日本で日本語の教本を買っての独学だったが、もしカナダに来て英英辞書しかない環境で英語を学んでいたら、耳と口は短時間でより高いレベルまで達したろうが、語彙と文法は耳と口のレベルに追いつかなかっただろう。
今萌がいるのはそういう環境だと思うのだ。選択可能な仏語学習環境で最強なのはわかるが、効率は悪いと思う。効率の悪さゆえカリキュラム的には英語の学校より遅れているだろうし(別にカリキュラム進度など気にしてはいないが)、宿題も他の学校より多い上に、数学の宿題をやるのに子供が問題を英語に苦労して訳しない限り親はヘルプできないわけで、馬鹿げた時間と労力がかかる。高い負荷で目的を達成するのだから、これは一種の詰め込み教育である。まあ本人が文句を言ってるわけじゃないから、とことんサポートしていくしかないが。
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■11/09/27(火) □ パフューム礼賛
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パフュームにめちゃめちゃはまっている萌がMに「ボイス」のビデオを見せたのだが特に反応はなし。後から「あれはどういう歌なのだ、恋とダイヤモンドがほしいという(よくある)ポップソングなのか?」と聞かれ、歌詞を改めて読んでみると、なかなかいい。未完成でぎくしゃくしたカップルが、声が聞こえれば一瞬の恋に胸がときめくという歌らしい。
パフュームってじっさい歌詞がどれもいいよな。新しいアパートに入ったときめきに踊る「ワンルーム・ディスコ」とか。その歌詞も合わせて紹介し、「というわけで俺は彼女らの音にはあまり興味はないのだが歌詞はいいし、あのダンスの動きは革命的だと思う。萌が好きになるのも道理」と説明。
さらに「髪を染めてないし、セクシーなことをせんし、喋るとバカじゃなくて感じがいい」とパフュームの美点をとくとくと説明してしまった。何をやってるんだ俺は。だけど言いながら気づいたのだが本当なんだよな。パフュームには Jpop 的ボンクラさがない。「信じて待って」ないで自立している。
アイドルというよりスポーツに打ち込んでいるアスリートみたいな強靭さが感じられる。あんな、体のキレ的に何歳まで続けられるのかと心配になるほどの研ぎ澄まされたダンスをやってること自体が、アスリートでなくてなんなのかという感じである。なでしこジャパンである。パフュームが司会をする MUSIC JAPAN に出る「ダンスユニット」系の人たちは、達人の前で演武をやらされる白帯みたいにカタくなってることだろう。
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驚いたことに、萌は何も教わってないのに自力でクラリネットの音が出せるようにになってしまった。もうメロディを探して吹いている。吹いてるメロディのレベルはリコーダーと変わりないが、最初は俺も萌もロングトーン1つ吹けなかったのに自由に音を出せるようになってしまったのだからすごい。子供の対応力恐るべし。
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■11/09/29(木) □ サクセスな日
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今日は萌のMTB部2回目。バイクの調子は万全だし土曜に同じコースをテストランしたわけで、今日はいいツーリングができドロドロのハッピーで帰ってきた。
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夜萌の宿題を手伝いガガっと早めに終わらせ、よしじゃあ寝る前にコロレットでも一発やろうぜと誘うと、《声を出しちゃダメというルール》でやろうという。なるほどいいよとそれで開始すると、双方とも困る手を相手に打たれるたびにそれを指さし「□◇☆◆(ちょっとオイ…)!」と顔色で抗議するので、爆笑大盛り上がりゲームとなった。で俺の負け。
あまりに盛り上がったので萌が再戦コール。今度は俺がわざと小マイナス列を取り、萌に大マイナスカード列を残すというアグレッシブな戦術を取る。(ちょっとヒドイ!)(仕方ないだろう、どちらの列を取りなさいニヤニヤ)。これがうまくはまり大量13点ほどのマイナスを取らせ勝ったと思ったのだが、萌が拾っていた2点カードが意外や多く、またも負けていた。がくー。
しかしほんとに盛り上がった。クールなコロレットに不足しがちな熱さを、喋っちゃダメというおバカルールがうまく補ってくれ、ついにコロレットの実力がうちでも炸裂したのである。「うーん、そこか」と将棋みたく静かに唸りジレンマを表すより、大げさにジェスチャーで表したほうが面白いのだ。2回でわずか15分ほどのゲームで大いに盛り上がりスカッと気分がよくなった。コロレットは小さな高級チョコレートだ。物足りないけどすごくおいしい。
MTB、宿題、コロレットと今日は萌と俺にとっていい日だったなと、気分よく眠れる夜だった。ボードゲームは最高だな。人と一緒に盛り上がる以上に楽しいことはこの世にないわけで、ボードゲームは全てそれを至上の目標として作られているのだから、うまくいけばこれはもう当たり前に楽しい。コンピュータゲームで一緒にやり盛り上がるというのは、なかなか難しいのである。
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■11/09/30(金) □ 安定ゲームはボリュームに支えられている
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NHK「おひさま」最終回。この番組は悲劇とハピネスの挿話を波風効果として重ねているだけで物語はないと感じ、中盤以降見なくなったのだが、最終盤も相も変わらず波風要素だけが積み重ねられていた。最終回1回前にしてまーだ子供の怪我というワンポイント波風を入れている。
そんな一大事をお話1回分の波風要素として気軽に入れないでもらいたい。これはもう単なるシナリオ作者のボンクラさを超え、無神経さと感じイラっとする。その子供の描写ひとつ取っても、本当のあの子はあの演技よりもきっとずっと面白くけなげでかわいいだろうと思う。
子供には児童劇程度のセリフと演技しか与えられていないから、親子の交流なんてものも児童劇レベルになってしまう。手練役者たちがやってたことも、役者自身の魅力で補っていたが、実は全部児童劇レベルの芝居だった。甘味処のおばちゃん(渡辺えり)の芝居が典型例で、
あんなに強烈な役者が、孫がほしくて人がいいおばちゃん芝居要員としてしか使われないなんて馬鹿げている。彼女が出るたびにその能力が引き出されていないがゆえの違和感が生まれていた。同じく個性派の安藤サクラも単に田舎の嫁さんとして2回ほど出てきただけで、彼女を使う意味がわからなかった。全体として、これだけの役者陣と6ヶ月をかけてこれだけだすかの番組でありました。
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夜Mがゲームコールをすると萌が、チケライ Euro よりもコロレットをやりたいという。で昨日大盛り上がりした「だんまりコロレット」となったのだが、今日はあまり盛り上がらなかった。Mが長考しマイナスを避け慎重に打つため、テンポが悪いからかな。多少マイナスがあってもいいのだ、むしろある方が面白いのだと豪快にプレイしないと、コロレットは面白くならないな。
続いてチケライ Euro 。皆が上達し、常に盛り上がるようになったチケライの安定性は偉大だ。たとえ各々のチケットが分散しプレイヤー間の絡みが不足しても、お互いの路線のつながり具合を愛でつつ(うちはチケット達成時発表ルールなので、おーそこかなるほどおめでとうという感想戦がゲーム中ずっとある)、自分のチケットをどうつなげるか策を練り、高得点と最長路線を狙う熾烈なレース感を味わえる。
ほんといつやっても楽しい。これはやはり大きなボリュームが生み出すテーマとメカニズムの勝利であって、コロレットのようにコンパクトな短時間ゲームでその安定性を出すのは難しいのだろう。
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チケライでもコロレットでも満たされない生産の喜びを家族が手軽に楽しめるゲームを俺は真剣に探しているのだが、生産系ゲームで短いものって本当に見当たらない。サンファンくらいだろう。
これは生産ゲームの面白さもボリュームによって支えられているからかもしれない。その点で頂点に立つのが巨大農業ゲーム「アグリコラ」なのだろう。実際農業が好きなMにとっては夢のゲームだろうが、しかし1ゲーム最短で2時間とかとなると、週に一度プレイする機会があるかどうかとなる。真性ゲーマーでなければとても維持できないゲームだと思う。なにかないかなあ、短時間でできる生産ゲーム。
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■11/10/01(土) □ ストーンエイジ期待はずれ
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(【2012Nov 追記】その後ネットでやり込んで、意見をガラっと変えました。こちら→「日記「ストーンエイジは大傑作でしたすいませんでした」)
生産ゲームに憧れて、オンラインゲーム BrettspielWelt のクライアントを2つ立ち上げ、ルールを読みながら「ストーンエイジ」擬似2人戦を試してみた。
5ターンほどで食べ物がなくなり苦しみ、食糧増産に投資をしたくなる。しかし買えるカードは勝ち点ゲットのものだけで、こんな序盤にそんなものを買っても仕方がない。食料を増産する拡大要素があるはずだとここで資料をあたり、なんと建物は全部単なる勝利点で、「文明カード」も資源プラスボーナス点だと判明。地道な毎ターンごとの畑開墾と、道具開発によるサイの目増加しか拡大要素はないらしい。えー?
説明を読みつつ1時間ほどやってみて、①資材採集②開墾・道具強化③得点購入以外にゲーム上やることはないとわかった。つまりこれは生産物を売り建物を買ってその効果で発展していく、プエルトリコ的な拡大再生産ゲームじゃないんだ。資材を集め勝利点を買うゲームなんだ。
わかってしまえばあとは繰り返しである。生産がやりたい俺は勝ち点カードなど買う気はせんので、食料と資材を不足がない程度に集めるだけとなる。カードを買うのに必要な資材の種類もない。残り5枚の勝利点カードを買うまで終わらないので、まだ残り数十分かかる。やめよう。BoardGameGeek で「このゲームで時間がかかりすぎるなら、それは初心者が資材を溜め込みすぎ建物カードを買わないからだ」という意見があったが、勝ち点カードなんか買ってもゲーム上の効果はなくつまらんと初心者はわかるから買わないのである。ゲーム上の特典効果があれば買うに決まってる。
BoardGameGeek などですごく人気の高いゲームなのに、日本での評価が軒並み低いのを不思議に思っていたのだが、その理由がわかった。これほど美しいボードと原始時代という生産性山盛り的なテーマを持ちながら、「ストーンエイジ」のその全貌は、「資材をこつこつ集めて勝ち点購入」だけなのだ(【追記】 ここを心底研ぎ澄ませた傑作だったと、後に考え直し)。サイコロを使った資材集めは楽しいが、それが何かを作る喜びにつながらない。がっくし。まあ買わなくてよかった。
はあ。どこかに理想の生産ゲームはないものかと、今夜もまた検索にさまよい出る俺。
デロンシュのコンテナは非常に面白いですよ。
返信削除個人的にはプエルトリコ級の面白さと思ってます。
ただプレイ人数がMAXの5人欲しいところなんですよねー。