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■09/06/23(火) □ ショックなスクール・イヤーブック
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学校に行くとLSがスクール・イヤーブック(全校生徒が載った写真アルバム)を持ってきたので見せてもらうと、萌の写真がない。名前の上が「!」マークがついた空欄になっている。えーっ! いったいいつ写真を撮ったんだ。そんな大事な日をミスした記憶などないぞ。
そばにいたWL母に聞いてみると、「あたしも覚えてないけど、クラスフォトは普通学年のはじめに撮るわよね。かわいそうねえ萌」という。そういえば去年の9月、日本からの帰国後に萌は熱を出しまるまる1週くらい休んだな。あのときか。そんな1年前の欠席なんて覚えているわけがない。ましてその欠席が1年後にこんな結果になるとは知る由もない。
ものが出来上がってからこの事態を知るというのがひどい話で、修整不能の集合写真じゃないんだから、空白にする前に写真を持参しろなりなんなり警告してくれればいいではないか。このブックは外部業者が作っているらしく、そいつらが子供や親の気持ちなど考えるはずもないが、しかし担任はじめ学校の人間はこうなる前にチェックできるだろう。それをしないところがカナダの学校の不親切さで、教職も単なるビジネスだと感じさせるところである。親が学校の Web サイトなどを常時チェックし気を配ってない限り、こうして大事なことを逃してしまう。
萌は自分が「!」マークだなんてファニーだ、気にしないというが、みんなが後から何度も眺めクラスのことを振り返るイヤーブックに萌だけが載っていないというのは、実に悲しい。俺とMは憮然である。
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■09/06/25(木) □ タレントショーのカラオケガールズ
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萌の学校最終日。タレントショーで、今年は萌が出ないので後半1時間半だけ見に行く。ピアノや体操など普段やってる習いごとを披露する子は問題ないのだが、その他大勢のカラオケシンガーには毎年げんなりさせられる。きらびやかな衣装をまといメイクアップしてステージに出るまではいいのだが、そこで例外なくシャイアタックに身をすくませ、つまらんポップソングを小さな声でぼそぼそ歌うことになる。振り付けもない。こんなものをやられても、誰もどうにも反応できないのである。
日本ののど自慢形式なら鐘で中断できるのでまだ救われるのだが、カラオケだとフルコーラス4分やるしかないわけで(習い事披露キッズはみな1分以内で終わるのに!)、やるほうも見るほうもただつらいだけ。ひたすら終わるのを待つだけのイタイイタイ時間が続く。こんなものを許可する親と教師が悪い。ステージに出るなら元気にちゃんと歌う、1番だけ歌ったらサンキューと手を振ってさっさと引っ込むなどと指導してやればいいのに。
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最後に女の先生がギターを持ち3人の生徒を引き連れ、退職する先生への自作っぽいはなむけの歌を歌った。これが無茶苦茶うまいのでぶったまげる。この人はライブハウスでカントリーソングかなにかを歌ってたに違いない。
このスーパーのど自慢先生の歌唱に乗せられた生徒たちがはなむけソングを全校で歌い、感動的なフィナーレとなった。ES先生とかこの先生とか、音楽の素養がある人はやっぱパブリックアドレス(聴衆への働きかけ)というものを心得ているよなー。要はそんなに聴衆がひどくしらけるようなことはしないという単純なサービス精神である。クリスマス音楽会で死ぬほどつまらん歌をクラスにやらせたり、タレントショーでああいうカラオケシンガーズをヘルプしないような教師たちには、そのサービス精神が欠けているのである。俺はカナダの小学校に対し、Mが怒るようなアカデミックな不満は感じない(というかフレンチなのでわからん)のだが、子供の楽しみを最大化してくれないこうした怠惰さにはいつも腹が立つ。
後で萌にあのギターの先生はすごいねというと、「そう、「手紙」の人みたいだよね」といっていた。なるほど、アンジェラ・アキか。たしかにアンジェラさんの歌い方は、この北米女性カントリーシンガー的コブシと喉鳴りなんだよねー。
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■09/06/26(金) □ 萌はじめてのMTB
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午前中に萌に手伝わせて掃除その他を済ませ、前から目をつけていたコキットラム・リバーパークへ俺と萌の自転車を積んでいく。うちのスズキ・エリオにフルサイズの自転車が載るのかはやってみるまでわからなかったのだが、助手席を2目盛りほど前に出すと無事載ってくれた。やはり小さいとはいえワゴンである。古座布団をはさんで萌の自転車も載せ出発。
いつも通るコキットラム・リバー沿いの道に車を止めて覗き込むと、そこはいきなりティーンエイジャー用バイク練習場になっていた。ダイナミックなアップダウンヒルの連なりに、トリック用のブリッジ状のものがあちこちに作られている。こんなものが町内にあるんだから、まったくカナダの子供は幸せだよ。トリック部は怪我人が続出しそうだけど。
「なんか、(森の)全部がグリーンだよね」「光が木の葉っぱを抜けてくるからだよ」。アップダウンを繰り返すうちにオフロードの走り方がわかってきたようで、「だんだん慣れてきたー」と声を上げる。カチカチとギヤを選んで登り、下りをウイーと降りる。俺を真似て下り坂で腰を引き後輪に荷重を移す動作もやるようになってきた。よしよし。やっぱりあきらめて適当なバイクにせず、ちゃんとしたMTBにしといてつくづくよかった。
気持ちのいい川原を物色して小休止。東京に住んでるときもMTBはやってたけど、車で2時間かけて富士山に行ってたからね。家から5分でこんな川があるんだから、ほんとありがたいよ、PoCo の子は幸せだよと萌に話す。
上り坂がきつくなり、川が白く泡立ち源流っぽくなってくるあたりまで2kmほど探索して、森の中の別ルートを使い降りていくと、まったく知らなかったのだが大きな沼があった。うわー。静かな湖面に白骨化した枯れ木が沈む。萌が「なんか怖いね」という。いつも車で通る Shaughnessy Street からわずか5mの林の中なのだが、ほんとにもうこれはどこの秘境かという深閑とした景色である。町内にこんな景色があるんだから、カナダの自然環境はさすがだわ。
最後にバイク練習場に戻り、ゆるいヒル部分を走ってみる。トレールランで自信をつけた萌も、1人でぐるーりとダートのヒルを回っていた。坂の下りのブレーキングがまだ下手で、リアをロックさせている。両手でじわっとかける練習を積ませないとな。最初の自転車からハンドブレーキがついている日本では小3ともなればわざとロックさせてブレーキドリフトができるくらい習熟しているはずで、まったくカナダのコースター(ペダル)ブレーキ文化は百害あって一利なし。
というわけで、萌初のMTBは最高の体験となった。いやー、いい日だったねと萌の顔も輝いてました。「夏休みは毎週これるよね!」。いや毎週どころか、スイムと友達と遊ぶ以外の日はいつだって来れるよ。友達を連れてきてもいいしというとさらに大喜び。しかしカナダの子供バイキングはハンドブレーキのあるなしに左右され、誰でも連れてこれるというわけではないのだが。
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■09/06/28(日) □ ネイバーキッズ・ライフ
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空き家になっていた向かいの家に、萌と同い年のMYとその弟一家が引っ越してきた。萌は超よろこび、チェリー収穫はほっぽってプレイ・プレイ・プレイ。みなで1日中カルデサックで自転車に乗っていた。MYが引っ越してきてくれて俺も本当にうれしい。まったく、これこそネイバーキッズ・ライフだ。萌はこの夏休み退屈知らずとなるだろう。ありがたいありがたい。
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■09/06/29(月) □ 続 Always・三丁目の夕日
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予定通りに掃除を進め、MYがいない間に萌に宿題と漢字練習をやらせ、MYが戻るとプレイ・プレイ・プレイ。順調な夏休みである。
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夜、こないだ TV Japan でやった「続 Always・三丁目の夕日」を萌に見せる。普段 TV Japan のドラマを見るときはしょっちゅうポーズして難解な言葉とか不明瞭なストーリーやギャグを説明してるのだが、この映画は英語字幕のおかげで何も説明せずともわかるようだ。やっぱ英語の読み書きはラクだなあと実感する。面白く、いい映画だったと喜んでいた。まったく全部が漫画だけれど、俳優の魅力は大きい。そして普段静かな日本人が声を荒げると感動を呼ぶなと思う。
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■09/06/30(火) □ 夏のスイミングレッスン
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今朝、昔働いていたアパレル会社の夢を見たので懐かしく思い検索してみると、今もSM2がブランドとして生き残っている。生き残るどころか店舗数が増えている。倒産は時間の問題と当時は思えたのだが、2代目社長が立て直したのかなあ。
社員名などは見つからなかったのだが、なんと世話になったFさんが人事部代表として Web インタビューされており写真が見つかった。仕事ができいい人だったから当然だが、出世したのねえ。19年ぶりか。しかし髪が薄くなった以外は変わってないなー。懐かしい。
今日は萌のスイムと歯医者。朝飯を食べてから1時間自由時間でスイムというのは、夏休みスケジュールとして実にちょうどいい。俺自身子供の頃の夏休みはこんな感じだったと思う。サンダーバードとか見てた記憶があるなあ。
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今回はスケジュールの都合上初めて隣町の Coquitlam 市でスイミングレッスンを受けたのだが、講師が水にも入らずお寒い内容であった。やれやれ。そのまま萌が楽しみにしていたウェーブプールへ。この波がすごかった。というかすごすぎた。俺も完全に体が持っていかれ、まったく自由が効かなくなる。こりゃ危ないだろう、海ならばシケで遊泳禁止になるくらいの高波である。
事実萌がプールの深いほうへ向かっていくと、危ないから浅瀬に戻れとライフガードに叱られた。危ないなら危なくないレベルまで波の高さを下げればいいだろうが。これもうちの町営プールの速すぎる流れるプールと同じで、オンとオフしかないのだろうか。カナダのお楽しみ動力モノはすべて too much だと思う。
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■09/07/01(水) □ NHKのドラマ製作者は本当に...?
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NHKと香港の合作ドラマ「幸福のスープはいかが?」を見る。香港女優・劉心悠(アニー・リウ)さんの美しさには目の玉が飛び出るが、しかしどうして日本のドラマを作る人って、外国人俳優にああいう日本人が書いたのがバレバレな台詞を暗記させるのかなあ。あんな日本語はカタコトも喋れない人が、「アナタ、コノ店ノオーナーガ誰ダカシッテルノ? デテッテ!」と喋るのはあまりにも不自然で、聞いていて苦痛で仕方がない。女優さんは必死に暗記したのだろうが、丸暗記の音の羅列には感情がこもらず記憶の底を探る必死さだけがにじみ、少しもよくないのだから気の毒だ。
なんで日本人製作者はこの「よくなさ」に気づかないのだろう。双方カタコト英語でコミュニケートするほうがよほど自然で胸を打つではないか。劉心悠さんは台湾出身でカナダに留学してたとのことで、彼女の英語と中国語の台詞ははっとするくらいきれいで気持ちがいいのである。まったく才能と美の浪費だ。
日本人がドラマで英語を喋っても同じ問題があり、同じくNHK「風に舞いあがるビニールシート」で早口の英語をまくし立てる吹石一恵さんも不自然である。彼女は英語は得意なのだろうが、あれだけアクセントがある人があんな速さで入り組んだ内容を喋るわけがなく、台詞丸暗記がここでも露骨に感じられる。まあ中東などには語彙・文法・発音が不正確なのに喋るのが異常に速く、理解不能な英語を喋る人はいるけれど。
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その丸暗記台詞の不自然さを抜きにしても、「幸福の~」は凡庸でつまらんドラマであった。あれほど魅力的な女優をゲットし日本と香港を股にかけてこんなものしか作れないんだから、NHKのドラマ製作者は本当に馬鹿なんだろうなあ。「ちりとてちん」以前と以後の朝ドラも本当に、常識のある人間がまじめに作ってるとはとても思えない学芸会レベルのものを延々とやっているし。
今の朝ドラ「つばさ」は、お母さん役の人が大ウケだったらしい篤姫でのスラップスティック演技をそのまま持ってきているのがなんとも不愉快だ。それを買われての配役だろうから彼女が悪いわけではなかろうが(あの役者は元々ああいう性格らしい)、あれが篤姫ではまったのは時代劇でかつらでヒステリックな役だったからで、現代馬面おばさんのリアリティに欠けたドタバタは悪趣味すぎて耐えられない。俺の知る日系家族であれを見てる人はいないと思う。
まったくNHKのドラマは悪趣味なものが多すぎる。長髪の西田敏行とか劇団ひとりの平安貴族とか、マカナカの白塗りとかおばさんの似合わぬスラップスティックとか、そういう醜悪なものを人はわざわざ見たくはないのだよ。民放と違い製作者が調子に乗って悪趣味にしてるわけではないのだろうから、NHKのドラマ製作者は本当に馬鹿なのだとしか答えはみつからないのである。
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