2017/05/31

遠くで暮らすさびしさは

奥様の故郷東海岸ノバスコシア州から訪ねてきてうちに泊まっていた学友が空港へ向かう。礼をいう彼女に、そちらこそ来てくれてありがとうと答える。「一緒にいる君たちは実にかわいらしくて、大学の頃もそうしてたんだろうなと想像できるよ」。自分が会うより前の奥様が、友人とキャンパスでキャイキャイしてた光景が目に浮かびナイスなのだ。


別れの朝奥様と友人はカウチで肩寄せあって、少しセンチメンタルになってるようだった。もし友人一家が東海岸からこっちに移住したら、どこに住んでどんな仕事をするかと不動産サイトを眺め、想像をふくらませていた。カナダには仕事を求め東から西へと移住する男の悲哀を歌った名曲がある。



フォー・ストロング・ウィンズ (Ian and Sylvia)

『アルバータへ行くことにしたよ。秋は気候がいいし
仕事を世話してくれる友だちもいる
もう一度俺が尋ねたら、君が気を変えてくれないかと思ってるけど
もう百回以上その話はしたしね

四つの風は交わることなく吹き
七つの海は波高く、何があろうと変わることはない
いい時はもう過ぎてしまった
俺は次へ行くべきなのさ
もしこっちに戻ることがあったなら、君を探すよ』

こうして旧友と会う機会をもっと持てたらいいのだけど。遠くで暮らすというのは、さびしいことだ。

2017/05/30

ミュージカルの面白さに唸る

娘が先月やった自分たちのミュージカル音楽を車でまたかけていた。まだこれ聞いてんのかと笑ったが、歌を聴くとその場面が蘇り、このシーンは笑ったなあと話が弾む。「I miss it so much」と彼女はいう。ミス・イット。恋しい、なつかしい、あのときに戻りたい的な気持ちね。



ミュージカルって昔は興味なかったけれど、一度ステージを見ると考えが変わる。この場面は
①スキャンダルを狙う新聞記者たち
②うかつなことを答え墓穴を掘るムードまんまんのスター(プレスリー風)
③スターの答えを遮り愛国者イメージを吹聴するマネージャー
④愛国スター万歳と小鳥のように歌うファンクラブ
という多彩なコメディ要素が、セリフ、いいタイミングで入ってくる生バンド演奏、代わる代わるリードを取る演者の歌と振り付けで見事に構成されていて、うーんと唸るほどウェルメイドだった。歌なしの演劇では作りようがないミュージカルの瞬間というものがどんどこ出てくるわけ。

「どの曲も最後にステージ上全員で歌うのでなんとなく感動的に盛り上がるけど、実は何も感動的ではないってところもバカバカしくていいよね」と俺がいうと、そうなのそうなのと娘は大喜びしていた。60年代のヒットしなかった作品なのに洗練度がすごくて、米ブロードウェイというのはすごいなあと思いましたです。

2017/05/26

音楽はよきライフスタイル


今日娘の高校前庭で、ギターを抱え歌う男女5人組を発見した。おおやっぱムスメ高校にもそういうのいるのか! 俺はすかさず授業中の娘スマホにその革命的ソンググループの存在を知らせ、「あの歌ギター団に入れ。入らねば死」と書き送る。昔ムスメも床に書いてたじゃん。音楽はよきライフスタイルだって。

娘がカーペットにペン軸でギギギとこれを描いたのは E-PM1 を買った 2013 年だから中学時代。こりゃすごい、写真を撮ろうといったらカメラの色(フィルタ)と構図を俺に指示し、自分でポーズをとってこの写真となった。つまり俺はシャッターを押しただけで彼女のセルフィー(自撮りである。今の若い子は写真を撮るのもモデルのなるのもうますぎる。

しかしあれから彼女の音楽人生は発展していない。聴く方は深化もしてるし幅も広がってるが、演奏してないのである。ギターを弾けるし歌も歌えるのに。俺は声が弱くて歌えなかったからうらやましいんだよ。歌ってくれよ。

カナダがそうなのか日本でも女子はそうなのかわからないのだが、ティーンエイジ・ライフの活動はつきあう友だちにめっちゃ左右され、友だちに楽器をこなす音楽好きがいないからムスメはバンドをやってないのだと思う。今日見かけた集団は見た感じナード(勉強ができファッショナブルではない人たち)で、ムスメの交友範囲にはいないタイプだった。普段付き合いのない人たちに声をかけるのは難しいだろうが、そこはほら、ギターを持っていけば。行けるじゃん、音楽の力で。◆

2017/05/24

【カメラ日記】初夏の農園


(XZ-2)

奥様が借りてる市営農園の草取り手伝いをしてきた。今年は春先の大雨でぬかるみがひどいと言ってたが、行ってみたらぬかるみどころか農園内に池ができてんじゃん! 橋がかかってるスゴイ。



橋がカッコいいと盛り上がってしまい、農作業をサボり橋ばかり渡り写真を撮っていた。農道はぬかるみだらけで一輪車等が通れず、その影響で今年はみな農作業の開始が遅れてるのだそうだ。



去年手伝いに来たときはどこの畑も花が咲いてきれいな写真がたくさん撮れたんだけど、今年は池と橋以外撮るものなし。トリとか撮ってました。ツバメきれいね。



農園は最近持ち歩いてる高性能コンパクトオリンパス XZ-2 で撮ったのだが、写真を PC に吸い上げてみるとだいぶイメージと違った。なにか立体感がなく薄っぺらい感じがする。やっぱりコンデジだからなあ。


(E-PM1, MZ14-42mm)

(E-PM1, MZ14-42mm)
去年マイクロフォーサーズ Pen E-PM1 で撮ったこのファームの写真(↑←)のデキの良かったので、やっぱり M4/3 センサーのキメと深みある画質は今でも恋しい。

E-PM1 の標準ズーム MZ14-42mm が壊れてしまってからは、主にムスメが単焦点 SIGMA 30mm をつけ友だちや自分のポートレートを撮るのに使っているのです。

 このM4/3 のヌメッとしていつつ拡大しても解像している画質を出したくてあとから XZ-2 写真をいじってみると、ソフトフィルタをかけるとその感じが出る。冒頭の写真4枚はソフトフィルタ加工済みで、カラスの写真なんかいい感じになった。XZ-2 はレンズが MZ14-42 以上にカリカリにシャープなので、屋外で解像がいい上にカメラがさらにソフトウェア的なシャープネスをかけると線がガチャガチャして不自然になるのかもしれない。


(XZ-2, sharpness -1)

 ならばとカメラのシャープネス設定を -1 として植物園を撮ってみると、期待通りの絵が出てきた。レンズは開放だがセンターは自然にカリカリで、背景はいい感じに溶けている。絵が全体的に柔らかくなり好ましい。



 一面に花や葉っぱが写った左の1枚でも、XZ-2 で出がちなガチャガチャしたうるさい感じがない。シャープネスを落とすのは正解だな。屋外ではシャープネス-1 で眠い写真になってしまうこともあり、結局標準に戻しました。XZ-2 はデフォルトで撮ってめっちゃいい写真が出るときも多いが、あれっと思うことも多い。納得行かないときはあとからホワイトバランスとソフト修正をかけるといい感じになるというのが結論。



 いい写真をたくさん撮ってくれた PEN E-PM1 の画質は今でも恋しいのだが、便利で絵もそこそこよかった標準ズームがなくなってしまうとやはり使い道が限られてしまうのが厳しい。

 昼間 SIGMA 30mm F2.8 や 40-150mm F4 をつけて中景を撮れば、PEN は今でも圧倒的な絵を撮ってくれる。この雪の写真とか惚れ惚れする。そういう機会があれば PEN を連れ出そう。◆


(E-PM1, MZ 40-150mm F4)

2017/05/07

【高校演劇】俺もグルーピーになってキャーといいたい



ムスメ演劇部のミュージカルを見てきた。吹奏楽部が生伴奏をつけるという超頑張った演劇で、週末もフル練習でみな疲弊していたが、すばらしく楽しいお芝居だった。娘はプレスリー風のスターに熱狂するグルーピーの一員で、プレスリーが登場するたびにガールズ全員キャーッといい失神する(笑)。



プレスリー役も娘の写真友だちでもともとナルシストなやつなので(うちのカメラにはいつもこいつのキメ顔写真が写っている)、こいつが腰を振りオーイェーというたびにガールズがバタバタと倒れていくのがおかしくておかしくて、最高だった。娘はクレイジー仕草で目立っていて誇らしかった。

話は雑で、プレスリーのマネージャーが主役で、恋人と別れる別れないが延々続く。そこは勝手にせよとしか言いようがない。「正直ムスメのグルーピー役が一番いいな。私が出るならあの役をやりたいよ。あれは気持ちいいでしょ」と感想をいいました。娘もYeahって言ってました。キャーッ!!



芝居中娘の馬鹿げたグルーピー演技に俺がゲラゲラ笑っていると、幕間に隣りに座ってた少女が「あなたムスメのダッド?」と聞いてきた。「そうだよ、友だちなの?」「イエス。ムスメ最高、she's so funny!」。まったくだよね、一番クレイジーだったよ。キャーッ!!



娘は家や車の中でいつも歌の自分のパートを練習してたのだが、ミュージカルの歌って高低差が激しく、楽器のように1オクターブくらい音が飛んだりする。これは歌メロではなく音楽のパーツなんだなと思った。人の声がコーラスを構成する楽器として作られている。

それを大勢が一緒に歌うことで厚いハーモニーが生まれる。上手い子もそうでない子もいるのでバラつきはあったが、大勢でわーっと歌い踊る楽しさは格別だろうなと思った。見る親としても、娘が2年半やったヒップホップダンス発表会の百倍くらい彼女の演技時間を楽しめた。レッスン料を払い送迎してる親が年に5分の発表会でしか子供のダンスを見れなかったあのダンスレッスンっていったい…(笑)。

芝居内容は凡庸なスラップスティックなのだが、出演したどの子にもステージ上で歌い踊る場面がたっぷりと用意されていて、だからこの演目を先生は選んだんだろうなと思った。演目としての芸術性よりやる方(と見る親)の充実感のほうが大事ですよね。

2017/05/05

なつかしの Nitobe ガーデン

今日仕事の会合でUBC(大学)に行ってた奥様が、出先から電話してきた。「今どこにいると思う?(ウフフ)」。ーーえ? …ああ、新渡戸ガーデン? 「どうしてわかったの!」。




そう私たちの結婚式は、昔の学者新渡戸稲造(五千円札のひと)を記念してUBC構内に作られた、きれいな日本庭園でやったのですよ。日本から父母と弟に羽織ハカマを運んできてもらって、我がことながらあれはすてきな結婚式だった。公証人のおばちゃんに宣誓の言葉を言わされ署名したんだけど、宣誓の言葉はまったく覚えていない(笑)。あれから一度も行ってないな。いつか行ってみなければ。メモリーレーン、なつかしい思い出。◆