=======================
■11/07/10(日) □ ツリーハウス作り
=======================
昔から萌のために作ってやりたいとMKが言っていたツリーハウスの材料がとある経路で無償で手に入り、ついに作業が始まった。俺も終日作業。巨大な板で庭木を挟み、木が風で揺れてもストレスがかからないよう遊びを1インチ取って巨大なボルトで締める。そこに2x4を縦横に渡し上に上物を載せるという構造で、やってることはほんとの家を建てるのと変わらない本格大工仕事だ。こんなことをやる知識と技術と道具があるんだからカナダの男衆はすごい。
MKと一緒に働いたのはうちの排水システム修繕以来数年ぶりだが、俺たちは相変わらず息が合い何事もテキパキとうまく進む。俺は大工仕事の知識がないので基本MKの指示に従うだけだが、彼は人に意見をインプットされるとアイデアが飛躍してモチベーションが上がるタイプで、常に俺に意見を求めてくる。で俺は何ごとも最もラクで合理的な方法をつねに追求したいので、これはこうしたほうがラクだなと述べる。でオオそれはグレイトアイデア! と盛り上がり仕事がはかどる次第。ちょっとすごい安全で豪華なツリーハウスとなりそうである。
とりあえず床まで完成した。上がってみるといい眺めである。高くて怖い。こんなものが作ってもらえるんだからカナダの子供は恵まれておる。完成したら萌は友達を呼び、ここでスリープオーバーしたいという。いやオープンエアだから、寝るのはなあ。蚊とラクーンが問題だ。まあ完成したら考えましょう。
=======================
■11/07/13(水) □ 女子サッカーの成熟
=======================
日本がワールドカップのセミファイナルにいるなんてすごいことである。そしてスウェーデンなんてもう過去に何度も破っており、勝つに決まってるのである。
まずは【米仏戦】を高みの見物。カナダはドイツには少し抵抗できたけどフランスにはボコボコにされたから、強いよなあフランスと思っていると、米がカウンターから幸運な先制点。決勝で日仏美しいパス合戦を見たいのでフランスを応援してるのだが、先制点とハードな当たりで米はペースを握り返してしまった。さすがだ。
後半技術で優勢なフランスが追いつくが、追加点を奪えず、こうして押していながら決められないとブラジル同様USAの勝負根性に押し切られるぞと思っていると、恐れていた通りアメリカが追加点を取り試合終了。米は男子もそうだけどたたきつぶさないと息を吹き返す。優勢勝ちはできない相手である。日本はその教訓を胸に決勝に進みましょう。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
【日本・スウェーデン】双方静かな立ち上がり。ドイツを相手にしても落ち着いていた日本はここでは格上としてグイグイ押し込んでもらいたいところだけれど、ガツガツと畳み掛けていくといった持ち味はないようだ。―――うわ、パスミスをいきなり決められ失点。――え、ミスは澤? うーむ。まあ次行こう。
ほどなく大野が高速ドリブルで仕掛けてDFを引きつけサイドに流したところを宮間がクロス、そこに川澄が飛び込んでいて押し込む。よし! まだ日本は油が回りきってない感じがあるが、ミスを早めにリセットできたのでここからエンジンを回していこう。
【後半】点が取れずに膠着が続くと、フィジカルで勝る相手にゲームが傾くかと心配してたのだが、日程のせいなのかスウェーデンは後半も走力が上がってこない。徐々に試合は一方的になってきて、日本がサイドで持って崩して切り返し、存分に振り回して最後は澤が押し込む。崩して崩してポンという、日本らしいゴールだった。
残り時間はもう、日本サッカーのショーケースと言える美技の連発。川澄のボレー&ロブゴール、英語アナが絶賛する活躍のオオノの素晴らしいクロス、同じくアナがもうほとんど舌づつみを打つほど美しい鮫島さんのドリブル突破。素晴らしい。
【試合終了】決勝の相手は苦戦に苦戦を重ねてきた米国。やってるサッカーの質はドイツよりも低いけれど、勝負根性はとんでもない相手である。ボールキープは日本ができるだろう。しかし返す刀の重さは大会随一かもしれない。
このくらいのレベルの試合を見ていると、女子サッカーは文句なく面白い、レベルの高いスポーツになってるとつくづく思う。男子に比べてパワーがどうこうとかまったく思わない。昔ウィンブルドンでグラフ-ナブラチロワを見て熱狂してたのと同じ、究極のスポーツ感がある。そしてそのただ中に日本チームがいてくれるのである。素晴らしいな。
=======================
■11/07/15(金) □ チケライ追加チケット
=======================
起きると同時に、雨で寒いと思う。まだ山には雪が残ってるそうだが、なんという悪天候の夏であることか。
朝イチで萌が「チケットトゥライド・ヨーロッパ」を対戦要求。望むところだが早くも長距離チケットが6枚しかないことに飽きてきているので、ネットで見つけたファン謹製の中長距離チケット18枚をプリントしてみた。ロング6枚、ミドル12枚のセットで、作者はロング1、ミドル1、ショート2としてのプレイを推奨しているが、とりあえず18枚全部を6枚のロングチケットの代わりに取るという単純なルールでやってみる。
するとやはり引くたびに見たことのない路線がでてきて、これまで全然進んだことがないルートを通れるので実に楽しい。萌もウォウと盛り上がっている。既存のショートチケットとの交錯も増しているようだ。これはいいわ。サイコー。チケライはチケットの種類とその交錯が増えれば増えるほど楽しい。
2ゲーム目は萌のプランが素晴らしく、ベルリン-ソチという新路線を敷いたあと短距離数本を小気味良くつなぎ、そしていつの間にトレインを8枚ためたのかストック-ペトロという高得点難路をつなぎ、さらにそこからリーガに鋭角にターンしてダンジグ経由でメイン路線ベルリンにつないで、とうとうロンゲストトラックまで作ってしまった。あまりにも美しい完勝。オンラインでPC相手のチケライだともう俺はまったく負けないのだが、ひととゲームをし負けることの楽しさに惚れ惚れする。
=======================
■11/07/16(土) □ パーティでゲーム会
=======================
またファミリーパーティに呼ばれ、大人が2階で社交をやってる間俺は下で子供らとゲームをやっていた。小さな子供がいる場で小さなピース満載のチケライはコマをなくすのがちょっと心配なので「オイそれはオレの魚だぜ」とカルカソンヌを持って行き、「オレ」は9歳のDF、大人のABに大受け。ルールがたった1つしかないところ、1回の勝負が超短いところがよかったようである。カルカソンヌはメカニズムの優秀さはわかってもらえたが、子供らには(草原ルール抜きでも)ちょっと難しいという感触だった。
面白かったのは非ボードゲーマーであるABが「オレの魚」を連続6回やるほどガッチリはまり(これってチェスみたいねと言っていた)、次いでカルカソンヌをやらせると即座にそのすべてを理解したことで、「つまり横から合流すれば相乗りできるのね」「じゃこうしたら相乗りを防げて安全よね」「スペースがある方に構築したほうが町は完成しやすいわよね?」と初回プレイにして完璧にストラテジックに思考を始めており、びっくりさせられた。彼女のボドゲ脳にスイッチが入ったとしか思えない。
だいたいABってこれまで何度もこうしてパーティで顔を合わせ、お互いシャイで話題も思いつかず喋ったことは一度もなかったのだが、ゲームを挟んでいると気軽に喋れる。「なかなかやるではないか君」「うう、それは痛い」といったたわいもないやりとりなのだが、何も話さないより百倍マシである。LD家の家族クリスマスにカルカソンヌを持っていった時も大盛り上がりになったし、やっぱボードゲームはよい。特にその場で一発でルールが説明でき面白いやつは本当に貴重だ。
しかし「オレの魚」って楽しいんだが先行きがまったく読めないゲームで、自分が打った手が良手か悪手は後から打つ人次第という感じがする。俺は大人のMかABを追い詰めたく行動するのだが、気がつくと自分も不利な心中状態になっていることがほとんどであった。結局何も考えず3魚2魚タイルを単純に抑えていく子供のDFが勝つので結果としてはよかったのだが、俺はやはり丁々発止をやりたいのである。1対1ならばガチの勝負になるが、多人数だと勝ち筋はないゲームなのかな。家に帰ったらまたソリテアで研究してみよう。
萌がこういうパーティや親戚といるときにあまりカルカソンヌをやりたがらないのは、乗っ取りを自重して手加減しないとビギナーが楽しめないので、その加減が面倒だからだろう。俺は適度にゆるく打ち楽しくやれるのだが、萌はやるなら自分の全カルカソ力を発揮して勝ちたいわけで、これは子供だから当然である。
今日は持ってこなかったがチケライ Euro ならば対戦相手への攻撃要素が少ないので、たとえ俺たちが上達しても、ビギナーと楽しく遊べるゲームになるんじゃないかと思う。ビギナー&多人数だとちょっと時間がかかるのが難点だが。
=======================
■11/07/17(日) □ その者青き衣をまといて
=======================
女子W杯決勝。試合は昼からなのに5時半に目が覚めてしまった。ベッドで1時間ほど Wi-Fi してから起床。
アメリカは、個々のフィジカル能力は女子スポーツ選手の究極を感じさせるほどにすごいが、ブラジル戦でもフランス戦でもチーム戦術で相手を上回ることがまったくできなかった。耐えてしのいでここしかないというロング一閃のチャンスに懸け、相手を下してきている。
つまりUSAはコケの一念で岩を通すサッカーであり、アジアカップのときの韓国に似ている。日本はあの試合前半怒涛のダイレクトパスで韓国をズタズタにしながら息の根を止められず、ここしかないという隙を突いてくる韓国のコケ念攻撃に優位を持続できず追いつかれた。
かように米国と韓国は、念入りに叩き潰さないと息を吹き返すのである。日本がやることは念入りにスリッパで数多く叩くことで、これはこれまでのゲーム同様間違いなくできる。問題は回数とヒット率。あるいはスリッパ底の堅さ。
◆ ◆ ◆
【試合開始】ファーストプレイでいきなりFWチェニーにスピード勝負に持ち込まれ、1対1でシュートを打たれる。ワールドユース決勝惨敗の悪夢を思い起こすような出だし。運動能力はほんとうに凄いわこのチーム。ドイツのフィジカル差は体格とパワーの差だったのだが、ここではそれに加えてスピードでも圧倒的な差がある。しかしプレスをアジャストできればスピードは抑制できるはず。
USAはパスサッカーを目指していて、それがうまくいかず中盤でボールを失うことが多いとのことだが、たしかにゆるいつなぎは想像以上に拙くインターセプトは簡単にできる。だが中盤でつなぐのはじきにやめてしまい、プレスとランでガンガンに脅威を与えてくる。―――うわ、8分、折り返され詰められ完全にやられた(冷や汗)。左を破る銀髪のラピノーを止められない。ボックス横が狙われている。フィジカル差を最大化するやり方は得意中の得意という感じ。この展開が続くとどうにも止められないので、日本がポゼッションを上げて相手を下げるしかない。
20分過ぎ、USAの最大パワーが若干落ち日本はようやくボールを持てるようになる。が、単純な裏狙いが多すぎ、相手に読まれてイングランド戦同様簡単にボールを渡してしまう。もっとていねいに攻めてほしい。
流れが悪い時間を運でしのげたので、ようやく日本がペースを上げてきた。ここからだ。もうゲームはある程度コントロールできている。ここからは力通りに行けるはず。日本のパスとプレスが上か、相手のフィジカルと個人力量が上か。しかし日本は技術で上回れると思っていたが、全然そんなことはないな。ドイツ戦ではパスワークは日本のほうがうまいと思ったが、USAがグラウンダーで30mの強く長い縦パスをばしっと出し一発でコントロールして前に進むのも日本にはない技術である。おそらく速筋遅筋骨格の違いで、近距離のワンタッチパスの連鎖と連動したプレスは日本が得意、長いボールはUSA(白人)が得意と、所持技術分野が違うだけだ。USAの持つ技術は間違いなく世界最高である。
29分:うわ、ワンバックが左で強烈なシュート! クロスバーが折れるほどの勢い。USAは他の選手もそうだが、キックの強さは性別を超えている。恐るべし。
大野のスルー、やや外にずれ安藤が打つもシュートは弱くGK正面。全速で抜けだして角度と時間がないところから強いシュートを打てるのがアメリカのフィジカル、打てないのが日本で、そこは骨格上致し方ない。当たり負けしないフィジカルという点では日本女子も非常にレベルが高くなっており、中盤で競り合えば重心の低さを生かしてボールをちゃんと奪えるのだが、アスリートとしての運動能力という意味でのフィジカルでは工夫と技術で劣勢を補い切れない。たとえばこうした体勢が不十分なところから強いキックを打つには足の長さ重さと筋力が必要なわけで、それは日本人にはないのだ。だからもっと多人数でゴールに近づき、相手を崩して打たなければならない。日本が縦パスぽんで強いシュートを打つことは絶対にできない(そこを振りの強さでカバーしようと強振してミートしないというのも、男女を問わず日本選手にありがちだし)。
【前半終了】ふー。立ち上がりはホント運に助けられたけれど、日本もいい感じになってきた。鮫島が何度か上がっていたということは、立ち上がり苦しんだサイド攻撃の対策にもメドが立ってきたということだろう。しかし遅攻から裏を狙うとDFにもGKにも読まれてしまうので、このままでは点など取れるはずがない。さらなる攻撃の切れが必要だ。
しかしUSAはブラジル戦、フランス戦から予想したよりもはるかに強い。ということはブラジルブラジル・フランスが無茶苦茶強くてUSAが苦戦していただけで、これが本当の世界最強レベルであり、ドイツは調子が悪かったということなんだろう。USA優位とさかんに言っていたカナダTV解説陣が正しかった。しかし最後は勝ったほうが強いということになるだろう。
----------------------
【後半】短いブレイクで前半終わりの優勢はリセットされ、また猛攻にさらされる。ゴールポストが助けてくれているうちに、ペースを握り返してくれ。USAの守備陣は実に堅く厚くラストパスを通すスペースはない。ドリブルで勝負するしかない。大野のドリブルは効いているが、川澄と安藤はドリブラーではないのだろうか。
15分、USAのペースが落ち着いた。ここからはまた日本の工夫の戦いだ。USAのプレスは個の運動能力による単独の詰めなのだが、その個の鋭さがドイツより格段に上で、日本は交わして前に進めない。たとえプレスを横に交わせても、日本の攻撃スピードよりもUSAの戻りが速く、日本はよーいドンではいかなる勝負でも上回れないので、スルーパスは通らないのである。高い位置で奪い即座に突っかけていく以外、何事も起こせないと思う。
日本は2枚同時に早めの交替。この試合大野のドリブルがほとんど唯一の鍵だったのでえーともったいない気がするが、これだけ押されていると前線は守備に疲れ、前に走れなくなっているのかもしれない。フレッシュな脚に期待しよう......と交替を前向きに捉えていると、69分この大会噛み合っていない永里が絶好の位置でボールが脚につかず悪いタイミングで奪われ、ずばっと出された縦パス1本でモーガンと熊谷の完璧な走力勝負に持ち込まれ、ついに破られた。これはボールを出したラピノーと相手FWモーガンを褒めるしかない。まさにここしかないピンポイント勝負。これに勝つ個の力がUSAの強さなのだ。
----------------------
日本がボールを持つ時間が徐々に増すが、USAは縦への速さと戻りの速さの両方で日本を上回っている。日本はプレスを横には交わせるが、前には一向に持っていけない。日本がラインを上げると失点時のようにものすごい槍が飛んでくる。このUSAを破ることは本当に難しい。これはダメかも......と思っていると80分、うわ! 日本同点! クロスに飛び込んだ丸山が潰れ、こぼれ球に宮間が詰めていた。見てるほうがもう諦めてるのに、なんてすごい人たちなんだ。
【後半終了】ぷー。すごい。勝てる。完全に五分にまで持って来てしまった。現時点では五分以上かもしれない。が、ここのブレイクからの立ち上がりでまたUSAはまた息を吹き返してくるだろう。まったく厄介な敵である。しかしだからこそ互角に戦っている日本が素晴らしい。
----------------------
【延長前半】お互いに攻め合いとなるが、米の攻めはシュートにつながるのに日本は打てない。永里が走らない。引き出す動きがないのは彼女のスタイルなのだろうが(他のFWは裏に抜けるタイプで、その動きは読み切られまったく効果がない)、流れたボールにフルスピードで詰めないのはスタイルとは関係ない。追えば相手DFのミスをまた誘えるのに。丸山と宮間が走って相手のミスを誘ったから点を取れたのであり、その努力をしないFWはこの試合ピッチにいても仕事はないだろう。大野がどれほど疲れていたのか不明だが、永里インは監督の失敗と感じる。ここはいっそダメもとで、日本のメッシを入れてくれ。
だんだん相手のクロスに対する間合いが甘くなって、ついにワンバックにヘッドを決められ前半終了。丸山は動いているからシュートを打てる。動かない永里に代えて岩渕を!
延長後半、日本の攻め圧力が増す。近賀のシュートがあと少しでネットに入りかけるが、DFが掻き出す。あと一歩なんだ。あと一歩なんだ!
そしてコーナーキックから澤! すごい。涙が出てきました。
【PK戦】「PK戦は追いついたほうが有利」というカナダ解説陣のコメント通り、海堀が全部止めてくれた。やっ・た。やってくれた。海堀さん、実を言うと私はあなたを下手だと思ってました。間違ってました。すいません。カナダTVは負けた美女GKの泣き顔を延々と映しているが、勝者はあなたですカホリさん。
◆ ◆ ◆
実際戦ってみるとUSAはなんと強いチームか、なんと素晴らしい選手を揃えていることかと圧倒された。試合前にアジアカップでの日本-韓国を、つまり力量五分で技術の日本優位とイメージしていたのだが、USAは日本より強かった。
失点を免れた前半はラッキーだったとしか言いようがないし、ボールを持てた中盤以降も日本は相手のプレスに持ち味を出せず、ほとんど破壊力のある攻めをできなかった。ドイツ戦を見てるときは勝てる、日本のよさがいつかきっと君にも、わかってもらえるさと明るい気持ちが湧いて仕方がなかったのだが、この試合はこれはわかってもらえないなと思っていた。USAの圧力が下がった後半以降はそうそう点を取られる気はしなかったが、点を取れる可能性はもっと低いと思っていた。失点後は、どうしようもないと途方に暮れていた。
しかしそうして見ている方があきらめているのに、やっている彼女たちは誰もあきらめなかったのだ。日本の組織攻撃はドイツ戦、スウェーデン戦のような華やかなゴールは生み出せなかったが、陣取りのようにこつこつと前に進み、諦めずへこたれず走った丸山たちが敵の守備に小さな小さな針の穴を開け、宮間と澤という天才が信じがたい技巧でそこに金の糸を通したのである。その奇跡には本当に涙が出た。
もう一回やったらおそらく負けると正直思う。それが試合後の俺に複雑な感情を残す。もちろん素晴らしくうれしいけれど、その気持ちはドイツ戦後に比べると感動や喜びよりもハッピーエンドの物語を見届けた安堵感に近い。「ポニョ」を見たときのような感じ(笑)。しかしそんなことはどうでもいいことだ。こんな凄い試合をして、こんな凄い敵に、日本は勝ったのだよ。わは。わはははは。
そうだ。日本は男子W杯では「もう一回やったら勝てる、今日はちょっとだけやり方を間違えた」という試合を何度も落とし、悔しい気持ちを存分に味わってきた。フランスのジャマイカ戦、日本のトルコ戦、ドイツの豪戦、南アのパラグアイ戦。そろそろその逆があってもいい頃だった。それが澤という偉大な選手の選手人生に間に合ったのだから、これはほんとうに素晴らしい。男子日本代表は中田英寿の選手人生に、なんの達成感も得ることができなかったのだから。
試合後まもなくツイッターに、「その者青き衣をまといて金色の野に降りたつべし」と澤の写真が流れてきた。そうか、そういうことなんだなともう一度胸が熱くなる。おめでとう、澤と仲間たち。
=======================
■11/07/18(月) □ US敗戦の弁を堪能
=======================
米スポーツ局 ESPN のTVアナ(Bill Simmons)が、「女子W杯の日本はトーナメントを通じて世界最高レベルの技術を発揮していた、ポッドキャストをアップしたから聞いてくれ」というので探して聞いてみる。
「こんなにチャンスを逃していると、日本がくるぞ。いつも俺たちが相手にするように、熱いガッツで追いつかれるぞとずっと思ってたんだ。その通りになったよ」
「モーガンがレターマンショー(米の笑っていいとも)に出てスターになり女子サッカー人気が爆発するぞと思ってたんだけど、もう駄目だよね。違うストーリーになってしまった。米のサッカー選手はみんな金が必要なのに」
相手アナ「だけどさ、日本だよ。他の国なら『こいつらにだけは絶対負けねー』とも思うけど、日本にはそんな感情が起きてくるわけないよね。最初はUSAがボコボコにしてるから、日本のシンデレラストーリーもここで終わりだなと思ったんだけど、まさかあそこからカムバックしてくるなんてねえ」
「それが日本のハートなんだよ。そうやって働き、そうやって生き、そうやってスポーツをプレイするんだ。サッカー男子代表だってそうじゃないか。不屈の精神で突き進むんだ。尊敬に値するよ」
「アメリカ社会は日本のそういうひたむきさをやや失っていると思うよ。それに日本に起きたあの厄災を思うと、やっぱり負けてもあきらめがつく相手があるとすれば、日本だったよね」
なかなかいいことを言う :-)。米国スポーツ狂の心痛がじかに伝わり実に面白い。こういう対戦国ポッドキャストをわざわざ聞く気がするのも、勝ったからこそ。わはは。本当にありがとう、キャプテン・サワと仲間たち。
このポッドキャストはその後、「MLSクラブは各チーム1名女子代表選手を入れるべきだ。モーガンが来たら人気が出るぞ!」「いやお前、モーガンなら人気も出ようが、他の選手だったら...」とフモフモに脱線していきました :-)
0 件のコメント:
コメントを投稿