2013/02/27

日記「洛陽の門にて」

「ギター先生」「洛陽の農業感」「日本スターシステム」「洛陽・改善希望案」

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■13/02/15(金) □ 洛陽の門にて
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Yucata オンラインで新ボードゲームのルール習得に励む。「洛陽の門にて」。天下一の人気ゲーム「アグリコラ」の作者にしては……とあまり評判がよくないゲームなのだが Twitter で「洛陽>祈り>ル・アーヴル>アグリコラ」と評している人がいて意外に思い、ゲーム画面を見てみたらおお、よさそうではないかとやってみる気になった。シンプルで見やすく、アグリコラに通ずるかわいさもある。実際このデザイナーの人気の秘密はこのゲーム盤面の可愛さにもあるだろう。アグリコラを評価しない人の評価が高いなら、あれが合わず売り飛ばした俺には向いているかもしれない。

 アグリコラと同等にわかりにくいルールを読みながら始めるが、最初の「場札または手札から中庭に1枚カードを移すか、中庭のカードを1枚と手札から1枚取る」というカード取りルールからして変則的すぎて意味がわからない。英語ルールと日本語のユーザーページを両方参照しつつ実際に何度も手順をやってみて、

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◆場札から「中庭」に1枚カードを出し、手札からもう1枚出して手番終了。(または)手札から1枚出し手番終了。(または)場札から「中庭」に1枚カードを出し、中庭のカードを1枚、手札からもう1枚取りカード取得終了。(または)……
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 みたいな、分岐だらけでどうやっても明解文章化は不可能なルールになってるのだと分かった。「ほしいカードを順ぐりに2枚ずつ取る」といったわかりやすいシステムじゃないのである。この作者はこういうところがやはり無駄に煩雑かつ説明下手だと思う。こんなものはチャート化する以外理解しようがないのだが、本体付属のマニュアルでもそうしていないし。

 この手順で意図された効果はよく分からんが、たぶんゲーム内にインタラクションが少ないのでカード取りでの攻防を最大化したのだろう。結果としてプレイヤーの行動がどうなるかというと、手札中取りたいものは手札に残し、その次くらいにほしいが敵に取られても OK なカードを中庭に出し様子を見る(場札や敵手札からよりよいものが出たら取る)ということになる。たいして面白い手順やジレンマではないわりに時間がかかる。9ラウンドやったくらいではカードを見渡してちゃっちゃと即決できるようにはならなかった。

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 じっくりとルールを読みながら1人2役テストプレイを終える、野菜作りはアグリコラより面白い。どの種類の野菜が必要か考え、畑や市場やヘルパーを使いやりくりしていくのは楽しい。収穫、顧客への販売、次シーズンのための種の買い付け、種まき等など必要なことを1ターンで一挙にやれるのも、それぞれに1ターンかかり日が暮れるアグリコラよりはるかにいい。ストーンエイジ的である。


毎度説明テキストが長いドイツゲーム
アグリコラの「進歩」カードと同じくゲームに変化とひらめきを与える華である「ヘルパー」(特殊効果カード)は、絵柄で効果がまったく区別できないのが難だが、種類が20と限定されてるのでテキスト読みはアグリコラほど面倒ではない。それでも例によって文章は冗長でわかりにくい(※)。効果は「敵のマーケットで自分の作物を交換してよい」などアグリコラ同様微妙なものが多く、必要なものが敵のマーケットにあり、そのタイミングでこのカードを引けば俄然メリットが出るというようなピンポイント効果になっている。
(※)アグリコラでもそうだが、たとえばカードの「地主」という名前が「中庭から最大3枚カードを取れる」という効果とぜんぜん結びつかないし、説明テキストが「During the Card phase, instead of taking 1 card from your hand and 1 from the Courtyard, you can take 1 card from your hand and up to 3 from the Courtyard 」とバカ長い。正確を期すがあまりこれしきのことを短文にできないのが英語(ドイツ語も同じ?)のダメさとしか言いようがない。


 で野菜作りは自由度が高いのだが、それを売るのが難しい。プエルトリコみたいに店に直接作物を売れれば楽なのだが、自分の畑に合う顧客を獲得しなければならず、それがそう簡単ではないのである。逆に顧客に合う野菜を作ろうとしても畑の種類により作れなかったり、合う畑はシーズン中ですでに作付けされ埋まっていたりで、そこがヒネリの利いたゲーム性になっている。4ターン続けて特定2作物供給しないと罰則を食らう自分の「顧客」用に2畑を揃えるのはまあ簡単なのだが、顧客2件目(つまり4作物=4畑)を揃えるのは資金面と所有畑数面からかなりキツキツな感じとなる。そんなこんなをあれこれ悩み、市場とヘルパーを使いまわして業務をこなしていくわけです。面白い。

 最大の欠点が得点システムで、稼いだ金で得点を買うシステムなのだが、異常なまでの累進課税になっており中盤以降は無茶苦茶高い。10→13点の3点で26金とかになる。せっかく稼いだ貴重な金をこんな重税に払うなんて、封建時代の農民の憤りをシミュレートしてんのかという感じ。顧客2件流客(合う3作物を揃えれば高く売れ、供給できなくても罰則はない流れ客)1件くらいを満たし相当にうまくいったターンでも稼げるのは16金くらいで、3点はよほど運が来ないと取れない。あちこちで批判されているが、いい手を思いつき成功させても得点にはほとんど反映されない得点システムなのである。

 これじゃ逆転も逃げ切りも難しく、どのゲームもじりじりとカタツムリ競争みたいな様相を呈す。金は運転資金に回し、「顧客」満足全達成でボーナス点、不満足でマイナス点、複数顧客や流れ客の同時達成で大繁盛ボーナスくらいのシステムだったらスマートかつテーマに合致していてより盛り上がると思うのだが。自分がもし買って家でやるならハウスルールでそうすると思う。ゲームバランスはぜんぜん取れないだろうけど。

 毎ラウンド新しい畑が無料で手に入り(サイズは半ランダム)、収穫が全部終わった畑は消えるというのもへんな感じである。やはり前年度の努力で得た資金で畑を買い足し、自分の終生をかけて農場を徐々に広げていくほうがずっと楽しいだろう。



 というわけで、明らかな欠点はいくつかあるがかなり面白いし、アグリコラよりは大幅に面倒が少ないのでオンラインで定番としてやっていけそう。しかし野菜を作って売るというだけのコンパクトなゲームでルールがテキストにして33ページ8千ワード以上あり、テストプレイ3回、実戦2回(継続中、面白い)やってもまだ不明点が残るんだから、このローゼンベルグというデザイナーはマジで説明が下手すぎというか、細かいルール作りすぎ文章長すぎ。アグリコラのルールも読みにくいで有名だが、ゲームをしていて疑問点が生じてもその答えがどこに書かれているか、8千ワードもあると見つけられないのだ。

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■13/02/16(土) □ ギター先生
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 高校生KDさんが習ってるギターの先生がすごく難しい曲を教えてくれることになり自信がないとヘビメタバンドのアコギ曲を聴かせるので、これはすごく難しく聞こえるが実は開放の4・5・6弦を使ってるのでそうでもない、ホラと即似たようなのを弾いてみせるとおおおと感動する。これはゼッペリンのジミーペイジという人がよく使ってたロックギターのベーシックなのよ。

 「だいたいヘビメタはハンマリングオンとプリングオフでピロピロピロと弾いてるので、右手は左手の半分のスピードでしかピッキングしてない。だから速いけど難度は低い。俺はできないけどね。左手とピッキングがイコールだと百倍難しくなるけど、インテンス(日本語で言う「テンションが高い」)でもっとカッコいいわけ」―――と教えるとサンプルで速いのを聞かせてくれと言われ、うーんと考え思いついたのは御大リッチーブラックモアの「ハイウェイスター」ライブ盤のギターソロ。しかし現代のギター少女の耳にはそんなに速くも聞こえなかったらしくあまりウケなかった。古過ぎたか(笑)。30年ぶりに聞けばミストーンもけっこう多いしな。それでもインテンシティは最強で名演としか言いようがない。

 ◇

 彼女はディレイペダル(エフェクター)がほしいのというので、「ああ、あの(クリスマスに買ってもらった彼女の)アンプはリバーブが付いてないからね。リバーブかディレイがないとエレキギターの音はしょぼいよね」と即答すると「そうなの!」とよくぞわかってくれたという歓喜の声を上げていた。

 KDさんは俺のギタースキルと知識をリスペクトしているようだ。ロックギターのコツをこれだけ割りきって簡単に教えてくれる人はいないだろうからな。彼女のギターの先生は、爪が長すぎてフレット上で指が寝てコードがビビる癖すら矯正してないのだから(俺はそこが我慢できず、いいからまずマニキュアをはいで爪を切りもう一回塗り直せと言っている)、本気でうまくしてやろうなんて思っていない。レッスン料を貰い、ああいう派手な曲を一応弾けるようにしてやればお役目終了と思ってるんだろう。

 BRたちの先生もまったく同じで、ボーイズは全員有名曲のイントロのかっこいいリフだけが弾けて、曲は通して弾けないという馬鹿げた状態になっていた。カナダのギター教師は全員クソである。

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 「洛陽の門にて」公式戦1戦目、2戦目と共に1点差負け。やはり上手い人とやっても差がつかないゲームである。そこは良し悪しだが面白い。アグリコラよりもずっと好き。

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■13/02/17(日) □ 洛陽の農業感
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 【洛陽の門にて】3戦目でビギナーと当たり初勝利。このゲームは序盤から引きもよく3顧客が安定して回り、毎ラウンド2点は確実に取り、ビギナー相手じゃなくても勝てたと思う。これは俺に向いているゲームらしい。相手が何をしたかをしっかりチェックしないと不利になるようなゲームではないので、オンラインでのナガラ打ちにも向いている。「敵の市場を使っていい」とかのインタラクションを生むカードが出た場合のみ、相手の市場に何があるのかを確認する程度でやっていける。これが当分俺の Yucata メインゲームとなるかもしれない。


本物ならばこのビジュアル。野菜コマがかわいい。
このゲームの「今年は何を作るべきか?」という農業感はアグリコラ、プエルトリコよりも高い。畑世話感覚はこれまでやったドイツボードゲームで最強だと思う。こんな得点システムじゃなく自分で畑を買い拡大していくゲームだったら農業フィーリングはもっと強まっていただろう。その点で拡大再生産フィーリング(積み上げの楽しさ)の薄さがあってこれが至上とまでは思えないが、農業ファンのMにやらせればきっと喜ぶだろう。

 アグリコラは農業と言うよりも昔の農家生活のやりくりのハードさを緻密に組み上げて味わうというゲームだったし、プエルトリコはショップが埋まっており作物を売れないという制限がゲーム性を上げるために設けられており、そのために作物を売れない場面が多発し過ぎて農業ゲームとしてはのめり込めないのだと今思い出した。グレンモアは制限がゆるく作物の売買が活発にできて楽しいのだが、種をまいて作物を作るという農業感覚ではなく、村全体の経済活動を最適化するというゲームになっている。

 「洛陽」は人気がないらしくストーンエイジと同等の値段にまで下がっている。こっちにすべきだったかなー。ストーンエイジもやり込めばM萌も絶対面白くなるわけだが、この農業ゲームだったらMは(手札分配と得点ルールの妙ちくりんさ以外は)労せず愛してくれたと思う。

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■13/02/18(月) □ 日本スターシステム
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 「アクターズファイル・綾野剛」というのが録画テープに入っていて見てみると、彼はもともとバンドマンだったそうでギター演奏シーンが入っていた。すごくうまいんだけど、ライブハウスにいる普通のギター青年だなあと思った。音と身のこなしが一瞬の奇跡を生み人をハッとさせるようなものはない。ギターを持った姿のよさを布袋に褒められていたけど、布袋はあんな普通のギター青年的演奏ポーズなんか一生しないから明らかにお世辞。

 「八重の桜」を見ると周防さんとは全然違い、彼はなんでもちゃんと演じられるんだなと驚くけれど、天皇拝謁や攘夷派への憤りなどで見せる感情のこもった表情を見ても、あのギター同様普通だなと思う。うまくて驚くが、俺はハッと胸を打たれることはない。当然他の人には違って見えるのだろうけど。

 「マザー」「セカンドバージン」と見ていても俺は彼個人の存在に気づかなかったし(マザーの虐待母が尾野真千子なのは気づいていて、ああこんな嫌な役をやらされてるわーと心を痛めていた)、「カーネーション」で周防さんを見てる際中でさえ同時期に放送された戦時ドラマでの彼を見て「全然普通だなこの人」と思っていた。やはりこのギターを持った器用で目立たぬ普通の青年が、彼の本来なんだろうと感じる。

 でその普通の青年っぷりがすごく魅力的だったのが、「カーネーション」の周防さんだったわけである。こんな人がそばにいれば女子は当然胸さわぎ、キザなところが気にならなければ男友だちとしても魅力あるだろう。俺もKBの弟とかを思い出す。顔も似てるしな(笑)。

 しかしステージやカメラの前で脚光を浴びる、稀代の大俳優というタイプでは全然ないと思う。「八重の桜」での大役を始めこの「アクターズファイル」ではものすごい売れっ子ぶりであることが紹介されていたが、これはまさしく日本の「スターシステム(トルシエ談)」に乗ってる状態なわけだが、彼はそういうことをされて似合う「スター」じゃないんじゃないかとずっと思って見ていた。

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 メディアというのはスターを作るのが仕事のうちなのは当然だが、日本ではいつも度を越している。たとえば日本語 TV には小栗旬のドラマがよく出てくるのだが、俺は彼が何をやっても「ごくせん」の不良生徒役以上の魅力を感じないので、その大物扱いに違和感がある。

 ショーケンが何年か振りに仕事をもらえたと話題になった映画では彼が主役だったらしいのだが、それは象徴的なことだなあと思った。見るものの目を離さない自らの力で時代を切り開いたかつてのスターと、スターシステムで育てられた現代のスターとのコントラスト。

 まあ役者に限らず日本はなんでもそうなんだけど。AKB その他のアイドルを筆頭に、人気あるものに権力を持たせてしまう裸の王様国家である。近年最高の視聴率を叩き出したという実績だけで、明らかに頭がおかしくつまらないものを出演者と視聴者に延々と強制する「純と愛」の脚本家を誰にも止められないのも、日本スターシステムの1典型図だよな。

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■13/02/22(金) □ 洛陽・改善希望案
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 「洛陽」をやっていてあるターンで、高額作物をそのまま顧客に売るよりも

①一番安い麦を買い市場で高額作物に変えてから顧客に売り
②ヘルパーを使ってその高額作物用の畑を空け
③残した高額作物をその畑に植える

 ―――とやれば、金額的にプラマイ0で高額作物が次から3ターン連続で収穫できると気がついた。コンボ(複合技)だ。これで以降のターンにその高額作物用の顧客をゲットできれば、商売がクリーンに広がる。それからまたヘルパー効果によって顧客に1回配達を待ってもらい、その野菜を種として畑にまくということもできるなと気がついた。収入が1回遅れるが、全体収入は数倍に増えるわけである。

 これはこの作者が「アグリコラ」で完成させた、特殊効果カードを使い自分なりの戦術を編み出すシステムの面白さであって、それを非常に簡単に1ターンで(当然長考になるので対戦相手には悪いが)味わえるところがこの「洛陽」の長所だと思う。アグリコラではこうしたコンボ組み上げが、4手番くらいに分割してコツコツ実行する長大な仕事となってしまいしんどかったのだが(計算も実行もスパンが非常に長いので演算量が増す)、「洛陽」は最長でも現ターンに畑を仕込み、次のターンで顧客に供給する2ターン決済なので、全部の計算をすぐに終えすぐに演算実行できるから気持ちがいい。

 しかしもう10回もやってコンボとして見つかったのは片手に余る程度で、そんなにコンボの多彩さはないようだ。

 ◇

 このゲームは個々のゲーム展開に、個性や記憶に残るような場面がないという弱さがある。これはやはりあの得点法のせいで、資金と資材を貯めてどーんという作戦が取れず、どう打ってもたいして差が出ないというのが大きい。カルカソンヌは1戦1戦の地図が鮮やかに頭に残るし、ストーンエイジだって勝負を分けた1手が鮮烈に思い出せるのだが、このゲームはそういうものがない。上手い人とやっていても勝ったり負けたりできるのはいいが、この先は多少コンボを掘り下げる程度で戦術的な底はすでに見えてきてしまったかなという感じ。この得点システムによる攻防(というか得点競争)と戦術幅の少なさ、コンボの意外な少なさが弱点だというのがここまでの感想だな。しかし面白いです。点をつけるなら8点に近い。

 【改善希望案】ゲームのメイン部分はこのままで十分に面白いので変えず、野菜を売って商売が軌道に乗ったら(具体的には現ルールで3点取れるくらいの資金が1ターンにできたら)、自分の店舗を買うなり小作人を雇うなりの拡大勝負要素を加えるのがやはり盛り上がるだろう。稼いだ金は運転資金に使いたいよ。得点をじかに買うのはつまらないのである。

2013/02/21

日記「親子でグラミー賞を見る」

「レスリング無双な娘」「ギター本格化」「ロールスルージエイジス」「ギターリハーサル」「大成功ロックはなかなか難しい」

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■13/02/07(木) □ レスリング無双な娘
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 二度目の萌レスリングマッチ観戦で2町隣の中学へ。学区のレスリング中学生が百人も集うトーナメントが、これからは毎週あるとのこと。レスリングってなんでこんなにカナダの子供に人気があるのかな。しかも男女半々で。日本の部活にもしレスリングがあっても、こんなに女子が入るわけがない。萌のチームメイトを見るとみんなけっこう目立つ強気なタイプなので、フィジカルな自尊心とか自己顕示欲とかが決め手になってる気がしなくもない。実際やってることは取っ組み合いなので、負けた方は悔しさに泣きそうになってるしな。最近の戦績を聞くと萌は相当に強くなっているらしい。

 ―――うわ、とか下を向いて書いていたら萌の初戦を見逃した。気がついたら萌がマットにおりレフが萌の手を上げていた。秒殺! やはり強いのかうちの娘! こんなところまで来ていながら痛恨の見逃し(泣)!

 ◇

今にも跳びかかるようなこのポーズ!
2戦め、萌の学校のクラブはレベルが高いらしいのだが、そのチームメイトが相手。となるとやや戦いにくいのかなと思ったが、背の高さを生かし、相手にかぶさりいい態勢を取り続け、じわじわとポイントを稼ぎこれも萌の危なげない勝利であった。強くなってるわ萌。そんなにスキルやタイミングがいいとは思えないが、ガッと掴みに行く気迫で相手を上回っている。このレベルのレスリングだとそれでいい態勢を取れるのだろう。

 萌はもともとスポーツが苦手で、空手をやってたときは型はきれいだったが組手になると威圧され全然駄目だったし、背が伸びてるのにバランスが悪くバドミントンなどでもひょろひょろしてたのだが、昨夏以降バランスがよくなってきている。小学校の終わり(小5)頃から高くなった背たけに、レスリングのハードな筋トレも相まって筋力の成長がようやく追いつきバランスしてきているんだろう。強くなった自分のフィジカルへの自信がファイティングスタイルに結びつき、好循環となっているようだ。アジリティも見るからに増しており、バドミントンもうまくなっている。

 しかし負けて上気した相手の子の表情を見るとやはり気の毒で胸が痛むな。子供の格闘技は脳天気に応援していられない。

 3戦目は相手が強くテイクダウンされ、ピンフォールされないよう萌は耐えたのだが、レスリングって下になったほうがいくら耐えても「待て」は入らないらしく、となるとロープブレイクのないバーリトゥードみたいなもんで一旦下になったほうやがて力尽きてジエンドとなる。ブレイクがないと最初の当たりでの体勢で勝負の趨勢が決してしまいスポーツとしてつまらないし、負けた方は納得行かないと思うのだが、そういう競技なのかな。ルールがわからん。萌に聞いても知らなかった。

 ま、とにかく2勝1敗だからすごいわと祝勝バーガーを買って帰宅。驚いたよ萌、強い。

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■13/02/09(土) □ ギター本格化
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イトコMKのベイビーとギター
萌とギターを弾いてるとWとベイビーが訪ねてきて、ベイビーが音を喜ぶので彼女を囲んで皆でビートルズを歌い、久々に歌とハーモニーで盛り上がった。

 萌のギター好きは本格化しており、チャーの「スモーキー」のかっこよさにしびれイントロだけだが真似しているし、今日はビートルズ全曲を iPod に入れてくれと頼まれた。

 今やってるのは学校の行事で弾く予定の「レットイットビー」なのだが、左手はビギナーなのに右手はちょっとびっくりするほどうまい。弦への当たりがまだこなれてないので音量がガツガツとデカすぎたりはするが、リズムがすごく出ているのだ。これはピアノで歌を歌いながらコードを弾いて演奏してたおかげだろうな。ピアノのキー押し下げ動作でリズムを出すのに比べたら、ギターのストロークでリズムを出すことなんてお茶の子さいさいなんだろう。もちろん萌は無自覚だが、そういうことなんだろうと思う。これはうまくなるぞ。

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■13/02/10(日) □ 親子でグラミー賞を見る
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 グラミー賞を萌と見る。カナダのTVではライブ音楽ショーがほんとに少ないので、紅白みたいに久々にいろいろと見れて面白かった。

【テイラー・スウィフト】彼女を好きな萌は「意外と歌が……うまくない?」みたいなことを言ってたけれど、若いアーティストが大舞台にソレと出てぽーんと1曲だけ歌うんだからあんなもんだろう。歌のうまさ(というか声帯の強さ)で人を説得しようとする恰幅のいいおばちゃんシンガーたちとはやりたいことも違うしね。ポップでよかったと思う。


こういう量感勝負ってほんと苦手、
ストローンガーストローンガー!
で以降の 15 組ほどは紅白の Jpop と演歌と同じ感じで流し見。スティングはおじいさんになっても声が出るなあと思う程度。萌もそれほど全曲盛り上がっていたわけじゃなく、「ああこの曲ね」くらいの反応が多かった。俺がそういう米ポップを見てもつまらんと思うだけで意味がない。特に年間ボーカル大賞的なものを取っていた「(どんなつらいことでも死なないで) あなたを死なせないものはあなたをストローンガーストローンガーストローンガーにするのよ」という、三百年前の人生訓を前世紀の歌唱スタイルで気持ちよさそうに歌いまくるおばちゃんにはうんざりさせられた。うるせえと音をカットしたかったのだが、人生訓は中2的マインドとの親和性が高いので萌はこの歌を好きなんだよなー。


不思議な全員おばさんメンバーのバンドを
従えた謎の男
そこへ出てきたのがジャック・ホワイト。この人のことは全然知らなかったのだが、メンバー全員がおばさんのバンドで歌い始めた途端会場の空気がさっと入れ替わり、グラミー賞全体に漂うしょうもない芸能音楽ショー感は一発で払拭されてしまった。さらに後半はすごい音のする改造テレキャスをプリンスのように鳴らしまくる。すごいな何者だこの人はと俺と萌は話し、後日 Youtube で見ようと名前を記憶する。

 彼がやった音楽を特に気に入ったわけではないが、こうして芸能しょうもない世界と乖離した音楽を圧倒的なクオリティで演奏するというのは、誰かがやってほしいことである。紅白歌合戦の美輪明宏である。日本のロッカーにも紅白でこれくらいのパフォーマンスをやってほしいのだが。布袋かな。いや布袋やチャーは愛想がよくて一般人にも顔が知られてるだろうから、もっと気難しそうな氷室かな。

 ◇

 というわけで子供と音楽ショーを見るのは楽しかったが、しかしマルーン5とかワンディレクションとかの英語圏ヒットを聞くと、クイーン、ウィングス、ELO、スティービーワンダー、EW&F などが席巻してた俺の子供の頃の洋楽チャートは桁違いだったなと思う。そういう人たちと今日出てた連中の音楽的才能は2桁違うだろう。

 そしてそこに「(ざっざっざっざっ) ジャカジャーン!(さらばベルリンの陽)」とジョニーロットンの声が聞こえてきたんだから大事件である。その後 80 年代だって英国ポストパンク勢がずらりと MTV を飾った上になにしろプリンスがいたんだから、まだ音楽黄金時代の続きだ。TV から流れてくる音楽が衝撃的で新しかったのだ。

 昔ジョニーロットンはロックは死んだといい、当時俺はまだリアルに感じなかったけれど、このグラミーを見ればほんとにロックは水面で口パクパクの金魚だ。よくこんな場所にきてプリンスが不遜なことを言わなかったものだと思う(※)。
(※)プレゼンターとしてプリンスが出てきたときに、この人は今日出たミュージシャンが全員まるでかなわないくらいの天才だと萌に説明しあとで「パープルレイン」と「キス」を見せてやったのだが(これ以外は全部削除されていた、なぜ?)、後日彼女が「キス」を聞きこの声すごいねといっていた。よしよし。

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 萌はグラミー賞を見て「アジア人は1人もいないよね」とぽつりとつぶやいていた。うーん、まあ日本でもアメリカンポップスはそんなに売れないから、外国の音楽はそんなに人気にならんよねとお茶を濁したが、やはり中学生になると白人優位のこうした北米ポップカルチャーにさらされてアジア系ボーイズ&ガールズは物寂しい思いをするのだろう。ティーン雑誌の表紙にアジア・アフリカ系のスターは1人もいないし、アジア系はヒップホップやスポーツ方面でも有名人が現れないしな。

 しかしパフュームや日本ロックを見ると萌は、I'm so proud to be Japanese といってくれる。俺も「まあ非英語圏でロックとポップカルチャーが一番すごいのは日本で間違いないな」と根拠はないが断言している。1曲でいいからパフュームが世界で売れてくれないかな。あの浅田真央級のダンスを北米大衆に見せてやりたいものだ。

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■13/02/12(火) □ ロールスルージエイジス
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タイルを購入しパズルのように置いていくアルハンブラ
次に学ぶオンラインボドゲを週末探していて、http://www.boiteajeux.net のアルハンブラとディクシット、Yucata のロールスルージエイジスをやってみた。boit~(フランス語なので読めない)は Yucata 以上に進みが遅くて全然進まないのだが、アルハンブラはカルカソンヌみたいに一手やったら「ああこれは面白いな」と感じる、ストレートなタイル配置の良ゲーム。



カードに対しテキストでお題を
書いていくだけの簡単なゲーム、ディクシット
「ディクシット」は英語テーブルを選び入ってみて、最初の人のお題「行き先は天気に決めさせよう」というのを見た瞬間にオフラインと同じスリルが体を駆け抜け、これだと思った気球のカードを出す。結果5人中3人の票を集め見事R1トップ。オンラインでも楽しいんだなこれ。スゴイ。




かんたん拡大再生産・ロールスルージエイジス
で一番気に入ったのが Yucata の「ロールスルージエイジス」。ダイスを振って出た目を調整・配置して自分の文明を発展させていくというゲーム。見た目しょぼいが1人2役をやってみて、お・これは面白いとなり、ルールを半分くらい飲み込んだ状態でさっそく実戦へ。

 自分のダイスを振るだけなのでソリテアみたいなゲームだが(だからルール半分で対戦を始められる)、実戦となると相手より先にモニュメントを取らないとならんし、相手が送り込んでくる疫病その他に対抗するため急いで医療を充実せねばならぬし、なかなか競争が激しくて楽しい。初戦、次戦と完敗。思ったよりも勝つためには戦術強化が必要らしい。

 自分の村をしっかりデザインして作れるゲームではないが、拡大再生産効果がくっきりつくところがいい。つまり買い物をするとそれが後々効くという加速感がお手軽に味わえるのだ。サンファンくらいのプレイ感というか。ストーンエイジの買い物にはそれがないので(村での地道な労働積み重ねのみ)、ストーンエイジで満たされないところが満たされる。

 2敗のあと2連勝。あまり簡単に勝ててしまうと、ちょっとやっぱりマーシャンダイスとかのバースト系っぽい味気なさもある。それにやはりダイスの目が悪くて序盤にワーカーを増やせないと、にっちもさっちもいかないという運ゲー感も非常に強い。まあそれもあっての超ショートゲーム仕上げなんだろうな。オンラインで相手がリアルタイムに打ってくれれば10分で終わるから。

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 俺が今心の底からやりたいゲームは、自分の庭がありなにかを育て積み重ね拡大していくゲームなのだが、陣取りも拡大再生産ゲームもどれを取っても帯に短しタスキに長しで、完璧なゲームはこの世に存在しない。いろんな理想をすべて満たすゲームは、論理的に作れないのかもしれない。こうしていろんなゲームを覚えて、各種ゲーム欲望をすこしずつ満たしていくしかないのかもしれないな。

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■13/02/13(水) □ ギターリハーサル
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 明日萌のクラスが養老院を訪問しバレンタインコンサートをやる。今日はそのためのギターリハーサルを家の鏡の前でしっかりとやらせた。「レットイットビー」「マイボニー(ビートルズもカバーしてた古い歌)」「ユーアーマイサンシャイン」その他、お年寄りが好きそうな曲(つまりレットイットビーがレパートリー中最新ソング・笑)を5曲もやるのだそうだ。よく全部コードを覚えたな。

ちょっとテンポが早くなりすぎる傾向があるが、萌のリズムギターはもうほとんど文句なくいい。8ビートもシャッフルもリズムがよくて、歌っていて気持ちがいい。とにかく普通のテンポで弾いてるつもりでも実は速いので遅めに弾け、頭の中でまず歌ってからイントロのカウントをするといいテンポになるかもしれないとコツを指導する。

 親バカ的アレ抜きで見て萌のギター上達ぶりは目覚しくて、本気でギターを習い始めてから2~3ヶ月の時点で比較すれば俺の中学時代よりずっとうまいだろう。これはやはりキーボード演奏の下地があったのに加え、家でギターを弾いていれば「あ、そこは違う、こう親指でミュートして」「今の音がよかった、その感じで」と俺が逐一即座に修正してやれるので、うまくなるのは当然なのだと思う。うらやましいくらいの練習環境だ。普段俺のいうことなどロクに聞かない萌も、音楽だと俺をリスペクトしてるらしいしな(笑)。

 レットイットビーではサビでウーウーとハモれと厳命。これは間違いなくうまくいくだろう。

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■13/02/14(木) □ 大成功ロックはなかなか難しい
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 萌の養老院訪問バレンタインコンサートは、なんとピックを(楽器運搬係に)紛失されるという予想外のアクシデントで指でストローク→音小さく盛り上がらず→指から出血となった模様。まさかの想定外の事態である。ピックなんぞ人に預けずポケットに入れとけばよかろうに、ビギナーってそこを過ぎ去った者には思いもよらないミスをするものだなあ。リハのデキがよかっただけに、とにかく残念。はあ。

2013/02/08

日記「関東村の思い出」

「新フライパン」「ペン入力恋しや」「スラバヤ通りのパフューム」

【追記】「純と愛:アイシャルビー・リリースト」(2/9)


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■13/01/25(金) □ 新フライパン
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上の鉄中華鍋と左のキャストアイアンは
焦げるたびに焼きを入れ油を引いてやれば
調子いいのだが、ステンレスは駄目。
うちの台所には奥様が買った鋳鉄のキャストアイアンパンとステンレスのフライパンがあり、キャストアイアンは台所にある物で冷蔵庫に次いで重く(体感10キロ、実測3キロ)極めて使いにくいのでステンレスの方をメインにしてきたのだが、細かい傷が増えすぎたせいなのかもうどれだけ焼きを入れ油を塗っても焦げ付くようになり、買い替えを決めた。

 ノンスティック(くっつかないテフロン系)フライパンは健康への影響が懸念されるので避けてきたのだが、あちこち見て回りネットで調べるとテフロンを超えた絶対安全ノンスティックはいまだないらしい。しかしノンスティックの用途は卵、魚のムニエル、パンケーキなどくっつきやすいもので、こうしたものはそもそも中火以下で作るものであり、ノンスティックのほうが出来がよくプロでも使うのだそうだ。ノンスティックは強火にすると耐久性と有害ガス発生懸念があるが、そうした強火料理には鉄鍋を使えば安全性の心配はいらんわけである。なるほどね。

 そして逆に焦げてもいいというか焦げたほうがいい焼き物は、ノンスティックでは特性的にうまく焼けないらしい。香ばしい焦げ味をつけるには鉄が一番で、実際キャストアイアンも鉄中華鍋も肉はうまく焼けるしな。なるほど。非ステンレスの軽い鉄フライパンがあれば多少くっついてもそれがベストなのだが、そういうものは日本でもカナダでも見たことがない。薄い鉄板はすぐに熱で歪んでしまうからだろう。

 かように考えた結果、現行のキャストと中華鍋はそのまま使い、中火以下用にキャストアルミのノンスティックを買うことにして、ネットのユーザー評で好評なやつを買ってきた。

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 コーティングを傷めぬよう、温度をあまり上げず木べらを使い慎重にトライする。まずは残り物でバターライス。ノンスティックパンというのはライスですらくっつかないのかと改めて驚くほどだが、なんかじゅーっといわない。音がしないと温度とでき具合がわからないで困る。できたのかどうかよくわからんと思いつつ食ってみるとちゃんと熱々になっており、油分がほとんどないのでパサッと出来上がりうまい。おお。そうか、じゅーっという調理音はノンスティックだと出にくいのかもしれないな。強火でなくてもこのパサリ感は素晴らしい。これなら朝萌の弁当用にチャーハンをさっと作れてしまう。

 しかし晩飯に餃子をやってみると、ものの見事にくっつかずすぱっと気持ちよく取り出せたのはいいが、餃子の底にグレイズ(焦げ)ができていなかった。不味い。やっぱ火加減が難しいわ。熱で万が一パンを痛めるとと思うのでついつい火の手をゆるめてしまい、強気でストロングに調理できん。最後に火を弱めじっくりと焼きあげる感じにすべきなんだろうな。しかしまあこれでコツはだいたい掴めた感じ。よし。

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■13/01/28(月) □ ペン入力恋しや
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 MKがまた新しいアンドロイドを買うらしく、今使ってるペン入力式の巨大サムソン GALAXY Note をいらないかと聞いてきた。いや昔使っていた Pocket PC/Windows Mobile のペン入力は今も恋しいが、サムソンじゃ日本語の手書き認識は期待できんから、アンドロイド上でペンが使えてもあまりありがたみはないような気がする。


Google日本語入力「ゴダン」キーボード。右手で子音を、
左親指で母音を押すローマ字入力。
一応いまあるアンドロイド用の手書き文字認識のソフトウェアを試してみたが、Windows Mobile 時代から考えると比較にならない精度の低さだった。ペンの代わりに指で書くということに無理があるし、スマホ用ペンを使っても誤認識が多すぎて実用にならないレベル。予測変換も弱いし。これなら Google 日本語入力の新型キーボード、「ゴダン」のほうが入力ははるかに速くストレスが少ない。

 ペン手書き認識で Google 日本語入力が使えるようになるまでは、スマホ日本語入力のブレイクスルーはないと思う。文章入力と編集に関してはすべてのスマホは Windows Mobile から著しく後退している。というかまあ MS-DOS 機から Windows Mobile まで進化し続けたハンドヘルド機の総合 PC としての能力をバサッと捨て、通信・カメラ・ソーシャルのみに特化したのがスマホだからな。用途が違うのよね。

 「携帯機器でペン入力がなくなったのはほんと馬鹿げてるよな」とつぶやくと、萌が「ペンなんて必要ないじゃん、指でいいじゃん」という。DS のペンで巧みに絵や線を描いていたことは子供らの中で過去の終わった文化とされ、手先の器用さと創造性は失われ画面キータッチだけが研ぎ澄まされていくのか。

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■13/02/01(金) □ スラバヤ通りのパフューム
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日本語TV【MJ Perfume ドキュメント・今世界へ】台湾のファンが日本語で自分たちの歌を大声で歌っていることに感動し、鳥肌を立てているパフュームが愛おしかった。昔から日本に来てる無数の外タレも、同じ思いをしたことだろうな。本当に彼女たちは日本代表としてどこに出しても恥ずかしくないパフォーマーである。

 最近米ポップ音楽に毒されパフュームへの熱意が薄まりかけていた萌にこれ見ないとダメだろうと見せてやると、期待通り台湾ファンの熱さと3人の努力と涙に胸打たれ、今日はまたSPとパフュームを聴きまくっている。めでたし。

 SPは当然日本語がわからないんだけど、パフュームの音とダンスを愛してくれている。番組を見ていて、Perfume は海外ではカタコト英単語で話せばいいのになと思った。台湾でやった中国語丸暗記挨拶は偉かったけれど、丸暗記で話せることには限りがありすぎる。英単語を少しだけ用意すれば、どこの国へ行ってももっとたくさんコミュニケートできるのだ。「少しの英語だけがあなたとの架け橋(松任谷由実・スラバヤ通りの妹へ)」なのである。

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【追記】「純と愛:アイシャルビー・リリースト」
   NHK朝ドラ「純と愛」は最初からゲンナリしつつも今も見ているのだが(「いったいどうするつもりだこの話」という気持ちが視聴モチベーション)、オオサキホテル時代から続く引きこもり男問題を純が解決するという同種エピソードがいつまで経っても繰り返されている。もう残りも少ないというのに月曜日にはまた同じ問題が持ち込まれ、金曜に純が解決している。俺は脚本家の身内でも友達でもないので彼がそこに偏執的にこだわっている意図など忖度する気もせずただイタイので音を消し早送りしているが、早送りできない役者陣はまことに気の毒だと思う。

They say ev'rything can be replaced
遊川さんは朝ドラの価値観など変えられるわと壮語したけれど
Yet ev'ry distance is not near
いつまで経っても何が何やら
So I remember ev'ry face
だから俺は思い出しただ気の毒になるよ
Of ev'ry man who put me here
ループにはめられもがく純の顔をね

I see my light come shining
光が差してきた気もする
From the west unto the east
いまの純の演技を見ていると少しね(だけど予告編を見るとウンザリはまだ続きそう)
Any day now, any day now
いつの日か、いつの日にかこの話は終わってクドカンのやつに切り替わり純も視聴者も
I shall be released
自由になれるさ
(The Band「アイシャルビー・リリースト」)

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■13/02/06(水) □ 関東村の思い出
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(c) Stars and Stripes Newsboy Story

 むかし旧米軍基地跡地の廃墟の警備員をしていた頃のことを書いた「追憶の調布関東村-さよなら関東村」を見つけ、少年時代そこで新聞配達をしていたという府中のおじさんが同じく思い出を書き知らせてくれた。当時の調布関東村/府中基地新聞少年たちはこんな格好で配達していたらしい。みんな府中の三億円事件犯人(笑)。


この地図の左半分が1990年代末まで
廃墟村として残っており、そこに駐在していた。
やはり自分が駐在した調布関東村の地図が載ったページが楽しい。あの広い関東村を高校生たちが自転車で新聞配達していたのかあとニヤニヤしてしまう。

 関東村・府中基地の警備仕事については職業上の秘匿義務的なものがあり公には書けないこともあるのだが、俺もこのおじさんくらいの年になったらあの中の生活の思い出を少し書き足そうかなと思う。関東村勤務の初日からテキスト日記は数メガバイト分もあるわけで、たまに読み返せばやはり面白いし。



 ひとつ今思い出したのは、うちの奥さんと同じ年頃で偶然にも同じ名前の女の子が、小さいときにここに住んでいたのだが中を見せてくれないかと訪ねてきたときのこと。構内に招き入れ案内しますよと警備車のドアを開けると軽く意外な表情をしていたが、記憶をたどり自分が住んでいたあたりの区画に至るとオーマイゴッドと高揚し顔をキラキラさせていた。写真を撮ってあげるよと彼女を屋上ガーデンに立たせ、下から写真を撮ってあげたことを覚えている。あの写真をきっと、かつて関東村に住んでいた親や兄弟に見せたんだろう。

 「本当にありがとう。あなたはどうしてそんなに英語が話せるの?」と聞かれ、んーと実は君と同じ名前の子がいてねとMのことを話し、なんて偶然なんだろうと2人で笑った。この誰もいない関東村構内を犬と巡回しながら、俺は大声で英会話テープをリピートし覚えたんだよ。

 関東村の思い出は甘い。あの 1990 年代の東京という時代がそっくり、甘い思い出だ。




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日記「立川基地の青春」(ランドリーゲイトの想い出)