2010/06/16

日記「守備重視路線転向初戦?」

「至難のローラーブレード」「格上韓国」ほか。

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■10/06/09(水) □ 本田の1トップ?
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 コートジボワール戦にも負けた日本代表は、最後に非公式の練習試合を組んで本田の1トップを試したそうだ。WC本番4日前に新フォーメーションを探っているなんてもう、情けなくてげんなりしてくる。たとえこれがピタリと決まってチームの持てる力が万全に出たとしても、積み上げられたげんなりは限度を超えている。今後もし奇跡が起きてチームが勝てたとしても、もう日本サッカーファンは岡田監督の顔も見たくないという状態になるだろう。日本に来れなくなってしまったジーコと同じだわ。

 ジーコといえば対照的にトルシエは日本で今引っ張りだこなのか、大会直前にトルシエの談話があちこちに掲載されまくっている。
「岡田監督の頭は混乱している。スペインやブラジルのようにプレーしたいと考えている」
「中村は美しい選手で、試合を決める力もあるが、(試合中は)彼のことを保護する必要がある。中村はレアル・マドリーやバルセロナでは問題なくプレーできるだろう。才能豊かな選手たちのサポートがあるからね。でも、エスパニョールではノーだ」「(中堅クラブで活躍するには)守備の能力が必要で、中村にはそれがない。チームのボール支配率が60から70%あれば中村は偉大だが、昨日の試合は違った」と語り、格上との対戦が待つW杯での活躍は難しいとした。

 と、やっぱトルシエは日本サッカーをよくわかってるなあと思う。だからといってトルシエに戻してほしいとは誰も思わないわけだが(笑)。彼には合理的だが夢が足りず、ジーコ監督は夢ばかり言って何も作れず、オシムは夢などないといって必要以上に低いところから日本サッカーをビルドしようとし、岡田監督はマリノスでも代表でも誇大妄想的な夢を語りつつ、最後は守り倒すサッカーになっている。

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■10/06/11(金) □ 至難のローラーブレード
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 WC開幕。南ア・メキシコ、ウルグアイ・不調フランスと開幕カードがどちらもドローで、静かに開幕した。俺は萌を連れてあちこち用足しに走り回っていた。本日は結婚記念日15回目である。Mが好きなものを作ってやろう。

 WCについてこんなに気持ちが盛り上がってないのは、日本の準備状況があまりにも悪いからだろうな。ジーコのときも監督には期待はしてなかったけれど、コンフェデ杯のときのように合宿で噛み合えば優秀な選手の力は出るだろうとは思っていたのである。今回は噛み合う力もないままなのであります。明日の韓国戦の方が実は期待している。ギリシャを破るだろうなと。

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 萌のバースデイプレゼントのローラーブレードを買ってきた。俺も自分用のを買う。試してみると思ったよりもはるかに恐ろしい。昔ガラガラと滑ってた工作精度の悪いローラースケートと違って、今どきのは氷上のアイススケートと同等にするする滑るのである。じっと立ってることも難しいほどよく滑る。こんなに難しいとは思わなかった。ホイールの径も材質も昔とは段違いだもんなあ。これは自分でやってみてよかった。萌にだけこれをやらせ、ああでもないこうでもないと脇から指示したところでうまくなるはずがないのである。

 萌が近所キッズと遊ぶ間、俺がまず1人で練習をする。アスファルトだとちょうどいい滑り具合になるが、思ったよりも足の運びや推進力を得るためのキックが難しい。人が町中ですいすい走ってるのを見て憧れていたのだが、自分がやるとドタバタになり、バランスも崩しがちなのである。15分ほどやると一通り滑れるようになったが、考えていた長距離なんて無理だなあと思う。想像以上に進むので漕いでいても疲れないのだが、前後左右のバランスは想像以上に難しい。

 次に俺がスケートを脱いで補助に回り萌にも滑らせるが、彼女は怖がってほとんど楽しめなかった。学校でやるときは板張りの体育館だから転んでも痛くないが、アスファルトで転んだらすごく痛いと思うと、怖くてお父さんから手を離せないという。そうかー。たしかにプロテクターはフル装備でも、これは怖いよな。うーん。ま、気長にやっていこう。

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■10/06/12(土) □ 格上韓国
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 早起きして韓国戦を録画観戦。こうして自信満々で初戦に臨め、他国人の俺までもが期待できるような韓国がうらやましい。パクチソンに日本選手が劣るとは思えないのだが―――プレイスタイルからしてパクに中田のような技巧や美しさはない―――、キムヨナ・浅田さんの関係同様差がついてしまっている。純粋にスポーツ的な差ではなく、マネジメントの違いが大きいと思う。

 セットプレーから簡単に先制。その後もアジリティで中盤を優位に支配する韓国。なんだこのギリシャの弱さは。こんな弱い相手をクジで引くのも含め、まったく時代はコリアだな。

 うわ、パクチソンからピッチを斜めに切り裂くものすごいパスが出た。FWがシュートまで持ち込むもGKにブロックされたが、パクにあんなパス能力があるとは知らなかった。素晴らしい。

 そして後半、相手のミスをかっさらってパクがDFのタックルをと軽々と交わし追加点。うーん、もうこの辺の欧州セカンドクラスとは格が違うゴールであった。ギリシャが弱いのは間違いないが、韓国もチーム全員に自信がみなぎって強い。日本が2連敗するのも道理で、パクを筆頭にプレミアで何人も活躍している(らしいが、日本のマスコミはまったく報道しないのである)韓国は、監督が有名人でなくても十分に強いのである。

 美しくも華麗でもない、見ていて楽しい選手はいない韓国だが、だがしっかりと落ち着いた格上のサッカーで楽勝であった。うらやましい。日本だってギリシャならば過去に楽勝してるからなあ。

 日本もシドニーオリンピックや 2002WC、例年のコンフェデレーションズカップではどことやってもこういう「俺たちの方がうまい」という自信をみなぎらせていたのだが、その後はフレンドリーで散発的にいいところを見せるだけだ。どこで道を誤ったのでしょうか。

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■10/06/13(日) □ 豪粉砕される
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 今日は過去4年間日本とつばぜり合いを繰り広げてきたオーストラリアがドイツに粉砕されています。これはドイツの出来が最高なんだろうな。そういえばドイツは他の強豪と違いWC序盤にまごつくことがなく、いつもアジアの国が1次リーグで粉砕されている。序盤から負けるまで最高潮を保てるチーム気質なのだろう。

 ケイヒルが相手を削って退場。4年前俊輔を削りまくる彼ら豪を見て、弱い日本のエースだから削れるんだろう、ロナウジーニョが相手でも削れるのかよとそのダーティさに憤ったのだが、どこが相手でもやることはあまり変わりないようである。

 というわけで明日カメルーン戦。日本は、選手のコンディションはどうやら上がってきているらしい。コンディショニングは日本協会直属の岡田監督得意の分野なはずなので、せめて体調だけは初戦にピークを持ってきてほしいものである。4年前はそれさえもできなかったのから。

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■10/06/14(月) □ 守備重視路線転向初戦?
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 【カメルーン・日本】ついにこの日がきた。ほんとに 4141 の面子だ。本田がFWとは。彼に期待していいものかどうか。

 試合開始。とりあえずドログバみたいのはいないようでそれだけでも助かる。本田も下がってボールに触っているので、実質ゼロトップだ。気温は不明だがやはり涼しいのか、皆動きはいい。中盤の人数で上回るので後方は常時人数が足りているが、これで前に持っていく算段が.....。

 11分、序盤妙に松井のサイドにばかりボールが届けられているが、これといった仕事はできず。大久保を使ってもらいたい。しかしカメルーンも調子がよほど悪いようで、日本が落ち着いてポゼッションできるようになってきた。

 長谷部のクロスで本田にボールがこぼれる。あそこで本田にマークがついてないとは、これはカメルーンやばい。というかこのカメルーンから点が取れないと日本がやばい。現時点で火の入ってないカメルーンはギリシャより弱い。これに勝てんと日本はもう駄目なり。

 「日本ゴールにボールが近づくたびに、DFはみなパニックを起こしボールをゴールからできるだけ遠ざけようとしている」とカナダTV解説がいう。たしかにカメルーンがこんな調子なんだから、日本DFはアタフタとクリアせずキープし、攻撃を組み立てるべきだろう。日本は別に引き篭っているわけではなく、自陣をバランスよく埋め、仕掛けてきたら寄せるだけで相手がミスしてくれるのである。しかし効率よく奪ってはいるが取るのが後方で、前には本田と松井しかいないのでカウンターもできない。

 25分、日本もカメルーンの弱さに気がついてプレス開始点を前に持ってきた。これでやっと攻撃でき、本田のクロスまでしばらく攻撃が続く。しかし大久保はどうしたんだ。まるでボールに触ってないぞ。いま日本のメンバーで一番攻撃力があるのは奴のはずなのに(※)。日本は右から本田・松井がのんびりとキープしてのクロスばかりを繰り返している。アーリークロスで乱れを誘うという前日談話があったのでチームの方針なのだろうが、裏に抜けたり中に切り込んでいくというチャレンジがないので全然面白くない。
(※)あとで選手のコメントを読むと大久保が攻撃できなかったのは、カメルーンの左サイドが弱いから徹底して突き、強力な右サイドは長友と大久保でがっちり守るというプランだったとのこと。守備がメインタスクでは大久保も前に飛び出す余力はなかったわけだ。

 これほどプレスをかけてこない相手にならば後半俊輔だって使えるんではないかと思うようなゆるい試合が続く。松井は十分に力を発揮しているが、前に突破しなくてもいいフリーマンというこの職種で短時間なら怪我持ちの俊輔にだってできるだろうし、俊輔ならばもっとチームを動かせる。俺は俊輔のスローなサッカーが嫌いなのだが、こうしてスローなサッカーをする(というか相手がやらせてくれる)なら俊輔の方が優れている。

 川島今日2度目のキャッチミスで着地に失敗し腰を強打。この辺が国際経験のなさか。ハラハラ。「このWCで最も低調(ローキー)な試合となっている」とカナダ解説。その通り。日本はまあこんなもんだろうがカメルーンがひどい。この相手に勝てないとほんとにまずい。

 37分、カメルーンが初のシュート。これが双方初シュートだ。なんちゅうデッドなゲームか。返す攻撃で松井のクロス、これがファーにいた本田にこぼれ初シュート、ゴール。つまらん試合だがまあ先に失点しなくてよかったと思っていると、キッチンのラジオで得点経過を聞いたMが「ゴールじゃない、なんで叫んでないの!」とリビングに飛び込んできた。うーん、まあ入ったけど、別に日本がよくて点を取ったわけじゃないしなあ。

 失点してもまだカメルーンには火が入らない。そのままハーフ。こうしてカメルーンは眠ったまま終わるのだろうか。ハーフタイムのダイジェストも作りようがないような試合である。まあ相手の調子がいいよりは悪いほうがいいけど(笑)、キリンカップに来た海外Bチームという感じの相手に日本もこの程度かよと思わざるを得ない。

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 【後半】大久保が初めて1対1を仕掛けFKを取る。直後に今度は崩されて長友阿部がエトーに抜かれ折り返しを打たれ、ようやく双方サッカーらしくなってきた。エトーは右に張り実直に組み立て役をやっている。彼がゴール前にいないのはありがたいが、長友が抑え切れるか。しかしこの試合、審判はファウル取り過ぎだな。それも試合のつまらなさを助長している。

 58分、大久保がサイドを変えDF横まで守りに行っていた。長友が上がるシーンも出てきた。少し人数をかけ攻めようとしているのか。しかし攻めるならば大久保の守備負担を減らさないと。大久保の位置が低すぎてDF裏へいけないのは、Football Manager 2008 を使ったこないだの分析で思ったとおりである。

 日本はとにかくFWを入れてもっと縦への推進力を高めてほしいが、岡田監督はこうしてゲームがゆるいまま動かず終わってほしいことだろう。実際こりゃ「世界を驚かす」という監督のモットーを甚だ裏切った、世界が思う通りの退屈な日本サッカーだよなあ。こないだカペッロに「強烈な個性が著しく不足している」とコケにされた日本サッカーだ。ピッチには大久保も遠藤も闘莉王もいるのに。ベンチには憲剛も稲本も玉田もいるのに。フリーロールを与えられた右前方の2人以外は誰が誰だかわからないような、無個性なサッカーしか俺たちは表現できないのかという失望は深い。

 残り20分で岡崎イン、松井アウト。松井はこのゆるいカメルーンだから効いたが、普通のWC出場国ならば止められてしまうんじゃないだろうか。うまいけど強力なクロスを持たないのであまり危険はない。ちょうど対面のカメルーン左SB、一番ボールを持ち目立っているが持たせておけば安全なエコトと同格だろう(こいつは FM 2008 でうちのトッテナムにいて、使えないので俺が首にしたのである)。

 岡崎がイエローを取る。さすがにFWで松井より前に走りシュートを打ってくれそうな気配がある。しかし「去年のアジア最優秀選手」遠藤のFKはまるで狙ったところに飛ばず。彼はまだ最好調ではないのだろうか。残り10分、大久保に替え矢野。岡崎も矢野も守備に走る。

 長谷部のミドル、GKが弾いたところを岡崎が打つもポストにヒット。惜しい。あれが入っていればオフサイドでも自信になったろうが。残り6分、カメルーンがプレッシャーをかける。ミドルがポストに当たる。ふー。だんだんと危機感が出てきました。長谷部に替わり稲本が入る、ボールを狩ってくれ。

 カメルーンの波状攻撃からクロスをヒール、川島が止める! ―――ふー。よし。終了。ふー。日本のチーム状態にはなにも奇跡が起きなかったが、カメルーンが奇跡的に弱かったという試合であった。助かった。ギリシャをくじで引いた韓国をうらやましいと思ったが、日本の方がさらにラッキーだったのである。カメルーンは90イタリーWCで俺をWCに目覚めさせてくれた国なので、彼らがこれほど覇気のない試合をするのは残念なことなのだが(※)、壊滅状態から復帰中の日本にとってはほんとに助かった。
(※)こっちはうまく高地対策できたが、カメルーンは失敗したんじゃないかと稲本がコメントしていた。そうかもしれないな、あの試合っぷりでは。

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 4年待ってこれかという低調サッカーはドイツ初戦と同じだが、あのときはつまらん試合をしてその上大差負けだったので、とにかく助かった。WCなんだからどんな形でも勝ってくれてよかったとは正直思う。絶対負けてはならない過緊張のゲームをコントロールして3ポイントを取ったという、そのことは尊い。

 しかし、次の(負けてもプランは変わらない)オランダ戦で攻撃のビルドアップを試み飛躍のきっかけが掴めればともかく、現状の攻撃でデンマークから点が取れるとはとても思えない。大久保や玉田がゴールを向いて勝負を仕掛け、本田遠藤らが後ろからこぼれ球を狙うといった形を作れなければ、残り2試合を戦う意味がない。

 希望は全員がブロックとなって疲弊せず効率よく守れたことで、守備陣には余裕があった。だからこそ攻撃により力を割いてほしかったわけだが。

 本田がこの大一番でごく普通にプレイできたことも大きい。やはり 2002 年の中田に近い存在である。02年に「世界を驚かす」をやったのは稲本で、今日のカナダ解説者もそのことを覚えていたが、あのとき普通にワールドクラスだった中田と今日の本田は同等の存在感だった。

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 日本時間の朝になってサポティスタを見たら、コメント欄は岡田監督礼賛に満ちていた。おいおい。これが昨秋オランダ戦直後の「守備重視路線転向初戦」みたいなゲームで、ここから本番まで数カ月で攻撃をビルドアップしていくという段階の試合だったら期待が持てるが、もう本番なのである。

 試合後のインタビューで岡田監督は実に細かくスカウティングし、大久保の守備専念などで対応をしていたのだとわかる。そういう相手へのきめ細かな対応で勝ち点を拾うというサッカーはせず、自分のサッカーを貫くと2年半監督は言い続けWC予選後チームを一切変えなかったわけだが、結局最後に苦しくなり変えたわけだ。彼の札幌&マリノスでの仕事と同じである。

 岡田監督と日本協会がベスト4だの自分のサッカーだのに囚われなければ、これだけ守りつつもっと攻撃にも力を注げるチームを、WC2週間前~本番中なんて馬鹿げた期間ではなくじっくり時間をかけて作れたはずだろう。もし作れなかったら作れる人を探すべきだったのだし。このド不調カメルーンに勝ったくらいで、監督を褒めていいわけがないのだ。

 日本の人材をもってしてこんな攻撃力のないチームしか作れないのなら、それはジーコと同等の大失敗である。この1勝でとにかく自信を掴み、残る2戦で攻撃力を積み上げてもらいたい。ジーコに大会中の立て直しはできなかったが、岡田監督にはそれをやるための職業知識はあるはずだ。

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