2016/12/25

クリスマスとベルベット





除雪車がつくったうちの前の雪山を奥様がスロープにして、昨日子供たちに開放してあげた。これはすてきなクリスマスイブでした。




そして今日親戚の集まりがあり、クリスマスの行事全終了、疲れた。クリスマスというのは朝からスコーンとクロワッサンとチーズ、夜はターキーとローストベジタブルとケーキと一日中リッチなものを食べるので、味覚的にもくたびれる。帰宅して一つ食べた日本のお母たまが送ってくれた明治板チョコのシンプルな味がしみじみとうまかった。




クリスマスの夜リビングで夜更かししていた娘が、「ベルベット・アンダーグラウンドってどこがいいのかわからない」という。「そうか。やっぱジェネレーションで耳って違うんだろう。たとえばさ、ビーナスインファーズの後ろでずーっと鳴ってるバイオリンを聞いたとき、私はすごいと思ったよ。

オールトモローズパーティのメロディも、何度聞いてもどうなってるのか分からない不思議さがある。パーティに着ていく服を思い悩む子という歌詞を知った時もガーンときた」と話すと、娘はささっとそれらの曲を聴く。「そう聞くと、そんな好きじゃなくてもなるほどと思うでしょ」「うん」

「それがクリティーク(批評、評論)というものでさ、ムスメはロック批評を読むべきなんだよ。私たちは今の子ほど音楽をたくさん聴けなかったけど、本を読んでたわけ。知識を得ると頭のサーキット(回路)が開いて、いま言ったような音や詩のすごさが耳にビビビと飛び込んでくるようになるのよ。

好みの曲を探したくさん聞いてるだけじゃ開かないサーキットがあるんだ。若い人は批評や文学を読むことが必要なんだよ。ネットでこれはすごいと思う人を見つけてもいい」てなことを話すと、娘は久しぶりにちゃんと話を聞いてくれたのです。やっぱりホーリーナイトは違うな。メリークリスマス。

2016/12/22

【Xbox360】フェイブル2 - 洋ゲーが動かすエモーション

(ネタバレは特にありません)

●初英国 RPG の独特のノリ
●フェイブルの町暮らし
●洋ゲーのメカニクス不足
●洋ゲーが動かすエモーション
●旅の終わり



●初英国 RPG の独特のノリ




Xbox 360 の良作 RPG と言われる【フェイブル 2】をプレイした。最初は冬の町やキャラの造形が暗く重苦しいなと思ったのだが、自分スパローが無口で、お喋りで行動的なお姉ちゃんのリードで物語が進むのだと徐々にわかってくる。なるほどねと初の英国ゲーのノリに慣れ、盛り上がってきたところでストーリーが急転する。絵もストーリー運びのリズムもやっぱり、日本の RPG とすごく違うな。



そして時代が移り、俺スパローは大人となって知らない村で目覚め冒険が始まった。昼間の風景は Wii ゼルダより数段美しい。さすが Xbox 360。しかし前にやりどちらも中途で飽きた「キングダムオブアマラー」「オブリビオン」同様、やっぱり洋クエスト式 RPG はどこかへ行って指示を果たし帰るお使いゲーだなと感じさせる。

◆A 地点に行き X に会う(道中ザコ敵多数)
◆X に言われ B 地点に行く(道中ザコ敵多数)

の繰り返しなのだ。戦闘は山の中の弓矢戦、線路の陸橋を敵を追いつめての剣戟と舞台設定に工夫があり、コントロールのレスポンスが良く気持ちいい。台詞脚本と声優がうまいのでその辺の品質も高い。しかしプレイヤーが基本やってることは移動→人の話傾聴→戦闘だけで、ストーリーは人々が喋るテキストの中にしかない。この構造はアマラーと同じだった。

●フェイブルの町暮らし




主人公の基点となる大きな町バウワーストーンでの生活は楽しかった。鍛冶屋のバイト代や探索で得たものの売却益を武器宝石の転売で殖やし(貧しい街で高額なものを買い、富裕街で売ると倍以上になるとネットで教わった)、不動産に投資して家賃収入を得る。このシステムが回り始めると十分な定収になるので武器や服は不自由なく買え、安心してストーリーを進められる。こういう仕事はボードゲームの拡大再生産と同じ楽しさで、ドラクエの昔からこうしたちまちました小さな工夫による環境改善が RPG はやっぱり楽しい。

そしてこのゲームのハイライトといえる結婚も悪くなかった。はっきりいって町中のガールズが同じ服で同じ顔なのだが、とりあえず仲良くなった仕立屋ビクトリアさんを町の外にデートに誘い出してみた。こんなきれいな野山を、このむさい長髪でカイゼル髭の俺が君のような女の子と歩くだなんて。うれしい :-)。いやー英国訛りもかわいいよキミと結婚を決意。

結婚にはゲーム上のメリットはないのだが、冒険の合間合間に家に戻って配偶者に会うのは癒される。長く留守にしたらビクトリアさんにはなんと離縁されてしまったのだが、二番目の奥さんは大事にして最後まで添い遂げました。



町暮らしに慣れた頃バウアーストーンの旧市街を歩いていて高台の一角にきたとき、あ! と声が出た。 ここはローズ姉ちゃんと子供時代を過ごしたあの貧民街だったのか。俺はまったく気づいてなかった。そうか…。胸がきゅっと痛む。俺はずっとここで暮らしているわけにはいかないと思った。旅に戻らねばならない。


●洋ゲーのメカニクス不足


娘が小学生だった5~6年前、遊びに行っていた友達の家に迎えに行ったらその家のゲーマーお母さんが Xbox 360 のコントローラを持ったまま玄関に出てきた。ちょ、ちょっとどんなゲームやってるか見せてくださいよと上がり込んで、美麗な中世 RPG を見せてもらった。オブリビオンやスカイリムではなかったので、あれはひょっとするとフェイブル3あたりだったのかもしれない(後日フェイブル1だったと判明!)。



Xbox 360 購入時のモチベの相当分が、あのとき見せてもらった  Xbox RPG の美しい 3D 中世都市光景の中で俺も遊びたいというもので、バウワーストーンはそれに近い。この橋の下の景色など美しい。なのだが実際に来てみると、Xbox の町歩きに案外高まりを感じない。なんでかというと、前述の序盤の経済基盤づくり以外ここでできることがそんなにないからなのだ。

洋 RPG は町でやることがあまりない。リアリティを重んじるので他人の家でものを探すと泥棒になり罰せられるし、ドラクエみたいに住民の声を拾い集めて次の行動のヒントを得る場所にもなっていない。つまり町には謎解きや探索といった要素がないので、どの町に着いてもショップの品揃えをざっとチェックしたあとは、建物を眺めぶらぶらと歩く以外することがないわけ。総体的なエクスペリエンスはゲームというより、TV で街歩き番組を見てるような感じなのだ。



そして、洋ゲーの建造物は緻密できれいだが、開発簡易化のためモジュール化されていて味気ない。建造物は既成パーツを組み合わせただけと思われ(知らんけどおそらくそう)、どの建物も色と間取り以外は同じなので、無数の家を購入したが途中から中に入ることさえしなかった。



日本 RPG の建物は、デザイナーのパッションが注がれたゲームアートとなっている。FF7/9 などには、機械文明が異形に発達した松本零士や宮﨑駿の日本オルタナ未来の系譜がやはり感じられる。そしてそこにはアイテム探しなどやることが仕掛けられているわけで、町の規模は小さいがプレイヤーとのインタラクションが濃い。あれは日本ゲーム製作者のサービス精神の賜だよな。洋ゲーの町は、そこまでの手間暇がかけられているとは感じられないのだ。



フェイブル 2 の風景は多彩で美しい。沼に沈む村あたりのこの風景なんかうわーとなった。なんだこれは廃スキー場かと。しかしこの鉄塔と付近の建物を調べても、何も仕掛けがない。この先の道は行き止まりなので、ゼルダなど日本ゲームなら謎を解いてこの廃リフト的なものを動かし、湖面を渡るなどの達成感を与えてくれるだろう。そういうプレイヤーが考えて何かをすると何かが起こりゲームが進むという「メカニクス」を、洋クエスト式 RPG ゲームは著しく欠いている。

誰かに会ったり敵を倒せばゲームが進むのは単純なフラグ消化であって、クエスト式洋 RPG はそれだけでできてるようなものだ。なんでメカニクスがないかといえば、脚本と声優演技で作れないものは作るのに大きな労力がかかるからだろう。景色も建物も美しいけれど、それを眺め記念写真を撮り通り過ぎていくイベント性の薄い旅が、洋式クエスト型 RPG だと感じるわけです。

洋 RPG で徹底して手がかけられているのはテキスト(文字)で、人物が喋る脚本とその演技はすばらしいし、読んじゃないがどのゲームも膨大な書物がゲーム内に置かれている。そうした製作者がテキストで表現できる部分は中二的にとことん凝っていると感じるのだが、俺はコントローラで動かす自分のキャラで物理的に世界に働きかけたいわけ。だからゼルダはやっぱり最高だと思うし、石を動かして洞窟を発見するという程度のアクションでもドラクエには興奮するのである(※)。

(※)フェイブル 2 でも、サブクエストには建物の中に隠しスイッチがあったり島中にうまく隠された宝箱20個を探し出すなど、メインクエストよりゲームっぽいメカニクスが仕掛けてあって楽しかった。スーファミレベルの簡単な仕掛けでも、考えて進められることが楽しい。メインはプレイヤーが詰まることがないように謎解きなしになってるのかな。

 

 ●洋ゲーが動かすエモーション


途中までメインストーリーは謎の指示者テレサが無線で言ってくる用足しをこなすだけで、正直退屈だった。どんな遠くからでも指示を脳内で囁くテレサという指示者は、このゲームの興を大きく削いでいる。ゼルダシリーズで主人公にまとわりつき用でもないことを話しかけてくる精霊系の相棒たち(ナビィ、舟ライオン、ミドナ、ファイ)より鬱陶しい。ちょっとは俺に考えさせてくれよと思う。



しかしブラッドストーンという大きな港町で、最後の味方メンバーとなる男リーバーを勧誘するところから、メインストーリーがガタンと意外な方向に動き出した。意外な展開は RPG のお約束なので意外性には驚かなかったが、プレイヤーの胸をつらぬくエモーションの強さにたじろいだ。洋ゲーは和ゲーと目指すところが違う。

娘が小さな頃 FF7 を一緒にやり、心温まるあるシーンで「わたし、ショックだよ」と言う彼女に「それはショックじゃなくて、感動してるんだよ」と話したことがあるのだが、そういう柔らかな心には洋ゲーがときに見せるこういうエモーションは、苛烈すぎるかもしれんと思った。まあだから洋ゲーは大人指定なのね。

そしてエンディングへ。戦いの最後は短いものだった。しかしリーバー勧誘からあとの時間のすべてが実は、この物語のエンディングだったのだと思う。その時間に心が貼り付いている。皆と別れ、桟橋で俺スパローは呆然とする。ちょっと泣いてたかもしれない。そして自分の望みが本当にかなったのかどうか、それを知るためにまた世界を巡りたいと思った。


この胸をつらぬくエモーションの大きさ強さが、洋ゲーの力だと思う。「バットマン・アーカムシティ」を終えたときにも、心には感動というよりジャリっとしたエモーションが残った。洋ゲーにはドライで抑制された詩があると思った。


2015年4月「バットマン・アーカムシティ終了」




●旅の終わり


メインストーリーが終わったあとも、サブクエはたくさん残っている。それを消化していて、ある女性を惚れさせてから振ってくれと依頼された。その子に会いに行ったらいい子だったので振るのをやめるという選択をしたら、彼女と結婚することになってしまった。まあ仕方がない、これも人助けだ。善行ばかりしてきた俺様スパローの頭には天使の輪がついている。

でホームタウンに帰ると何も知らないはずの俺の息子が、「最近ダディはマムに冷たい」とか言い出してドキッとする。ななな何を言ってるんだお前! 俺は自分の選択をめっちゃ反省し、ゲームをリセットしたいと思いました(汗)。

まだいくつかサブクエは残ってるが、このへんで終わり次にいこう。面白かった。メインゲームだけのデキで言えばそんなに高い点はつかないと思うのだが、前述の「リーバー勧誘からあと」の時間や今日の息子発言ギクリのように、これまでやったゲームではなかったような経験をいくつもさせてくれた。記憶に残るゲームとなりました。星をつけると★★★★★ ★くらい。



俺のフェイブル 2 感想ツイートにずっと伴走していてくれたのは三多摩でバンドをやってた頃の友人なのだが、当時はお互いがゲーマーだなんて知らなかった。遠くからハローと微笑みだけ交わしてた。気の合う友だちとすれ違っただけでわかるようになるという清志郎の予言は、ネット以降の世界で実現している。

2016/12/17

大雪のハリソン・ホットスプリングス



今年のBCは5年ぶりくらいの寒波で、ちょうど近くのハリソン温泉を予約していた12月の第二週末に大雪が降ってしまい、困ったことになった。初日(↑)は道が最悪な状態でキャンセルせざるを得ず。12月の遠出はリスク高いよな。道路事情が考慮されキャンセル料は発生しなかったが。



二日目にはハリソン周辺の除雪が完了したとのことでSH姉の車に相乗りし向かったのだが、その日も夜も振り続け翌日は一面銀世界。そりゃ美しかったが、しかし帰路が…(笑)。帰れるんだろうか。


近年の家族旅行は甥のMK青年の子供たちが団欒の中心となっている。温泉の中で雪合戦をして楽しそうでした。

このハリソン温泉に行くたびに、実家近くの信州小布施の露天風呂は温度も眺めも最高だったという話になる。ハリソンはやはりカナダ人向けなのでぬるいのよね。そこにビール飲んで酔っ払った会社員の団体がヒャッホーと入ってる感じ。雪見風呂は悪くなかったけど、ぬるいしうるさいしで今ひとつ温まりきれなかったです。

ボードゲームもいくつか持って行った。大人には簡単ルールで絶妙な駆け引きが楽しめる「ボーナンザ」。経理士をやってるSH姉は取引と小さな決断が連続するこのゲームのメカニクスをすぐに理解し、非常に気に入ってくれた。これはほんと傑作です。

4歳5歳の小さな子供たちには「ブロックス」。角と角が接しなければならない(辺と辺は接してはならない)というルールは難しく子供には無理なので、テトリスみたいに隙間なく組み合うように置けたら OK というルールにして、けっこう盛り上がりました。

結局行きに乗せていってもらったSH姉は大雪による道の凍結を心配し、延長してその夜も宿泊。うちの一家は4駆のMK甥の車で帰宅することになった。めったにこんなには降らないBCだけど、たまに降るからみな4駆に乗るのね。

    ◇  ◇  ◇



そして帰るとクリスマスの準備。軒下にクリスマスライトをつけていると、つららが美しいことに気がついた。



去年はクリスマスツリーを立てなかったので、猫のピカには初めてのツリー。「なんすかこれ? 木? 家の中に木? 急に?」と彼はえらい興奮し、一晩中ツリーに張り付いて匂いをかぎ枝を噛みツリーで遊んでいた。無茶して倒さないでくれよ。



クリスマスは普段見ない珍しいものがいろいろあるので、ピカが狙っております。やめろ(笑)。彼の手が届く高さのクリスマスツリー飾りは、みんな高いところへ移動せねばならない。はは。

2016/11/24

ムスメ演劇部ショー





ムスメ演劇部のショーを見る。晩飯またぎの夜練や土曜出までするという彼女が経験したことがないほど真剣な部活だったのだが、その甲斐があるデキだった。部活いいよな部活。

カナダ中高の演劇は日本のあの不自然なほど滑舌がいい舞台用演技はやらず映画TV風演技なので、うまい子なんかすごいな即プロ戦力だなと思うが、声が小さくて台詞が半分以上聞き取れない。

なので終わってから「あれはどういう意味だったの?」とストーリーを解説してもらった。ああそういうことか、なーるほどね。「最後のあいつのスピーチはよかったね、あいつはなりたければプロになれるよね」というと、「he's my friend!」とすごく喜んでいた。そうかいい友だちを持ったな :-)

200年前のロンドン貧民街を舞台にした芝居で、みんなちゃんと英国訛りで芝居をしていた。これもうまい子とそうでもない子がいたが、やればみんなそれなりにできるんだなあと感心しましたで。ワイはたとえば関西弁で芝居なんてできまへん。

 娘は持ち台詞の少ない群衆の一人だったが、ステージにいる間は切れ目なく表情で演技していてその真面目さが非常によかった。生き生きとしていてビジュアルインパクトもあったと思う。



しかし XZ-2 のレンズの明るさとブレ防止の強力さにはたまげている。



ライトが当たるステージ上は 63mm 1/60s ISO200で楽勝。



この薄暗さでさえ 72mm 1/15s ISO1000 で楽勝。うちの M4/3 の PEN E-PM1では、この暗さでブレずにはまず撮れないと思う。夜間撮影ではコンデジなのにこっちが完勝なのであります。いやはや。

2016/11/18

青春のペイン




いろいろと悩み多き年頃の娘にディランやジョン・レノンを聴かせ、サリンジャーとか読ませようとあれこれ画策している策謀家の父である俺。おのおの、抜かりなく。

娘に読ませたいおすすめ図書を借りてきた。「なんすかこれ」。ライ麦畑のキャッチ君だよ、有名だろ知らないのかよ。市営図書館の司書さんは、『これを課題で読ませる高校があるのよ。議論を呼ぶところよね』と眉をひそめていた。保守寄り司書さんなのだろう。私はこの図書館のおしゃれ司書さんとウクレレ部リーダー司書さんのファンです。

ライ麦畑のキャッチ君はロック詞のようにリズムがあり読みやすい。それこそこれを近年訳したという村上春樹を読んでるがごとくすいすいと読める。しかしペーパーバックは日本の文庫本よりも紙質が悪く、字と地のコントラストが低いので読みにくい。文庫本で読みたいですわ。



こないだ聴かせた「マインドゲームズ」に娘はピンとこなかったようなのだが、今朝かけた Mother、Isolation、God の「ジョンの魂」主砲3発は届いた気がする。助手席の彼女の顔を伺ったりはしなかったがこの歌詞の一字一句が、青春のペインに届かないわけがないなと思った。

「Mother」を聞きながら娘に話す。「私は子供の頃、ジョンのソロはよくわからなかったんだ。彼が亡くなったとき友だちのフォーク野郎がわーわー泣いてね、彼の家でこのアルバムを聴かせてもらったんだ。なんだかわからないがすごい歌だと思ったよ」。

数年前帰郷したときに、そのフォーク野郎父娘と夏祭りで出くわした。髪ボサボサで若干フーテンな俺をいぶかって彼の娘が「誰なの誰なのー」と訊ね、俺が代わって答えた。「私とお父さんはバンド仲間で、君のお父さんはカッコいいフォークシンガーだったんだよ」。嘘だーと娘さんうれしそうだった。

2016/11/07

ゼルダの秋



猫のトイレを掃除していると、必ずご利用の本人がやってきて俺の足に背中をすり寄せゴロゴロいう。これは感謝されてるんだよな明らかに。いや礼には及ばんよ。写真はリビングの置き猫となっている利用者。福を招いておくれよキャット。



冷えてまいりました。こないだゼルダ「風のタクト」の感動のフィナーレを迎えたのだが、すぐさまうちの Wii/Gamecube 環境でやれる残りのゼルダ、「時のオカリナ」を買ってきた。ファンクラブかなにかで配布されたという非売品にしてシルバールピー級(たぶん)の希少品、「ゼルダコレクション」をゲットしたのである。『初代ゼルダ』『リンクの冒険』『時のオカリナ』『ムジュラの仮面』が入っております!

 『時のオカリナ』はさすがにこれくらい古くなると、絵とコントロールがつらい。N64 のゲームだから PS1 と同世代だろうと思うけど、FF7 あたりより絵も動きも古くて目が疲れる。『時のオカリナ』からわずか4年後の『風のタクト』の絵の美しさ、リンクの表情の豊かさは画期的だったんだろうなと改めて認識した。Gamecube シーン自体が PS1/2 の陰に埋もれてたのかもしれないが、『風のタクト』の美しさは永久に語られるべきだと思う。

 しかし『時のオカリナ』のデモ画面でわかったのだが、『トワイライトプリンセス』のハイラル世界はこのゲームのハイラルが元になっていたのね。そこはリバースなつかしくてうれしい感じ。最初の村も似た雰囲気。

 木の神様を訪ねて最初のダンジョンへ行くと、これより新しいのを3つやってゼルダ文法とコードがすでにわかっている俺たちがやっても、しばし詰まるくらいの謎が最初から仕掛けられている。偉大だなあゼルダ。デクツリーから石を託され、ハイラル城へ行けといわれる。さっそくか! ワクワク。




この2枚はハロウィーンの夜、新カメラ XZ-2 の暗所性能テスト。ほぼ真っ暗でフォーカスも合わなくても、1/5s でとにかくブレないのがすごい。交換レンズ式のミラーレス一眼よりも、レンズ固定のコンパクトはブレ防止機構をアグレッシブに効かせられるのだそうだ。

2016/10/26

【MLS】ホワイトキャップス/2016 年シーズン大敗のまとめ


(whitecaps.com)


10 月 23 日、バンクーバー・ホワイトキャップスの 2016 年シーズンが終了した。上位チーム(――というか東西6位までの過半数12チーム――)はこれからプレイオフで盛り上がるのだろうが、キャップスは西地区8位で3年ぶりに進出ならず。工藤とわたくしにとっての MLS 初シーズンは、予想を大幅に下回る苦闘となりました。

①夏のチーム崩壊のあらまし
②工藤が機能しなかった理由
③工藤の去就




①夏のチーム崩壊のあらまし


6月にシーズン前半まとめ「工藤加入からここまで」を書いた時点では、「ロングボール主体で FW にはきついチームだが、新加入コスタリカ代表ボラーニョスがリーダーとなって無駄なロングボールを減らし、つなぐサッカーを進化させていくだろう」と思っていた。そしてシーズン終盤には工藤の怪我も癒え、プレイオフで見どころを作るだろうと希望的観測を抱いていた。

ところが、工藤は大怪我からわずか2ヶ月の7月に驚きの早期復帰を果たしたものの、チームの方が夏になり気候が厳しくなると大スランプに陥ってしまったのである。そこからついに立ち直ることなく2ヶ月間1勝8敗3分けという、驚異的なスランプで2位から9位まで転落してしまった。工藤はシーズン通算わずか2点。というかストライカーは5人全員今季通算2点ずつ(笑)。プロサッカーチームとして記録的な非生産性だろうこれは。

              Ousted
Aird, Waston, Parker, Harvey
         Laba,  ★Morales
Bolanos,  Mezquida, Techera
              Kudo
(工藤が先発で出ていた頃の基本フォーメーション・4231)

チーム崩壊の目に見える要因は主将モラレスの不調だった。チームの司令塔であるこの攻撃的ミッドフィールダーは明らかに脚のどこかに不具合を抱えていて(※ちょうど今日26日、「ずっと痛みを抱えながらプレイしていた」とインタビューが流れた)、夏以降走れず反転できず運動量が激減していた。ドリブルは一切せず遠くから浮き玉のパスを送るばかりで、ラストパスを出すべき司令塔がハーフラインより後方にいては実効性ある攻撃などできるわけがない。FW は後方深くから飛んでくるロングパスを収めて潰されるか、無理にシュートに持って行き吹かすのみ。もともと涼しいバンクーバーに在し夏場を苦手とする運動量頼みのチームでもあり、モラレスに足を引っ張られ為す術ない敗戦が続いた。

モラレスの代わりに運動量のある MF を出すだけで連敗は脱せるとツイッターのキャップス TL は騒いだのだが、監督は彼のロングパス精度がどうしても必要と考えるのかポジションを変えては出し続けた(※チーム周辺のメディアはみな監督と友だちなので、モラレス重用の理由という核心に突っ込むことは最後までなかった)。優秀なリンク役となるはずだった工藤の大怪我、工藤と合う技巧派エース・リベーロの移籍、ドリブルもパスもできる MF ボラーニョスのコパアメリカ遠征が同時期に重なったのも、チームがフォームを崩した理由だろう。

ホワイトキャップスがストライカー泣かせのチームだったことは MLS の統計にも出ていて、シュートにつながった「キーパス」数でボラーニョス以外の AMF は他のチームよりも大幅に低い数値を残している。ST に一番近位置にいる AM メスキーダはうまいが小兵でつぶされやすい上にパサーではない。後期唯一勝てたが内容ナッシングだったコロンバス戦ではショートパス数が 400 対 200 と相手の半分で、いかにパスをつながないチームであるかを示していた。なんせアシスト数はリーグ最少ですから(リーグ最高64平均45に対し25!)。

工藤は加入時「チリ代表のパッサー(モラレス)がいるのでボックス内でフィニッシュを頼む」と呼ばれたそうだが、実際はロングパスしか出せないモラレスたちが工藤たち FW を苦しめたのだった。この縦ポンサッカーに多様性を加えるためにロボ監督は工藤を取ったのかもしれない。前半期の工藤は出れば必ずワンタッチでシンプルにつなぎ、ボールを渡さず敵の意表を突いて点を取ろうというリズムを作っていた。しかし成果が出始めさあここからというタイミングで工藤は大怪我をしてしまったわけである。

②工藤が機能しなかった理由


工藤が機能しなかった主因はかように生きたボールを供給できない中盤(――究極的にはモラレス中心のサッカーを直さなかった監督――)にあると俺は考えるが、しかし工藤自身にも可能性を感じさせるものは少なかった

工藤の長所は動き(位置取り)とタイミングで敵をあざむく意外性にあると思うが、動きの中で足元にパスをもらえないので、トラップ一発で DF を外しシュートという得意の形には持っていけない。浮き球を収めたり、ゴールから遠くへ開いてボールをもらってからがキャップス FW の仕事なので、いったん人もボールも止まりマーカーがついた状態からぐわっと大きくボールを動かし DF を交わさねばならない。香川だってマン U でサイドから単独突破なんかできなかったように、そうしたお互い意図がわかった上での速筋の強さ稼働幅のデュエルとなると工藤に限らず日本人は厳しい。そういうシーンで互角にやれるのは今は原口くらいじゃないかと思う。

スピードやトリッキーな足技のあるタイプではない工藤は、一瞬の動きでの意外性を(味方のビジョンのなさゆえに)封じられるとボールを持っても前方にアタックすることはできず、後方へ安全につなぐことしかできない。前半期のようなワンタッチの攻撃的なつなぎをやらせれば彼はチームの FW で一番うまいが、後半期は近くにボールを持ってきてくれる選手がいないので本当に何もやりようがなかった。工藤の周りには相手 DF しかいなかったのだ。


チームが無策不調で何もできないならどうすればよかったのか。シュートど下手な FW ハータードは点を取る代わりに死ぬほどプレスしてボールを奪う。ベテラン FW ペレスはボールをくれと大きな身振りでアピールし、こないなら定位置を放置して中盤に下がりボールに触りゲームを作る。日本人 FW が海外で成功しないのはこういう「ジェスチャー(態度で示す意思)」が足りないからだろう。自分もプレスして守備を助けるから、なんとかしてボールを運んできてくれ、ボックス内で勝負させてくれというアピールを工藤にしてほしかった。しかし工藤はただ黙々と、もしボールがくれば機能する仮想位置に走り込むだけだったのである。モクモクじゃダメなんだよ工藤。こんな血行の滞ったチームでは何かを表現しないと FW は印象点が下がるだけだろう。プレイへの関与が少なく評価のしようがない後期の彼の、出場機会は減っていった。



シーズンを通じて「工藤は決定力がない」と日本のファンには信じられないような評価が付いたのだが、シーズン最後の出番となったサンノゼ戦で GK に止められた2つの決定機(1'50 と 2'50)が、工藤の今シーズンのプレイを表している。どちらも偶発的なチャンスで、打つしかないタイミングで打つも止められたシーン。MLS の GK はリーチが長く反応がよく、手が届く範囲のショットはホッケーのゴーリーのように確実に弾く。

こういうのを決められなかったことで工藤は批判されていた。たしかにどちらももっと強く低く打てたら入っただろうが、DF に囲まれ動きは限られ、他にやりようがないようにも見える。何よりもチャンスが消える前に打つしかないので、工藤は GK のタイミングを外せない。こういう GK 有利のハーフチャンスが、工藤たちホワイトキャップスのストライカー陣が得ていた決定機なわけです。決められたら偉いが、決められなくてもまあ普通そうだろうなと思うようなハーフチャンスが1試合に数回やってくるだけ。工藤がゴールに向かいながら体重を乗せてフルパワーで打てたシーンは記憶にない。結果として FW 全員シーズン通算2点となったわけである。

【追記】議論の一環で俺が「キャップスはフィードの質が低い」と書くと、「実際枠内シュート数はリーグ最多だけど?」という反論が返ってきた。いやそれで点が取れてないんだから、つまり GK が止められるシュートしか打ててないという統計ではないか。しかしかように数は打てているから、監督は「チャンスは作れている、あとはフィニッシュの精度だ」という選手の技量に結果を丸投げする言い訳をできる。その監督を批判する声もない。ホワイトキャップス周辺全体に、「得点力はストライカーの力次第、決められない安い ST しか買わないフロントが悪い」という馬鹿げたストライカー観がある。

こういうハーフチャンスだけで判断されては FW は苦しいだろうが、それをどうにかねじ込んでいれば工藤に流れがきたかもしれない。それがサッカー物理的に可能だったかどうかは、打った本人に聞いてみないとわからない。

工藤も秋ごろには待っていても状況は変わらぬと悟り、「ボックス内にいてもボールは来ないので自分で下がってゲームを作ったり、ドリブルに挑戦したい」とインタビューで語っていたのだが、その後 MLS での先発は2試合しかなく顕著な変化を見せることはできなかった。

 ③工藤の去就


ホワイトキャップスは最終戦、ライバル・ポートランドを相手に手も足もバチバチ当たる火の出るようなプレス戦を仕掛け、4点を取って数カ月ぶりの勝利を得、8位に上がりシーズンを終えた。こうしてインテンシティ勝負で敵を殲滅するのがやはりこのチームの原点なのだろうと思うような快勝にスタジアムが湧く中、工藤の出番はなかった。このようなにホッケー的攻防になると、フィジカルで秀でたところのない工藤は出ても置いて行かれるだろうというのは予想がつく。プレミア時代の中田英寿がそうだった。




3ヶ月外れ続けたが最終戦で見事ハマったこのフィジカルなサッカー、多人数で直球勝負をかけて攻め先制点をもぎ取ればよし、先に失点をするとダメというのがロボ監督のサッカーの基本なのだろう。熱血漢の彼はファンに愛されており、その戦術への批判は驚くほど少ない。

司令塔モラレスの退団は決まっており、FW へより良いボールを届けられる優秀な AMF がくるかもしれない。しかしロングパス好きはチーム全体のクセであり、ウェールズの守備的 MF 出身の闘将タイプであるロボ監督自身が、FW に入るボールの質には拘っていないという印象を俺は受けている。『中盤をビルドアップしてボールを運び、ストライカーにいいボールを届けよう』と考えているようには見えないのだ。無駄なアーリークロスは一向に減らさず、ボックス内で待ち受ける FW を無視してミドルシュートを打つ AMF たちが指導されることもなかった。FW の仕事を助けるための戦術的努力は何もなされていない。

ストライカーに点を取ってほしいなら、前に運べないモラレスとパスを出せないメスキーダを外し、どちらもできるボラニョス(コスタリカ代表の名手)をトップ下に置けばいいのだ。実際一度だけボラニョスを試し完璧に機能し彼からボックス内へのスルー連発になったのだが、よりにもよってロボ監督はその試合で工藤を出さずシュート下手なハータードを90分出し負けた。この試合を見て俺は、この監督はやはり工藤のことがわかってないのだと思いました。

ホワイトキャップスのファンは「このチームにはもう何年も点を取れる真のストライカーがいない」とぼやくのだが、他のチームの FW は技術を発揮できる状況を作ってもらっており、キャップス FW にはそれがないというだけの話である。これは大スランプの後期に限ったことではなく、得点不足に苦しみ移籍した前エース・リベーロの時代からこのチームの FW は、攻撃意図を読まれて速筋勝負のしんどいデュエルだけをやらされている。何年もストライカーが満足に点を取ってないならそれがロボのサッカーなのだ。俺はこうしたことをツイートし英語記事 (Gambare Kudo) まで書いて工藤に代わりアピールしたが(メディアの何人かは読んでくれた)、彼の助けになるわけもなかった。

 ロボ監督は 2020 年まで変わらず、チームの強みはフィジカル/インテンシティ勝負にある。そして今期の成績低迷を受け、年棒億級の「大物ストライカー」を取るとオーナーは約束している。来季ホワイトキャップスで工藤が置かれる状況がよくなるのは期待しにくいというのが衆目の一致するところで、メディアは工藤の契約継続を疑問視している。



Jリーグで一流の実績を持つ彼が「MLS では通用しなかった」とされるのは悔しいことだしフェアだとは思わないが、これは事故の怪我で失った2ヵ月のせいでもあるわけで、明らかに持ち味と合わない速筋ホワイトキャップスに固執せず次へ行くのが最善だろうと考える。来年も契約は残っているそうだが、「もし他のチームからオファーが来たら移籍も考える」と工藤は直近の日本語インタビューで答えている。


他の MLS チームに行きJストライカーの力を示してくれたらうれしい。どこのチームでもホワイトキャップスよりはボールをつなぎ FW に良いボールを供給している。しかし MLS に目が慣れた俺が今Jリーグを見ると、やはりパスと組み立ての質が高く MLS より面白いと感じるのだMLS の選手の能力はJよりも高いが、崩しの意外性はまるで及ばず直球勝負ばっかなんである。意外性こそ工藤の最大の持ち味であり、MLS のどのチームに行っても柏時代ほど工藤の能力が活きることはやはりないだろう。

ならば。Jリーグも巨額スポンサーマネーで改革が訪れるそうだし。欧州ビッグスターも来てJ創設期以来の大フィーバーが巻き起こるやもしれず。工藤は柏に戻ってタナジュンとともにレイソル黄金期を取り戻すもよし! 「柏から世界に!」っていって出て行った連中はみな帰ったし(笑)!

私はそう思います。現場からは以上です。◆

P.S. あ、柏から世界にの酒井はまだドイツで頑張ってたか、ごめん :-)

おまけ。工藤のホワイトキャップス・ベストマッチ、オーランド戦。





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2016/10/22

レンズ明るい XZ-2

『今週は嵐が連続でやってくるのでくれぐれも注意を』」と市から通達が届き、ろうそく・充電池・ランプにラジオと万全の支度をしておいたのだが、ありがたいことに進路がそれてくれ、雨と風が少々きつい程度で済んだ。バンクーバーアイランドの方はかなりのハードヒットだったらしいが。



いやはや助かったと外を眺めていると横に猫が。「いやー私も心配しました。大山鳴動ネズミ一匹というやつですな」。うるさいよ(笑)。


(左)PEN+SIGMA 30mm (右)XZ-2
この写真はとっさに撮ったのでフォーカスが猫に来なかった失敗写真だが、実は愛用マイクロフォーサーズ・オリンパス PEN E-PM1 ではなく新しいカメラで撮っている。オリンパスの高級コンパクトカメラ、XZ-2 という。

実は夏に PEN の標準ズーム MZ14-42mm が壊れてしまい困っていたのだ。19mm と 30mm の単焦点2本はあるが、やっぱり近くから遠くまで撮れる標準ズームの不在は痛い。

カナダでは中古のレンズなど手に入らず、レンズ付きの本体を中古でもう1台買うより他に MZ を手に入れる方法はない。同じカメラを2台買うのは馬鹿げているので型の新しい E-PM2 に移行すべきかとも考えたが、これが品薄で高い。まいったなあ…と探しているときに、XZ-2 が中古で売りに出たのだ。マイクロ本体をもう1台買ってもゲイン(得られるもの)はないが、このコンパクトを買うとこれまで撮れなかったものが撮れる。これだ! となったわけです。





 このカメラはレンズがすごい。28mm~112mm で F1.8~F2.5F1.8 といえば M4/3 標準ズームの 3.78 倍の明るさである(だと思う)。M4/3 では暗くて撮れない場所で写真が撮れる。夜目にも美しい寝室の棚の RZ250。そしてこの猫のヒゲを見れば、解像力は M4/3 の標準ズームを上回っているのがわかる。描写の線の細さは俺が持つ単焦点の SIGMA 19mm F2.8 のレベルにある。すごい。




図書館のウクレレセッションでは 1/80s でらくらくと、向かいで歌うリーダーの表情まできっちり解像している。レンズが明るいのでコンパクトでも背景のボケが得られる。室内ではもう PEN に完勝なわけ。

こういう明るいズームレンズを安価に作れないのが一眼の謎なところで、オリ 12-40mm F2.8 は定価千ドルを超えるし、F1.8 なんてレベルの明るさのズームは存在しない。他のフォーマットは知らないが当然もっと高いだろう。センサーが大きければ大きいほど、よいレンズが安価には作れないらしいのだ。



 車での移動中、信号待ちで窓越しに景色を撮ることが多いのだが、このレンズの解像力と PEN 標準ズーム(換算 84mm)よりもう1段長い 112mm の望遠力ははっとする感じをよく捉えてくれる。拡大すると遠景の建物の窓や鳥たちがちゃんと写っている。



コンパクトカメラはまたどういう理由かマクロも強く、望遠端で近距離の草花を撮るとこんな絵が出ちゃう。うわ。このレンズがついてこの画質が手に入るので、M4/3 を使う理由がかなり薄まってしまった。手持ちの M4/3 SIGMA の 30mm F2.8 は同社 19mm よりもさらに良い素晴らしいレンズなので、気合を入れて撮り比べれば PEN+SIGMA 30mm が勝つが、画角自在のズームでこのクオリティの写真が撮れてしまうと、やっぱり便利さで圧勝なわけ。




というわけで、M4/3標準ズームが壊れて困った分を補ってあまりある、新カメラなのであります。

弱点は動画を撮るとオートフォーカス音がカタカタうるさくて実用にならないこと。マニュアルフォーカスにして撮るしかない。まあ動画はおまけ機能か。◆