2008/09/14

2008 日本旅行記(3)「念願の戸隠奥社へ」

「親戚のビートルマニア」「漢字ソフトは大ハズレ」「オリンピック柔道の見方」ほか。

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■08/08/26(日) □ 親戚のビートルマニア
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 昨日深夜までライブを見ていたので午前中は体を休め、午後から今回の来日の主行事である父さんの一周忌法要となる。

 しかしそれにしても昨夜のライブハウスの煙状況にはまいった。酸欠と有害物質で身体にガンガンとダメージがくるのを体感した。何度も煙の少ない入り口の方へと退避したが、苦しかった。自分がタバコを吸っていた3年前ですら日本のレストランはケムくて苦しかったので、もはや耐えがたいのである。日本も公共屋内禁煙になってほしい。

 日本では「ここでタバコを吸ったらうまいだろうな」という場所には灰皿がばっちりと置かれており、来日以来情緒的には非常にそそられていたのだが、こうして人々が吸っている場に立ち会うたびに息苦しさを感じるせいで肉体的には全く吸いたくならない。日本のケムに取り巻かれているおかげで、逆に禁煙意欲がつよく....というかケムの入っていない空気への欲求を強く感じるようになってしまった。

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旧O旅館のおじいさんと味噌屋の叔母さん
父さんの一周忌法要。うちの母さんの叔父にあたる湯田中旧O旅館のおじいさんとその息子さん(つまりうちの母さんの一番若い? イトコ)が転居した諏訪から来てくださったのだが、その60代くらいの息子さんがなんとアビーロードでポールに、ダコタハウス前でジョンにサインをもらったという超つわものビートルマニアなのだと初めて知りひっくり返った。親戚にそんな人がいるとは40数年知らずに生きていた。

 そういえばO旅館のお兄さんたちの部屋にはエレキギターがありましたよねえと、子供の頃を思い出し話をする。あのうちの誰かがこのお兄さんだったのだろう。うちの母系はこうした趣味人が多い。音楽の道に進まなかったのが不思議なほどのパッションで彼は、俺とOKOにポリス再結成コンサートの話なんかをしてくれた。こんな人が親戚にいたとは!

 だいたい30数年前、俺が小学生のときに亡くなった湯田中の祖父の弟がこうして存命だというのが、いくら年が離れてたとはいえ奇跡みたいな話である。親戚というものは面白いと、去年の葬式で会った牛飼いのおじいさんに続き思う。

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■08/08/25(月) □ 漢字ソフトは大ハズレ
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 萌を連れて Nintendo DS のソフトを買いに行く。絶対買うと決めていた漢字学習ソフトとして「250 万人の漢検」というのを買ったのだが、子供がDSで楽しく漢字を学ぶという期待した内容ではぜんぜんなかった。読み書きの問題がぞろぞろと出てくるだけで、知らない漢字を学び練習するモードがないのである。字を探す辞書モードもまるで実用にならない(※)。UIもいったいこれはどこの素人が作ったのかというひどいデキな上にメニューは全部漢字で書かれており、「全年齢対象」というのは大嘘で子供が独力でこのソフトを使うこと自体が不可能になっている。
(※)登録字が少なすぎて実用にならない上に、「文部省常用漢字」で音読みでしか登録されてない漢字は訓で引いても出ないという、資料棒引きの阿呆さに強い怒りを覚える。

 漢字学習として誰もが思いつく機能を欠いていながら、画数当てやら部首クイズなど一般人には用がないモードは充実している。つまりこれは漢字クイズ(つまり「漢検」)を受ける漢字マニア用問題集なのだとやがてわかってきた。紙の問題集を電子化しただけで何の工夫もない。がっくし。だったら『「書く学習」「読む学習」「覚える学習」』なんてコピーを書かないでほしい。問題集は覚えた内容を復習する素材であって、これで読み書きを覚えるのは不可能なのだから。即刻売却を決定。

 はあ。DSソフトはなんか、「カセットで高価でハズレが多い」スーファミ時代に逆戻りしているように思う。ソニーは Playstation ソフトのクオリティチェックをやったらしいが、任天堂は放置してるのだろうか。

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■08/08/27(水) □ 念願の戸隠奥社へ
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 3年前は片道2kmという標識を見てリタイヤした戸隠奥社へ。今回は母さんもチームに加え、いざ勝負のときである。



 Mと萌は張り切って先に登ってしまい、俺は美しい参道を母さんと一緒にゆっくりと登る。入り口、随神門など節目節目に拓本ポイントがあり、萌たち は購入したブック(\500)できれいな拓本を取りつつ登る。全山数十箇所のうち奥社と中社にある6箇所くらいしか拓本を取れないが―――その他は古道を 歩いて探す必要あり―――、これはいい参拝記念だ。



 片道 2km のうち真ん中の門を過ぎてしばらくあたりまでは坂もゆるくふうと息をする程度だったのだが、最後の石段数百mはキツかった。おばあちゃんは高い石段に膝が痛むとのことで、ゆっくりゆっくりと登っていく。俺もそれ以上ペースは上がらず (^-^;。



 ついに登りきった場所は狭い土地に階段が複雑に入り組み、そして頭上に戸隠の山々がずばーんと見える。まさに神峰という感じで非常に気持ちがいい。

 ところが最後の階段を登るとコンクリートの社務所のようなものがあり、なんとこれが「奥社」なのだと判明した。なんと。苦労して目指したのがこれか。拍子抜け。

張り紙を見ると、奥社はなだれで何度もぶっ飛ばされたため、最後(1978 年)にこの積雪何トンかに耐えられる鉄筋コンクリートお社にしてしまったとのこと。新しくてもせめて白木にしといてくれたらと参拝客は思うが、そういう事情なら仕方がないのか。ま、祭られたご神体(天照大御神を引っ張り出した神様)に変わりはないんだしな。

 いやだいたいこの戸隠山がご神体なのだ。この威容には有無を言わせぬ説得力がある。登ってよかったと素直に思わせてくれる。階段に座り飲み物とお菓子を取る。気持ちがいい。おばあちゃんも普段からダンスで鍛えてるから脚は大丈夫だよと、達成感を感じ笑っていた。じっさいすごい体力のおばあちゃんであります。

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 下り、萌はすれ違う人のすべてに「頑張ってねー」と声をかける。石段のキツい部分では「あ、ありがとう!」といい返事をもらえたのだが、真ん中の門を過ぎると参拝客は参拝遊歩を開始したばかりで体が全然きつくないので、頑張ってといわれてもピンとこず反応が鈍くなってしまった。その辺の人情の機微を萌に話すのだが、萌は返事をもらえなくてもいいのと声をかけ続けていた。


中社前の広場でウェールズから来たという
鷹匠がトレーニングをしていたのだが、
こいつが実は忍者だったと後年判明(笑)。
参道前のそば屋で食事をし、忍者村へおばあちゃんを案内する。あたしはいいよとおばあちゃんは言うのだが、いやこれが面白いんだ行こう行こうと連れて行く。カラクリ屋敷は3年経つと俺たちもカラクリと順路をすっかり忘れており、十分迷え楽しめた。あの平衡感覚を失わせる謎の部屋ではおばあちゃんも声を上げ大騒ぎであった。中社にもお参りしお土産を買い、今年は戸隠に心残すことなく下山したのであります。

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■08/08/29(金) □ 「大人の漢字練習」
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 恒例の善光寺へ。蒸して暑かったが参道でおやきとジュースをいただき、境内をゆるりと歩くといつもと変わらず心地よい。そしてこれも帰国時恒例の焼き鳥デイブにも参拝。あそこの皆さんは何年あいだを置いて会いに行っても変わりない。11年の年月が信じがたいほどトシを取らないし、店の様子も変わりない。全然儲かってそうにないのにつぶれていない。善光寺参道から徒歩30秒という立地ともども不思議な焼き鳥屋である。今度日本に来るときは、昔みたいにキャンプに行こうと誘われた。はい、ぜひ。

 俺はネットで調査を行い、絶賛されていた漢字ソフト第2弾「大人の漢字練習」をゲット。「250 万人の漢検」はハズレだったが、こいつの漢字を学ぶモードの出来は完璧に近い。認識が速く、字が分からない場合はその場で大きな書き順マスの上をなぞるという次第。これは理想的だろう。学校の漢字プリントと同じで直感的なので萌も楽しんでいるし、俺がやってみても楽しい。「大人の」という趣向ゆえか子供が知らなそうな熟語が例文に多いのだけは難だが、そこだけは俺が見てやって付き合っていけば、萌が熟語を覚える役に立たなくもないだろう。よし、これでおばあちゃんにDSを買ってもらった大義が立つ。

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■08/08/30(土) □ オリンピック柔道の見方
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 大雨になってしまったが、長野のインドアプールへイトコ総出でおでかけ。思ったよりも水温が低く冷えたが、波のプールが期待通りに楽しかった。

 帰りに寄った寿司屋も文句ないうまさ。ここは高級回転寿司という値段の、つまり安くはない店なわけだが、客は行列を作っている。しかし1皿2個でハンバーガー1個からラーメン1杯分くらいの値がするものを、子供がパクパクと1分もかけずに消費しているのを見ると複雑な気持ちになる。客単価は相当に高いのではないだろうか。

 寿司はたしかにうまいけどさ、値段はかなりするのになんで寿司屋にばかりこうして行列ができるのかねと母さんに話を向けてみる。俺はうまい肉を食べた方がもっとうまさを身にしみて感じるんだけど。こないだキャンプでいただいたうちの店の肉なんかほんとうまかったよ。母さんは、「いまは焼き肉をどーんとという時代じゃなくて、ヘルシーな魚を少しだけという時代なんじゃないかしら」と分析していた。うーむそうか。―――まあカナダでもうまい寿司は食えるけど、うまい肉は絶対に日本にしかないので、それで俺は肉の方によりありがたみを感じるのかもしれない。

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 夜、NHKスペシャルのオリンピック柔道番組を見る。北京大会で日本がなぜああも勝てなかったのかがよく分かる解説だった。ライブで見逃した鈴木がタックルで1本を取られた映像と、欧州のレスリングをベースにした選手が両者倒れもつれた体勢からブリッジで相手を投げ1本を取る映像には衝撃を受けた。あんなのがアリなのか。つまりどんな手段を使っても相手の背中をつければポイントというのが現在の柔道なのであって、立って組む必然性はまったくないスポーツになっているわけである。むしろ立ち技で相手を倒すのは難易度とリスクが最も高いわけで、だから組んで技を掛け合うシーンは皆無となり、ほとんどの時間襟を取り合うばかりになっているわけだ。

 番組としてはこの流れに対応せねば日本は勝てないという内容になっていたが(石井は対応して勝てるスタイルを確立している)、これは柔道というよりも打撃のない総合格闘技であって、レスリングのほうにより近いつまらない競技になっていることを示している。北京大会柔道を通して勝負を分けた最大のポイントはいかに(遅効の)警告を避けるかにあったわけだし、石井の金メダルに狂喜した日本人はいないのだ。柔道をその程度のカタルシスしか得られない競技にしてしまっていいのかどうか、Judo 連盟は考えてみてほしい。そんな権利が君たちにあるのかね。

2008/09/08

2008 日本旅行記(2)「菅平メモリーロード」

「鬼押し出しの奇観」「軽井沢観光」「長野音楽シーン」ほか。

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■08/08/15(金) □ Mのカレー
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 今日はMがカレーを作り皆さんにふるまった。Mの作るようなインディアン・ベジタブルカレーは旨みがないので日本じゃ人気がないのであり、苦労して作っても喜ばれないだろうと思ったのだが、意外やとてもいい味が出た。いつもカナダで作ってるのと全然違う。なぜなのか不明で、豆缶の銘柄が違ったからかしら。

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 昨日出かけている間に柔道の鈴木があっけなく負けたらしい。信じられん。今日は石井というあのせせこましい柔道をする奴が彼らしい柔道で勝ったが、女子の塚田は攻めに攻めて逆転負け。日本は男女2人ずつしか勝てなかった。柔道は襟の取り合いとかけ逃げが5分間延々と続く、非常にフラストレーションのたまる競技となってしまっている。難しいなあと思う。

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■08/08/17(日) □ 菅平メモリーロード
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 OKO一家に連れられ、群馬の嬬恋でキャンプ。バイクで何度走ったか分からん菅平を、先週に続きOKOの後ろを追走する。菅平・鳥居峠・嬬恋。この道はなつかしすぎる。「いつも東京から長野に帰るのにさ、俺たちバイク乗りは可能な限り曲がった道を求めて、軽井沢から嬬恋に抜け菅平を降りるこの道を帰ってきたのだよ。このコーナーでOKOが転んでさあ」とM萌に説明しながら走る。菅平メモリーロード。

 それにしてもミニバンOKOは速い。あんな背の高いミニバンで飛ばして大丈夫なのかと後でMK奥さんに聞くと、「彼はバイクみたいに上体を傾けて運転しており、乗員は疲れることがある」とのことであった。俺と同じく車内リーンインで曲がっているのだ (^-^;。



 OKO夫妻のキャンプ装備はネット式巨大タープを中心に組まれた壮大なものであった。彼らはキャンプで悪天候にたたられることが多く、それに抗するために巨大タープを導入したとのこと。たしかにこれだけカバーされていればどんな天気でも平気だろう。強風にはつらそうで、着いた直後は風が強くうーむという感じだったが、タープとテントを建てお茶にする頃には幸い風が収まってくれた。風がなければ超快適である。草原のリビングルーム。

(鍋を忘れた責任を一身に負う愚かな弟)  

さてじゃあご飯にしようかというところで、OKOが炊事道具を忘れてきたことが判明。ツーバーナーと鍋がないという。これは致命的かと心配したが、ヒバチと網はあったので焼き肉+焼き魚+生野菜類でダイジョブであった。牛と豚肉は我が実家焼き肉店からの支給で、久々にしびれるほどうまかった。長年にわたるうちのスペシャルティである牛はもちろん、兄貴が推しているという飯山豚も信じられないほどほくほくと柔らかでうまかった。幸せ。

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 ◆22:25 べッドイン。Pocket PC のおかげで、長年夢見たテントでコンピュータが実現しています。バイク時代に Pocket PC があったら、テントの中でさぞや書きまくっていただろう。しかし3人テントに3人は寝づらい。あまりよく眠れそうにない。

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■08/08/18(月) □ 鬼押し出しの奇観
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 やはり3人テントに3人+全荷物は無理があり、皆長い時間眠れず苦しんだ。換気がいまいちで酸素が薄くなり寝苦しい。目が覚め夜中にトイレに起き出すと、外は夜霧が降りびっしょりになっていた。

 朝食後散歩をし、すぐ出ようかと思ったがこの後宿を取った軽井沢までは田舎でろくな飯屋もなさそうなので、ここでもう一泊するOKO一家とともに昼飯もいただく。昼過ぎに軽井沢に向け出発。サインがなく国道まで出るのに苦労したが、R144 に戻ればあとは勝手知ったる道。なつかしい吾妻川沿いの渓谷道をあっという間に抜け、鬼押し出しハイウェイに入る。

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 そしてこれまで何度も通り過ぎたが入ることなど考えたこともなかった鬼押し出し園へ入場。Mは絶対こういうのが好きだろうと目星をつけていたのだが、これが大正解であった。一面溶岩の山の頂にお寺が乗っかっている。




右手にはるか菅平鳥居峠までが見渡せる原野が広がり、左手は曇っていて見れなかったが浅間山が続いている。見渡す限り溶岩の大地というのはやはりすごいものがある。おおと声が出る。普通のカメラではその広大感が映し出せず(ネットで他の人が撮った写真を見ても同じ)、ワイドレンズがほしくなる。麓で「浅間山の湧き水で作った、日本一おいしい」かき氷を買って食べながらゆっくりと登り、奇観を存分に堪能した。



 出発が遅かったのでこれで時間がなくなり、あとはまっすぐ軽井沢の宿へ。R18 に降りる中軽井沢の道は左右の切り返しが延々と続き、バイクだといいトラクションが得られず妙に疲れる道なのだが、車だと割合に疲れもせず快適に走れた。日本の道は車でゆっくり走ってちょうどいいRにできているんだな。懐かしい軽井沢へ続く道。今日はペンションに泊まり、明日は旧軽散歩である。

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■08/08/19(火) □ 軽井沢観光
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軽井沢観光曰。ときおり雨に降られながら旧軽をぶらぶらと歩く。20年ぶりの軽井沢は道以外の全てが変わり、道すらも変わって教会通りが屋根のあるモールになっていた。Mは苔むす軽井沢がかなり気に入ったようである。



 店を物色して歩くのは昔と変わらず楽しいが、高いお茶だのケーキだの有料トイレだので金がどんどん消えていくのにまいる。旧軽に来てる人々は来るだけで地域に大きなお金を落としているんだから、公共トイレなしはないだろう。観光協会からしてトイレを有料にしてるんだから呆れる。こういう人の足元を見る商売は日本の悪いところだ。

 軽井沢はタイ・インド品店がなぜか豊富で、Mが一番買い物に燃えていた。萌もインドのペンダントを自分のお金で購入。俺はあの懐かしい写真屋で、昔買ったジョンの写真を探す。ヨーコに見つかり剥奪されたといううわさを聞いたことがあるが、もう販売はしていないものの店の壁にはまだ貼ってあった。販売だけ差し止めになったのかもしれない。

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 そしてMの旧友に会いに佐久に降りる。仕事ではいろいろと変わりあるようだが、T画伯夫妻は変わりなかった。会えてよかった。

 暗くなり、菅平越えは疲れるのでハイウェイで帰宅。この佐久→須坂の 73.4km の高速代が 1800 円もした。1キロ 24 円である。今の究極高値ガソリン代よりもまだ高い。ふざけるなである。長野→佐久の新幹線代も同等だし、日本の移動費用の高さはむちゃくちゃだ。

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■08/08/21(木) □ 博物館ショップ
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 昨日まで小学校が休みだったが、今日からは萌のイトコたちがみな学校に戻り、うちの家族3人+おばあちゃんだけとなる。今日は中野で買い物という小イベントへ。有名なユニクロというところに俺は初めて行ったが、人々がいいと思うデザインとクオリティを備えているだけでもえらいのに、値段が安いので恐れ入る。こりゃ売れるわけだわ。


 そこからの帰路、「中野の道沿いにMが好きそうな和ダンスが道端に置かれてたわよ」と母さんがいっていた店「アラジンのランプ」が見つかる。わ、たしかに和ダンスが道端のテントの下にある。や、安い。千円二千円の世界。Mはこういう安い家具を買ってカナダへ送るという野望を抱いているのだが、送料が5万やそこらは絶対にかかるだろう、カナダで業者から買ったほうが安いってと俺は必死にいさめている。


なにこの安さ! とほとんど悲鳴を上げる奥様。

 店内はさらにすごかった。こないだの中古雑貨屋よりもさらに年代が古い、戦前戦後あたりの雑貨が並んでいるのである。明治軍人を称えるポスター、天皇ご真影、爆撃後の東京を写した個人の写真帖、軍人が使ったらしき水筒や雑嚢などなど。須坂の「田中本家博物館」に収まっていても不思議はないレベルの雑貨に値段がついて置かれている。俺はそういうものを所有する趣味はないので買うものなどないのだが、興奮してしまった。

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 夜、女子サッカー3位決定戦。2~4年前は最強だったドイツを相手に、パスをつなぎ組織でボールを奪い技術を発揮して、真っ向から勝負し優勢に試合を進める日本。このチームはなんでこんなに素晴らしいサッカーができ、男子はなんでできんのだろう。最後にフィジカル差からこぼれ球を2発押し込まれ不運な敗戦だったのだが、しかし日本はこれでもう、女子サッカー世界の強豪として十分に認められるだろうと思う。ファンタスティックだった。

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■08/08/22(金) □ 松代の古学校
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 まだ行ったことがないというMKさんも誘い、10年ぶりに松代へ。目当ての真田屋敷はなんと4年にも及ぶという修復工事のただ中ということで、庭の池以外見ることができなかった。


 しかし隣の真田藩校は無事見られ、しかも前回の記憶にはないのだが上に上がり、剣術所、弓術所、畳敷きの学問所など美しい校内を自由に見ることができる。MKさんが係の人に聞いた話では、70 年代に今の小学校が完成するまではなんと校舎として使われ、そしてなんと今でも弓道場や剣道場として現役で使用されているのだそうだ。すごい話である。日本のこうした古いものが観光資源となったのはごく近年のことであり、それ以前には価値を認められず壊されてしまったわけだが、松代藩校は使われることで残ったわけである。

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 【代表ウルグアイ戦】タレントの不足で五輪を負けたという印象が強いので、玉田・達也・小野が入ったこの代表メンバーにはわくわくさせられたのだが、試合が始まってみると相手が強かった。達也が元気なうちは何事か起きそうな気配を楽しめたが、ウルグアイが常に日本の上を行く厳しさで戦ってき、やられてしまった。オリンピック女子チームのようにはいかない。そして小野の何もできなさが際立っていた。うまいのだがチームを動かせず、したがって何もできない。本人も悩んでいる表情だった。こうしてうまい選手を揃えチームがある程度機能するならいいが、そうではないのだから岡田監督じゃ駄目なのかと思う。

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■08/08/23(土) □ 長野音楽シーン
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GT家に招かれ、主にオリンピックと地域スポーツの話でのんびりと盛り上がり、夜はTNに連れられちょうどやっていたベテラン長野バンド So-Do のライブを見に行った。焼き鳥デイブでギター1本でボーカルのアクタさんに歌ってもらい感動したことがあるので So-Do には期待していたのだが、長野レゲエ/プログレ/ジャズ的で、ギターソロなどインストルメンタル部分が巨大音で延々5分ほども続く、非常に疲れる世界であった。

 研ぎ澄ました耳と心と指先で音を捉え、張り詰めたテンションで表現するある種の精神活動の現場に立ち会ったという感じ。出ている音のクオリティは確かにすごいのだが、これは演奏者の修行についてこれる人はついてきてくださいというバンドである。その音に呼応し楽しんでいる長野の客の音楽性の高さにはびっくりだが、俺はついていけない。延々と続くインプロバイゼーションでプレイヤーが出す音にも、ときおり入る短い歌にも、飛び込みの客である俺を感動させるものはなかった。
なぜか長野に住み So-Do でパーカッションをやってるゴンタ2号G2(元RCサクセション)が1曲だけキーボードを弾いたのだが、その音が "モノが違う" 類のもので鳥肌が立った。ライブ後に駆け寄り、「G2のキーボードが聞けてうれしかったです」と握手してしまった。

 しかし客層が若くて驚いた。So-Do メンバーより2回りほども若い。TNに尋ねると、So-Do のギターが JFL 昇格を目指すサッカーチーム「AC 長野パルセイロ」の熱烈なサポーターで、また So-Do プロデューサーのTさんが自転車チームを持ち熱く活動しているのだという。そうしたコネクションから若い人々がこの長野音楽サークルに加わってきているらしい。

 だったらなおさら、もうちょっと普通に歌を聞かせてくれればいいのにと思う。アクタさんが昔ギターで歌ってくれたあの「アリとキリギリス」という佳曲を、こんな異常大音量ではないすっきりと抜けた音でやってくれたら、きっとあの若いオーディエンスも楽しめ長野ロックシーンが育っただろう。今日やった曲は1曲も思い出せない。ゴーという音の唸りと疲労感だけが残っている。

2008/09/06

2008 日本旅行記(1)「商店街のお祭り」

「黒姫鱒釣り場」「萌念願のDSをゲット」「中古雑貨屋&盆踊り」ほか。

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■08/08/05(火) □ 無事のフライト
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◆14:54 旅行前としては例外的によく眠れた。チェックインも無事済み 45 分ほど遅れ出発。到着は予定より早い、つまりフライトが短いとのこと。快適だ。

 機内映画はたくさんあり、まず「僕の彼女はサイボーグ」というSFコメディを見た。日本でもこんなにすごい特撮ができるのかと驚くような映像でなかなか面白かったが、ヒロインが犯罪者を討伐するシーンで犯人が炎に包まれたり2階から地面に叩き落とされたりと、ちょっとエグすぎる。これはもしやとパンフレットを見ると、日本映画だが監督は韓国人だった。「少林サッカー」や去年機内で見た韓国映画「美女はつらいよ」でも異様にえぐい味があったし、やっぱり香港韓国人の感覚は日本西洋とやや違うと思う。

 萌が喜んでいた「カンフーパンダ」は、とにかく米国製アニメは全部が全部動物が擬人化されているだけで、一つも見るところはないなという感じ。特にかわいくもないし、面白くもない。

 ◆22:30(日本時間 14:30)到着、ホテルへ移動し即べッドイン。3年前に比べ異例にスムーズだった入国審査も含め、全てがうまくいった。お疲れ。

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■08/08/07(木) □ 成田→須坂
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 ◆01:00(カナダ時間朝9時):できるだけ寝続けようと努力したが、隣室にうるさいバカがいて夜からドタバタとノイズを立てるせいもあり起床。売店で買っておいたオニギリをいただく。日本はいいねと萌が喜ぶ。まったく、こうしてなんでも手近に売ってるから助かるよねえ。

 そして3年前と同じく朝まで時間をつぶし、このホテルの庭を散歩する。朝5時でもセミの鳴き声がわんわんと降り注ぎ素晴らしい。期待通りに暑い。セミの抜け殻もいくつも見つかった。長野行き新幹線が軽井沢まで激混んでいて自由席になり俺が座れなかったのを除けば、最後までごく快調な旅であった。

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 到着したおばあちゃんのところで待っていたAIちゃんは、萌との再会に気持ちが盛り上がりすぎてシャイになりあまり話してくれなかった。TPは去年よりずっと話せるようになっており、その口ぶりがお母さんそっくりなのがかわいいのである。これから一月、ゆっくりと遊ぼう。

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■08/08/08(金) □ MK家訪問
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 MK家訪問。生まれて半年のNHちゃんは、驚くベきパワーのスーパーベイビーであった。半歳児にしてすでに、一緒に遊んで楽しい心身の反応なのである。



 萌はAIちゃんTPと庭のプールで遊ぶ。しかし学校プールで鍛えられ真っ黒に日焼けした2人に比べると萌の肌はあまりにも白く紫外線に敏感で、いきなりこの暑さの中屋外プールに連れて行くのは無理があるなと思う。Mも日向にいれば肌が真っ赤になってしまうし、イトコボーイズを引き連れていくのは屋内プールのほうへしようとMと話す。

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■08/08/10(日) □ 黒姫鱒釣り場
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 おととい蚊とブヨ? に刺され萌の足が水ぶくれで悲惨になってしまった。やっぱ肌が敏感なんだよなあ。これが治るまではプールなど行けない感じ。今日は皆で山の鱒釣り場へ。

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 黒姫に向かい快適に曲がりくねった真夏のR18をOKOの車のテールを追いかけていると、15年前のバイクツーリングのようだった。OKOもそれを感じているのか、ミニバンのくせにハイペースで飛ばしていく。奴の取るラインとコーナースピードが手に取るように分かり、俺は車間を詰め同じリズムとラインで曲がっていく。遅い車は登坂車線まで待って、2台で一気に抜いていく。ほんとにバイク時代のような阿吽の呼吸が心地よい。

 去年も思ったが母さんの古VW(93 年?式 ゴルフのセダン)はハンドリングが絶妙で、公平に見て俺がカーマニアとなって以降乗った車でベストである。15年ほども乗られエンジンはヨボヨボだしサスもギシギシと音をたて動きが悪そうなのだが、ステアを切ると常時100%イメージ通りの姿勢で車体が旋回に入っていく。軽快さではうちのエリオに負け、限界性能ではレガシィに劣ると思うが、家庭平和ペースでのハンドリングの正確さと旋回ラインの落ち着きでは2車に完勝している。元のディメンジョンがよいのだろう。

 やっぱドイツ車はこうなのね、やっぱうちもフォーカス(ドイツ・フォード)にしとけばよかったかなと思う。欧州車はこのVWにもゴマンとある独断不便さに満ちているゆえにフォーカスは避けたのだが、試乗していればこういうコーナー失敗率ゼロの生活を楽しんでいけただろうな。

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 黒姫山麓の鱒釣り場は想像したよりもずっといいところで、小川を区分けし日本庭園のように釣り池が配され、どのサイトも充分に木陰になり快適。ゆっくりのんびりと北信の夏を楽しんだ。




 萌は最初魚を釣ること自体が残酷と感じ顔をしかめていたが、これは釣って食べるのだから、かわいそうだが仕方ないんだよというと納得したようで、自分では結局釣らなかったがしばらくすると慣れてバケツに入れられた魚をいじって遊んでいた。

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 夜オリンピックのナイジェリア戦:香川が下手。あのポジションの選手が勝負どころでボールをコントロールできないのでは勝てない。2試合で一度だけPKボックス内での突破に成功したが、長く速いボールをトップスピードで受けFWに渡すという仕事はついにできなかった。それができるインターナショナルレべルの技術があるのはA代表の安田と内田だけだったわけで、結局このチームはうまい選手が足りなかったのである。足りない分をオーバーエイジで補えばよかろうにそうせず、将来もA代表に入るレべルにはなさそうな選手たちだけで戦ったのだから、このチームのオリンピック参戦にはあまり意味がないというのが2試合の感想である。

 この男子サッカーが負けたことより、柔道の谷さんが負けたことの方がショックだし口惜しい。彼女が負けを避ける消極的柔道をしたのは事実だが、あのほとんど差がない攻防の中、勝つチャンスを一方から事実上奪う裁定はないだろう。柔道での「指導」はサッカーで言えばイエローではなくPKなのである。無念。

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■08/08/12(火) □ 商店街のお祭り
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 昨日は遊べるイトコがおらず終日家で過ごし、萌が退屈に疲れダメダメな日だった。グダグダの夜五輪バドミントンを見ていたら、日本のペアが中国のランキング1位に勝ってしまった。ラケットを落としううとコートにうずくまり感動を噛み締める姿が、日本の運動選手らしくつつましい(笑)。メダルにはまだこの先長いらしいが、見事でした。



 昨日の埋め合わせという感じでAI姉弟が朝から来てくれ、夕方からボーイズも加わり、しかも夜は屋台博物館に商店街のお祭りと、充実した一日となってくれた。




 最近はお宮でお祭りがあってもちっとも屋台が出なくてつまらないと思っていたのだが、この商店街の小さなお祭りにはカキ氷、イカ焼き、金魚すくい、そうめん流しといったお店がちゃんと出ていてくれたおかげで、萌が一通り日本のお祭りを楽しむことができてありがたかった。店はみな町の人がやってるわけだが、つまり屋台のテキ屋なんてものはもう商売にはならないので、プロは田舎の神社のお祭りになんて来ないんだろうな。

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 夜女子サッカーノルウェー・日本。日本のサッカーがあまりに素晴らしく、2点目が入った以降は完全に一皮向けた世界一流のチームになっていた。欧州のトップをチームワークで圧倒するだけでなく、個人勝負でも打ち勝ちゴールしてくれるのだから彼女らは素晴らしい。中田でも個人でクラブレベルでしか為しえなかったような素晴らしい得点の数々だった。

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■08/08/13(水) □ 萌念願のDSをゲット
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 ボーイズを連れて長野の中古ゲーム屋へ。ゲームとオモチャのブックオフというか混沌とした店で、信じがたいほどの品ぞろえ。そのくせ値段はちっとも安くないのだが、去年見つからなかった PS ゲームが簡単に見つかりゲット。Mと萌が退屈してたのでじっくり品探しできなかったが、1人で2時間くらい掘り出しものを探したいところである。

 そして夕方、ついに萌念願のDSをゲット。しかしソフトが高い。萌が欲しかった Nintendogs は中古で \3500 もした。PSなら人気RPG4枚組という値段でありショック。今どきの子供向き機器ゆえ値段は控え目かと期待したが甘かった。

 萌とAIちゃんが一緒にゲームをするのを見ていて、1歳下のAIちゃんが萌よりはるかに早くゲームメッセージを読めることに気がついた。やっぱ萌は喋りは完璧だが、日本語の読み書きは毎日鍛錬を積んでいるネイティブ日本キッズにかなわないのである。そのあたりを支援するためにもDSの日本語プログラムには期待している。漢字練習ソフトウェアは絶対に買って帰ろう。タッチスクリーンで文字認識ができるDSは、最良の国語学習マテリアルなはずである。

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■08/08/14(木) □ 中古雑貨屋&盆踊り
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 早くイベントを入れないとM萌が退屈していかんなと気はあせるが、日々は飛んで過ぎて行く。今日は中古雑貨「サンタの倉庫」へ行く。とても誰かが買うとは思えないガラクタだらけの雑貨屋で、買い取りはさかんにやってるようだしどうしてこれが商売になるのかと不思議だ。おそらく売れないものは海外に流れていくのだろうな。

 ぶらぶら歩いていると、アイヌの木彫り熊だのこけしだの昔うちのおじいちゃんの部屋にあったようなものが、おばあちゃんの部屋にあったような飾り棚に収まり置かれている。懐かしさにしびれる(笑)。海外という末端消費先がもしあるのだとしても、こんなものはどんな国に行っても無価値なのことに変わりはなく、やっぱりこんなものが置かれた店というのは不思議である。なんというか昭和30年代博物館的匂いもするお店なのであった。まったく一切買うものはなかったが、面白かった。

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 夜盆踊り。萌とAIちゃんがいい感じで踊るのを眺め楽しんでいると、焼きもろこしの屋台を出していた八百屋のHDさんが俺たちを見つけ、おおいサカタさんほれほれ持って行けと焼きとうもろこしを俺の手のひらにジカに置いていく。あつ、あつ、熱い、かんべんしてくださいよ。HDさんのおばさんは、うちに来たときに玄関に出た萌の挨拶が姫様のようだったという。そうでしたか。皆が知り合いの小さな町の楽しさかな。

2008/08/03

日記「夏真っ盛りの日本に向けて」

「すでにカナダの真夏は終わり」「夏真っ盛りの日本に向けて 」

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■08/07/22(火) □ すでにカナダの真夏は終わり
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 昨日おとといと晴れたが気温は上がらず、今日は曇って気温が20度。やっぱカナダの短い夏は終わったといえる。今後は散発的に暑い日があるかないかというところだろう。扇風機稼動が正味5日以下だったという感じ。盛り上がらない夏であった。

 TV Japan で「間宮兄弟」という映画を見る。あまり面白い映画ではなかったが、日本っぽい静かな感情のシーンがたくさん入っており味はよい。中島みゆきがお母さん役で出てるのもよかった。びっくりするくらい魅力があり、また彼女演じる田舎の元気なお母さんというのも日本の風景だと思う。

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■08/07/29(火) □ 夏真っ盛りの日本に向けて
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 フリースイミングレッスン。スイミングレッスンは久しぶりだなあ、いつ以来かと考えていて、ニコンを買いこのプールで試し撮りをし、シャッタースピードの低さに愕然とした1年半前以来だと判明。あの頃のレッスンは「深いところへの恐怖克服」みたいなことばかりやっててまともに泳ぐ時間がなく実につまらなかったが、今日は明るい女の先生なので萌は楽しんでいる。あのスイミングレッスンやサッカー、そしてジムナスティックにカラテと、カナダのヤングピープルは子供に興味がなくても単なるアルバイトとして子供の習い事指導をするから困る。愛想の悪いヒトと一緒では、子供はスポーツを楽しめないのだ。

 しかし今日は雨で16度。寒い。もう夏は完璧に終わった。なんと短い夏だったことか。涼しくて快適ではあったがアウトドアプールにすら行きたくならず、サンバレーのプールには1回しか行かなかった。BCの夏は終わったね、しかしこれから行く日本は夏真っ盛りなのだからラッキーだねと萌と話す。海にも行けたらいいのだが、お盆過ぎはクラゲが多すぎて無理なのよね。

 Mに、今年は前回みたいに何もせずぼーっとするのはごめんよと言われてしまった。まあ確かに3年前は何もしなかったが、あれは俺の発熱で身動き取れないというアクシデントがあったからであって....と日記を読み返してみると、やっぱニンジャ村以外何もイベントはしていない。だが今回は夏だから話は違うのだ。キャンプもできるし山に行っても寒くない。釣りにもピクニックにも行きたいしな。

2008/07/21

日記「Fort Langley ファームツアー」

「健康食の罪」「ヤングコリアンズ夢の1月」ほか。

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■08/07/07(月) □ 健康食の罪
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 俺の誕生日、日本行きの準備や掃除等雑事のみで行事は特になし。昨日KT・HNを呼んでケーキを振舞った。

 萌は毎日サマーホリデイを楽しんでいると思うが、TVで見る大ウォーター遊園地のCMを見て興味を示したりしている。ああいうところに連れてってやらないとかわいそうかなあと思う。まあカナダなので水遊びするほど暑い日はあまりないわけだが。日本では当然地元のサマーランドに連れて行ってやれるが、8月の酷暑と田舎町の娯楽の少なさが心配である。

この頃前よりアニメチャンネルを見るようになったので、萌はこうしてCMに影響されているのだが、こないだ「日本に行ったらハニーナッツチェリオ(シリアル)を買ってくれない?」と言ってきた。ハニーナッツチェリオなんてカナダのもので、日本になんか多分売ってないよ。

 しかし萌がなんでこんなことを言うのかは明らかで、萌は健康食主義母が買うオーガニック全粒粉の低糖シリアルを食べなきゃいけないと考えているのである。だけどCMで見るハニーナッツチェリオがどうしても食べたい。そこで「日本に行くときはバケーションだから許されるかも」という理由を思いつき、俺にお願いしてきたわけである。そんないたいけな気を使わずとも、ハニーナッツチェリオなんて今度買ってやるよ。朝は栄養のある全粒粉シリアルにして、ハニーナッツチェリオはスナックに食べればよいではないかと妥協案を打ち出してやると、夢がかなったといって超喜んでいた。

 健康食というのは罪なもので、なんでもかんでもオーガニック全粒粉で作るから、ボソボソの味気ないパンやシリアルやパンケーキができあがる。マルチグレインのパンなんか、まともに噛めば歯が痛むくらいコッチコチの堅い穀物が混ぜてある。あまりの食感の悪さに俺はそういうのは喉に通らない。萌はそれを食べて育っているので普通に食べられるのだが、ときどきかわいそうだなと思うのである。いくら健康にいいといってももう少し美味に作れないものかと思う。

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■08/07/14(月) □ 快適すぎる Poco 市の夏
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 窓から吹く風が気持ちよくてたまらないこの頃。25~26度、日向は肌がジリジリする紫外線地獄だが(紫外線強度は日本の5~7倍とのこと)、Mを迎えにクルマを出せば陽光きらめきながらも風は涼しく、ここは軽井沢かという高原気候だ。

 夕方学校のプレイグラウンドでDIとまた待ち合わせ遊んだ。日向はまだかなり暑かったが、日陰にいれば快適。DIのお母さんとも話したのだが、俺は東京に住んでるときは夏の旅行にすべてを賭けて働いていたのだが、ここに住んでいると夏にどこかへ旅行したいという気持ちがちっとも起こらない。気候が快適すぎるのであろう。まあ雨季の冬は乾いた暑いところへ行きたくなるけれど。

 しかしDIのお母さんはユーコンで育ったという珍しい人なので、こんな環境でもまだ子供たちにとっては自然が足りないわなのだそうだ。そりゃユーコンなんていったら人間よりシロクマと狼の方が多いみたいなところだろうからなあ。

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■08/07/17(木) □ 南洋の風
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 萌は急遽呼ばれてBRのバースデイパーティへ。BRのところは夫婦共働きで大変なんだとずっと思っていたのだが、ピックアップしに行ってみたら普通の家に住み、大家族で面白いおもちゃに囲まれて幸せなお宅なのだった。ビンボーなのかと思ってた (^-^;。

 ガーデンパーティに集まったBRの家族親族が、まあこっちに座れ食べていけと大人数で盛んに招き寄せる。なんかうちの隣家のパーティには顔を出す気がしないのだが、こっちは時間が許せば寄って行きたいなあと思わせる雰囲気があった。BRの家族はフィジーから来てるのだそうだが、その南洋系の大らかさに惹かれるのかしら。

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■08/07/18(金) □ ヤングコリアンズ夢の1月
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仕事を半分終わらせ、MがESLを教えていたカレッジの卒業パーティへ。今回1月短期留学に来ていたのはプサンの大学の生徒たちだったのだが、4年前の日本のM学院大学生とまったく同じだなあと思う。言葉が違うだけで、表情や振る舞いからは見分けが付かない。日韓の若年文化はそっくりで、非常に幼い。必ずしも悪い意味ではなく、おどけた仕草などみんな本当にまだ子供なのだ。見ていてくすぐったくなる。

 英語でのプレゼンテーションの内容がちょうど萌たち小学校低学年と同等だったのだが、たとえ母国語でもそれはあまり変わりなかったんじゃないかと思えるくらいコドモコドモしていた。

 最後にこの1月の思い出をまとめたスライドショーがあったが、たった1月でバンクーバー周辺の名所をくまなく周っていて驚いた。15年住んでる俺たちでも行ったことがないところまでちゃんと行っている。これはこのプチ留学プログラムのコーディネーターがよほど優秀なのだろう。その人が撮ったのであろう写真も実に見事にヤングコリアンズの夢の1月を捉えていて、つくづく楽しそう。各生徒がもらえるらしいこのスライドはこの上ないお土産だ。帰ってからこれを見せれば、お父さんお母さんたちはお金を出してやってよかったと心から思うだろう。それほどに素晴らしい1月だったようである。

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■08/07/19(土) □ Fort Langley ファームツアー
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 Mのハードスケジュール終了記念、Fort Langley ファームツアー。さほど暑くなくほどよい行楽日和である。

最初にホースパークへ。びっくりするほど広大なパークに馬がごそごそいる。こういうところに来ると北海道のノーザンホースパークを思い出すなと、父さんが北海道で有名な馬を乗りこなしめちゃくちゃかっこよかった話をMにしてやる。Mは感動的だわとたいそう喜んで、今日のツアーはおじいちゃんに捧げることにしましょうというのだった。大学の哲学課程でやった仏教・神道的な概念にかぶれているわが妻は、きっとおじいちゃんもあの世から一緒に来てるわよと喜ぶのである。そうだったらいいねえ、父さん。

 しかし屋内馬場でなにかベーシックな引き綱の技術査定のようなことをやっていたが、期待していた飛越競技はやっておらず他に見るものも特にないので、ぐるっと周って次へ移動。おなかが減った。

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 こないだ通り過ぎたときに感嘆した、あの Fort Langley の町に戻りランチ。フロンティア(日本で言うアーリーアメリカン)調のほんとにかわいい町だ。軒を連ねる商店はみな古い建物を改造したもの。生えている樹木もモコモコした、カナダでは他に見ないポプラ等デカ葉樹木で気持ちいい。同じく古い町であるハリファックス同様町のど真ん中に 教会と墓場があり、その墓場までがかわいいのである。

あまりうまそうな食べ物屋はなく、フィッシュ&チップスを買って公園に行く。ここでこの町の問題点が発覚。蚊がすごいのだ。表通りを歩いているときからいるなーと思っていたが、藪に囲まれた場所ではひっきりなしにガンガンとアタックしてくる。ぐわーたまらん。やはりフレイジャーという大河に面した町なので(橋から徒歩 30 秒で町だからな)、淀みや湿地に無数の蚊が生息しているのだろう。気が付けばプロパンガスを使った「モスキート・マグネット」というものを使っている店が多かった。熱でモスキートを吸い寄せるというのだろうか。謎だ。

しかしその蚊問題以外は文句なく気持ちのいい町で、夕方まで散策を楽しんだ。セラミックの巨大キノコを並べたガーデン品店とか、ブリキおもちゃ屋とかステンドグラスショップ、古い駅舎と見張り台に乗れる貨車などなど、普段見かけないものがたくさんある。俺は郊外住宅地の利便性を捨て切れない小市民なのでメルが言うがごとくここに住みたいとまでは思わないが、リゾート訪問は楽しい。

2008/07/05

日記「夏休みのプロジェクト」

「夏休み初日&パークピクニック」「夏の夕暮れ川遊び 」ほか。

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■08/06/27(金) □ 夏休み初日&パークピクニック
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 放っておけば一日 Webkinz などPCゲームをやってそうな萌を叱咤して、他の遊びやピアノをやらせる。コンピュータを使わせないためには、親が一緒に何かをやってやる必要がある。

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 夕方、Mがこの夏久々に英語(ESL)を教えているカレッジのピクニックへ。途中 Lougheed で大渋滞にはまってしまった。事故かと思ったら、単にハイウェイに入ろうとする車の列が Lougheed を堰き止めていたのだった。夏休み最初のウィークエンド、行楽地へ向かう車で地獄のハイウェイとなっているに違いない。このバンクーバー周辺と、車で何時間もかけていく田舎とでさほどの違いがあるようには俺には思えないのだが(気温は内陸に行けばかえって上がるゆえ避暑というわけでもない)、カナダの人々にとってはこの渋滞を抜けた先にある「人のいない場所」に行くことがバケーションなんだろうな。



ピクニックは萌がウォーターバルーン投げやら綱引きやらのゲームで盛り上がるのを眺め、俺は年配の先生たちにギターを弾き歌を歌ってやったりして楽しむ。ゲームが終わるとあちこちで何組ものサッカーが始まり、公園中がサッカー大会という感じになった。

 メインの試合はカレッジESLの生徒たちが大人数でやっていたのだが、UAEとメキシコと韓国から集団で来ている大学生たちで、これがみなうまい。メキシコはボディシェイプがよく、ボールを足元で動かしながら遠くを見パスコースを探し、UAEは高い身体能力と足先のうまさを見せるという試合で、素人サッカーながら見ていて面白い。

 メキシコの若者がサッカーがうまいのは当然という気がするが、UAEもここまでやるとはなあ。WC予選で日本はバーレーンやオマーンに相変わらず苦戦しているが、やっぱアラブ系は東アジア系より身体能力と基本キック力が高いんだなと実感する。韓国大学生たちはUAEとメキシコの間で脇役になっていた。

 UAEはアーセナルのシャツを着た子供が何人かいた。やっぱUAEの国民にとっては、自国の国営会社名を大々的に冠したこのクラブが誇りなのだね。

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■08/06/29(日) □ FM 2008三年目終了
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 ついに真夏日2日目、今年最初の屋外プールへ。プールに入っていると俺と萌はすぐに冷えてしまうのだが、上がっていったん体を温めてからの噴水遊びは非常に盛り上がった。

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 【FM 2008】ローマとリヨンを粉砕し2年連続CLファイナルへ。強い。相手も2年連続アーセナルでうんざりだが、今のうちならば勝てる。一時調子を落としたのは戦術の混乱であった。プレミアは最終盤にマンUが1試合落とし、こっちは大久保の1発によるドローでしのいで、FM 2008三年目にして初めてのタイトルを決めた。よし。

 しかし暑い。室内で29度だが風がないのでもっと暑く感じる。日本に行くまでに暑さに体を慣らさないと大変だ。FM 2008 はPCに負荷を与えるので、CPUもHDD温度もメーター限度を振り切って困っている。ケースを開けているので、これ以上温度を下げる方法がないのだ。日本の八幡ハウスなんかもっと暑かったわけだが、いまのPCはあの頃よりもクロック10倍で熱量も高いのであろう。

 ま、またCL決勝で負けた。今年もまたヴァンペルシーにやられた。がっくし。駄目だ、ここ一番でアーセナルに負け続けるおまえら West Ham の選手たちにもう未練はない。やめてやる。

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 辞任すると、さっそくリバプールから監督オファーがきた。しかしベニテスが阿呆なことに大金を叩きつまらない選手を揃えた上にCL出場権を逃しており、おかげで今年の補強費はわずか2億(絶句)。これではどうしようもない。うーん。......いろいろ考え、初期化して初年度からリバプールに就任することにした。West Ham とは格が違うチーム力をベースに、この3年の経験を生かし安くていい選手を集め、万年4位を脱し最強チームに育てるのだ。よし。

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■08/06/30(月) □ 夏の夕暮れ川遊び
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 電話番号を知ってる友達をリストアップしていってJTが首尾よく遊べることになったのだが、萌とJTはJDがいないとあまり盛り上がらないようで、妙に静かに遊んでいる。覗いてみると萌は本なんか読んでいる。うーん。JTは賢い子なので俺がバカをやって盛り上げるという感じでもないし。まあ庭で静かに話をしながらクッキングをしてるので、いいのか。

夕方は今度は約束していたDI一家と学校裏の小川を散歩した。こっちのほうがどちらかというと夏の夕暮れらしい楽しさがあり盛り上がった。DIは家族にいろいろと問題があり気の毒な子なので、遊んでやれるときにはできるだけ楽しませてやりたい。ゴムロケット打ち合いとかのバカ遊びを喜んでくれてよかった。

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■08/07/02(水) □ カナダ郊外暮らしの利便性
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 エリオのオイル交換でCTへ。問題は何もなく、クルマは安車でいいからとにかくメンテフリーで走ってほしいという期待に応えていてくれる。オイル交換でエンジンが滑らかで静かでパワフルになった。タイヤローテーションもやってもらい、タイヤの減りが均等化され直進性とショックの吸収性が良化した。ちょっとしたケアで走りに気持ちよさがよみがえる。実際この車のエンジンとATは最高で、Lougheed Hiway で3速に入るあたりの加速は1年経った今もゾクゾクするものがある。2ストバイクにはかなわないが、4スト単気筒バイクには圧勝する快感エンジンだ。

オイル交換が予定以上に長く2時間待ちとなったので、公園で1時間遊んだ後マクドナルドに入る。普段ファストフードになんてめったに行かないゆえ、おまけ付きチキンナゲットなんか買えて大喜びする萌を見つつ、まずいアイスコーヒーを飲む。こうして1箇所に生活必要施設がまとめられ、1ポイントで用事が済むようになっているカナダの郊外暮らしは実に合理的で快適であると感心してしまう。公園のボードパークなんかも、実によくできているしなあ。ありがたいありがたい。


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■08/07/03(木) □ 夏休みのプロジェクト
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 こないだから Zimmer Twins というTVアニメのゲームを萌がやっている。フラッシュアニメの用意された動画を選択し台詞をつけショートストーリーを作るという遊びで、絵を描かなくても簡単にアニメが作れてしまうのがすばらしい。しかも面白いストーリーは実際に声優がセリフをつけオンエアしてくれるというのだからすごい。

 萌は夢中になって作っているのだが、8歳の子供がぱっぱっと思い付きで作るストーリーだからやはりガキ的で、元の絵柄につられたありがちな言葉がつき、ちっとも面白くない。まずいことに保存すると作ると同時にパブリッシュされてしまう仕組みになっており、そうして萌が作った不出来なアニメがもう3本もアップロードされていて、「つまらんつまらんつまらん」といったキツいコメントがついて萌は少しがっくりきていた。

 だったら全部消してちゃんと面白いのを1本作ろうと、俺も一緒に考えてみた。萌が自作したジョークが非常にスマートでよいのでこれをベースにして、ボケ役のブラザーが強力にくだらないジョークを返すという日本の漫才風味を加えると破壊力が出る。ここにくだらないジョークを入れてと萌に注文するとまたいいのができて、いいデキのアニメが完成した。アップロードすると即座にポジティブな反応がきて、「間違いなくTVに出るね」とまでいわれ萌は大喜びであった。よおし。この夏 Zimmer Twins で放送されるというのを、萌の夏休みプロジェクトとすべし。