2013/03/26

日記「ケルト音楽の夕べ」

「春休みのギター特訓」「ドイツゲームのルール」「【日加戦】カナダサッカーの遅い夜明け」

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■13/03/17(日) □ 春休みのギター特訓
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 萌の春休み.ギター課題曲を与え特訓を始めた。四人囃子「レディ・ヴァイオレッタ」。俺が中学生のときに習った曲で、スローで簡単な中にハンマリングオンなどいろんな基礎テクが入っているし、なにしろ曲がいいので萌もすぐに気に入り弾き始める。

 1番のメロディと運指をだいたい覚え、サビまでできるようになったところで、じゃ最初から弾いてみなと俺がリズムギターを刻む。カラオケと違い萌がつっかえたらそこで伴奏は止まり、音を拾うまで待ってまた続くというバリアブル伴奏システムなので、リードを弾いててめっちゃ気持ちよさそう。サビのトゥーン↓トゥーン↑ターンターンターンキューンというところが弾けるようになると、歓喜の表情を浮かべている。「ギターってやっぱ(吹奏楽で彼女がやってる)クラリネットよりエモーショナルな楽器だよね」と言うと、うんうんとうなづく。レッスンを終わったあともテレビを見ながらトゥーン↓トゥーン↑とグリッサンドをやってます。弾けば弾くほどうまくなるよ。

萌中2は難しい年頃で俺たちはなにかにつけ衝突し消耗させられるが、音楽とギターに関しては俺が言うことが理にかなってるので反発を覚えないらしく、素直に聞いてくれる。

 まあギターに限らず、教わることはなんでもそうか。料理とか宿題のわからないところを見るときとかも素直だもんな。しかし俺が何かを教える機会はだんだん減っている。特に思春期に入ったので、萌は女子としてお母さんの経験談と知見をすごく頼りにしてるしな。そういうところは男親にはどうしようもない。音楽だけでも教えてやれてラッキーと思わねば。


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■13/03/19(火) □ ドイツゲームのルール
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 最近オンライン Yucata にあるボードゲームを上から順に習っては打ち習っては打ち、気に入ったものは定番としたり実物を購入したりしてるのだが、ボードゲームというのはたいがいが複雑な手順で数字を上げ下げして楽しもうという遊びなので、その手順がつまらんと厳しい。最後まで続けられない。

 ハチエンダや「空中庭園」のようなタイルを置きゲーが好きなのは、「手順」が地形やパズル要素なので単純に楽しく、それが数字の上げ下げにつながってるからだろう。「洛陽の門にて」はあまりやらなくなっちゃったけど、畑作りが楽しかった。「ペルガモン」は壺やおわんを組み合わせることが楽しい。

 ◇

 それにしてもドイツボードゲームのルールって、全く例外なく読みにくい。たいていセットアップ後に「手番でできること」として

①カードを取る
②カードをプレイする
③アクションを行う

 みたいな説明があるんだが、それぞれの行為に「どういう効果/目的があるのか」が同じ箇所に書いてないのである。たっくんらの図解入り詳細記事でもそう。

 でずっとあとの「ラウンド得点計算」みたいなところに、「○○カードの枚数につき何点」とか書いてあり、ここまで読めば論理の帰結として「あーだから①でカードを取ればメリットがあるのか」と分かるわけ。これじゃルールを読みつつ実際に進めてみようとしても、やってることの意味がわからず1ターンも進めないのだ。今読んでる「ラパヌイ」も昨日読んだ「トーレス」もこうだった。

 ボードゲームを覚えるにはすでに知っている人に教わり、疑問が生じるごとに質問し答えてもらうのがベストに決まっているが、独学で覚えるには実際にコマを動かし何が起きるかやってみるしかない。しかしこういう書き方だととりつく島がないのである。未知のプレイヤーがやりながら読んで、生じる前記のような疑問の答えが「そこ」に書いてあるのが合理的に決まってるではないか。見事に面白いゲームを作るデザイナーたちが、なんでこんなことがわからないのだろう。

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■13/03/22(金) □ 【日加戦】カナダサッカーの遅い夜明け
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 【親善試合:日本-カナダ】カナダじゃ放送しておらず、日本の放送を傍受。しかしカナダ3トップ気味でいいではないか。なんかカナダ代表らしからぬモダンサッカーな匂いが。これはこれまでと明らかに監督が違うと慌てて検索すると、知らなかったのだがカナダ代表はこの試合からポルトガル人が代表監督になっている。代表キャップがあり、晩年はバンクーバーホワイトキャップスにいた人らしい。いいではないか。10年前ゴールドカップを勝ったオジェック以降カナダはプロ経験のある監督を雇えず古くて弱いサッカーを延々とやってきたわけで、この監督が定着してほしいもの。

 負けてもいい試合、選手も若い。フレッシュな選手とフレッシュな戦術でゴーなのだ。左FWの新人エドウィニ・ボンスが速くドリブル得意で非常にいい。日本のツイッターでも誰だあれはと騒然としている。いいぞ、ウッチーを破れ!

 と思ったらがら空きの裏にスルーを通され、GKが出たところを岡崎に決められた。まあ裏を取られるほどラインを上げるなんてことはこれまでカナダに一切なかったのだから、前向きということでOK。しかし岡崎すごいな、昔の中田みたいにチャンスがあれば当たり前に点を取る。

 ◇


長谷部をあしらうハッチンソン
カナダはトップ下の位置でベテラン・ハッチンソンがいい仕事をしている。ボールを受けポストをしてもいいし反転して自ら前進しても推進力ありまくるし、素晴らしい。昔から代表にいるがこんなにいい選手とは知らなかった。これまでは彼の個人技が生きるようなサッカーじゃなかったんだろう。今日はまわりにちゃんとサポートする選手がいて、スペースも出しどころもあるからボールを持って動けるのだろう。

 カナダ新監督トニー・フォンセカは(暫定)とついているがU-23を指導してた人らしく、今日の若い選手は前から一緒にやってきているんだろう。この新監督が定着すればカナダは万々歳ですよ。U-23をやってたんだから金銭的に雇えないわけはない。このサッカーを見て選手や協会が何も感じないはずもない。コーナーからヘッドで同点、よーし。

 後半ゴール前の混戦から押し込まれ、猛反撃するも追加点を取れずカナダは負けたが、ハッチンソンとボンスが再三個人の力でボールを運びゴールに向かっていくカナダのサッカーのほうが、今日は日本よりも面白かった。見ていて「おーボンス行った!」と燃える。日本のサッカーは皆が近距離に位置し短く弱いパスでつないでいく、つまりとことん個人技を使わないサッカーで、だからミスは少なくボールをキープできるが、展開が遅くカナダ DF の眼前ですべてが終わってしまう。皆の予測よりも速く大きくボールが動かないので結局崩せもせず、ハーフチャンスの弱いシュートで終わる。つまらない。Jリーグチームの攻撃練習を見ているようだった。結局ザッケローニも日本の攻撃はこうして、強度が低くても手数を打つしかないと考えているのだろうか。

 カナダにとってはほんとに10年ぶりのいい試合だった。この試合の放送がなく、長年つまらんサッカーに苦しんできたファンが代表チームの日の出を見られなかったのが残念。この監督の攻撃的な戦術にハッチソン、エドウィニ・ボンスがいれば、カナダの未来は明るい。いい選手はこれまでもいたのであって、これまでは監督が悪すぎたというか、欧州のクラブに属す選手たちを説得力を持って動かせるプロ監督ではなかったのである。給料が安くて(多分)、経験と見識のある監督がようやく見つかったに違いない。カナダサッカーの未来に、ついに明かりが点ったのである。

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■13/03/23(土) □ ケルト音楽の夕べ
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こんな美しいミュージックです。
リズムギターが私。
ミュージックピープルが集まるパーティがあるからギターを持っておいでと呼ばれていくと、次々にやって来るゲストがバイオリン、マンドリン、バンジョー、ウッドベース、フルート、リコーダーと珍しい楽器ばかり持ってくる。あれれアレアレ? で始まったのはケルト音楽だった。どわ、知らん(汗)。

 まあコードを拾えば俺も普通に伴奏できるし、同じリフを何十回も繰り返す音楽なのでリズムに入り込んでいくと盆踊りのようなトランス状態となりたしかに気持ちいいのだが、しかし俺以外は同じ難しいリフを延々とユニゾンしている。明らかに全員曲に習熟しておる。なぜ?

 1曲終わったところで、「これは……というかアナタたちはケルト音楽バンドなの?」と聞くと半分の5人ほどが同じバンドのメンバーで残りは違うバンドだが、ケルト音楽はみんなスタンダードなので誰でも知ってるのだとのこと。つまり俺は大ケルト音楽の夕べに、1曲も知らない無知蒙昧状態で飛び入りしてるのだった (^-^;。


 まあいいや。弾けてるんだから問題ない。それにアコースティックギターのコードストロークが入ると、打楽器的にリズムが立ちカッコいいのである。ケルトバンドには打楽器がないらしく、今宵はピアノのベース音とマンドリン、バンジョーの撥弦音がリズム楽器の役を果たしている。ここに俺のアコースティックのシャカシャカというカッティング音が入るとリズムがガツっと厚くなる。他の人たちはいつもと違いうるさいと思ってるかもしれないが、ロック的にはこれは正しい音なのだ。

 基本的に上昇旋律と下降旋律の繰り返しなんだがいろんなコードパターンの曲を、ディナーを挟んで10曲くらいやったかな。途中でコードを抑える左手が攣った。1曲女性ピアニストが Am/G/F/E というロケンロールなコードがサビに来る曲を入れてくれ、この時は俺のギターとピアノのコードユニゾンで相当にロックな音が繰り広げられ、俺は立ち上がってガーンと弾き、終わった瞬間ピアニストと顔を見合わせ笑ってしまった :-)。

 ◇

 ケルト音楽家たちはだいたい2メロの繰り返しからなる曲を、誰かが終了の合図を出すまで10分近く延々とやり、それが何曲も続く。みんな1曲が終わるとストイックに次の曲にとりかかるのである。今日は実は萌と一緒にビートルズや例の「レディ・ヴァイオレッタ」をやろうと思って練習してきたのだが、そういう感じのパーティではなかったのだった。


こんなうまい大人たちと初心者が
一緒に演奏できちゃうすごさ
しかし萌の知ってるコードだけで弾ける曲もあったので、これに参加して萌もうれしそうだった。初心者でもこうしてすぐ熟練者と一緒にバンドで弾けちゃうんだから、コードって本当に偉大な発明である。というわけで門外漢の俺には10曲はやりすぎだったが、楽しいケルトな夜でした。

2013/03/15

【Yucataボードゲームの日々】驚きの発明「空中庭園」

「ひな祭り」「【港町渡り鳥】サンチアゴ・デ・クーバ」「【よくできている感】Call to Glory」
『驚きの発明「空中庭園」』にルールと戦術追記あり

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■13/03/03(日) □ ひな祭り
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【ひな祭り】今年はティーン4名+親戚3名の大勢が着物で着飾り、まったく花が咲いたようであった。萌が友達を3人も招待したいというのでうちにそんなに着物なんてないだろうと思ったが、結婚して長いこと経つとおばあちゃんからのもらいものでこんなにあったのです。SPだけは萌が京都の東寺で買ってきたプレゼント着物を持参したが。すごいな。

 ◇

 ひな祭りの流れでカレッジゲーマー姪SFが泊まっていったので、夜グレンモアを教える。「こうするとまわりのタイルに全部生産物が出る。これを使って買い物をしていくわけ」と説明していくとSFは「OK、わかった」とするする説明を飲み込み、要所要所で俺とMからアドバイスをもらうだけで十分に楽しんでくれた。グレンモアは要素多彩だがわかりやすい。それに彼女は所属する地元D&D会でゲーム慣れしてるし、若いから頭も柔らかいな。

 ちなみに彼女の地元D&D会では「キングオブトーキョー」というゲームがウケているそうである。ゴジラが出てくるあれかー。

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■13/03/08(金) □【港町渡り鳥】サンチアゴ・デ・クーバ
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Yucata で地道に習っている新ボードゲームシリーズ、今日は「サンチアゴ・デ・クーバ」に挑戦中。キューバの根無し草のチンピラ(多分)がおんぼろトラックに乗って麗しい港町を駆け回り、親方衆のご機嫌を伺うことでかき集めた砂糖やタバコをこそっと船に載せ売っぱらっちまおうというゲーム。

 作物を集めるのは簡単で売り物はたまるのだが、これを売るのが難しい。正確にいうと、自分だけがうまく売ることが難しい。高く売ろうとするとリセットされたり出荷自体をスキップされたりするのである。

 この出荷を千日手的にお互い打ち消しあうところがプエルトリコ的でちょっといやらしいなあと思いながら(――プエルトリコはよくできた面白いゲームだが、そういう「やりたいことがやれない度」がマックスで疲れるので俺はプレイしていない――)、まあ実戦をやってみようと始めてみたら、タイル位置が全部ランダムなので練習時とガラリと様相が変わる。これで「あ、これは面白いわ」と感じた。船を見てそのラウンドは何の作物の需要が高いのか、それは港のどの地点で取れるのか、敵があれを取るだろうから俺はその次にあそこを取ればいい……とナチュラルに思考が進むのだ。

 親方を選ぶと、同時にその親方が持つショバ(3つの街)にある建物(特殊効果)カードのどれかも引ける。これが思考の分岐を増やし、アグリコラやエルグランデ的な分析麻痺(analysis paralysis・要検討事項が多すぎて思考停止になること)を招きよくないかなと最初思ったのだが、やってみると大丈夫だった。トラックを移動するにはコインも必要なので現実的に選べる親方は常に3人ほどで、検討すべき効果も「砂糖→ラム酒に加工」「作物1個売却可」と明瞭単純で、アイコンもよくできており判断に迷わない。その都度メリットの大きいものを適当に選ぶだけでサクサク進んでいける。見た目よりも意外と軽いのである。何周かするうちに『自分の状況>親方効果>町効果』のシナジーが発生してそのラウンドの短期目標を達成するコンボも見つかる。これはいいかもしれない。

 実戦は経験者が相手だったが、やはり敵のポイントを妨害しあうというゲームメカニクス上差がつきにくく一進一退で進み、初戦から勝つことができた。

 ◇

 これはなかなかいいゲームだな。「敵が届けたい作物の需要をゼロにする」という建物があるため頑張っても差がつかないところで評価を落とさざるをえないが、ターンが回ってきたらその都度選択肢を選び遊ぶくらいのゆるプレイに適した軽さで楽しい。最近 Yucata 上位者とやる1対1「ストーンエイジ」は、一手でも悪手を打ったらほぼ勝ち目はないほどのドライさにいささかうんざりしてきてるので、このくらいの軽さのワーカープレイスメント的ゲームがあるのはありがたい。評価は7弱あたりだけど、相当遊ばせてもらうと思います。

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■13/03/10(日) □【よくできている感】Call to Glory
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Yucata 新ゲーム「Call to Glory」。カードを引きワンペア以上の役を揃えて場に出し、より大きな役で敵の役を上書き(無効化)していくというゲーム。全体枚数の少ない帝や大名は2~3枚の最小セットでも上書きされにくいが点が低く、全体枚数が多いため上書きされやすい農民セットのほうが点は大きい。希少なカードのほうが点が低いというのは身分的には反直感的だが(つまり侍テーマはあまり合わない)、ゲームメカニクスとしては見事に機能しており面白い。ルールが超簡単なところも含め、やっぱりコロレットの風味がどこかあるな。

 実戦:81 位の猛者がいきなりきた。しかし運も多分にあるゲームなので、手も足も出ないということはない。引きによっては勝てるだろう。―――うわ! 5枚で確定と思った 20 点農民がクリアされた。ショック。再度取り返すのはほぼ不可能なのでこれは痛い。しかしこれ一発で面白さが分かった(笑)。やっぱり上手い人はカードを揃えるのがこんなにうまいんだ。驚いた。大敗。なるほどー。

 いやこれは面白いな。俺がやりたいゲームとは系統が違うので(俺は生産かエリア取得を楽しみたい、両方あればベスト)頻繁にやっていこうとは思わないが、面白い。ルールが似てるとも思えないのだが、やっぱコロレットの風味がどこかあるな。―――あ、それはこの「よくできている感」だな、それがそっくりなんだ :-)。

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■13/03/11(月) □ 【驚きの発明】空中庭園
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このようにカードを重ね、絵柄が合う部分に寺院コマ(左:黄、右:紫)を
置くと右に並んだ得点タイルを取れる。ルールはそれだけでUIもよくできている
ので、初回から即楽しめる。パズル好きはYucataでお試しすべき。



 オンラインYucataで「空中庭園」を習う。カード置きゲーム。建築(4種の庭園パーツ)が描かれたカードを自分の庭園に配し、3個以上の同一建築を繋げると「完成」し得点タイルがもらえる。ルールはシンプルで、

  • 新たに置くカードに描かれた「建築」パーツは、すでに置かれたカードの範囲内に収まっていなければならない(余白部ははみ出しても OK)。
  • 3個以上連続した建築に寺院コマを置けばタイルがもらえる。完成を保留して4連、5連と大きくすると取れるタイルの「範囲」が4、6と広がり、6連は隠しタイルをプラス1個取れる。
  • 建物パーツ上に新カードを重ねても OK(たとえ完成した建築を上書きしても、すでに得点タイルはゲットしてるので問題なし)
  • 寺院コマは5個あり、6個目の完成建築からは小さな完成建築から順に寺院コマを移動し使う

 とこれだけ。最初はこの『新たに置くカードに描かれた建築は、すでに置かれたカードの範囲内に収まっていなければならない』という配置ルールの意味がよくわからず、直感的にテトリスのように図形を合わせようとするとアレレうまくいかんなという感じだったのだが、何枚か置いてみると目からウロコ的に理解した。これは前に置いたカードが新たなパーツを置くための「庭園スペース」となるのだ。そのスペースより外に建築パーツは置けないが、カードの余白部は単なる敷地なのではみ出した余白部は敷地拡大となるということだ。なるほどー。

 ―――あ、それで「Hanging Gardens-屋上ガーデン」なのか。カードは庭園パーツを置くための屋上ガーデンなんだ。なるほどー。屋上ガーデンでビールを、海底公園でワインを。

 仕組みがわかるとこれは非常にクレバーなパズルになっている。テトリスやブロックスのように独立した図形を置くわけじゃないので繋ぎたいところが繋げないことが頻発するが、それはパズルを複雑化するためにワザと設けられた制約じゃないのだ。1枚のカードでスペース拡大と建築構築が同時に行われる画期的なパズルなのである。だから難しいのだが、しかしたとえほしい建築がないカードでもカード全体が屋上スペースなので、考えて置けばワークスペースが拡がり庭の改善になる。すでにある建物部分の上に重ねて新カードを置けるのも一見非直感的だが、それは不要なガーデン部分を更地にしよりよい庭に開拓し直しているということだ。無駄なターンがなく素晴らしい。

 ◇

 得点タイルを取るには作った新規建築上に寺院コマを置き「完成」とする必要があるのだが、これがまたよくできている。設置された寺院コマの上には物理的に新しいカードが置けないので、無計画に寺院を建てるとたちまちカードを置くスペースがなくなってしまうのだ。そこで寺院はひととこに、できれば建築の邪魔にならぬ庭の中心部にまとめようと努力するのだが、カードの引きもあってなかなか思うようにはいかない。ならぬものはならぬのです。


黄色寺院コマが建った6軒建築(左)の上に
新カード(右の黒枠)を置くと、寺院建築は
最小の1軒となり、このターンで除去できる。
この邪魔な寺院コマの処理に、「6個目の完成建築からは小さな完成建築から順に寺院コマを移動し使う」というルールが効いてくる。邪魔なところにある寺院はその完成建築を新カードで小さく切り刻めば、早期除去できるのだ。スバラシイ!

【追記】あとから戦術的に、完成建築はできるだけ刻まず、寺院コマだけ除去して大きなまま再利用するのがベストと判明。

 実戦中この重ね刻みのメリットに気が付くと、なんとクリエイティブな庭造り遊びができるのだこれはと興奮してしまった。庭をどんどん広げていくのではなく、じわじわ広げ形を変えつつ中を始終サクサクと最適化していく感じ。つまりこれは庭園を広げながら園内に点景を作っていく、箱庭造り&模様替えゲームなのである。新しい

 ◇

 得点方面がやや雑で、大きな建築ブロックを作ってもあまりメリットがない。6建築ブロックを完成させたときだけボーナスで+1タイルをもらえるようになっており、5軒まではタイルの選択肢が増えるだけなのだ。選択肢が増えても取れるタイルの種類は3軒と変わらないので、ちょっと報われない感がある(まあ一番取りやすい3のところに自分の手番で敵のために新タイルを出さないことにはメリットはあるが)。
【追記】対戦になると4、5列にあるタイルがどうしてもほしくて皆が競争するケースが頻発し、このタイル取得システムはちゃんと機能していた。
このあたりはドイツゲームらしい緻密さに欠けるのだが(出版社はドイツだがデザイナーは韓国人らしい)、自分の庭を作っていきつつ点を競うのがとにかく楽しいので粗は気にならず熱中できる。こうして置くだけで楽しいのはカルカソンヌ以来だと思う。これはもう Yucata で一番どころかカルカソンヌ以後出た最高の置きゲームなんじゃないだろうか。だいたいタイル/カード置きゲームでカルカソンヌ以後に出た新しいメカニクスなんて、これ以外に聞いたことがない。

 何度も書いているが俺はカルカソンヌのメカニクス(ゲームの仕組み)を発明品だと思っているが、その他のさまざまなボードゲームは数学的遊びの発展形であり、プレイして驚いたことはない。空中庭園のこの「カードを重ねて庭園拡大」「建築刻み/模様替え」という要素には驚いた。これはかつて誰も考えたことがない(はずな)ので、カルカソと同じく発明品だろう。すごいじゃん。なんで無名なんだこれ。ほしいぞ。



 初戦終了、123:92。最後は突き放されたが最終ラウンドまで五分の、会話も弾む最高に楽しいゲームだった。彼女は隠しタイルを取っていたので、6個の建築を何度か成功させそれで差がついたのだ。俺も小さな庭をチマチマ活用するよりも、領地をもっと広げてデカイ建築を完成させる必要があるのかもしれない。いや逆だ、うまく領地を広げないとデカイ建築は作れないわけだ。なるほど。ゲームごとにそういう戦法的な違いが出せるところもいい。

 得点タイルの取り方はイマイチだが、実戦をやってみると得点タイルは1枚では無価値だが数枚集めると飛躍的に点が伸びるコロレット式になっており、構成も「虎と調教師カードを一緒に集めるとボーナス」といった具合にドイツゲームらしくタイルコレクションとして調整され、小味が効いていてちゃんと面白いと分かった(このへんはさすが「ストーンエイジ」の出版社ハンスイムグリュックで、ストーンエイジのデザイナーである社長も調整に加わってるんだろう)。素晴らしい。

 ほしいぞこれ。カナダのショップにはない。中古で探そう。これはグレンモア以後に買ったゲーム(お邪魔もの、ディスクワールド、あやつり人形、ブロックス、ストーンエイジ)が全部はずれているうちの家族にも、MKのゲームグループでも絶対にワークする。久しぶりに衝動買いに至るほどゲームで興奮している。

2013/03/05

日記「レスリング炎の最終戦」

「ポップ音楽はカラオケなり」『「ブルゴーニュの城」学習』『ブルゴーニュで苦戦中』「ブルゴーニュとグレンモア」

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■13/02/22(金) □ ポップ音楽はカラオケなり
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グラミー賞時に俺がプリンスを称揚しビデオを見せたところ萌が「キス」をえらい気に入り、ヘビーローテーションで聴いている。90 年頃の名作ビデオクリップの数々を見せてやりたいのだが、プリンスはなぜか Youtube に厳しいらしくほとんど見つからないのが残念。

 宿題をしながらボウイも聞いてたし、「車で送迎中は親が聞きたいものを聞く」ルールによるロックリハビリ療法が実りつつある。まあポップが抜けることはないだろうが、ポップでもいいものとそれ以外を聞き分けてくれるようになっていただければ。

 音楽に関しては、「良いポップ音楽」には俺もちゃんと興味を示すことで萌の気持ちがほぐれている気がする。実際萌が聞いてる音楽で「お、なにこれかっこいいじゃん」と尋ねるとレディガガだったりするのだ。最近俺が反応した「サマーボーイ」は古い歌らしいが、メロディや「♪ク-ク-ク・クレイィズィー」なんて言葉の発音がぞくぞくするほどカッコいい。歌詞内容はルースターズのサマーロマンスのガール版だし。彼女はモノが違うな。


Summerboy - Lady Gaga

Nowhere Yeah we're going nowhere fast
そんな急いで どこへもいかないで
Maybe this time, ill be yours you'll be mine
メイビー今日は うまくいくかも
c-c-c-crazy, get your ass in my bed
ククク・クレイジー ベッドにちょっと座って
Baby you'll be, just my summer boyfriend
ベイビー あなたこそ夏の恋人
Summer boy
サマーボーイ

Lets get lost you can take me home
迷ったふりして連れてって
Somewhere nice we can be alone
どこかナイスなところで2人だけ
Bikini tops, coming o-o-off
ビキニが取れちゃって
Don't be sad when the sun goes down
暗くなってから目が覚めて
You'll wake up and im not around
あたしがたとえいなくなっても
Ive got to go oh, oh, oh, oh, oh
泣かないで 行かなくちゃ
We'll still have the summer after all
夏はまだまだ続くんだし

 ◇

 でこういうのだったらいくらでも聞いてくれて文句はないのだが、シャワーに入るとケイティペリーなどの凡ポップをどえらい大音量で歌っている。これはおそらくああいう歌メロが最初から最後までぎっちり詰まった今風ポップソングは、間が持ち誰でも気持ちよく上手に歌えるというカラオケ的効果が高いんだろうな。喉をウイウイとうならせ「なーんとかダンシン in the サンライッ! なんとかハイライッ! なんとかムーンライッ!」とか歌うとフィジカルに気持ちいいんだろう。現代チープポップはこういう小学生的韻踏みに満ちている。カラオケとして優秀なものが洋の東西を問わずポップ音楽として売れているんである。

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■13/02/24(日) □ 「ブルゴーニュの城」学習
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ブルゴーニュの城@boiteajeux
「洛陽の門にて」はずっと楽しんでいるがオンラインで構築系ボードゲームがやりたくて探していると、「ブルゴーニュの城」が浮上してきた。見た目は悪いしめんどくさそうだが、非常に人気が高く面白いらしい。

 詳細な日本語ルール解説ページ(もげきゃっち「『ブルゴーニュ』ルール説明(私家版)」)があったので読んでいると、同じ家畜タイルを並べると累算で得点が増えるとある。おお、これはカルカソンヌ・ハチエンダ的だとこれだけで気に入った。やっぱゲームは気前よく資源を稼ぎ、それで何かをやれるダイナミックな方がいいよ。テキスト効果を読みちまちま何かを操作するのはめんどくさい。

 いつも通り1人2役で始めてみると、タイルはどうも1個1個全部効果が違うらしく、評判通り読むのが時間がかかる。しかも効果はすべてがアイコンなので、マニュアルを見ながら何度もやって記憶しない限りまったくわからない。このへんは見た目通りめんどくさい。しかし「市役所」を置くと「続けて自ストックにあるタイルをサイの目に関わらずどこでも置ける」といった効果は明瞭かつメリットが大きくわかりやすく、それを使いたくて手番が待ち遠しい感じが好感触である。

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 ルールを読みつつちょうど半分まで進み、面白いがここまで1時間半かかっている。えらい長いゲームだ。ゲームの概要は分かったのでソリテアは中止し実戦をやってみよう。ダイスを使い打ち手を選択していくのは楽しいし、点を取る方法はひと通り理解したが、どう組み合わせたら得点が伸びるかはよくわからない。黄色のボーナスタイルが鍵っぽい。

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 【対戦】1人2役だとうんざりするほど時間がかかったのだが、2人戦だと意外やすいすいと進み、他のことをしながら順番が来たらダイスの目と取れるタイルを見て進めるだけで、実質1時間半ほどでゲームは終わる。序盤は俺が町タイルをあらかた抑えたせいかあまり差はつかなかったが、後半にぐいぐい引き離され 217-126 のダブルスコアで終わった。相手の点は後半加速度的に伸びていたが、途中で見てみると一面羊の素晴らしいファームを作っていた。あれが累算で点をくれるんだろう。うらやましい。

 感想としては、面白い。しかし資源をがっぽり稼いで何かをするというゲームではなかった。制限がややきつくボーナス点のとり方がわかりにくいグレンモアという感じだな。サイの目を操作できるところはストーンエイジ的でもある。後半に大物タイルが出るような演出もないので加速度的に盛り上がることもなく、淡々と進み終わるという感じ。

 詳しいプレイ記事によると黄色の「知識」タイルが拡大再生産要素になっていて、コレで点を取ると決めてコンボを組んでいくのが王道らしい。黄色タイルの説明がどうも意味不明だったので初回はやはりそこまでは至らなかった。黄色タイルは最優先して取らないといかんのかもしれない。黄色タイルの説明をプリントしようかなというくらいには手応えを感じるゲームであった。

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■13/02/26(火) □ ブルゴーニュで苦戦中
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 「ブルゴーニュの城」のタイル一覧をプリントし2戦目を真面目に始めたのだが、イマイチ見通しがよくないゲームである。具体的にはサイの目を+-1できる黄色タイルが非常に重要なわけだが、これが4種もあるのでどの種のタイルに効果がかかっているのか覚えられない。さすがにアグリコラほどではないが同じように例外処理が集積していくシステムなので、

「こいつの効果で●と◆と◇は+-1だから……サイコロ6で5か1も取れるので◇に使い……サイコロ2のほうは……△を取りたいがあれには何か+-1効果がかかっていたっけ?(とリファレンスシートを見る)………いや待てよサイコロ6には黄色効果とワーカーも足せば4にもできて○も取れるな、そっちのほうが最終的にポイントが増すのか………?」

という感じで、分岐が増え思考がぼやけていく。こういう《分岐をどこまで増やし分析できるか》という、脳の暗算量とメモリー保持力に依存する思考は、俺は気持ちよく感じないんだよな。結局のところキリがないので「まあいいや」と分岐分析をあきらめ適当なところで打つしかなくなるのである。

 これは個人ボード上に4種の+-状況がひと目でわかるマーカーがあるべきだよな。というか「ストーンエイジ」のようにサイコロ自体に+-効果が与えられていれば何も記憶する必要はないわけで、SA はやはりよくできたスマートなシステムだと思う。+-1が4つもあるのは無駄な複雑化なのであって、ゲームメカニクス上どうしてもそうしたいならマーカーをボード上に作り、プレイヤーの記憶依存を下げるべきだ。

 それにタイル一覧を見ながら残り2ラウンドでどうボーナスを稼ぐかを調べてるのだが、これといった方針が立てられない。ここも、ボーナスは5種類の掛け算式であるとさえわかれば後は悩むことなく突き進めるストーンエイジのクリーンさに軍配が上がるな。

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 2戦目の相手は、船を取りまくることで手番を増やしグッズを集め売りまくっているらしい。これは単にメインボードと個人ボード間でチップを往復させるだけでさほどイントレスティングじゃない戦術だが、それでも点は取れるのかな。あそうか「商品一個につき、プレイ人数分のポイント」か。1個2点はでかいな。これは黄色のメイン得点源を見極めてそこに手番を集中してポイントを積みつつ、他でもコツコツ取るという感じのゲームなんだろう。

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■13/02/27(水) □ ブルゴーニュとグレンモア
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 「ブルゴーニュの城」は2戦してルールとゲーム内容は分かった。ダイスの目をいじって目的を遂げていくというのは一目瞭然なるほどねで楽しいし人気があるのもわかるが、サイコロの目を操作できるよう細工し、それを生かしてタイルを取りタイル効果・ボーナスタイル等で得点を最大化するゲームなのだから、最初からプランを立てタイルを取り置ける「グレンモア」のほうが俺とうちの家族には話が早いと思う。これはグレンモアでできることをダイスで楽しむゲームであるといえる。計算を重くし、倍の時間をかけて。

 タイルを取って置くというゲーム性がかぶっているのでグレンモアの英語フォーラムで両者はちょくちょく比較され、グレンモアが BoardGameGeek 人気チャート 100 位前後(今見たら1年で少し落ちて 150 位)なのにブルゴーニュがチャートを駆け登っていることをいぶかしむ声があったのだが、たしかに俺もグレンモアファンなので同じ気持ちである。グレンモアの順位は妥当としても(何万もあるうちの 150 位は立派なもの)、これに 16 位という歴史的大傑作みたいな順位をつけるなんておかしいだろう。

 ルールを読んだときと始めた直後は俺もおお面白いと盛り上がったが、1戦2戦とも最後はダレた(理由は後述)。ダイス目とタイル効果を掛け合わせ得点を最大化するというコア部分の思考性が重い――もちろんそこが面白い――から時間がかかるゲームになってるが、ゲームに収まった全体のゲーム性はグレンモアよりブルゴーニュのほうがむしろ薄いのではないかと思う。

◆タイル配置ゲームとしてのゲーム性

 たとえばブルゴーニュはタイル置きゲームでありながら、その置く位置に意味が薄い。どのタイルの効果を使うか、どのエリアをいつのタイミングで揃えるかがゲーム上の意味であり、隣のエリアへの繋ぎやすさくらいしか空間デザイン的に工夫する余地はない(この繋ぎやすさもサイコロを2ほど操作すれば置けない場面はほぼゼロとなるので、さほどの障害とはならない)。タイル置きゲームの王者カルカソンヌの面白さはこの空間デザインにあり、グレンモアにはタイルを有機的にリンクさせ得点エンジンをデザインするタイル配置ゲームならではのゲーム性があるのだが、ブルゴーニュにはどちらもない。

 また、基本ボードで黄色を6枚置き、エリアを埋めきってしまったらもう変更できないのはどうかと思う。それ以後に強力な黄色ボーナスが出ても手遅れなのだ。出るかどうか、取れるかどうかわからないボーナスタイルのために1ヘクスを開けて待つというのも、色揃えボーナスは後になればなるほど小さいという仕組みから無意味だし。1戦目も2戦目も終盤はこのせいで戦術的に詰んでしまい、もうこれ以上何もできん(ボーナスを増大する方法がない)やんつまらんという感じになってしまった。俺はこれをヘクス式タイル置きゲームならではの欠点と感じるわけだが、好きな人は「この制限を考慮に入れた上で得点を最大化する」こともゲーム性と感じるんだろうか(これは拡張で「入れ替え可能」とするタイルがきっと出てるだろう)。

◆リソースマネージメント

 資源(リソース)を稼ぎそれを使って活動するのが現代生産ゲームの面白さなわけだが、ブルゴーニュにはこれもない。銀は産出するがそれでタイルを買うだけだし(つまりサイの目と価値は同じ)、船による交易も単なるチップ移動のお使いで、ためて売ればポイント増加というだけのことでマネージメントといえるほどのものではない。

◆テーマ性

 まあ上記の空間デザインや資源管理要素は単に俺が好むものであって、それらがなくてもサイコロを振ってタイルを取り置くのは楽しい。しかしゲームを通してやってることは「タイルを取りやすくするタイル」「タイルを置きやすくするタイル」「タイルを追加で取れるタイル」「ボーナスをもらえるタイル」をいかに多く効率的に得るかを争っているだけで、自分が城やら村やらを構築しているとは感じられなかった。多種生産施設を自前に備え、工夫して生産し考えて消費して特色ある村を作るグレンモアのほうが、はるかにシーマティック(テーマ性がある)である。同種の家畜をまとめるとポイントが累算するところだけがハチエンダ的で楽しいと感じた。

 でダイスを振って調整して置くというメイン部分はゲーム半ばにしてルーティン化して新鮮味がなくなり、仕込み=プランニングが下手なビギナーはいいタイルがなくなる各フェイズの終盤やゲームの終わりには得点を増やす方法とモチベーションを失うというのがこのゲームへの俺の感想だな。普通にいいゲームだが、もし現在これより楽しいゲームが 15 個しかないなら、そりゃ困るよ。

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 これを書いてるときちょうど「ボードゲーム大学・第 1 回けがわさんをお迎えして」というポッドキャストを聞き、そこで「BoardGameGeek はウォーゲーム上がりの米ゲーマーの影響が強く、ダイスを使った重ゲーにランキングは偏っている、軽いゲームは軽視されている」と言われていた。やっぱりね。その「ダイスラブ&計算好き」という嗜好の中での軽いゲームとしてブルゴーニュは好まれてるのではないかと思う。

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 そんなこんなを考えていると、やっぱりグレンモアがより深化した方向に俺の理想のボードゲームはあるなーと思う。村での生活をより多彩にシミュレートしたいというか。ボードゲームでシムシティがやりたいのかもな。

 グレンモアの拡張タイルが出ないかなあとよく思うのだが、「ブルゴーニュからアイデアをもらえないか」と今考えてみたら、ブルゴーニュにあってグレンモアにないのは同種動物タイルを集めると積算するところだけだと結論が出た。『牧場タイルを作り、家畜を売らずにつがいで入れておけばターンごとに増える』というアグリコラぱくりアイデアをいま考えてみたが、そんなにむやみに増やしても売れないというバランスもグレンモアにはうまく仕込まれてるしな。

 あまり人気のないいくつかの城や土地タイルに、なにか新たなルール/機能を与えてグレンモアをリフレッシュできないか考えてみよう。うちの奥様Mは今のままでも大満足なのだが、俺はさすがに何十回もやって戦術的に出がらし化しているのである。バランスよく全体で点を取り、大物ボーナスキャッスルできれいに締めるMに違う戦術、思いもよらぬエキセントリックな戦術で勝ってみたい。

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■13/02/28(木) □ レスリング炎の最終戦
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┃ 萌レスリング ┃
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 1年の総決算である学区最終戦にして順位をつける二度目の公式戦。5校ほどの他校の生徒もこれまでにすでに見ているはずで、そんなにとんでもなく強い子はいないはずだが、やはり順位がつく公式戦と思うと心臓バクバクだそうで、萌は朝からナーバスになっていた。会場に着いてみるとチームメイトたちを応援する萌の顔が、やはりこわばって見える。

 試合が始まると萌は例によってアグレッシブで、相手よりスキルやスピードがあるようには見えないのだが力が強いのかもみ合ってマットに落ちるとたいていいい態勢を取れ、相手の背中にまわりポイントを取れる。グラウンドで優位なのは腕の筋力が強いのか、それにチーム全体が強いのでコーチの技術指導がいいんだろうな。

 1戦2戦とも似た展開で押し倒してポイント先行し、後半は盛り返されるのだが逃げ切っての勝利。でなんと俺たちが着く前にも1勝してたそうで、体重別の決勝戦に行くことになってしまった。げげげ。まじですか。

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頭をつけた押し相撲が娘のスタイル
相手は萌より1つ年上で背が高くボディバランスがいいスポーツ系。前の試合を見たがスキルも高い。これは勝ち目がないだろうなと思ったのだが、萌は意外や健闘する。萌の強さは俺には謎なのだが、戦闘スタイルとして常に先手を取ってガッと組んでいくので押し相撲になり、押した状態で崩れていくのでいつもいい体勢を取れるのだろう。この試合最初のポイントも押し倒し相手の背中をつけ萌が先取、すごい!

 しかしグラウンドのもみ合いでは相手のほうが相当にうまく、背後を取られポイントを返される。この子はやはり萌とはスキルレベルが違う。しかし萌も脚を取りしのいでそれ以上は抑え込まれずブレイク。


リフトから背面投げを食らいそうになるが

相手の腕を取りブリッジで押し
相手の背中をつけポイント奪取!

相手の美技・逆立ち逆ローリング
パッケージホールド!

ホームの応援団が総立ち!
スタンディングから脚を取られ場外でブレイク。続いてまた先手で脚を取られ、くるくる回転してこらえるもそこから投げられグラウンド腹ばいで背中を取られる。投げは決まらずノーポイント。脚を取り抑え込まれるのをしのぐ萌。萌はファイティングスタイル的に先手を取られること自体少ないので、この辺の間合い呼吸とも相手がやはり相当に格上なのだ。

 抑え込みに抵抗する萌を相手が背後からリフトで持ち上げようとする。あ、いかんいかんカレリンズ・リフトが決まってしまう……とビビるもこのリフトが決まらずノーポイント、その瞬間萌が相手の腕を取ったままカウンターで脚を踏ん張りブリッジ、腕が利かない相手はつっかえができず背中が床に付く! ポイント! やっ・た! すごい攻防だ!

 そのまま萌が背中にまわり相手を抑えこもうとするが、相手は萌を背負ったまま立ち上がり(!)、萌の脚を取って崩しながら前転して逆ローリングパッケージホールドみたいな感じで萌の背中をつけようとする。スゴイ! これはすでにプロレス! 面白い\(^-^)/! これがカウントされ相手にポイント。現時点でスコアはイーブンじゃないだろうか。しかしこの相手の子は本当に強い。力任せじゃなく、スマートかつクレバーなレスラーだ。

 そのまま相手が萌を抑え込みにかかる。萌は手をクラッチして耐えるが、そのクラッチが切られた。あーいかん! このままではピンフォール(背中をついた抑え込み)1本になってしまう。耐えろ! 相手の渾身の抑え込み、萌の応援ガールズがマットを叩き耐えろと絶叫する。厳しい。

 しかしピンフォールは無理と判断した相手が体勢を変え、その間に萌は腹ばいへと移行する。これで1本負けはなくなった、ブレイクまで耐えろ―――タイムアップ! ―――応援ガールズが全員両手を上げイェイと歓声。―――え? 勝ったの?! 勝ったんだ! 体重別地区チャンピオンです、萌サカータ!

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 萌は信じられないという表情で泣き出す。相手の子はあーあと少し時間があればというスポーツマンらしいサバサバした明るい表情。萌も俺も最後の抑え込みで逆転されたかと思ったのだが(柔道なら有効2本ずつで延長戦という感じ)、総ポイントは萌が上回っていたらしい。駆け寄ったチームメイトに抱き締められ感涙にむせぶ萌。こっれはえらいことになった。母Mも泣きながら階段を駆け下り萌を抱き締める。すごいぜ萌。あれほど強い相手に勝てたとは。

 あとからビデオで振り返ると、リフト崩れからカウンターのブリッジで相手の背中をつけた2点が大きかったのだろう。先取点とあの点で勝ち点は足り、あのうまい相手にそれ以上の点を取らせなかったわけだ。マグレ気味ではありもう一度やったら勝てないだろうが、あの相手に決勝点を取らせなかったのは本当にすごいよ。これはサッカー日本代表がWCで欧州強豪を倒すようなものですよ。12 月の公式戦では3戦全敗だったのに、ここまで戦えるようになるとは。なんということでしょう。

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 しかし萌がなにかで賞を取り感涙にむせぶシーンというのはいつか必ずあると強くイメージしていたが、まさかスポーツ、それも格闘技とは(笑)。最近目覚めたギターでものになるのだろうと思っていたが、ギターよりもレスリングで名を成すとは(笑)。

 まあとにかく怪我をしないで楽しんでくれ。レスリングスタイルも今の真っ向からガッツンは効果的ではあるが怪我のリスクが高いので、もう少し柔軟なスタイルに変わっていってほしいと思う。いやーとにかくおめでとうございました、驚いたよ私のムスメ。