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■15/05/25(月) □ トランジスタラジオ
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屋上の彼女は近年稀に見るキュートさで、声や喋り方や表情がたまらない。あんな子が高校にいたら、人生どれだけ余分に恥をかいたかわからないくらいだと思った。二人の空に静かに流れる「トランジスタラジオ」のピアノがきれいだった。泣けてきそうなメロディ。
萌の友達は皆嫌いなクラスをサボったりしてるそうで、彼女はサボったことがないのでそんなことしていいのかしらと言う。
「う~授業をサボって、日の当たる場所に私もいたことがあるよ」
「タバコも吸った?」
「吸った…かもしれない。でも私をイクザンプル(参考例)にしなくていいから」
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■15/05/31(日) □ オルタナティブなティーンロック
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萌は俺の中高時に比べあまりロックを聞かないのだが、iTunes/iPod 内に美麗なロックコレクションを作るということに趣味的にハマっていて、家中の CD を取り込んではカバー写真を探し「アルバム」を作っている。取り込んでもあまり聞いてないと思うが、「ミックって声が嫌い。『アンジー』だけはいい」と言ってた(笑)。
友だちと出かけるとおこづかいで CD を買ってきては壁にピンでジャケットを貼り付け、音は iPod に入れて聞いている。で車の中で俺にも自分の CD を聞かせるのだが、彼女が好きな現代ロックがその…ピンとこなくて…なんとも反応のしようがなく気まずい。すまん。
お気に入りの中で最も有名なアークティック・モンキーズも、初期のルースターズみたいなやつ( I Bet You Look Good~や Fluorescent Adolescent)は悪くないねと思うが、萌が選んで俺に聞かせる曲はザラザラ尖ってうるさいんである。
Arctic Monkeys - Brianstorm (2007)
グルーブしない性急なリズム、硬い音色と硬い演奏、単調で執拗なリフとメロディ、コードの乏しさ、全曲ボーカルにかかるエフェクト、1秒に5回も切り替わる絵。俺が聞きたい音も見たいものもこの曲にはない。が、この音が萌たち現代英米加ティーンの態度にそのまま呼応しているのはよくわかる。大きな音を立ててドアを閉めたり、雨の日に傘を差すことを拒む理由なき反抗のティーン精神とこれらの音が、共鳴し合っている。
じっさい萌は意識してはいないだろうが、これだけ俺に響かない音楽ばかりを聞かせるところを見れば、俺というエスタブリッシュメントに対する反抗として、俺が好む音楽へのオルタナティブ(つまり全然違うもの)を無意識にチョイスしてるのだろうな。オアシスやスミスじゃなくアクモンなのは音のオルタナティブ性からじゃないかと思う。やれやれ(笑)。
しかしアークティック・モンキーズやカナダのマザーマザーは従来の音から乖離してはいるが、たとえば日本のゲスの極み乙女や女王蜂のように新しいとか先鋭的だとは思わないな。俺はゲスや女王蜂を好んで聴くわけではないが、聞けばおおすごいなと思う。その感覚は萌の聞く音楽にはない。一般にヒットしてる(カナダ女子W杯の開会式に出てきた)ティーガン&サラなんて聞くと、古っ! 80 年代 MTV! って感じる(笑)。
Tegan and Sara - Closer
そして俺はやっぱり自分でやるならこういう音を出したい。80 年代の「最新型ロックロール」は古びない。
C.M.C.(2004 Edition) / ザ・ルースターズ
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■15/06/06(土) □ 女子W杯開幕
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【女子W杯】カナダ代表プレビュー番組を見る。「ホームで、これが多分私の最後のワールドカップなのよ。準備はソーマッチできてるわ」「これはもうスペシャルなんて超えたものね。イッツ・ビヨンド・スペシャル」と、まなじりを決したカナダ代表選手たちの顔が映る。もう泣けてきそう。神様お願い、カナダにいいW杯を。実力を発揮し切っても勝てるとは思えないが、後悔のないワールドカップを。
【カナダ-中国】しかしその気合いが空回り、猛然と突っかけてボールを奪っては雑なプレイでロストするの繰り返し。狭いところでのボール扱いは小兵な分中国に分があり、カナダはオープンスペースでのスピードに乗った競り合いに持ち込みたいのだが中国が出てこないという状態。去年の秋日本にやられたときとあまり変わりなく、中盤が弱い。
エース・シンクレアが二列目に下がりボールに触ると落ち着き、彼女がキープする間に他が上がりチャンスになるが他が拙く攻撃が続かないのも去年と同様。彼女と同クラスの力を持った選手がもう数人いればなあ。15 歳で代表に入り、2003 年W杯ですごいロングシュートを決めスターになるも膝を痛めて引退し TV 解説をやってるカララングはまだ 28 歳だった。川澄ちゃんより若い。彼女が健在でシンクレアと並び立っていてくれたら、近年のカナダサッカーの成績はだいぶ変わっていただろう。
結局ボックス内の軽いファウルで PK をもらえたのでカナダは助かったが、相手が引いていて負ける要素はなかったとはいえ攻撃がなんとも単調であった。前途多難である。
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■15/06/07(日) □ 日本-スイス
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Mが朝のうちに散歩に行こうと言い、暑いし歩くのはダルいよと自転車に誘うと珍しく乗ってきたので、俺のいつものハイドクリーク山岳コースへ連れて行く。
うちから3分で森に入り、そこから 10 分のゆるい登りでこの丘の上に着く。ここまで来ると民家は木に隠れて見えないので、手軽に登山イクツーリング気分が味わえる。こんなところがあったのねとMも喜んでいる。小1時間の爽快な初夏のランであった。最後は脚に疲れを感じたけども。
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【日本-スイス】前半は落ち着いて的確な攻めで新進スイスを攻略し上々だったのだが、後半は守勢一方だった。帰りの電車の奥様から電話。「どう思った? 後半はスイスが攻めっぱなしだったじゃない。ちょっと日本ガッカリじゃない?」。うーん、すいません。1点があったもんで攻める意思が弱かったよね。敵の10番があれだけ暴れてたわりに失点する予感はそんなになかったけど、もう1点はほしかった。
やっぱり初戦は難しいな。前半相手が明らかに硬くなっており、日本は格上らしい進め方でラッキーな先取点も取れたんだけど、そこから敵の逆襲をいなすこともカウンターで相手を脅かすこともできず、どっちつかずのまま終わってしまったなあ。カナダともども今大会は苦戦が続くかもしれない。
日本 vs スイス戦で妻と子が座ってた席の真後ろに、前の試合を終えたカメルーンチームが来て視察してたのだそうだ。なにっ!それで話しかけなかったのかよ! すごいゴールだったですね大会のニュースターですねっていえばよかったじゃん。何のためにフランス語習ってるんだムスメよ!
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■15/06/10(水) □ にっぽんこころ旅
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1990 年代廃墟警備員時代のことを書いたブログ記事「追憶の調布関東村」に、すてきなコメントが今朝書き込まれていた。
『1970年代、小学生だった私は九州にある似たような米軍の住居を目的もなくよく探検していました。それはちょうど関東村と同じようなものでした。
フェンスの向こうには主人を失い朽ち始めたものの、外国に行ったことのない小学生には十分すぎるほどのエキゾチックな風景が広がっていました。あのような場所、風景は、戦後のある限られた一時期だけに出現したものだったんだとサカタさんの文章を読みながらその偶然性をかみしめています。
もうその場所は公園や学校になり、わずかな木々と特徴のある道路の配置と湾曲ぐあいだけが、当時を知るものだけに記憶を呼び戻す痕跡となっています。
―わあ。「にっぽん縦断こころ旅」の手紙みたいだ。すてきだ。とーちゃこ!
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■15/06/11(木) □ 高校表彰式
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カナダのワールドカップでカナダが戦ってる夕べに萌の学校が親参加の行事を入れてきやがって参席中。早く終わらせてくれ。ちなみに後ろの席の父兄がイタリア系大家族で、「ワールドカップ、ワールドカップ」いうとります。わかる。わかるぞ! 俺にはイタリア語がわかる!
行事は生徒の学業スポーツアート実績の表彰式で、まあ小学校時のリコグニションアセンブリー(頑張ったことを認めてあげましょうの会)と同じで、違いはより大仰で時間が長いこと。そして小学校時は「ハードワーク」「思いやり」といった抽象的な美徳を表彰されたのだが、高校はより具体的で成績オール A とか学年首席とかスポーツ大会での優秀成績となっている。
萌は友だちに作ってもらった美しいサマードレスで参加。しかし単に一般の学業優秀オール A をもらっただけだったので、他のさまざまな賞をもらった子をうらやんでいた。こないだの仏語ビデオアート大賞のほうが萌にとってははるかに特別なことなわけだがそこに言及なしで、彼女はがっかりしていた。おそらく賞を取ったことを、関わった仏語担任が学校に通知してないのだと思う。
カナダの教師はそういう、自分の職掌から外れたことにはおそろしく気の利かないところがある。というかちょっと気を利かせて生徒の学校エクスペリエンスを最大化するというのは、教師の職務ではないのだ。日本の教師はサービス業で、カナダの教師は違うのである。
「鬱問題を抱えながら頑張っている」子が紹介されスタンディングオベーションが起きたのだが、あとから「お父さんとマムだけが立たなかった」と萌に指摘された。すまん。スタンディングオベーションが起きたということに感動してスタンディングオベーションできるのがティーン感性だな。大人はいろいろ考えちゃう。あの子は鬱であることを公にしてもらいたいのだろうかとか考えてしまうのだ。
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【カナダ-ニュージーランド】試合がとうに終わってから帰宅。ビデオで後半を見るとカナダは初戦と同じだった。ホームなんだから早くボールを奪わなきゃ、ホストなんだから早く点を取らなきゃとチーム全体が終始浮き足立っている。そのせいでいいプレイがまったく出ずスコアレスドロー。
このカナダに比べると、落ち着いて立ち上がりスイスをいなして何度もチャンスを作っていた日本の初戦は、少なくとも前半は実にW杯王者らしかったな。後半スイスの圧力を押し返せなかったのはマジ悔しかったが、そこは明日修正してくれることを期待。
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■15/06/12(金) □ Mの PhD 授与式
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本日はMの PhD 授与式(大学全体の卒業式だった)とカメルーン戦。あの大仰な博士様衣装を着たMはかわいかった。写真をたくさん撮りたかったのだが位置的に難しく、結局公式カメラマンがたくさん写真を撮っておいてくれたので助かったが、萌の機嫌が悪くて家族写真は一枚しか取れなかった。萌と二人になったときに、せっかくお母さんの晴れの舞台なのにあんなフテてちゃかわいそうだろうとたしなめる。
しかしこの公式カメラマンはキャノンの APS-C で撮ってたのだが、写真を見て俺の PEN のほうが標準ズームも望遠も絵がいいのでびっくりした(上2枚がキャノン、左が俺の PEN)。APS-C はいいレンズを追加購入しないとレンズが弱すぎるというのはこのことか。そしてやっぱ M4/3 って安いレンズでもこんなにいいのか。えらい。この写真は俺が下手でフォーカスが別な人に行ってしまったのだが、うれしそうないい顔が撮れた。
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そして【女子W杯・カメルーン戦】別記事に書いたが前半は最高、後半押されると得点機が作れないのに悩むという状態。FWの近くでボールを持ち、敵を交わしFWに渡しシュートを打たせる方法を考えてほしい。ドリブルをしてほしい。岩渕は使えないのだろうか。
PEN にMZ40-150mmをつけてたのだが、試合中は観戦に熱中していて全然写真を撮れなかった。この17番は最高だったよ。カメルーンも勝ち進んでほしい。
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