2014/06/27

日記「まさかのコートジボワール戦」

「日本代表のスピード感」「教師組合スト問題」「スクールアルバム」「無力な父の日」

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■14/06/08(日) □ 日本代表のスピード感
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ザンビア戦大久保:「後半は真司と『近くでやろう。近くでやったら相手はついてこれないから』と言ってやったら、リズムができた」

大久保は一瞬の速さが日本の命とつよく信じている。しかもその速さをどう使うかに具体案がある。「自分たちのサッカー」みたいなポエムなイメージではなく、こうすれば相手は物理的にこうだから俺たちはこう行ける…とロジカルに語っている。これは代表とは違う速い攻撃サッカーを成功させている川崎で培ったのだろう。J リーグから代表へのフィードバックが今ようやく起きている。本番まであと6日。遅かったけれども、手遅れではなかった。



 結局ザックは大久保起用以外は何も変えずこのまま行くらしいが、俺と同じく本田主体の代表を評価していないツイッターの戦術家スケゴー氏のツイートが激しく面白い。

スケゴー@sukego_fut
縦への展開やプレッシング志向の強いザッケローニは、バックパスやポジションチェンジを嫌っている。それをあえてやろうと主張しているのが本田、遠藤らである。双方の主張は、メインコンセプトの部分で真逆に近く、どちらかが大幅な譲歩をしなければ成り立たない。
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日本代表における監督と選手の意見対立はディテールではなくメインコンセプトの部分にある。そして選手側の意見は、あくまでも本田など一部の選手たちのものであり、選手全員の総意ではなかったと報道されていた。
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一番の問題は、遠藤自身がボールを大事にして足元へパスを出すことが、チームの勝利にとって最善と判断しているのではないかということです。チームの勝利のために監督の指示を無視する。遠藤ならやりかねないと思います。


 これを読んでようやく、俺が代表を見るたびに「遅いし FW が絡まなくてつまらん」と感じていた理由と、それをザックが放置している理由がわかった。遠藤と本田が後方でゆっくり回すのが日本代表の「ポゼッションサッカー」の本質であり、ザックはもっと速くしたいが本田と遠藤が乗ってこないのだ。

 この違いはコスタリカ戦で俺にもよく見えて、大久保青山らがやる縦に速いサッカーはパスが強く速く、技術の高いアタッカーのボールタッチが増えカズや森島がいた頃の代表みたいな躍動感がある。これならどこを相手にしても決定機が作れると思ったが、FW がほしいところに出す攻撃的なパスが増える分ポゼッションは下がり、相手が強かったのでカウンターを喰らうことも増えラクではなかった。

 後半遠藤が本田と遅いサッカーにすると中盤でキープでき、チームは明らかにラクになった。そこから相手が止まったので点も取れたのだが、しかしW杯で強い相手が元気なときにあれで点が取れるのかは、やってみなければわからない。わかっているのは後方で回す時間が増え、勝負するパスがなくなり、チームで一番うまい柿谷や大久保がボールに触る頻度が減るということだ。これを攻撃的サッカーとは言えんだろう。

 しかしまあ本番は4年間やってきた遅延型で行くのだろうな。大久保が入ったのはスピード型へのシフトをザックが求めたからだと思うが、テストマッチ3試合では時間が足りないだろう。



実はザックジャパン、あまりガンガンとディフェンスラインに高い位置からプレスをかけられることに慣れていない。いわば、ザックジャパンは、ザックジャパンのようなチームと対戦した経験が少なく、それがアウェーでの低パフォーマンスの一つの要因になっていると思うのだ。
清水英斗 「ザックジャパン停滞の七不思議(後編) セルビア、ベラルーシ戦③」


 もうひとつの不安は守備で、強い相手にプレス合戦で勝てなかった時の弱さはコスタリカ、ザンビア戦でも直っていなかった。つまり日本代表は守備のいい山口が入った以外は去年の不調時とあまり変わってないわけで、プレスがハマれば戦えるが、相手の強度が日本のプレスを上回る時間にはやられてしまうというチームなんである。長谷部が万全ならともかくそうではないのでこのW杯、やってみないとわからない。コスタリカ、ザンビア戦のように点が取れたらよし、取れなければ負ける

 スケゴー氏はこのチームの戦術は矛盾しているのでザックが手の内を隠しているのだとし、

スケゴー@sukego_fut
川島、内田、吉田、今野、長友、長谷部、遠藤、岡崎、本田、香川、柿谷の4-2-3-1。このスタメンとフォーメーションで試合に望む可能性は皆無だ。
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選手は監督の言うことを聞かない。監督は選手に合わせようとしない。前大会ではぶっつけ本番の戦術が採用されており、なおかつ結果を残している。
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ザッケローニは選手に合わせてなどいない。合わせるなら合わせるなりに現在とは違うサッカーをしているはずである。ザンビア戦を見ても「バランス」が取れていないのは明らかだ。
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本番で干すに一票。後腐れないようにW杯後の退任も決まってるわけだし。


 と非公開練習で本田抜きの縦に速いサッカーを組み直していると見ているらしい。今の本田を外しても攻撃力に影響はない(というか誰を入れても攻撃力は上がる)と俺も思うが、もうテストマッチも終わっており定食一筋4年間のザックだから、望みは薄い。ザックというのはなにしろフレンドリーであれこれ試してこなかった人なので、本田抜きでセンターの守備がどうなるか見当がつかないのだ。

 というわけでいろいろ考えてみたが、初戦に向けての結論は定食メンバーの走力がコートジボワールの連携完成度を上回ることを祈るのみ。そんなにエキサイティングな試合にはならんだろうが、コートジボワールの力も落ちているだろうし、1点で抑えられればたぶん2点取って勝てるだろう。

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■14/06/11(水) □ 教師組合スト問題
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BC 政府との交渉が決裂し、BC 教師組合が全面ストライキ可決。これが実施されると来週から小中高残り1週間余全面閉鎖という異常事態になる。3年生にとっては卒業デイトリップ、卒業式、ダンスパーティ等最後の行事が全部キャンセル。いくらなんでも…なんとかしてくれというのが生徒と親の気持ち。

 ストライキは初めてではないし「課外活動はなし」といったプチストライキは毎年のようにやってるのだが、事態は年々悪化している。ストの争点は給与、クラス定員、その他予算全般で BC 政府払えよとは基本思うが、しかし教師はもともと高給なので世間はみなうーむと思ってるところはある。まあ日本だったら教師が頑張り身を2やってしまうところ、カナダの教師は厳密に1しかやらず2人ちゃんと雇えと要求するわけである。

 すべては教育のため生徒のためというなら BC 教師たちよ。夏休みになってから政府と戦ってくれ。あ、でも長期休暇中は教師には給料が出てないのか。いやしかし信念があるなら自腹でも出てって戦えよ! 俺ならそうする! ブレずに自分のエデュケーションを貫けよ!…はあ。

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いくらなんでもなんだこのBC大規模教師ストはと、同じく教師であるうちの奥さんに詳しくしかしW杯もあるんで手短に教えてくれと5分で説明を受けた。①政府は教師が賃上げを要求していると強調しているが、【メインの論点はクラスサイズ】である。

②BC教育システムはマンツーマン指導型メソッドなのに生徒数が多すぎ破綻している。(移民で言葉にハンデがあるESLの子もスペシャルケアが必要な子も騒ぐ問題児もいるので、日本のような多数の子供が黙って授業を聞く方式はできない)

③BC教組は政府が『クラスサイズを小さくするという公約』を守ってないと訴追し勝訴したが、政府は無視している。④ストをすると俺のようなわかってない親の反感を買うだけでなにも生み出さないが、教組ができるのは結局ストだけ。――ということだそうです。無理解ですいませんでした。

⑤なんでそんなにBC政府は教育費をカットするのかと聞くと、『そうする方針の経済重視保守党BCリベラルに人々が投票するから。BCリベラルが欲しいのは金と石油パイプラインだけ』と明解。ため息。

 BC(に限らんだろうが)教組に問題があるのは、有能な教師も無能/怠惰な教師も等しく守られることで、このことが親の反感を買いやすい。やる気あるのかという無能教師も8年だか働くと高給と生涯安定が約束される。病気で働けない教師が籍だけは抜かないので新任教師を雇えずずーっと代理教師が働いているなんて学校もある。萌の小4の担任がそうだった。はあ。

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■14/06/13(金) □ スクールアルバム
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萌の学校は予定通りストライキに突入し、昨日がサドンデス終業日となりすべての期末行事がキャンセルされショボーンとしながら帰ってきたのだが、スクールアルバムだけは間に合って配布された。$40も払わされるハードカバー豪華本。

 高いよソフトカバーにしろよと毎年思うのだが、子供にとってはこのスクールアルバムに自分の写真が載ることが超重要らしい。過去2年は自分の写真が少なくがっくり来ていたのだが、3年生は優遇されるので今年は多くのページにフィーチャーされ喜んでいた。

 しかし今度はどの写真も自分の写真写りが悪いとギャーギャーいう。自己イメージではセルフィーで撮る真顔 or 微笑顔がベストで、その顔で写りたかったんだろう。いや普段そんな顔してないじゃん。大口開けて笑ったり変な顔したり、つまりこのアルバムの楽しそうな顔が友達が知っている萌じゃん(笑)。



 今日は先延ばしにしていた萌のバースデイパーティとなり、SRも早めに来てくれ萌と3人で用意をする。夕方階下にガールズがたくさん来て、俺のギターとアンプを下に持って行ってグジャジャジャジャとかき鳴らし、なんかグランジな歌を歌っていた。炭酸で酔ってんのか(笑)。もう親は場所と食べ物だけ用意してやって、こうして放っておくのがベストなパーティだな。よかったよかった。

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 【ワールドカップ開幕】スペインがオランダにボコボコにされてしまった。バカみたいに見事なファンペルシーのヘッド、ロッベンの馬のように速いカウンター。まあ今年は日本にも柿谷や大久保がいるからね。ああいう縦ポンもやれるよと思ったが、3点、4点、5点と入り呆然とする。

 こうしてカウンターに崩壊したスペインを見ると、カウンター防御が大の苦手な日本は脚がすくむな。ドログバたちにいい縦パスを出させてはいけないわけだが、どこまでプレスがはまるのか。日本はプレスがはまればいいサッカーができるが、ハマらないとザンビアにも苦戦する。そしてハマるかハマらないかがかなりランダムな感じなのだ。要は相手次第なのである。さすがに本番はザックが研究してきちんとハメるだろうと予測されているが。

 とりあえず明日のコートジボワール戦は、ザンビア戦みたいな立ち上がりからのフルコートプレス空振りはやめてほしいな。あれがハマらないとカウンターで悲惨なことになりそうな気がする。日本の立ち上がりが悪いのはいつものことなので、その時間は失点しないことだけ気をつけて、相手がどれだけ動けるのかを見極めつつ、いつも通りに後半勝負に出てほしい。

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■14/06/14(土) □ まさかのコートジボワール戦
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 守備力を上げるために今野を SB にし長友を前に出すのではないかという観測が流れている。では俺も希望スタメン。サイドの守備力と縦への攻撃力は間違いなく上がる。真ん中が香川だと守備がどうなるかわからない。

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【希望スタメン】
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      大迫
長友   香川  大久保
   山口  青山
今野 吉田 森重 内田
      西川
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【実際のスタメン】
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      大迫
香川  本田   岡崎
   長谷部  山口
長友 吉田 森重 内田
     川島
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 スタメンは、やはりザック定食であった。へえ。まあ仕方がない。長谷部も内田も間に合ったのだからよしとしよう。長谷部がフルタイム持つとは思えないので、前半はじっくりいき後半から青山 or 遠藤、大久保 or 柿谷で緩急つけて攻めてほしい。思ったより強ければ遠藤でペースを落とし、縦に攻めていけそうなら青山ならロジカルだろう。



 日本はじっくり慎重に試合を開始する。香川が中に入って最初のアタックでいきなりパスミスしボールをロストし、あっという間に裏を突かれシュートまで持って行かれた。象牙選手2対日本 DF3だと危うい。ゴール周辺でキープされると、フィジカルが違いすぎてシュートを打つまではボールを奪えない。なんとか遠くから打たせなければならない。

 本田のキレはやはりまだ戻っておらず、後ろ向きでボールを渡されても前を向くのが遅く、攻撃に勢いを与えられない。香川は動きが硬い。パスは遅くつながらずドリブルで交わせず、日本の攻めにいいところはなし。慎重に立ち上がったはいいが、全体に硬くエネルギーがない。早くもブーイングが上がる。

 15分、長友が「そろそろ行くか」と大物感あふれる仕掛けを開始し――相手にボールを引っ掛けられてもスローインで陣地前進できれば OK と余裕しゃくしゃく――、彼のドリブル突破で取ったスローインを渡された本田が前触れもなくいきなり決めた。万全ではなくてもワンステップであんなモンスターショットを打てるのがすごいな本田としか言いようがない。しかしチーム全体としてはここまで全然いいサッカーができてないので、点を取っても俺はふうと息をつくのみ。声も出なかった。まあこれで初戦自滅崩壊コースだけはなくなった、助かったというところ。

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 これで象牙がちょい荒れ、日本も硬さが取れてファウルとプレスで前進する。今度はちゃんと組み立てきれいに崩して内田のシュート、弾かれる。よし。これは行ける。ザンビアより弱い。

 大迫のパスミスからカウンターを喰らい吉田がイエローで止める。香川大迫にどうも軽い横パスのミスが多い。相当前方のパスミスでも相手の突進は馬のように速く重く、ゴール前までどうやっても止められないので、攻めのくさび以外はごくセーフティにいってもらいたい。

 30分経過、香川がプレスで簡単にミスを誘発され、山口と長谷部がカバーに奔走する。香川はテストマッチ中ずっと思ってたが、ピーキング失敗(準備とテストマッチで負荷かけすぎ?)だろう。1戦目のキプロス戦がいちばんよかった。この試合ではプレスをかけられただけで接触もないのに悪い体勢でボールを放し奪われるという弱さ。マン U だったらハーフタイムで間違いなく下げられるデキである。

 本田の前進を止められ、カウンターで深く持ち込まれ岡崎がバイタルエリアで止める。岡崎があんなところまで戻っているしんどさよ。本田は前進力がやや戻ってるのはわかるが、正面からドスッと象牙守備ブロックに突っ込んでいくのでボールを失った瞬間すさまじいカウンターが来る。個人能力が違いすぎてディレイもかけられない。これは厳しい。サイドに散らしてほしい。

 40分、真ん中で香川の外足ターンからもらった本田が真ん中をゴリゴリ割り持ち上がり打つ。ヤヤ・トゥーレと同じく、万全でなくても出ていれば脅威になるというクラスの選手なんだなあと感じる。やっと香川が攻撃で乗ってきたかなという気配。

しかし香川は厳しくマークされ全く前進できない。体でボールをスクリーンしてもファウルで潰されてしまうので、早く離すことが最優先になりプレイがブレている。後方に出すかパスミスになるかの繰り返し。

中央では本田がすり足ドリブルで前進したり、大迫への縦パスをトライするが、跳ね返されカウンターを喰らい必死で止めるの繰り返しで、最後はブロックを固めて守り前半終了。日本は数人を経由しちまちまと前進するのに、相手は1人で来れてしまう。力の違いは非常に大きい。本田は一度単独突破に成功しているが、それ以上の数失敗しカウンターも招いているわけで後方の疲弊は大きいだろう。うーむ。

【前半感想】長友の大物感はすごい。表情もプレイのスケールもさすがとしか言いようがない。長谷部の率いる守備の頑張りが素晴らしい。本田はあそこにいて1ステップで打ち込めるだからやはりすごい。しかしピッチのせいか相手のプレッシャーか香川大迫あたりに軽いパスミスが多すぎる。組み立てのアイデアも実行も拙く、現時点では単に守備で頑張るいつものジャパンである。

 いつもの日本と変わりないと世界は思っているだろうと思ったらやはり、「日本はこう言われるのはもううんざりしてるだろうが、『組織立っていてハードワークする』だね(苦笑)」とカナダ TV。その通りで、まだこの4年で磨いたアタッキングパワーが出てるとはとても言えない。なによりみんな下手すぎる。パスをつなぐのが自分たちといいながら何だこの下手さはとため息が出る。相手は速くバシッとつないでるのに。

 ともあれ本領が出てないのにリードしてるのはありがたい。とにかく後半修正してほしい。とりあえず香川をなんとかせんと。香川→長友、長友→今野という攻撃的守備案が間違いなく効くだろう。

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 【後半】しかしそこはザックで交代はなし。ふう。これはザックが無為に負けるパターンや…。香川が裏抜けし初のシュート。その後しばらく前方に人数を集め日本の攻撃の時間が続く。長谷部、山口のシュートが外れる。

 遠藤イン。よし落ち着かせてくれ。たのむ。長谷部ここまでお疲れ! 岡崎がファウルを取り初の FK。本田狙わず放り込む。あそこで無理に狙わないあたり、本田はかなり慎重な様子である。

 日本のプレイエリアが前半より上がり、英アナが「後半は日本がコンフォタブルに見える」。たしかに。10分、本田がドリブルで1人交わす! がその後のパスが腰が抜けるほどヘボで、5m 先の敵に引っかかってしまった。本田はいいプレイととんでもなくヘボいプレイが交錯してるな。しかし香川は5割がヘボく5割が普通なんだから、今誰かと代えなくてはならない。

 今度はヤヤトゥーレの突破! 山口が見事に交わされ吉田が引っ掛ける! PK かと日本中が思ったが流される。ふー。今大会2つの PK が軽すぎて批判されたのがここで効いたのかも。やはり素晴らしいなこの選手。

 ―――うわあああドログバ様キタ! 早く日本なんとかして! なにかを! なにかをしてくれ! このままではやられる! 香川を下げ長友を上げてサイドバックを入れてくれ。こんなに守備に振り回されてるのに左 SB 本職の酒井高徳は出られないのか。なんのために連れてきたんだよ。ファーストプランで駄目だとなったときに修正できないのがザック最大の弱点である。

 ドログバ入って最初のプレイで本田のアタックを振り払いガガッと運びヒールでアシスト。さすが。ドログバを森重がハードにマークするも、右からフリーのクロスが入り他の FW が決めて同点。間に合わなかった。ゴールはドログバじゃなかったが、ボックス内に敵が多数入ってこれすぎる。この流れではいつまでも守りきれるはずがない。

 すぐさま次のプレイで同じクロスで2点目。ああ。「これは GK が取れただろう、ここまでは川島はよくやっていたが」。しかし2本とも同じ奴のクロスだからな。素晴らしいクロスを入れさせたのが問題なのである。DF と川島にミスが出るのはいつものことなのだ。なにも対策できないうちに試合は決まってしまった。日本の攻撃に脅威とキープ力がなさすぎ、敵は前方にどんどん人を送ってこれるのである。

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 内田のクロス、本田が空振り。大迫→大久保……遅い……もうゲームが死んでしまっている。どちらも足が動いていない。象牙が後ろで回し大久保は無為にプレスに走ることしかできない。あれほど見たかった大久保が出てるのに、彼がシュートを打てるシーンなんかくるわけがないという悲しさ。

内田が飛び出しシュート、オフサイド。内田は見事にここに合わせてくれ、この試合日本のベストプレイヤーである。全員があれくらいやれるはずだったのに、なんでこんなに皆が下手だったのか。雨のせいかコンディショニング失敗なのか。

 香川→柿谷、遅い。大久保が入っても柿谷が入っても意味がないような崩壊したゲームになるとは思わなかった。カウンターでの本田のパスも英アナに「ひどいパス」と言われるくらいヒドイ。ザックはこの本田香川でも勝てると見積もり、本田はいくつかのいいプレイと1点で恩は返したが、調子の悪い選手を複数出して勝てるほど日本は強くないというコンフェデの再確認としか言いようがない。調子に関係なく定番プレイヤーだけを使い続ける、それでいいのかザック定食ジャパンの総決算といえる試合だった。本当の日本はこんなじゃないのにと思いながら負けるのは本当にめげる。



 今日の敗因をMに聞かれ「コンディショニング失敗と、調子が悪い主力プレイヤー重視の監督のせいだと思う」と答えると、「それって前のブラジル人監督と同じじゃないの」という。「そうなんだが、外国人監督はなぜかこうなるのだ。どうしてなのかわからない」。ジーコの試合みたいだったなほんと。コンディショニングと戦略に失敗して豪戦みたいになっちゃ駄目だと日本は学んだけれど、ザックが学んだわけではなかった。

長友『僕たちも前からハメていこうとしていたんですけど、奪いどころがなかったのが正直なところです』

 つまりはザンビア戦と同じ、プレスがハマらないと苦戦するという試合になってしまったということか。なにも手当せず試合に向かったザックの無策をつくづく感じる。はあ。

 自分たちのサッカーをしたい、ブレたくないと選手はいつも言うけれど、嫌でも相手の力関係がブレさせてくるんだよね。プレスで頑張り奪いつなげて攻め切れるときはいい試合ができる。できないときは惨敗するのをこれまで繰り返しをしてきたわけで、今日はコンディションや調子を含めてからきしできなかったということだ。どこが悪かったのかを考え修正しないと。

 わからないのはパスでつなぐことが命綱の香川が、相手が強いとどうしてこれほどパスミスしキープできなくなってしまうのか。たしかにマークはきつかったけれど、バイエルンとやってもあんなにミスは連発しなかったではないか。相手の圧力なのか選手間の距離なのか。そこをザックは直せないのか。それがチャンピオンズリーグよりも賭けるものが重い、ワールドカップの怖さなのか。

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■14/06/15(日) □ 無力な父の日
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 今日もW杯は楽しく続いているが、日本の凡極まる試合を見たあとではなにを見ても「持てる力を普通に発揮できていいなあ、勝っても負けても」と感じてしまい、まともに見れない。世界は変わってしまった。

 今日は父の日でもあり、俺が落ち込んでるもんでMと萌が「ゴジラを見に行きましょう! ラーメン食べたら? ドーナツは? なにかほしいものはないの? ご飯作らなくていいわよ。皿も洗っといたわ」ともう、えらい世話を焼いてくれた。うう、あじがどう。この恩はギリシャ戦で返す。


 いやはや。自分でもバカなのかと思うんだけど、ここひと月このチームのことばかり考えていたんだよ。寝ても覚めても。好きだからとかそういうんじゃなくて、こうすればもっとよくなるかもって。俺が考えても仕方ないんだけど、やっぱり自分たちの「代表」なんだよね。いいものを世界に出したかったんだ。いやはや。


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 サッカー識者の見立てを総合すると、

①コンディション+初戦緊張+雨の重馬場で全体に動きが悪く位置が低くなりプレスがかからず
②かからないもので無駄走りが増えさらに消耗し
③もともと弱点だった香川の裏を徹底して狙われクロス名人をそこに配置され
④好クロス連発で沈んだ

 という流れだったのだとわかる。③のところがあーなるほどであった。香川が駄目だ、早く代えてくれとは感じていたが、相手はシステム的にも香川をつぶす作戦を徹底していたのか。香川は自身の不調も相まって徹底的に無力化されていた。こちらの監督はその対処法がなかったということだ。なるほどなー。

 ①の初戦緊張もやはりあったよな。見てる方もミスしてくれるなミスしてくれるなとそればかり考えていた。大久保みたいなミスしても前にという男が崩壊前にきてくれたら違っていたかもしれない。本田は前にという気持ちはあったが、技術と体力が伴わなかった。

 俺みたいなファンは、試合後こうしていろいろ人の話を聞きああそうかそういうことかと徐々に謎が解けてくる。選手たちはここがキツイとかいろいろと感じてるだろうが、目前の事の対処に追われ、修正など容易ではないだろう。やはりザック監督、リアルタイムで問題を解決できるのはあなただけなんだよ。

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 夜もう一度コートジボワール戦を見直した。見てる際中は最初からこれはアカンと感じていたのだが、結果を知って冷静に見るとまあ完敗だが惨敗という程でもないかと感じる。重馬場でもまったく落ちない象牙選手たちのスピードと技術が素晴らしいので「日本動けない! 下手! ナニコレ!」と見ていた俺がパニックになり惨敗と感じたのだろう。それくらい相手は個人が速く強くうまく、その圧力と雨の重馬場で日本は技術が乱れスピードが落ち、きつかった。押されて後手に回りすべてのエリアで人員配置が薄く、そして味方との距離が開くと日本は攻守とも自動的に下手になってしまう。

 これはアフリカンのような1対1無双なフィジカルを持たないのだから仕方がない。香川なんか典型的にそういうプレイヤーで、猛マークに遭いとことん無力化されヘボプレイを連発していたが、それはマークされた彼を近くでサポートできなかったチーム・采配・システムのせいでもある。

 そんな中でも内田長友は最後まで走りコンビネーションを試みていたし、どこに出しても恥ずかしくないほどうまい。内田には特にどんな状況でも回りと合わせ最善のことをやれる平常心を強く感じた。そしてそのレベルの力量にメンバーの皆があるわけで、ザックがシステムの欠陥さえ手当すれば希望は十分にある。うむ。

  日本は欧州 B クラスに伝統的に強いので、ギリシャには普通に勝てるだろう。そこでシステムをチューンし、コロンビアに立ち向かうしかない。うむ。大丈夫だ。

2014/06/09

日記「本田の不調より惜しむもの」

「ミニゲーム会」「香川が躍動するキプロス戦」「最後のブラスバンド」「本田控えめコスタリカ戦」「大谷ノブ彦レコメンド」「本田の不調より惜しむもの(ザンビア戦)」

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■14/05/24(土) □ 姪とミニゲーム会
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 【CL 決勝】レアル MF モドリッチが中盤で追いついたボールをダイレクトにアウトサイドキックで前にバシッと送ることで、アトレティコのプレスのタイミングを何度も完璧に無効にしていた。ダイレクトではあり得ないタイミングと角度とスピードでパスが出てくるので、アトレティコ守備者が反応できないのだ。サッカーにはまだこんな見たことのない技があるのかとワクワクした。技術と崩しのバリエーション&それに対する男たちの魂の守りの博覧会のような試合でした。

 俺にはバルセロナよりもレアルマドリードのサッカーのほうが面白い。バルサはよく足であんなに延々パスをつなげられるなとは思うが、彼ら超絶技術プレイヤーたちにとっては想定内の距離と速さのパスを繰り返してるわけで(その距離と角度を永久に作り続けられるところがすごい)、バスケットボールやホッケーに似ている。つまり手でやれば俺もできるかも(笑)という感じのサッカーではある。足でしか出せないレアルのパススピードと距離と意表をつく角度、そしてその先に走るアタッカーたちの極限スピードとコントロール技術には、サッカーでしか見られない美しさがあるといつも思う

 日本代表はどちらかというとバルサっぽいんだよな。まあクリロナやベイルみたいなウィンガーは日本にはいないのだが、誰も予期しない場所に長く強いグラウンダーパスが出て「――あ! 長友が走っている!」というレアルのようなスリルを感じてみたい。しかし中村憲剛を選ばなかった時点でそれは、失われたパスなのだ。

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 うちに泊まっていた姪SFとボードゲーム会【こねこミキサー】。ミキサーに投げ込まれた猫たちの中から自分の猫だけ助けろという、まったく笑えない小学生的アメリカンジョークから生まれたアメリカンゲーム。米加ゲーマーは直接攻撃が大好物なのだが、「これを喰らえ!」「ぎゃー!」という遊びで「ラブレター」以上の時間や思考能力を費やす意味がはたしてありや。まあそれだから今「ラブレター」がヒットしてるんだろうが、これ以後もこういう直接攻撃ゲームは米加からキリなく出てくるんだろう。

続いて【レボリューション】。12の選択肢をついたての陰でシークレットに競り、勝ち取った権利で町の9つの施設を専有していく競り&地域専有ゲーム。これは面白かった。競りゲームというのは初めてに近いのだが、「ここは誰も狙ってないので1金で取れるはずヒヒヒ」と考えるのは楽しい。

 欠点は序盤で誰かが薄く広く賭け、それがたまたま他者とバッティングせずコインより強い武力と脅迫トークンが大量に取れてしまうと、以後そいつが武力と脅迫を使ってたいがいの競りに勝ててしまい容易に独走してしまうこと。今回MKにそれが起きてしまいゲームがしらけかけたのだが、彼のベイビーがいいタイミングで泣いてくれてゲームから抜けざるを得なくなり、そのおかげで残った3人は素晴らしい接戦を最後まで楽しめた。こうした安易拡大再生産独走を止める方法がゲーム内にないのが明らかに欠点である。ここをベースに詰めれば傑作ゲームになっただろうにと思う。

 しかし最近家ではクイックで満足感の高いボーナンザ2人戦ホームルール(畑3枚、手番で最大3枚置き)ばかりやってたが、こうして何かを構築していく中量級ゲームはやはり達成感があってよろしいなあと思った。こないだ数年ぶりにやったチケライ Euro も楽しかったしな。できればやはり農業建築拡大再生産系がやりたいのだが、グレンモアはさすがに飽きた。なにかまた買いたいのだが、俺が知るかぎりミドル級で文句なく面白い農業ゲームってないんだよなあ。

  SFとはボーナンザ3人戦もやったのだが、 直接攻撃のアメゲーが好きなSFは俺やMと違って交渉が辛くて辛くて、「えーこれでもトレードしてくれないのかよ!」と悲鳴が上がるおもしろゲームとなった :-)。それでも彼女が勝ったという。

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 せっかくSFが2泊もしてくれたのに俺も萌もあまり遊べなかったのだが、送っていく途中ボドゲのことや萌の音楽のことをたくさん話した。萌の聞くオルタナティブロックがうるさくてつまらんのだよとこぼすと、ポップを聴かれるよりいいじゃないと言われた。そりゃまあそうだがね。SF21歳は反抗期がまったくないまま大人になった、珍しいくらい話しやすい子である。

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■14/05/27(火) □ 香川が躍動するキプロス戦
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 【キプロス戦】期待は高まったが結局いつものスタメンでスタート。本田はアタランタ戦と同レベルで、アタッカーとして戦力にはまったくなっていない。香川柿谷長友は周りより2テンポくらい遅い本田がボールを収め次のアクションを起こすのを待ち、リハビリを手伝っているという感じの試合になっていた。技術で敵を交わせないので相手に体重をかけ動きを止めボールをキープしようとし、チームで一番多くファウルを取られている。足を引っ張ってる感がすごい。

 香川が素晴らしい。シーズン中も体は十分キレてたけれど、代表だとプレイのリズムが合うのでえらいことになっている。マン U の不調に抑えつけられてきたギプスが取れたみたいな躍動感。脚にボールがついているのでボールを見ず周りを見渡しながらキープできる。シュートもワールドクラス。香川のW杯になりそう。というかそうならないと厳しいだろう。

 チーム全体としてはボール回しもスムーズで、内田がしっかりプレイできているのがありがたかった。しかし長友が別格の強力さで香川も調子いいため例によって攻撃は左からばかりとなり、いい加減飽きる。何回ぶち抜いてクロスを入れてもそうそうヘッドでは勝てないのだから、長友がもっと工夫するのとともに右からの攻めもちゃんとやってもらいたい。ボールが左にばかり行くので岡崎と柿谷はなにもできず、ボールタッチも少ないゲームであった。



 俺が本田香川よりも期待する大久保は後半短い時間 FW で入ったが、たちまちイニシアチブを取り個人技とコンビネーションの両輪で攻撃を作っていた。最後に本田のプレイ選択が良くなったのにも寄与していた。うまくて判断が早ければやはり誰とでも合うのだろう。中田がローマで即活躍したように。

 代表ではチームがほしいところで必ずボールをくれるので、後半の本田は判断に冴えが出てリハビリ効果が感じられたが、ここから回復してもミランで怪我をする前あたりの状態に戻るだけだろう。ミラン本田は単直に言って下手なのだ。周りと合わないとかポジションだとかコンディションがという話ではなく、プレイで何も生み出せないから失望の声が飛んでいたのである。

 「セリエAの下位でもスタメンは難しい」とまでミラン OB のコスタクルタに酷評されていたが、それは言い過ぎにしても相手 DF が本田のプレイ方向を限定すると切り返してその逆を取れない。ドリブルはプレスから逃げる方向にしかできない。パスはつなぎか DF 越しのロブ。シュートは枠に行かないと、要はやってることは最近の日本代表と同じなのだが、ビッグクラブのアタッカーとしてはブーイングものの凡庸さなのである。バイタルで持ってもつなぎとキープしかできない AMF なのだから、お前が10番言うなとミランサポが苛立つのも無理はない。

 去年のコンフェデ・イタリー戦ではもっといいプレイも出ていたので、去年から今年にかけて技術、反転力に影響を及ぼすなにかが体に起きたのかもしれない。そして4月の足首の怪我でコンディションがさらに底を打ち、現在はそこからの回復中なわけだろう。体調は回復しても技術と反転力が戻るかどうか。戻らなければ来季もミランというのは考えにくく、W杯後には移籍の話も出るだろう。

 4年前、岡田監督は俊輔が回復しない場合のオプションを用意しぎりぎり間に合ったが、ザックは用意せず来てしまった。試してほしい代替策は数あれど、時間も人員も足りない。結局なんで4年間あったのに憲剛と大久保を使った強力なオプションを用意しておかなかったか、なぜ予備メンバーを連れて来なかったかというザックの無策さへのため息に尽きる。

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■14/05/29(木) □ 最後のブラスバンド
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 萌の中学ブラバン・合唱部最後の演奏会があったのだが、萌はどちらもやる気をなくしルーティンでやってるのが見て取れた。無理もないよな。音楽指導力に難がある顧問の下、つまらん選曲とアレンジの音楽を3年間やり続けたのだから。やめないだけでも偉かった。いい演奏をして盛り上がることがないし、萌が家で吹いているのを聞けばかなりうまくなってるのだが、自分がうまくなっても全体のクオリティが上がるわけでもない(去年までは全体のチューニングすら合わなかった)。子供の合唱と楽器への熱意を水で薄め続けるような3年間の部活であった。このエクスペリエンスのあとで高校では、クラリネットも合唱も続けないだろうと思う。

 萌はもともと楽器よりも歌が好きでハモるのが得意なのだが、合唱部では3年間一度も二部合唱すらやらずじまいだった。合唱部なのにエレキバンドがついて、半数がマイクで歌い残り半数が口パク(歌ってるが聞こえない)という馬鹿げた形態だったのである。これでワンディレクションとかやって歌などうまくなるわけがない。萌は最後の1年は裏方でギターだけ弾いていた。今日はファレルウィリアムス「ハッピー」という現大ヒット曲もやったのだが、合唱ガールズの歌唱に覇気がなく盛り上がらず。


3年生が起立して聴衆にサヨナラの一礼
最後にビギナーバンド・上級バンド・合唱部が初めての大合奏で「スモークオンザウォーター」をフィナーレとして演奏したのだが、こんな大盛り上がりのシチュエーションでも演奏アレンジと歌唱がしょぼすぎてスパークしなかった。最後はあの鬼盛り上がる「G Bb C~~~~Bb G!」エンディングさえやらないんだから腰が抜けたよ。顧問のミスターB。



 ミスターBはいい人だが音楽がわかっていない。元々ジャズバンドマンだそうだが、管楽器も歌もわかっていない。俺だってブラバンも合唱部も経験はないが、どこが悪いのかはわかるし、ドラム・ベース・ギター・キーボードならばどうすればよくなるかアドバイスもできる。歌もいい声を出してくれたら褒めて伸ばしてやることはできる。ミスターBはそのどれもができんのである。

 こんな音しか作れなくて学校から文句を言われない――というかミスターBに指導能力がないことがわかる上司が多分いない――のだから、カナダの音楽教育のレベルは低い。日本の音楽教師・顧問は音大出身のクラシック系がやっているが、BC には音大はないらしく、ゆえにミスターBのような人がこの職につけるのだろう。

 今年半年だけ開催された演劇部は子供らがうんざりするほど顧問の指導がうるさかったそうだが、結果は素晴らしかった。部活は顧問ですべてが決まる。カナダは音楽よりも演劇のほうがレベルが高いのかもしれない。カナダからいいロックバンドは一向に出てこないしな。まあスポーツでもなんでも本気でやりたい子は学外でレッスンを取るべきという文化なんだけど、それにしても残念な3年間の部活の終わりだった。



 家に帰ると萌は部屋にこもり、アークティック・モンキーズを大声で歌う。お母さんゆずりで声が強く、英国風味をうまく捉えておりいい声だと思う。自分でハーモニーを作り加えており、そのハモリが入ったほうが実際元歌よりカッコいい(ハモリがないからアークティック・モンキーズの歌が俺にはイマイチなのだとこれで気がついた・笑)。自分の子供だというのは抜きにして、彼女に歌の才能があるのは自明である。

 俺はドアをノックし、こんなやり甲斐のないブラバンをやめなくてえらかったというということと、萌には歌の才能があるということだけは伝えておいた。お疲れ様でした。

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■14/06/02(月) □ 本田控えめコスタリカ戦
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     川島
内田、森重、吉田、今野
   青山、山口、
大久保、本田(C)、香川
     大迫

 本田キャプテンかー。うーん。右に入った大久保が景気付けのファーストシュート。しかし守備の連携を崩され危ないシュートを打たれる。左 SB に入った今野の動きがおかしいのだろうか。

 大久保のキレあるドリブルで右サイドからどんどん組み立てられる。やっぱりスゴイすなあ、入ったばかりのチームで、4年ぶりのインターナショナルマッチでこの自信と周りを動かす意志力。ここは俺に任せてあそこに走れと意思を示しているから周りが感じて動く。いいぞいいぞ。大迫にちゃんとフィードも入る。決めろ大迫。

 しかし前半プレスが効かず相手にキープされる時間が続く。守備で青山、今野あたりが距離感を掴めてないのかな。ファウルが多い。青山は敵ボールホルダーに個人でアタックに行ってもいなされており、守備は彼の強みではないらしい。本田は現時点でプレス要員でありいいも悪いもないが、今はこのチームの中心ではないのはたしか。大迫シュート、ポスト。オフサイドか。惜しい。出したのは青山か。いいね。

 香川から大久保! 止められる。よしよし。攻撃は丁寧にバリエーションを試しているという感じ。右からも組み立てられるので、常に香川本田から始まっていたこれまでとは段違いにバリエーションが多い。うわ、簡単に先制点を決められた。マークを離したのは誰? ああ今野かー……うーん。やはり自ら認める通りああいう詰めときゃいいところで一瞬遅れるのが不調なのか。今野の左クロスはよかった。自信を取り戻してくれ。

 前半終了。内田あたりもコンディション的にまだ個人技で相手をはがせないのが厳しい。大迫のポストはめっちゃ力強い。それぞれのいいところは出ているが相手もさすがという展開で、試合として面白い。

 香川はキプロス戦のほうがよかったな。初戦のリバウンドがあるんだろう。監督が思うほど試合カンはなくしてないと本人も言ってるのでここはむしろ休ませ他の選手のマッチトレーニングに使えばいいのに、ちゃんと話はできてるのだろうか。

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 【後半】遠藤が入りいつものようにボール回しが遅くなり(笑)、その分ポゼッションが上がり、ゆっくり組み立ていつものように回して前の人数を徐々に増やし、いつものように最後に入ってきた選手(遠藤)がゴールで同点。しかし痛し痒しだよなあ。大久保・青山のリズムで速く攻めるとどんな敵でもこじ開けシュートを打てそうだが、当然ポゼッション率は下がるので攻め返される。本田・遠藤のリズムでゆっくり攻めると後方でボールを持てて楽だが相手のゴールが遠い。この遅さで果たして本番の相手を崩せるのか。まあ相手が攻め疲れ引いてくれたら取れるだろうが、日本の守備力でそれまで試合の決着を引き伸ばすことができるだろうか。

 誰か(あとで山口と判明!)の素晴らしいダイレクトくさびパスを柿谷が落とし、香川が持ち上がってから足元1-2をコントロールし切って逆転ゴール。見事。スペイン語放送は香川のゴールを「ビーナスゴール」と言っていた(多分)。今のはまあコスタリカがゆるかったかが、あれくらいのスピード感で3~4タッチで簡単に決めるのがやはり美しい。

 岡崎がつぶれて柿谷が巧技で流し込む。3-1、完璧。前半の硬質なスピード感のほうが爽快感は高いけれど、後半のやや遅めのリズム感からひゅっというのがやっぱり日本の強みなんだろうか。とにかくここからさらにコンディションと連携が上がっていくわけだから楽しみにしよう。

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 本田はやはりドリブルで目前の相手をわずかに引っ張りだすこともできないので、現時点ではW杯に出るチームのトップ下というレベルではない。しかしもう今からじゃ実際オルタナティブ案がない。

 しかし今日の試合では調子の上がらぬ本田が後方でつなぎに専念してる分、前線の他の選手たちにスペースと攻撃イニシアチブが与えられていた。モビリティの高い大久保、香川、柿谷・岡崎のアイデアと機動力が生き、そこは悪くないなと思った。本田が点を取りたくて前に出てくると他の選手と重なるし、不調時本田の手クセとなっている確率の低い1-2で攻撃機会が失われる。

 ザックがこれくらいの調子+@でも本田をはずさないのであれば、今日くらいのプレイエリアで前線の選手たちの下支えをしてくれたらいいなと思う。他の攻撃選手のプレイスペースとアイデアを侵食するから俺はたとえ本調子でも本田がトップ下の試合はつまらんのだが、控えていてくれるなら調子が悪くても気にならない。「個ではなく組織が日本の持ち味」と最近言い始めたというのが現れたような今日の本田の控えめなプレイだった。

 ミランサポが口笛を鳴らすくらいのパフォーマンスが、たとえ回復しても今の本田の現状だろう。しかしこの試合のような下支え役を彼がやってくれれば、日本には組織プレイにおいてミランよりもクオリティの高いアタッカーたちがいるーーと書いててうれしくなってきた :-)。

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■14/06/05(木) □ 大谷ノブ彦レコメンド
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 ツイッターで面白いと評判を聞いた podcast「大谷ノブ彦キキマス!」をよく聴いてるんだけど、彼が音楽を紹介する「レコメンド」が素晴らしい。ロックからポップスまで偏りなく、いいものはイイのココロ。紹介された曲を Youtube で探し聞いている。

 大谷ノブ彦のレコメンドする曲は俺へのヒット率5割くらいなんだが、しかしその情熱はいつも気持ちいい。Youtube で曲は見つからなかったのだが、『LAUGH! LAUGH! LAUGH!/槇原敬之』の紹介は素晴らしかった。バカッターをしたり人を傷つけたり、そういうくだらない悪意にふらっと気持ちが傾いていくのに負けてはいけないのだ、そのためにも笑うのだと彼は語る。

 「ミッシェルガンエレファントが売れた時は日本がイギリスみたいな国になるのかとうれしかった」と語っていたけれど、『くそったれの世界/The Birthday』なんて曲が昼間の AM ラジオで流れるんだから、日本はカナダよりもずっとロックステートだよ。

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 萌の部屋から「天国への階段」が聞こえてきた。おお。俺の娘 Zep 化計画は一度車の中で試み無視され中断中なのだが、サブリミナルには働いていたのか。そしてこの曲のギターを教えてくれという。お安いご用だが、あれは世界中の全ギタリストが習うので人前で弾くとバカにされるという難点が…(笑)。

 とりあえず最初の1フレーズを教えると、ボンタンタンタン……ボンタンタンタン……と何度も弾いていた。

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■14/06/06(金) □ 本田の不調より惜しむもの(ザンビア戦)
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【ザンビア戦】
   西川
内田、今野、吉田、長友
 山口、遠藤(c)、
岡崎、本田、香川
   柿谷

 日本はいつも立ち上がりが悪いのでこの試合は意識的に猛プレスをかけ先制点を取りに行ったのだが、ザンビアは想像以上に選手たちが速くうまくスマートで、選手間に適度な距離を取りきゅっと動いてコースを作り、日本のプレスを交わしあわてず正確に素早いパスを回し軽快に攻めてくる。日本の意図はまったくはまらず交わされてしまい、逆に日本の攻撃時は本田や香川のワンタッチリターンを狙われつなげず劣勢となる。アフリカで予選落ちしていながらこんなにいいチームだったのか。世界は広い、こりゃイカンという懐かしいW杯フィーリングが押し寄せる。

 先制点は内田の背中越しに頭で押し込まれた。あんなゴールを決められるのだからまさにW杯レベル。GK は先発が伝えられただけでツイッターが盛り上がった期待の第2GK 西川なのだが、あれを止めたら本番でスタメンもあったんだがなあ。ああいう感じの触れなかったのかなと疑問を感じる失点が川島も多いので西川に期待したのだが、西川でも変わりはなかった。しかしキックは評判通り流麗なので、西川のほうが日本好みではある。

 振り回されてるのはコンディションもありそうで、日本は最初から動きが悪い。コンフェデのメキシコ戦のような疲れを感じさせる動きで、止まった状態で各駅停車のパスをつなぐからすぐに詰められてしまう。日本がこんなに下手でモビリティがないわけがないので疲れだろう。香川なんか使われすぎコンディションが下降気味なのではないかと心配である。内田も落ちている。フィジカルコーチがちゃんと管理してるんだろうが、疲れている選手は休ませてサブに経験を与えてほしかった。特に山口が怪我をしたら今の日本は崩壊するからな。しかしどれほどパフォーマンスが落ちても定番スタメンを使い続けたザックの4年間であった。

 本田は相変わらずトラップが悪くボールが脚につかず中盤のつなぎしかできないが(カウンターでは岡崎が代わってドリブルでボールを運んでいる)、本番ではミランで試合に出てた頃のレベルには戻りそう。攻めに貢献しているわけではないが、中盤下がり目の労働者として働いている。オシムが言ってた水を運ぶ選手である。下がり目なら遠藤でいいじゃんという気もするが、守備のプレス力(体の圧力)と90分の走力が遠藤より高い本田が中盤で走り回るのは合理性はある。



 そして後半入った大久保がやはりゲームを変えた。大久保がトップ下から大迫にすごいスピードの縦パスを当て、大迫もコントロールに成功したがシュートまでは至らず。しかし「川崎だ!」「あれがフロンターレだ!」とツイッターが騒然とするほどの衝撃的パススピード。これだよ。

 大久保は《スピード×技術×身体の強さ×意志の強さ》あたりで測られる「モノが違う感」日本一で、かつての中田並みであり、香川本田を上回る。このモノが違う感が味方にも相手にも作用し、彼が動くと味方も敵も動かざるを得ないのだ。このゲームを動かすマジックを備えた本物のアタッカーをゴール前で使えなかったのが4年前の日本の後悔だった。今回はバイタルエリアで使えることが本当にうれしい。

 ワールドクラスになれるはずだった本田がアジアカップ後ロシアで怪我をし力が落ちたことは残念だが、俺はもともと本田を中心とした横パス&1-2攻撃が日本のベストだとは思っていないので、今現在の代表での本田の不調はさほど残念に思っていない。本田香川遠藤が短くつなぐと人数が上がれるから日本は攻撃力が高いのであって、本田がスペシャルだからなわけではない。もちろん本田のキープ力と決定力は高いが、コスタリカ戦で遠藤がスコッと軽く決めたように、あの位置まで上がっていれば代表クラスのアタッカーならみな十分な得点力はあるだろう。本田の不調は本田自身の決定的プレイは減少させても、その分この3戦のように他の選手が生きるので新聞が言うような攻撃力低下にはならないだろう。そこが組織で戦う日本代表の美点で、とりあえず走れる限り本田は役に立つ。

 本田の不調よりもはるかに惜しいのは、もう泣けてくるほど惜しいのは、練り上げられることもなく日本代表から失われた、憲剛が操る攻撃スピードだ。今こうして大久保がやっているように、憲剛が思考スピードと技巧でチームを縦横に動かし、ひらめきの限りを尽くし世界と戦うのを日本のサッカーファンは見たかったのだ。日本最高のゲームメーカーを戦力化できず力の落ちた本田のみで行くと決めたザックの無策さは、俊輔がボロボロだったのに遠藤を1試合も使わなかった 2006 年W杯のジーコのそれに等しい。そんなのどう考えてもおかしいだろう。

 試合は逆転し追いつかれ、そして最後の1分で入った青山がファーストタッチで大久保に送り、大久保が代表史上に残るほどの美しい空中トラップ&ボレーシュートを叩き込んだ。どうだこれがJ のタレントだよ。青山は「憲剛くんのプレイを参考にして」と広島の佐藤寿人に言われパスを磨いた選手なのだそうだ。―――憲剛(泣)!