2015/09/28

猫サドンリー


奥様が「さあ秘密の場所に行くわよ秘密よ~」と、私と娘をどこかへ連れて行く。動物保護センター? え? 猫飼うの?! いや前から猫を飼おうかしらとは奥様言ってたけどさ、本気にしてなかったのだ。そんなーいいのかな猫を飼うなんて…まあ東京のアパートでは飼ってたけど今はなんか責任あるし…と思いつつ、会ってしまうとたちまち愛着が湧きかわいく離れがたく、即日縁組みしてお持ち帰りとなった。

で帰宅し「さあ今日からここが君の家だ、ようこそourホームへー」とニッコリ笑って箱から出してやると、猫は

「な ん じ ゃ こ り ゃ あ!」

と2枚め顔を見せ、脱兎のごとく物陰に隠れ出てきてくれない。現実は難しい(笑)。



しかし人間のことは好きな猫で、隠れてるベッドの下に手を差し入れてやるとゴロゴロいって喜ぶ。そこでとにかくゆっくりゆっくり時間をかけ、まる1日ベッドの下で背中をなでてやり、ときおりトイレに連れてくこと10回。ようやくそこが砂だと気がつき用を足してくれた。これで自信を得て夜やっと家の探索を始めてくれましたうちの猫。よしよし。

そして昼間ずっと隠れて寝てたので、みんなが寝静まった夜暴れまくる。家中をヒャッハーと駆けまわり、どこを通ったのか頭に蜘蛛の巣を絡めている。ときどき俺のところに来て立ち止まりやがて去っていく。俺はもう寝るよ、あまり騒がず、そして物を壊さないでくれ頼む。

歯を磨いてたら猫が見に来た(笑)。なにもかも珍しいんだろう。だんだん楽しくなってくるなあ :-)

2015/09/24

鳴りやまぬサマーフィーリング

夏に吉祥寺でやったジャムセッションからもう1曲。これは廃墟警備員になる少し前、恋をしたり恋に破れたり、仕事に消耗したりバイクや自転車に乗ったりしていた私の東京90年代アンセム第二です。

「Summer Feeling」
ベイビーに恋をしたり 友だちに恋をしたり
無駄な時間に満たされてるとき
とても許された楽しみそれが
サマーフィーリング いま僕の胸にある

当時恋をなくし何もかもダメなりとトボトボ仕事に出かけていくと、会社で仲のよかった女の子が元気ないねと笑いかけてくれた。俺はこの人の顔が見たくて会社に来てるなあ、彼女は俺の会社の恋人だなあと思いました。そのとき友だちが作ったこの歌がぐわーと頭に浮かんだのです。会社でミュージカル状態。



水の光 君を誘いよせたり 草の匂い 君を寝転がせたり  
ティーンエイジカー ポリスを誘い寄せたり
いつもいつもあり続けている
サマーフィーリング 消えることはなく

君がそれをなくした時 取り戻したくなるでしょう
サマーフィーリング 君ははじめて気づく

単純だった君のロマンスも
悲しく乱れくすぶってくる
サマーフィーリング それだけは消えずに

強くもえている緑の中を 走り抜けていく君と僕の影
あの甘いスリルは本物だったんだね
散り散りになって飛び去っていった 
サマーフィーリング それだけを残して

サマーフィーリング 僕をあざけって
サマーフィーリング 僕につきまとい
何故消えないんだ
僕をどこまで連れていくの



録音はこの歌を書いたハチと、今この歌をバンドで歌ってるドラマーテラがハモるというゴージャス版になっている。写真はふるさと長野へ向かう汽車の窓からの風景です。

私がベンベベベンと陽気に弾くギターソロ(リズムがなんかすごい乱れててゴメンみんな!)の終わりを、そっときれいなリフで締めてくれるドッキリさんのギターが素晴らしい。どこでソロに行くのかなんて打ち合わせたわけじゃないのに、出たり引いたりが実にうまくいっている。

最後のソロは借りてたテラさんのギターがきれいにフィードバックした。鳴りやまぬサマーフィーリング。◆

2015/09/19

2015年日本旅行(終)東京フレンドシップのアンセム

「古いアルバムのダーリンマン」「東京だよムスメさん」「夜間飛行」

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■15/08/09(日) □ 古いアルバムのダーリンマン
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 気がつけば帰国の日が迫る。あわてて実家の物置に潜り込み、汗をかきかき自分の荷物を掘り出す。――あった、俺のバンドマン・警備員時代の写真アルバムが。


警備犬にじゃれつかれ幸せな警備員、1990年頃


 そこにはまるで今の俺をめっちゃ若くしてかわいくしたみたいなやつが写ってるので、うわーと声が出てしまう。日本に残していったこれらの写真を見るのはすなわち20年ぶりで、マジでそれらの写真を忘れているのだ。どこで撮ったか覚えてないものすらある。左は府中基地跡かな。右は調布関東村事務所横の幼稚園(KINDERGARTEN)前だ。なつかしい。あまりにもなつかしすぎる。



 昔から俺はいろいろと人によくしてもらっていて、なぜだろうとときに不思議を感じてたのだが(――2回かそこら会っただけで現奥様に好きになられたのだって驚きだった――)、これらの写真をパラパラと眺めているとその理由が分かる気がする。長野に住んでた頃に訪ねてきたドラマーテラをMが「彼はダーリンマン(愛らしい人)ね」と評してたのだが、俺がいま若き自分を見てそう思うのだ。

 FBでハチに見せると、「いい写真だなあ。楽しい幸せな時代だったよ」と感想がくる。あの廃墟のフェンスの中には彼の歌にあるような、許された楽しみがあったな。いつもいつもあり続けている。今年は彼らに会いに行こうと考えている。

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■15/08/10(月) □ 実家最後の日
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 信州実家最後の日。実家レストランのすき焼き・焼き肉はすでに堪能したけれど、もう一方の雄であるトンカツを食わねばカナダに帰れない。というわけで娘甥姪を引き連れサカタ宗石亭のトンカツを堪能してきた。本当に本当にうまかった。

 店内で給仕をしてくれたのはわが弟オコ、つまり甥姪のお父さんなので子供らは大盛り上がり。彼が皿を持って横を通るだけで声援と拍手が飛ぶ。モテすぎだろ。オコがまた調子に乗ってコケる振りをしたりしてドリフみたいであった。



 お盆までいられないので早めのお墓参りも済ませ、そして夜は親戚の子供たちも顔を見せてくれギターを弾いて歌を歌い歓談し、ナイスな実家滞在の夏最後の日だった。兄貴の子供らはそれぞれ勤労への強い意欲を示しており頼もしい。イトコの子供は政治青年となったりスポーツと農業に燃えていたりする。子供たちが皆イントレスティングな人へと育っていくなあ。

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毎回カナダへの帰国前夜は、おばあちゃんちのリビングで萌と TV を見ながらプリンを食べ、「もう終わりなんだね」とため息をつく。あれもこれもできなかったと萌はぼやく。今年は序盤に大・沖縄の旅があったので、信州での滞在が短かったしね。

 それでも数えてみればこのおばあちゃんの家でいろいろやったし、退屈で困ったなんて日は一日もなかった。甥Tとの毎日の囲碁は激しく燃えたし、母さんにタブレットを教えてあげてるだけでも楽しかったしね。もっとここにいたいけれどね。なかなかそうもいかない。明日は東京。まだ旅は終わっていない。

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■15/08/11(火) □ 東京だよムスメさん
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 おばあちゃんとキッズに見送られ実家信州を出発し、娘に東京を見せる旅へ。



 萌は渋谷でこれぞ東京という人混みをやはり楽しんでいた。和服を着た若い男女が多くて素敵だ。暑さは恐れていたほどではない。

 国分寺に取った宿に入り、食材買い出しに見覚えのある国分寺駅前の雑踏を歩いていると、すごく現実感がなくなる。なんか 20 年前の東京時代と今との時系列が混乱してくる。自分がどこにいて何語を話せばいいのかといったことを一瞬考えてしまう。ここは日本語でいいんだよな、そうだよなって確認してるのです。

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■15/08/12(水) □ 東京フレンドシップのアンセム
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夕方吉祥寺でかつてのバンド仲間とスタジオに入る段取りを急遽つけてもらった。ありがたい。昼間は雨だったが国分寺のお鷹の道というのを見に行く。周りはみな大きな農家みたいだ。すごいな。

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 長年一緒にやってたドラマーテラと国分寺駅で会う。M萌がいる間はときおり通訳説明してやらねばならないせいもあって会話があまり弾まなかったのだが(テラは緊張してたらしい)、食事を終え彼女らがホテルに戻り二人だけになると話がリズムに乗る。喋り方や物腰にはなんの変わりもないな。共通の友だちはどうしてるのかとか最近テラがやってる音楽の話をしていても、まるで毎週会ってるかのように話が合う。ネットでテキストや音をやりとりでできてるおかげもあるんだけど、やっぱり俺たちは一緒にバンドやってた頃と基本なにも変わりないんだろう。FB で誰をフォローしてるとかいうところまで一致してて笑った。

 「ドラマーなのになんでそんないいギターを持ってるのか」と皆が笑うテラの愛器エピフォン・ジョンレノンモデルを借りてスタジオに入ると、アンプがマーシャルに当たってしまった。マーシャルは基本ハードロックな音しか出ず、俺が使うとニールヤングとクレイジーホースみたいな音になってしまう。これじゃ音がつぶれてサクサクとコードカッティングできないので歪みを減らすと、今度はサスティーンが不足してソロが弾けない。そのへん久々のスタジオ入りに俺は気持ちが逸ってるのもあり、落ち着いて設定できない。



 まあいいや始めてみようとガチャガチャ試してる時にハチが入ってくる。オー。「おー。なんかトモと久しぶりって感じが全然しないんですけど」とハチは笑う。ほんとそうだよね。

 序盤はベースのタキちゃんが間に合わなかったので、今テラ・タキちゃんとすごくいいトリオをやってるすご腕ギタリスト・ドッキリさんと俺が代わる代わるベースを弾いて、手探りな感じで進む。初手合わせのドッキリさんがコピーしといてくれたかつての俺たちの得意曲「モジョワーキング」「ビールスカプセル」あたりは爽快なデキだった。ハチは数年前体を壊してしばらくフルパワーで歌えない状態だったそうなんだけど、そんなことは信じられない声だ。全然変わりないじゃん。少しも変わらぬ大好きな声が、俺のギターと加速していく。「ほんとなんか20年ぶりって感じが全然しないんですけど」と皆で笑う。ほんとそうだな。会って音を出せばこんなに楽しいのに、俺のギターを好きでいてくれる彼らに、なんで俺はずっと会いに来なかったのだろう。

 遅れてベースのタキちゃんが登場し、数曲ジャムって様子を見てからハチとタキちゃんのタイドプールの歌、「ストレンジボーイ」が始まる。



 ――ああ。これは警備とバンドをやってたあの頃の、俺の東京90年代フレンドシップのアンセムだな。今回連絡つかなかったアライが弾いてたギターソロを俺が弾く。やつのフレーズをコピーしたことなんかないけど、覚えているから弾けてしまう。1・2・3・4、3・2・1・ゼロ。俺の気持ちは変わらないよ。前より君を思ってるよ。俺は今でも宿なしだ。




ボーカル/ギター:ハチ、ベース:タキちゃん、
ギター:トモ、ドラム:テラ、ギター:ドッキリさん、
そしてゲストのトモちゃんつづるちゃん
ジャムが終わり終電の時間まで話をしたあと、ハチの車でテラと共に国分寺まで送ってもらう。夜の五日市街道を走るクルマの中で後ろの席からハチテラと話しながら、あああの頃のまますぎるな、なんか夢の中でリピートを見てるみたいだと感じていた。疲れていたし次の日がフライトだったから無理はできなかったけれど、車がずっと国分寺に着かなきゃいいなと思っていた。車を降りてハチの肩を叩く。じゃあまた。今度東京にきたらうちに泊まりなよ。そうするよ、ありがとう。

 ホテルの前でじゃあここでと別れるとき、テラに抱きついて「こんなに長いこと会いに来なくて、ほんとゴメン」と謝った。「なんかカナダでさ、バンドもやってないしたいしたこともしてなくてと引け目みたいなのがあってね。だけど関係ないよね。気持ちは変わりない。次はもっとちゃんと会いに来るよ」。外国人みたいな俺の別れ方に彼は、お・おうと目を白黒させていたかもしれない。だけどそうせずにはいられなかったんだよ、マイダーリンドラマー、テラ。




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■15/08/13(木) □ 夜間飛行
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 昨夜ジャムセッションから夜中のホテルに戻ると二人共寝ていたのだが、翌朝バンドよかったよ20年ぶりなんて感じなかったくらいだと話すと萌が泣いてしまった。「よかった…よかったねお父さん」。ティーンの涙腺がよわよわになってしまう、日本とのお別れの朝です。俺も気持ちは同じだな。



 成田に向かう途上、秋葉原アニメタウンの強烈な風景を楽しむ。萌は那覇、長野、秋葉原とアニメストアを発見するたびに興奮して突入していったのだが、彼女が愛する「進撃の巨人」グッズはごくわずかしかなく毎度落胆している。しかもチビキャラ化されデザイン性も実用性もしょうもないものしかない。店内は俺たちの目では個々の識別すらできないその他アニメのほうが明らかに主力商品であり膨大な海になっている。

 そういうジェネリックな絵は俺たちに何も訴えかけてこないので、AKB の娘さんたちに囲まれたみたいな微妙な気分になる。俺は艦これだけは見分けがついたが、奥様はなぜバトルシップが女の子なのかといぶかっていた(笑)。

 しかしほんとアニメグッズの高さはいくらなんでもと思うな。海外からわざわざ来る彼女のようなファンが半額で倍の点数買えたら、どれほど幸せな世界だろうと思う。半額で倍売れればハピネスは倍ではないか。

 何はともあれ予定通りの電車に乗り、ちょうどよい時間に成田でチェックインを済ませ無事出発。さよならジャパン。関空や沖縄にいたのがものすごく遠い昔な気する。





 帰りの飛行機の中で昨日のスタジオの音を聴くと、家ではいつも弾いてるとはいえバンドで弾くのが超久々の俺の指はやっぱり盛大にもつれていた。よく言えばニールヤングっぽいかもしれない。ミディアムテンポ曲のテラドラムのリズムは昔よりはるかによくなっているのに、俺のリズムは大学生時代並みに前に走っていて恥ずかしい。これを聞いたら家で練習して来週もう一度スタジオに入り直したくなったよ。そうしたら次は絶対よくなる。約束する。いまアイデアが湧いて湧いて仕方がないんだ。

 明かりの落ちた夜間飛行のシートに身を沈め、大好きだった歌たちを聴き熱くなる。実家で見つけたアルバムの写真と音が頭の中で一つになっていく。「サマーフィーリング」の最後のソロは借りてたエピフォンがきれいにフィードバックした。途切れない音がどこまでも続く。永遠の夏が鳴っている。

 バンクーバー空港に着いたときに昨日会えた人たち会えなかった人々のメッセージを受信し、入国管理の列に並びながら読んだ。ありがとうマイフレンズ。俺の気持ちは変わらないよ。

2015/09/13

2015年日本旅行(3)長駆長野へ

「イトコたちとの時間」「すごいよ日本の吹奏楽界」「チープ買い物の楽しみ」「SF一家歓待」「進撃のヘドバンギャー」「天才少年棋士!」「野猿公苑」「松本アルプスウォーター」

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■15/07/25(月) □ 長駆長野へ
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 関空→那覇も嵐の中だったが、那覇→名古屋も沖縄北部を台風が通過中に飛ぶというギリギリのフライト。とにかく無事飛べて運がいいとしか言いようがない。今日は那覇→名古屋空港→名古屋駅→長野駅→実家駅へと大移動。



 風がひどくなる前に無事那覇発。しかし那覇空港の搭乗手続きは俺の経験上最も手際の悪いものであった。おみやげでも探そうとわざわざ早目にきたのに、列にただ並ぶだけで1時間が終わってしまった。空港職員との応答も要領を得ず、どこか発展途上国の空港にいるような気分だった。

 名古屋空港は特にどうということもなく通過。JR 名古屋駅までの特急電車は意外や直行シャトルではなく一般電車だった。やたらと止まり遅くて乗り換えの時間が心配な上に、一般客が乗ってくるので大荷物の俺たちは肩身が狭い。

 とにかく辛抱して名古屋につき、急いで電車を乗り継ぐ。普段はスマホを携帯してるので腕時計の必要を感じないが、旅行で大荷物を引っ張りつつ空港や駅を移動中は腕時計で瞬時かつ常時時刻を確認できないと次の便に間に合わない不安に苛まれ、旅のクオリティが落ちると痛感する。この旅行中にどこかで手頃なカシオを見つけて買おう。

 JR 名古屋駅で弁当を買おうと思ったら特急ホームには売店がなく、特急内にも車内販売がないというおもてなしの悪さだった。JR は新幹線にすべてを傾注して、在来線はこんな扱いなのか。特急だって運賃はぜんぜん安くはないのだから(名古屋→長野で 7500 円、上野→長野新幹線が 8200 円)、同等のサービスを受けたいものである。



とまあ日本国内での移動は言うほどおもてなし良くないよジャパンと感じるのだが、しかしいったん JR 特急しなのに乗ってしまうと快適でしみじみいいんだよなあ :-)。




窓から見える木曾谷の名も知らぬ鄙のこの景色なんてもう、ああ信州はいいなあと思う。トロピカル沖縄もいいけど本州もほんといい。



南信の牧歌的風景を延々と眺め進んでいくしなの。いつまで経っても出口が見えないこの木曽谷を、むかし車で浜松へと走ったこともあったよねとMと話す。これで弁当があったらほんと最高なのだが。腹が減った俺たちはポリポリとスナック菓子を食べ続ける。



 そして7時に長野駅着、長野駅は知らぬ間にきれいに大改装され、乗り換えの私鉄長電ホームまで全線エスカレータ開通となっていた。

8時に実家着。長い長い移動でした。お疲れ様。やはり信州は涼しい。窓を開けておけば夜はクーラーなしでいられる。おばあちゃんは3年前から全然変わりないな。萌が大きくなったわねえとびっくり仰天している。そうだよねえ。

 ちょうど夏祭りで家の前を神輿が通り過ぎていく。「おじいちゃんが生きてた頃はこのお祭りが大好きだったんだよ」と萌におばあちゃんが説明する。いやー帰ってきました。お疲れ様。


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■15/07/26(日) □ イトコたちとの時間
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 いやー信州は朝夕涼しい。窓全開では明け方寒いくらいだった。カナダみたい。



 三年ぶりに会った萌とイトコたちはお互いどうにもシャイになり打ち解けなかったのだが、昔俺がプレゼントしたボードゲーム「呪いのミイラ」を誰かが出してきてこれで盛り上がってくれた。良いゲームのある家はありがたい。



 日本のイトコたちといると萌は口調や態度が子供に返る。そして彼らが帰ると「キッズと遊ぶことがこれほど楽しいとは忘れていた」という。遠くに住むイトコと会うこの楽しさって、不思議なほどだな。

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■15/07/27(月) □ すごいよ日本の吹奏楽界
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 姪のAちゃんの中学生吹奏楽コンクール地区大会を見に行く。カナダの中学吹奏楽とはレベルが違うとは知っていたが、それにしても強豪校は俺もMも萌も驚きでポカーンの超絶技巧中学生集団であった。中1で管楽器を始めて2年や3年で、なんでこんなにうまくなれるんだこの日本の子供らは。ギターだったらありえないうまさである。

 今日は4校の演奏を見たのだが、同じ課題曲を同じ譜面で似た編成でやってもバンドごとに驚くほど音が違う。先生の指揮の勢いや強さが音と見事にシンクロしており、力強くメリハリをつけて先生が振るバンドは若干やり過ぎなほどに音の強弱の差がつき、穏やかに指揮されるバンドは音がマイルドになる。

 いかにも音大出という感じの(偏見ゴメン)ファナティック性ある先生が強弱バリバリに振るほうが音がインテンスになるので見映え聞き映えはよく客席はウケていたが、小沢健二みたいなかわいいヒョロ助先生が振るAちゃんの学校の演奏も穏やかで、それがとても中学生の部活らしくてよかった。結果彼女の中学も見事県大会へ進出。

 ちなみに審査員の講評までも、「大きな音を出すときに、力んでいてあなた方のベストな音色が出てないと気づいてください」とレベルが高かった。そこまで気づく審査員だから、ヒョロ助先生が振るAちゃん中学の柔らかな音も評価してくれたんだと思う。すごいよ日本の吹奏楽界。

しかし制服のワイシャツの背中にクラリネットなどのケースをしょって自転車で会場に向かう吹奏楽の女の子たちはかわいかったなあ。かわいいし親の送迎なしに移動して自立している。これこそ日本の青春だと思ったよ。自転車の上やロビーで見るとまだ子供なんだけど、ステージに立つとあの技巧なんだから恐れいりましたよ(写真はイメージです)。

 Mは子供らが長時間拘束されスパルタに鍛えられる日本の部活にやや批判的なのだが、俺はまあそれも青春ではないかという。今日の優勝校なんておそらく土日も練習があるとかいうレベルで俺もそんなのはやりたくはないが、そうして何かに打ち込んでうまくなるというのも青春だと思う。カナダの中学生とは違う青春がここにはあるということである。

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■15/07/28(火) □ チープ買い物の楽しみ
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 外国からの客(俺一家)が来てるというので、母さんの友人知人が毎朝どさどさと朝採り野菜を届けてくれる。信州の夏きゅうりとナスはもうどう食っても世界一うまい。兄貴は釣りたての魚とイカを届けてくれた。刻みきゅうりと和えて食べるイカさしも世界一うまい。食べ物は本当になんでもうまいおばあちゃんちジャパン。毎日食い過ぎております。


朝摘み野菜と俺の新時計
今日は萌とチープ買い物に出た。俺はカシオの電波時計、萌はアクセサリ指輪など。

 俺の新カシオは電波時計でそれがどういう仕組みのものなのか知りもしないで買ったのたが、ホーム時間を日本時間/米太平洋時間と設定するとデジタル部はもちろん、アナログ部も自動で長針短針をぬるーっと進め合わせてくれるのである。これには感動した。前のはアナログ針が狂うと合わせるのが大変だったのだ。そして翌朝からはちゃんと標準時電波をキャッチし1日1度きっちり合わせてくれている。素晴らしい。

 それにプラスチックバンドのカシオ腕時計は経年劣化でバンドだけが必ずちぎれるので、今回はメタルバンドなのがいい。実際メタルバンドって重いけど手に取り即座にすぽっと腕に通し装着できるのがメリットが高いなと思った。即身につけられるから出かけるときに装着することが苦にならず、するとなかなかつけ忘れないのである。プラバンドだと時計を脇に挟んで穴に爪を通して…とつけること自体が面倒なので付け忘れる。ひもなし靴とアリの靴のような違いがある。

 日本はこういう安くていいものが手に入るから買い物が楽しい。カナダは古着は安くていいものがいくらでも手に入るが、中古ガジェットは通販でしか手に入らないのだ。

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■15/08/03(月) □ SF一家歓待
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 萌のカナダ小学校時代の親友で今はスコットランドに住むSF一家が、なんと長野にやってきた。



一家はたまたま日本旅行中で、わざわざ娘らの再会のために1泊2日の長野行きを入れてくれたらしい。何年も会えなかった親友に外国で会うなんて、なんてクール(ジャパン・笑)!



信州の田舎町をあちこち案内しうまいものをいただき、娘らはキャッキャと旧交を温め、そして夜はわが兄が経営し弟が働く(――厨房では甥っこも働いてて笑ったーー)店で悶絶するほどうまいすき焼きをいただいた。「寺とかつまらん、そばとか味しないし」と1日ぼーっとしていた弟くんが、このときだけは信州牛のうまさにカッキーンと覚醒し、めっちゃ食ってしらたきまで完食しゴキゲンであった。見てくださいこの笑顔(笑)。当店のすき焼きは不滅です。

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 しかし日本へ行くたびに毎回行っている小布施の美術館に行くと、特別展示の他作者の浮世絵だけが並んでおり所蔵品の北斎の絵がなかった。常設展示の北斎がないならないと入館時に説明しなくてはおかしいでしょうと館長に延々抗議するがラチが開かず。やれやれ。

 この事件を含め、小布施は少し変わったなと感じる。店頭でフレンドリーすぎる英語でグイグイ試食をすすめてくるおじさんなど香港かどこかの屋台みたいなノリで、俺たち一行はどう対応したらいいのかわからなかった。英語を話せる人が多いのはありがたいことだが、外国人観光客慣れしすぎている観光地というものは外国人にはあまりうれしくないような気がする。スレてなくて若干うわずった対応をされたほうが田舎らしくてスペシャル感が高い。

 SF一家は明日朝イチで山梨に向かい富士山に登るという。五合目から登って八合目の山荘で眠り、晴れたら山頂でご来光という段取り。体力あるなー :-)。

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■15/08/05(水) □ 進撃のヘドバンギャー!
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実写版【進撃の巨人】映画を見てきた。巨人たちの狼藉が始まるやいなやもう俺とムスメは恐怖に身をこわばらせお互いを肘で小づきながら、(ぎゃースゲエ!)と小さな声で叫び笑っていた。ロックですよ。ロックスターが眼前に降臨状態ですよ。ヘドバンギャー!

ネタバレなしで感想をいうと、期待以上だった。というか進撃の巨人が実写になったらどうなるのかよくわからなかったのでそんなに予測も期待もしてなかったのだが、そうかナマで見ればこうなるのかわかったよタマラン来日してくれてありがとうという感じ。Zep級をライブで見た感じ。

そんなロックスター降臨状態なので俺とムスメは興奮してイヒーと拍手し声を抑えきれなかったのだが、日本の映画館ではどうも声とか出したりするものではないらしく他の観客はシーンとしている。クライマックスなんて俺は快感に打ち震えつつ抑えて抑えて小さく腕を突き上げていました。

なんで客席ノッてないの? ホワイジャパニーズピープル! ソークワイエット! と俺と娘は思った。他の観客にはそんなに面白くなかったのかな。たしかに原作通りではなかった。しかしあの曲もこの曲もセットリストに入ってるストーリーだったじゃん。それだけで俺は満足だったよ。まったくロックコンサートだったよ。



 しかし驚きは長野駅ですよ。駅ビルがシックで美麗で機能的に大変身していた。長野オリンピックが来てもエスカレータが途中までしか行かないという半端な駅近代化しかできなかったのに、北陸新幹線と善光寺ご開帳パワー恐るべし。

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■15/08/06(木) □ 天才少年棋士!
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 五目並べが好きなおばあちゃんとやろうと思ってこないだミニ囲碁『ななろのご』というものを買ってきたのだが、想像以上にルールが難しくネットでの研究を要し、今日ようやく対戦を始めた。奥様との初戦は取ったり取られたりが楽しかったが最後の陣地と得点の計算がよくわからないという感じ。

 で俺たちの対戦を甥っこ10歳が食い入るように見つめている。「やる?」「ハイ」と彼との対戦になった。

「こうやってね、囲むと相手のコマを取れるんだ」
「知ってます(パチ)」
「あそう。でね、こういう感じで囲んだニンジンが点になるの」
「知ってます(パチ)」
「…なんで知ってんの?」
おじちゃんがこれを買ってきたからネットで調べました(パチ)」
「ええ本当かい? ああ3個も取られた!」
「(ひひひ)」

という感じでボロ負け。俺に何も言わずに興味を持ち、こんな複雑なルールを自ら調べ打てるようになっているとは、天才少年棋士身内に現る! という感じ。それから毎日ずっと打ってるのだが、俺は1回しか勝てていない。彼は知らない間にゲームと野球を愛する面白い少年になっていた。

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 おばあちゃんの ipad が古すぎて使えんのでアンドロイドタブレットを買ってあげた。やっぱ迷ったらバックボタンで前にいた場所に戻れるアンドロイドのほうが iPad より操作体系が論理的でわかりやすいと俺は思う。まあ Google も独善すぎて十分に直観的ではないんだけど、さいわい弟OKOもアンドロイドタブレット使いなので、トラブルがあれば解決してくれるだろう。

孝行息子がそばにつきっきりでいま教えてくれるので、おばあちゃんも初めて本格的に体験するインターネットの便利さに驚いている。話の折々にテーブル上のタブレットでその話題について検索して結果を見せていると、「こんなことわかるんだねえ」と瞠目している。すごいよね。文章を書くことは楽しいらしく、画面上のキーボードでポチポチと打ってくれている。今後も使ってくれそう。こちらから写真も送るよ。




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■15/08/07(金) □ 野猿公苑
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 姪ガールズを引き連れて野猿公苑へ。湯田中志賀はやっぱりはっきりと涼しい。そして行った時間がよかったのか野猿公苑の谷は日陰となり風がよく抜けさらに涼しく、そのおかげでこれまでで最も多くの猿が地上に降りてきて存分に見ることができた。



たっぷりと猿パラダイスを楽しみ、ふもとの町湯田中の親戚味噌屋へ。A ちゃんたちはここを訪問したことがなかったそうで、ここがおばあちゃんが生まれた場所なのねと感銘を受けていた。家は変わっちゃって味噌蔵も小さくなったけど、裏庭から望む川と山の景色は変わりないからね。サカタ家トラディションじゃよ。

 小さな頃は俺にいじめられたとイトコの K がホラを吹く。お前それは違うよ、じゃれ合っていただけではないか。萌はそれを聞いてお父さんってバッドボーイだったんだと大喜びしていた。ぜんぜん違うよ。


後日、志賀高原味噌を得て喜びのカナダ人AD
おばちゃんも脚を痛めたと聞いたけど変わりない。「三年に一度しか来れないけど、そのたびに元気なおばちゃんと会えてうれしいです」というMからの言葉をおばちゃんに伝える。三年前に来た時にここの味噌をもらい絶賛していたカナダの AD のためにおみやげ味噌もゲットして帰宅。湯田中はいいよね。







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■15/08/08(土) □ 松本アルプスウォーター
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 本日は松本城へ。松本は城もこういう買い物通りもきれいに整えられ、長野よりツーリストを喜ばすものが大幅に多い町であった。



そして水がうまい。まさに南アルプスウォーターであります。松本水のファンとなったM萌は、これ以降帰国まで飲み物を買うたびに南アルプスウォーターを買ってました。松本は長野より涼しかったが、やはり真夏の観光はきつい。ふう。