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■13/02/15(金) □ 洛陽の門にて
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Yucata オンラインで新ボードゲームのルール習得に励む。「洛陽の門にて」。天下一の人気ゲーム「アグリコラ」の作者にしては……とあまり評判がよくないゲームなのだが Twitter で「洛陽>祈り>ル・アーヴル>アグリコラ」と評している人がいて意外に思い、ゲーム画面を見てみたらおお、よさそうではないかとやってみる気になった。シンプルで見やすく、アグリコラに通ずるかわいさもある。実際このデザイナーの人気の秘密はこのゲーム盤面の可愛さにもあるだろう。アグリコラを評価しない人の評価が高いなら、あれが合わず売り飛ばした俺には向いているかもしれない。
アグリコラと同等にわかりにくいルールを読みながら始めるが、最初の「場札または手札から中庭に1枚カードを移すか、中庭のカードを1枚と手札から1枚取る」というカード取りルールからして変則的すぎて意味がわからない。英語ルールと日本語のユーザーページを両方参照しつつ実際に何度も手順をやってみて、
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◆場札から「中庭」に1枚カードを出し、手札からもう1枚出して手番終了。(または)手札から1枚出し手番終了。(または)場札から「中庭」に1枚カードを出し、中庭のカードを1枚、手札からもう1枚取りカード取得終了。(または)……
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みたいな、分岐だらけでどうやっても明解文章化は不可能なルールになってるのだと分かった。「ほしいカードを順ぐりに2枚ずつ取る」といったわかりやすいシステムじゃないのである。この作者はこういうところがやはり無駄に煩雑かつ説明下手だと思う。こんなものはチャート化する以外理解しようがないのだが、本体付属のマニュアルでもそうしていないし。
この手順で意図された効果はよく分からんが、たぶんゲーム内にインタラクションが少ないのでカード取りでの攻防を最大化したのだろう。結果としてプレイヤーの行動がどうなるかというと、手札中取りたいものは手札に残し、その次くらいにほしいが敵に取られても OK なカードを中庭に出し様子を見る(場札や敵手札からよりよいものが出たら取る)ということになる。たいして面白い手順やジレンマではないわりに時間がかかる。9ラウンドやったくらいではカードを見渡してちゃっちゃと即決できるようにはならなかった。
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じっくりとルールを読みながら1人2役テストプレイを終える、野菜作りはアグリコラより面白い。どの種類の野菜が必要か考え、畑や市場やヘルパーを使いやりくりしていくのは楽しい。収穫、顧客への販売、次シーズンのための種の買い付け、種まき等など必要なことを1ターンで一挙にやれるのも、それぞれに1ターンかかり日が暮れるアグリコラよりはるかにいい。ストーンエイジ的である。
毎度説明テキストが長いドイツゲーム
(※)アグリコラでもそうだが、たとえばカードの「地主」という名前が「中庭から最大3枚カードを取れる」という効果とぜんぜん結びつかないし、説明テキストが「During the Card phase, instead of taking 1 card from your hand and 1 from the Courtyard, you can take 1 card from your hand and up to 3 from the Courtyard 」とバカ長い。正確を期すがあまりこれしきのことを短文にできないのが英語(ドイツ語も同じ?)のダメさとしか言いようがない。
で野菜作りは自由度が高いのだが、それを売るのが難しい。プエルトリコみたいに店に直接作物を売れれば楽なのだが、自分の畑に合う顧客を獲得しなければならず、それがそう簡単ではないのである。逆に顧客に合う野菜を作ろうとしても畑の種類により作れなかったり、合う畑はシーズン中ですでに作付けされ埋まっていたりで、そこがヒネリの利いたゲーム性になっている。4ターン続けて特定2作物供給しないと罰則を食らう自分の「顧客」用に2畑を揃えるのはまあ簡単なのだが、顧客2件目(つまり4作物=4畑)を揃えるのは資金面と所有畑数面からかなりキツキツな感じとなる。そんなこんなをあれこれ悩み、市場とヘルパーを使いまわして業務をこなしていくわけです。面白い。
最大の欠点が得点システムで、稼いだ金で得点を買うシステムなのだが、異常なまでの累進課税になっており中盤以降は無茶苦茶高い。10→13点の3点で26金とかになる。せっかく稼いだ貴重な金をこんな重税に払うなんて、封建時代の農民の憤りをシミュレートしてんのかという感じ。顧客2件流客(合う3作物を揃えれば高く売れ、供給できなくても罰則はない流れ客)1件くらいを満たし相当にうまくいったターンでも稼げるのは16金くらいで、3点はよほど運が来ないと取れない。あちこちで批判されているが、いい手を思いつき成功させても得点にはほとんど反映されない得点システムなのである。
これじゃ逆転も逃げ切りも難しく、どのゲームもじりじりとカタツムリ競争みたいな様相を呈す。金は運転資金に回し、「顧客」満足全達成でボーナス点、不満足でマイナス点、複数顧客や流れ客の同時達成で大繁盛ボーナスくらいのシステムだったらスマートかつテーマに合致していてより盛り上がると思うのだが。自分がもし買って家でやるならハウスルールでそうすると思う。ゲームバランスはぜんぜん取れないだろうけど。
毎ラウンド新しい畑が無料で手に入り(サイズは半ランダム)、収穫が全部終わった畑は消えるというのもへんな感じである。やはり前年度の努力で得た資金で畑を買い足し、自分の終生をかけて農場を徐々に広げていくほうがずっと楽しいだろう。
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というわけで、明らかな欠点はいくつかあるがかなり面白いし、アグリコラよりは大幅に面倒が少ないのでオンラインで定番としてやっていけそう。しかし野菜を作って売るというだけのコンパクトなゲームでルールがテキストにして33ページ8千ワード以上あり、テストプレイ3回、実戦2回(継続中、面白い)やってもまだ不明点が残るんだから、このローゼンベルグというデザイナーはマジで説明が下手すぎというか、細かいルール作りすぎ文章長すぎ。アグリコラのルールも読みにくいで有名だが、ゲームをしていて疑問点が生じてもその答えがどこに書かれているか、8千ワードもあると見つけられないのだ。
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■13/02/16(土) □ ギター先生
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高校生KDさんが習ってるギターの先生がすごく難しい曲を教えてくれることになり自信がないとヘビメタバンドのアコギ曲を聴かせるので、これはすごく難しく聞こえるが実は開放の4・5・6弦を使ってるのでそうでもない、ホラと即似たようなのを弾いてみせるとおおおと感動する。これはゼッペリンのジミーペイジという人がよく使ってたロックギターのベーシックなのよ。
「だいたいヘビメタはハンマリングオンとプリングオフでピロピロピロと弾いてるので、右手は左手の半分のスピードでしかピッキングしてない。だから速いけど難度は低い。俺はできないけどね。左手とピッキングがイコールだと百倍難しくなるけど、インテンス(日本語で言う「テンションが高い」)でもっとカッコいいわけ」―――と教えるとサンプルで速いのを聞かせてくれと言われ、うーんと考え思いついたのは御大リッチーブラックモアの「ハイウェイスター」ライブ盤のギターソロ。しかし現代のギター少女の耳にはそんなに速くも聞こえなかったらしくあまりウケなかった。古過ぎたか(笑)。30年ぶりに聞けばミストーンもけっこう多いしな。それでもインテンシティは最強で名演としか言いようがない。
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彼女はディレイペダル(エフェクター)がほしいのというので、「ああ、あの(クリスマスに買ってもらった彼女の)アンプはリバーブが付いてないからね。リバーブかディレイがないとエレキギターの音はしょぼいよね」と即答すると「そうなの!」とよくぞわかってくれたという歓喜の声を上げていた。
KDさんは俺のギタースキルと知識をリスペクトしているようだ。ロックギターのコツをこれだけ割りきって簡単に教えてくれる人はいないだろうからな。彼女のギターの先生は、爪が長すぎてフレット上で指が寝てコードがビビる癖すら矯正してないのだから(俺はそこが我慢できず、いいからまずマニキュアをはいで爪を切りもう一回塗り直せと言っている)、本気でうまくしてやろうなんて思っていない。レッスン料を貰い、ああいう派手な曲を一応弾けるようにしてやればお役目終了と思ってるんだろう。
BRたちの先生もまったく同じで、ボーイズは全員有名曲のイントロのかっこいいリフだけが弾けて、曲は通して弾けないという馬鹿げた状態になっていた。カナダのギター教師は全員クソである。
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「洛陽の門にて」公式戦1戦目、2戦目と共に1点差負け。やはり上手い人とやっても差がつかないゲームである。そこは良し悪しだが面白い。アグリコラよりもずっと好き。
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■13/02/17(日) □ 洛陽の農業感
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【洛陽の門にて】3戦目でビギナーと当たり初勝利。このゲームは序盤から引きもよく3顧客が安定して回り、毎ラウンド2点は確実に取り、ビギナー相手じゃなくても勝てたと思う。これは俺に向いているゲームらしい。相手が何をしたかをしっかりチェックしないと不利になるようなゲームではないので、オンラインでのナガラ打ちにも向いている。「敵の市場を使っていい」とかのインタラクションを生むカードが出た場合のみ、相手の市場に何があるのかを確認する程度でやっていける。これが当分俺の Yucata メインゲームとなるかもしれない。
このゲームの「今年は何を作るべきか?」という農業感はアグリコラ、プエルトリコよりも高い。畑世話感覚はこれまでやったドイツボードゲームで最強だと思う。こんな得点システムじゃなく自分で畑を買い拡大していくゲームだったら農業フィーリングはもっと強まっていただろう。その点で拡大再生産フィーリング(積み上げの楽しさ)の薄さがあってこれが至上とまでは思えないが、農業ファンのMにやらせればきっと喜ぶだろう。
アグリコラは農業と言うよりも昔の農家生活のやりくりのハードさを緻密に組み上げて味わうというゲームだったし、プエルトリコはショップが埋まっており作物を売れないという制限がゲーム性を上げるために設けられており、そのために作物を売れない場面が多発し過ぎて農業ゲームとしてはのめり込めないのだと今思い出した。グレンモアは制限がゆるく作物の売買が活発にできて楽しいのだが、種をまいて作物を作るという農業感覚ではなく、村全体の経済活動を最適化するというゲームになっている。
「洛陽」は人気がないらしくストーンエイジと同等の値段にまで下がっている。こっちにすべきだったかなー。ストーンエイジもやり込めばM萌も絶対面白くなるわけだが、この農業ゲームだったらMは(手札分配と得点ルールの妙ちくりんさ以外は)労せず愛してくれたと思う。
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■13/02/18(月) □ 日本スターシステム
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「アクターズファイル・綾野剛」というのが録画テープに入っていて見てみると、彼はもともとバンドマンだったそうでギター演奏シーンが入っていた。すごくうまいんだけど、ライブハウスにいる普通のギター青年だなあと思った。音と身のこなしが一瞬の奇跡を生み人をハッとさせるようなものはない。ギターを持った姿のよさを布袋に褒められていたけど、布袋はあんな普通のギター青年的演奏ポーズなんか一生しないから明らかにお世辞。
「八重の桜」を見ると周防さんとは全然違い、彼はなんでもちゃんと演じられるんだなと驚くけれど、天皇拝謁や攘夷派への憤りなどで見せる感情のこもった表情を見ても、あのギター同様普通だなと思う。うまくて驚くが、俺はハッと胸を打たれることはない。当然他の人には違って見えるのだろうけど。
「マザー」「セカンドバージン」と見ていても俺は彼個人の存在に気づかなかったし(マザーの虐待母が尾野真千子なのは気づいていて、ああこんな嫌な役をやらされてるわーと心を痛めていた)、「カーネーション」で周防さんを見てる際中でさえ同時期に放送された戦時ドラマでの彼を見て「全然普通だなこの人」と思っていた。やはりこのギターを持った器用で目立たぬ普通の青年が、彼の本来なんだろうと感じる。
でその普通の青年っぷりがすごく魅力的だったのが、「カーネーション」の周防さんだったわけである。こんな人がそばにいれば女子は当然胸さわぎ、キザなところが気にならなければ男友だちとしても魅力あるだろう。俺もKBの弟とかを思い出す。顔も似てるしな(笑)。
しかしステージやカメラの前で脚光を浴びる、稀代の大俳優というタイプでは全然ないと思う。「八重の桜」での大役を始めこの「アクターズファイル」ではものすごい売れっ子ぶりであることが紹介されていたが、これはまさしく日本の「スターシステム(トルシエ談)」に乗ってる状態なわけだが、彼はそういうことをされて似合う「スター」じゃないんじゃないかとずっと思って見ていた。
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メディアというのはスターを作るのが仕事のうちなのは当然だが、日本ではいつも度を越している。たとえば日本語 TV には小栗旬のドラマがよく出てくるのだが、俺は彼が何をやっても「ごくせん」の不良生徒役以上の魅力を感じないので、その大物扱いに違和感がある。
ショーケンが何年か振りに仕事をもらえたと話題になった映画では彼が主役だったらしいのだが、それは象徴的なことだなあと思った。見るものの目を離さない自らの力で時代を切り開いたかつてのスターと、スターシステムで育てられた現代のスターとのコントラスト。
まあ役者に限らず日本はなんでもそうなんだけど。AKB その他のアイドルを筆頭に、人気あるものに権力を持たせてしまう裸の王様国家である。近年最高の視聴率を叩き出したという実績だけで、明らかに頭がおかしくつまらないものを出演者と視聴者に延々と強制する「純と愛」の脚本家を誰にも止められないのも、日本スターシステムの1典型図だよな。
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■13/02/22(金) □ 洛陽・改善希望案
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「洛陽」をやっていてあるターンで、高額作物をそのまま顧客に売るよりも
①一番安い麦を買い市場で高額作物に変えてから顧客に売り
②ヘルパーを使ってその高額作物用の畑を空け
③残した高額作物をその畑に植える
―――とやれば、金額的にプラマイ0で高額作物が次から3ターン連続で収穫できると気がついた。コンボ(複合技)だ。これで以降のターンにその高額作物用の顧客をゲットできれば、商売がクリーンに広がる。それからまたヘルパー効果によって顧客に1回配達を待ってもらい、その野菜を種として畑にまくということもできるなと気がついた。収入が1回遅れるが、全体収入は数倍に増えるわけである。
これはこの作者が「アグリコラ」で完成させた、特殊効果カードを使い自分なりの戦術を編み出すシステムの面白さであって、それを非常に簡単に1ターンで(当然長考になるので対戦相手には悪いが)味わえるところがこの「洛陽」の長所だと思う。アグリコラではこうしたコンボ組み上げが、4手番くらいに分割してコツコツ実行する長大な仕事となってしまいしんどかったのだが(計算も実行もスパンが非常に長いので演算量が増す)、「洛陽」は最長でも現ターンに畑を仕込み、次のターンで顧客に供給する2ターン決済なので、全部の計算をすぐに終えすぐに演算実行できるから気持ちがいい。
しかしもう10回もやってコンボとして見つかったのは片手に余る程度で、そんなにコンボの多彩さはないようだ。
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このゲームは個々のゲーム展開に、個性や記憶に残るような場面がないという弱さがある。これはやはりあの得点法のせいで、資金と資材を貯めてどーんという作戦が取れず、どう打ってもたいして差が出ないというのが大きい。カルカソンヌは1戦1戦の地図が鮮やかに頭に残るし、ストーンエイジだって勝負を分けた1手が鮮烈に思い出せるのだが、このゲームはそういうものがない。上手い人とやっていても勝ったり負けたりできるのはいいが、この先は多少コンボを掘り下げる程度で戦術的な底はすでに見えてきてしまったかなという感じ。この得点システムによる攻防(というか得点競争)と戦術幅の少なさ、コンボの意外な少なさが弱点だというのがここまでの感想だな。しかし面白いです。点をつけるなら8点に近い。
【改善希望案】ゲームのメイン部分はこのままで十分に面白いので変えず、野菜を売って商売が軌道に乗ったら(具体的には現ルールで3点取れるくらいの資金が1ターンにできたら)、自分の店舗を買うなり小作人を雇うなりの拡大勝負要素を加えるのがやはり盛り上がるだろう。稼いだ金は運転資金に使いたいよ。得点をじかに買うのはつまらないのである。