2012/06/24

日記『「お邪魔者」は完璧チョイス』

『日本へ持っていくゲーム探し』『「秘密」ゲームが見つかった』『アンク・モルポーク』

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■12/06/15(金) □ 日本へ持っていくゲーム探し
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今日は快晴20度で水に入るにはちょっと涼しいくらいだったのだが、萌は学校の年度末ウォーターパーク大会でえらい盛り上がったとのこと。しかしサンスクリーンの塗りが甘かったらしく、顔から背中まで真っ赤に日焼けしてしまった。これは明日あたり痛くなるだろう。気温20度でこれなんだから、カナダのUVはアホらしいくらいの量である。こんなに寒い雨の日々が続きつつ、雲が切れるとたちまち肌がこんなに痛むんだから、ふざけた季節だ。毎年そう思う。

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日本行きの宿予約等が済み一段落したので、持っていくボード/カードゲームを探している。昔から欲しかった「ボードが美しい農場ゲーム」と、ディクシットで目覚めた「秘密を持つゲーム」の2つがほしい。農場ゲームとしては「オレゴン」が浮上してきた。


西部開拓ゲーム「オレゴン」
「オレゴン」は地味に安定して面白い開拓ゲームとのことだが、ルールを読んでみるとほしかった農園ゲームとはちょっと違うか。開墾、収穫、拡大再生産というゲームではないな。

オンラインで試せるサイトが見つかりルールを読みながら1人2役でやってみたのだが、これはグレンモアと同系統だな。ミープルに隣接したマスに建物を置くとアクティベートされポイントが得られる。建物の横にミープルを配置しても同じく、アクティベート&ポイント。その置ける場所が持ちリソースや金ではなく、座標を示すカードで決まるというのがグレンモアとの違い。わかってみると「あそこに置きたいがカードが出ないー」というジレンマはカルカソンヌみたいでなかなか面白いけれど、グレンモアのほうが当然新しい分よくできていて、より多様な村が作れる。こっちのほうが簡単なのでおそらく奥様にはプレイしやすいと思うが、生産ゲームでも農業ゲームでもないので今回はパスだな。ま、試せてよかった。

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■12/06/16(土) □ 「秘密」ゲームが見つかった
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お手軽な「秘密を持つゲーム」としてぴったりなのが見つかった。善良なるドワーフが穴掘りトンネルカードをつないで金鉱を目指し、正体を隠した邪悪なドワーフ「お邪魔者」が密かにトンネル破壊行為を行うというゲーム、『お邪魔者』。多人数推奨だが3人からできる。地元で手に入る。


トンネル掘りゲーム「お邪魔者」
正体隠匿ゲームの大御所である「レジスタンス」や「人狼」は面白いだろうが多人数専用だし、カードは役割が書かれたものだけらしい。つまりすべては概念で出来上がっているゲームのようで、抽象的な心もとなさがある。

「お邪魔者」はその点トンネル連結とその妨害というわかりやすい行動の中で、正体隠匿と秘密のスリルが楽しめそうなのだ。レジスタンスなんかいくつ記事を読んでもルールがわからないが、これは写真1枚で「あ、穴掘りね」とわかる。どう考えてもこっちのほうが万人にウケるよな。これだ。父の日に買ってもらえるようお願いしました。

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■12/06/17(日) □ アンク・モルポーク
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Discworld: Ankh-Morpork
「お邪魔者」を買いに行ったMが、フェイバリット作家テリー・プラチェットの企画ものである「ディスクワールド:アンク・モルポーク」というゲームを見つけ衝動買いしてしまった。おま、そんな企画ものが面白いわけないだろう。なんで私に相談せぬのだと怒りつつ調べると、デザイナーは有名なワレスさんとある。でもってボードは美しい。ふむ。

では一応やってみるかと2人でテストプレイしてみると、何百枚もあるカードにびっしりと書かれたテキストに従い処理をするタイプ。ゲームは単純そうなのにテキスト読みがめんどくさいという難儀なタイプである。手番ごとに5枚ほどのカードテキストを読むのだから、非常にテンポが悪い。

それに英語(ワレスは英国人)というのは説明においてバカな言語で、

「他のプレイヤーを1人選び、その人が5ドル払えなかった場合はこのカードをその人の前に置く。するとこのカードは手札の補充時に5枚制限の1つとして数えられる。彼はこれを取り除くことはできない(Dr Whiteface)」

なんてカードがある。うちのM大先生が読んでも意味がわからない。これは読解するとつまり

「他のプレイヤーに押し付ける。その人が5ドル払えなかった場合は手札の1枚となり、捨てられない」

というババ・カードなわけで、いったん読解すると原文も辻褄が合うのだが、そういう『論理整合性は合ってますが。それがナニカ?』という高飛車文章が英文世界には多すぎる。どんなゲームでも日本語説明書のほうがわかりやすいのは、輸入元や訳者がこうしたバカ難解独語英語を読解し、誰でもわかる普通語にしてくれているからである。日本語翻訳者というのはそういうサービス残業をいつも強いられるのだ。

ともあれ、このカードに代表されるように効果は「暗殺」「地震で建物が霧散」「敵の手札を全部見て1枚捨てる」など、無茶苦茶強烈なものばかりで、攻撃だけではなく引いた自分に災難が降りかかることもある。建物をいくつか持つと金は使い切れないくらい入ってくるし、すべてがダイナミックかつ雑で、だんだん笑えてきた。これは意外やバカゲーなんだな。評を読むと「ワレスがアワードを取った大作の片手間に作ったお遊びゲーム」だって。なるほどね。

ゲーム内容は美麗な街区地図上の陣取りゲームなのだが、こないだやった「D&D:Lords of Waterdeep」もそうだったように、地形には特に意味がない。「○○という建物にコマを置くと毎ターン3ドルもらえる」といった建物効果は根拠薄弱であり、そういう効果しかないボードはいくら美麗でも面白みがないのである。ボードはゲーム世界の地図なわけで、地形には意味があってほしい。山は越えられないとか、湖があって自然の障壁になっているとか、そういう地形効果がある方が楽しいに決まってるではないか。チケライ Euro の地図は美しい上に地形にゲーム上の意味があるから素晴らしいのである。

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やがて気がつけばゲームは終盤ぽく、お、俺は勝てるぞこれはとちょっと身を乗り出す。勝つためにはあそこをこうしてこうして、あれだな。よし。―――というところで、Mが「トラブルマーカー8個で私の勝ち!」と宣言。俺は陣地数が勝利条件だったのでえーっと驚いたが、各人勝利条件が全然違うのだった。秘められた勝利条件でもって各自努力するというゲームなのね。それはなかなか小味が効いてるな。

というわけで全般的にバカゲーだと思うけど、笑って終わりプレイ後感は最初に思ったよりずっとよかった。雑な上にテキストが大量にあるという俺の好みの正反対のゲームなのだが、タワけた流れの中で「あれとあれをやれば勝てる」という陣取りのわかりやすさがあり、時間も短いのがよかったのだと思う。何度もやり込むようなゲームでもないが、うちには他に陣取りゲームがないことだし、ときおり取り出してやる価値はあるなという感じ。

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■12/06/20(水) □「お邪魔者」は完璧チョイス
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ゴール直前に行き止まりカード。
放課後萌と共にMKのところを訪ね、ついに「お邪魔者」3人戦をやってみた。【緒戦】はMKがお邪魔者と信じ、萌とタッグを組んでひたすら彼を攻撃していたのだが、最後に萌が行き止まりカードをペタと置く。―――「お、お前だったのか!」「だから僕じゃないってさっきから言ってただろう!」―――。楽しー :-)。しかし邪魔のタイミングが遅すぎて簡単に行き止まりカードは除去され、善良ドワーフ側の勝ち。

このゲームはカード構成が絶妙で、善良ドワーフがゴールまでつなぐのは思ったより難しい。連結には役に立たないカードが手札にガンガン入ってきて、そのマネージメントがなかなか難し面白いのだ。無用なカードを捨てて場札を引くことで、善良ドワーフは手札を浄化し、お邪魔者は穴掘りに協力しているフリをしつつ破壊ツールと(自分用の)修理ツールを集める。面白い。


見るからに邪悪なお邪魔者。ウシシ。
【2戦目】は俺がお邪魔者。序盤からあからさまに邪魔をすると身分がバレて総攻撃を受けるし、遅すぎると緒戦のごとく破壊が間に合わない。いつサボタージュをするかが鍵となるわけである。

俺は疑われ攻撃もされていたが、ゴール直前でトンネルをブロックして正体を表し、総攻撃を受けながらも同時に別部分のトンネルを崩落させ、このコンボが見事に決まった。正体がバレ攻撃され行き止まりカードを置けなくなっても、崩落や道具破壊カードは使えるのである。なのでブロック&崩落をタイミングよく行えれば、穴掘り側は同時に2ヶ所を直さねばならず、お邪魔者への報復攻撃もその分弱まり、大きくバランスが傾ぐのだ。面白い :-)。MKと萌はうあーと怒声を浴びせながら(赤ちゃんを寝かせているMK奥さんに怒られました・汗)修復を試みるが間に合わず、カードが尽きて俺の勝利。やっ・た\(^-^)/。

【3戦目】はMKがお邪魔者なのはわかるが、いつ攻撃がくるかわからないままハラハラとゲームが進む。このゲームはお邪魔者不利という評が多いが、単純な横トンネルカードが希少なカード構成ゆえ善良ドワーフが延々とそのカードを引けず詰まることが多く、そこにお邪魔者が活躍する余地がけっこうあったりする。そして最後の7列目まできたところでついにMKが「ウハア!」と攻撃し、「やっぱりお前かー」とこれまた盛り上がった。萌と2人でMKを袋叩きにし、無事ゴール。

これは完璧に期待通りだな。誰もが悩むことなく構築ができる。それでいて考えどころはある。演技ができ難詰ができ攻撃ができる。コロレットの問題である「テーマ性の欠如によるとっつきにくさ」もこのゲームは当然回避しており、ゲーム嫌いな人でも喜んで参加してくれるだろう。なんでこれがあることにこれまで気づかなかったのだろうと思うくらい俺の希望にぴったりだ。素晴らしい。ドイツゲームは無限だな。

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そしてこれまでどうもタイミングが合わずMKとやれなかったグレンモアを導入。初の真性ゲーマー相手のグレンモアである。初回なので面倒な「土地税ルール」はなしでいこうと思ったのだが、「コストがかからないなら取らない理由がない」といって彼は最後尾で他のプレイヤーが無視した全タイルを拾っていく牛歩作戦に入る。これは家族ゲームでは誰もやらなかった戦法で、土地税なしならこれで無尽蔵にリソースが取れゲームバランスが崩れてしまう。「いや実は最後に土地税がかかるので、タイル数を無闇に増やすのはクレバーではないのだゴメン」といって牛歩をやめさせねばならなかった。ほんとゲーマーはスキがない。こういうゲーム上級者のために、あらゆるルールは明記が必要なのだとよくわかる。


この牛・羊・麦・木コマがほしい!
セットで買えるのかな。
そこからあとは手順は説明不要で、各タイルの効能を説明するだけですいすいとプレイしてくれた。後半はさすがは筋金入りのゲーマーで、俺のタイル説明を聞いて「こっちのほうが同じリソースで出るポイントが大きいな」と建物を選び進めていき、酒工場作戦でガンガンと大量点を上げ、自分がほしい酒場が萌に取られるんじゃないかと手番を待つジリジリ感が顔と指先に現れるほど熱中してくれた。

説明入りで50分ほどでゲーム終了、説明で身が入っていなかった俺を抜きMKが2位。このゲームが大得意な萌が歳の市と肉屋作戦でいつの間にか点を稼いでおり及ばなかったが、MKは俺が所有するゲームでこれを一番楽しんでくれたんじゃないかな。やっぱゲーマーにはこのゲームのクオリティが一発でわかってもらえるのである。ヨシ :-)。

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