2009/12/16

日記「最も悲しい季節(ムスメのストマックフルー)」

「自己流ミュージシャンの生きる道」「ジンジャーブレッド・ハウス」ほか。


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■09/12/08(火) □ キビキビな娘
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 先週、先々週の宿題忘れ&レポート地獄騒ぎその他を経てどこかスイッチが入ったのか、萌が変わってきた。放課後クラスから真っ先に出てくるし、課題は授業時間内にしっかりと済ませ家に持ち帰らず、日本語学校では予習復習をざっとやるだけで2週連続漢字テスト100点を取り、ご飯もチャキチャキと食べる。

 今日は日本語学校から帰ると宿題を自ら済ませ、弁当箱をキッチンに返し、間に俺との遊びを挟みつつ掃除までやってしまった。素晴らしい集中力。もともと性質上行動がおっとりしている上にここ1年くらいは何事にも集中力がなくて惨憺たる有様だったわけだが、ものごとへの集中力がなぜか戻ったところに1年分の実務調整能力の成長が加味されたようで、素晴らしい大躍進だ。漢字テストのご褒美に、萌が毎年友達の家でうらやましがっていたジンジャーブレッドハウスを買ってきました。

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■09/12/09(水) □ 自己流ミュージシャンの生きる道
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 ALを久々を久々にうちへ呼ぶ。2人で二段ベッドに登り大騒ぎ。萌がウクレレが弾けるのをALに見せようとして、こないだ俺と合作した「レイニーデイズ」を弾き歌っていた。俺はウクレレは「You Really Got a Hold on Me」1曲しか教えてないのだが、それに出てくる C/Am/F/G/Dm という黄金コードセットが「レイニーデイズ」にも合うと自力で発見したらしい。そう、そのセットがあれば大抵のメジャー曲が弾けるのだよ。

 じゃ、TVでかかっていた Silent Night(きよしこの夜)をやってみなと弾かせてみると、俺が G だと思ったサビで萌は Dm に行き、それが正しかった。―――おお。「今萌は Dm だと一瞬に予測したじゃん。それがつまり、コードを拾うということなんだよ。つまり萌はウクレレで何かが弾けるというよりも、すでに『ウクレレが弾ける』というレベルにあるわけだ」。萌はうれしくて、お母さんのところへ行き弾いてみせました。萌は自己流ミュージシャンの生きる道を着実に進んでいる。

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■09/12/12(土) □ ジンジャーブレッド・ハウス
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 俺の風邪が悪化し、Mと萌が放っておいてくれないので頭痛がする。萌が楽しみにしていたジンジャーブレッド・ハウス(クリスマス用のお菓子の家)を作ったのだが、萌もやや風邪をひいてるので頭が働いておらず、俺の忠告を無視して気の利かないことを続け、あげくにビーズを1袋全部床にざーっとこぼす。とほほ。2人で盛り上がっていたのに、うまくいかないものだ。頭痛が止まらん (=_=)。


これで$9、お買い得です。
もう俺は頭痛がするので萌1人でジンジャーブレッド・ハウスを作らせていたが、午後見に行ってみるとなかなかすごいデキになっていた。萌はなんか俺が段取りをつけて論理的にきちんとやらせようとすると気が急いてダメらしく、自分で思うままにやればいい結果が出るようである。最近ピアノも自分でやっているしな。

 クリスマス前の週末にこれほどふさわしい時間の過ごし方もない。これだけ豪快な工作ブツを他の材料で作ったらお菓子でも粘土でも相当高価につくと思うが、クッキー・アイシング・キャンディのこのセットはわずか$9なのである。ありがたい&すばらしい。

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 アカヒレ稚魚がまた見つかった。賢いことに親たちがこない浅瀬の屋根下に隠れていた。底砂から掬い上げた卵から保護水槽内で生まれた1匹と合わせ、これで計4匹。小さいとはいえ 2mm ありこれだけくっきりと黒ければウィンドウ際や浅瀬にいれば見えるはずなので、これ以外は生まれてないか成魚に食べられてしまったのだと思う。シーモンキーみたいに透明で見つけにくいものを想像していたが、これなら知らぬ間に死なせてしまうということはそんなにないだろうな。無事大きくなってくれ。

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■09/12/13(日) □ 強烈なストマック・フルー
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 昨夜萌が腹痛を起こしたあげくに吐いてしまった。下痢もしているが熱はなく、強烈なストマック・フルー(嘔吐下痢症)らしい。えらいことになってしまった。とりあえず水分を取る以外にできることはないので、朝イチで電解質ドリンクを買ってくるが、まだ嘔吐が治まっていないのでほとんど飲めない。ストマック・フルーはたいがい一晩で症状がおさまるのだが、これはひどく長引いている。かわいそうとしか言いようがない。

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 午前中雪が5cmほど降る。今年も去年並みになるのかしら。萌の病状は終日まるで回復せず。これほどシックになったのは記憶にないほどだ。当然明日学校へはいけないが、あさってのクリスマスコンサートにはなんとしても行かせてやりたいものである。フルーはいつも学校のクリスマス行事の頃に流行り、萌はこれまで何度もクリスマスパーティを逃しているのだ。おそらく12月になるといろんなウィルスが本格的に活動を開始するんだろうなあ。萌のクラスの子の何人かがこんな週末を過ごしてるのかもしれない。

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■09/12/14(月) □ 最も悲しい季節
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 夜の間萌は一度も吐かず、下痢も治まったが、胃はまだ働いておらず食欲はなく、動く力もない。今日のリハーサルはもちろん明日のクリスマスコンサート本番もミスするかもしれないと本人も考え始めたようで、無茶苦茶落ち込んでいる。俺も実に悲しい。萌は年末から行くハワイ行きが中止になってもさして悲しまないだろうが、学校行事のクライマックスであるこのコンサートを逃すのは耐え難いだろう。家でも毎日演目の「くるみ割り人形」を練習しているのに。

 かわいそうで居ても立ってもいられず、萌の周りをうろうろとしている。なにかしてやりたいが、あまりにもシックで食べることも遊ぶこともできないのである。話しかけても憮然として反応がない。はあ。

 クリスマスソングに、「It's the most wonderful time of the year」というのがあり、西洋で育った人は実感としてそう感じるものらしいが(※)、病気の子供には悲しい季節である。寒さが本格化するこの季節に病気になる子供は、他の季節よりも多いだろう。
(※)スーパーで俺の後ろに並んだおじさんがクリスマスソングを歌いまくり、俺が愛想辞令的にリズムに乗ってるフリをしたらそれに喜び、クリスマスの話題をガンガン振ってきて超上機嫌だった。俺は娘が病気でそれどころじゃないんだけどなと思いつつ愛想笑い。

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 夜になりなんと熱が出てきた。せっかく嘔吐がなくなったというのに。もう一家全員泣きたい。しかし親が泣いてはいけない。いつかは出口が見える。

 あとから熱が出てくるというのは経験がなく嫌な感じなので、念のためにと病院のエマージェンシーへ。夜なので待ちはなかったが、それでも疲れ切った萌にはかわいそうの一語の中、問診、触診、検温、検脈、血中酸素濃度、反応検査などが手早く行われる。深刻度は低いといわれ、検尿・検便までは至らなかった。

 手早く問診を済ませたドクターが、「じゃあ究極のキッズテストをやろう、アイスキャンディ検査だ」と萌にアイスキャンディを食べさせる。「これを10分以内に半分食べられたらこのまま家に帰っていいよ」。その真意は測りかねたのだが、食欲とか甘いものへの反応とかスティックを落とさず長時間保持できるか(コーディネーション)が意識混濁の指標になるとか、そういうことかな。

 ちょっとドクターのウケ狙いパフォーマンスもそこに感じたが(空腹の子供に冷たいものというのもなんだかなあと思う)、ともかく正常、心配することはない、48時間経っても改善しなければまた気軽に来なさいとのこと。必要もないのに病院に連れていかれた萌には悪かったが、これで余分な心配はなく治療に専念できるということで、おやすみなさい。

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■09/12/15(火) □ シック4日目でようやくトンネルを抜ける
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 病状は昨夜から変わらず、熱も下がらない。水分は十分取っているがものが全然食べられない。

 朝9時半時計を見た萌が、「あ、コンサートは? 雪で延期になった?」と聞く。いや雪は降らなかったと言われどわっと泣きそうになり、いやまだ木曜の老人ホーム慰問がある、あきらめるなとMが元気付ける。しかし現時点でまだ熱があり食べられないのだから、普通に考えてあと2日でバレエを披露できるところまで体力が戻るとは考えにくい。ものを食べられないほどのシックネスが3日あれば、回復にも最低でそのくらいの日数はかかるだろう。このまま金曜のスクールラストデイを迎えてしまう可能性の方が高いように思う。

 まったくもってつらい病気だ Stomach Flu。こんなものに原因不明で陥り、またかからないという保証もないのだと思うと恐ろしくなる。まめに手を洗い、学校で指をなめないようにと言い聞かせるしかできることはないのである。

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 夕方仕事から戻ったMに萌の容態は昨夜から進捗してないと伝えると、なんとしても食べさせなきゃ駄目だわと決然という。胃が動いてることはもう確かなんだから。そして帰るや萌とちゃっちゃと話し、スクランブルド・エッグなら食べたいと萌がいうのでミルク・バター抜きでさっと作り、ちゃっちゃと食べさせた。そんなに急に食べさせて大丈夫なのかとちょっと心配になるくらいの勢いだったが、やはり見込み通り萌の胃はもう準備ができていたようで、けろりと食べる。それを食べた後Mが本を読むと、萌がファニーなところで笑うなど生き生きとしてきた。おお。

 そして俺が自分の晩飯を用意していて豆腐を見つけ、豆腐なんか消化がいいに決まってるではないか―――というかすでに粉砕で消化されてるようなものではないかと気づき、萌に食べるかというと大喜びでこれもペロリと食べ「Oh food, glorious food!」と喜びの声を上げ、そしてジブリ映画を見ながらクロスワードを開始する。―――やっ・た。これでもう大丈夫だ。あとは時間の問題である。

 いやー、マザーの力は偉大である。解熱剤なしで1日過ごし熱が37度台まで下がっていたのもタイミングとしてよかったのだろうが、俺みたいに無理強いはせんと静かにしているだけでは回復はより遅くなっていたに違いない。やれやれです。

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