2012/10/19

日記「子供のアート写真」

『「アセンション」お試し』「ロンシャン競馬場の喝采に」「フランス撃破」「日本メディアの長所」「嵐のガス欠レスキュー」

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■12/10/06(土) □「アセンション」お試し
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Ascension: Chronicle of
the Godslayer
新しいゲームやりたさにネットを巡り、「アセンション」というカードゲームのソロプレイ版を見つけた。これは派生元になっている「ドミニオン」よりもお手軽で楽しいかもしれない。

 手持ちの金と兵力で新戦力を買いモンスターを倒して、自分のカードデッキ(兵力+持ち金カードの束)に強いカードを加え強化していくというゲーム。このデッキから毎回5枚+@がそのターンの手札となり、それをうまくやりくりするとゲームが進むにつれより高価な戦力を手に入れ、強いモンスターを倒すことができるようになる。ドミニオンと違いアクション回数に制限がなく、毎回手札に入ってきた資金と兵力はどう使ってもいいという単純さが気持ちいい。

 そしてドミニオンとの最大の違いが場札が常時ランダムに補充されるところで、これが面白い。場に出てる札は建物/戦力/モンスターと入り交じり完全にランダムなので、大金ができたターンに高価な強戦力カードが場に出てるとは限らず、戦力が見事に揃ったターンに倒したい強大モンスターがいるとも限らないところがひねりになっている。つまりラックと場の流れを読む要素が盛り込まれているのだ。攻撃力+4の妖刀ムラマサなんぞが出ると、他プレイヤーに取られる前に7金を揃えたくて焦る。俺はこうしてチャンスに振り回され胸惑わされるのが好きなのだ。

 4戦目ですごいカードの揃い方をしてコンボが炸裂した。しかし「メカなんとかコンストラクト(建物)の数だけ攻撃力上がる」「すべてのコンストラクトをメカなんとかコンストラクトと見なす」「なになにコンストラクトの数と同数のカードを引く」みたいな微妙な効果が積算するので、こうやって PC が計算してくれればいいが自分で計算してたら間違えそうだな。あまりデザインのきれいなゲームではない。コンストラクトの種類なんて省略したほうがすっきりしただろう。しかしラック要素があり強いカードの争奪戦があるところが楽しいゲームです。

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■12/10/07(日) □ ロンシャン競馬場の喝采に
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【凱旋門賞】惜しい。惜しすぎる。しかし素晴らしい走りだった。最後の最後で脚が止まってしまったけれど、「ついに日本の夢が叶うのか!」と英アナウンサーがゴール直前まで言っていたよオルフェーブル。

 日本中がオグリキャップに涙していた頃、これほどまでに支持されている日本の競馬が世界一流じゃないわけがないだろうと思い、それを世界に示してほしいと願っていたんだけれど、父母ともに内国産のオルフェーブルは本当にそれを示してくれたと思う。えらい。よく頑張った。



 リプレイを見ると、最後の数歩は内ラチに詰まって追えなくなり、ほぼ立ち止まっている。内ラチまであと1馬身幅残り、最後まで追えていればもっと際どかったろう。スピードは世界一なのに、まっすぐ走る能力は小学生みたいなやつなんだろうな。ため息……。

 日本で競馬を見ていたあの頃、強い馬が出るたびに「凱旋門賞?」という希望の言葉が浮かんでは消えていた。寺山修司の詩が皆の胸にしみついていた。トウカイテイオーが先頭で駆け抜けたジャパンカップのスタンドで、テイオーが行くなら俺たちもロンシャンに行かなくちゃと言っていたARも今日、このレースを見ていたことだろう。

「さらばテンポイント
目をつぶると
何もかもが見える
ロンシャン競馬場の満員のスタンドの
喝采に送られて出てゆく
おまえの姿が」

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■12/10/12(金) □ フランス撃破
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 【フランス-日本】俺は香川を、独力で事態を切り開きゲームを動かすプレイヤーではなく、アシストを得て輝くタイプなのでそんなにすごい選手とは思っていないのだが、試合を通しずっとイーブンボールにかじりついていく執着心や跳ね飛ばされても間髪入れず体勢を立て直し進む速さを見て、なるほどこういうところがいいんだなと思った。ぶつかり合いで飛ばされないという意味でのフィジカルは普通だが、バランスの復元力が高い。このへこたれなさと復元力があるからブンデスやプレミアで活躍できるのだろう。

 あの奇跡のカウンター時、あまりに素晴らしい長距離ドリブル&完全予想外の右スルーパスを見てそれが香川だと思った。「ああ香川ってやっぱスゴイんだな恐れいった!」と思った。そしたらそれは香川ではなく今野だった(笑)。今野偉大すぎ。

 そのスルーを長友が折り返した先に飛び込み、相手 DF と崩れながら一瞬先に触ったのがやっぱり香川だったのである。香川はああしてとにかく最後に触り点を取るために生まれてきた男なんだろう。マン U の主役は荷が重いと思うが、攻撃陣の一員としてチャンスをもらうたびにああしてコツコツ点を取っていけるだろう。



 清武はオリンピックでもよかったけど実にいい選手で、ボディコンタクトさせずボールを動かし間合いで交わすところは中田や本田とタイプが違う。相手に飛び込む間合いとタイミングを与えず、敏捷性の高さでどんどん先にボールを動かしてしまう清武のプレイスタイルは、体重のない日本人として理にかなっている。

 フィジカルでボールをキープできる本田が今の日本の柱で、今日も不在がまったく響いていたが、かつてフィジカルを誇った中田のピークがあまりにも短かったことを思うと、ぶつかり合い踏ん張る本田の脚が引退まで万全なまま持つだろうかと怖い。もう怪我をしませんように。

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■12/10/13(土) □ 子供のアート写真
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スカイプでワードバスケット。お互いに
文字をコールしカードを見せればちゃんと
プレイ可能
インスタグラムで萌の写真アップロードがスローダウンしてしまった。あまりフォロワーが増えないからモチベーションが上がらないのだろうか。俺が撮った「スカイプで日本のイトコとゲーム」写真などをアップロードさせてみるが、そんなに反応はない。

 萌は「SPなんか千人もフォロワーがいるんだよ」とうらやましそうに俺に見せる。しかしこれは彼女が匿名で有名人写真を拾ってきてアップロードしてるからで、SP自身も千人をフォローバックしてるし、つまり Twitter でもよくいるフォロワー数を増やすことを楽しんでる人たちと同じである。それはソーシャル活動や自己表現ではない。




(c) SOMETHiNG MONUMENTAL
「たとえばさ」と、俺が昔見つけたうちと同じキャノン Powershot A530 を使っていた若い女の子のフリッカーページを萌に見せる。俺も5年ぶりに見たが、相変わらず創意あるいい写真を撮っている。子供は誰でもカメラを持つと自分の顔写真を撮りまくり、写真サイトはどうしてもそういうナルシスティックな写真で溢れかえるわけだが、この子は違うのだ。静物人物あらゆる種類の写真にひと工夫がこもっており、自分撮りの写真もこの通り。素晴らしい。

 ほら、自分を撮るにも工夫した↑こういうアーティスティックなものにすれば面白いじゃないと説くと、萌はなるほどといろいろ考えた構図で写真を撮り始めた。よしよし。そのうちきっと面白い写真が撮れるだろう。頑張ってくれ。

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■12/10/17(水) □ 日本メディアの長所
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 北米 TV Japan の今秋ドラマはけっこう当たりが多く、朝ドラ「純と愛」は今のところ鬱陶しいけれど「リーガル・ハイ」が特に面白い。こういうコミカルでストーリーがあるドラマって日本っぽいよな。アメリカのドラマはどシリアスか、ストーリーなしのスタジオセット内コメディ(シットコム)しかない。

 シットコムはもうほんと同じパターンの繰り返しにあの「どわっ」という観客大爆笑ボイスがかぶせてあって飽き飽きするし(Mが今毎夜見てるうち半数は、10 年くらいに俺も一緒に見た番組のリピートだし)、シリアスものはとにかく会話が多い。オッサンが会社オフィスで延々となにか深刻な話をしてる感じ。北米ドラマは絵よりも言葉で何ごとかを表現しようとしている。それを萌がなにが面白いのかじっと見ていたりする。言葉や文化背景さえわかれば、萌にだっておっさん会話ドラマよりは「リーガル・ハイ」のほうが面白いと思うのだが。



 「リーガル・ハイ」は歌もいいぞ誰これと調べて、初めて RIP SLYME というラップグループを知る。名前からなんかエクザイルとかそーゆーやつでしょと思っていたが、メンバーがこんなかっこいい歌を作るならば別物っぽいすね。

 日本メディアのいいところはこうして普通に TV から新しい音楽が流れてきて「お?」となることで、カナダでは MTV にチャンネルを固定してない限り最新の音楽なんてまったく聞こえてこない。ラジオは俺のようなオヤジでも古くてうんざりするクラシックロックか、ティーン向けポップだけなのだ。

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■12/10/18(木) □ 嵐のガス欠レスキュー
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 外は嵐。夕方Mが、大渋滞にはまりガス欠になりそうだ、メーターがゼロで点滅している、セルフォンの電池ももう終わる助けに来てくれと半泣きでコールしてきた。メーターがゼロになってもあと数十キロは走れるからそのまま帰って来いと言ったが、やっと小路に入りエンジンを切り待機してるのだ、通りに戻り道の真中で立ち往生するのは嫌だという。たしかにそれは怖いだろう。仕方がないので速攻で GS に行き携行用ガソリンタンクとガス少々を買ってレスキューに向かうと、「おお輝く甲冑の私の騎士よ」とえらい喜ばれた。

 俺が乗ってきたポンティアックでMを帰らせ、俺はエリオのガスを入れに行くとやはりタンクにはまだ 6L も残っていた。しかしこんな状態でメーターが点滅するのだから、オーナーを無駄にフリークアウトさせるスズキのメーター設計が悪い。あと 3L くらいまで点滅はやめてもらいたいものである。

 しかし久々に乗るエリオは、ボディと操作系がゆるゆるなアメ車ポンティアックに比べすべてがカチっとし速くて気持ちよかった。豪雨の中ついついスピードを出してしまいそうになる。窓ガラスからして品質が違うような気がする。ポンティアックはどれほど窓を洗っても水滴がこびりつき視界が悪くなる。これからのシーズンはとにかく雨・雨・雨なので、RainX とかで水滴対策しないとな。

2012/10/09

日記「子供のインスタグラム」

『「ガンナムスタイル」の謎』「ブロックスをゲット」

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■12/10/03(水) □ 「ガンナムスタイル」の謎
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 日本ガール化期間は学校生活の進行と共に薄まり期限が切れ、萌はカナダのティーンに戻ってしまった。機嫌がよくやさしい気分のときは日本語で、そうでないときはややぶっきらぼうな英語で話すという使い分けになっている。萌は「日本での自分とカナダでの自分の2人がいる」とMに言ったらしい。やはり「日本での自分」スタイルでカナダで暮らしてはいけないんだろう。そしてその「カナダでの自分」と俺とは折り合いが悪い。やれやれ。



 ともあれ、「コリアのポップスが学校で流行ってる」というので「あああのタクシータクシーってやつ?」と聞いたら、違う違うと韓国のオッサンが踊ってるディスコソングみたいなものを Youtube で見せてくれた。


「ガンナムスタイル」
どこにでもいる剽軽なコメディアンがたわけた歌を歌ってるようににしか見えんのだが、これが世界中で大人気なんだそうである。意味がわからん。まあ子供がこういうひょうきんなものに反応するのはわかるが、世界規模の大ヒットになるというのがわからない。萌に聞いてもただファニーだというだけ。みんなでこれを踊ってるんだそうだ。

 もしかすると非アジア圏の人々はこういう志村けん的な動きを見たことがなくて、どえらくファニーなのかな。「ラウルが人生で一番可笑しかったのはワッキーが見せた芝刈り機のものまね」という動画が昔あったが(今見たら消えてました)、これも普通のドリフターズ的動きにラウルとモリエンテスが抱腹絶倒するというものだった。つまり『アジアのアクションギャグは欧米人にはとてつもなく面白い』ということがありうるのかもしれない。

 日本で本当に面白い芸人は間やズレや意外性を操り、新しい笑いを見せてくれる人たちなわけだが、そういう笑いは米加では練り上げられたテレビのコメディと映画の中にしかない。つまりハリウッドの笑いに匹敵するクオリティの笑いを、日本の芸人はビンボーでも作っているということである。

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■12/10/04(木) □ ブロックスをゲット
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 この夏うちの近辺では大きなビジネスシフトが起きていて、半年前に移転したカナディアンタイヤに続き地域最大の量販店 Zellers が閉店することになってしまった。いっそう不便になるが、ともあれ全品 40% オフセールをやってるのであれこれを必要品を揃えに行く。

 生活必需品のついでにカナダ量販店で売ってる唯一のユーロゲーム、ブロックス(フランスのゲーム)をゲット。百円ショップのおもちゃみたいな見た目美しくないハードプラスチック製なのでこれまで興味なかったのだが、最近聞いたボードゲーム・ポッドキャスト「2人はボドキュア」で絶賛されていたのである。でこれ以上安く手に入ることはありえないバーゲンだったのでゲットした。

 1人で試してみると面白くもなんともなく(当たり前)、1人3役でやってみたら面白さがわかった。敵の背後のスペースを取ることが面白いわけである。なるほどね。

 1人2役だとブロックしても両方置ききれてしまう。これじゃつまらないな。こういうときは障害物でも置けばいいのだろうか。―――あ、これは4人専用ゲームなんだ。2人/3人ルールは「バリアント」として用意されている別ルールとなり、1人2色を置くだって。それはいかにもめんどくさい。失敗したかなー。


見た目はつまらなそうだが面白い
ブロックス。これが非公式2人用設定。
2~3人で普通ルールで遊べないか、あれこれトライしてみる。BoardGameGeek のファンフォーラムで推奨されている 14x14 に盤を狭くし(支配の2人用ブロックスがそうなってるとのこと)、あとは普通に1人1色でプレイするという非公式2人用ルールは、やってみると相当に狭いがなるほど丁丁発止になり面白い。こうして適度な狭さにできれば何人でも普通に遊べそうだが、いちいち区切るのは面倒である。テープでも使おうかな。要検討。

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■12/10/05(金) □ 子供のインスタグラム
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SPが来たのでボードゲームやる気ゼロの2人ムスメを説き伏せて、新ゲーム「ブロックス」にトライ。みんなビギナーなので4人用のフル盤面に3人でもうまく隙間を埋められず、それぞれ4~5コマ残るちょうどいいバランスになった。3人戦をマジにやればたぶん真ん中の人が両側から攻められ不利になるのだろうが、気軽なゲームではこれで十分いいなという感じ。

 このゲーム最大の美点はルールが置き方の制限1つしかないことで、ルール説明 15 秒で誰でも即プレイでき、すぐにブロックする勘所もわかり盛り上がれる。SPら普段ボードゲームなんてしない子でも面白さは説明不要で即わかり、実際SPが一番声を立てて笑い楽しんでくれたと思う。これは接待ゲームに最適だろう。

 俺は陣取りゲームがやりたいのだが、うちにある簡単陣取り系の「おいそれはオレの魚だぜ」はあっさりしすぎて盛り上がらない。あれは攻撃をするとほぼ必中で1~2手で敵を水際に追い込み詰むことができるが、その時点で自分も狭い水際にいるので別のプレイヤーに一発で背後を取られ詰まれてしまい、結局攻撃をしない人が勝つゲームになってしまうのである。

 ブロックスは見た目は悪いが陣を取る面白さだけをうまく抽出していて、攻撃してもブロックしても一発で致命傷にはならず、詰将棋のように王手王手と追い込む攻防がたっぷりと楽しめる。ときには逆に裏を取られ痛い返し技をくらい、ときにはまったく別なエリアで紛争が勃発しアワを食う。面白い。そしてもちろん見た目通りのテトリスの「パチ」っと狭いスペースに見事にでかいピースをはめるパズル的な気持ちよさもある。いいゲームだ。

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SPに勧められて萌が「インスタグラム」に入りたいという。なんだか知らないので調べてみると、写真をポストするとフォロワーのホームにそれが流れていくという SNS。「写真によるツイッター」と評されていたが、SPのをざっと見たところ友達同士が写真を見せ合いコメントしてるだけで、ツイッターほどパブリックに開いたメディアではない。萌はこういう SNS をずっとやりたがっていたのであり、文章なしに写真だけで解決するこれはいいかもしれない。

 SNS をやりたい病は日本でいう中二病で、とにかく大衆に認めてもらいたいという自己顕示欲で子供らは皆はちきれそうになっているのだ。しかし Twitter など交通の激しい場所に子供が出ていけば何が起こるかわからない。インスタグラムはSPのアカウントから見渡したところ彼女のフォロワー全員がティーンで(※)、コメントも「クール!」程度の一言ばかり。ネガティブなサムダウンはつけられないし、言葉ではなく写真でのコミュニケーションだけに炎上の危険がほとんどなさそうである。言葉のリスクの少ないコミュニケーションツールとして、これは子供に向いているな。
(※)SPはネットで拾った有名人写真をすさまじい数アップロードしており、千人ものフォロワーを持っている。もしその中に大人がいたらとっくに著作権侵害でアカウント停止されてるはずで、つまりフォロワーに大人はいないのだと思われる。

 ネットにおけるプライバシーに関してはいつも厳しく言ってるので、萌が投稿する写真の質だけ俺がチェックしていけば問題なく運用していけるだろう。萌の友達に学校名とフルネームと学籍番号が載っている学生証のクリアな写真をまんま載せてる子がいたので、ほらこれはマズイだろうと萌に見せるとオーマイゴッと驚いていた。もし悪い奴がこれを見たら怖いじゃないか。この子には知らせてあげたほうがいいな。

というわけで使用を許可すると萌はさっそくアンドロイドからガシガシ写真をアップロードし始め、するとフォロワーがつきコメントがついて、もう夢中になってやっている。このネットの楽しみはうちのお母さんにはわかってもらえないが、俺にはよく分かる。考えて人に見せる価値のあるいい写真を撮り、アップロードしていけばいいよ :-)。