2010/02/16

日記「オリンピック開幕」

「遅い車への愛情」「オリンピックムードを味わいに」「モーグルの競技性」ほか。

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■10/02/07(日) □「YAWARA」
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 日本語学校マンガ文庫で借りてきた「YAWARA」を萌に読んでやる。思った通り萌のハートにがっちりはまった模様。浦沢さんは軽音の先輩なので「YAWARA」でのブレーク前から俺たち後輩はその作品を読んでおり、いかにも大衆向けのこれは当時リアルタイムで読みはしなかったが、あまりにも有名なので当然話は知っており、そしてやはり楽しい。萌も久々にマンガで笑ってます。

 しかしさかんに出てくるパンチラシーンとか、カナダ人の娘はどう感じておるのだろうか。そういう絵があると俺は読む速度を極限まで高め、光の速さでページをめくる。Mに見つかったら怒られる(汗)。

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■10/02/09(火) □ 遅い車への愛情
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 日本語学校で「頭文字D」の続きをまた借りてきて、一気に読んでしまった。ちょうどそこでMのピックアップでバス停に呼ばれ、各交差点で久々にファストコーナリングを楽しむ。しかしきれいに曲がって決まった......とミラーを見ると後ろの車がたいして離れてなくて、しかも見ればその車はトヨタエコー(Vitz)セダンであった。あんな 1500cc ミニカーも引き離せないとは (^-^;。

 しかし車は面白いな。エリオはちっとも思い通りに曲がらないし(これはレガシィもそう)、燃費も含め不満は大きいが、それでも車を運転することは楽しい。「頭文字D」で脇役が恐ろしく遅いカローラ 85 を間違って買ってしまい落ち込み、しかし主人公がその車で敵をぶち抜き脇役が自車への愛を再認するという話があるが、あんなのは本当によくわかる。俺ももっとコーナリング性能の高い車を買っていたらなとは思うが、それでもエリオに乗ることは面白い。そして少なくともあの脇役のカローラ 85 よりは、俺のエリオは速いのである。

 昔 RZR250 を盗まれ、どうしようもなく8万円で買った RG250E なんか本当にボロボロで、キャブから夜中にガソリンがもれるし、箱根でプラグが死んでエンコしたし、バンク角がぜんぜん足りずコーナーを攻め込めなくて実に情けないバイクだったのだが、しかしそれでも楽しかった。あれが俺がエリオ前に所有した唯一のスズキである。俺にとってスズキとはそういう、情けないが許してやるというメーカーなのである。

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■10/02/10(水) □ カナダキッズの物欲
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 萌の文房具を探し町を走る。萌が欲しかったのは学校でみんなが使ってるという Mead Zwipes という多機能ノートバインダーで、友達が学校で使ってるものがほしいという気持ちは実によくわかるのでぜひにと見つけてやった。俺も小学校のとき、ユニボールとか流行りの筆箱が無茶苦茶ほしかったしな。

 流行のこのバインダーはプラスチック面に速乾性マーカーで落書きをし、シンナーペン+フェルトペンで消すというシステムになっている。シンナーを使うので(くさいが)マーカーが完璧にきれいに落ちるのがミソなようで、書いては消し書いては消し気持ちいーと喜んでいる。なるほどね。

 萌は俺が子供のときに比べたら物欲がすごく少ないと思う。クリスマスとお年玉で相当な金額を祖父母からもらったのだが、こないだのラジカセとこのバインダー以外自分で何かを買いたいと言い出したことがない。俺は小4の頃はすでにプラモデルその他がほしくて、お年玉などもらったら速攻で使い切っていたし、残ったお金で買えるものを想像しては興奮していたと思う。女の子だし、カナダは子供物欲を刺激するものが日本より少ないのかもしれないな。

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 必要があっていろいろな 2ch スレッドを読んでるのだが、現代ニッポンの若い世代というのはホント人の努力や才能をくさす心根ばかりが発達してるなあと思う。90 年代のニフティサーブやインターネットが開通したばかりの頃は、そうしたネガティブ野郎は有名になるくらい珍な存在だったのだが、今や Google やニコニコ動画といったメディアにも (語彙で) 多大な影響を与えるほどの大勢力になってしまっている。

 当時日本語ニュースグループ fj で悪口を吐きまくり俺と論争してた人なんか、ネット中が罵詈雑言に埋め尽くされた現代ではどう暮らしてるんだろう。皆の口が悪く(しかもそれらの話者がみな彼らより知能が低い)、自分の悪口スタイルが埋没していくのは彼らにとっては苦痛なことだろう。

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■10/02/12(金) □ オリンピック開幕
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フーレイ! がんばれー!

2001年、近所のモールのサイン会で
 開会式。萌が旗を振り興奮しとります。当然カナダと日本を応援するとのこと。カナダのTVでは 98・02 年スピードスケート女王カトリオナが解説で、岡崎さんを見て「長野の表彰台で彼女と一緒だったのよ!」とうれしげにコメントしていた。えらいなあ岡崎さん。

 おー、聖火の点灯はそのカトリオナさん。「この人、昔(サイン会で)萌を抱いてくれたんだよ」と教えると、萌は驚き口あんぐり。まったくだよな、こんなすごいアスリートが近所のモールにいたとはね。

 うーん、いい開会式であった。地元とはいえ冒頭でブライアン・アダムスを出したときはあちゃー、こりゃ駄目だと思ったが(彼をここで見たいという人はカナダだっていないと思う)、その後のクジラが地面を泳ぐ光ショーなんかは素晴らしかった。ギブソンに住むジョニ・ミッチェルが歌声でだけ登場してたが、スタジアムの袖(?)で歌ってたんだろうか。

 最後は柱が1本上がらないという事故が起き、これで聖火がつかないなんていう取り返しのつかないコトにはしないでくれよとひやひやしたが、残る3本の柱で着火は問題なくできたようでほっとした。Mと萌は「(わが町 PoCo から出たカナダの人道活動家) テリーフォックスがホログラムで着火するんじゃないか」と期待していたが、テリーフォックスは世界的には車椅子で出てきたあの人道活動家と同程度の知名度しかないだろうから、そういう大仰なことをしてくれなくてよかったと思う。

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■10/02/13(土) □ オリンピック1日目
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 【オリンピック1日目】カナダじゃオリンピック放送は通常米国1局カナダ1局しか放送がないのだが、さすが地元開催なのでカナダだけで3局も放送している。しかも視聴者が競技を見逃さないように、「22ch でジャンプ、23ch ではスピードスケートをやっている」と親切にも他局の番組まで紹介してくれる。トリノなんか女子スケート 500m すら放送してくれなかったんだから、えらい違いである。今回は時差も当然ゼロだし楽しめそう。

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 うーんモーグル、カナダのハイルも日本の上村も惜しかった。しかし全員力を出し切っての勝負は見事の一語。緊張に体を固くしてスポーツを見るのは気持ちがいい。こういうものを初めて見た萌も、唇を噛んでなにかを感じていたようだ。

 長野の時のモーグルでは、女子で優勝したタエさんの滑りを見てもなるほど今回はこの人が一番ミスがなかったのねとしか思わなかったが、今回の女子上村&メダリストのスピードはとてつもない。あれから 12 年も経ち、次元の違う競技レベルになっているようだ。

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■10/02/14(日) □ オリンピックムードを味わいに
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 チャイナタウンのチャイニーズニューイヤーパレード&オリンピック名物各国パビリオン巡りをすべく、バンクーバーダウンタウンへ行く。

 チャイナタウンは怖いから行ったことがなかったのだが、ドラッグ中毒者しか歩いていない地獄のヘイスティングスから1本下がればまさにチャイナタウンで、道をまたぐあのゲートが横浜と同じでなつかしい。

 パレードは一体何組あったのか延々 45 分もかかり、俺は 15 分くらいでもう満腹したのだが何事も付き合いのいいMとお菓子やノベルティをもらって大喜びのWと萌のため全部見ることになり、体が冷え切ってしまう。これが夏の夜にあれば楽しいと思うが(実際おばちゃんが踊ってる姿を見れば、日本の長野びんずる・阿波踊りなどの夏祭り踊り歩きと変わりない。下手だが)、温暖なバンクーバーとはいえ2月の朝に延々小1時間くまなく見物するものでもなかったというのが感想。


小さなチャイナガーデン
 やっとそれが終わり、中山庭園というこぶりで美しい中国庭園からチャイナタウンを散策しつつダウンタウンへ向かう。横浜みたいに観光客相手の高級レストランが並ぶわけじゃなく、非中華の人間に食べられるものはなさそうな感じだが、正体不明の店や中華雑貨屋が多く眺めるだけでも面白い。しかしチャイナタウンはどうしてこんなに薄汚れた古いレンガ建築がまるまる残ってるのだろう。不思議だ(※)。
(※)帰ってから調べると、裕福な層がリッチモンドに移ってしまったのでチャイナタウンは衰退しており、再活性化計画の対象になってるのだそうだ。単に古いものが再開発されずに残ってるということなのか。

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 で行ってみたバンクーバーのオリンピック関連エキジビションは、もー混んでるわ混んでるわすべてのパビリオン前が大行列。結局1つしか入らず、しかも帰りのバスはどれもこれも満員で乗れず、バンクーバーの町から出て行く方法がないという状態。ようやく席のあるバスをキャッチ帰ってくるまで3時間近くかかるという難儀な行程であった。オリンピック見物は大変だ。

 しかし長野の時は田舎の町が一変インターナショナルという感じだったが、バンクーバーはもともとインターナショナルな町なので、人が多い以外はいつもと変りない様子。ちなみに日本は今回パビリオンを出してないようである。冬季スポーツ不振がそういうところにも現れている。残念。

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 【サッカー日本代表】が韓国にホームで惨敗していた。Youtube で見た中国との試合で1対1でサイドを突破されまくっていたので、フィジカルがよほど上がってないのかそれとも中国選手に思い切りとフィジカルで勝てないのか(だったらマズイ)と思っていたが、4試合やってからきしダメだとなるとチームがスランプに陥ってるのだろう。

 昨年の予選を3~4試合見て、岡田監督のやってることはつまらんが日本サッカーは選手のレベルと経験が上がり着実に強くなってると感じたので、シーズン明けのスランプくらいさほど危機的には感じない。が、岡田監督がこれ以上策やオプションを増やさずに、「俊輔イン、あとは頑張れ」みたいな落とし所にいくのが明らかなことにはため息が出る。

 稲本が好調で敵の攻撃つぶしという持ち味を存分に振るっているそうなので、中盤の底を稲本・遠藤にして、スピードがあり右SBもできる長谷部を右ハーフに使えば相手を組み止める力と縦への推進力が大幅に上がると誰が考えても思う。それでも岡田監督は俊輔と長谷部が戻ったら稲本をはずすのだろう。ため息。

 スペインで俊輔が試合に出られないのは前に行く力がもともとないからで、セルティック絶好調時代もCLではFK以外と横パス以外何もできなかったではないか。つまり日本代表みたいなつまらんプレーをしていたら、攻撃力にならんからスペインじゃ試合に出られないのである。出るかもしれない俊輔の魔法を期待して06年は崩壊したのに、今回も同じことに突き進んでいる日本代表よ。

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■10/02/15(月) □ モーグルの競技性
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 昨日帰ってみるとモーグル男子でカナダ選手ビロドーが勝っていた。この選手が無茶苦茶感動的で、彼を精神的に強くサポートし続けているという重度身障者の兄貴が、スタンドで最前列で腕を振り上げ熱狂的に応援してるのである。弟の滑りに歓喜の雄叫びを上げる彼を見て涙を抑えるのは俺とMには不可能だった。

 しかし長野の原田に匹敵するほどの感動的なシーンだったのに、日本のネット報道では例によって「ナオ君入賞!」と日本の若い選手ばかり持ち上げ、まったく話題になってないようである。ヤングというならビロドーだって若冠22歳である。それがあの状況でインタビューされ、兄貴のことに言及し声を震わせつつもしっかりと答えられるのだから、カナダのアスリートは成熟している。たいしたものだ。

 そして女子上位と同じく男子のスピードと飛距離は鳥肌が立ち肩が凝るほどで、あのスピードで一気呵成に駆け下りるということ自体が強烈なスポーツ性と説得力を生み出している。モーグルは完全にオリンピックに値する種目になったなーと感服した。ここで4位の上村さんはまことにすごいと思う。

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 一方スノボは今日スノボクロス(?)をやってるが、相変わらずである。スキーよりもはるかに遅くコントロール性の低いもので競技をやられても、楽しそうだなとは思うが見る側にスポーツ的興奮など起こり得ない。ビーチバレーと同じである。みな転ばないように飛ばし、たまに尻もちをつきつつ降りて行くだけで、タイムをカットするためにインぎりぎりをつくといった基本的なレース性すら感じられない。まじめな話スノボというモノ自体に突き詰めるような競技性はないだろう。スケートボードでオリンピック競技を作ろうとは誰も言わないではないか。

 スノボやビーチバレーがかくも馬鹿げた優遇をされるのを見ると、オリンピックの商業主義を痛感する。オリンピックは金の無駄遣いだと反対している人々が今回も多いが(萌も学校でそういうことを習い、付け焼刃で反対論をぶったりする)、金の無駄遣いなどそれこそ映画芸能石油商業あらゆるところにある中、巨大な感動を生み出すポテンシャルを持つオリンピックをことさらターゲットにする意味はないと思う。オリンピックではなくすべての無駄遣いに反対すればよい。しかしスノボ競技とビーチバレーが金の無駄遣いであることには議論の余地もない。

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 うーん、スケート男子 500m でコリアに負けた。コリアはなんでウィンタースポーツでどんどん強くなってきたのだろう。ショートトラックのような新興スポーツで強いのはわかりやすいが、スピードスケートやフィギュアという種目で歴史がある日本がコリアに負けるとは驚きであり悔しい。韓国のスポーツでの強さと検索すると「隙間狙いだから」という意見が多数見つかるが、サッカー・野球やこういう王道スポーツにはそれが当てはまらないではないか。韓国にはなにかがある。それはなんだ。食べ物か?

 カナダ中が心配していた悲運の転倒青年ウォザースプーンは最後まできっちりと滑りきったが、勝ち負けには遠いタイム。スタンドからは清水が観戦しているのをカメラが捉えていた。この2人が競った長野オリンピックは実に面白かったな。今回表彰台の3人からは、空飛ぶカエル清水ほどの別格性もウォザースプーンのようなドラマ性も感じられないよねと俺はMに話す。最後にコーナーで加速しオーバーランした長島の2本目には逸脱する輝きがあったので、あれで勝てていたら伝説が生まれていたかもな。

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