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■12/11/08(木) □ YOLO なティーン
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萌の学校の戦没者追悼記念式典に行ってきた。毎年書いているが(変わり映えせずすいません)、"自由のため戦い犠牲になった" カナダ兵士に感謝を捧げるのはいいけれど、その何百倍もの市民も戦争により世界中で死んでいるわけで、そっちにより心を配ってもらえないかと思う。戦争がある国、あった国の悲しみは子供らに何も伝わっていない気がする。萌なんか「すごい厳粛なんだからお父さんも敬意を払ってよね!」って感じで、イベントとして張り切っちゃってるもんな。
しかし感極まった様相で「犠牲となった兵士たちに感謝しなければならないのです!」と叫ぶ子供らを見れば、これってカナダの愛国教育なんだろうな。他国を攻撃してるわけじゃなし罪はないとは思うが、愛国と戦争反対を両立した教育イベントにしてほしいものである。
金魚は1週間たち絶好調。ピンセットの先からミミズをついばむほど人にも慣れたし、水換えのストレスにもびくともせず、前回前々回の金魚たちよりずっと安定していけそうな気配である。
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萌に Owl City とかジャスティンビーバーを聞かされ気がついたのだが、米加のポップソングはパーティの歌が多い。パーティでグッドタイムを過ごすということが青春の重要な1テーマとなっているようだ。これは恋人との1対1の関係が至上のものとやたらと強調する日本のポップカルチャーと異なるところである。
どういう文脈でこれが言われるのかと解説してもらうと、人生は一度きりなんだから楽しまにゃ損ソンというセンスで使われるらしい。あ、なるほどね。
しかし「人生は一度きりなんだから楽しまにゃ損ソン」と日本語で言うとなんか、人生応援系演歌っぽいな :-)。
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■12/11/09(金) □ 朝ドラと創作者エゴ
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NHK 朝ドラ【純と愛】。解釈や批判を始めちゃうとめんどくさいので、楽しめるところだけ気軽に見ようと決めていたのだが、そうはさせてくれない番組である。『バカ兄が実はマリアを愛しており結婚式から逃げ、修羅場となり愛が純家族の本心を暴露する』という流れに至り、さすがに呆れて見るのをやめようか考え始めた。とにかく話がピーキー(強度エピソード山盛り)で雑でげんなりする。
遊川和彦というこの脚本家は「日本一ダメな2つの家族を描きたいんだ」的なことを言ってるらしいが、それがそんなにエポックメイキングで独創的なことだろうか。結果としてここでは単に、非現実的な魅力なき人々の面白くない問題がキンキンとノイズをたて繰り広げられている。なんでこんな馬鹿げたハナシ(脚本)なんだと俺はそればかり考えている。
「カーネーション」に出てくる人たちはみな糸子を通じて生き生きと実在していたのだが、このドラマの人物は造形された戯画で、役者がどう演じても脚本家の手から逃れられない。純の過剰な演技にかぶさり、「仕事の流儀」でつばを飛ばし怒鳴っていたあの顔が浮かんでくる。この番組で視聴者はドラマでも役者の演技でもなく、遊川和彦という人の創作エゴを見せつけられているように思う。
ツイッターでの(好意的な人々の)解釈によれば、「人は弱く愚かなものだ」という傾きが彼の創作物にはあるらしいが、遊川和彦的に弱く愚かな人は俺は知らんし、そういう人と知り合ってその弱さを味噌汁に入れごはんにかけて食いたいなんて思わない。なのにそういうものばかり食卓にずらりと並べられるからうんざりするのだ。こんなもの注文してないですよと。
「既存の朝ドラをぶち壊すという気概」なんだろうとも解釈されているが、だとしたらつまらんことだぜ。「カーネーション」は何も破壊することなく、朝ドラ以外では見られないような宝物を見せてくれたぜ。
だいたい俺はこれが朝ドラだから腹を立てているのだ。これが週一ドラマだったら俺はただ見ないだけで、文句は言わんのだよ(※)。朝ドラには毎日話の続きが見られるというどうしようもない魅力がある。「カーネーション」はそれを存分に生かし楽しませて俺の生活を幸福にしてくれたし、「おひさま」「梅ちゃん」といった凡作ですら序盤は見続けてしまった。この連続朝ドラという場所は特別な場所なのだ。そういう場所で専横的なエゴを揮うのは行儀が悪すぎるだろう。他でやってくださいよ。
(※)実際 TV Japan でやった「家政婦のミタ」は見なかったし、今秋の「ATARU」「鍵のかかった部屋」「相棒」は見てないが、そのことにどうこう言うつもりはない。―――しかし映画も毎週「踊る大捜査線」をやってるし、日系視聴者はそんなに刑事ものが好きなのか? もっと子供が見るような青春コメディをやってくれんかと要望だけは送ろう。
まったくこれは腹が立つ。腹が立つと健康に悪い。俺は落ち込むことがあると寅さんを見るんだけど、これには逆の効果がある。今夜は寅さんを見て寝よう。
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■12/11/11(日) □ カルカソンヌは偉大だ
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Yucata でゲームを覚えようシリーズ、続いて「ハワイ」「マオリ」「ヴァイキング」とやってみる。こうしていろいろやってみると、やはりカルカソンヌというのは飛び抜けて優れたゲームメカニクスだと思う。四角いタイルに3種の地形を持たせるだけでこれほどのゲームができるとは、作者も作り始めてから自分で驚いたことだろう。
俺はやがてゲーム内で生産や拡大といった複雑なことをしたくなりカルカソンヌからは離れてしまったが、それでもこれまでに体験したボードゲームでカルカソンヌの仕組みが一番すごいと今でも思う。うまい人とオンラインで勝負をすれば間違いなく面白いゲームになる。各種拡張やカルカソンヌ2によって、オリジナルとは違った戦略をやれるのも素晴らしい。
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■12/11/13(火) □ ストーンエイジに開眼
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オンライン Yucata ボードゲーム習得シリーズ、昨日から大物「ストーンエイジ」にトライ中。原始の村でサイコロを振り木や石を集め村を栄えさせるというベストセラーである。これはルールを習うために1人2役でテストプレイを何度もやり、「リソースを取るまでは楽しいが、カードを買っても拡大要素が薄く好みではない」と思っていたのだが、対人となると「あの高得点カードがほしい、急いで資材を揃えねば」と熱い競争心がやはり芽生える。すると敵より先にカードや山の採掘所にコマを置きたくて、手番を待ち焦がれゾクゾクする。そうかこれがワーカープレイスメントの楽しみか。
①自分がほしいカード
②そのために必要な資源
③それがどこにあるか
この選択肢3要素がクリアーかつメイクセンスな(道理に合っている)ので、思考がサクサク進み場所取りに燃えられるのだ。
同じくワーカープレイスメント(WP、先にコマを置いた人だけがその場所の利益を得られるというルールで構成されたゲーム)の「Lord of Waterdeep」では、①自分の達成すべきカードが複数あるため②いま必要な資源が曖昧で(敵が狙う資源も不明)、③そのリソースは単なる色なのでどこにあるかに必然性がなく、この場所取りが一向に盛り上がらなかった。今思い返しても「今は白が必要で......白はどの城にあるんだっけ」という黙々とした静かなゲーム風景しか思い出せない。
WP の最高峰アグリコラは、①を常時何十もの選択肢から悩んで選び(畑や木土石金がそれぞれ微妙に違う3種類ずつあるような感じ)、それを「いつ」取るべきかという選択肢まで加わることで計算量が莫大になっている。BGG の SA ファンによるとアグリコラは、「経済学を専攻した奴らとマゾヒストがやるゲーム」だそうです(笑)。
こうして対人でやってやっとわかったが、即時点を取る左下の建物(小屋)カード部分は急げや負けるなのカード争奪戦で、たとえば「チケットトゥライド」の路線争奪に似ている。狙っていた高得点カードをターン順のあやで取られたときはがっくりくるし、代わりにいいカードを取ればうれしい。チケライはゲーム性としてはこの単層しかなく(しかもこの路線争奪エキサイトもまれにしか起きないので)やがて飽きが来るのは否めないが、SA はこの部分を WP とサイコロで熱く複雑化しふくらませているわけである。
夜熟練者との 2P 戦となる。その場その場で工夫して高得点の小屋カードを取る俺のベーシックな戦法でも途中ポイントはサクサクと気持ちよく取れたのだが、相手が文明カードの終了ボーナスで 200 点も取り 150-350 みたいなすごい点差になってしまった。うわー。初心者と熟練者でこれほど差がつくというのは、あまり好ましい傾向ではない。覚えなきゃ勝負にならない細かな得点要素が文明カード方面に多数あるらしい。ちょっと勉強してみます。しかしこれは面白いわ。久々にボードゲームでゾクゾクしている。
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■12/11/15(木) □ SA 戦術研究
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昨日大敗した相手の熟練者の解説によると、大差がついたのは俺が文明カードを取らないから彼が全部取ったゆえだという。そこで文明カードのボーナス点というのを調べてみたら、カード下に書かれたマーク×村の人数みたいな感じで
●1 文明シンボル:種類の2乗
●2 畑おっさん数×畑開墾値
●3 斧おっさん数×道具の合計値
●4 小屋おっさん数×小屋カード数
●5 シャーマン数×住民数
と5種類もボーナスがあった。昨日の人はこれを全部揃えたのだろう。気をつけていれば俺も文明カードを十分に取りもうちょっと差を詰められるかもしれない。文明カードのコストは小屋カードより安いんだもんな。実際安いんだからカードに書かれた内容はあまり重要ではなく、とにかく早い者勝ちで取るくらいの勢いでいいのかもしれない。よおし。次は勝つぞ。
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【夜ストン】真面目に集中してプレイしてみると、ワーカープレイスメントの面白さがあらためてよくわかる。これはカルカソンヌ同様2人戦でも面白いな。敵の動向(持ちリソース)を見て狙いを見極めたり、相手の必要資材をブロックできるあたりが非常に面白い。必要ならば自分のミープルを捨てコマにしても相手の取得を妨害できたりする。今やってるゲームでは数ターンずっと相手にレンガを渡さないようにプレイしている。彼にレンガを渡さなければ小屋カードを取れない状況を維持してるのだ。
カルカソンヌやチケライのような地形が重要なゲームだと、妨害は永続的でときにそのゲームでの致命傷となりうるので「どこまでやるか」というモラル的問題が生じるのだが、ワーカープレイスメントの場合妨害はちゃんとコストを払っての場所取りであり、そもそも1ラウンド限りのことなので(手番は巡るので次のターンは相手が有利になる)、やってもやられても嫌な気分にならない。妨害はそのタイミングをブロックするわけで、瞬間が過ぎ去れば流れていく。これはシステムとして WP の優れたところだ。
熟練者が文明カードでどんどんエンドボーナスを稼ぐところ(今回も相手が何点くらい取るのか見当がつかない)以外は、このようにビギナーでも存分に見通しとコントロールが効き楽しめる。これはグレンモアにも通ずるこのゲームの美点である。
ミープルが7個くらいになり畑を開墾して食料も足りてくると、1ラウンドで何箇所も抑えることができ、コンボで非常に大きく局面が動き気持ちがいい。「1木であのツール3が乗ったカードを取り、そのツール3で木を大量に生産して3金のカードを買い、そのカードに乗った石であの 15 点小屋カードを買う」といったコンボが見つかると本当に面白く、他のプレイヤーが気づきませんように取られませんようにと高揚するのである。こういう頭の使いかたは俺がボードゲームをやって最も喜びを感じるところで、簡単すぎず難しすぎず、まことにちょうどいいのだ。
アグリコラはこのやりくりが厳密を要しすぎ、やることすべてを紙に書いて計算したいくらいのシビアさだったのだが、SA はちょうど脳が気持ちいいあたりで計算量が足りるようになっている。見事である。
手勢が増えると、「サイコロでカードから金が取れる可能性がわずかにあるから、金が必要な小屋カードに張っておいてみるか」なんて博打も打てる。これはコマ1つが地球よりも重いアグリコラでは無理なことであり、この辺のゆるさもまた実に楽しい。
◇
敵のレンガを止め小屋を取りまくり健闘したものの、今日も 197 (bonus 90) x 265 (bonus 200) で負け、しかしゲーム後ボーナス点を計算してみてボーナスの取り方がわかってきた。今日の相手は人と畑を満額の 10 にし、そこに「畑おっさんカード数」「シャーマン数」をかけて計 110 点取り、それが最大の得点だった。俺は畑は十分に作っていたが、畑おっさんカードはゼロだった。これはもったいない。たとえば俺が畑おっさんを3個奪う(コストを払えばさほど難しくない)だけでも相手から 30 点 削り自分が 21 点得て、50 点詰められたわけである。なるほどねーそういうことか。そういうところに勝負どころがあるんだ。人と畑の開発は村の運営上も、こうしてゲームエンドボーナスの見地からも重要なんだ。よしわかった。明日はここに気を使い必ず勝つ。
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■12/11/16(金) □ ストーンエイジは大傑作でしたすいませんでした
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【ストン研究室続き】あれこれと用足しをしつつ「ストーンエイジ」を続行。ソロプレイ時は拡大再生産要素が薄いと思っていたのだが、拡大要素も十分にある。ただ作物で建物を買えばその機能でどーんと拡大加速する、プエルトリコ型の建築拡大ゲームではなかったのだ。
拡大は村での労働の積み重ねによる畑開墾と労働力増強、道具開発という形で実装されている。これはどれも時間がかかり競争も激しく難しいが、達成感は高い。食糧生産量が人材数と等しくなると狩りに行く必要がゼロになり、大量の人員をすべて得点作業に割り振ることができる。このときの解放感は他で知らない。よし食い物はこれで足りた。勝負に出るぞ。お主らは山へ石と金を取りに行け。わしは文明と小屋を抑える。ぬかるでないぞ。いい目を出せよ。
買い物でパーツを組み合わせ得点エンジンを組み上げるというのがプエルトリコ/グレンモア型の面白さで、ストーンエイジは労働力を割り振り他者を出し抜きいかに最大の効果を得るかというところに、違った面白さが詰まっているのである。そしてそのバランスは見事としか言いようがない。
プランを気づかれ邪魔されないよう祈り、早く手番がコイコイと胸踊らせる。計画を練り、人の裏をかき、リスクを取るというゲームの面白要素が見事に組み合わされている。秘密と陰謀とギャンブル、裏切り殺人と南フランスである。しかもそれが毎ラウンド続き最後までずっと味わえる。ゲーム中何度も自分の手に惚れ惚れする瞬間が訪れる。素晴らしい。これは傑作だな。大傑作だ。簡単なテストプレイでイマイチと判断していた俺の目は死んだ魚の目であった。前につまらないなどと書いてすいませんでした原始の神様。
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難点はゲームエンド・ボーナスが大きすぎ、しかもそれが他のゲームより見えにくいことで、初心者はボーナス点の取り方に慣れた熟練者と勝負にならない。ラウンド中に 10~20 点ずつ取っていく小屋カード争奪は誰でもすぐに効率的な方法を見い出し工夫して楽しめる明るい道筋なのだが、文明カードの最終集計でドカンと大差がつき初心者のゲームは暗転してしまう。俺もまだ1勝もしてないわけで。
これはボーナス種目が5つもあり、それぞれが「ツール数×斧おっさんカード数」「畑数×畑おっさんカード数」と係数を2つ持つゆえの難しさである。プエルトリコやグレンモアなら大物建物を1つ頑張って取り、あとはそのボーナスの係数となる畑数、建物数を増やす方向でプレイすれば十分にボーナスが取れるのだが、これは高得点のためには村の開発と文明カード収集の両立が必要なのだ。これは難度が高く、やり込んで上手くなる以外に点を向上させる方法はないだろう。
このように明確なる学習カーブを描いております。
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■12/11/17(土) □ ストン初勝利\(^-^)/
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朝イチでストーンエイジ初勝利! 242-225。終盤に 4 金をはたくギャンブルで文明カード 8 種 64 点を揃えたのがウィニングハンドだった。やっ・た\(^-^)/。ストーンエイジは傑作です。大傑作です。