「ムスメの東京山歩き」「遠くの町から衆院選投票」「映画ローレルキャニオン・夢のカリフォルニア」「娘の帰国」「衆院選の詳細を知る」「インクレディブルおみやげオーシャン」ほか
■10月16日 ムスメの東京山歩き
10ヶ月の日本暮らしも終わりに近づいたムスメ萌を先週、わがバンド友の野外料理家・蜂須賀公之氏が奥多摩・檜原村のキノコ狩りに連れて行ってくれた。娘が撮った動画を見ると、眼の前にそそり立つ山がうわっと思うほど美しい。静かな森や急な坂を、ノシノシと歩いていく二人。いいなあ。いい。ハチ氏は「驚くポイントやそのときの声が、トモとまるでおんなじだった、トモと歩いているようだった」と笑い、娘は「あっと車から降りどこかへ消えなにか採ってくるハチさんは、お父さんから聞いた伝説に伝わる通りだった」と笑っていた。立派なキノコを手に車に戻ってくるハチの姿が、懐かしくてたまらない。
娘は高みから見下ろす奥多摩湖の景色が、BCの大学から見える入江とそっくりで涙が出そうだったという。BCの自然のありがたみが前よりもはっきり分かると、東京に住み奥多摩を見せてもらい思ったそうだ。日本も大好きでもっとずっといたいけど、BCのあの風景の中に帰ることも本当にうれしいそうです。とりあえずいったん帰国し、より本格的な仕事と生活をするために日本に再来日するのかどうか、本人は考える予定である。
■10月18日 遠くの町から衆院選投票
今週は旅行の予定で、石破さんが約束を破り突如決まった衆院選投票に俺は行けないことになってたのだが、事情で旅がとりやめとなった。不幸中の幸いというか、旅行の代わりにろくでもない選挙かよ(注:この時点ではまた自民圧勝だろと思っているw)と余計腹立つというか、バンクーバーの領事館まで衆院選投票に行ってきた。
バンクーバーには都会美がある。美しい人が歩いていて写真が楽しい。それだけが心の慰めだ。(GX9+20mm)
スカイトレインの長い道中、#TBSポッドキャスト で #ダースレイダー 氏の『今選挙の判断材料』という話を聞いた。「わざと判断材料を与えずこんな選挙をやる自民党への抗議を示すのもよし、それと岸田政権への評価しかないでしょう。なにもしてない石破政権は評価外」。同感である。よーし目にもの見せてくれる🙂 (LUMIXのLモノクロの色はすばらしい)
それにしても選挙のたび在外投票のめんどくささに恐れ入る。遠路来なきゃならないのは郊外に住んでる俺のせいだが、郵便投票となるので封筒・中封筒・投票用紙と延々自署と番号と選管住所名称を書き続ける写経が続くのだ。これには毎度うんざりさせられる。表書きに『○○県○区選管』と書けば届くだろ!
そして衆院選は比例投票がよくわからない。国政政党を応援したいのに全国11の便宜的な地方ブロックごとに選ばれるというのは矛盾ではないか。福井と長野なんて言語も違いつながりもない。無名候補が並ぶ各党比例名簿など何の役にも立たない。北信越で議席10とあるので、現時点の政党支持率で割ると:
立憲 15.5 % (2名弱)
維新 7.8 % (1名弱)
公明 4.1 (0.4名)
共産 3.5 % (0.3名)
れいわ 2.9 % (0.3名)
国民 2.9 % (0.3名)
(※)やはり、北信越への比例票は死票だった。比例票を全国集計すれば自民と立憲が減り、共産党が8→29議席となるそうだ。比例ブロック制は巨大政党有利という俺の疑い通りだったわけである。カナダの家族は有権者が議員と党の2票を持つ日本の選挙制度をうらやむが(カナダは党投票なし)、民意と議席数は「比例」していないのだ。
はー終わった。領事館前で閉鎖した道路にドームのようなものを渡し、映画の撮影をやっていた。あのドームはなんだろう。レフ板か照明かと思ったが中は黒い。
しかし映画撮影って驚くほどの大規模仕事だな。ブロック一帯に関係者がいる。交通整理もざっと50人くらいいそう。このロングコートの女性もそう。雰囲気づくりにスモークも炊いている。すごい産業だなー。ムスメも手書きのメモを握りしめ、衆院選投票に行ってくれた。BCの州選挙の趨勢もネットでチェックし心配しているし、カナダの若者は政治を他人事にせずえらい。彼女は日本で暮らしてみて、国保と年金の国民負担率の高さに驚いているのである。若者の収入では暮らしていけないよね。
■10月19日 秋のストーム
降り止まぬバンクーバー秋の雨が本格的に始まって、週末はずっと降るらしい。秋のBCは暗いのです。
BCは「線状降水帯」に覆われてるそう。過去の大雨に比べたらまだそれほどでも…と思ってるのだが、場所によっては車が流されたり道路を鉄砲水が流れていったりとOMGな様相となっている。心配になって裏道の排水口とか掃除してきた。Twitterを見ると、いつも自転車で通る橋のアンダーパスは完全に水没しているらしい。普段より1.5mくらいの増水でこれは恐ろしい。これほどの高さは経験になく、人が一人流されたそうだ。イヤハヤ。急峻な坂のウェストバンクーバーに住む友人が心配だ。その町の道路を鉄砲水が流れていく動画を見たのである。
コキットラムの池も完全にあふれている。スティルウォーターの増水は非現実的で美しい。雨は小降りにはなったがまだ続いている。
■10月20日 BCの州選挙
昨日は大雨の中BCの州選挙投票日だったのだが、開票が始まった8時頃からじわじわと得票数が発表され、家族が一喜一憂していた。郵便投票のカウントなどもあり、競っているので最終結果が出るのに数日かかるそうだ。投票終了と同時に「開票ゼロ打ち当確おめでとうございます!」なんてのは自民日本だけの奇習なんでしょうね。
ウェストバンクーバーの友人宅は無事だったそうだが、近所の家々は被害があったそうだ。怖いなあ。
■10月21日 映画ローレルキャニオン・夢のカリフォルニア
PrimeVideoで映画「ローレル・キャニオン」を見た。60年代に無名時代のバーズ、ママス&パパス、ジョニ・ミッチェル、ニール・ヤングといった歌唄いたちが住み着いた、LA近郊の谷間の記憶である。
音楽回顧録は当事者を今喋らせるつまらぬものが多いが、当時の写真と語りで綴るこれはすばらしかった。
前半はそこがいかに夢の谷だったのか、妖精たちが暮らすオズの谷間のようだったと語られる。若きジョニ・ミッチェルの存在感とその歌がどのような衝撃だったかが、予告編でも流れる歌う彼女を見つめるクラプトンという写真で残っている。youtu.be/NQN1gQi3Cnc?si…数々のグループがキャニオンから有名になっていき、異質なドアーズも名を成していく。俺はドアーズの歌詞をそんなに読んだことがないのだが、字幕で出る訳詞を見ながら歌を聞いたら衝撃を受けるくらいすごかった。まさに詩。ランボーとかミチロウのような詩である。
そして日本では「カリフォルニアドリーミング」くらいしか知られていないママス&パパスが、キャニオンではクイーンと慕われたキャスという女性の包容力ゆえに重要なつなぎ役だったこともわかる。俺も東京でそういう音楽コミューン的経験をできたなと思った。ラッキーだった。ミシェルは驚くべき美貌であった。
やがてドラッグの悲劇が頻発し、フリーダムな谷間の夢の終わりのようなときがやってくる。そのくだりはかなりハッとさせられるものなので、映画好き、あの頃の音楽好きは見るといいと思います。ネタバレありになるけどこの解説記事が秀逸だった。これを読みながら俺はもう一度見たのです。
これは音楽好きによる詳しくすばらしい記事。◆映画『ローレルキャニオン〜夢のウエストコーストロック〜』を観て - ケンジロニウスの再生 kenjironius.hatenablog.com/entry/2022/06/… #ローレルキャニオン #byrds #doors #love #ジョニミッチェル #イーグルス #ジャクソン・ブラウン #ウエストコーストロック
■10月22日 バブルの時代
#映像の世紀 #バブル 浮かれていたすべての人々が全体として痛々しかった。お通夜という感想は言いえて妙。アベノミクスはあの時代を再現しようとして株価バブルしか作れなかったが、安倍さんが中内功や堤清二のような失意を感じることはあったのだろうか。
風呂敷広げすぎたとはいえ夢とビジョンを持っていたあの二人と、NYのビルを「あれは三井、あれは三菱」と言ってた人とは別種なのではないかと思う。後者のほうが空虚なのに、前者の痛みのほうが大きい。そして後者は政治と手を携え、今も無傷で生き残ってるように見えて虚しい。
不動産業と金融業は今も、実体を伴わぬ上げ底景気のバブルの中にあるように見える。そんななか庶民のささやかな豊かさや彩りである7-Elevenがカナダ資本に買われてしまうかもしれないというニュースは、実体経済の寒々しさを感じさせるお通夜感ある話だ。
子供の頃見てあこがれた、何をやっても食ってはいける『俺たちの旅』の東京ドリーミングは80~90年代にはまだあったんだけど、21世紀に消えてしまった。何をやっても食っていくのがやっとの国になってしまった。
■10月24日 今年のコロナ予防接種
BCヘルスから今年のコロナ予防接種メールが届き、1年前の今日コロナとインフルエンザの予防接種をしたと知る。リンクをクリックすると今年分の予約が今日取れやってきた。
検査キットとワクチンは永年無料で、こうして簡明効果的なシステム運営で市民は行政に守られている。政権交代アリな国(州)の政府は保険行政で手も予算も抜けないので、顔認証だのカードだのに無駄金は使えないのだ。日本国民はみんな選挙行かねば。
週末は大雨だったんだけど、晴れると木々の色づきがきれいだ。
図書館のパドルボール場が開いてて初めて入れたのでセルフィーを撮ってみたが、顔が入ってなかった。まあよし🙂 屋外コートはすべらない塗装になってました。なるほどなー。
■10月24日 日本のIT遅れ
娘のカナダ帰国が近いので様々な手続きを手伝ってるのだが、日本の使いにくいITと、役所やビジネスで使われる言語はほんとアタマ痛い。大手銀行ですら顧客用の英語ページがないし、郵便局の説明文の意味は俺にもわからない。大人が読んで意味がわからん文章は、常識的に考え読む人はいないような問題ない内容なんだろうと推量して進むしかない。こういうクソ悪文を意味ある文にせねば誤訳を疑われた翻訳者時代が蘇る。
そしていまだに全角半角数字混在などという問題がある。フォームへの入力後OKをクリックしエラーが出てハア? となり、とフォーム中をチェックし「番地(全角)」という文字を発見し脱力するのだ。やれやれ。老人でも問題なく行えるBC保健省システムなどの簡明さに比べ、日本のIT遅れとガラパゴス化はほんとに深刻だと思う。
■10月28日 驚きの衆院選
おお #自民大幅減! 俺が在外投票券を入手してから、つまり安倍政権でなんだこれは憤りを覚えてから初めてのことです。下村前文相など安倍時代に悪政を為した大物が落選らしく、これが安倍・スガ・岸田時代の評価ということだろう。タイムラグが大きかったなあと思うが、安倍時代はようやく終わったのだ。ここがスタートだ。
ムスメは昨夕日本を発ち、あと2時間ほどで帰国となる。朝はまだ井の頭の自分の部屋にいたのに、もう終わりだなんて信じられないと成田でメソメソ泣いていた。まあこの帰国は、次にまたもっと長く本格的に住むための準備かもしれないしね。ここがスタートだ。着いたら自民大敗の朗報を伝えよう。
■10月28日 娘の帰国
ムスメが無事帰国した。「ただいまグランマ!」「おかえり! また皿を洗ってもらうわよ。掃除も頼むわよ」「OK!」。涙ポロポロだ。
空港まではああ日本暮らしが終わってしまったとメソメソしていたのだが、トランクから(自分のための)おみやげを取り出す頃には元気いっぱいになっていた。無限におみやげが出てくる。はは、ジブリ多すぎだろ。レシートやら三鷹市の指定ゴミ袋までキープしている。
しかし分かるよ。俺と娘には日本はやっぱり特別な場所で、旅するたびに日本の物コレクションが増えていく。まして今回は生活してたんだから、あらゆるものへのセンチメンタル・バリューがすごいよね。最後の一週間は引越し準備をしながら、ああ I'm gonna miss 井の頭と毎日泣いていたのだ。
井の頭公園入口の絵もある。なつかしい。俺にはあの町のすべてが懐かしいし、娘にもそうなったのである。いつかまたきっとあそこに住むそうです。
■10月28日 衆院選の詳細を知る
しかし衆院選の結果は驚きだった。安倍政権時代から在外投票を始めて10年、なにが起きようと自民議員が開票ゼロ打ちとなるので徒労感甚だしかったのだが(メディア上層部はその徒労感を醸したいのだろう)、初めて大幅に減った。いいことである。
自民大幅減でも喜びが半分なのは、自民が失った票を拾ったのが方向性あいまい立憲と減税以外はタマムシな国民だということで、モリカケ桜裏金暴きで最も働き、最も包括的に国民の権利を求める共産党が報われなかったことである。残念。世の中なかなかバランスよくは進まない。
選挙後は #tbsradio #ss954 の当日夜番組が毎回すばらしい。日々社会問題について政治家よりも考えてそうな人たちが、言葉柔らかながら逃げられない問いを政治家に投げかけ、職業的一般論回答から本質を切り出し伝えていく。学びが多い。◆「総選挙2024 <ザ・ジャッジ>youtube.com/live/xFqKB_sqg…
岸田さんが典型的で、政治家はみな職業的一般論を無限に喋ることができる。記者会見やTVニュースはただ聞き流すのでそこで終わり無意味なのだが、#tbsradio #ss954 はその後「石破さんは、自分は同性婚でもいいんだけど、党がサという感じで投げやりでしたね。自分の政治生命をかけるほどの問題ではないト」と3分ほどのミニ座談をするのだ。リスナーは政治家の本心が伺い知れるのである。面白い。 都知事選の石丸旋風も、TBSのこうした知識人座談が読み解いてくれたのだった。
■10月29日 インクレディブルおみやげオーシャン
日本で買ってきたおみやげの量があまりにすごいので、明日ベッドにでも広げて写真を撮っておこうと話し寝たのだが、時差ボケで朝4時に起きたという娘がおみやげの山というより海、オーシャンというべきものを作り上げていた。これは井の頭のアパートより広いだろ。クレイジー😁😁😁
しかし個々のアイテムにはどれもビデオチャットの映像で見覚えあるな―。ああこれかー、TVで見たよという感じのフィーリング。やはりジブリのものが無限にある。パンフレットを手当たり次第に買っていた。そのパンフのクオリティがさすがGHIBLIで、満足感高いのだ。
左は画家の徳永雅之氏が制作した、サカタくんという名の(本当だよ!)Tシャツ。造形で賞を得たクラスメイトの少女に捧げるヒヤシンスを運ぶ一人が俺なんだろう。右はGHIBLIが作った、井の頭池が入ってるランチョンマット。どちらも俺たちは買わざるをえない、コレクション欲直撃品である。
このロボット兵にはしびれた。金属とも違う未知のラピュタ物質でできているという感じがする。(右手前にヤバいやつがいるw)
娘は井の頭のアパートに別れを告げるとき、泣きながらサージェンペパーズの「She's Leaving Home(彼女は家を出る)」を聴いてたという。いやあれは娘が親を捨て実家を出ていってしまったという、むしろ私たち親の立場の歌じゃんw 「いいの! 悲しい気分に合う名曲なの!」。たしかに :-)
スクラップブックには無数のチケットや半券が。俺も東京時代のノートブックには当時の電気料金だのなんでもかんでも貼ってあるよ。それが最高のメモリーなんである。いや素晴らしいよ、このおみやげの海は。すばらしい。