2013/03/15

【Yucataボードゲームの日々】驚きの発明「空中庭園」

「ひな祭り」「【港町渡り鳥】サンチアゴ・デ・クーバ」「【よくできている感】Call to Glory」
『驚きの発明「空中庭園」』にルールと戦術追記あり

 =======================
■13/03/03(日) □ ひな祭り
 =======================

【ひな祭り】今年はティーン4名+親戚3名の大勢が着物で着飾り、まったく花が咲いたようであった。萌が友達を3人も招待したいというのでうちにそんなに着物なんてないだろうと思ったが、結婚して長いこと経つとおばあちゃんからのもらいものでこんなにあったのです。SPだけは萌が京都の東寺で買ってきたプレゼント着物を持参したが。すごいな。

 ◇

 ひな祭りの流れでカレッジゲーマー姪SFが泊まっていったので、夜グレンモアを教える。「こうするとまわりのタイルに全部生産物が出る。これを使って買い物をしていくわけ」と説明していくとSFは「OK、わかった」とするする説明を飲み込み、要所要所で俺とMからアドバイスをもらうだけで十分に楽しんでくれた。グレンモアは要素多彩だがわかりやすい。それに彼女は所属する地元D&D会でゲーム慣れしてるし、若いから頭も柔らかいな。

 ちなみに彼女の地元D&D会では「キングオブトーキョー」というゲームがウケているそうである。ゴジラが出てくるあれかー。

 =======================
■13/03/08(金) □【港町渡り鳥】サンチアゴ・デ・クーバ
 =======================

Yucata で地道に習っている新ボードゲームシリーズ、今日は「サンチアゴ・デ・クーバ」に挑戦中。キューバの根無し草のチンピラ(多分)がおんぼろトラックに乗って麗しい港町を駆け回り、親方衆のご機嫌を伺うことでかき集めた砂糖やタバコをこそっと船に載せ売っぱらっちまおうというゲーム。

 作物を集めるのは簡単で売り物はたまるのだが、これを売るのが難しい。正確にいうと、自分だけがうまく売ることが難しい。高く売ろうとするとリセットされたり出荷自体をスキップされたりするのである。

 この出荷を千日手的にお互い打ち消しあうところがプエルトリコ的でちょっといやらしいなあと思いながら(――プエルトリコはよくできた面白いゲームだが、そういう「やりたいことがやれない度」がマックスで疲れるので俺はプレイしていない――)、まあ実戦をやってみようと始めてみたら、タイル位置が全部ランダムなので練習時とガラリと様相が変わる。これで「あ、これは面白いわ」と感じた。船を見てそのラウンドは何の作物の需要が高いのか、それは港のどの地点で取れるのか、敵があれを取るだろうから俺はその次にあそこを取ればいい……とナチュラルに思考が進むのだ。

 親方を選ぶと、同時にその親方が持つショバ(3つの街)にある建物(特殊効果)カードのどれかも引ける。これが思考の分岐を増やし、アグリコラやエルグランデ的な分析麻痺(analysis paralysis・要検討事項が多すぎて思考停止になること)を招きよくないかなと最初思ったのだが、やってみると大丈夫だった。トラックを移動するにはコインも必要なので現実的に選べる親方は常に3人ほどで、検討すべき効果も「砂糖→ラム酒に加工」「作物1個売却可」と明瞭単純で、アイコンもよくできており判断に迷わない。その都度メリットの大きいものを適当に選ぶだけでサクサク進んでいける。見た目よりも意外と軽いのである。何周かするうちに『自分の状況>親方効果>町効果』のシナジーが発生してそのラウンドの短期目標を達成するコンボも見つかる。これはいいかもしれない。

 実戦は経験者が相手だったが、やはり敵のポイントを妨害しあうというゲームメカニクス上差がつきにくく一進一退で進み、初戦から勝つことができた。

 ◇

 これはなかなかいいゲームだな。「敵が届けたい作物の需要をゼロにする」という建物があるため頑張っても差がつかないところで評価を落とさざるをえないが、ターンが回ってきたらその都度選択肢を選び遊ぶくらいのゆるプレイに適した軽さで楽しい。最近 Yucata 上位者とやる1対1「ストーンエイジ」は、一手でも悪手を打ったらほぼ勝ち目はないほどのドライさにいささかうんざりしてきてるので、このくらいの軽さのワーカープレイスメント的ゲームがあるのはありがたい。評価は7弱あたりだけど、相当遊ばせてもらうと思います。

 =======================
■13/03/10(日) □【よくできている感】Call to Glory
 =======================

Yucata 新ゲーム「Call to Glory」。カードを引きワンペア以上の役を揃えて場に出し、より大きな役で敵の役を上書き(無効化)していくというゲーム。全体枚数の少ない帝や大名は2~3枚の最小セットでも上書きされにくいが点が低く、全体枚数が多いため上書きされやすい農民セットのほうが点は大きい。希少なカードのほうが点が低いというのは身分的には反直感的だが(つまり侍テーマはあまり合わない)、ゲームメカニクスとしては見事に機能しており面白い。ルールが超簡単なところも含め、やっぱりコロレットの風味がどこかあるな。

 実戦:81 位の猛者がいきなりきた。しかし運も多分にあるゲームなので、手も足も出ないということはない。引きによっては勝てるだろう。―――うわ! 5枚で確定と思った 20 点農民がクリアされた。ショック。再度取り返すのはほぼ不可能なのでこれは痛い。しかしこれ一発で面白さが分かった(笑)。やっぱり上手い人はカードを揃えるのがこんなにうまいんだ。驚いた。大敗。なるほどー。

 いやこれは面白いな。俺がやりたいゲームとは系統が違うので(俺は生産かエリア取得を楽しみたい、両方あればベスト)頻繁にやっていこうとは思わないが、面白い。ルールが似てるとも思えないのだが、やっぱコロレットの風味がどこかあるな。―――あ、それはこの「よくできている感」だな、それがそっくりなんだ :-)。

 =======================
■13/03/11(月) □ 【驚きの発明】空中庭園
 =======================

このようにカードを重ね、絵柄が合う部分に寺院コマ(左:黄、右:紫)を
置くと右に並んだ得点タイルを取れる。ルールはそれだけでUIもよくできている
ので、初回から即楽しめる。パズル好きはYucataでお試しすべき。



 オンラインYucataで「空中庭園」を習う。カード置きゲーム。建築(4種の庭園パーツ)が描かれたカードを自分の庭園に配し、3個以上の同一建築を繋げると「完成」し得点タイルがもらえる。ルールはシンプルで、

  • 新たに置くカードに描かれた「建築」パーツは、すでに置かれたカードの範囲内に収まっていなければならない(余白部ははみ出しても OK)。
  • 3個以上連続した建築に寺院コマを置けばタイルがもらえる。完成を保留して4連、5連と大きくすると取れるタイルの「範囲」が4、6と広がり、6連は隠しタイルをプラス1個取れる。
  • 建物パーツ上に新カードを重ねても OK(たとえ完成した建築を上書きしても、すでに得点タイルはゲットしてるので問題なし)
  • 寺院コマは5個あり、6個目の完成建築からは小さな完成建築から順に寺院コマを移動し使う

 とこれだけ。最初はこの『新たに置くカードに描かれた建築は、すでに置かれたカードの範囲内に収まっていなければならない』という配置ルールの意味がよくわからず、直感的にテトリスのように図形を合わせようとするとアレレうまくいかんなという感じだったのだが、何枚か置いてみると目からウロコ的に理解した。これは前に置いたカードが新たなパーツを置くための「庭園スペース」となるのだ。そのスペースより外に建築パーツは置けないが、カードの余白部は単なる敷地なのではみ出した余白部は敷地拡大となるということだ。なるほどー。

 ―――あ、それで「Hanging Gardens-屋上ガーデン」なのか。カードは庭園パーツを置くための屋上ガーデンなんだ。なるほどー。屋上ガーデンでビールを、海底公園でワインを。

 仕組みがわかるとこれは非常にクレバーなパズルになっている。テトリスやブロックスのように独立した図形を置くわけじゃないので繋ぎたいところが繋げないことが頻発するが、それはパズルを複雑化するためにワザと設けられた制約じゃないのだ。1枚のカードでスペース拡大と建築構築が同時に行われる画期的なパズルなのである。だから難しいのだが、しかしたとえほしい建築がないカードでもカード全体が屋上スペースなので、考えて置けばワークスペースが拡がり庭の改善になる。すでにある建物部分の上に重ねて新カードを置けるのも一見非直感的だが、それは不要なガーデン部分を更地にしよりよい庭に開拓し直しているということだ。無駄なターンがなく素晴らしい。

 ◇

 得点タイルを取るには作った新規建築上に寺院コマを置き「完成」とする必要があるのだが、これがまたよくできている。設置された寺院コマの上には物理的に新しいカードが置けないので、無計画に寺院を建てるとたちまちカードを置くスペースがなくなってしまうのだ。そこで寺院はひととこに、できれば建築の邪魔にならぬ庭の中心部にまとめようと努力するのだが、カードの引きもあってなかなか思うようにはいかない。ならぬものはならぬのです。


黄色寺院コマが建った6軒建築(左)の上に
新カード(右の黒枠)を置くと、寺院建築は
最小の1軒となり、このターンで除去できる。
この邪魔な寺院コマの処理に、「6個目の完成建築からは小さな完成建築から順に寺院コマを移動し使う」というルールが効いてくる。邪魔なところにある寺院はその完成建築を新カードで小さく切り刻めば、早期除去できるのだ。スバラシイ!

【追記】あとから戦術的に、完成建築はできるだけ刻まず、寺院コマだけ除去して大きなまま再利用するのがベストと判明。

 実戦中この重ね刻みのメリットに気が付くと、なんとクリエイティブな庭造り遊びができるのだこれはと興奮してしまった。庭をどんどん広げていくのではなく、じわじわ広げ形を変えつつ中を始終サクサクと最適化していく感じ。つまりこれは庭園を広げながら園内に点景を作っていく、箱庭造り&模様替えゲームなのである。新しい

 ◇

 得点方面がやや雑で、大きな建築ブロックを作ってもあまりメリットがない。6建築ブロックを完成させたときだけボーナスで+1タイルをもらえるようになっており、5軒まではタイルの選択肢が増えるだけなのだ。選択肢が増えても取れるタイルの種類は3軒と変わらないので、ちょっと報われない感がある(まあ一番取りやすい3のところに自分の手番で敵のために新タイルを出さないことにはメリットはあるが)。
【追記】対戦になると4、5列にあるタイルがどうしてもほしくて皆が競争するケースが頻発し、このタイル取得システムはちゃんと機能していた。
このあたりはドイツゲームらしい緻密さに欠けるのだが(出版社はドイツだがデザイナーは韓国人らしい)、自分の庭を作っていきつつ点を競うのがとにかく楽しいので粗は気にならず熱中できる。こうして置くだけで楽しいのはカルカソンヌ以来だと思う。これはもう Yucata で一番どころかカルカソンヌ以後出た最高の置きゲームなんじゃないだろうか。だいたいタイル/カード置きゲームでカルカソンヌ以後に出た新しいメカニクスなんて、これ以外に聞いたことがない。

 何度も書いているが俺はカルカソンヌのメカニクス(ゲームの仕組み)を発明品だと思っているが、その他のさまざまなボードゲームは数学的遊びの発展形であり、プレイして驚いたことはない。空中庭園のこの「カードを重ねて庭園拡大」「建築刻み/模様替え」という要素には驚いた。これはかつて誰も考えたことがない(はずな)ので、カルカソと同じく発明品だろう。すごいじゃん。なんで無名なんだこれ。ほしいぞ。



 初戦終了、123:92。最後は突き放されたが最終ラウンドまで五分の、会話も弾む最高に楽しいゲームだった。彼女は隠しタイルを取っていたので、6個の建築を何度か成功させそれで差がついたのだ。俺も小さな庭をチマチマ活用するよりも、領地をもっと広げてデカイ建築を完成させる必要があるのかもしれない。いや逆だ、うまく領地を広げないとデカイ建築は作れないわけだ。なるほど。ゲームごとにそういう戦法的な違いが出せるところもいい。

 得点タイルの取り方はイマイチだが、実戦をやってみると得点タイルは1枚では無価値だが数枚集めると飛躍的に点が伸びるコロレット式になっており、構成も「虎と調教師カードを一緒に集めるとボーナス」といった具合にドイツゲームらしくタイルコレクションとして調整され、小味が効いていてちゃんと面白いと分かった(このへんはさすが「ストーンエイジ」の出版社ハンスイムグリュックで、ストーンエイジのデザイナーである社長も調整に加わってるんだろう)。素晴らしい。

 ほしいぞこれ。カナダのショップにはない。中古で探そう。これはグレンモア以後に買ったゲーム(お邪魔もの、ディスクワールド、あやつり人形、ブロックス、ストーンエイジ)が全部はずれているうちの家族にも、MKのゲームグループでも絶対にワークする。久しぶりに衝動買いに至るほどゲームで興奮している。

0 件のコメント:

コメントを投稿