2009/08/24

日記「ドライ谷の憂鬱」

「『ポニョ』の評判」「化石掘り」「気持ち悪いコーナーの謎」ほか。

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■09/08/09(日) □ 「ポニョ」の評判
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 午後ファミリーパーティでST家へ。アニメ好きのBTに見せたいとMが「ポニョ」DVDを持っていく。Mに見せたときは「Hm....cute」くらいの薄い反応だったので、やっぱ宮崎信者でないとストーリーの矛盾にあれあれという感じなのかなと思ったのだが、実はMも楽しんでいたのか。

 時間がないのでBTにはオープニングと波乗りシーンだけを見せてやったのだが、AVマニアのSTの液晶巨大TVで見るとものすごい絵のクオリティだった。というかうちのTVだとこんなにいい色が全然出てなかったのかと驚いた(笑)。

 BTは波乗りシーンを見て、「This is cool I wanna see it」という。今すぐシアターに行ってくれ行ってくれ。

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 NHK「リミット 刑事の現場2」が終わる。出演者全員がハナミズが出るくらいの熱演をするすごいドラマであった。「武田鉄矢は日本のクリント・イーストウッドだ」という評を見つけたが、それはまったく大げさではない。ダーティな大人を演じる彼を俺は初めて見たが、顔のしわ1本1本までが芝居をしておりすごいの一語。若い刑事のクライマックスの言葉は論理的でもなく説得力もないが、しかしそれはとても感動的で、老武田刑事と視聴者の心を動かしたのであった。

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■09/08/14(金) □ 爽快 Trans Canada ラン
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夏の旅行。行くのはカムループス近くの Savona という町だと昨日判明し調べてみると、なんと 364.9 キロ。東京から名古屋 (386km) に近い。くくく(泣)。ノンストップで4時間、普通に休んで5時間半くらいかなー。やれやれ。

 イモリとアカヒレの世話はMKに頼む。うちのイモリ樣たちはエサを食べなかったり引きこもったりで手がかかるのだが、まあ4日くらい食べなくても体調に変化はなかろうから心配はするなということで。アカヒレはケンカさえ収まれば手間いらずで、だんだん色がついて美しくなってきた。

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●Trans Canada ラン
 11:45 Hope 着、ランチ。ここまでは 120km くらいで流れる高速ワインディング。スズキエリオは高速が得意な車ではないが、Trans Canada(カナダ横断道路)を楽しむのに十分な直進性と安定性はある。



 Hope を過ぎた頃からエンジンの吹けがよくなり、登坂車線の追い越しで 3rd-4000rpm がストレスなく使えるようになった。絶好調。普段のスロー走行でたまったカーボンが燃え本来のエンジン性能が出た感がある。これからは普段もっと高回転を使ってやろう。

 最近雨のタイトコーナーで突っ込みすぎ前輪をズリっと滑らせてしまい反省し、もっと前後輪を均等に使い腰を入れたコーナリングをしようと練習しているのだが、今日の Trans Canada ランではどのコーナーも最小の舵角でいいトラクションが得られ気持ちよくターンできた。ガチっとした強大なトラクションとフラットさはないが、高い回頭性と軽快なエンジンパワーでレガシィでの山岳ランよりも楽しい。Hope 後のタイトなセクションでは会心のS字切り返しがビシバシ決まり顔が笑い、Mに気づかれてしまった。

●乾燥谷へ
 Lytton で小休止。3時間運転してさすがに疲れを感じたので、ちょっと後ろで休もうとMに運転を代わってもらう。Hope 以北は昔見た乾燥谷が延々と続く。何時間も続くので正直ウンザリするが、来たからにはホントにすげえなと見てしまう。

途中 middle of nowhere、まさになんにもない砂山の谷で小1時間事故による通交止めに遭うという不運もあり時間がかかったが(薄曇りで風のある日でよかったが、暑い日だったら大変だったろう。)、想像したほどは疲れず 364.9km を無事走破。お疲れさまでした。着いたカムループスレイクは殺風景なところ。砂漠の山の裂け目にどこから来るのか水がたまっている。Hope 以北はずっとこういう景色である。



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■09/08/15(土) □ 化石掘り
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 朝暑くなる前に、今回のメインイベント化石掘りへ。サイトはグランドキャニオンみたいなすごいところで、石を割っての宝探しは楽しかった。


この石版群のほぼすべてに植物の化石が含まれている
ここは5千万年前(恐竜後、哺乳類が出てきた時代)の地層だそうで、出るものは主に葉っぱ、たまに出るお宝が小魚の骨と羽虫くらい。割る前からそこら中の石の表面に葉っぱの化石は見えているのだが、割って何かが出ればやはり自分で発見したという喜びはある。俺はシダがきれいに残ったやつが気に入り小さなものを数個だけゲットしたが、萌はメルたちにもはやし立てられ片っぱしから袋に詰め、2袋 50 個以上ものお持ち帰りとなった。そんなにいらんというのに。

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 夕方買い出しに 30 分かっ飛ばしカムループスへ。こんなドライ谷に巨大な町があるのでえーっとたまげた。Save On スーパーなんか PoCo よりも大きい。こんなところまではるばるハイウェイを5時間かけて商品を持ってくるのか。なおかつ PoCo と品物の価格が同じ。Save On の価格が高いのは、こんな僻地での商売をカバーするためなのだろう。

 車内でMとSFが、「興味深いところだけど住みたくはないわね」と言う。「なんか気分が落ち込むよね」と俺は答える。カムループスが大都市だった以外は15年前に見た通りの土地だ。しかしなんでこんなところにこんなにたくさんの人々が住んでいるんだ? 農業も林業もできないだろう?  謎である。みんな何をしてるんだろう(ADは鉱業が盛んなんだろうと言っていたが)。

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 カムループス往復は強烈な高速ワインディングだったのだが、Rが半端にゆるいせいで Trans Canada のようには楽しめなかった。こういうオーバー 100km コーナーというのはトラクションをコントロールして万全に曲がってはいても、手の平のちょっとした動きで車体が大きく反応するので飛ばしすぎだとMがぶーぶーいうし、この道はガードレールもあまりないので、操作ミスがあったら大変なことになるという緊張も常にあり疲れる。実際こういう田舎の超高速は危険で、路肩から落ちた車を2日で2台見てぞっとさせられている。

 こういうシビアな高速域で普通の車とグッドハンドリングマシンとの差が出るわけで、安いファミリーカーであるエリオはガチっと安定しないから緊張を感じ、並んで走ったADの BMW 330 みたいな車なら無緊張でいけるのだろう。タイトなセクションに入り制限速度が 70 くらいに下がると俺はほっとするし、そういうところではより能動的 (大きく) に荷重をコントロールでき楽しいのである。燃費は強いアップダウンを全力疾走しながら 13km/L 強と良好。

 この湖畔に住んでるのはほとんどコテージ所有者だと思うが、緑のないこの景色が好きなのかな。水は湧かさないと飲めず、たかだか買い出しにも命の危険がある 30 分の全力疾走なんだから、僻地に住むというのは消耗なことだ。こんなところまで電気その他インフラを引くことすら壮大な無駄だと感じる。

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■09/08/16(日) □ ドライ谷の憂鬱
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 6時前にMが起き、俺も頭痛と共に目が覚める。俺の頭痛は起きれば治るのだが、Mは終日不調で、この谷のドライな空気がアレルギー性の鼻を直撃しているようだ。

萌も6時半に起き、7時半にはもう退屈で爆発しそうになる。一緒に散歩はしたが、天気も悪くもうすることがない。周り中すべて砂漠山で何もないからなあ。大人は本があればなんとかなるが。今日はみんな疲れており、アクティビティはボートと散歩くらい。散歩をしたら見知らぬ犬が萌についてきて楽しかった。

 毎年旅行のたびに思うことだが、BCは海も山も単調だ。住むには文句なく、アウトドアピープルやモーターボートを駆るパワーレクリエーション家族(日本のバイク人口並みにモーターボート所有人口があるのではないか)には遊びのネタが尽きないドリームランドだと思うが、普通に旅行をするだけではどこへ行ってもあまり変わらない。遠くへ行くことは旅行というより人口の少ないところを求めての移動となり、着いたところはこうして人がいないのも当然みたいな土地になる。旅情を味わいたくば、ソルトスプリングのような特徴のある小さな島に行くのがいいのだろう。

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■09/08/17(月) □ 1人旅のように
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この貨車の長さ!
朝軽くハイク。高いところから湖や珍しい岩を見下ろす。何十輌編成なのか信じられないほど長い汽車が、とんでもなくゆっくりと行き過ぎるのがナイス。ランチ後初めて水に入る。予想通り泳ぐには冷た過ぎたが気持ちよかった。

 夕方みんなはカムループスの動物園へ行ったのだが、俺はホテルに残って1人でいることにする。もうなんか、何をやるにもついて回る殺風景長距離移動がしんどい。4日ぶりの1人はすごい解放感であった。うあーと喜びの声が出てしまう。俺はバイクでのキャンプツーリングみたいな気ままな1人旅が本来一番好きなんだろうな。

 みな夜遅くにクタクタに疲れて帰宿。しかし動物園はすごくよかったとのこと。よかったよかった。

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■09/08/18(火) □ 気持ち悪いコーナーの謎
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●コカハラハイウェイ急勾配
 ようやく帰宅日。帰りは行きの Trans Canada より早いというコカハラハイウェイから。コカハラはステアの保持だけが仕事の退屈なハイウェイだが、その分たしかに速く Hope まであっという間だった。それに景色は Trans Canada よりもいいかもしれない。カムループスから最初の山を越えた途端に砂漠景色が終わり、普通の緑の高原道路になったのには驚いた。俺たちの目はほとほと砂にうんざりしてたので、このBC/長野的平凡な風景が見えただけでわあと声が出てしまった。Hope 近辺のすさまじい岩山景色もすばらしい。人間の目は砂には感動できないが、岩には心底畏怖と感嘆が湧き上がるようである。

 しかしコカハラハイウェイの勾配はあれはなんだ。全線 110km 制限なのだが、あの急勾配を 110km で延々と登っていける車なんて5L級の SUV だけだろう。一般的乗用車で 90km くらい、トラックなんか 50km くらいしか出ていない。こんな勾配をつけたなら 110km 均一なんて無茶を言わず、登りは 90km くらいで流れるようにしとけば燃費もいいし事故も減るだろうに(コカハラは冬の事故で有名)。

●気持ち悪いコーナーの謎
 Hope で近辺まで来るとコーナーのRがちょうどよくなり、100km 近辺で気持ちよく車体をコントロールできるようになる。うおー気持ちいいとまた笑ってしまう。カムループス峠/コカハラの怖く気持ち悪い「オーバー 100km コーナー」とこことの違いはなんなのかシカとはわからんのだが、「オーバー 100」ロードは速度が落ちないようコーナーのRをゆるくしてあるためタイヤにトラクション(路面を蹴る反力)が発生せず、それでいながら速度は高いので外に行ってしまいそうな錯覚が起き緊張を招くのではないだろうか。むろん普通に走れば危険はないのだが、危険がすぐそこにあることは視覚と車体の揺れから体感できてしまうので、横に乗るMも緊張するわけである。

 これはエリオに限ったことではなく、レガシィでバンクーバーアイランドを走ったときも、コーナーがゆるく速過ぎて外輪にうまく荷重が乗っていかず気持ち悪かった。日本でいえば軽井沢の碓井バイパスとか箱根ターンパイクがこんな感じで、バイクで走っても楽しくなかった記憶がある。こういうRでトラクションをがちっとかけるには制限を越えて攻め込んでいかねばならず、家族連れでそんなことはできないのである。ADもカムループス峠でスピードを落とせとずっと家族に怒鳴られてたそうなので、BMW でもああした道での不快さはあるのかもしれない。

 速いコカハラに加えこないだ開通したばかりの Golden Ears Bridge を通ることでさらに 30 分時間を短縮し、なんとランチブレーク込み4時間半で帰宅。行きは渋滞に休憩2回に事故通行止めまであって計7時間くらいかかったので、えらい違いである。ふー。お疲れ様でした。

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 夜、NHK で清水國明の瀬戸内バイクツーリングの番組を見た。やっぱ俺はこういうスローな道をくねくね曲がり、道端で弁当を食べ缶コーヒーを飲みながら里をちびちび巡る旅がいいよ。ハイウェイで一気に 350km の移動なんて旅だとは感じないのである。

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