2016/08/27

踊る夏のレディーズ ‐ スティーブ・ミラー・バンド



毎年恒例、夏の終わりの PNE サマーフェス。園内の演し物は年々劣化し今年は5人組ディキシーランド・ジャズバンドくらいしか楽しめるものはなかった。小さな子連れならばまだ楽しいだろうが、昼間だけなら来る価値ももはや感じない。この熱意ない恐竜展示なんかが典型的な近年の PNE。

だがお目当ては夜のコンサートで、今年は奥様の希望でスティーブ・ミラー・バンドとなった。スティーブ・ミラー・バンドというのは日本じゃそんなにヒットもないと思うが、アメリカ・カナダでの人気はすごかったそうで、クラシックロックラジオ局では毎日彼の曲がかかる。なので俺も半分以上曲を知っていた。観客は全曲歌いまくってました。

この曲なんか日本の人も知ってるんじゃないかと思う。ドゥービー・ブラザーズと同時代な感じの、乾いたギターとバスっとドラムの音、流麗なメロディのアメリカンロックバンド。Oh, oh big ol' jet airliner. Don't carry me too far away. Oh, oh big ol' jet airliner. 'Cause it's here that I've got to stay.

 
スティーブ・ミラー・バンド - Jet Airliner

俺はこういう純正アメリカンロックは乾いていてお肌に合わないのだが、ギターとピアノがうまくていいバンドだった。去年のビーチボーイズは実際はマイク・ラブ爺&腕利きサポーターズだったのだが、あまりにもビーチボーイズの曲がいいので俺は感動した。今年は奥様がそういう状態だったのだと思う。



米カのロッカーはしあわせ者だと俺は思っていた。全盛期にヒット曲があれば、こうしてあちこちのフェスを回って生活していける。そして人を集めるのは往年の懐メロ遺産だが、演奏は遺産ではなく現時点の努力と才能のたまものである。スティーブ・ミラーは声も出るしギタープレイも冴え、キーボードなんかとんでもない凄腕で、こんなうまいメンバーを維持しこのクオリティの音を出しているんだから、現代のハイクオリティプロダクトなのである。いいものを作っていると感じながら暮らしていけるだろう。

うちの娘のように親に連れられやってきてる若者たちも、あー知ってるという感じで体を揺らしていた。ステージ真ん前では熱心なお母様がたビール片手に踊りまくっていて、それをカメラが捉えスクリーンに流していた。髪を振り乱し楽しむ女性たちって、いくつになってもコンサートの華だなと思った。俺は曲はそんなに楽しめなかったが、奥様を含めそういう踊る夏の女性たちを楽しむ夕べでした。

2016/08/16

Googleフォトの謎が解けた

いろいろと実験して【Google フォト】のシェアの概念がやっとわかり、家族用の共有アルバムを作り俺と娘がそれぞれよさげな写真を放り込んで行くことにした。Google フォトというのは写真ブラウザに比べたら快適性に劣るしバックアップとしても非力だが(フォルダ構造を保持してくれないのでクラウド→PC への復元ができない)、これは写真と動画共有に特化したクラウドなわけである。




それぞれのスマホや PC から自動で吸い上げられた写真は、クラウド倉庫に無造作にどさっと置かれている。それをシェアしろと子供らに命じると、彼らのスマホに集積されるばかりでこれまで親の目には入ることはなかったいい写真がズバババと共有アルバムに入ってくるわけ。




こんないい写真があったのに俺たちに送って来なかったのかよと今更ながら呆れるが、いまどきのティーンはメールやLINEのアタッチメン トはめんどくさくてやってくれない。選んで[シェア]だけならやってくれるし、手順としても添付ファイルなんかよりずっとスマートだよな。




というわけで週末親戚とウィスラーに行ったとき娘が撮った写真がもらえました。それをこうして Googleフォトから直でブログに貼り付けることもできる。

さらにもうひとつ。よほど大きな解像度でない限り動画も無限にアップでき、スマホでその動画を Youtube みたいにストリーム視聴できる。これは実にステキな感じがする。いまどき家族で一つの PC を囲み家族写真や動画を見る機会はなかなかないのだが、子供の昔のビデオをほらこんなのがあったよと本人に見せてやれたりするのだ。

あとアップした写真はまめにアルバムを作らない限り時間昇順のベタ表示なので閲覧性が低いのだが、スクロールバーで○年前にとかに飛ぶという操作になるのでランダム性が非常に高く、おかげで何年も目にしてなかった懐かしい写真が目に飛び込んでくる。これも面白い。 (追記:検索ボックスにたとえば 2005 10 と入れると、2005年10月の写真を抽出表示してくれると判明。もれなく全写真がヒットしているかは不明だが)

Google のサービスは変人でオタクな人らが作ってるのでどれも構造と概念が新奇で説明が足りずわかりにくいのだが、意図がわかるとなるほどです。娘がウィスラーに持って行ったカメラは10年落ちのキャノンPowershot A530。まだまだスマホには負けないいい写真を撮ってくる。

しかしまだ完全に仕組みがわかったわけではなく、あちこち動作にバグも多そうで問い合わせ中(友だちの写真を自分の Google フォトにコピーできる [ライブラリに追加] 機能に、小さなサイズでコピーされてしまうという明らかなバグがある)。→【解決】[ライブラリに追加] はいったん小さな解像度で簡易コピーし、あとからオリジナルと同じサイズが生成されると判明。

2016/08/12

【リオ 2016】カナダもオリンピック三昧



【リオ 2016】オリンピック陸上が始まった。ここから後半戦なんだろうな。陸上が始まると、女子中距離や高飛び選手の美しさに目がくらむ。たまたま見かけた高飛びでこの人に目が釘付けになった。美しい。イングランドのカタリナさん。…がんばって…跳んで…イエーイ。




カナダTVの放送はおそらく公式国際英語放送だと思うのだが、どの競技も詳しそうなアナと解説がフェアに格調高く語ってくれていて、美の前にはわれらみな等しく幸福だ的なありがたさを感じて胸が熱くなる。北米で人気がなさそうな競技、たとえば卓球などは解説が英国人なことが多い。英国人のマニアックな気質が、そういうマイナー競技を掘り下げて解説するのに向くのかもなーという気がする。


カタリナさんは2位でした。頑張った。



カナダはかつてオリンピック中継の量が日本よりずっと少なかったんだけど、今回からシステムががらりと変わって、ネットでほとんどの種目が見れるようになった。カナダにきて最初の96年アトランタ五輪はサッカー放送がなく、日本ブラジル戦を求めバイクでバンクーバーのスポーツバー7軒を駆け巡ったのであった。

結局見れず腑抜けのようになって帰りネットの文字だけのオリンピック速報で「日本 1‐ブラジル0」と見た時の気持ちといったらもう、うれしいやら悲しいやら。あれから20年、いい時代になりました。

今回男子サッカー日本代表の試合はそのネットの動画で全部見れたわけである。日本のパスワークは大したものだなと驚いた。4年前は清武たちのオープンなカウンターの速さに驚いたけど、このチームは中盤の混雑からパスで抜け出すアイデアと確実性が光る。攻守切り替えが速く面白いのでブラジルの会場も盛り上がっていた。こんなにいいチームなのにミスでポイントを落とし、勝ち進めなかったのは実にもったいないが、まあ一発勝負なので致し方なし。



体操や柔道もカナダで初めて見れた。【男子体操個人総合】の内村とベルニャエフ選手の得点差が出た瞬間、カナダ解説が「――1/10点差! 信じられない。これはぼくが見た体操個人総合のベストな決勝ですよ。最後の最後の演技で決まるなんて久しく見たことがない。この二人の若者は戦士です。こ のどちらもが、チャンピオンです」とめっちゃ熱くなっていた。すばらしい試合だった。

銅メダルを取った英国の選手は試合直後のフロアインタビューで、「内村の最後のアレ(鉄棒演技)はもうクレイジー(すげえ)としか言いようがない」的なことを言って笑っていた。競技者っていいなあ。柔道の銅メダル選手も笑ってほしい。◆

2016/08/09

【カメラ日記】水面から見た光



うちの奥様は競技用の喫水の浅いマジなボートを毎週に漕ぎに行ってるのですが、娘も仲間に引き入れようと「ティーン用講習」というものを受けさせました。集まったティーン3人がどれもなんだかおしゃれで、マジメにスポーツをやる気なさげ(笑)。みんな親にやってこいと送られてきたのかもしれない。







 ともあれこの講習をパスした娘を奥様が二人用ボートに載せて海へ連れ出すと、ボート漕ぎはあまりやる気がなかった娘ですが光を読み取りいい写真を撮ってきました。奥様が撮ってくる自分と仲間だけニコニコ写ってるセルフィーとは違うな。

2016/08/05

夏休みとオリンピックの思い出

Rio オリンピックが始まるよと、娘がすかさず iPod に公式アプリを入れている。種目だけじゃなく選手名で競技結果等の通知を設定できるそうで、「あの日本女子柔道のすごい人名前なんだっけ」と聞いてきた。 あー、えーと松本薫さんだ。よくあの人のこと覚えてたな。4年前はどこで見たんだっけ、ああ日本のおばあちゃんちだ。

 「そうだ、おばあちゃんのところでジュードー見たんだよね!」



そうだそうだ。4年前の夏を思い出すね。うちは3~4年に一度夏休みに日本へ行くので、W杯やオリンピックと重なることが多い。俺は目覚ましで起きて夜中におばあちゃんとサッカー男子女子を見てたなあ。なつかしい。


関連記事【2012日本滞在記3】思い出が宿る野山

【開会式】自転車さん→ 一輪挿しの草を持った子供→ 選手団→ わてら陽気な楽団ズといろいろおまけがついて、この入場式はカワイイなあ。

サンパウロにいて開会式に出られないカナダサッカー女子代表が、開会式のチームカナダ入場に合わせてホテルの廊下で行進してた(笑)。カナダってほんと無邪気でカワイイ。

カナダオリンピックチームのカワイイは毎回いろいろあって、バンクーバーのときは極秘のうちに製氷係に命じて、ホッケーのリンク中央にカナダ1ドル硬貨をお守りとして埋め込んでいたというのがある。そしてそれを必死に隠していたという。バレてもどうということはないと思う(笑)。

閉会式のときは、カナダオリンピックチームの誰かが必ず巨大なメイプルリーフ国旗を持ち込んでいる。だんだん決まりが厳しくなって持ち物チェックがあったりするので、持ち込みにいろいろ苦労してるとか後から明かされる。バレてもどうということはないと思う(笑)。◆

2016/07/23

子供たちの夏休み




夏休みの旅行、今年は親戚みなでバンクーバー島に行ってきました。うちに長いこと住んでた居候MK青年のガールズはいま5歳と3歳。めっちゃかわいいけれど、おんぶをしたりすねて泣くのをなだめたり、世話をしてるとやはり疲れますね(笑)。しかしそういう感じもなつかしい。



島ではトモ一家がモーテルの2階、直下にMKたちが泊まっていて、ガールズが毎朝娘のところに来襲してきて楽しかったです。寝るときも朝起きてもイトコがそこにいて遊べるうれしさって、俺にも奥様にもそれぞれに覚えのある最高の夏休み体験です。私は子供の頃親戚キッズが夏に宿泊させてもらった信州湯田中の上林温泉ホテルを思い出して、奥様にその思い出を話したりしていました。温水プール、虫取り、釣り堀、ゲームセンター、卓球台…なんでもあったな、あのホテルには。◆




2016/07/18

市民農園のかわいい姉弟



今日市民農園でかわいらしい姉弟を見かけた。二人は英語で話していたが、遠くから聞こえてくるお母さんのやさしそうな声は日本語だった。



農園で奥様の草取り手伝いをしたあとはいつも、ぶらぶら歩いて写真を撮る。ツバメは撮れるのだが、ハミングバードは速くて動きがランダムでまったく補足できない。止まってるところは撮れても、あのブーンブーンという独特の羽音(そのブンブン音をハムという)で飛んでる姿はピンぼけばかり。



花曇りだったのでホワイトバランスを曇にしておいたのだが、帰ってモニターで見ると緑かぶりでひどい色になっていた。編集ソフトでバランスをブルー側に振ると透明感が出て自然になった。オリンパス PEN E-PM1 はもともと赤が膨張しやすいのだが、緑もその傾向がある。カメラのホワイトバランスであらかじめ赤と緑を落としておこう。

2016/07/15

初めての自転車ロードレース撮影



今日なんとうちの地元で自転車レースをやってると知り、カメラを持って見に行ってきた。ロードサイドのお客に聞くとプロが出る州選手権らしい。そんなレースがうちの町に来るとはすごい。カッコいー!



知ってる選手がいるわけでもないので競技としての面白さまではわからなかったけども、望遠レンズの鼻先を自転車が高速でかすめていく自転車レースは実にかっこよかった。憧れる。



しかし何百枚も写真を撮ったのだが、構図・フォーカス等すべてが決まったものは1枚もなく、自分のスポーツ写真才能のなさに笑ってしまった。ブレ防止機構をカットしないと流し撮りはできない(補正がかかりヘロヘロになる)と気づき、ISO を上げてシャッタースピードをあげればいいのだと気づくのに 150 枚くらいかかったです。

周りで写真を撮ってるのはでかいレンズをつけたフルサイズの一眼おじさんばかりで、ファインダーなしミラーレスじゃやっぱりスポーツは厳しいんだろうな。どこにフォーカスが合ってるのか見ながら撮れないもんね。まあこういう試行錯誤だけで十分楽しいからいいのです。

2016/07/06

Japanese as a Second Language


夏休み中何か勉強せよと言われた娘16歳が日本語12(高校4年用)を習うといい、カナダ人向けの日本語なんて簡単すぎるだろプハハと笑いつつ課題を見たら、レベルが高いので衝撃を受けた。カナダの子供は授業だけでこれができるようになるのか!

カリキュラムを見ると日本語は小5~高4(グレード5~12)の8年習うらしい。私たちは高3時点の英語で仮定法を使いこなすこのレベルに達していただろうか。A)達していれば→B)苦労はないですよ。

驚いて教師の奥様に報告すると、「英語圏の外国語教育はESLの膨大な知見を元に作られよくできてるんだろう。ムスメが日本語学校でやってた課題には言語教育学的ベースが感じられなかった」という。たしかに。日本の小学校の国語を週1授業でやってたんだもんな。内容薄く非実際的だった。

漢字ドリルと文章読解が主のカナダ日本語学校では漢字の習得にどえらい時間と労力が消費され、まったく実際的ではないと俺はいつも嘆いていたのだが、ここまで実用性に差があったのか。情けなし。日本の英語教育が遅々として進まないのも根っこは同じで、カリキュラムが純和風だからだろうなあ。◆

2016/06/24

「重版出来」のキレとスポーツ感

【重版出来】最終回の放送を見終える。黒木華さんてなぜか陰のある役ばかり見かけていたが、このドラマでは一度もそういう顔を見せなかった。最終回まで毎回見たことのないような魅力的な表情を見せ、聞いたことのないようないい声を聞かせてくれていた。すばらしい。三蔵山先生のハンドマイクカッコ良かった! しびれた! キヨシローでした。

 この物語の絶え間なく終わりのない気持ちよさというのはたとえば最終回、「小泉くんは阪神ファンではなかったと思います」という報告に編集長が「どうしてそう言い切れる!」と問い、心が「聞いておきます!」となんともいえぬいい声で答えたところなどにも宿る。

 このやり取りが気持ちいいのは『小泉くんが阪神ファンじゃなくてもかまわんが、もし阪神ファンだったらどうすんだ! よりいっそう好ましいじゃないか!』という編集長のバカナイスさが瞬時に伝わるからで、それを噛み砕かず反射神経でびしっと受け止める心の声がまた気持ちいい。

スポーツ観戦が大好物だからというのもあるだろうが、俺のアンテナはこのドラマのヒロインのように、運動神経・反射神経の優れたものにビビビと反応する。電話を編集部の誰よりも早く取りたくて反復練習してた心の仕草は何度もリプレイしたし、最終回中田伯とのごめんなさいお辞儀合戦の柔軟さもよかった。心が柔道部出身でよかった、黒木華さんにそれを表現できる身体能力があって本当によかったとありがたみを感じずにおれない。

 演技の運動神経・反射神経は役者の身体的仕草だけではなく、セリフの間だとか声や表情の動きなどにも感じる。同時期に見ていた「トットてれび」の満島ひかりの間や声の強さには毎回惚れ惚れさせられた。それはスポーツでいう「キレ」で、満島ひかりはいつ見てもキレッキレである。黒木華さんにもそのキレがたっぷりあるのだと今回はじめて知って、喜ばしかったわけです

 「重版出来」にずっと流れていたこの体育会系なフロー、上司部下・先輩後輩間のコール&レスポンスは権力と抑圧ではなく、常にチームの選手から選手へのパスだったと思う。マンガに関わる誰もが幸せにというゴールに向かう、様々な角度の快感のパス。◆


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