2012/12/14

日記「クリスマスコンサートの音楽性」

「ハードなレスリング」「スクールクラスの Facebook」「ヘボなカナダの大衆音楽環境」

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■12/12/05(水) □ ハードなレスリング
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 【萌の学校のレスリング部活】を初めて見に行ってみると、こんなハードな取っ組み合いをしてるのかとびっくりした。まさしく取っ組み合いでヘッドロックなんかがバリバリに出、まあケンカにしか見えない。受け身を習ってるから痛くはないのだというが、ひやりとするような角度で体がマットに叩きつけられている。

 萌は俺が見ている間一度も勝てず悔しそうだったが、俺がジャッジだったら2試合は萌に技ありで旗を上げていたので、そう悲観することはないとあとで説明しておいた。このへん子供スポーツはなんでもそうで、コーチが全員をちゃんと見るのは不可能なんだよな。

 しかし萌のフォームの悪さくらいはすぐに分かるのだが、それをどう直したらよくなるのかは俺にはわからない。格闘技は見るのは好きだがやったことがないから、うかつなことは言えない。まあとりあえず組む前に手をボクシングのごとくグーにしてファイティングポーズを取るのは、なんとなく気合いが入った気持ちはわかるが不利だろうと助言する。相手を掴むことから始まる競技なので、掌底を相手に向け構えるのが合理的だ。

 萌がこんな取っ組み合いで強くなるとは思えんのだが、負けてもスキルがつくことが楽しいのかなあ。これは自分が格闘技をやったことがないのでよくわからない。ハイドクリークの空手教室が当初の型重視の寸止め空手のままだったら(若い先生に変わってから筋トレと組手中心になった)、あれを続けていくのが一番良かったのだと今でも思っている。あるいは太極拳とかね。萌の体はなめらかで優雅な動きのほうに向いていると思うんだよな。

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■12/12/06(木) □ スクールクラスの Facebook
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 教育用途で提供されるクラス限定 Facebook 的なものが学校に導入され、萌がいまメシも食わず家の PC から自分のプロフィールを更新し、友達とチャットしながら宿題をやっている。年齢的に FB などホンモノ SNS には加入できないのだが、実際萌はこの家にいながらにしてリアルタイムで友達とつながってる状態、これがやりたかったんだよな。これを安全にクラス限定でやれるとは、なんといいアイデアだろう。


生顔アップ写真はガキっぽいからやめろとの
親の指示で、こういうアート風写真がメインに
詳しい仕組みはわからないが、担任がクラスアカウントを作り全員が登録するらしい。家に常時接続がない家はさすがに今時ないのだろう。担任も当然オンラインにおり、ゆるく目を配っている。Facebook に代表されるネットを使ったいじめの恐怖譚は全米の親を震え上がらせているわけで、これはそうしたものへの予防措置と準備として理想的だな。もしこれが担任のアイデアなのだったら、あんたはエライと褒めてさしあげたい。

 写真による SNS インスタグラムの方も萌は快調で、俺が毎日見て批評するせいもあってアップロードする写真と説明コメントの質が高く、フォロワーがどんどん増えている。俺のツイッターのフォロワー数を参照し、お父さんを抜くのは時間の問題ねとほくそ笑んでいる。インスタグラムやクラス FB という方法で表現によって人気を博すのは、萌にはプラスなことだろう。

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■12/12/08(土) □ ヘボなカナダの大衆音楽環境
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 ジョンの命日なのでちょっと萌の部屋にギターを持って入っていき「イマジン」を歌ってきた。萌には小さいときからビートルズや ELO をさんざ聞かせてロック耳キッズに育てたのだが、中学になるとビートルズはおろかギターや生ドラムの入った音楽はほとんど聞かなくなってしまった。別にそういう音を避けてるわけじゃなかろうが、学校の友だちが聞いてる売れセンポップにはものが振動するアコースティック音がほとんど入ってないのである。こういう音ばかり聞いていて鋭敏な耳が育つわけがない。


 カナダは子育て環境はいいが(というか子供がめちゃ優遇される国だが)、音楽環境はヘボである。はっとするようなメロディやコードなんて TV やラジオからまったく聞こえてこない。日本語 TV(ほぼ NHK)からは今日も、「山崎まさよし/太陽の約束」や「くるり/Remember Me」が流れてくるというのに。

 大人が聞いてる音楽も大差なく低調で、俺はカナダのラジオ局には絶望してカーラジオなんて一切聞いてない。「クラシックロック」局ですらビートルズやゼップのアルバム曲はかからないんだからね。現代のカナダ一般人が聞いているのは、ビートルズやパンクやニューウェイブといった音楽潮流がまるでなかったかのような先進性のない凡庸な音楽だ。スティービーワンダーや S&G のようなアメリカのトラッド音楽ですら、小沢健二やスガシカオのように継承されてはいない。いい音やメロディやコードに鈍感な音楽が作られ流行り、それを浴びて育った世代がまた鈍感な音楽を作っているのだろう。このカナダの音楽状況の味気なさは、音楽好きな日系人は皆感じていると思う。

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■12/12/12(水) □ クリスマスコンサートの音楽性
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 萌中学【クリスマスコンサート】。吹奏楽部はもともと顧問にブラバンを指導する音楽的ベースがないので(人柄は最高)チューニングすら合わないバンドなのだが、今回は戦没者追悼記念日からわずか1月で6曲も詰め込んだので、明らかに未完成だった。全員が自分のパートをどうにか覚え、一応通しで弾けるようになったくらいの段階だった。アンサンブルもなにもない自信なげな音の6曲で、萌に感想を聞かれても、うーん未完成だったねとしか答えられない。

 合唱部は40人中最前列10名がマイクで歌い曲ごとにローテーションするというバカな形態なので、子供らは歌うというよりも自分の声をモニターから聞くために(そうしないと他の子の声しか聞こえず自分の音程が取れないので)がなり上げてしまう。がなると音は当然外れるので、全員デカ声音痴で聞き苦しくなる。合唱じゃなく大声コンテストである。

 萌は後列で地声で歌ってるときはクールな表情で歌に入り込みグルーブしまことにかっこよかったのだが、最前列に来るとやはり大声を出そうと力みが入ってしまいイマイチだった。

 要はどちらの顧問も音楽的素養がないんだよな。吹奏楽顧問はジャズピアニストで管弦楽は楽器の調音法も指導できない。合唱部顧問は指揮が下手なので子供らは曲のテンポも取れない。マイクを使うせいで子供らの歌が下手になっていることもわかっていない。何年やっても二部合唱すらやらないんだからこれはまったく児戯である。双方ともボランティアでやってるので文句をいうこともできず、どうしようもないのだが。

 音大で教育を受けたレベルの音楽教師が指導する日本と違うのは仕方がないとはいえ、たとえば隣のK中学の合唱部を愛したKDさんによれば、あっちはクイーンの歌をやったりしてものすごく盛り上がるそうなのだ。もちろんマイクなど使わず、生徒によるピアノ伴奏のみで。顧問が音楽をわかった人なんだろう。そっちに行かせたかった。くくく。

 カナダでは子供が受けられる指導の質が、日本よりもはるかに指導者により左右される。日本よりばらつきが大きいというか、何ごとに関してもそれ相応になっていく日本のほうが、お国柄でばらつきが小さいのだろうなあ。

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