2009/05/07

日記「トランジスタ・ラジオ(清志郎の訃報)」

「清志郎の訃報」「紙相撲」「子供TV問題」ほか。

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■09/04/28(火) □ 豚インフルエンザの脅威
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小仕事を終わらせ日本語学校。萌はこの頃日本語テストでいい点を取ろうと燃えているようである。先週は漢字と読解で 80 点という見事なスコア。3年生ともなると相当に漢字も難しくなっており、知らない単語も出ている中で、なかなかその点は取れないと思うな。

帰ってディナーを食べると、Mに命じられたとかで萌が夕方外で石拾いをする。そんなの明日暖かいときでいいよと何度も声をかけるが、やりたいのだと中に入らない。そのうちに顔に赤味がさし咳をし始めた。はあ、夏がくるまではこうして昼間の暖かさに調子に乗り、朝夕冷えて風邪をひくんだろうな。豚インフルエンザの脅威が間近に迫っており、熱など出たら恐ろしいのである。

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■09/04/29(水) □ ゲームもネタが尽きて
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CL、マンU対アーセナルを見る。アーセナルって強いのかと思ったら、現状ではマンUの敵ではないという感じ。マンUは全員が全力で走りながら、ボールタッチだけは絶妙にやわらかくすることを意識しているようだ。フルスピードのパスワークなんて現実には1試合に何度もつながらないのであって、このマンUは8割のパス速度で1試合戦うことができるのだからすごい。

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掃除と庭仕事などの合間に、ふと思い立って久々に FM 2008 をやってみる。試合をやるとやっぱり楽しいが、練習の指示とか移籍処理はやっぱつくづく面倒だなあと思う。シーズン準備などする根気が続かん。コーチに引退され有能な人材を探す必要が出たりすると、ほんと面倒だとため息が出る。この面倒さを回避し時間を短縮するオプションもないからな。

その点カルチョビットは本当にお手軽で楽しかったが、15年目にチャレンジカップを勝ったあたりからはリーグ内で自チームが突出して強くなりすぎ、19年目で三冠を達成する頃にはリーグ4強にも負ける可能性なしというところまで来てしまった。こうなるとチャレンジカップ以外楽しみがなくなってしまう。毎年お気に入りの選手を少しずつ放出してリーグの競争性を取り戻そうと努力したのだが、自チームを弱くするという方向でゲームを楽しむのはやはり無理があり、20年目で終了することにした。2ヶ月存分に楽しめたので大満足だったけども。

次にやるゲームを現在物色中。萌と一緒に遊ぶためのゲームもネタが尽きて長いので、なんかないかなと考えている。

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■09/05/01(金) □ BCは春がない
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豚インフルエンザの感染拡大は、毎日じわじわ広がってはいるがその速度が落ちてきた感がある。おとといまでは数時間ごとに新しく悪いニュースが入ってきたのだが、昨日からトップニュースとして別のニュースが入ってきた。感染の勢いをコントロールできてきたのかもしれない。

今日は暑い。午後には26度まで上がる。もう日なたにはしんどくていられないほど。寒くなくなってよかったねえと言っていた翌週がこれだから、BCは春がないよなあと思う。日本の人は英会話などで必ず「日本は四季があり」というので英米カナダの人々からうちだってあるわと失笑されるのだが、カナダはやはり緯度が高いので照れば紫外線がきつく曇れば寒いと両極端になり、春らしさは断片的にしか感じられないのが本当のところ。

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■09/05/02(土) □ 清志郎の訃報
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朝新聞を開くと、キヨシローの訃報。あーやはり。半年ほど前なにかにゲスト出演したという噂を聞いたきりで、彼のことを思うたびにああザワザワと不安だけを感じていたのだが、ガン患者の場合噂がないということは日々進行しているということなのだろう。うちの父さんもそうだったもんなあ。嘆息。シンガーじゃなくなってもいいから生きていてほしかった。でも手術して引退して生きるという選択肢は、キヨシローは取らなかったんだよな。

58歳。高3のとき市民会館で初めて見たときにはグレイトなオッサンたちだと思っていたが、あのときはまだ若干30歳の青年ロッカーだったわけだ。ようし俺もRCみたいのをやるぜと東京に行き14年、その後の14年をカナダで過ごしたことになるのか。そんなことをつらつらと思いながらRCの歌を思い出していると、それだけで涙が出そうになる。当分RCは聴けないな。

新聞を見て呆然とする俺に萌が気づく。萌は「どうしたんだ、ヘイヘイベイベ!」くらいは知っているし、俺がファンなのはよくわかってるので同情してくれた。近年NHKで見る枯れたミュージシャンとしてのキヨシローに新しいものはもう期待してなかったけれど、やっぱり生きていてほしかった。同い年のどんとが死んだのもショックだったが、キヨシローはやっぱほんとに別格だった。ジョンが死んだときよりもダメージは大きい。さよなら、キヨシロー。

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■09/05/03(日) □ 紙相撲
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キヨシローが亡くなって1日以上経ったのに、各新聞サイトに号外追悼ページみたいなものが作られないのが不思議。大手マスコミなんてキヨシローファンの巣窟だと思うのだが。いずれ共犯新聞が特別号を出してくれるだろうけれど。

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NHK で紙相撲をやっていて、これを作ろうと萌と2時間ほど盛り上がる。紙相撲というのはスティックが土俵を裏から叩くわけだが、この位置と当たり具合によっては力士が簡単にひっくり返り、あっけなく勝負が終わり面白くもなんともない。そこで土俵全体に振動が弱くイーブンに伝わるようにと、取り付け位置に工夫を凝らす。最終的に厚紙クッションを土俵の裏に取り付け、スティックが直接当たらないようにした。これで長時間の熱戦を楽しむことができるのである。よし。

今日はALが来たので、彼にもモンスター力士を作らせトーナメントに招待した。なるべくバカで怖いレスラーを作るんだぜ、わかったね。で3チーム総当たりで勝負をし、ALの勝ちとなる。彼は本物の紙相撲を見たことがないゆえ異常に底面積の広い怪獣を作ってしまいフェアではなかったのだが、まあゲストだからいいかということで。

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■09/05/04(月) □ 子供TV問題
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最近萌のTV視聴時間がひどく長くなり困っている。子供チャンネルが午後「スポンジボブ」というスポンジに顔と手足がついた安直なアニメなどを延々とやっており、こんなくだらないものを長い時間見てたら頭がバカになるよ、こんなのよりゲームをやってくれたほうがまだいいよと言い聞かせるのだが、萌はなにか絵を描いたりレゴをやったりしつつもこのチャンネルに釘付けになっている。

 こっちのアニメの創造性の欠如はとんでもない。すべて動物かモノに手足がついたものがキャラであり、性格は類型的で、ぎゃーぎゃーと騒がしい会話とドタバタの面白さだけで持たせるのだ。トムとジェリーから何の進歩もない―――というより絵なんか退化している。いかに少ない作業で量産できるかしか考えてない単純な絵には面白さなどかけらもない(↑この2つのキャラを見よ)。

まさに子供だましのモンキービジネス。イヤミとかレレレのおじさんとかベシなどを見せてやりたいものだと思う。ニャロメなんか萌も一目見て覚えたもんな。天才の創造物に触れられたわが子供時代は幸福であった。

ともあれ、これはいかんとMとも相談し、今日からは子供チャンネルは最大1時間と決定した。萌は最近音感が悪くなってきた気がするのだが、それもひょっとするとこういうTVの見すぎによる脳への悪影響なんじゃないかと疑う。まめにピアノを弾かせ、歌を歌わせていこう。

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■09/05/05(火) □ トランジスタ・ラジオ
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Mの通勤の慰めにとラジオを買うことにした。うちの奥さんは国営放送CBC―FMの政治トーク番組が超好きでいつでもキッチンで聴いてるのだが(あれって日本で言えば「ストリーム」みたいな番組なのかな? より穏やかな「アクセス」か)、通勤中に聞けたら楽しかろうと。

しかしカナダ最大の家電ストア Futureshop ではなんと、「いまどきラジオなんて置いてない」といわれ驚く。1つもないの? 次の電機専門店 RadioShack も、高価な据え置きラジオはあれど普通の携帯ラジオはなし。iPod 的製品はどこに行っても何百種類も置いてあり違いがわからん世の中なのだが、ラジオはここまで廃れていたのか。

まあ考えてみれば、普通ラジオを聴くのは移動中で、カナダで移動は普通クルマであり、バス上などでなにかを聞くニーズを持つのはほとんど学生なんだよな。で学生はラジオなぞ興味ないのだろう。俺もラジオなんて仕事で車に乗るようになるまで聞かなかったしな。

 結局見つかったのは Coby という聞いたこともないチープな中国製。内臓スピーカ付きでわずか $12。安い。この値段じゃ音はヘボくて当たり前だと思うが、極小カードサイズ携帯ラジオでスピーカ付きというのが珍しい。スピーカでラジオを鳴らせるのは庭仕事その他俺の家事のお供として最適ゆえ、まるで駄目ならこいつを俺用にキープしMには別なのを探せばいいかとゲットしてみると、これが意外やちゃんと使えてしまうのであった。スピーカ・イヤホンともに実用になる音質で、FMは感度も非常によい(AMは現代では電気ノイズが激しく、どんなラジオでも屋内では聞きづらい)。これは当たりなプロダクトで、自分用にもう1個買ってこよう。

しかしこないだ田中康夫が「アクセス」で言ってた通り、こういう超安い中国製品でも実用上問題ないというご時勢ゆえに日本の電機メーカーは苦労してるのね。今回は予算 $20 くらいで、できれば日本メーカーという感じで出かけてきたのだが、唯一見つかったジャパンクオリティの製品はソニーの $35 スピーカなしというやつだった。サイズも機能も Coby に劣る。勝つとすればブランドから想像される音質だけであるが、俺が普段使ってるソニーのヘッドフォンは音は劣悪なので(※)、いまどきのソニーブランドにはあまり期待もできない。
(※)あれほど音が悪いものをわざわざソニーが作るはずがないので、たぶん OEM だろう。

あのソニーくらいのラジオなら15年前の日本でももっと安く買えたはずで(俺が昔持ってたパナソニックAMラジオは千円以下だった)、つまり日本のラジオはぜんぜん安くなってないわけである。この安さ勝負で負ける傾向がTVやVCRやコンピュータにも及び、日本メーカーは苦戦してるのだろう。

俺とMが使ってる携帯は韓国サムスン製で、うちにある電気製品で最も使いにくく感度が悪く電池が持たないひどい製品なのだが、これが電話会社指定のものなのだから選択の余地がない。こんなものでも売れてしまうのだから、品質や性能で勝負してもどうにもならない世界なのである。勝負できるのは値段だけなのだ。腹が立つが、あとちょっと出してもイイやつがほしいというレンジに日本メーカーが高品質高機能な商品を届けてこないのだから、消費者はどうすることもできない。ソニーがこの Coby の品質を上げたものを $20 で売ればラジオをほしい人は絶対に買うと思うが、$35 スピーカなしじゃ話にならないのである。

晩飯を食べながらテーブルにラジオを置いて、小さなスピーカから鳴る音楽を聴くと気持ちいい。ちょうどいい具合に Under My Thumb がかかった。ベイエリアから、リバプールから、このアンテナがキャッチしたナンバー。RCサクセションはまだまったく聴けない。来年くらいまで聴けそうにない。

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