2015/02/04

周回遅れの次世代機 Xbox 360

「姪と次世代ゲーム話」「日米ゲーム観の違い」「初めてのオープンワールド・オブリビオン」「アマラーに移行」「日米 RPG の違い」

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■14/12/28(日) □ 姪と次世代ゲーム話
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 M奥様がいまゼルダ・トワイライトプリンセスを猛然と進めており、これが終わったらもううちは Wii でやるべきゲームはなくなる。そこで次世代機として PS3 に移行するロードマップが敷かれているのだが(奥様がゲームをやってくれると俺がうれしいので)、ゼルダ好きのMが楽しめるゲームが現代ゲームプラットフォームにあるのかどうかがわからない。BV家ボーイズその他がやってるのを見たことのある次世代機ゲームは、銃で撃ちまくるヤツばかりなのだ。そんなものに興味はまるで感じない。

 今日うちに泊まってる姪 SF はボードゲームも好きだがハードコアな PC ゲーマーでもあるので、彼女のラップトップでおすすめゲームをいろいろと見せてもらった。Steam というバーチャルなコンソールが動いており、その上でゲームが動く。ラップトップにターボゲーマーとかいう感じのそれらしい名前がついてたのでゲーム用の高スペックマシンなんだろう。


ボーダーランズ2
見せてくれたのはスカイリム、トランジスター、ジャーニー、ボーダーランズ2など。いやー今どきのゲームはやっぱすごい絵だな。スカイリムの CG 世界は想像の範囲内だったが、ボーダーランズ2という FPS ゲームのアニメ内で銃を撃ちまくる絵には驚いた。ポリゴンにアニメ絵のテクスチャが貼ってあるのかな。それが操作に反応してリアルタイムで動くとは。こんな映像表現ができるようになってるのか今は。すごい。いずれは本当のアニメ映画の中で遊べるようにもなるんだろうなと思わされる。


トランジスター
「トランジスター」というゲームのビジュアルは FF7 のような見下ろし型 3D で、魔晄都市ミッドガルを思い起こさせるサイバーな風景の中をキャラが走り戦う。「FF7 みたいって言われてるわ」と SF もいうので、実際影響を受けてるんだろう。

 しかしかつての FF7 にはこういう背景絵が 3D 静止画書き割りで、1つの建物につき十数枚分しかなかったわけだが、この現代ゲームは背景まで全部リアルタイム 3D レンダリングなのでぐりぐり動き、そしてそれがどこまでも永遠に続く。スカイリムも含めどれも風景がいいとは特に思わないが、それがどこまでも続くことがすごいと思う。描かれた場所しかなかった20世紀のゲームと、場所が無限に生成される現代ゲーム。ほんと現代のゲームってデータ量命だよな、この背景絵を誰が描いてるのかと一瞬考えて、いや地形・建物・人物の自動生成エンジンがすでにあるんだろうと思い至った。エンジンが莫大な一般 3D 風景を作り、それに人間が手を加えアレンジしてるんだろう。

 「うちはゼルダみたいな剣と冒険が好みなのでどのゲームもやりたいとは思わないが、こんなものが見れて驚いた。すごいね」と評すると彼女も喜んでくれた。しかし「ゼルダはゼルダで、ああいうゲームは他にないわね」とのこと。ゼルダのバトル部分を満たすゲームはあっても、パズル部分はゼルダならではだという。やっぱりそうか。まあそんなに簡単に代替品ができちゃ任天堂が困るよね。とりあえず現時点で最も人気が高い RPG というスカイリムをおすすめされる。絵を見る限りは寒そうで殺風景でそそられないのだが、この現代最先端と言われる、広大な世界のどこへでも歩いていけるオープンワールド RPG は、俺も一度自分で見てみたい。

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■14/12/30(火) □ 日米ゲーム観の違い
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 次世代機(PS3、Xbox)ゲームを本格的に調べてみると、ゼルダ、ファイナルファンタジー、ドラクエみたいなゲームというのは北米では絶滅してるんだなと実感する。中古で売りに出てるゲームコンソールには例外なく戦場撃ちまくりゲームが入っているが、スカイリム以外 RPG らしきものは見当たらない。

 ゼルダほどのパズル満載は無理でも 、FF、DQ のような謎解きと育成がほどよくミックスされた RPG ならMにもやってもらえると思うのだが、しかし現代北米ゲーマーは中世ファンタジーみたいなものには胸踊らないのだというのはヒットゲームのチャートを見るとよく分かる。RPG もスタートレックみたいな SF や近未来廃墟ものとなっているのだ。つまり銃である。銃はつまらない。

 アドベンチャー系も全部ダークというか犯罪系(グランドセフトオート、セインツロウなど)で、町を車で暴走し敵ギャング団を撃って冒険が展開するという感じ。つまり銃がらみ。結局ハリウッドのアクション映画がゲームになっているんだな。米ゲーマーはハリウッド映画の中に没入したいのか。俺はそういう願望は全然なくて、ただゲームでだけ可能な楽しいことをやりたいのだが。



 FF だけはまだ手に入るけど中世じゃなくどこかあさっての未来にいる感じで、男は全員ホスト顔で、女は口半開きのぽよぽよになってしまった今の FF は萌の友達には悪いジョークだと思われてるそうである。PS3/Xbox で出てる FF13 の英語圏評価は低い。俺もあのルックスと中二世界観にはそそられない。

 英語ゲームサイトで日本の RPG の評を読むと、「ストーリーは JRPG らしく例によって一本道(linear)だ」と揶揄されている。目標を達成し次の村へ行けるのではなくオープンワールドで自由に世界を股にかけ、サブクエストだけをやっていても楽しいような作りが主流になってるということなんだろうな。なるほどね。ゲームの東西文化差は映画よりも大きそう。それを見てみたいのである。

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■15/01/03(土) □ 周回遅れの次世代機 Xbox 360
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 当家の Wii 後継機(世間からは周回遅れ)導入計画は定まった。中古 XBox 360 でいく。カナダでは PS3 よりも Xbox のほうがゲームの選択肢が大幅に広い。というわけで、

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Fable II                            ゼルダ風な絵のRPG
Kingdoms of Amalur: Reckoning    スカイリム後に出たフリーワールドRPG
Elder Scrolls IV: Oblivion            スカイリムの前の大ヒットRPG
Sleeping Dogs                    香港の町を冒険するフリーワールドアクション
Batman Arkham City                ゲームオブザイヤーのアクション
Civilization Revolution            有名なシミュレーションゲーム、いわゆるCIV
The Beatles: Rock Band            ギター付き!
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 とよさそうなゲームがどっさり入った中古品を見つけ、無事交渉成立した。相手の家まで引き取りに行き「こんないいゲームが山盛りでぼかァうれしすぎて」と相手の手を握りガシガシ振ると、相手の旦那さんもうれしそうに「僕ら夫婦はゲーム産業で働いてるんだよ。妻はカプコンでね」とおっしゃる。

「ぼかあ日本人ですよカプコン知ってますオフコース」
「で僕は君に売った中に入ってる香港警察 Sleeping Dogs というゲームを作ったんだ」
「え! そんなあなたのベイビーを売り飛ばしていいんですか!」
「まだたくさんあるからいいんだ :-)」


 と、いい人に巡り会え、今うちにあるんですよ Xbox 360 120GB。

 でまず萌が友達のゲームボーイズに「あんたたちの好きなマシンガン馬鹿打ちゲーをあたしもやったわよ!」と言って盛り上がるためだけに戦争ゲーム Call of Duty をトライ。絵はたしかにすごい。

 しかし自分の娘がマシンガンで人を打ってるとやっぱゲームとはいえ悲しくなっちゃうので、「もうやめでぐで!」とマシンガンの前に身を投げ出して戦争を止め、一緒にやろうと選んでおいた RPG「キングダムズオブアマラー:レコニング」というゲームをトライ。まったく洋ゲーってタイトルすらそそらないな。なんでこんなに長く、レコニング(報い?)なんて英米人でも普通知らないような単語を使うんだ。


長大な剣をぶんぶん振り回す「アマラー」
これは大ヒット作「スカイリム」の影響下にある最新 RPG なのだが、敵をズバズバ刀で斬りダンジョンの外を目指すという、何をすればいいかが明確でとっつきやすい。操作性も素晴らしい。洋ゲーらしくメニューの見方はよくわからないのだが、敵を倒すと経験値とお金と武器防具がどんどん手に入る。Playstation で萌とやった FF7/9 やドラクエから5年以上ぶりの RPG 経験値獲得だ。やった。これが RPG だよねと感動するねと萌と手を取り合う。この楽しみだけはゼルダになかったからね。これは遊べるな、間違いなく。



 洋ゲーらしいといえば Xbox 自体もそうで、コントローラは PS や Wii に比べどのボタンも感触が悪いしプラスチッキー。ホーム画面のメニュー類もまったく非論理的な並び方をしており、変えたい設定(自動サインインとネット接続の確認スキップ)がどこにあるのかさっぱりわからない。旅行中レンタカーで借りたフォード車のダッシュボード UI が悪すぎて、エアコン温度を変えるボタンを最後まで見つけられなかったことを思い出す。温度といえば排気の熱さが PC 以上で、その電源ノイズも PC 並み。まあ内部は実際俺のデスクトップより数倍速い PC なんだろう。

 このへんの品質の低さはある程度覚悟して、ほとんどのゲームで PS3 を上回ると言われる Xbox の画質と、とにかくついてくるゲームディスクの球数で決めたのだ。付属ゲームがなんと 50 本! 俺がこれまでのゲーム人生で買ったゲーム総数よりも多いかもしれない。どのディスクも痛みが少ないので、前のオーナーが仕事柄デモ用にもらったゲームがほとんどなんだろう。ありがたやありがたや。カナダに住んでると Xbox はやはりコストパフォーマンス最強だな。

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■15/01/04(日) □ 初めてのオープンワールド・オブリビオン
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 各種 Xbox ゲームお試しの日曜日、現代最も人気がある RPG「スカイリム」の前作にあたる「オブリビオン」をやってみる。これまで人生でほとんど遊んだことのない様々な洋ゲーをこんなに一気に体験できて、本当にありがとう俺に安く売ってくれたカプコン奥さんの旦那さん。


スーファミレベルの画質のダンジョン
オブリビオンはいきなり映画のただ中にどんと押し出されたみたいな幕開けで、何をしてもいいという初めての完全オープン RPG なので緊張してそろりそろりと歩く。――がしかし操作性が異常に悪い(笑)! なんだこれ。壁にぶつからず歩くことすら難しい。後ろから襲われたらそっちに振り向くために左右レバーで複雑な操作をせねばならず、ネズミを倒すのさえ一苦労である。ヒドイなこりゃ。

 スーファミ時代の洋ゲーがそのままリバイバルしたみたいな操作性の悪さに耐え切れずいったん中止。パンチや剣の振り方の不自然さや、背景の上にキャラが浮いて前を向いたまま前後左右に移動するグラフィックなど、すべてが25年前のスーファミ品質だな。このゲームのレビューで操作性や絵の悪さに文句を言ってるのは見た記憶がないのだが、何一つ直感的に動かない。8年前の Xbox/PS3 ゲーマーはこれを我慢したの? 驚いたな。これに比べると移動だの向きを変えるだのと遠くを見るだのといったことは考えるまでもなくできるゼルダはじめ日本ゲームはよくできてるわ。


このオープンワールドにはおおと声が出る
とりあえずスタートの監獄から出て空くらいは見たいので再開。2時間ゆっくりかけて操作法を覚えながら最初の牢獄を脱出。外に出ると夜だったので、待つコマンドで4時間待ち昼間の景色を見る。おおなるほど。風景のグラフィックは Wii ゼルダより若干いい程度だが、たしかに猛烈に広い。その広さが非常に心地いい。

 そこから最初の村まで歩く。ここで村人が通り過ぎざま向こうから挨拶してくるという気持ちいい体験をする。うを、これか。これは体験したことがない。道で会った人への返答を間違えて好感度を下げられ、途中にあった宿屋で食べ物を物色していると女将に泥棒だと大声を出される。ちょっとしたミスで思わぬことが起きる。

 マップとコンパスの見方もようやくわかってきて村を間違えていたことが判明してロードし直し、スタート地点から反対側の村へ向かう。特に道はないので藪を抜けゆるい斜面は登り、崖は迂回し川を泳ぎ、地形上通ることが可能なところを地図と目測で探しながら非常に長い道を進む。モンスターはほとんど出てこないが、この移動が楽しい。行けるところを探し自分で方向を決め長い行程を歩くこと自体が楽しい。これは新しい。これがオープンワールドゲームか。GPS を使い Google マップを見ながら目的地に向かっているような楽しさがある。

 しかし得られるものがだいたい想像ついてくると、この強烈なコントロール性と視認性の悪さを乗り越えてやる価値があるのかとやはり疑問に思わざるをえない。3時間やってもメニューの使い方はわからなかったし、後ろからネズミに襲われると反転に手間取り攻撃できず延々とかじられるのはオプションをいじっても改善できなかった。この直感でキャラを動かせないもどかしさは、ほんと勘弁してもらいたい前時代フィーリングである。操作性はスーファミ以降にやったゲームで最低だと思う。戦いはつまらんしアイテムを取っても使い道がわからないしで、道中に建物があってももう何も調べずに通過している。面倒に関わり合いたくない、ただ歩きたいという感覚。これも RPG 体験として新しいというか初めてのことだな。

 やっぱり日本のゲームは使いやすいわ。ドラクエのメニューの見やすさはは偉大だった。アメリカカナダ人は不便を気づかないところがある。気づかないから使いにくいものを作ってしまう。―――そういう強烈な徒労感を感じながら最初の村にたどり着き馬をもらい、この馬もどう操作しても茂みにぶさっと突き刺さってしまい移動できないのでここで終了。

 【結論】オブリビオンは古すぎる。やめよう。ゲーム内容を評価する以前の問題で挫折。なんでこのゲームが絶賛されるのか、さっぱりわからない。

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■15/01/05(月) □ アマラーに移行
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 オブリビオンは没と決め、きのこが生えたファンタジー世界のアクション RPG「キングダムズオブアマラー:レコニング」に移行。

 最初のダンジョンで強い敵に囲まれやられてしまい、重装備に変えた。二度目もダメ。しかし面白い。このゲームのバトルはゼルダを超えるどころか、俺がこれまでやったことのあるどんな格闘ゲームよりも面白い。自キャラはスピードがあるので踏み込んで斬る斬る斬る、相手が態勢を立て直したら横っ飛びで逃げ間合いを取る(体力がやばかったらそのとき薬!)が基本なのだが、これをなにも考えず自然にやれる。キャラが自分の体のように直感で動く。これだよ剣撃ものの楽しさは。

 ゼルダは背後の敵は見えないが、このゲームはカメラワークがよくできていて自分の前後左右どこに敵がいるかは常にわかる。位置がわかるので振り向きざまに背後の敵に跳び込んで切り込めるのだ。返す刀で左右の敵を斬る。もう時代劇の三船敏郎をカメラで追いつつ自分が操作してる状態。気持ちいー。こんなバトルはやったことがない。ゼルダより10年、オブリビオンより25年くらい進化している。

 しかし多数の敵に囲まれたらいくらスピードがあってもやられてしまう。そこでばーっと大きく走り洞窟の別のエリアまで逃げて待ち受け、追い付いてきた雑魚を 1 つ倒しては逃げまた倒しては逃げと戦い方を考えて補うことができる。人間様の知恵で戦力差を補うことができる。倒さないでそのまま洞窟から逃げることも可能。こんなことができる(敵が戦闘開始位置を離れ追いかけてきて、自分はどこまでも逃げることができる)ゲームは初めてだ。この自由度は素晴らしい。

 敵から見えない物陰で待ち伏せばっと飛び出し切り倒していくと、子供の時イトコの家にあった「騎兵隊ゲーム」というボードゲームで相手の打つ大砲が当たらない物陰から部隊を進めるのがゾクゾクするほど楽しかったことを思い出す。そういう敵から見えないところに身を潜めて戦うという根源的な喜びを味あわせてくれる。RPG でこんな遊びができるとは思わなかった。洋ゲーすごいと初めて思いました。

 勝てないと装備を固め戦い方を考え、より強い武器を手に入れることを夢見てダンジョンを探索することになる。まさに楽しい RPG、しかも剣撃アクション型ならではの RPG。謎解きは何もないが、このバトルと装備関係の楽しさで楽しんでいける。素晴らしい。よし、Xbox ではこれをまず遊んでいこう。

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■15/01/08(木) □ 日米 RPG の違い
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 「アマラー」をコツコツ進めている。あーバトルが楽しい。今臨時の相棒アガースとダンジョンに入ってるのだが、アガースが時間を稼いでいる間に俺は物陰に隠れ、敵をおびき寄せ1匹ずつ倒していく。その間アガース自身はダー! アー! と大声をあげ勝手に敵と延々戦ってくれている(笑)。彼自身は敵を倒せないし殺されもしないようだが、数匹引き付けてくれてるのでチームワークはちゃんとできている。

 そして雑魚を全部片付けた俺が、アガースと戦っている最後の敵を遠くから弓矢でポンと倒す。―――たのしー! 位置やタイミングや武器選択の戦略性がシームレスでバトルに入ってくる。かつてハマったタクティクス系のゲームをリアルタイムアクションでやっているような喜びがある。素晴らしい。



 「アマラー」にはゼルダやドラクエと違い謎解きなどまったくない。現時点ではストーリーもほとんどない。クエストといわれる複数の同時進行形ミニ指示(「○○と会え、○○を取ってこい」系、たいてい強敵とのバトルが最後にある)の達成がこういう米 RPG の進行エンジンとなっている。メインのストーリーもクエストの1つに過ぎないので、保留して延々と他のサブクエストをやっていても問題ない。そうして自分が進みたいペースで遊んでいられるのがクエストドリブン型といわれる、現在主流の RPG システムなわけだ。

 今いる序盤の地域から、その気になれば弱いままで大陸の反対側や別の大陸にも行けるのだろう。この世界のどの地域もロックされていないという意味での「オープンワールド」は、まあ別段どうということもない。究極のオープンワールド「オブリビオン」では広大な何もない野山を歩きながら、遠くの景色を眺め「いつかあの都へ俺は行くのだ」と思いを馳せることがたしかに気分よかったが、今行こうとは思わなかった。広いことがただ気持ちいい。機が熟せば行くのだから、見えさえすればオープンになっていなくてもいい(※)。

(※)現時点で感じるアマラーの唯一の欠点はこの風景の見通しの悪さで、平坦な森の中にある村々の周辺で活動しているので、きれいはきれいなのだが地形に高低差や広がりがなく単調なのだ。地形も覚えられないしオブリビオンのような風景遠望の楽しみや旅感がない。ダンジョンもビジュアル的に特筆すべきものはない。それ以外はぶっちぎりでオブリビオンより楽しいのだが。あと TV 解像度ではフォントが読めない。


 アマラーは昔ながらのよくできた RPG だと思う。森を進み敵を倒し、その落とす宝でいいものがあれば装備し、ダンジョンが見つかれば潜り込み敵を倒し宝箱を開けてさらにいい装備を手に入れ進んでいく。やることはそれだけで十分に面白い。ウィザードリィやドラクエのレベル上げの楽しさがここにつながっている。ストーリーや仕掛けに見るべきところはなくても、手を抜かずに作られた RPG というものがどうにも面白いのだろう。

 つまり現代米 RPG の特徴であるクエスト式にもオープンワールドにも俺はさほどのアドバンテージは感じず、いろんな新機軸システムやミニゲームを考え出し投入してくる日本の RPG のほうがゲームシステム上はクリエイティブだと感じる。がしかしアマラーは演出が圧倒的にうまい。

ある橋にクエストを依頼するきれいな女の子がいたのでかわいいなあとぽーっとしつつ話していると敵が乱入してきたのだが、すると驚いたことに彼女も一緒になって戦うのだ。き、君は戦えるのかい可愛い子ちゃん! そしてこんな例外っぽい場面にもちゃんと「なんなのよこの化け物たちは!」と女の子の声がちゃんと遠くから聞こえてくる。これにはうおーとしびれてしまった。その圧倒的な可愛い子ちゃん感じゃなくて、ちゃんと存在している人物感に。

 さらに村の中まで魔物をおびき寄せれば、村のソルジャーたちがわらわらと出てきてター! と総出で戦い追っ払ってくれるのである。すごい。村の衆がそんなに強いなら俺が戦うこともないじゃないですかい。こういう例外的バトルも起きうる手抜きのないリアリティ構築と、そこに声を加えるという演出のうまさにさすがにハリウッドの国の最新ゲームだと感服せざるを得ない。JRPG はこういう例外的場面を演出過剰の CG ムービーでやってしまうからダメ出しされたわけである。

 シナリオは本職のファンタジー作家が書いてるそうで台詞が非常にいい。メインストーリーはまだ断片的すぎて五里霧中だが(そこはよくない)、小さなサブクエストのストーリーがなかなかいい。戦場に出て戻らぬ夫を探してほしいだとか、村の流行病いの治療薬を洞窟から取ってきてほしいとか、悪いやつを倒しに行くと、実は依頼主のほうが嘘をついていたとわかるなど。


俺を惑わすセクシー美女、敵か味方か定かでない
そして日本アニメの英語吹き替え版などを見ても思うのだが、英語圏はやっぱり喋りの文化なので声優がみな実にいい。ただうまいだけでなく、声と喋り方に魅力がある。女性キャラが英国訛りでキツイことを俺キャラに言ってくれちゃうとおー気持ちイーと感じてしまう。クシャナ殿下萌えみたいな。それにこういうセクシーなものを見ていたいという気持ちを隠さないところがアメリカの男は正直だ(笑)。

 アマラーにはアメリカの豊かなリソースがどーんと注ぎ込まれている。その質量が日本のゲームを圧倒していると感じる。近年の日本の大作ゲームは Wii のゼルダ2作「トワイライトプリンセス」「スカイウォードソード」しか俺は知らないのだが、とりあえずあの日本的なゆるくウフフな演出は北米一般男子に対し訴求力がなさそうだなあと、この全編ハリウッド的演出のゲームを見て思うのであった。

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