2010/10/17

日記「カルカソンヌ中毒」

「ボードゲーム探し」「シャキーンの猛烈な高品質」「草原ルールの悩み」ほか。

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■10/10/04(月) □ ボードゲーム探し
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 一般の店には売っていない希少なドイツゲームを探しにMKが言っていたコキットラムのゲームストアに行ってみると、ほしかった「チケットトゥライド」が店頭ウィンドウにずばり置いてある。興奮してプライスを尋ねるとしかし $59.99。ネット価格の倍近い。うーん、無理か。他にもカタン、プエルトリコなどすべての有名なドイツゲームがあったが、どれも値段は同じであった。がっくし。

 しかしこういう店はカナダで初めて見たな。数百のボードゲームやジグソーに加え、ボードRPG用のフィギュアや戦車、塗料が売っている。強烈な懐かしいフィーリングに包まれ、「お父さんが小さい頃に入ってたプラモデル屋みたいだよこれは」と萌にいう。カナダにはプラモデルがほぼ存在しないのだが、「小さく精緻なものを作りたい」という僅少なボーイ需要はこういうところで満たされているのだろう。日本のプラモデルとはバラエティも価格も比較にならないけれど。逆にでかく頑強なものを作りたいというオトコ需要はカナダじゃ膨大なので、ハードウェアストアが巨大になり廉価なわけである。

 あとでネットで調べると、「カルカソンヌ」というゲームが安くて人気が高い。これを探してみよう。

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■10/10/05(火) □ カルカソンヌを入手
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 BRのドクアポついでに、これもMKがいつも行くというポートムーディのゲームストアへ。そこでお目当ての「カルカソンヌ」が一発で手に入ってしまった。なんていい町なんだポートムーディ。海と街並みが美しいだけじゃなくて、田舎町なのにゲーム文化まであるのか。

 飯を作りながら1人で2回テストプレイして、絵柄が合うように置き土地を所有する基本ルールがわかったところで萌とやってみる。ここに置けるよと何度かベーシックを教えると、あとは萌の方が手を見つけるのが早く(これはカルタなどと同じで視力の差だろう)、お互いに教え合いながら進むのが楽しい。大きな都市が完成するパネルを引いたときは、「出た!」と2人とも興奮する。

 結局22ポイントという最大の都市を作れた俺が4手差で勝ち、初回にして十分に楽しい勝負となった。プレイ時間も期待通りに短い。30分かからないし、スゴロク系と違い人数が増えてもシステム上プレイ時間は変わらない。萌も「楽しいねこれ!」と続けてやりたがり、2戦目は大都市を完成させた萌が取る。

 あちこち細かく点を取りつつメインの大きな都市づくりを目指すというのは非常に自然で心地のいい遊び方で、大人同士がよりコンペティティブになれば乗っ取りその他でこんなに牧歌的にはやってられないと思うが、協力と攻撃の両方ができるところがこのゲームの美点だな。クルーなんか協力も邪魔もできないし運の要素もほとんどないので、萌ら子供が勝てるわけがなく気の毒なのだ。スゴロクはフォーミュラDのように、どれほど複雑化しても逆に運だけすぎるし。

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 夜、1人で3色を動かしカルカソンヌ戦術研究をしていると(――俺が勝ちたくて研究してるのではなく、ベストな定石を見つけて伝え誰もがコンペティティブにプレイできるようにしたい――)、萌が横から加わり一番負けていた黄色を勝たせようと一緒に考えてくれた。こういうふうにひとり遊びでソリテアとしてやっても面白いし、隠す札などがないゆえ横から口を出せるところもカルカソンヌのよさである。やはりこれは大人になってからやったボードゲームで最高だな。

 俺はバンド時代ツアーに持っていき、移動の車内や宿でやっていたバックギャモンにノスタルジックな愛着を持っているのだが、あれはダブリングキューブと掛け金がないとゲーム性ががたっと落ちてしまう。たとえばMとやると彼女はダブリングキューブを使わず、常に効率のいい数学的最善手を打ち、俺が仕掛ける罠をさっさと飛び越えていく。そして俺のことを単にバックギャモンの下手な人だと思っている(+_+)。こうされるとバックギャモンというのは味気なく単調な遊びで、何度もやれるようなものではない。カルカソンヌには1人2役をやっても延々と思考の愉しみが得られるだけの面白さがある。

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■10/10/09(土) □ シャキーンの猛烈な高品質
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私がアップロードした「知るや君」は、1年で2万回もプレイされていた。
国民の愛唱歌として教科書に載せてください。
「シャキーン!ザ・ライブ」第2弾? を見る。声が低くオトナっぽいアメリカンアイドルに憧れる萌は、「あやめちゃん」のキンキンした声に代表される日本的子供番組にはもう興味をなくしており、シャキーンバンドの素晴らしい演奏がばんばん続くのに向こうから一緒に口ずさむだけで画面を見もしない。おいおい。しかし名曲「知るや君」ライブバージョンあたりからはさすがにこっちにやってきて、その後は釘付けであった。音楽の力なり。

 カナダで暮らす10歳ガールが TV Japan 番組の幼稚さを笑い無視するのは自然なことで、俺自身カナダに住んでるおかげでそういうものにあまり触れずに済むのはありがたいと思っているが(大人が子供風にたどたどしく喋る「ポチタマ」Tarako さんその他のナレーションからして、日本的幼稚TVは気色が悪い)、シャキーンに込められたイノセンスは幼稚さとは別物であり、混同してほしくないものである。

 しかし一度見て2度目はダビングするために好きな曲だけ見たのだが、前回見た時よりもさらにすごいコンサートである。ベースが女性で歌が無茶苦茶うまい。検索してみると外人部隊というバンドの人らしい。声を聞いただけでタダ者ではないと思うレベルのボーカルが、樹木となって顔も名前も見せずに歌ってるのだからこのバンドは意外性だらけだ。後半にはムッシュかまやつまで出てきて俺は意外性にひっくり返った。サイケなストリングスおやじもかっこいい。実にまったく猛烈な高品質のシャキーンコンサートでした。素晴らしい。

 こんなにすごい子供音楽はほんとに、カナダにもUSAにもないんだよ(※)。それが見れることの幸せを俺は萌に説き、ほらここにビートルズのコードが入ってて美しいと思わんかと解説してやるのだが、理詰めで好みは変えられんからなあ。
(※)ついでに「どれみふぁワンダーランド」も世界無二のすごい音楽番組である。毎週(隔週?)ほんとに楽しみなのだ。

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【追記】シャキーン・ザ・ライブ2010を Youtube にアーカイブしました。
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①ザ・シャキーンズのテーマ

メインボーカルの気弱さが歌詞のテーマにどんぴしゃ。そしてサビに入ってくるセカンドボーカルの声にぶっ飛びます。誰だこのベースはと調べてみると、外人部隊というユニットの ACKO という人らしい。なんてかっこいいんだ。


②かんじてごらん
楽 器の音色、コード、コーラスとすべてがビートルズで、歌詞は全部小1の学習漢字でできているというもう、傑作工芸品といえる曲であります。メインボーカル のテツロー、サイドのサキタの両者とも声量と技巧がないのが実にロック。エンディングのこの圧倒的なサイケ音を現場で浴びた親子は幸せものだ。


③知るや君
古典の教養がない私たちにも島崎藤村の美しさが分かる名曲、「知るや君」。この曲が音楽教科書に載り、作曲のサキタハヂメが毎月のお米代を終生もらってもいいくらいの曲だと思う。ノエ(熊本野映)さんの歌も素晴らしい。


④いっしょにいるから
弱 い心と体を持ち才能はあるがなかなか日の当たらない(ように見える)テツローを、お日様のようにつよく照らし、その温かさを知るノエ。JPOP は「あなたを信じてるそばにいる待っている」てな、いわば無条件サポートを謳う保証書みたいな歌ばっかりですが、この歌にはそれらとは違う、人という字は 支え合ってるのだという普遍的な善美があります。メンバー間でボーカルを回していくというクラシックなことをしてくれる二番にもほんとに泣ける。ここでも ベース ACKO 氏の声が突き抜けている。



⑤うた時計
御大ムッシュかまやつもくるみ割りソルジャーとなり登場。このコードとメロディの豊かさよ。この曲のアニメ版は3分で地球の歴史が学べておおおと勉強になるんだよね。どこかに残っていないものか。というわけで、後世になんとか伝えたいすばらしいコンサートでした。

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■10/10/10(日) □ カルカソンヌ中毒
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 俺は完全にカルカソンヌ中毒となり、毎夜TVを眺めつつソリテアとして1人でカルカソンヌをやっている。昨夜ついに奥さんもカルカソンヌに引き込んだ。彼女の好きなトランプのソリテアを対戦型にしたようなゲームなので、当然ながら即座にルールを理解しはまり、なんと5戦も連続でサシ対戦となった。このゲームのクイックさと面白さが十分に伝わったのは間違いない。奥さんもカルカソンヌ中毒。

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 午後久々にきたMKとゲームの話をすると、ポートムーディのあのボードゲームストアはやはりゲーマーであるMKの友達がやっており、「最近背の高い日本人が来なかったか」と店主に聞いたら「おお来た来た、カルカソンヌを買っていった」となり、「彼は僕の叔父さんだよ!」という会話で盛り上がったのだそうだ。

 あの若い店主は今なんと、日本の忍者スクールに行ってるとのこと。なんでカナダ人には忍者スクールがそんなに人気があるんだ(笑)。格闘技の一種と捉えられているのかな。

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■10/10/16(土) □ 草原ルールの悩み
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昨夜からイトコのSFがスリープオーバー。今日は萌とSFがクローゼットのドアに美しいリンゴの木を描いた。これは素晴らしい。話をしてみるとSFはアート全般に興味があるらしい。来年にはハイスクールを終えるわけだが、アートカレッジ等に進むのかな。

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 晩飯:MK家でバーベキュー。当然カルカソンヌを持ってきたのだが、ゲーマーMKは昔やったことがあるとのことでルールをほぼ把握していて、いきなり萌の都市に相乗り(強制的に自分の都市を相手の都市に連結し同スコアを得ること)してきた。これまでこのゲームでアタックされたことのない萌はルールを分かっておらず防御しなかったので、なんときれいに乗っ取られてしまう。なんてことをするんだお前はオニかと大盛り上がり。

 しかし幸いにもこの都市がでかくなりすぎたためにMKは完成できず、萌は別に中規模の都市を完成させて着実に点を取り2位。教会をきれいに2つ完成させたSFが1位、俺は特に何もできなかったが3位。そして最大タウンに固執しすぎて他の都市を開発しなかったMKが結局最下位で皆満足となる。グレイト :-)。4人ゲームはやはり使えるタイル数が2人時の半分になるのであっけなく終わるという感はあるが、その分大人数でにぎやかな楽しい勝負になる。

 草原ルールはポイントが大きすぎると感じるから1都市2点にしている(※)とMKに説明すると、その大きなポイントを熾烈に奪い合うのが面白いのではないかと奴がゲーマーらしいことを言う。まあ熱いゲーマー同士ならそうだろうが、萌もいるわけだし、1つの手が過剰に結果を左右するエレメントは俺の好みではないのである。しかしこうしてその家にあったローカルルールを考えて実施できるところが、ボードゲームの面白さだ。
(※)《都市に連なる草原を取ると接する1都市につき3点》の「草原ルール」というものがあって、これは下手するとコマ1手で8都市24点とかの巨大都市並みのスコアがぽんと取れてしまう。それまでの楽しい都市開発の趨勢とは見た目上まるで関係なく草原プレイヤーにどでかい点が入るので、Mも憮然としていたし俺もバランスが悪いと思っている。

 このあたりのルール調整はこれからも検討していきたいが、とりあえず初所有のボードゲームとしてカルカソンヌは非常に満足感が高い。「カタン」など傑作と評判の別ドイツゲームもやってみたいが、これよりも複雑で時間のかかるゲームをボードでやるのは面倒だという気がする。PCやDSで複雑なゲームをやるのは苦にならないが、それは自分のペースで断続的にやれるからで、人とやるゲームは次元の違う集中が必要だからなー。カルカソンヌに拡張セットを足しハウスルールを整備して、よりゲーム性を高めていこう。

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