2022/10/16

【まとめ22年10月前半】衝撃の山火事とビートルズGet Back

「チューリップの感傷性を愛す」「どん底のビートル」「二度目の廃病院ウォーク」「ゲットバックの歴史目撃観」「最強のアジテーター猪木」「ジョージの確信」「ジョンの声が人生を決めた」「希望なき日本のデジタル化」「Get Back涙のクライマックス」ほか


■10月1日      チューリップの感傷性を愛す

NHK #TULIPラストツアー ビートルズみたいな「音」のバンドを作りたかったと財津和夫。俺はビートルズよりも先に、小学生時にチューリップを知っていたな。「魔法の黄色い靴」は、ビートルズを聴かせて育てたうちの娘も好きで、よく聴いている。

小学生時は歌詞にディランが出てくるガロの歌も好きだったが、ディランなんて聴いたことのある日本人は皆無だったと思う。音楽の大発信源FMラジオでも洋楽フォークはかからなかった。何年もあとで高校のフォークソング部の友だちに初めて聴かされたのだった。


今はもうピークに比べれば30か40の声しか出ないと財津和夫。シンガーはつらいよなあ。ヒットが出なくなり、80年代で自分の音楽生命は終わっていたんじゃないかと言っている。「チューリップが70年代に間に合って本当によかった」というこないだの川瀬見さんのツイートは、この番組を受けてのものだったのか。

しかしあのまっすぐな楽天性と物悲しさを、俺はたとえばサザンオールスターズよりも好きだった。財津ほどの才能でもピークが持たない、ポップミュージック創造というものの難しさを思う。Mステに出てくる「1億ダウンロード」の若手バンドなんて作詞作曲アレンジ演奏歌唱と、どこを取ってもチューリップにはかなわないだろう。50年先にもツアーをやれるような普遍性はない。

財津も姫野もステージでうるうるになっていた。財津は「魔法の黄色い靴」の高いところはもう出ない。しかしポールマッカートニーもキー出なくてもI've got a feeling歌ってるもんね。やらないよりやってくれたほうが、やっぱりお客はうれしいんだよ。歌への愛があるんだから。

数年前見たポールマッカートニーは驚異のパワフル爺ライブだったが、チューリップのラストツアーは声も出ずバンド音量も控えめで、最後の同窓会という感じだった。しかしその感傷的なところも、「銀の指輪」「風のメロディ」といったセンチメンタルな歌を青春に響かせた彼らにふさわしいなと思った。ビートルズにはないその日本的な感傷性が、俺はとても好きだった。


■10月2日                      衝撃のミネカダ山火事

自転車ライド中、山火事に遭遇!  信じられない光景だ。目を疑うとはこのことだ。まさかとは思いますが「あれ山火事ですよね」と、写真の男性に聞いてしまった。

目の前でヘリコプターが2機、水をドロップしている。こんな光景を目の当たりにするとは、信じられん。

ローテーションができると、2機が5~10分に一度くらいの頻度で水をかけていたが、煙の中に突入しないとポイントにかけられないので超大変なことが分かる。911の福島を思い出した。水がかかると煙が減るようではあった。効いているように見えるが十分かは分からず 

帰宅してネットで調べると、Minnekhada High Knollの山火事は一応under controlと当局ツイッターで報じられている。30分ほど眺めていたが、素人目には煙が広がってるようにも見え沈静化中にも思えて、ぜんぜん判断できない。やはり怖いなの一語。

Minnekhadaは裏山のきっついハイク道で、ちょうど木がなく外界がバーンと見渡せる終点 High Knoll から出火している。火気厳禁の場所なので、間違いなく人のタバコ不始末だろう。Fxxk。

素人目で怖いのは、禿山から下方向に燃え下がっているように見えたことで、樹木が密なところに達すると横に広がるかもと思う。あの山に燃え広がっても人家までは達しないが、その次の山に広がれば達する。すると市の一部に避難命令も出るかもしれない。山火事というのはそのように怖いのだとつくづく思った。

出かけてた家族に、信じられないものを見たよと話す。うちのあたりからミネカダ山は見えないのだが、ときおりその方角を見て煙の様子を気にしていた。BCワイルドファイアのTwitterはこの件まだ何も報告してなくて、本格的な山火事に比べたら報告するまでもないくらい小規模なものなのかもしれない。


■10月2日                    山火事続報

夜、地元新聞にわが裏山ミネカダ山火事の記事が出た。午後中水は投じられ、アンダーコントロールだが鎮火まで数日かかるそうだ。

記事で驚いたのは30分急坂登山する以外アクセスできない火元のハイノール見晴台で、煙の中働く消火クルーたちがいること。なんという使命を帯びたえらい人たちだろうかと思う。


■10月2日                       どん底のビートル

#ゲットバック 2部。出ていったジョージが戻らずどうしようとボヤいているポールとリンゴから始まる。ジョンも不在。やはり常時ヨーコがいることのおかしさと、それを望むジョンをどうしようもないことをポールたちが話している。まあ当然だよな。

しかしこのシーンを見て思ったのだが、リンダとて部外者なのにビートルズに関しモノを言っている。ヨーコ・リンダら部外者が神聖なるビートルズ(笑)に口出しするなど俺には考えられんのだが、パートナーというものがえらい重要である欧米文化では、そこまで奇妙なことじゃないのかもしれない。 

ビートルズを使いなにかファンタスティックな映像を手に入れようと画策する映画監督マイケル(アラブのコロシアムでライブを撮ろうとか、孤児院を訪問しようとかまくし立て、ビートルズが出している音には興味を示さず、最終的に「レットイットビー」というひどいネガティブ映画を作った男)がポールの友人ヅラをしてるのもカンに触るが、彼らは仲がよかったのかもしれない。監督起用はポール案だそう。

ともあれ、ジョージが戻らずバンド状態は最低中の最低なのだが、それでもジョンとポールの歌声が重なると俺はのけぞってしまう。その声の素晴らしいこと素晴らしいこと。俺はやはり自分でも呆れるくらい二人の声が好きだ。タカッタタッタというリンゴドラムもほんと好き。

■10月3日                   山火事二日目

ミネカダ山火事が心配で朝見に行く。通行止めになってるだろうから近くまでは行けず川べりから望むと、昨日より煙の勢いは落ちているように見える。鎮火活動は朝から再開してるそうで、順調なんではないだろうか。(A little less active smoke than yesterday? @ Minnekhada wildfire) 

午後にはだいぶ煙が晴れてきた。かなり鎮火してきたのではと思われる。BC消火隊のツイートを見て、ヘリから降ろされる水バケツの下にはそれをキャッチするクルーがいるのだと知り驚いた。なんという決死のお仕事。リスペクト。

山火事の上空へドローンを飛ばしたやつがいるそうで、危険だし違法だと消火隊が怒っている。スペクタキュラーな絵が撮れたことだろうが、公開したら罰せられるだろう。山火事の原因もやはり、人間としか考えられないとのこと。人間は困ったことばかりする。


■10月3日         二度目の廃病院ウォーク

先月参加し満足感高かったリバービュー廃病院のツリーウォークに、前回行けなかった奥様を連れてまた行ってきた。

俺は木も建物もすでに見ているので、今回はカメラに単焦点LUMIX 20mmをつけ、前とは違うアングルと人々を撮っていた。日傘の親子がかわいかった。山火事の煙はここまでは来ていない。

廃病院の中でこの棟が目立って朽ちており、なぜかというとここだけ電気が来てないのだそう。冬にヒーター等が入らないと建物は早く痛むらしい。このホラーな様相を買われ、映画撮影の人気スポットとなってるそうだ。一方で敷地内の美しい集合住宅(右)にはまだ暮らす人たちがいて、バスが通っている。 

20mmをつけていって正解だった。換算40mmは人々との距離感が絶妙でとても撮りやすい(撮られて困る人は言ってねと事前に確認があった)。人混みからすっと離れてカシャと撮ると、いい感じの自然な画角で写る。


並んで歩く奥様を撮るときれいにボケる。LUMIX 20mmは古いレンズなのでAFが遅く、ぱっと向けて撮るスナップショットでピンボケ多発したが、やはり名作レンズで描画が美しい。 

一緒になった奥様の知人がPENTAXカメラで撮っておられた。K-70かな。フィルム時代からのPENTAX愛用者だそう。おお、日本の #PENTAX ラバーに知らせたいから見せてよ。彼女はこのテのネイチャーウォークに参加し撮りまくってるそうで、コウモリウォークとかカワウソウォークとかすごい名が出てきたw




■10月4日                 山火事3日め

Minnekhada Wildfire 情報が少なく心配で、今日も自転車で走り5キロ圏あたりから眺めてみた。――おお、岩場ハイノールの火はもう消えている。その左下からまだ煙は上がっていて鎮火はしてないが、土曜と昨日に比べたら勢いは大幅減だ。大丈夫そう :-) Looks much better than Sat/Sun. 

速報ツイートも出て、「完全な制御はできていないが、クルーの努力により延焼は最小限。ヘリも5台に増員されリソースは十分にある。乾燥しているので作業には数日かかるだろう」とのこと。頼みます。この秋は記録的高温乾燥状態なのだそうだ。毎日25度の10月なんでそれは実感している。 

山火事はどうやら大丈夫っぽいなとうれしくなって、川を回って帰った。このルートで川に行ったことはあまりなく、この角度から対岸の大並木が見えるのかと気がついた。キレイだな、ケムに霞む並木と、手前の散歩の少女たち。 




RT 山火事のことなどこれほど気にかけたことは当然ないので初めて知ったが、どうやらヘリが運んだ水を一時タンクに注ぎ、そこから隊員がホースで注水してるようだ。女性隊員もいる。すごいなあ。





■10月4日          冷笑という日本の病気

人の尊厳をおちょくったあの写真に、20万近くのいいねがついてることが本当に情けない。沖縄は本気で辺野古抗議なんてしてないというファンタジーが気持ちよくてクリックしちゃう人が、日本にはそんなにいるのか。ハア :-(


■10月4日                   ゲットバックの歴史目撃観

#ゲットバック 2部中盤、がらんどうの映画スタジオから音楽スタジオに移り、ジョージも機嫌良さそうに戻って録音が始まる。

二度目のジョージ説得会談で、彼が出ていった理由(と俺が思う)であるネガファクターから広大で非音楽的なクソスタジオ、音楽の敵マイケル監督が作るTV番組という2つが消え、以降は音楽に集中した充実のセッションとなるわけである。

新スタジオが完成し、徐々に音が噛み合ってくる。こうなるともう聞き覚えのあるフレーズやレコードに入っていた音そのものが聴こえてきて、「あの音が鳴ってた瞬間を目撃している!」という鳥肌モノの体験だ。歴史を見てる感ですよ。

バンクーバーでポール・マッカートニーを見たとき「私はいまポールとハモってるんだよ! 信じられん!」と、ポールとバンドやってるような夢見心地を同行の娘に叫んだのだが、この映画もビートルズとレコーディングしてる気持ちになるなー。ああでもないこうでもないと音を探って。

最初映画スタジオでやってたのは特別な画を作りたい映像サイドの案だったのだろうが(マイケル監督が奇想天外なアイデアをいろいろ出していた)、結局後世の俺たちが見て一番うれしいのはこの単純な記録映像で、「あの音が鳴ってた瞬間の目撃者」となれることなのだ。

そしてビリー・プレストンが立ち寄り音を合わせたときの、みんなの笑顔が感動的だった。予想を上回るような音が立ち上がりこれだ! となるあの喜びの顔は、俺たち下々のバンドマンとおんなじだなあと :-)


■10月5日            山火事収まってきた模様

今朝は雲が糸引く美しい朝焼けで、遠くの山も見えた。ということは山火事の煙がほぼなくなったということである。消防士の皆さん本当にありがとう。昨日見たミネカダの火と戦う消防士の写真には本当に驚いて、家族にも話したのだった。 

そして4日めにしてついにアウト・オブ・コントロールの分類が外れた。数キロ下の川から山へのホース網を構築してくれたらしい。信じられない偉業だ。昼夜を分かたぬ消防士たちの努力が本当にありがたい。

ほんと公というもの、個人や地域ではどうにもならぬ事を助けてくれる社会には感謝しかないな(連邦制なのでトルドー政権より州政府ね)。自民政権が防災復興をサボってるということはないだろうが、彼らの政治目的と興味が『助けてくれる社会』の構築にないことは明らかで、存在意味不明だ。

@BCGovFireInfo @metrovanemerg Thank you, thank you, you guys are awesome!! I couldn't believe my eyes & got frightened to see a real wildfire for the first time in my life, when I was biking on Saturday! 


■10月6日                   最強のアジテーター猪木

猪木亡くなる。日本は多彩極まる文化を持つ面白い国だと誇りに思っているのだが、プロレスもそのうちの一つである。猪木がスタンハンセンとやってる頃は、プロレスがカルチャーとして見事に完成し光り輝いていた。

#クロ現 現役時代の猪木を見ると、やはり絵になるなあと惚れぼれする。日本最強のアジテーターであった。あの顔と表情とたたずまいにインスパイヤされ、「1・2の三四郎」という名作も生まれたしなあ。 

#クロ現 子供の頃町にプロレスがやってきて、ショッピングセンターで顔見せするというので見に行くと、遠くから歩いてくる馬場と猪木があまりにも大きく恐ろしく近寄れなかった。アンドレなんか見たら腰抜けてただろう。


■10月6日                         説得力戸田

娘がバンクーバー映画祭で「母性」ワールドプレミアを見てきた。共感できないけどトダがすごかったというので、「そういえば朝ドラでも共感しにくい陶芸家をやってたよ。窯の温度上げすぎて火事出しちゃうの。夫が君とはやっていけんと出てっちゃう。しかし説得力あるんだよ戸田恵梨香」「そう!」 



■10月6日                       新朝ドラ「舞いあがれ」

そうか、#舞いあがれ の五島は「瞳を閉じて」の島なのか。時代設定としてはあの歌が生まれた後ですね。なにか言及があればいいな。 

こないだ久々の親族勢揃いで、危ない危ないと2歳児を追いかけるニューペアレンツに「懐かしいな、私らも君たちみたいに過保護でハラハラしてたよ」と笑ったのだが、(過保護…?)と微妙な顔をされたらしい(あとで聞いた・汗)。親と周りで見え方違うこともある、#舞いあがれ はそういうお話なのね。 

「舞いあがれ」は、スコンと青空に抜けてく青春ドラマみたいだった予告とはだいぶ違った子供編だった。「そやから帰られへん」の言い方が胸キューだったな。娘が顔色を伺っていたかもしれない、過保護な親だった自分を反省もしています。


■10月7日                  ビートルズ噛み合ってきた

#ゲットバック 2部後半。当初のスランプが消え失せて、全員が乗りに乗って曲ができていく過程をじっくりと撮っている。映画「レットイットビー」でこんなにこやかなシーンは記憶にないから、これはお宝だなあ。ポールとジョージが行き先を決め、ジョンは心地よく身を任せているように見える。 

ギターソロを任され練習してきたらしいジョンが、俺はこのフレーズしか弾けないから、ソロ二回分は無理だよなんて言っている。ソロを弾きながら歌うのも無理だとか弱音をはいて。はは、かわいいなあみんな。みんな大好きだビートルズ。毎日少しずつ見て、たくさんハッピーになっている。


■10月8日     チューリップのアルバム

用足しで郊外の町へと、こないだNHKでラストツアーを見た #チューリップ 「Welcome To My House」を聴きながら走る。これを聴いたのは高校以来で、タイトル曲と名曲「博多っ子純情」以外は案外覚えてなかった。夏に友達の家で聴いてたんだよなー。 


B1「たしかな愛」
は強烈に懐かしい。ピアノで弾けるようになりたくて、クラスをサボり講堂のピアノで練習した。冒頭のコード4つ打ちしか弾けるようにならなかった。その頃好きだったクラスの女の子のことも思い出す。話しかけてもあまり口を聞いてくれない、純情な卓球部の子だった。 


■10月8日                   カルト政党自民党

久々の国会で岸田総理はするっとこの首相国葬法令化を言っていたが、安倍氏国葬の後づけ合法化のためだけに、戦前の反省から廃された国葬を慣例化するというのは実にバカげている。無意味に無意味を重ねても意味は出てこないよ岸田さん。ヤケクソなのかな。もうダメなのかな。

安倍氏紙幣を作ろうという謎文書まで自民党内で出回っているらしい。狂ってるよなあ自民党。上は世襲議員で共感性欠如、下はそれを偶像視するカルトだもん。


■10月9日                  落ち葉とピカ

落ち葉の季節のピカは、メープル真ん前の狭い窓枠にすぽっと収まり、舞い散る葉をずっと眺めていてカワイイ。植木鉢の向こうなのでこのかわいさが写真に写らない。2枚めで察してください :-) 


7年前の今日とGoogleフォトが知らせてきた。そうかうちに来たのは秋だったねピカ。細い小さいw pic.twitter.com/fYU8iMrxUh

ピカは、NPOの捨て猫保護協会に諸費用(避妊手術その他の健康費込み)を払いもらってきた。名前はすでについていて、フルネームはピカチュウという。かわいいしこの名前だしこれしかともらってきたのだが、うちに来ると異常に神経質な猫だと判明し苦労した。小さな頃は不遇だったのかもしれない。


■10月9日       ジョージの確信

#ゲットバック ジョージがイニシアチブを取り、彼がOKするまで「フォーユーブルー」が何度も演奏される。そして保留となっているセッション最後のライブショーも、「昔はもっと無計画にやっていい結果を出してきたじゃないか、思い切ってやるべきだ」とリーダーシップを取っている。彼の確信が美しい。

近年こんなに長時間演奏したことがない。指が動く、演奏したいんだとジョージはいう。実際「フォーユーブルー」イントロのジョージの巧さは映像で見ると驚異的で、ギター1本であのイントロやってたとはレコードでは気づかなかった。ポール・サイモンとかのアコギ達人を超えている。 

音づくりを仕切る超有能エンジニア・グリンが、「今一つの部屋で(ビートルズが)一緒に演奏してること自体がすごいことだ。今は最高のデキだよ」と、俺たちと同じ普遍的音楽好き視点で見ている。「心配しなくてもこの映像をそのままディズニープラスで流せば、いい番組になるよ!」。 

グリン最高だなあ、ああいうエンジニアと出会いたかった :-) しかし映像的なクライマックスはほしいと不安げなポールと映像監督マイケルを納得させるルーフトップのアイデアがもたらされ、ポールもノッていくのであった。そして3部へ。いやー、面白い。


■10月10日                  ジョンの声が人生を決めた

#ゲットバック 3部。リンダ娘がスタジオで遊ぶフリーダムなジャムセッションが、やがてLPのあの音になっていく。あー気持ちいい。ジョンの発する声とリズムのカッコよさは、中学生だった俺のロック好きを決定づけ今も不変だなと思った。よくぞあの音を拾いLP「レットイットビー」に収録してくれたよフィル・スペクター。 

ビートルズやストーンズが俺の価値観を決定し、自分がバンド時代に出してきた音はその価値観の上にあるので、もし彼らに聴かれても(曲や演奏の良し悪しは別として)恥ずかしくない。つまらないバンドを聞くと、「俺はいいけど、ジョンやミックがなんて言うかな」的なことをよく思う。

ビートルズがいなければ、東京で出会ったバンドマンたちもガラリと違っていただろう。するとバンド仲間から紹介され基地警備の仕事につくなんていう幸運には恵まれなかったし(追憶の調布関東村(1)関東村警備の日々)、その仕事の暇に任せて英語を学ぶことも、長野までMに会いに行くこともできなかった。ロックンロールで愛を歌ったりもできず、したがってカナダに来ることもなかったのである。God only knows what I'd be without the Beatles.


■10月11日     保険証廃止とマイナ問題

「そもそも他人に見せてはいけない設定はどうなった」――#マイナンバー伏線回収失敗 というワードを思いつき、笑ってしまいました :-)

#軒先貸して母屋を取られる保険証 というのも思いついたw

カナダでは運転免許証に保険番号が入っている。小さな工夫で単純便利、弊害もなし。日本はいよいよ社会制度がマイナに軒を貸して母屋を取られる事態が始まり、やがてすべてをマイナが覆い尽くし、ある日一斉に…という恐怖映画的社会のはじまりか :-( 


■10月11日               あの歌がゲットバック

#ゲットバック 3部。Bプレストンにピアノを教わりながらジョージが曲を作る。長いことLPを聴いてないのでこの曲を忘れてたが、不調に終わった前日のスロー曲の演奏を見たあとだと、なんてナチュラルにロールするカッコいい曲なのかと再認識する。リンゴもポールもノリノリだ。泣きそう。 

忘れかけてた歌が甦り、記憶が書き換わる。#ゲットバック とはそういう映画なのだ。ポールとリンゴが製作にOK出したわけだよ。ジョンとジョージに見せてやりたかった(涙)。


■10月13日                         日本の衰退の色

(大学教員にはもう交通費も出ないという話)国の衰退にはいろいろな形があるだろうけれど、日本のそれは知の軽視という、与党のカラーを反映したものにやはりなっていくのだろう。自民政権下でそこに予算が注がれるルートがまるでないことは、五輪・都市再開発・マイナ・旅行と、政策を見ていれば察せられる。


まあどこの国のどんな政権も、献金やロビー活動(あるいはそれに相当する支援活動)が強い業界のために政策を進めるのかもしれない。しかしそう思うと高等教育をはじめとする日本の多くの業界にそれをする力はなく、統一教会にはあったのだと思い至り、さらに情けなくなる :-(

■10月13日               娘のわくわくクッキング

娘が初めてなにか料理を教えてくれというので、じゃあ簡単だからチャーハンやってみようかと作らせた。フライパンを適温にし、卵やライスがフライパンにくっつかないようにするのが肝心なんだけど、私もたまに失敗するよとコツを教えていく。

料理はすべて理屈でできていて、理屈が分かると手順も自ずとわかるので、「先に具に火を通す。ビコーズ~」と説明していくと、やっぱり覚えやすいようだった。「ここでしょうゆを回し入れる。初めてだからあわてないよう、火を止めゆっくりやってみよう。慣れたら手早くやればいいから」「そうか」。ふんわりおいしくできました。

考えてみれば自分が東京でアパートぐらしの頃は、自炊などしなかったな。ハウスのレトルトコーンソースが好きで、それでスパゲティ作った程度(あれは今でも恋しい)。そもそも家に食材なんてないしね。やっぱり大学生くらいになると親のありがたみも分かるし、分かってもらえるのですよ :-)

これだ、ハウスのレトルト「スープスパゲティ」のコーンクリーム。これは東京時代食べまくったなあ。懐かしい。また食べたい。カナダのスーパーではこういうプリメイドでちゃんとおいしく食べられるソースって、トマトソースしか見たことがない。ちなみにレトルト食品というものは普及していない。


■10月13日                     希望なき日本のデジタル化

マイナンバーカードリーダー。これが、現代日本が総力を傾け導入する「デジタル化」先端技術なのか。カードリーダーと顔認証とこのデザイン。なんだかガラパゴス感がすごくないですかw #ニュース7 

カナダは保険番号や社会保障番号さえあれば、ネットで医療・公共サービスの各種申し込みができる。それがデジタル化だと思う。日本はいろんな個人情報を集積するからリスクが高くなり、顔認証やら必要となり、病院があんな最先端カードリーダーwを購入せねばならないのだ。

保険証廃止は、岸田総理が強引さを見込んで任命した「河野大臣の突破力」で決められたそうだ。マイナンバーを銀行と紐付け、税金の取り逃しを減らしたいそうだ。国民が受ける利便性より、政府に情報を吸い上げる利便性と税収のほうが大きい。

日本政府は国民が頼んでないものばかり断固として突破し行う。国会で討議もしない。希望ないわ。希望のある話なんて、10年前のアベノミクス当初プランだけだったのでは。「岸田内閣、国葬にはじまりヤケクソの3年」と後年列記されそうなニュースばかりである。 

GoToがまた始まり、「豊かな人がお金を使ってこそ貧しい人に回る」という言説も流れる。うちの家人はガチの左派だが、「経済理論は左右を問わず、人々が賢明で良心的に振る舞うならば機能するが、実際は愚かで利己的なので機能しない」と言っている。だからせめてそこそこ賢明でそこそこ良識ある政府を選ぶしかないのだが、日本は…。

■10月14日                  ひろゆき話法の正体

#ゴールデンラジオ 神保哲生氏(10:50~)「政権が統一教会に厳しく当たれない背景に創価学会がある。政権喪失時と比べても自民党自体の得票は実はそれほど増えておらず、創価学会あっての政権維持。政治と宗教問題ということでもし創価学会に飛び火したらおお事なので、うやむやにしたい」

これも良記事。在沖米軍兵士「多数派は問題の本質を議論したくないから、そうやって入り口で目をふさごうとする」。平安名記者「ブラック・ライブズ・マターが問題化した時、白人層がオール・ライブズ・マターと本質に目隠しした」――それがひろゆき話法だ。

www.okinawatimes.co.jp/articles/-/103


■10月15日                    今年の初フェンス大破

庭に出ると裏木戸がクマに粉砕されていた。1年ぶり5度目くらい。愚かなクマよ、チクショー(字義通り)。とりあえず軽い合版で新しい木戸を作る。慣れた作業ではあるのだが、やはり虚しい。ハア :-( 

前の木戸はクマの馬鹿力で蝶番部分がもげ、使えなくなってしまった。あれはもともと重すぎフェンスに負荷がかかっていたので取り外し、柱に残っていた古い蝶番が使えそうだなと測量し、とりあえず軽い合版をカットして新しい木戸を作る。慣れた作業ではあるのだが、やはり虚しい。ハア :-( 

完成。前の木戸はクマの馬鹿力で蝶番部分がもげ、使えなくなってしまった。新ドアは見た目はよくないが合板なので軽く開け閉めしやすい。しかしクマよ馬鹿なアニマルよ、なぜ押せば倒れるお前たち専用の潜り戸(2枚め)を、昨夜に限って使わないのだ :-( 


■10月16日     「Get Back」涙のクライマックス

#ゲットバック 明日がルーフトップコンサートという段になって、これがクライマックスでいいのかなとまだポールが迷っている。ストーリーがないねと。いやいやこうして後世のファンを8時間惹きつけるだけのドラマはあったよ。ルーフトップはチェリーオントップ、素敵なものの最後の仕上げだ。 ここからあとは家族で見よう :-)

  ◇    ◇    ◇


ルーフトップ・コンサートからエンディングまでを、泣き笑いしながら家族で見た。泣いてたのは俺だけだが。何度も何度も聴いたあの声あの音その本物が、目の前で鳴っている感動で泣いてしまう。コントロールできない。ポールマッカートニーのコンサートでもそうだった。 (<-2019年ポールマッカートニーライブでの自画像)

家族にはあらすじを説明してから見た。当初壊滅的だったこのセッションを救ったのは、映像のための特別なショーではなく良い音楽を作りたいというジョージの意思だったこと。ビートルズの周りは金と栄誉の亡者がゾロゾロいて腹立つが、ジョージが苛立ち出ていったのはポールとの諍いよりも、その環境のせいだったのではないかということ。後半のジョージはポールと両輪でビートルを駆動し、ポールの指示にもキレず生産的に考えを述べていて素晴らしかったよと。


ルーフトップ・コンサートなんて盛り上がるのかなと懐疑的だったポールが、音を出したとたんにこの顔! やっぱり人前でやるって、ビートルズでもこんなに高揚するんだよね。本人もそのことを忘れてたんじゃないだろうかと思うほどのミュージックマンの笑顔だった。ライブってすごい。

ポールの本番でのカッコよさにはほんと感動した。「Let It Be」見たのは何十年も前なので、あんなノリノリに体を揺らし弾く人だったとは覚えていなかった。史上最高にカッコいいベース&ボーカリストだったんじゃんと思う。ジョンの「Don't Let Me Down」は、私も高校のとき家の屋上でこれをやったんだよと家族に震え声で言う。この声の素晴らしさ。涙を禁じえない。

ムスメはリンゴのドラムがすごくいいと感動していた。リンゴはこの映画の間ずーーーっと、なんともいえぬタイム感のよさを味あわせてくれた。たまらなかった。ジョンレノンとポールマッカートニーが一緒に歌い、ジョージとリンゴが弾いてたらすごいだろうなと後世の私たちは思うじゃないですか。それが起きてるんだから泣くよね。

そしてスタジオのミキサールームで、録音したばかりのライブのプレイバックを聞きニヤニヤする彼ら。バンドマンは下は俺たちから上はビートルズまでみんな同じだなという、こういうシーンに満ちた映画だったのです。

「Get Back」は期待通り珠玉の8時間だった。本作監督は映画「Let It Be」が印象づけた暗いビートルズ終末史観を、音楽のモーメントを捉え続けることで明るく書き換えてくれた。拾われた会話のすべてに歴史上の意味があった。素晴らしい仕事だ。ディズニーPlusが終わる前に、もう一度見よう。

【二度目視聴後の追記】ディズニープラスの契約が終わる日、可能な限り「ゲットバック」を見直した。1部でよくわからなかったジョージの心境部分はしっかり見る。二度見て気づいたのは、ジョージがうんざりしてスタジオを去ったあの日はジョンが明らかにドラッグでハイになってたということで(笑)、ポールはジョンがハイならOKと一緒にはしゃいでるのだが、ジョージは音楽から浮いた二人の狂騒に乗れずにいた。そこにポールのああしろこうしろが重なり、「なに非現実的な話してんだ」とジョージが声を上げた、映像プランの話ばかりするアンチ音楽的映画監督マイケルたちへのイラつきもあり退出となったのかなと。ポールだけが悪かったのではないとやはり思う。

二度目の(初回と違いヨーコ・リンダを入れずビートル4人だけだったと思われる)ジョージ説得会談で、彼が出ていった理由(と俺が思う)であるネガファクターから広大で非音楽的なクソスタジオ、マイケル監督が作るTV番組という2つが消え、以降は音楽に集中した充実のセッションとなるわけである。

メンバーたちのヨーコへの感情はどうだったのかファンは気になるが、この映画ではわからない。少なくともビートルマニアらしい本作のPジャクソン監督は57時間のフィルムを見て、ヨーコの奇妙さをことさら拾い上げることはしなかった。そこは音楽ほど重要ではないと感じたのだろう。

実際ジョージが戻り新造スタジオに移る2部からあとは、音楽がとにかく素晴らしくそれが全てだ。サブスク最終日はそれをずっと流していたが耳福であった。様々なアレンジを経て最終的にレコードの完璧なアレンジに収斂していったという、ほんとうに奇跡のような才能の4人であった。

そして感情ではなく音楽的な志向の違いで以降の4人が別れるのだろうということも、スタジオでの演奏や拾われた会話から汲み取れる作品になっていた。映画「レットイットビー」と同じフィルムから紡ぎ出された、まったく別の明るいパースペクティブ。いやーよかったです、The Beatles「ゲットバック」。