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■09/03/21(土) □「時をかける少女」
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スプリングブレイク(春休み)の疲れから萌が発熱。一緒に遊んでいる間、前にP氏にいただいたアニメDVD「時をかける少女」を見た。原作や原田知世の「時をかける少女」とはまるで違う話になっており、出だしからしばらく意味不明だったのだが、途中からヒロインの子のオバカさが炸裂し大笑いとなる。
そして最後まで見てうーんそうか、そういうことだったのかと納得し、萌ともども最初からもう一度それぞれの「タイムスリップ」シーンの時系列を検証しつつ、全部見直してしまった。面白かった。日本映画らしく突っ込みどころは多いのだが(タイムパラドクス+いくつかの納得しがたい部分がある)、それを気にしないで味わえるくらいよかった。
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■09/03/22(日) □「男たちの大和」
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萌の熱は一晩で下がった。よし。
夜、1人で映画「男たちの大和」を見る。タイトルからして戦友の熱い友情と英霊の悲劇みたいなありがちな話なんだろうと思ったら、これはもうストーリーなどどうでもよくて(※)、ただただ戦争は痛い、痛すぎるということがよくわかる映画だった。やっぱ人のいるところに弾を撃ち込んだり爆弾を落としたり、そんなことをするのは無茶苦茶である。敵も味方もないよ、こんなことはやめてくれと戦闘シーン中ずっと感じていた。いい映画とも面白いとも感じないが、厭戦感情を高める効果は非常に高い映画だった。
(※)実際 Wiki などで調べてみても、戦艦大和は飛行機時代とのズレからさほどのドラマチックな歴史エピソードはなく、そのズレと玉砕的な最後の悲劇性だけが際立っているようである。
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■09/03/23(月) □ WBC決勝
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萌は昨日一日普通に過ごしていたのだが、まだ完調ではないのか頭が痛いとのことでもう一日様子を見ることにする。
【WBC決勝】WBCってはじめて見るが、LAという土地柄で韓国応援団が多く盛り上がっている。しかし韓国が野球で日本にこれほど対抗できるとは。やっぱあそこはスポーツに向いた食文化があるのかなあ。
野球を見るのは何十年ぶりなので選手のよしあしは当然わからないのだが、日本の野球がすごくコマいのはわかる。全員が塁間を抜くヒットでつないでいくという野球で、これが単独チームだったら人気が出なそうだなあと思う。テニスボールを打ち返すようなイチローのスイングは美しいが、そういう選手ばかりじゃやっぱりつまらない。思いっきりボールをひっぱたく選手だって見たくなる。韓国にはイチローのような美しいスイングを持つ選手は見当たらなかったが、昔のタブチくん的スラッガーがいてぽこーんとホームランを打っていた。
アメリカの放送局は、サービスなのか日韓の母国の様子とアナウンスを随時挿入している。得点シーンではコリアのほうがずっと熱狂しており、日本のアナウンスと観客はマイルドだねといわれている。そうなのかもしれない。
日本がリードし9回裏、抑えに入ったダルビッシュが制球定まらず追いつかれてしまった。ふー、野球って緊張するなあ。ピッチャーの調子がいいのかどうかなんて、本人とキャッチャー以外にわかるのでしょうか。ともあれ、球威はあるのでストライクゾーンにさえ入れてくれれば打たれそうな感じはせず、点は例の塁間抜きで確実に取れるので大局的には日本が負けるという気配はなく、あらためて日本が点を取りダルビッシュが抑えて優勝となった。ふー、タイトルマッチは疲れる :-) 。
しかしこの試合を見れば日本が大一番で韓国に負ける可能性が低いのはわかるが、それにしても韓国が決勝まで来るというのはどういうことなんだろうと不思議だ。日本野球はもう戦前から熱狂と伝統があるわけだけど、韓国は違うだろう。俺は韓国サッカーは好きなので日本と好勝負になる(で、うちが勝つ)のは歓迎するが、伝統で負けるはずのない野球では楽勝してもらいたいものだと思う。この決勝では日本が格を示してくれてほっとした。
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■09/03/27(金) □ 21世紀のリズム感
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NHK で「パフューム」と「アンジェラ・アキ」を見る。パフュームは世界に唯一無二の存在で、あんな踊りは他に見たことがない。その練習風景が見れた。あのダンスはほんとすごいな。
日本の歌番組に出てくる「ダンスユニット」みたいなものを見かけると萌はたいてい「下手だね」というのだが、それは彼らがリズムに合わせ必死に手足を振ってるだけで、振り付けにも踊りにも芸がないことを感じてるのだと思う。しかしパフュームは全然違い、萌も「ポリリズム」を見て楽しんでいた。ダンスは普通バスドラかスネアでリズムを取るものだろうが、パフュームはどっちにも合わせず動いていながら、完璧に3人がリズムと合い美を感じさせるのだから不思議。天才的な振り付けと踊りだと思う。
その音楽はテロップがないと歌詞がほとんどわからないような音であり、ボコーダーがかかりまくり彼女らの声も実はよく聞こえない。しかしTVに目を向けるとあのダンスに目が奪われる。あの3人は21世紀の不思議な音楽&ダンス現象だと思う。あれは誰にも真似ができない。―――いや広島のダンススクールの子供たちが真似してたので、21世紀の新たなリズム感があの地方から生まれているのかもしれんが。
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「アンジェラ・アキと 2000 通の手紙」:アンジェラさんの「手紙」は、「悩むのが普通なのだ、それが何かにつながるのだ」という歌で、JPOP でうんざりさせられる「信じてる、待っている」系統とは違う、いい歌だと思う。実際この合唱コンクールの番組の通り、この歌を歌うことで対人ストレスが緩和される子供も多いのだろう。
ただMもいうのだが、「日本の歌の英語部分はみなクリシェ(ありがちな文句)だ」という弱味があって、この歌でも(アンジェラさんも英語は母語のはずなのに)最後は「Keep on believing」と陳腐になってしまう。「自分の声を信じ歩けばいいの」という言葉とメロディには彼女が生きてきた月日を感じさせる強さがあるが、このパートは掛け声にしか聞こえないのが残念。
日本における英語というものの面白さには萌も最近強く気づいていて、TV Japan でドラマを見てるとぷっと吹いたりする。こないだ「ヤスコとケンジ」で椿くんが、「Cheese」と大書されたTシャツを着ていたのが萌にはすごくおかしかったらしい。たしかにカタカナで「チーズ」と書かれたTシャツがあれば変だよな。カナダやアメリカの人がとんちんかんな漢字刺青をしてるというのと同じですね。
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■09/03/28(土) □「ストリーム」を惜しむ
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ポッドキャスティングで毎週聞いていた、TBS ラジオの「ストリーム」が電撃的に終わってしまった。この番組の人気と影響力はすごかっただろうと思うが、TVラジオ番組の命は1にも2にもスポンサーの意向のみで決まるらしい。大不況の雨がこんな形でも降り注いでくる。
町山智浩の回を聞けば、同じ大陸に住んでいながら北米文化にまるでうとい我が身の情けなさを思いつつ勉強になり、吉田豪の話から見たこともない現代日本芸能人の生態を楽しみ、大槻ケンヂの話に過ぎし日の渋谷ライブハウスの空気を思い出し(80年代に屋根裏かどこかで共演したことがある)、そして勝谷誠彦の話に義憤をたぎらせて。こうしたゲストの知性を引き出す小西松本さんももちろんよかった。もうこんな番組は現れないだろうと嘆く声が聞こえてくる。ほんとにその通りで、この番組がもっと早くに現れているか、今後ずっと続いていってくれたらより大きな影響力を持ち、日本は少し変わっていただろうと思う。まことに残念。
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■09/03/29(日) □「佐々木夫妻」最終回
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TSさんにダンプトラックを出してもらい、こないだ落とした木の枝1トン半をあらかた捨てる。これでまた1つ心の重荷が取れた。「One less decision to make」というコマーシャルがあるが、実に生活はこうしたやらねばならないこと、決めねばならないことに満ちている。
昨日は「佐々木夫妻」最終回。揺れ動き仲直るというのは最初から同じパターンなわけで結論はわかっているわけだが、それでも気持ちよく感じさせる結末にしてもらわなければならない。前々回、前回のエンディングからいったいどうやってハッピーエンドに持っていくのかと心配したが、新撰組副長その他が夫の揺れる気持ちをいい方向に導き(副長があんなに見事な表情演技でコメディができる人とは知らなかった)、法廷でのやり取りで彼の気持ちが妻に伝わり、最後の法廷で妻の気持ちも伝わってと、物語は心地よく流れ終わってくれた。
小雪という役者は前にほとんど見たことがなかったが、表情やセリフの発し方になんともいえない武道家のような品がある。「今でも原告は被告を、信じてくれているのではないかと、期待しています」という言葉につれ首がかすかに振れるところなど、惚れ惚れして何度も見てしまった。よかったです。