ムスメ萌は叔母さん一家と英国を旅行中で、毎日大量の写真が送られてくる。きれいだなあイングランドと思う。運河に沿って走る列車だとか、水道橋だとか、旧市街を見下ろす丘や崩れ落ちた教会跡など、人が長い年月をかけ作り少し枯れたあたりの光景に惹かれる。
今日は古い裁判所を見学したようで、【お前ら全員有罪だ!】という裁判官の前で記念撮影をしていた。娘は「セルフィー中毒」の罪だって。はは。隣のイトコと叔母さんはそれぞれ「汚い裏切り者」「魔女」なので有罪なのはわかるが、左端叔父さんの「汚れた小作農」は別に罪じゃないだろ :-)
7月20日
萌は「ポールのコンサートで聴いたアビーロード・メドレーの MP3 を買いたいから曲順を教えて」といってきた。「いや今イングランドにいるんだから、ロンドンの中古レコード屋でアビーロード買えばいいじゃん」「Oh Yeah!」
「アビーロード」、CDだとリマスター版があるんだそうだけど、オリジナル盤CDと音はだいぶ違うのだろうか。好きな人は両方揃えてるのだろうが(笑)、娘はどっちを買えばいいのだろう。俺の「アビーロード」LPは実家の物置にあるはず…。
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その夜、萌が弾き語り動画を送ってきた。ああポール見てこの歌を好きになったのか微笑ましい…。
See no future, pay no rent…」とあのBメロを歌い始めた。――あああカッコいい! と感動(笑)。
そうくるとは思わなかった。俺たちニッポンのビートルズ好きは、ああいう早口英語曲をカッコよく歌えない。そうか歌えるんだスゴイな英語人。そしてそれをやれば俺がしびれるということを彼女は知っていて、コードの変わり目でニッと笑ったのだ。親バカじゃなくビートルズ好きのツボを突かれて、俺は悶絶したのです
そしてなんでバンドやったことないのにこういう曲の展開やくるりとターンといった、客が喜ぶライブパフォーマンスがナチュラルにできるのかと(笑)。
FBでこれを見た友だちの哲学的コメントを萌に送る。
You know that's what 2nd generation talent is. We 1st gen never really bloom to success, but 2nd gen can easily roll over where we struggled. We can only hope to be a good fertilizer for them.
(才能は二代目で開花するのだ。我々第1世代は完全な成功には至らないが、第2世代は易易とそれを超えていく。我々は良い腐葉土になる事を受け入れるしかない。)
そうかも :-)
7月27日
7月27日
萌が滞在している英国の家でビートルズの話題になると、意外や彼の国のオジサンオバサン(奥様の父方のイトコ夫妻、60代)に「あれは子供の音楽、I am the walrusって意味わからん」と言われたそう。ええー!w まあそういうシニカルな国民性だから、あの国から世界的ないい音楽がボコボコ出てくるのかなという気もするが。
憮然としている萌を「まあ彼らはビートルズの有名曲しか知らんのだろう」と慰める。「ビートルズとストーンズのどちらが優れているか」という議論にもなりストーンズが優勢だったそうで、ビートルズ好きの彼女は不満げだった。そういう議論も困るよな、比べられんよ。
「私のバンドも、お前らビートルズとストーンズどっちが好きなんだと、昔ライブハウスのオーナーに聞かれたよ。どっちも好きですったら、だからお前らは中途半端でダメなんだといわれた」「ハハハ」
7月28日
ロンドンにいる萌からさっきこの写真が届いた。「あああああ! …これは…私の人生の目的は今果たされた。それはムスメをこの道に送り届けることだったのだ!」と書いて送る。
探してた「アビーロード」アルバムは CD ではなくオリジナル LP を買ったそうで、写真のアビーロードで小脇に抱えさっそうと歩いている。帰ったらターンテーブルを買わないと。
ビデオチャットの画面で初めて手に入れたレコードを手にとって娘は、「バイナル(=ビニールレコード)ってこんな軽くてたわむんだ」と驚いていた。なんという隔世の感のある感想なんだ。だけど画面に写っているのはあの頃と同じ、リンゴ印のレーベルなのだ(涙)。