2015/07/05

【女子ワールドカップ】決勝:さようならチャンピオンたち



【女子W杯】決勝前夜、明日のためにムスメが日の丸プラカードを作っております。何枚作るんだよ!w(観戦はスタジアム横のパブリックビューイングの予定)

娘は友だちに「なんで日本のサッカーにそんなに入れ込んでるのよ」と不思議がられてるんだそうだ。「スキルがあるしエレガントだしキュートだし…」と彼女は理由を挙げるんだけど、しかとは答えられないらしい。キュートというところが重要なんじゃないかな、鮫ちゃんのあの走り方とか。試合前後の大野の天真爛漫さとか。そういうところも日本らしいのだ。



【女子W杯】決勝:よし。決勝スタジアム真横のパブリックビューイング会場へ出発。






帰宅。いやー、なでしこはえらい。よく崩壊しなかった。いや守備陣はさすがに2失点でうろたえ3点目4点目は崩壊に近い失点だったけど、それでもチーム全体はよく完全崩壊しなかった。落ち着きつつこれまでの試合の倍もハードに戦ってくれた。So proud of なでしこジャパン。

1点目2点目はまさかのグラウンダーで、空中戦を警戒してるところに足元を狙ってくるとは USA 恐るべしである。PK エリアにボールと人足を送り事故を起こすというのがなでしこに限らず日本攻略のセオリーで、男子が豪にやられたりしたので当然警戒してたろうが、足元とは。

あまりにも早い2失点に娘は号泣。3点4点と嗚咽が高まり周りの人々が心配するのでこれは見ていたパブリックビューイングから退場せねばならんかと覚悟したが、「攻撃陣は落ち着いてる! 点は絶対取れる!」と声をかけ続けていると大儀見が決めてくれた。これで娘が復活。「追いつけるよね!」。イエス!

そして澤登場! ――ちょっと高揚と失望のあまり俺も娘も昼から何も食ってないのでここでなんか食ってきます。結論を予告しておくと、後半は私たちが待望したなでしこそのものだった、序盤のトンデモ4失点がなければ超いい試合だったということで。



そうめん食べてます。そうめんジャパン。おつゆがしょっぱいのはムスメとなでしこの悔し涙か。娘はまだ落ち込んでいてそうめんを食べてくれない。頼むから食べてくれ。



で話は戻りますが娘はゆかたにフェイスペイントが好評で、行く先ざきで写真を撮りまくられたのね。30回くらい撮られたと思う。で撮る人がたいてい屈託ないアメリカ人なんですわ。バンクーバーのパブリックビューイング会場の過半数がアメリカ人で、残りが日本カナダその他という感じ。

その過半数サポによる U-S-A! U-S-A! 大合唱が試合前からやはり半端ではない。予期はしてたけど現場で聞くとここまで音量でかくて唐突でしつこくてウザいかと、W杯はお祭りだからと鷹揚に構えていた俺でもうんざりする。カナダ人のお客さんたちは呆れたわねと俺たちに目配せし、小声で(日本を応援してるわよ!)と言ってくれた。サンキュー、サンキューソーマッチ。それが延々と途切れず続き、4-0となってもまだやってるんだからどんだけなのかと思った。これはつまり応援ではないナニカなんだよな。ある種の自己催眠状態なんじゃないかと思う。

で USA サポはそういう人々であり子供も多いので、日本ゴールの近くにボールが行くだけで特にチャンスじゃなくても耳をつんざくとんでもない声を上げるわけ。誇張なしでキーンと耳が痛く肉体的なつらさを感じる。スタジアムを埋めてるのも同じ USA 声で、それがなでしこの耳を襲う。

あの耳をつんざく USA 声を体感すると、そりゃ DF はイージーにクリアできるボールも慌ててしまうよなと実感する。まだビデオを見てないが、1点目2点目は相手の策にやられたけど3点目4点目はそれもあったんじゃないかと思う。ゴール後の歓声はほんと耳が痛かった。

(翌日やっぱりなと思う記事を発見)宮間『(決勝は)これまで通りに入りましたが、これまで通りではなかったです。緊張ではないと思います。その理由はスタジアムの空気。完全アウェーの試合をたくさん経験してきた中でも、一番大きな歓声だったと思います。まったく声が聞こえなかったので、そこのちぐはぐ感はありました。米国の人ははっきりと「U・S・A」と言いますよね。歓声というより自分たちの声が通らないことが一番痛かったかなと思います。』(宮間あや「やれることは全部やれた」スポーツナビ)

ああやっぱりなあ U-S-A!音声の圧力。パブリックビューイングであの圧迫音声に俺たちはたじろぎながら、目と鼻の先のピッチにいる彼女らに思いを馳せていた。

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そして大儀見が1点返し澤の登場。盛り上がる PV 日本サポ。岩清水を引っ込めるとはすごい決断だ佐々木監督と唸ってしまった。CB は誰がと思えばなんと阪口。これにも驚いたけど阪口は対人も弱くなく、そして阪口の CB 位置からのフィードの正確さが見事に攻撃に効いていた。

そこからは阪口のフィードと大儀見のポスト、澤と宇津木の早めでスライディングまで行くハードな守備、前に出た鮫ちゃんと宮間のアーリークロスと、これまで見た中で最も攻撃的ななでしこをたっぷりと楽しむことができた。2点目が入った時の会場の盛り上がりはすさまじかった。

4-2 となれば、あと1点返せばうろたえるのは USA の方である。しかしここで1点追加されたのが痛かった。これで追いつける可能性が消えた。しかし娘ももう泣いてはいなかった。いいサッカーだよねと声を掛け合う。これが見たかった日本のサッカーだよね。素晴らしいよ。



試合が終わり会場を後にする。…なにか食べようか。食べたくないか…。いやあの4点がなければいい試合だったよね…。あそこから2点返すというのはすごいことだよ。

俺はあれこれ話しかけるのだが、彼女はまた涙にくれていた。さようならワールドカップ。さようならチャンピオンたち。



1 件のコメント:

  1. この写真を撮ったことがバレて「お父さん私が泣いてるのに撮ってたの!?」と呆れられたのだが、でもいい写真だよこれと見せるとまた涙をこぼし、「自分の写真を見て自分で泣いてる」と笑い泣きしていた。そして彼女はその写真を友だちに送る。

    『日本はパニックにもならず片時も諦めずファイトバックしたのよ。失われた希望を取り戻してくれる、信じられないほどすばらしいプレイだった。負けて心は粉々で目は今もウルウルだけど、これ以上思えないくらい私のナデシコガールズを誇りに思っています』

    My nadeshiko girls というのが泣ける。ほんとに愛していたんだね、君のナデシコガールズ。◆

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