「日米旅行サイトの違い」「iPhone初体験」「北米ITナードの感受性」「Twitterは代えの効かないプラットフォーム」「iPhone苦戦」「iPhoneの結論は併用」「ロックンローラー哀しみの1月」ほか
■1月17日 日米旅行サイトの違い
春に5年ぶりの帰国旅行をできることとなり今ホテル等を手配しているのだが、日本の大手旅行サイトじゃらんでカナダのクレジットカード決済が通らなくなっていて苦戦した。VISAに電話すると、カード住所とじゃらんの登録住所(海外アドレスは入力できない)との違いでVISAのシステムが蹴っているそう。そんな。前回は問題なかったのに。結局同ホテルを海外旅行サイトBooking.com経由で取った。日本で行く催し物のチケット購入でも同じ決済トラブルが起きた。なんで日本カナダ間のオンライン決済はこんなに不安定になってるのだろう。
そういえば前回帰国時も、新幹線チケットをカナダのクレジットカードで買えなかったことを思い出した。自動券売機で蹴られ、みどりの窓口に焦りつつ並んで、楽しみにしていた駅弁購入時間を損失し空腹で旅したのだった。あれはガッカリだった。日本では現金がないと詰んでしまう。今もきっとそうなんだろう。考えておかないと。しかし旅行サイトで日米の違いが出るな。細かい情報を読み込みたい日本の旅行者と、さっさと予約を済ませたい即決主義北米トラベラーと。そういえばじゃらんのデザインはひどく読みにくいという海外記事もあった。デザインはたしかにひどいと俺も思う。集まっている日本の旅行者口コミはとても貴重なのだが。■1月18日 iPhone初体験
娘がiPhoneを買い換え、前のiPhone Xが放置されもったいないので触ってみてるのだが、思ったよりAndroidと違うな。使い方がさっぱりわからんw Wi-Fi切るのにこの画面すら自力で出せなかった。
娘に教わりWifiを切ると(この画面を出すのにまさかあんなヒネリ技がいるとは! ゼルダ か!w)、「明日まで切る」とWifi自動再開が通知され、これは賢いなあと思った。夜切ったら当然翌朝オンになってほしいもんね。こういう標準設定のわかってる感はGoogle/Androidより上だ。
iPhoneのほうがAndroidより使いやすいとは現時点で感じないが、スワイプスクロールの滑らかさに驚いた。すーと流れて超スローな余韻が残る。画面が止まる前から目は文字列を読んでいて、ちょうどいい高さで止まる。このエモーショナルな体感チューニングはすごいと思う。Androidはプラクティカル。
■1月19日 北米ITナードの感受性
【Twitterクライアント凍結問題:Android編】タブレットで使えなくなったTwitPaneの代わりを探し、「ついーちゃ2」という好アプリを発見した。Twitterクライアントは日本製に限ると俺は本当に思っていて、今回Androidでも5種類くらい試したがこれだけが抜けて良い。
Twitter公式アプリはTLをずっと下の方まで読み下ると、はるか上方の最新ツイートに戻る方法がない。スクロールバーはないしヘッダータップも効かない。TLごとに十回もスワイプしてトップに戻ることにウンザリし使う気をなくす。テキストサイズもAndroid端末のデフォルトに準拠し変更できないし。
こういうあからさまな不便を直さないのは日本メーカーと違うTwitterやGoogle(最近iPhoneを初めて使ってわかったがAppleも)の企業文化で、北米ITナードの開発者たちは不便を感じる感受性が鈍いんではないかと疑う。俺の友人のLinux開発者にもそういう奴がいる。Linuxのコマンドラインに「xxxx.exe -noxxx -r」みたいに引数付きでコマンドを打ち、いかにもハッカーくさい仕草でアプリを起動していた。それを面倒と感じないから、ショートカットアイコンを作らないのだw
海外アプリは全般に設定項目が少なく、日本製は超多い。細かいところを追求しすぎてデザインがゴチャゴチャするのは日本製品全般の特徴だが(じゃらんのページがまさにそう)、スクロールバーすら置かない海外製品のすっきりした美しさは、画面を延々何十回もスワイプすることを面倒と感じない、ある種の鈍さから来ているところもあるのではないかと思う。
■1月19日
おー日が長くなった。5時でまだ明るい。
■1月19日 日本のラジオの記憶
「たまむすび」終了を伊集院のラジオで知った。たまむすびは10年もやってたのか。TBSポッドと知り合ったのは前の前の「ストリーム」からだから、もう20年近くお世話になっている。カナダで毎週聞いている。
廃墟の警備員をやってた90年頃、誰もいないこういう森の中に警備車を止め、買っていったサンドイッチと缶コーヒーを楽しみながらカーラジオを聴き休憩していた。「小沢昭一的こころ」という番組をやっていて、何が面白いのかさっぱりわからなかった。ラジオ好きとなった今ならわかるのかもしれない。その頃日本で初めての政権交代が起きて、細川内閣だった。それもこの廃墟のラジオで聞いたことを覚えている。政治のことは何も知らなかったが、腐敗した自民党が力をなくすのだから、世の中ここからよくなっていくのかなと漠然と思った。いやはや大間違いだったなあと思う。
【Twitterクライアント問題】ついにTwitterから「開発者契約」改定の発表があった。今後サードパーティクライアントは禁止という最悪の決定。
愛するTabtterが戻る見込みがどうやら途絶えたいま、どうなるんだツイッタライフと考えてしまう。別に広告が嫌いだから公式を使わないのではなく、Twitterは現代最大の情報ソースでありながら公式ではできないことが多すぎて、だから多彩な非公式クライアントが生まれ進化し愛されてきたのに。
Tabtterにはキーワードハイライト、振り分け・絞り込み、ネタバレ防止用の一時ミュート、個々のユーザーにつけられるメモやカラー、ボタンひとつでローカルにツイートを保存できるスクラップブックといった独自の機能がある。情報の取捨と収集を効率化してくれている。Twitter公式はその面で何も進歩していない。収益性を上げたいなら非公式クライアント経由でユーザーが払いたくなるような、ユーザー/クライアント開発者/Twitterの三方一両得な仕組みを作ればいいではないか。ここではTwitterはなんでもやれる統治者なんである。それがいきなりクライアント開発者とそのユーザーの斬り捨てって。ハア :-(
(ハタと気がつき不吉なのでその名を書くこともためらわれるのだが、自分や相互フォロワーの過去ツイ検索ツールとして超役立ってくれている個人ツイート保管サイトTwilogも潰されるのではないだろうか。Twitterの収益向上に資さないという理屈ならばそうなってしまう…せちがらい…)
■1月21日 Twitterは代えの効かないプラットフォーム
非公式クライアント遮断問題発生以降、その対策でTwitterをいじる時間がむしろ増えてしまった。ほんとツイ廃である。唯一残ったTwitterサブ公式のTweetDeckで読むことは、Tabtterに比べるとやはり苦戦中という感想になる。もちろん1画面で最悪1ツイートしか読めない本家Twitter公式(右)よりはるかに良いが、可読性低下とカーソル跳びによる既読位置迷子頻発で、朝の未読消化には以前の倍は労力時間がかかっている。
■1月22日 愛国ドランカー
岸田政権が勝手に進める国防方針改定文書に、「国家としての力の発揮は国民の決意から始まる」という右翼団体が書いたみたいな文章が出てきた。これから日本は全体主義ですと言ってるようなものだ。愛国酔いである。
じゃあ日本との戦争に向かう『決意』を中国国民も求められているんですかと、誰か岸田総理に聞いてほしい。あちらの国民もキリっとまなじり決してるんですか。んなワケないだろう。こないだゼロコロナいいかげんにしろと暴動だって起きたのだ。中国人の方が日本人よりは御しがたいということである。その中国国民になんのメリットもない戦争を、習近平が勝手にできるわけがないだろう。国が何をしても怒らないのはロシア人と日本人だけだと、うちの奥様が指摘していた。
日本が軍事費倍増して喜ぶのはアメリカの軍事産業と政府だけであり、困るのは日本国民だけである。どうかしてるよ岸田さん、国葬大空振り以降かな。
■1月23日 さよなら愛しのTabtter
Tabtterは俺が出会った最強のWebアプリだった。TwitterにもGAFAMにもないアイデアに満ちていた。あれ以上のものを今後使えることはないだろうと思う。寂しい。
Tabtterはパーソナルな、自分だけの最強Twitterをとことん作り込めるツールだった。読みきれないツイートを減らし、見逃したくないものをピックアップして。もうあんな楽しいことはできないのだ。
Tabtterよりさらに古い古典アプリJanetterも昨日切断された。Twitterは本当に完全に孤立するらしい。長年非公式クライアントでTwitterというメディアを独自に編集して楽しんできた者からすると、マスクはツイッタ界のプーチンである。Twitterクライアント開発者たちにとっては、空から株券を振りかざし厄災が降ってきたようなものだ。金銭的損失も厳しかろう。
俺が資本家ならTabtter氏を放ってはおかず、何かを作らせる。これほどの技術者が文字通り吹けば飛ぶようなビジネスしかできないところに、日本にはなにか資本主義上の欠陥があると思うのだ。Tabtterと同時期に始まりTwitterクライアントしては劣っていたバンクーバーのHootSuiteは、企業向けに月700ドルのサービスを提供し栄えているのである。そしてビジネスアプリHootSuiteは個人にTwitterの楽しさと利便性を提供する「クライアント」ではないので、遮断されない。ここにツイ廃たちの個人的自由と日本的IT職人ものづくりの敗北をヒシヒシと感じ、俺は悔しいのだ。
Twitterクライアント開発者たちよがんばれ。さよなら愛しのTabtter。
娘からもらったiPhoneの本格チューンアップを始めたのだが、Androidからの引っ越しは苦戦しており進んでいない。世界で最も人気のある商品を使ってみるカルチャー体験として興味深いが、カメラがいい以外はAndroidから移行するほどの魅力をiPhone Xに感じていないせいもある。HomeもバックボタンもないUIが使いづらい。縦長小フォントの画面も目がいい若者向けという感じだしw
今日初めてiPhoneを持ち外出したが、マスクしてるとFaceIDが働かないのに困った。マスクした顔では顔認証登録もできない。電源オフのたびに即ロックされ、オンにするたびパスコードを入れるのが超めんどくさい。家ではFaceIDが驚速でアンロックして快適なので、この欠点に気付かなかった。Androidは画面オフから×分経てばロックがかかるという設定にでき、買い物中などオンオフを繰り返す状況ではロックがかからないのだが、iPhoneで「5分でロック」と設定してもパワーオフで即ロックがかかる。
設定、テスト、Google調査に延々取り組んで、iOSの設定がいう「ロック」とは画面消灯のことだと気がついた。「5分でロック」という設定は5分間自動消灯しないという意味なのだ。――言語が違うのか!w
iOSはこのように、外国語のように言語作法がWin/Android勢と違うところにカルチャーショックを感じる。各種アプリや設定に挑戦し、だめだ用語がわからないとカルチャーショックを感じ撤退している。昔仕事でMacを使ったときもこうだったな。
そういうわけで依然iPhone初体験にはいろいろと苦闘しております。まあ独自の謎カルチャーを出してきてユーザーが困るところはGoogleもあるけどね、GmailとかFitとか。
【iPhoneロック遅延法】は後日ネットで見つかった。「FaceIDをオフにすると、ロックまでの待ち時間を設定できる」のである。ホワイ? まあ画面オフするたび再認証するよりは、FaceIDをあきらめたほうが俺には利便性が高いのでそうした。しかしなぜこんな不便なの? https://dime.jp/genre/1082212/
■1月28日 陶芸教室で地蔵
先週から始まった【陶芸クラス・手こね編】。手こね陶芸のテクニック説明は一応あるのだが何を作るかは自由放任なので、何を作ったらいいかわからない。トトロでも作ろうかと思ったのだが、写真を持っていかなかったので形が思い出せない。こんなんだっけ? 違うな。…へへへ、ドーモすいやせんって感じ。ゲラゲラと家族に笑われトトロはやめて、ボディを残し人型をつくってるうちに地蔵ができてきた。オオこれはいいぞ、かわいいカワイイと家族と盛り上がる。しかし傘をかぶせたら、急にベレー帽をかぶった昔の絵描きみたいになってしまった。なにかが違う。傘の質感? 来週もうちょい頑張ってみよう。
■1月29日 iPhoneの結論は併用
【iPhone X 2週間試用の感想】昨夜陶土をいじる手で写真を撮っていて、「この汚れた手でこの画質の28mm/52mm写真を撮れるiPhone Xはえらい」とありがたみを実感した。汚れた手で愛用カメラは触れないし、俺のラップトップよりいい液晶だから撮ってる写真の画質・フォーカスがよくわかる。
2週間真剣にチューンして思い通りにならないのでAndroidからの移行はやめることにしたが、こういう場面で活用していこうと決めた。
iPhoneにフル移行できない理由は主に ①操作にイラつくw ②細かく設定できん ③Google Driveとの自動同期は無理? の3点である。どれもiPhone愛用者には関係ないことだろうけど。
■【iPhone Xのいいところ】
◎通知のときちょっとだけ画面がオンになるのがナイス。通知受信確実性が高い
○スイッチ類のクリック感や画面スクロールの滑らかさにある高級感とエモ感
○CPU/GPUが速い、通信からWebレンダリングが爆速
○ボイスメモの音質がいい。というかハードウェアパーツは全部いい。Bluetooth信号まで品質が高く、ワイヤレスヘッドフォンの音がいい。
■【iPhone Xのダメなところ】
▲ウィジェットのサイズが変えられない(アジェンダ表示に不便)
AndroidはHomeランチャーを差し替え好みのHome画面を作れるのだが、iPhoneはカスタマイズ性が低く画面が狭い(未読数を表示するためにランチャーを変えられないのかもしれない)。
▲通知エリアにアプリを置けない
電源オフでも10秒通知が表示されるのはiPhone最大の美点だと思うが(俺はAndroid機にアプリを入れ、疑似iOS通知を作ったよw)、一方で通知エリアにアプリを置いたり常駐アプリを操作できないのは不便である。俺は文字列コピペ常駐アプリを使っているが、Androidでは通知エリアで文字列をコピーし元アプリに戻れる(というか元アプリの外へは行かない)のに対し、iPhoneはHomeまたはタスクスイッチ→クリップボードアプリ起動&コピー→Homeまたはタスクスイッチ→元アプリとなるわけ。これはやる気がしない。テキストファイルを別に開いておいてコピペしてくるのと手間が同じなので、コピペアプリを使う意味もほぼない。シングルタスク時代のMacコンピュータを仕事で使いアアアとなってたあの気分を味わえる。
iPhoneより5年以上早かったPocket PC |
iOSは直感的でわかりやすいという世評に反し、クセが強いと思う。俺は90年代NECモバイルギア、カシオPocket PC(Windows Mobile)の時代から25年携帯端末を使っており、Androidの3ボタンロジックも合理的ですぐ慣れたが、iOSだけは操作ロジックが独特で苦戦している。
たとえばホームのスワイプはパターン認知の知能テストみたいになっていて、初日にWifiオフ画面を発見できなかったように、俺は背景差し替えがいまだできない。『ある条件でこうスワイプするとこうなる』というパターン認知ができない人は、なかなか自由に操作できないと思う。俺がそういう人なのだw 背景差し替えも一度できたのだが再現できない(※)。自力で解けないのが悔しいので解決法をググったりせず、毎日憤怒をためている。
タスクスイッチの方法(下からスワイプしてホールド!ってwww)すら発見に一週間かかった。画面下のソフトボタン一発でやれるAndroidのほうが明らかに直感的であり、ボタンがあってなんの弊害もない。
ハンドヘルド機として一番使いやすかったのは写真のカシオPocket PC 2002だった。サイドのボタン一発で、画面を見ることすらなくボイスレコーダとして使え超便利だった。機械はボタンが多ければ多いほどみっともなくヘタレやすいが、その分使いやすい。iOSは真逆を進んで、Homeボタンを廃したところで行き過ぎたと俺は思う。
(※)【追記】Home背景差し替え法は、2月4日、3週間目についに自力発見した。Homeではなく「ロック待ち受け画面をタップ&ホールド」という、まさかの方法だった。ファミコンの裏技かよw これはわからないだろ!w
▲細かな設定ができん
たとえば静かな部屋でTwitterの通知が鳴ると、心臓止まるかと思うバイブ音が鳴る。止めようとしてもTwitterに通知音の設定がない。探すとiPhone本体の「通知」設定に「Twitter」欄があり、しかしここでは通知音のオンオフしか選べない。音色すら選べない。通知音を選べないのはPC互換機でビープ鳴らしてたDOS/V以来30年ぶりですよw
結論から言うと、通知のバイブ音が大きすぎるならシステム一括でバイブ音を「不使用」にするしか対処法がない。ロック遅延問題と並び最先端機として驚きの仕様である(iPhone搭載純正アプリ5種だけは「バイブパターン」を作成して緩和できるが)。だいたいアプリの設定を本体「設定」まで行って探さねばならないことに腹が立つ。なんなんだこのAppleの家父長体質w
カメラの設定も本体「設定」にある。家がWin環境のiPhoneユーザーは写真のHEICというフォーマットに互換性がなく困ってると思うが(娘も課題提出時に教師に嫌がられている)、「設定」のカメラ設定にjpgがあることをiPhone使い10年の娘は知らなかった。カメラ内に「設定」がないんだから気づかなくて当然だよね。
かようにアプリ設定が本体「設定」に干渉され、なにかと束縛と不自由が多いなというのがAndroidからiPhoneに来た者の感想で、これがApple式なのだろうか。Appleはヒッピー文化だって山川健一が言ってたけどGoogleのほうが自由じゃんw(「マッキントッシュ・ハイ」は超面白いMac本です)
俺は25年前これを電話モデムでNiftyに つなぎメール読んでたのだ。信じられんw そういうアナログ面倒はまったく苦にならなかった |
ちなみに娘らカナダの若者たちは連絡をApple iMessageでやっており、それがジェネレーションまるごとiPhoneにする囲い込みになっていると自分もiPhoneの輪に入って知った。iMessageも古いアプリで機能上のメリットはないが、デフォルトで電話会社のSMSテキストをシームレスに統合してるので、ネットがつながるときはGoogle Chatで(北米の家族間連絡はGoogleアカウント一択)、つながらないときは電話会社のSMSでという使い分けをするのが面倒なズボラユースのライフスタイルに合ってるのである(つながってる方で送れる)。それを意図してシームレスにしてるのだろう。
■1月29日 孤高のトム・ヴァーレイン
どういうわけなのか日本でも海外でもミュージシャンが亡くなっている1月、テレヴィジョンのトム・ヴァーレインが亡くなった。東京でテレヴィジョンも、トムのソロライブも見に行ったな。どちらも静かな、彼らしいライブだった。俺はロック親バカで娘にいろいろ聞かせたのだが、さすがにこんなマニアックなギターロックはねとテレヴィジョンは聴かせたことがなかった。ところが彼女のiPhoneからあるとき「マーキームーン」が流れてきて驚いた。今の子供らでも音楽を掘っていけば、テレヴィジョンを発見するんだなと。
アレルギーの宙也がトム・ヴァーレインは5大好きなギタリストの一人だったと書いてるんだけど、俺も同じくトム・ヴァーレインには無茶苦茶影響された。俺がやってたバンドはストーンズ/スライダーズのコピーから始まりだんだん尖った音へと変わっていったのだが、どういうギターを弾けばいいのかよくわからなかった俺にとって、ラジオから聞こえてきたトムのギターは天啓だった。
テレヴィジョンはバンド野郎たちにカリスマ的な人気があるバンドで、むかし一度ラママで対バンの若いやつらが「フリクション」だったかをカバーしたとき、楽屋の俺たちは「なにっ!?」と事件が起きたかのように楽屋口に殺到しステージを見たのだった。そういうバンドだった。
パティ・スミスが詩でトム・ヴァーレインを送っている。
■1月31日 ロックンローラー哀しみの1月
ロックンローラー哀しみの1月、最後は鮎川誠だった。はあ。よく勇気をもらったとスポーツなんかでいうけれど、鮎川のギターには本当に勇気と閃きをもらった。ロックギターはスピード感なんだと教えてくれたのだ。俺のバンド時代の写真から娘が書き起こしてくれたこの絵は、鮎川の影響下にあった俺のギタースタイルを写し取っている。
この頃か少し前、芝浦インクスティックにシナロケを見に行くとライブ終了後かわいいお嬢さんたちがステージに呼ばれ、満場の歓声を浴びうれし恥ずかしそうだった。シーナと鮎川は、ロックな幸せはこんなにあるよと一生体現してくれたと思う。ありがとう、ありがとう。
インクスティックにはRZ250で行ったのを覚えているが、芝浦なんて東京のどこにあるのか、今振り返ると覚えていない。地図を見ると当時住んでた千歳烏山から246で行ったのだろうか。20km少々、カナダなら2つ隣の町という感覚だが、東京だとすごく遠かった記憶がある。すべては遠い記憶だ。鮎川誠はあの声と語りと音がもう、ただこの世にいてくれるだけでうれしい宝物だった。はやる気持ちに口もギターも間に合わんと熱量があふれる人で、そこが最後まで変わらぬロックのお手本だったなあと思う。
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