「クールキッズという歌」「シャーロットさんの記者会見」
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■14/11/01(土) □ クールキッズという歌
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萌を迎えに車を出すと、晴れた外の寒さに驚いた。冬だ。タイヤを交換しないと。
車の中で萌が俺にこの歌を聞かせる。
Echosmith - Cool Kids
――彼女は言うの、『あたしもクールキッズみたいになれたらなと思う。苦労せず周りにフィットしてるみたい。なんでも手に入るし。人の視線も気にならないんでしょ。あたしは背景のその他大勢』
いいね。歌詞がすごくいい。クールキッズ(人気のある奴ら)とそれ以外というのは、日本にもカナダにもある普遍的な悲しみだ。
しかし家に帰ってからこのビデオを見て一気に俺の気持ちが下がった。歌ってる子きれいじゃん(笑)。カッコつけてるじゃん。明らかにクールキッズ側の子じゃん。
これはギークっぽいバンドメンバーや背景に写ってる人たちが歌うべき歌だ。売れないバンドを売るために事務所が声のきれいなモデルを探してきたみたいに見えちゃう。そしてきっとそれは大筋外れてないだろう。
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■14/11/05(水) □ シャーロットさんの記者会見
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「マッサン」シャーロットさんの英語記者会見がアップロードされていた。第一声で「ああうちの親がこれを見れたら、喜んでもらえるだろうなあ」と喋りだしております。Youtube だから見れるよきっと。 見ながら概略をツイッターに流す。
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今朝皇居の前を通りながら、いったい何がどうなってここにいるのだろうと非現実感を感じました。いまだにこれをやっていることを信じられない。本当に名誉に思うしもったいないほどだと思うし感謝しています。女性の一生を描き日本で撮影というオーディションの概要を見たとき、「すごいな。まあ自分がやれるわけないけど」と思いつつ応募しました。そして米国のほとんどの女優がそうであるように生活のためにさまざまな仕事をし舞台の仕事をしながら過ごしていたら、スクリーンテストを日本でと連絡が来たんです。完全に忘れていたのに! ジョークかと思ったわ。
そしてわずか10日後に日本へ飛んだのですが、心底怖かったです。一言も日本語を喋れず、知る顔もなく。オーディションを受けたのですが台詞を忘れて手も脚も震えまくって、けれど演技は止めずに英語と仕草と表情、使えるものすべてを使い演じ続けたんです。
オーディションでもう一つ覚えてるのは150回分の台本がそこに積んであったことで、これは大変な仕事なんだぞと応募者に警告するためだったと思うんです。でも私はそれを見てウォウこれはエキサイティングだわと思いました。もちろん今になって『大変』の意味を痛感していますが(笑)。
このすべての経験は…いつも…私の人生で為したことで最もハードであり続けています。他に言いようがないし嘘はつけない。毎日が。毎日がです。最初の頃は本当に、毎日が人生で最もハードな日でした。たとえばこういうスピーチをしなければならない日に、朝起きてみたら言葉を忘れていて、「仕方がないからそのスピーチの【音】だけをクイックに暗記する、みたいな。最初はそんな感じだったんです。今は言葉を理解できてきたけれど。
それほどにハードだったのだけれど一方でこの仕事は、私の人生で最も大きな報いを与えてくれています。女性として女優として職業人として、強くなれたのです。日本が何もかも与えてくれたことを感謝しなければ。これは NHK にとっても大きな賭けで、櫻井さんは私が特別なものを持っており、日本から逃げることはないと NHK を説得しなければならなかったんです。よく私のパスポートを取り上げたりしなかったものだわ(笑)。
毎日モニターを見ながら、どうやってこんなアートを作れたのと信じられない思いがします。こんな(言語文化的に)不可能的な状況の中、どうやってお互いを理解してこんなシーンを作れたのって。でも現実にやっているんです。
このドラマがどれほどのものなのか、つい先日のBKイベントで心底理解できました。1500人が待つステージに上がって手が震え、その暖かさに圧倒されました。人々がこのショーからどれほどの喜びを得ているのかを本当に理解し、朝ドラとはなんなのかがわかったんです。朝ドラの意義も、そして私が日本の人々に対して負っている義務も。これからもすべてを正しくやっていけるよう願っています。これからも本当に頑張ります。ありがとうございます
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初々しくラブリィなシャーロットさんのスピーチでした。俺は知り合いに役者はいないけれども、表現の才能があっても仕事には結び付かなかった人々や日本に住む外国人女性はよく知っているので、シャーロットさんにすごくシンパシーを感じてしまう。彼女が日本でいいときを過ごしておられることが伺えてうれしい。
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しかしこの会見にいたのであろうウォールストリートジャーナル Japan の記者は、「米国人ウエートレス、日本のテレビスターに」というクソみたいなタイトルのクソつまらない記事を書いていた。ここにまさしくシャーロットさんを発見できなかった米メインストリームのつまらなさを感じる。米国芸能以外眼中にないという。
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■14/11/07(金) □ 弾き語りをやってくれ
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ドラマ「Nのために」の鬼父が映画「博多っ子純情」でデビューしたと聞いてへーと検索してたら、すてきな女の子の弾き語りを見つけてしまった。実にいい声でギターがうまい。◆ 博多っ子純情/チューリップ(宮原良仕子)
70~80年代の歌をたくさん歌ってる子みたい。この子が隣の女子校の学園祭で歌っていたら俺は絶対見に行って、クドカンドラマの男子連中みたいにうううと泣いてたと思う。◆9月には帰らない/宮原良仕子(ユーミン)
この宮原良仕子さんを今夜10曲くらい聴きまくったのだが、弾き語りはどれも素晴らしい。高音がキンキンしないユーミンという感じの声と、しっかり親指でベースを弾くギターの味わいと。バンドやマイクで歌うとやや力が出ない印象を受けた。ギター込みのシンガーなんだな。
空と君のあいだに/中島みゆき(宮原良仕子)
これなんかすごくいい。美しい声に力がある。楽器も共に歌うから弾き語りは素晴らしいのだというのがよく分かる。
萌はお母さんの血筋を引いて歌がうまい。どんな歌も MP3 に合わせて見事に歌う。しかしギターの弾き語りは恥ずかしがってやらないので困っている。カラオケじゃ駄目なんだ。自分で弾いて歌えばこんなに力がこもるんだ。強さも速さも自分が操れるんだ。弾き語りとカラオケとじゃ、空と君とのあいだくらい違うのだとこれを彼女に見せる。
反抗期の萌は結局歌いはしなかったが、リビングの向こうでなぜかスガシカオの「黄金の月」を弾き始めた。コードがカッコいいよねと以前彼女が拾ってたのである。俺も併せて弾く。続いて「戦場のメリークリスマス」。――あ、俺が好きな曲を弾いてるのか。そうか。特に話すこともないのだけれど、部屋の向こう側とこっち側でしばらく合奏が続いた。
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