「新ゲーム・ハチエンダ研究」「クリスマスinブルー」「ハチエンダ開眼」
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■12/12/15(土) □ 新ゲーム・ハチエンダ研究
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今日はボードゲームサイト Yucata で、昔から覚えたかった『ハチエンダ』のルール学習をやっていた。見た目地味だが、陣取り系ボードゲームの秀作としてジョーコさんらが絶賛してるのである。例によってボードゲームのルールブックというのはわかりにくいのだが、不明点を根気よくつぶしつつ1人2役を2回やってだいたいわかった。
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【開墾】山や岩地を開墾し自分の土地にする(土地タイル×2が決算時に得点)
【収益】
①土地から市場まで家畜タイルをつなぐとその都度お金(タイル数x1ペソ)
②土地に収穫マーカーを置くと、1回限りお金が入る
【決算(ハーフタイムとフルタイムの2回)得点】
①土地タイル×2点
②到達した市場数で累進得点、最大11=66点!
③ハチエンダ(農小屋)設置、置いた土地または動物グループのタイル数×1点
④貯水池購入、池に接するタイル数×1点
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整理するとやるべきことは以上である。動物グループで市場をぐるりと巻いていくと増えた動物タイル1つにつき+1ペソとどんどん加速度的にお金が入って楽しいが、それを得点にするのが考えどころという感じのゲームなんだな。
考えどころはあちこちにあり面白いが、思ったほど陣取り合戦感も農場牧畜感もないゲームだな。家畜をお金で買ってそれを市場につなげるとお金が増えるので、家畜を育ててる感はまるでなく株投資みたいな感覚。みたいなというか株だよなこれは。まあそれはそれで面白い。対人でやったら同 Yucata のローゼンケーニッヒやオレゴンよりずっと面白そう。
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■12/12/16(日) □ クリスマスinブルー
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萌を連れてクリスマスショッピング。いつからか萌がプレゼントをあげる側にまわっており、彼女が親戚全員と担任と音楽顧問にプレゼントを買ってあげたいというので、あちこち探しまわりえらい時間がかかった。誰もが目を吊り上げ準備に走る日々。
しかし音楽教師に買ってあげたギターピックなど小さなものならいいけれど、萌がMKやLDに買ってやるとなるといくら使っていいのかわからない。子供が大人に買うプレゼントの相場なんて日本人にはわからんのである。このへんはMに判断を任せるしかないな。クリスマスというのは毎年毎年難しい。
クリスマスには使うお金の尺度が跳ね上がり、「気持ちよくあげること」がなによりも大事なこととなり、必要度や実用性の優先度が下がる。実際Mは毎年親戚各ファミリーへの「プレゼント」という名目で1軒につき数十ドルをアフリカ基金に送ってるし、郵便配達夫やゴミ回収トラックの運転手にもビールをあげ、果ては新聞を毎週地面に投げ捨てていく馬鹿新聞屋にすらギフトカードをあげている。このエクストリームなまでの博愛こそがクリスマス精神なのだろう。セルフィッシュな俺はこれにどうも乗っていけず、毎年この躁的シーズンに気が重いのである。毎度毎度ずぶ濡れの新聞を届けるあいつになにかくれてやるのだけは、どうしても解せん(笑)。
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Yucata でハチエンダ対戦を試しにやってみるといきなりトップ 50 クラスの人と当たり、この人が中盤までに領地を 18 個つなげてしまった。どうやって草原タイルを取ってるのか見えないので不明だが、たぶん手番ではひたすら土地カードを引きまくり、草原が出たら拾い伸ばしてるんだろう。これだけで相手には土地数+ハチエンダで 72 点?くらい入るはずで、俺が接続市場数などでいくら頑張っても勝てるわけがない。せっかく面白いゲームなのだが、こういう明らかな最強戦術があるというのは残念である。戦術に広がりがない。
と思いつつネットでハチエンダの評を読んでいてわかった。単に相手が伸ばす領地を切ればよかったんだ。自分が土地タイルを1枚先に起き伸ばすのを妨害するだけで、相手の収入もハチエンダ得点も減らすことができる。―――あ・なるほど、その妨害と競争が自然とインタラクションを生む仕組みになっているんだ。2人戦だとチケライなど他の地形ありゲーム同様からみが足りんだろうなと思ったが、敵の領地拡大と市場への接続(最大 66 点と非常にでかい)を妨害することが、人数に関わらず熱いインタラクションを生むようになっているんだ。あーこれはいいゲームだ。もう一度最初からやり直したい。
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■12/12/17(月) □ ハチエンダ開眼
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昨日の対人戦はまったく戦術的にわかってなかったので、1人2役でハチエンダ研究をやり直す。領地を 11 まで伸ばすことに成功した赤を、細切れながら市場を多く抑えた黄が追う展開。しかし後追い妨害プレイはやはり効率が悪く、最終的に市場優位も崩されて黄が大差負け。しかしこれは相当に面白いな。
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実戦2戦目は 900 人中 28 位の上級者。序盤上級者はほとんどブラインドドローで地形カードを揃えているっぽい。必要な地形カードがオープンに出ないので俺は地形をうまく広げられず、市場の先回りを優先してしまう。これは俺がストーンエイジでいい文明カードが出ると飛びついちゃうのと同じで(笑)、目前のチャンスにいつもグラリと動いてしまい後で苦しむのだ。このため領地が増えず地形だけで前半 17 点差。
まとまった領地が1箇所しか作れず、すると家畜をあちこちの市場に連れて行っても収入が少なく、後半はだんだんキャッシュフローが苦しく、チマチマ収穫を行ったりして最後はカツカツと点を刻むも、214/174 の負け。んー参りました。しかし上級者を相手にそれなりに考えて戦えるんだから、やはりいいゲームだな。もうちょっと自由にプレイしたかったが―具体的には大領地をもう1つどこかに作りたかった―、相手がそうはさせてくれなかったわけである。面白い。これからストーンエイジと並行で楽しんでいこう。
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■12/12/19(水) □ 吹雪のレスリング
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萌のレスリング部初の公式戦なのだが、雪になってしまった。キャンセルを願うもそうはならず、まあ後から気温が上がり雨になるという予報を頼りに出かけると、フレイジャー橋上空あたりからえらいこっちゃの猛吹雪で。道はもう隣を走る車からスラッシーがどぼどぼと延々こちらに降り注ぐほどの量のみぞれ堆積状態となってしまった。うわー。
進んでいるうちはアクセル3分増しという感じで大丈夫なのだが、上り坂で止まってしまうとこれはもうヤバイ。陸橋上りで交通が止まってしまい、発進時数秒空転し冷や汗をかく。会場のパーキングに入るコーナーももし停止していたらやばかっただろう。車から降りるともう歩くのも難しいようなズルズルなわけで、これは FF だといかんともしがたいだろうな。とにかくタイヤに溝があってよかった。このまま降り続くとマジ帰れないのだが、雨に変わるとの予報。好転を祈ろう。
場内はどこも寒い。観客席が一番寒いので廊下で毛布にくるまって、これからトーナメント開始まで 2 時間半待ちである。萌は友だちと場内を駆け回り盛り上がっている。
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1時 15 分ようやく試合開始。試合が始まるとやはり面白い。よくこんなハードなバトルを女子もやるなあとおののいていると萌の出番が。相手は、うわ、レオタードを着て明らかに気合いが入った本気レスリングガールだ。
これは相手が悪いと思ったが、意外や背の高い萌はタックルを切りやすいらしく、相手を3度もつぶしグラウンドで背後を取る。すげええええ! しかし亀の子状態の相手をひっくり返してポイントを取る技術はビギナーの萌にはなく、4回目にして亀の子から上を取られ抑え込まれ背中をつけてしまい逆転負け。あー惜しい。しかしこんなに強かったのか。驚いた。えらい。試合後相手と談笑するのも美しかったぜ青春。あとで聞くと3ポイント取りながら抑え込みで4ポイント取られての大逆転負けで、泣きそうだったのだが我慢したのだそうだ。えらい。えらいよ。
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2戦目はスキルとアジリティで上回る同級生を相手に果敢に首投げに挑戦し、すっぽ抜けてマットに落ちそのまま抱え込まれて負け。くやしそうだったがよく頑張った、マジ強さに驚いたよと、帰りに久々にKFCなぞを買って帰る。あとでビデオを見たお母さんもオーマイゴすごいわと萌をビッグハグでした。
しかし子供でも格闘技が強い子って風格があるな。萌たちビギナーとは違い、年上で上級の子は立ち会い間合いが悠然としている。誰がどう来ても柳に風で有利な体勢を奪っている。かっこいいよね。
2012/12/26
2012/12/14
日記「クリスマスコンサートの音楽性」
「ハードなレスリング」「スクールクラスの Facebook」「ヘボなカナダの大衆音楽環境」
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■12/12/05(水) □ ハードなレスリング
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【萌の学校のレスリング部活】を初めて見に行ってみると、こんなハードな取っ組み合いをしてるのかとびっくりした。まさしく取っ組み合いでヘッドロックなんかがバリバリに出、まあケンカにしか見えない。受け身を習ってるから痛くはないのだというが、ひやりとするような角度で体がマットに叩きつけられている。
萌は俺が見ている間一度も勝てず悔しそうだったが、俺がジャッジだったら2試合は萌に技ありで旗を上げていたので、そう悲観することはないとあとで説明しておいた。このへん子供スポーツはなんでもそうで、コーチが全員をちゃんと見るのは不可能なんだよな。
しかし萌のフォームの悪さくらいはすぐに分かるのだが、それをどう直したらよくなるのかは俺にはわからない。格闘技は見るのは好きだがやったことがないから、うかつなことは言えない。まあとりあえず組む前に手をボクシングのごとくグーにしてファイティングポーズを取るのは、なんとなく気合いが入った気持ちはわかるが不利だろうと助言する。相手を掴むことから始まる競技なので、掌底を相手に向け構えるのが合理的だ。
萌がこんな取っ組み合いで強くなるとは思えんのだが、負けてもスキルがつくことが楽しいのかなあ。これは自分が格闘技をやったことがないのでよくわからない。ハイドクリークの空手教室が当初の型重視の寸止め空手のままだったら(若い先生に変わってから筋トレと組手中心になった)、あれを続けていくのが一番良かったのだと今でも思っている。あるいは太極拳とかね。萌の体はなめらかで優雅な動きのほうに向いていると思うんだよな。
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■12/12/06(木) □ スクールクラスの Facebook
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教育用途で提供されるクラス限定 Facebook 的なものが学校に導入され、萌がいまメシも食わず家の PC から自分のプロフィールを更新し、友達とチャットしながら宿題をやっている。年齢的に FB などホンモノ SNS には加入できないのだが、実際萌はこの家にいながらにしてリアルタイムで友達とつながってる状態、これがやりたかったんだよな。これを安全にクラス限定でやれるとは、なんといいアイデアだろう。
詳しい仕組みはわからないが、担任がクラスアカウントを作り全員が登録するらしい。家に常時接続がない家はさすがに今時ないのだろう。担任も当然オンラインにおり、ゆるく目を配っている。Facebook に代表されるネットを使ったいじめの恐怖譚は全米の親を震え上がらせているわけで、これはそうしたものへの予防措置と準備として理想的だな。もしこれが担任のアイデアなのだったら、あんたはエライと褒めてさしあげたい。
写真による SNS インスタグラムの方も萌は快調で、俺が毎日見て批評するせいもあってアップロードする写真と説明コメントの質が高く、フォロワーがどんどん増えている。俺のツイッターのフォロワー数を参照し、お父さんを抜くのは時間の問題ねとほくそ笑んでいる。インスタグラムやクラス FB という方法で表現によって人気を博すのは、萌にはプラスなことだろう。
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■12/12/08(土) □ ヘボなカナダの大衆音楽環境
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ジョンの命日なのでちょっと萌の部屋にギターを持って入っていき「イマジン」を歌ってきた。萌には小さいときからビートルズや ELO をさんざ聞かせてロック耳キッズに育てたのだが、中学になるとビートルズはおろかギターや生ドラムの入った音楽はほとんど聞かなくなってしまった。別にそういう音を避けてるわけじゃなかろうが、学校の友だちが聞いてる売れセンポップにはものが振動するアコースティック音がほとんど入ってないのである。こういう音ばかり聞いていて鋭敏な耳が育つわけがない。
カナダは子育て環境はいいが(というか子供がめちゃ優遇される国だが)、音楽環境はヘボである。はっとするようなメロディやコードなんて TV やラジオからまったく聞こえてこない。日本語 TV(ほぼ NHK)からは今日も、「山崎まさよし/太陽の約束」や「くるり/Remember Me」が流れてくるというのに。
大人が聞いてる音楽も大差なく低調で、俺はカナダのラジオ局には絶望してカーラジオなんて一切聞いてない。「クラシックロック」局ですらビートルズやゼップのアルバム曲はかからないんだからね。現代のカナダ一般人が聞いているのは、ビートルズやパンクやニューウェイブといった音楽潮流がまるでなかったかのような先進性のない凡庸な音楽だ。スティービーワンダーや S&G のようなアメリカのトラッド音楽ですら、小沢健二やスガシカオのように継承されてはいない。いい音やメロディやコードに鈍感な音楽が作られ流行り、それを浴びて育った世代がまた鈍感な音楽を作っているのだろう。このカナダの音楽状況の味気なさは、音楽好きな日系人は皆感じていると思う。
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■12/12/12(水) □ クリスマスコンサートの音楽性
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萌中学【クリスマスコンサート】。吹奏楽部はもともと顧問にブラバンを指導する音楽的ベースがないので(人柄は最高)チューニングすら合わないバンドなのだが、今回は戦没者追悼記念日からわずか1月で6曲も詰め込んだので、明らかに未完成だった。全員が自分のパートをどうにか覚え、一応通しで弾けるようになったくらいの段階だった。アンサンブルもなにもない自信なげな音の6曲で、萌に感想を聞かれても、うーん未完成だったねとしか答えられない。
合唱部は40人中最前列10名がマイクで歌い曲ごとにローテーションするというバカな形態なので、子供らは歌うというよりも自分の声をモニターから聞くために(そうしないと他の子の声しか聞こえず自分の音程が取れないので)がなり上げてしまう。がなると音は当然外れるので、全員デカ声音痴で聞き苦しくなる。合唱じゃなく大声コンテストである。
萌は後列で地声で歌ってるときはクールな表情で歌に入り込みグルーブしまことにかっこよかったのだが、最前列に来るとやはり大声を出そうと力みが入ってしまいイマイチだった。
要はどちらの顧問も音楽的素養がないんだよな。吹奏楽顧問はジャズピアニストで管弦楽は楽器の調音法も指導できない。合唱部顧問は指揮が下手なので子供らは曲のテンポも取れない。マイクを使うせいで子供らの歌が下手になっていることもわかっていない。何年やっても二部合唱すらやらないんだからこれはまったく児戯である。双方ともボランティアでやってるので文句をいうこともできず、どうしようもないのだが。
音大で教育を受けたレベルの音楽教師が指導する日本と違うのは仕方がないとはいえ、たとえば隣のK中学の合唱部を愛したKDさんによれば、あっちはクイーンの歌をやったりしてものすごく盛り上がるそうなのだ。もちろんマイクなど使わず、生徒によるピアノ伴奏のみで。顧問が音楽をわかった人なんだろう。そっちに行かせたかった。くくく。
カナダでは子供が受けられる指導の質が、日本よりもはるかに指導者により左右される。日本よりばらつきが大きいというか、何ごとに関してもそれ相応になっていく日本のほうが、お国柄でばらつきが小さいのだろうなあ。
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■12/12/05(水) □ ハードなレスリング
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【萌の学校のレスリング部活】を初めて見に行ってみると、こんなハードな取っ組み合いをしてるのかとびっくりした。まさしく取っ組み合いでヘッドロックなんかがバリバリに出、まあケンカにしか見えない。受け身を習ってるから痛くはないのだというが、ひやりとするような角度で体がマットに叩きつけられている。
萌は俺が見ている間一度も勝てず悔しそうだったが、俺がジャッジだったら2試合は萌に技ありで旗を上げていたので、そう悲観することはないとあとで説明しておいた。このへん子供スポーツはなんでもそうで、コーチが全員をちゃんと見るのは不可能なんだよな。
しかし萌のフォームの悪さくらいはすぐに分かるのだが、それをどう直したらよくなるのかは俺にはわからない。格闘技は見るのは好きだがやったことがないから、うかつなことは言えない。まあとりあえず組む前に手をボクシングのごとくグーにしてファイティングポーズを取るのは、なんとなく気合いが入った気持ちはわかるが不利だろうと助言する。相手を掴むことから始まる競技なので、掌底を相手に向け構えるのが合理的だ。
萌がこんな取っ組み合いで強くなるとは思えんのだが、負けてもスキルがつくことが楽しいのかなあ。これは自分が格闘技をやったことがないのでよくわからない。ハイドクリークの空手教室が当初の型重視の寸止め空手のままだったら(若い先生に変わってから筋トレと組手中心になった)、あれを続けていくのが一番良かったのだと今でも思っている。あるいは太極拳とかね。萌の体はなめらかで優雅な動きのほうに向いていると思うんだよな。
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■12/12/06(木) □ スクールクラスの Facebook
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教育用途で提供されるクラス限定 Facebook 的なものが学校に導入され、萌がいまメシも食わず家の PC から自分のプロフィールを更新し、友達とチャットしながら宿題をやっている。年齢的に FB などホンモノ SNS には加入できないのだが、実際萌はこの家にいながらにしてリアルタイムで友達とつながってる状態、これがやりたかったんだよな。これを安全にクラス限定でやれるとは、なんといいアイデアだろう。
詳しい仕組みはわからないが、担任がクラスアカウントを作り全員が登録するらしい。家に常時接続がない家はさすがに今時ないのだろう。担任も当然オンラインにおり、ゆるく目を配っている。Facebook に代表されるネットを使ったいじめの恐怖譚は全米の親を震え上がらせているわけで、これはそうしたものへの予防措置と準備として理想的だな。もしこれが担任のアイデアなのだったら、あんたはエライと褒めてさしあげたい。
写真による SNS インスタグラムの方も萌は快調で、俺が毎日見て批評するせいもあってアップロードする写真と説明コメントの質が高く、フォロワーがどんどん増えている。俺のツイッターのフォロワー数を参照し、お父さんを抜くのは時間の問題ねとほくそ笑んでいる。インスタグラムやクラス FB という方法で表現によって人気を博すのは、萌にはプラスなことだろう。
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■12/12/08(土) □ ヘボなカナダの大衆音楽環境
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ジョンの命日なのでちょっと萌の部屋にギターを持って入っていき「イマジン」を歌ってきた。萌には小さいときからビートルズや ELO をさんざ聞かせてロック耳キッズに育てたのだが、中学になるとビートルズはおろかギターや生ドラムの入った音楽はほとんど聞かなくなってしまった。別にそういう音を避けてるわけじゃなかろうが、学校の友だちが聞いてる売れセンポップにはものが振動するアコースティック音がほとんど入ってないのである。こういう音ばかり聞いていて鋭敏な耳が育つわけがない。
カナダは子育て環境はいいが(というか子供がめちゃ優遇される国だが)、音楽環境はヘボである。はっとするようなメロディやコードなんて TV やラジオからまったく聞こえてこない。日本語 TV(ほぼ NHK)からは今日も、「山崎まさよし/太陽の約束」や「くるり/Remember Me」が流れてくるというのに。
大人が聞いてる音楽も大差なく低調で、俺はカナダのラジオ局には絶望してカーラジオなんて一切聞いてない。「クラシックロック」局ですらビートルズやゼップのアルバム曲はかからないんだからね。現代のカナダ一般人が聞いているのは、ビートルズやパンクやニューウェイブといった音楽潮流がまるでなかったかのような先進性のない凡庸な音楽だ。スティービーワンダーや S&G のようなアメリカのトラッド音楽ですら、小沢健二やスガシカオのように継承されてはいない。いい音やメロディやコードに鈍感な音楽が作られ流行り、それを浴びて育った世代がまた鈍感な音楽を作っているのだろう。このカナダの音楽状況の味気なさは、音楽好きな日系人は皆感じていると思う。
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■12/12/12(水) □ クリスマスコンサートの音楽性
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萌中学【クリスマスコンサート】。吹奏楽部はもともと顧問にブラバンを指導する音楽的ベースがないので(人柄は最高)チューニングすら合わないバンドなのだが、今回は戦没者追悼記念日からわずか1月で6曲も詰め込んだので、明らかに未完成だった。全員が自分のパートをどうにか覚え、一応通しで弾けるようになったくらいの段階だった。アンサンブルもなにもない自信なげな音の6曲で、萌に感想を聞かれても、うーん未完成だったねとしか答えられない。
合唱部は40人中最前列10名がマイクで歌い曲ごとにローテーションするというバカな形態なので、子供らは歌うというよりも自分の声をモニターから聞くために(そうしないと他の子の声しか聞こえず自分の音程が取れないので)がなり上げてしまう。がなると音は当然外れるので、全員デカ声音痴で聞き苦しくなる。合唱じゃなく大声コンテストである。
萌は後列で地声で歌ってるときはクールな表情で歌に入り込みグルーブしまことにかっこよかったのだが、最前列に来るとやはり大声を出そうと力みが入ってしまいイマイチだった。
要はどちらの顧問も音楽的素養がないんだよな。吹奏楽顧問はジャズピアニストで管弦楽は楽器の調音法も指導できない。合唱部顧問は指揮が下手なので子供らは曲のテンポも取れない。マイクを使うせいで子供らの歌が下手になっていることもわかっていない。何年やっても二部合唱すらやらないんだからこれはまったく児戯である。双方ともボランティアでやってるので文句をいうこともできず、どうしようもないのだが。
音大で教育を受けたレベルの音楽教師が指導する日本と違うのは仕方がないとはいえ、たとえば隣のK中学の合唱部を愛したKDさんによれば、あっちはクイーンの歌をやったりしてものすごく盛り上がるそうなのだ。もちろんマイクなど使わず、生徒によるピアノ伴奏のみで。顧問が音楽をわかった人なんだろう。そっちに行かせたかった。くくく。
カナダでは子供が受けられる指導の質が、日本よりもはるかに指導者により左右される。日本よりばらつきが大きいというか、何ごとに関してもそれ相応になっていく日本のほうが、お国柄でばらつきが小さいのだろうなあ。
2012/12/07
日記「ストーンエイジは数学的か」
「娘の機嫌がいい週末」「Wii 家族」「直感に胸高鳴らし」
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■12/11/25(日) □ 娘の機嫌がいい週末
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晴れたので例年より半月早くクリスマスライト装着。萌の機嫌がいい週末。この頃の萌の明るさ前向きさは、担任がいうように「無邪気でひょうきん」というアイデンティティが確立されたのに加え、10 月から始めた初の部活、放課後レスリングに打ち込んでることによるフィジカルな充実感もあるんじゃないかなと思う。ほんとえらい熱中していて学校から帰ってくると疲れでぐったりしてるが、力が湧いてくるとシャドーレスリングを開始し、俺を引っ張っていってベッドに投げ飛ばすのだ。俺はいま肩が痛いのでいままともに戦えないのだが、容赦なくぶっ飛ばす。
萌は運動音痴なのでシャドーをやってるのを見ていてもフォームがぎこちないなと感じるが、それでも自分に大人を投げ飛ばせるほどのフィジカルな強さとスキルが備わってきているということがうれしいのだろう。
どうせ格闘をやるなら柔道のほうが美しいなあと俺は思ってはいるのだが、まあ学校で友達と一緒にできるということが楽しみのうちなのだろうな。スポーツとしては同種だろう。それに世界王者はずっと日本人だしね。
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■12/11/28(水) □ ストーンエイジは数学的か
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【Yucata ストーンエイジ】1ゲームに何日もかけるスローな人が卓につかぬよう、このサイトで俺は常に「高速対戦 wanted」と2人戦のみ募集をかけてるのだが、そのせいかいつも3千人中5位とかのとんでもなく強い相手が来てしまう。当然手も足も出ないのだが、ボードゲームでうまい人とあたるというのはなかなかすごい体験だ。ええっなんでそこに打つのという体験は初めてオンラインでカルカソンヌをやったときにもあったが、こうして新しいゲームを覚え強い人と当たるたびに味わうのだろう。
しかし毎日達人に負け続けると、このゲームはやはり BoardGameGeek で一部批判されていたように「数学的」なのかなーと感じる。ミープル1個、村の一仕事、資材1個にどれだけの価値があり(さらに敵がそれを取ったら何点入るかも推測でき)、それをどのカードがいくらのときに使うのがメリット最大なのか、数学的にそのへんがクイックに判断できないと上級者との勝ち負けは難しいゲームなのかもしれない。相手はそれをわかるから、3金4金の高価な文明カードを(俺にとって)意外なタイミングで買えるのだろう。BoardGameGeek に批判投稿をした人は、「そういうゲームだから数学無双の私の夫には選択肢の価値が自明で、イントレスティングではない内容になっているわ」と書いていた。まあそういう人は対人ボードゲームがそもそも社交的アクティビティとして向いてないんじゃないかと思うが。
ダイスがあるので、たとえ数学的には分が悪くても資材採掘場にどーんと賭けて 6+6+6.... を出せば打開できる局面もありそこが面白いのだけども、そういう賭けの1つや2つが決まったくらいでは上級者との差は詰められないよな。
そうは言っても俺には面白いので対戦するたびに教訓を学び、夜ごとハマっているのである。今日の相手も86位の超格上美人ドイツ女性(想像)、この辺のレベルの人に俺のような数学的才能が皆無なやつが勝てないまでもいい勝負を楽しめたら、本当にいいゲームだと思う。
◇
Tomosaka2 211
美人ドイツ女性 215
あああああ~。初ラウンドで木を取り、次のラウンドで相手の木をブロックしたことで序盤有利に進みずっと優勢を保ち詰めを迎えたのだが、最後に俺が取ろうとした小屋カードを全部ブロックされ文明カードも全部抑えられ、それで4点逆転され負けた。俺が1枚でも文明カードを取っておけば快勝だったのに、まさかこのターンで4金文明カードは取らんだろう俺の予測を超えた相手の読み勝ちである。序盤俺にいいサイコロ目といいカードが巡ってのリード構築だったので、あんな上手い人にあんなに肉薄できることはもう二度とない気がする(泣)。
しかしやっぱりこれは数学的でカリカリのゲーマーズゲームだけれど、数学弱くても楽しく戦えるな。「①このラウンドで木採掘部隊に全部の道具を持たせ木数を最大化し②次のラウンドでシャーマン2が出たら4金でも取り③それで+20となり逆転できる」みたいな直感的思いつきを考え込んでいくとほんと面白い。このようにほぼすべての思考がシンプルな三段論法程度でいけるのである。そこが素晴らしい。
たとえ相手と比較すればうまく行ってないゲームでも、このように手番手番で自分が考え実行することには「いい手を思いついたぜ」という高い納得感がある。相手の達人は俺の打ち手を見てトンマなことをと思ってるかもしれんが(笑)、知ったこっちゃない。カルカソンヌ同様俺はこうしてネット対戦でいつまでも遊んでいくだろう。
◇
それはともかく、ゲームを趣味とせぬ一般人はここまで考え込んでくれないかなあとも思う。当家ファミリーゲームとしてクリスマスに購入しようと思っていたのだが、いったん保留したほうがいいかもしれない。M萌が文明カードボーナス5種×何点なんて計算してくれるとは思えないし、俺はオンラインでこうしてやってるからスキル差もどんどんついてしまう。これはこれでオンライン対戦用に遊んでいくのが吉かもしれない。
この人員配置による収穫と買い物の明解な面白さを、文明カード×なになに数という数値でフィニッシュするのではなくもっとビジュアルな、たとえば村や庭づくりに昇華したものが「アグリコラ」ならば家族向けゲームとして最高なのだが、残念ながらあれはストーンエイジよりはるかに数学的にめんどくさいし(※)、テンポが悪すぎる。ルール量も比べ物にならない。実際ストーンエイジはこの思考度のゲームとしては例外的なほどルールが簡単で、文明ボーナスの種類以外は子供でも1ラウンドで手順を理解できるだろう。
なんかないものかな、このやりくりと買い物競争の面白さを点ではなくものづくりに昇華し、箱庭感に到達したような完璧なゲームが。取った資材やカードを使いグレンモアみたいに、自分だけの機能性ある小集落を作れたらステキなことだろう。
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■12/12/01(土) □ Wii 家族
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最近萌の機嫌が素晴らしい。先週の土曜あたりからずっとそうなのだが、俺に学校のことを話してくれるしアンドロイドフォンで遊ぶし、2人だけの日本語学習も嫌がらずにしっかりとやる。まるで日本にいたときのように日本語で話してくれる。今日なんか学校で習ってるのだとギターまで俺のところで弾いてみせた。そのコードだったらこう弾いたほうがいいよ。そのコードが弾けるなら萌の好きなあの歌もギターで弾けるじゃん。ギターとコンピュータについてなら、教えてやれることはまだまだたくさんある。
加えて Wii を 2 階に上げようと奥様が突然決め、するとみんなでネット映画を見れるし Wii リゾートをやれるしで、うちに初めて Wii が来たときのように萌がはしゃぎ一家揃ってスポーツ団欒となっている。素晴らしい。
今夜は最後に Wii リゾートの卓球で俺のスマッシュを萌が打ち返して勝利し、最高の幕切れでした。
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■12/12/05(水) □ 直感に胸高鳴らし
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久々に【ストーンエイジ】。今日も超格上(56 位)が相手。数学的すぎて格上には勝てないゲームかもなーとファミリーゲームとしての迷いをブログに書いてる際中なのだが、相手が文明に行ったターンで人を増やし木を抑え次のターンで高価な文明カードを2枚奪うという賭けが見事にうまくいった。これで序盤リードを奪う。この俺の直感的にリスクに胸高鳴らす打ち方でいい勝負をできたらすごいゲームなのだがなー。
終盤、リードを継続中。俺自身うまくやれており、相当に有利だ。このあと相手が大きく伸ばせるのは道具点以外ないので、それを俺が抑えていけば勝てる。熱くなる。
最後に初手で木を取りフィニッシュに入ろうと思ったら先の先を取られ木をブロックされた。さすがだ。このターンで木を取れなかったことで、小屋を2枚取られ25点詰められる。うーむ。文明カードもブロックされた。うーさすがだ。この1ラウンドで一気に俺のアドバンテージが消えた。残りリードは10点。
最終ラウンド、1-7 が出た! 初手でこれを抑える。この一手が相手に痛恨で、アウチと言ってきた。相手は金が必要なので金も抑える。これは勝った。210/148 で結果を待つ。1ラウンドで 60 点は取れるはずがない。―――210/176 やっ・た\(^-^)/!
【最近心がけている指針的なもの(2人戦)】
◆序盤は村と資源重視、先手のときは木を相手に渡さない。
◆相手が(定石である)初手村仕事をサボりいいカードを取りに行ったら、村仕事2回よりもむしろ木を取り次ラウンドのチャンスに備える。
このゲームの勝因は、相手が(定石である)初手村仕事をスキップしカードを取りに行ったら、村仕事2回ではなく木を取るという方針がうまく行ったのだと思う。村をスキップされるとどうしても畑+道具づくりなど村×2したくなるが(なかなかそのチャンスはないからね)、相手がリスクを取って川でポイントを上げたターンでこちらはガラ空きの山に向かい、資材を蓄え次ターン以降の賭けに備えるのだ。そうなのだよ!
いやー面白い。家で買うかはまだ決められないが、ストーンエイジ最高です。
(注:格下・同格にあっさり負けたつまらん試合についての憤怒の日記はここではすべて省略)
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■12/11/25(日) □ 娘の機嫌がいい週末
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萌は運動音痴なのでシャドーをやってるのを見ていてもフォームがぎこちないなと感じるが、それでも自分に大人を投げ飛ばせるほどのフィジカルな強さとスキルが備わってきているということがうれしいのだろう。
どうせ格闘をやるなら柔道のほうが美しいなあと俺は思ってはいるのだが、まあ学校で友達と一緒にできるということが楽しみのうちなのだろうな。スポーツとしては同種だろう。それに世界王者はずっと日本人だしね。
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■12/11/28(水) □ ストーンエイジは数学的か
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【Yucata ストーンエイジ】1ゲームに何日もかけるスローな人が卓につかぬよう、このサイトで俺は常に「高速対戦 wanted」と2人戦のみ募集をかけてるのだが、そのせいかいつも3千人中5位とかのとんでもなく強い相手が来てしまう。当然手も足も出ないのだが、ボードゲームでうまい人とあたるというのはなかなかすごい体験だ。ええっなんでそこに打つのという体験は初めてオンラインでカルカソンヌをやったときにもあったが、こうして新しいゲームを覚え強い人と当たるたびに味わうのだろう。
しかし毎日達人に負け続けると、このゲームはやはり BoardGameGeek で一部批判されていたように「数学的」なのかなーと感じる。ミープル1個、村の一仕事、資材1個にどれだけの価値があり(さらに敵がそれを取ったら何点入るかも推測でき)、それをどのカードがいくらのときに使うのがメリット最大なのか、数学的にそのへんがクイックに判断できないと上級者との勝ち負けは難しいゲームなのかもしれない。相手はそれをわかるから、3金4金の高価な文明カードを(俺にとって)意外なタイミングで買えるのだろう。BoardGameGeek に批判投稿をした人は、「そういうゲームだから数学無双の私の夫には選択肢の価値が自明で、イントレスティングではない内容になっているわ」と書いていた。まあそういう人は対人ボードゲームがそもそも社交的アクティビティとして向いてないんじゃないかと思うが。
ダイスがあるので、たとえ数学的には分が悪くても資材採掘場にどーんと賭けて 6+6+6.... を出せば打開できる局面もありそこが面白いのだけども、そういう賭けの1つや2つが決まったくらいでは上級者との差は詰められないよな。
そうは言っても俺には面白いので対戦するたびに教訓を学び、夜ごとハマっているのである。今日の相手も86位の超格上美人ドイツ女性(想像)、この辺のレベルの人に俺のような数学的才能が皆無なやつが勝てないまでもいい勝負を楽しめたら、本当にいいゲームだと思う。
◇
Tomosaka2 211
美人ドイツ女性 215
あああああ~。初ラウンドで木を取り、次のラウンドで相手の木をブロックしたことで序盤有利に進みずっと優勢を保ち詰めを迎えたのだが、最後に俺が取ろうとした小屋カードを全部ブロックされ文明カードも全部抑えられ、それで4点逆転され負けた。俺が1枚でも文明カードを取っておけば快勝だったのに、まさかこのターンで4金文明カードは取らんだろう俺の予測を超えた相手の読み勝ちである。序盤俺にいいサイコロ目といいカードが巡ってのリード構築だったので、あんな上手い人にあんなに肉薄できることはもう二度とない気がする(泣)。
しかしやっぱりこれは数学的でカリカリのゲーマーズゲームだけれど、数学弱くても楽しく戦えるな。「①このラウンドで木採掘部隊に全部の道具を持たせ木数を最大化し②次のラウンドでシャーマン2が出たら4金でも取り③それで+20となり逆転できる」みたいな直感的思いつきを考え込んでいくとほんと面白い。このようにほぼすべての思考がシンプルな三段論法程度でいけるのである。そこが素晴らしい。
たとえ相手と比較すればうまく行ってないゲームでも、このように手番手番で自分が考え実行することには「いい手を思いついたぜ」という高い納得感がある。相手の達人は俺の打ち手を見てトンマなことをと思ってるかもしれんが(笑)、知ったこっちゃない。カルカソンヌ同様俺はこうしてネット対戦でいつまでも遊んでいくだろう。
◇
それはともかく、ゲームを趣味とせぬ一般人はここまで考え込んでくれないかなあとも思う。当家ファミリーゲームとしてクリスマスに購入しようと思っていたのだが、いったん保留したほうがいいかもしれない。M萌が文明カードボーナス5種×何点なんて計算してくれるとは思えないし、俺はオンラインでこうしてやってるからスキル差もどんどんついてしまう。これはこれでオンライン対戦用に遊んでいくのが吉かもしれない。
この人員配置による収穫と買い物の明解な面白さを、文明カード×なになに数という数値でフィニッシュするのではなくもっとビジュアルな、たとえば村や庭づくりに昇華したものが「アグリコラ」ならば家族向けゲームとして最高なのだが、残念ながらあれはストーンエイジよりはるかに数学的にめんどくさいし(※)、テンポが悪すぎる。ルール量も比べ物にならない。実際ストーンエイジはこの思考度のゲームとしては例外的なほどルールが簡単で、文明ボーナスの種類以外は子供でも1ラウンドで手順を理解できるだろう。
(※)基本的にそのラウンドで得られるものを最大化する方法を三段論法ほどで考えていけるストーンエイジに対し、「アグリコラ」ではたとえば「3ターン後のラウンド終了時に食べ物が4必要で、パンを作るには①麦と②畑と③種まき④暖炉アクションをやらねばならず、暖炉には⑤粘土が必要で、これができてもパンは2しかできないので⑥釣りでもう2つ食料を取りラウンド終了、よし間に合うこれで行こう」とここまで先々を計算しないと現ターンの行動が決まらない。直感的にはほとんどなにも行うことができない。
◆ちなみに上記「数学無双の夫」はストーンエイジは嫌いで「アグリコラ」が大好きなんだって。単純にこれくらい演算負荷がかかってないと空焚きしちゃうエンジンなんだろう。
なんかないものかな、このやりくりと買い物競争の面白さを点ではなくものづくりに昇華し、箱庭感に到達したような完璧なゲームが。取った資材やカードを使いグレンモアみたいに、自分だけの機能性ある小集落を作れたらステキなことだろう。
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■12/12/01(土) □ Wii 家族
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最近萌の機嫌が素晴らしい。先週の土曜あたりからずっとそうなのだが、俺に学校のことを話してくれるしアンドロイドフォンで遊ぶし、2人だけの日本語学習も嫌がらずにしっかりとやる。まるで日本にいたときのように日本語で話してくれる。今日なんか学校で習ってるのだとギターまで俺のところで弾いてみせた。そのコードだったらこう弾いたほうがいいよ。そのコードが弾けるなら萌の好きなあの歌もギターで弾けるじゃん。ギターとコンピュータについてなら、教えてやれることはまだまだたくさんある。
加えて Wii を 2 階に上げようと奥様が突然決め、するとみんなでネット映画を見れるし Wii リゾートをやれるしで、うちに初めて Wii が来たときのように萌がはしゃぎ一家揃ってスポーツ団欒となっている。素晴らしい。
今夜は最後に Wii リゾートの卓球で俺のスマッシュを萌が打ち返して勝利し、最高の幕切れでした。
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■12/12/05(水) □ 直感に胸高鳴らし
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久々に【ストーンエイジ】。今日も超格上(56 位)が相手。数学的すぎて格上には勝てないゲームかもなーとファミリーゲームとしての迷いをブログに書いてる際中なのだが、相手が文明に行ったターンで人を増やし木を抑え次のターンで高価な文明カードを2枚奪うという賭けが見事にうまくいった。これで序盤リードを奪う。この俺の直感的にリスクに胸高鳴らす打ち方でいい勝負をできたらすごいゲームなのだがなー。
終盤、リードを継続中。俺自身うまくやれており、相当に有利だ。このあと相手が大きく伸ばせるのは道具点以外ないので、それを俺が抑えていけば勝てる。熱くなる。
最後に初手で木を取りフィニッシュに入ろうと思ったら先の先を取られ木をブロックされた。さすがだ。このターンで木を取れなかったことで、小屋を2枚取られ25点詰められる。うーむ。文明カードもブロックされた。うーさすがだ。この1ラウンドで一気に俺のアドバンテージが消えた。残りリードは10点。
最終ラウンド、1-7 が出た! 初手でこれを抑える。この一手が相手に痛恨で、アウチと言ってきた。相手は金が必要なので金も抑える。これは勝った。210/148 で結果を待つ。1ラウンドで 60 点は取れるはずがない。―――210/176 やっ・た\(^-^)/!
【最近心がけている指針的なもの(2人戦)】
◆序盤は村と資源重視、先手のときは木を相手に渡さない。
◆相手が(定石である)初手村仕事をサボりいいカードを取りに行ったら、村仕事2回よりもむしろ木を取り次ラウンドのチャンスに備える。
このゲームの勝因は、相手が(定石である)初手村仕事をスキップしカードを取りに行ったら、村仕事2回ではなく木を取るという方針がうまく行ったのだと思う。村をスキップされるとどうしても畑+道具づくりなど村×2したくなるが(なかなかそのチャンスはないからね)、相手がリスクを取って川でポイントを上げたターンでこちらはガラ空きの山に向かい、資材を蓄え次ターン以降の賭けに備えるのだ。そうなのだよ!
いやー面白い。家で買うかはまだ決められないが、ストーンエイジ最高です。
(注:格下・同格にあっさり負けたつまらん試合についての憤怒の日記はここではすべて省略)
2012/12/03
日記「クマにフェンスをぶち破られた」
「本物がほしいストーンエイジ」
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■12/11/21(水) □ クマにフェンスをぶち破られた
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うわークマにフェンスをぶち破られたー。ショック。下の薄板部分はまあ修復はできるのだが、上の格子状のところを落とされたのが痛い。どうやって直したらいいのかと途方に暮れる。
隣家MT家の楓の枝までバキバキと何本も折られている。なにやってるんだこのクマは、理解できん。クマは川でサーモン食えよ。今はサーモン採れまくりの時期じゃないか。ゴミを漁るなよ。
うちは向かいが借家になってるのだが、そこの住人が土着じゃないからやっぱ無責任で、ゴミの管理が悪い。ゴミに鍵かけてないと罰金という規則を無視してるのでその家のゴミが数週前から何度も何度もクマにひっくり返されていて、ついに近隣にもとばっちりが来たという感じ。MTも同意見である。ちなみにカナダじゃこの程度では、熊が出て危のうござりますと役所に言っても気をつけよと言われるだけらしい。怪我人が出てからでは遅いのだが。
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とりあえず仕方がないので釘とノコギリを買ってきて、角材を切っては足し切って足して、落とされた上部格子部分を武骨に頑丈にフェンスに固定する。これをもう一度壊すにはクマの方にも相当な決意と破壊スキルが必要である。別にうちの庭に食い物があるわけじゃなし、通り抜けるためだけにそこまではせんだろう。こうして DIY 仕事で成果が上がると気分がいい。
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■12/11/23(金) □ 本物がほしいストーンエイジ
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1日1ゲームは必ずやっているストーンエイジオンライン。夜の2人戦で人を 10 人まで増やす作戦をやってみた。こうしていろんな戦法が試せるところが楽しい。きっちりプラン通りに進め 250 点を超えた時点で勝ちは確信したが、点差は案外少なかった。もっと大差で勝ってると思っていた。
ボードゲームにおいてどっちがどの程度勝ってるのかわからないというのは好きではない。最後は積み上げたボーナスで決まるにせよ、どの程度の点差なのかは皆が把握してるくらいがちょうどいいと思う。負けてる方は大量点を狙ったギャンブルに出られるし、勝ってる方はゲームをクローズに持っていける。
◇
それにしてもよくできたゲームだ。俺はMKが持ってくる TRPG/アメゲー系のゲームでダイスを振ることにはスゴロク程度の盛り上がりしか感じないのだが、ストーンエイジではダイスに気合いを込め楽しんでいる。やっぱ TRPG 式のゆるい数値のやり取りでは、大きな目を出して敵にダメージを与えたいなどと俺は真剣に考えられない。
TRPG バトルのスタート位置はランダムだし、キャラが持つ HP その他だってよくわからず、さらに 20 面ダイスみたいなものでダメージ量が決まるんだから乱数が多すぎる。どのダイスを使うかも自分の選択ではないわけだし。ウォーゲームのように「ここで3コマを集中して1ターンで敵ユニットをきっちりと破壊する」といった風にざっくり大胆かつ緻密に考え決断し、その結果が白黒はっきりつくほうが面白く感じる。
その点がストーンエイジではよくできていて、「ここでどうしても金が2個必要だから、リスクが高いがサイコロを3個投入しよう」と目標がストレートに設定できる。だからギャンブルとしてサイコロ振りに盛り上がれるのだ。望み以下の目が出た場合にサイの目に足せる「道具」という概念もよくできていて、サイコロに関する楽しさはカタンと同等で、フラストレーションは 1/10 もないんじゃないかと思う。ほんとよくできている。
ストーンエイジの写真を見ると実物が欲しくなる。この個人ボードにはあまり機能的な意味はないが、資材の実物をこうしてボード上に積むのは気持ちいいことだろう。機能で言えば小屋カードをきれいに下の枠に並べても意味はないので(枚数だけわかればいい)、5種類の文明ボーナスを分類して置ける5つの枠だったらよかったと思う。そうするとまあどの種類をどれくらい集めているか敵におよそわかってしまうが、上記の理由でそこは隠し情報じゃないほうがいいとも思うしな。この個人ボードが文明ボーナスの得点ボードだったらよかった。
あるいは小屋カードを取ったらこのタイルの代わりに木の小屋をもらえ、個人ボード上で自分のミニ集落をビジュアルにデザインできたらかわいいだろうな。アグリコラのメインボードは単なるマスなのでかわいさと視認性でストーンエイジに大きく劣るが(そこがアグリコラのゲーム性も示している)、牧場となる個人ボードは SA よりかわいいのだ。
ボードゲームの写真を眺めているとそんなこんなを想像して楽しい。タイミング的に今買ったら「なんでクリスマスを待たないのだ」と怒られるが、ほしくなってしまっているのである。
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■12/11/21(水) □ クマにフェンスをぶち破られた
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うわークマにフェンスをぶち破られたー。ショック。下の薄板部分はまあ修復はできるのだが、上の格子状のところを落とされたのが痛い。どうやって直したらいいのかと途方に暮れる。
隣家MT家の楓の枝までバキバキと何本も折られている。なにやってるんだこのクマは、理解できん。クマは川でサーモン食えよ。今はサーモン採れまくりの時期じゃないか。ゴミを漁るなよ。
うちは向かいが借家になってるのだが、そこの住人が土着じゃないからやっぱ無責任で、ゴミの管理が悪い。ゴミに鍵かけてないと罰金という規則を無視してるのでその家のゴミが数週前から何度も何度もクマにひっくり返されていて、ついに近隣にもとばっちりが来たという感じ。MTも同意見である。ちなみにカナダじゃこの程度では、熊が出て危のうござりますと役所に言っても気をつけよと言われるだけらしい。怪我人が出てからでは遅いのだが。
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とりあえず仕方がないので釘とノコギリを買ってきて、角材を切っては足し切って足して、落とされた上部格子部分を武骨に頑丈にフェンスに固定する。これをもう一度壊すにはクマの方にも相当な決意と破壊スキルが必要である。別にうちの庭に食い物があるわけじゃなし、通り抜けるためだけにそこまではせんだろう。こうして DIY 仕事で成果が上がると気分がいい。
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■12/11/23(金) □ 本物がほしいストーンエイジ
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ボードゲームにおいてどっちがどの程度勝ってるのかわからないというのは好きではない。最後は積み上げたボーナスで決まるにせよ、どの程度の点差なのかは皆が把握してるくらいがちょうどいいと思う。負けてる方は大量点を狙ったギャンブルに出られるし、勝ってる方はゲームをクローズに持っていける。
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それにしてもよくできたゲームだ。俺はMKが持ってくる TRPG/アメゲー系のゲームでダイスを振ることにはスゴロク程度の盛り上がりしか感じないのだが、ストーンエイジではダイスに気合いを込め楽しんでいる。やっぱ TRPG 式のゆるい数値のやり取りでは、大きな目を出して敵にダメージを与えたいなどと俺は真剣に考えられない。
TRPG バトルのスタート位置はランダムだし、キャラが持つ HP その他だってよくわからず、さらに 20 面ダイスみたいなものでダメージ量が決まるんだから乱数が多すぎる。どのダイスを使うかも自分の選択ではないわけだし。ウォーゲームのように「ここで3コマを集中して1ターンで敵ユニットをきっちりと破壊する」といった風にざっくり大胆かつ緻密に考え決断し、その結果が白黒はっきりつくほうが面白く感じる。
その点がストーンエイジではよくできていて、「ここでどうしても金が2個必要だから、リスクが高いがサイコロを3個投入しよう」と目標がストレートに設定できる。だからギャンブルとしてサイコロ振りに盛り上がれるのだ。望み以下の目が出た場合にサイの目に足せる「道具」という概念もよくできていて、サイコロに関する楽しさはカタンと同等で、フラストレーションは 1/10 もないんじゃないかと思う。ほんとよくできている。
あるいは小屋カードを取ったらこのタイルの代わりに木の小屋をもらえ、個人ボード上で自分のミニ集落をビジュアルにデザインできたらかわいいだろうな。アグリコラのメインボードは単なるマスなのでかわいさと視認性でストーンエイジに大きく劣るが(そこがアグリコラのゲーム性も示している)、牧場となる個人ボードは SA よりかわいいのだ。
ボードゲームの写真を眺めているとそんなこんなを想像して楽しい。タイミング的に今買ったら「なんでクリスマスを待たないのだ」と怒られるが、ほしくなってしまっているのである。
2012/11/22
日記「ストーンエイジは大傑作でしたすいませんでした」
「YOLO なティーン」「朝ドラと創作者エゴ」「カルカソンヌは偉大だ」「ストーンエイジに開眼」「SA 戦術研究」「ストン初勝利」
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■12/11/08(木) □ YOLO なティーン
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萌の学校の戦没者追悼記念式典に行ってきた。毎年書いているが(変わり映えせずすいません)、"自由のため戦い犠牲になった" カナダ兵士に感謝を捧げるのはいいけれど、その何百倍もの市民も戦争により世界中で死んでいるわけで、そっちにより心を配ってもらえないかと思う。戦争がある国、あった国の悲しみは子供らに何も伝わっていない気がする。萌なんか「すごい厳粛なんだからお父さんも敬意を払ってよね!」って感じで、イベントとして張り切っちゃってるもんな。
しかし感極まった様相で「犠牲となった兵士たちに感謝しなければならないのです!」と叫ぶ子供らを見れば、これってカナダの愛国教育なんだろうな。他国を攻撃してるわけじゃなし罪はないとは思うが、愛国と戦争反対を両立した教育イベントにしてほしいものである。
金魚は1週間たち絶好調。ピンセットの先からミミズをついばむほど人にも慣れたし、水換えのストレスにもびくともせず、前回前々回の金魚たちよりずっと安定していけそうな気配である。
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萌に Owl City とかジャスティンビーバーを聞かされ気がついたのだが、米加のポップソングはパーティの歌が多い。パーティでグッドタイムを過ごすということが青春の重要な1テーマとなっているようだ。これは恋人との1対1の関係が至上のものとやたらと強調する日本のポップカルチャーと異なるところである。
ティーンにはパーティがえらい重要なテーマみたいだねと俺が感想を言うと、「だって YOLO っていうじゃない」と萌がいう。また出たティーン略語。――YOLO? 「You Only Live Once(人は一度しか生きられない)よ」。
どういう文脈でこれが言われるのかと解説してもらうと、人生は一度きりなんだから楽しまにゃ損ソンというセンスで使われるらしい。あ、なるほどね。
しかし「人生は一度きりなんだから楽しまにゃ損ソン」と日本語で言うとなんか、人生応援系演歌っぽいな :-)。
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■12/11/09(金) □ 朝ドラと創作者エゴ
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NHK 朝ドラ【純と愛】。解釈や批判を始めちゃうとめんどくさいので、楽しめるところだけ気軽に見ようと決めていたのだが、そうはさせてくれない番組である。『バカ兄が実はマリアを愛しており結婚式から逃げ、修羅場となり愛が純家族の本心を暴露する』という流れに至り、さすがに呆れて見るのをやめようか考え始めた。とにかく話がピーキー(強度エピソード山盛り)で雑でげんなりする。
遊川和彦というこの脚本家は「日本一ダメな2つの家族を描きたいんだ」的なことを言ってるらしいが、それがそんなにエポックメイキングで独創的なことだろうか。結果としてここでは単に、非現実的な魅力なき人々の面白くない問題がキンキンとノイズをたて繰り広げられている。なんでこんな馬鹿げたハナシ(脚本)なんだと俺はそればかり考えている。
「カーネーション」に出てくる人たちはみな糸子を通じて生き生きと実在していたのだが、このドラマの人物は造形された戯画で、役者がどう演じても脚本家の手から逃れられない。純の過剰な演技にかぶさり、「仕事の流儀」でつばを飛ばし怒鳴っていたあの顔が浮かんでくる。この番組で視聴者はドラマでも役者の演技でもなく、遊川和彦という人の創作エゴを見せつけられているように思う。
ツイッターでの(好意的な人々の)解釈によれば、「人は弱く愚かなものだ」という傾きが彼の創作物にはあるらしいが、遊川和彦的に弱く愚かな人は俺は知らんし、そういう人と知り合ってその弱さを味噌汁に入れごはんにかけて食いたいなんて思わない。なのにそういうものばかり食卓にずらりと並べられるからうんざりするのだ。こんなもの注文してないですよと。
「既存の朝ドラをぶち壊すという気概」なんだろうとも解釈されているが、だとしたらつまらんことだぜ。「カーネーション」は何も破壊することなく、朝ドラ以外では見られないような宝物を見せてくれたぜ。
だいたい俺はこれが朝ドラだから腹を立てているのだ。これが週一ドラマだったら俺はただ見ないだけで、文句は言わんのだよ(※)。朝ドラには毎日話の続きが見られるというどうしようもない魅力がある。「カーネーション」はそれを存分に生かし楽しませて俺の生活を幸福にしてくれたし、「おひさま」「梅ちゃん」といった凡作ですら序盤は見続けてしまった。この連続朝ドラという場所は特別な場所なのだ。そういう場所で専横的なエゴを揮うのは行儀が悪すぎるだろう。他でやってくださいよ。
まったくこれは腹が立つ。腹が立つと健康に悪い。俺は落ち込むことがあると寅さんを見るんだけど、これには逆の効果がある。今夜は寅さんを見て寝よう。
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■12/11/11(日) □ カルカソンヌは偉大だ
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Yucata でゲームを覚えようシリーズ、続いて「ハワイ」「マオリ」「ヴァイキング」とやってみる。こうしていろいろやってみると、やはりカルカソンヌというのは飛び抜けて優れたゲームメカニクスだと思う。四角いタイルに3種の地形を持たせるだけでこれほどのゲームができるとは、作者も作り始めてから自分で驚いたことだろう。
俺はやがてゲーム内で生産や拡大といった複雑なことをしたくなりカルカソンヌからは離れてしまったが、それでもこれまでに体験したボードゲームでカルカソンヌの仕組みが一番すごいと今でも思う。うまい人とオンラインで勝負をすれば間違いなく面白いゲームになる。各種拡張やカルカソンヌ2によって、オリジナルとは違った戦略をやれるのも素晴らしい。
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■12/11/13(火) □ ストーンエイジに開眼
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オンライン Yucata ボードゲーム習得シリーズ、昨日から大物「ストーンエイジ」にトライ中。原始の村でサイコロを振り木や石を集め村を栄えさせるというベストセラーである。これはルールを習うために1人2役でテストプレイを何度もやり、「リソースを取るまでは楽しいが、カードを買っても拡大要素が薄く好みではない」と思っていたのだが、対人となると「あの高得点カードがほしい、急いで資材を揃えねば」と熱い競争心がやはり芽生える。すると敵より先にカードや山の採掘所にコマを置きたくて、手番を待ち焦がれゾクゾクする。そうかこれがワーカープレイスメントの楽しみか。
①自分がほしいカード
②そのために必要な資源
③それがどこにあるか
この選択肢3要素がクリアーかつメイクセンスな(道理に合っている)ので、思考がサクサク進み場所取りに燃えられるのだ。
こうして対人でやってやっとわかったが、即時点を取る左下の建物(小屋)カード部分は急げや負けるなのカード争奪戦で、たとえば「チケットトゥライド」の路線争奪に似ている。狙っていた高得点カードをターン順のあやで取られたときはがっくりくるし、代わりにいいカードを取ればうれしい。チケライはゲーム性としてはこの単層しかなく(しかもこの路線争奪エキサイトもまれにしか起きないので)やがて飽きが来るのは否めないが、SA はこの部分を WP とサイコロで熱く複雑化しふくらませているわけである。
夜熟練者との 2P 戦となる。その場その場で工夫して高得点の小屋カードを取る俺のベーシックな戦法でも途中ポイントはサクサクと気持ちよく取れたのだが、相手が文明カードの終了ボーナスで 200 点も取り 150-350 みたいなすごい点差になってしまった。うわー。初心者と熟練者でこれほど差がつくというのは、あまり好ましい傾向ではない。覚えなきゃ勝負にならない細かな得点要素が文明カード方面に多数あるらしい。ちょっと勉強してみます。しかしこれは面白いわ。久々にボードゲームでゾクゾクしている。
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■12/11/15(木) □ SA 戦術研究
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昨日大敗した相手の熟練者の解説によると、大差がついたのは俺が文明カードを取らないから彼が全部取ったゆえだという。そこで文明カードのボーナス点というのを調べてみたら、カード下に書かれたマーク×村の人数みたいな感じで
●1 文明シンボル:種類の2乗
●2 畑おっさん数×畑開墾値
●3 斧おっさん数×道具の合計値
●4 小屋おっさん数×小屋カード数
●5 シャーマン数×住民数
と5種類もボーナスがあった。昨日の人はこれを全部揃えたのだろう。気をつけていれば俺も文明カードを十分に取りもうちょっと差を詰められるかもしれない。文明カードのコストは小屋カードより安いんだもんな。実際安いんだからカードに書かれた内容はあまり重要ではなく、とにかく早い者勝ちで取るくらいの勢いでいいのかもしれない。よおし。次は勝つぞ。
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【夜ストン】真面目に集中してプレイしてみると、ワーカープレイスメントの面白さがあらためてよくわかる。これはカルカソンヌ同様2人戦でも面白いな。敵の動向(持ちリソース)を見て狙いを見極めたり、相手の必要資材をブロックできるあたりが非常に面白い。必要ならば自分のミープルを捨てコマにしても相手の取得を妨害できたりする。今やってるゲームでは数ターンずっと相手にレンガを渡さないようにプレイしている。彼にレンガを渡さなければ小屋カードを取れない状況を維持してるのだ。
カルカソンヌやチケライのような地形が重要なゲームだと、妨害は永続的でときにそのゲームでの致命傷となりうるので「どこまでやるか」というモラル的問題が生じるのだが、ワーカープレイスメントの場合妨害はちゃんとコストを払っての場所取りであり、そもそも1ラウンド限りのことなので(手番は巡るので次のターンは相手が有利になる)、やってもやられても嫌な気分にならない。妨害はそのタイミングをブロックするわけで、瞬間が過ぎ去れば流れていく。これはシステムとして WP の優れたところだ。
熟練者が文明カードでどんどんエンドボーナスを稼ぐところ(今回も相手が何点くらい取るのか見当がつかない)以外は、このようにビギナーでも存分に見通しとコントロールが効き楽しめる。これはグレンモアにも通ずるこのゲームの美点である。
ミープルが7個くらいになり畑を開墾して食料も足りてくると、1ラウンドで何箇所も抑えることができ、コンボで非常に大きく局面が動き気持ちがいい。「1木であのツール3が乗ったカードを取り、そのツール3で木を大量に生産して3金のカードを買い、そのカードに乗った石であの 15 点小屋カードを買う」といったコンボが見つかると本当に面白く、他のプレイヤーが気づきませんように取られませんようにと高揚するのである。こういう頭の使いかたは俺がボードゲームをやって最も喜びを感じるところで、簡単すぎず難しすぎず、まことにちょうどいいのだ。
アグリコラはこのやりくりが厳密を要しすぎ、やることすべてを紙に書いて計算したいくらいのシビアさだったのだが、SA はちょうど脳が気持ちいいあたりで計算量が足りるようになっている。見事である。
手勢が増えると、「サイコロでカードから金が取れる可能性がわずかにあるから、金が必要な小屋カードに張っておいてみるか」なんて博打も打てる。これはコマ1つが地球よりも重いアグリコラでは無理なことであり、この辺のゆるさもまた実に楽しい。
◇
敵のレンガを止め小屋を取りまくり健闘したものの、今日も 197 (bonus 90) x 265 (bonus 200) で負け、しかしゲーム後ボーナス点を計算してみてボーナスの取り方がわかってきた。今日の相手は人と畑を満額の 10 にし、そこに「畑おっさんカード数」「シャーマン数」をかけて計 110 点取り、それが最大の得点だった。俺は畑は十分に作っていたが、畑おっさんカードはゼロだった。これはもったいない。たとえば俺が畑おっさんを3個奪う(コストを払えばさほど難しくない)だけでも相手から 30 点 削り自分が 21 点得て、50 点詰められたわけである。なるほどねーそういうことか。そういうところに勝負どころがあるんだ。人と畑の開発は村の運営上も、こうしてゲームエンドボーナスの見地からも重要なんだ。よしわかった。明日はここに気を使い必ず勝つ。
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■12/11/16(金) □ ストーンエイジは大傑作でしたすいませんでした
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【ストン研究室続き】あれこれと用足しをしつつ「ストーンエイジ」を続行。ソロプレイ時は拡大再生産要素が薄いと思っていたのだが、拡大要素も十分にある。ただ作物で建物を買えばその機能でどーんと拡大加速する、プエルトリコ型の建築拡大ゲームではなかったのだ。
拡大は村での労働の積み重ねによる畑開墾と労働力増強、道具開発という形で実装されている。これはどれも時間がかかり競争も激しく難しいが、達成感は高い。食糧生産量が人材数と等しくなると狩りに行く必要がゼロになり、大量の人員をすべて得点作業に割り振ることができる。このときの解放感は他で知らない。よし食い物はこれで足りた。勝負に出るぞ。お主らは山へ石と金を取りに行け。わしは文明と小屋を抑える。ぬかるでないぞ。いい目を出せよ。
買い物でパーツを組み合わせ得点エンジンを組み上げるというのがプエルトリコ/グレンモア型の面白さで、ストーンエイジは労働力を割り振り他者を出し抜きいかに最大の効果を得るかというところに、違った面白さが詰まっているのである。そしてそのバランスは見事としか言いようがない。
プランを気づかれ邪魔されないよう祈り、早く手番がコイコイと胸踊らせる。計画を練り、人の裏をかき、リスクを取るというゲームの面白要素が見事に組み合わされている。秘密と陰謀とギャンブル、裏切り殺人と南フランスである。しかもそれが毎ラウンド続き最後までずっと味わえる。ゲーム中何度も自分の手に惚れ惚れする瞬間が訪れる。素晴らしい。これは傑作だな。大傑作だ。簡単なテストプレイでイマイチと判断していた俺の目は死んだ魚の目であった。前につまらないなどと書いてすいませんでした原始の神様。
◇
難点はゲームエンド・ボーナスが大きすぎ、しかもそれが他のゲームより見えにくいことで、初心者はボーナス点の取り方に慣れた熟練者と勝負にならない。ラウンド中に 10~20 点ずつ取っていく小屋カード争奪は誰でもすぐに効率的な方法を見い出し工夫して楽しめる明るい道筋なのだが、文明カードの最終集計でドカンと大差がつき初心者のゲームは暗転してしまう。俺もまだ1勝もしてないわけで。
これはボーナス種目が5つもあり、それぞれが「ツール数×斧おっさんカード数」「畑数×畑おっさんカード数」と係数を2つ持つゆえの難しさである。プエルトリコやグレンモアなら大物建物を1つ頑張って取り、あとはそのボーナスの係数となる畑数、建物数を増やす方向でプレイすれば十分にボーナスが取れるのだが、これは高得点のためには村の開発と文明カード収集の両立が必要なのだ。これは難度が高く、やり込んで上手くなる以外に点を向上させる方法はないだろう。
このように明確なる学習カーブを描いております。
ファミリーゲームとしてうちで購入するかを考えるとここがどうかなという感じではあるが、しかしポジティブなのはプレイするたびに上達している感覚が非常に強いところだ。今日も負けたが(笑)、これはおとといスタートしたゲームだから、序盤を打っていた俺と今の俺とではスキルが違う。次のゲームでは自分の文明カードを考えた戦略を最初から立てられる。明日は必ず勝つ。
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■12/11/17(土) □ ストン初勝利\(^-^)/
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朝イチでストーンエイジ初勝利! 242-225。終盤に 4 金をはたくギャンブルで文明カード 8 種 64 点を揃えたのがウィニングハンドだった。やっ・た\(^-^)/。ストーンエイジは傑作です。大傑作です。
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■12/11/08(木) □ YOLO なティーン
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萌の学校の戦没者追悼記念式典に行ってきた。毎年書いているが(変わり映えせずすいません)、"自由のため戦い犠牲になった" カナダ兵士に感謝を捧げるのはいいけれど、その何百倍もの市民も戦争により世界中で死んでいるわけで、そっちにより心を配ってもらえないかと思う。戦争がある国、あった国の悲しみは子供らに何も伝わっていない気がする。萌なんか「すごい厳粛なんだからお父さんも敬意を払ってよね!」って感じで、イベントとして張り切っちゃってるもんな。
しかし感極まった様相で「犠牲となった兵士たちに感謝しなければならないのです!」と叫ぶ子供らを見れば、これってカナダの愛国教育なんだろうな。他国を攻撃してるわけじゃなし罪はないとは思うが、愛国と戦争反対を両立した教育イベントにしてほしいものである。
金魚は1週間たち絶好調。ピンセットの先からミミズをついばむほど人にも慣れたし、水換えのストレスにもびくともせず、前回前々回の金魚たちよりずっと安定していけそうな気配である。
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萌に Owl City とかジャスティンビーバーを聞かされ気がついたのだが、米加のポップソングはパーティの歌が多い。パーティでグッドタイムを過ごすということが青春の重要な1テーマとなっているようだ。これは恋人との1対1の関係が至上のものとやたらと強調する日本のポップカルチャーと異なるところである。
どういう文脈でこれが言われるのかと解説してもらうと、人生は一度きりなんだから楽しまにゃ損ソンというセンスで使われるらしい。あ、なるほどね。
しかし「人生は一度きりなんだから楽しまにゃ損ソン」と日本語で言うとなんか、人生応援系演歌っぽいな :-)。
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■12/11/09(金) □ 朝ドラと創作者エゴ
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NHK 朝ドラ【純と愛】。解釈や批判を始めちゃうとめんどくさいので、楽しめるところだけ気軽に見ようと決めていたのだが、そうはさせてくれない番組である。『バカ兄が実はマリアを愛しており結婚式から逃げ、修羅場となり愛が純家族の本心を暴露する』という流れに至り、さすがに呆れて見るのをやめようか考え始めた。とにかく話がピーキー(強度エピソード山盛り)で雑でげんなりする。
遊川和彦というこの脚本家は「日本一ダメな2つの家族を描きたいんだ」的なことを言ってるらしいが、それがそんなにエポックメイキングで独創的なことだろうか。結果としてここでは単に、非現実的な魅力なき人々の面白くない問題がキンキンとノイズをたて繰り広げられている。なんでこんな馬鹿げたハナシ(脚本)なんだと俺はそればかり考えている。
「カーネーション」に出てくる人たちはみな糸子を通じて生き生きと実在していたのだが、このドラマの人物は造形された戯画で、役者がどう演じても脚本家の手から逃れられない。純の過剰な演技にかぶさり、「仕事の流儀」でつばを飛ばし怒鳴っていたあの顔が浮かんでくる。この番組で視聴者はドラマでも役者の演技でもなく、遊川和彦という人の創作エゴを見せつけられているように思う。
ツイッターでの(好意的な人々の)解釈によれば、「人は弱く愚かなものだ」という傾きが彼の創作物にはあるらしいが、遊川和彦的に弱く愚かな人は俺は知らんし、そういう人と知り合ってその弱さを味噌汁に入れごはんにかけて食いたいなんて思わない。なのにそういうものばかり食卓にずらりと並べられるからうんざりするのだ。こんなもの注文してないですよと。
「既存の朝ドラをぶち壊すという気概」なんだろうとも解釈されているが、だとしたらつまらんことだぜ。「カーネーション」は何も破壊することなく、朝ドラ以外では見られないような宝物を見せてくれたぜ。
だいたい俺はこれが朝ドラだから腹を立てているのだ。これが週一ドラマだったら俺はただ見ないだけで、文句は言わんのだよ(※)。朝ドラには毎日話の続きが見られるというどうしようもない魅力がある。「カーネーション」はそれを存分に生かし楽しませて俺の生活を幸福にしてくれたし、「おひさま」「梅ちゃん」といった凡作ですら序盤は見続けてしまった。この連続朝ドラという場所は特別な場所なのだ。そういう場所で専横的なエゴを揮うのは行儀が悪すぎるだろう。他でやってくださいよ。
(※)実際 TV Japan でやった「家政婦のミタ」は見なかったし、今秋の「ATARU」「鍵のかかった部屋」「相棒」は見てないが、そのことにどうこう言うつもりはない。―――しかし映画も毎週「踊る大捜査線」をやってるし、日系視聴者はそんなに刑事ものが好きなのか? もっと子供が見るような青春コメディをやってくれんかと要望だけは送ろう。
まったくこれは腹が立つ。腹が立つと健康に悪い。俺は落ち込むことがあると寅さんを見るんだけど、これには逆の効果がある。今夜は寅さんを見て寝よう。
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■12/11/11(日) □ カルカソンヌは偉大だ
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Yucata でゲームを覚えようシリーズ、続いて「ハワイ」「マオリ」「ヴァイキング」とやってみる。こうしていろいろやってみると、やはりカルカソンヌというのは飛び抜けて優れたゲームメカニクスだと思う。四角いタイルに3種の地形を持たせるだけでこれほどのゲームができるとは、作者も作り始めてから自分で驚いたことだろう。
俺はやがてゲーム内で生産や拡大といった複雑なことをしたくなりカルカソンヌからは離れてしまったが、それでもこれまでに体験したボードゲームでカルカソンヌの仕組みが一番すごいと今でも思う。うまい人とオンラインで勝負をすれば間違いなく面白いゲームになる。各種拡張やカルカソンヌ2によって、オリジナルとは違った戦略をやれるのも素晴らしい。
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■12/11/13(火) □ ストーンエイジに開眼
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オンライン Yucata ボードゲーム習得シリーズ、昨日から大物「ストーンエイジ」にトライ中。原始の村でサイコロを振り木や石を集め村を栄えさせるというベストセラーである。これはルールを習うために1人2役でテストプレイを何度もやり、「リソースを取るまでは楽しいが、カードを買っても拡大要素が薄く好みではない」と思っていたのだが、対人となると「あの高得点カードがほしい、急いで資材を揃えねば」と熱い競争心がやはり芽生える。すると敵より先にカードや山の採掘所にコマを置きたくて、手番を待ち焦がれゾクゾクする。そうかこれがワーカープレイスメントの楽しみか。
①自分がほしいカード
②そのために必要な資源
③それがどこにあるか
この選択肢3要素がクリアーかつメイクセンスな(道理に合っている)ので、思考がサクサク進み場所取りに燃えられるのだ。
同じくワーカープレイスメント(WP、先にコマを置いた人だけがその場所の利益を得られるというルールで構成されたゲーム)の「Lord of Waterdeep」では、①自分の達成すべきカードが複数あるため②いま必要な資源が曖昧で(敵が狙う資源も不明)、③そのリソースは単なる色なのでどこにあるかに必然性がなく、この場所取りが一向に盛り上がらなかった。今思い返しても「今は白が必要で......白はどの城にあるんだっけ」という黙々とした静かなゲーム風景しか思い出せない。
WP の最高峰アグリコラは、①を常時何十もの選択肢から悩んで選び(畑や木土石金がそれぞれ微妙に違う3種類ずつあるような感じ)、それを「いつ」取るべきかという選択肢まで加わることで計算量が莫大になっている。BGG の SA ファンによるとアグリコラは、「経済学を専攻した奴らとマゾヒストがやるゲーム」だそうです(笑)。
こうして対人でやってやっとわかったが、即時点を取る左下の建物(小屋)カード部分は急げや負けるなのカード争奪戦で、たとえば「チケットトゥライド」の路線争奪に似ている。狙っていた高得点カードをターン順のあやで取られたときはがっくりくるし、代わりにいいカードを取ればうれしい。チケライはゲーム性としてはこの単層しかなく(しかもこの路線争奪エキサイトもまれにしか起きないので)やがて飽きが来るのは否めないが、SA はこの部分を WP とサイコロで熱く複雑化しふくらませているわけである。
夜熟練者との 2P 戦となる。その場その場で工夫して高得点の小屋カードを取る俺のベーシックな戦法でも途中ポイントはサクサクと気持ちよく取れたのだが、相手が文明カードの終了ボーナスで 200 点も取り 150-350 みたいなすごい点差になってしまった。うわー。初心者と熟練者でこれほど差がつくというのは、あまり好ましい傾向ではない。覚えなきゃ勝負にならない細かな得点要素が文明カード方面に多数あるらしい。ちょっと勉強してみます。しかしこれは面白いわ。久々にボードゲームでゾクゾクしている。
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■12/11/15(木) □ SA 戦術研究
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昨日大敗した相手の熟練者の解説によると、大差がついたのは俺が文明カードを取らないから彼が全部取ったゆえだという。そこで文明カードのボーナス点というのを調べてみたら、カード下に書かれたマーク×村の人数みたいな感じで
●1 文明シンボル:種類の2乗
●2 畑おっさん数×畑開墾値
●3 斧おっさん数×道具の合計値
●4 小屋おっさん数×小屋カード数
●5 シャーマン数×住民数
と5種類もボーナスがあった。昨日の人はこれを全部揃えたのだろう。気をつけていれば俺も文明カードを十分に取りもうちょっと差を詰められるかもしれない。文明カードのコストは小屋カードより安いんだもんな。実際安いんだからカードに書かれた内容はあまり重要ではなく、とにかく早い者勝ちで取るくらいの勢いでいいのかもしれない。よおし。次は勝つぞ。
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【夜ストン】真面目に集中してプレイしてみると、ワーカープレイスメントの面白さがあらためてよくわかる。これはカルカソンヌ同様2人戦でも面白いな。敵の動向(持ちリソース)を見て狙いを見極めたり、相手の必要資材をブロックできるあたりが非常に面白い。必要ならば自分のミープルを捨てコマにしても相手の取得を妨害できたりする。今やってるゲームでは数ターンずっと相手にレンガを渡さないようにプレイしている。彼にレンガを渡さなければ小屋カードを取れない状況を維持してるのだ。
カルカソンヌやチケライのような地形が重要なゲームだと、妨害は永続的でときにそのゲームでの致命傷となりうるので「どこまでやるか」というモラル的問題が生じるのだが、ワーカープレイスメントの場合妨害はちゃんとコストを払っての場所取りであり、そもそも1ラウンド限りのことなので(手番は巡るので次のターンは相手が有利になる)、やってもやられても嫌な気分にならない。妨害はそのタイミングをブロックするわけで、瞬間が過ぎ去れば流れていく。これはシステムとして WP の優れたところだ。
熟練者が文明カードでどんどんエンドボーナスを稼ぐところ(今回も相手が何点くらい取るのか見当がつかない)以外は、このようにビギナーでも存分に見通しとコントロールが効き楽しめる。これはグレンモアにも通ずるこのゲームの美点である。
ミープルが7個くらいになり畑を開墾して食料も足りてくると、1ラウンドで何箇所も抑えることができ、コンボで非常に大きく局面が動き気持ちがいい。「1木であのツール3が乗ったカードを取り、そのツール3で木を大量に生産して3金のカードを買い、そのカードに乗った石であの 15 点小屋カードを買う」といったコンボが見つかると本当に面白く、他のプレイヤーが気づきませんように取られませんようにと高揚するのである。こういう頭の使いかたは俺がボードゲームをやって最も喜びを感じるところで、簡単すぎず難しすぎず、まことにちょうどいいのだ。
アグリコラはこのやりくりが厳密を要しすぎ、やることすべてを紙に書いて計算したいくらいのシビアさだったのだが、SA はちょうど脳が気持ちいいあたりで計算量が足りるようになっている。見事である。
手勢が増えると、「サイコロでカードから金が取れる可能性がわずかにあるから、金が必要な小屋カードに張っておいてみるか」なんて博打も打てる。これはコマ1つが地球よりも重いアグリコラでは無理なことであり、この辺のゆるさもまた実に楽しい。
◇
敵のレンガを止め小屋を取りまくり健闘したものの、今日も 197 (bonus 90) x 265 (bonus 200) で負け、しかしゲーム後ボーナス点を計算してみてボーナスの取り方がわかってきた。今日の相手は人と畑を満額の 10 にし、そこに「畑おっさんカード数」「シャーマン数」をかけて計 110 点取り、それが最大の得点だった。俺は畑は十分に作っていたが、畑おっさんカードはゼロだった。これはもったいない。たとえば俺が畑おっさんを3個奪う(コストを払えばさほど難しくない)だけでも相手から 30 点 削り自分が 21 点得て、50 点詰められたわけである。なるほどねーそういうことか。そういうところに勝負どころがあるんだ。人と畑の開発は村の運営上も、こうしてゲームエンドボーナスの見地からも重要なんだ。よしわかった。明日はここに気を使い必ず勝つ。
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■12/11/16(金) □ ストーンエイジは大傑作でしたすいませんでした
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【ストン研究室続き】あれこれと用足しをしつつ「ストーンエイジ」を続行。ソロプレイ時は拡大再生産要素が薄いと思っていたのだが、拡大要素も十分にある。ただ作物で建物を買えばその機能でどーんと拡大加速する、プエルトリコ型の建築拡大ゲームではなかったのだ。
拡大は村での労働の積み重ねによる畑開墾と労働力増強、道具開発という形で実装されている。これはどれも時間がかかり競争も激しく難しいが、達成感は高い。食糧生産量が人材数と等しくなると狩りに行く必要がゼロになり、大量の人員をすべて得点作業に割り振ることができる。このときの解放感は他で知らない。よし食い物はこれで足りた。勝負に出るぞ。お主らは山へ石と金を取りに行け。わしは文明と小屋を抑える。ぬかるでないぞ。いい目を出せよ。
買い物でパーツを組み合わせ得点エンジンを組み上げるというのがプエルトリコ/グレンモア型の面白さで、ストーンエイジは労働力を割り振り他者を出し抜きいかに最大の効果を得るかというところに、違った面白さが詰まっているのである。そしてそのバランスは見事としか言いようがない。
プランを気づかれ邪魔されないよう祈り、早く手番がコイコイと胸踊らせる。計画を練り、人の裏をかき、リスクを取るというゲームの面白要素が見事に組み合わされている。秘密と陰謀とギャンブル、裏切り殺人と南フランスである。しかもそれが毎ラウンド続き最後までずっと味わえる。ゲーム中何度も自分の手に惚れ惚れする瞬間が訪れる。素晴らしい。これは傑作だな。大傑作だ。簡単なテストプレイでイマイチと判断していた俺の目は死んだ魚の目であった。前につまらないなどと書いてすいませんでした原始の神様。
◇
難点はゲームエンド・ボーナスが大きすぎ、しかもそれが他のゲームより見えにくいことで、初心者はボーナス点の取り方に慣れた熟練者と勝負にならない。ラウンド中に 10~20 点ずつ取っていく小屋カード争奪は誰でもすぐに効率的な方法を見い出し工夫して楽しめる明るい道筋なのだが、文明カードの最終集計でドカンと大差がつき初心者のゲームは暗転してしまう。俺もまだ1勝もしてないわけで。
これはボーナス種目が5つもあり、それぞれが「ツール数×斧おっさんカード数」「畑数×畑おっさんカード数」と係数を2つ持つゆえの難しさである。プエルトリコやグレンモアなら大物建物を1つ頑張って取り、あとはそのボーナスの係数となる畑数、建物数を増やす方向でプレイすれば十分にボーナスが取れるのだが、これは高得点のためには村の開発と文明カード収集の両立が必要なのだ。これは難度が高く、やり込んで上手くなる以外に点を向上させる方法はないだろう。
このように明確なる学習カーブを描いております。
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■12/11/17(土) □ ストン初勝利\(^-^)/
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朝イチでストーンエイジ初勝利! 242-225。終盤に 4 金をはたくギャンブルで文明カード 8 種 64 点を揃えたのがウィニングハンドだった。やっ・た\(^-^)/。ストーンエイジは傑作です。大傑作です。
2012/11/17
日記「カルカソンヌ2は名作だった」
「2年半ぶりの金魚」「ボードゲーム好きといえども」
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■12/11/01(木) □ 2年半ぶりの金魚
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BRのお医者待ちの時間つぶしにペットショップに寄ると、金魚が目に入った。うちのイモリ水槽でまた金魚を飼いたいなあと思い始める。最近イモリたちは健康でまるまる太り幸せそうだが、そうなると刺激がなくてあまり活動してくれんのである。
うちのイモリ水槽で金魚は前に試し死なせてしまい、繁殖に成功したアカヒレたちまでも絶滅させてしまったのだが、それは水に入れていたフロアタイルから溶剤が溶け出したせいだと今ではほぼ確信している。今なら普通に水質を保持して育てられると思うのである。
学校帰りに萌に話してみると乗ってきたので、小赤を5匹買ってきた。1年ぶりの魚、2年半ぶりの金魚だ。すぐにコケをついばみ始める。金魚はやっぱかわいい。そしてイモリたちが新入りにすごく興奮している。ここんとこずっと水上にいたのに、水に潜りじっと見つめている。食べようとしてるわけじゃなく、なんだなんだお前たちはと好奇心を持ち見に来てる感じ。かわいい。これで死なせずに育てられたら、手間が増すわけでもないし水槽を保持していて金魚を飼わない理由はないなと思うかわいさだわ。
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今日萌がカンナムスタイルに触発され K-Pop を聴いていたので心配し(「くだらないなと思って笑ってるだけ」と言うが)、俺が最近最もかっこいいと思った Jpop である「リーガル・ハイ」の歌(女神のキス)を聴かせたのだが、いい反応はなかった。萌が聞いてるアメリカンポップスにはない美しいコードと意外なメロディなのだが、そういうところには北米ティーンの感受性はまったく発動しないらしい。
「まあカンナムスタイルはいいけどさ、他の K-Pop なんてみんな AKB とかと同じ CD 会社がオーディションで作ったアイドルでしょ。日本は 50 年前からフォークとロックがあるけど、コリアのロックバンドなんて聞いたことがないよ」―――だから日本のロックはえらい、ロックを聴きなされと俺の見解を述べたのだが、馬の耳に念仏状態。やれやれ。
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■12/11/02(金) □ カルカソンヌ2は名作だった
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金魚は全員元気。初めてエサを少量与えるとアカヒレのようには食いつかないが、しばらくすると食べ始めた。育ちすぎないよう少しずつ食べさせていこう。この金魚たちは前回の奴らに比べると、ウィンドウ前面餌くれくれダンスを全然しない。水槽内のコケついばみだけで相当に満足してる感じ。
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この頃オンラインボードゲームサイト Yucata.de にはまっている。最初にやった「アルカディアの建設」は面白かったが、10 戦ほどやってこれは俺は全然うまくならないなとわかってきた。常人に良手悪手が見えず、プレイしていてうまくなる感覚が得られないゲームは、メカニクス的になにかが足りないのだろう。アブストラクトなゲームはキタ! 王手! みたいな決め手がないと、面白どころが薄いかなという感じ。最初は碁のようなプレイ感と感じたのだが、どう打っても決め手に欠けるあたりは5目並べっぽくもある。
◇
で最近やってるのが「カルカソンヌ2・原始の営み」。これはリアルで友人が所有してるので何度もプレイしそこそこだと思っていたのだが、オンラインで強い相手とやってみて改めて見直している。これは元版とは違った面白さがしっかりとあるわ。
同作者の元祖カルカソンヌでの華であるミープル多人数を送り込んでの敵陣(森=元カルの都市に相当)乗っ取りは、このバージョンでは悪手となっている。乗っ取りをかけ大きくなった森を閉じるのに必要な3面・4面森タイルが元カルより少ないので、巨大森を作るとなかなかクローズできず、多くの自ミープルがそこで完成を待ち多大な時間を無為に過ごす羽目となる(※)。このバージョンのミープルはたった5個(元は7個)しかないので、2個が足止めを食らうと痛い。このため敵陣への攻撃は1個のみで相乗りして得点をイーブンにする、つまり敵の単独得点機会を削るのみという地味なアタックとなる。
このように森での攻防は元カルよりも淡白で盛り上がらないわけで、それが以前プレイした時の主な感想だったのだが、熟練者と何度も戦ってこれは森ではなく川の魚と草原の動物を育てるゲームなんだなとわかってきた。森では差がつかない。魚と象鹿で差がつくのである。自分の川と草原に獲物を増やしていき、そこを独占するために敵が入れないよう閉じていく。これが元版とはひと味ちがうパズルとなっており非常に楽しい。
↑これは 14 匹 14 点の魚を湛えた水系(つながった河湖)に赤が小屋を建て、端を閉鎖中の図。右上と左下から他のプレイヤーが入れないよういかに閉じていくかが考えどころ。水系所有に使える川小屋は2個しかないので、いつどこに使うかも決断どころ。
ミープルはわずか5個なので、草原の攻防も元版ほど豪勢にミープルを投入はできない。最少の1個の投資できっちり草原を取れるよう考えて地形をデザインし、侵入を許した場合はさらにミープルを追加するか、他の草原を探すかまた悩みどころとなる。元版だと勝負がかかった大草原には3~4個もミープルが置かれることがあり、そこでの勝敗がゲームを決めることが多々あったのだが、そういう争いはまず起こらない。つまり1つの大きな森や草原の攻防で勝負が決まることがなく、森と川と草原のあらゆるところからチマチマと点を絞り出すアイデアと技を競う、渋好みでスピーディなカルカソンヌとなってるわけである。
かように戦略が他の版とは違い面白い。いやーオンライン戦で見直したわ。カル2を買った時に店のおっちゃんが「これが実はベストなカルカソンヌだ」と言っていたが、拡張1・2入りの元カルカソンヌを BSW で 500 回はやり込んだ俺でも楽しめる新鮮さがあるのは間違いない。
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■12/11/04(日) □ ボードゲーム好きといえども
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昨夜から姪SFがうちに逗留。朝一で「あやつり人形」を紹介する。ゲーマーであるSFは前にこれをゲーム会でやったことがあるそうで飲み込みが早く、ゲーマーらしく初期に建てた安い建物を自分で壊し大型建物に変えるなどといった小技も駆使して初戦勝利。
2戦目は拡張建物を全部入れてやってみたのだが、例の「ありがとうございます閣下」と言わないと手番を失うというムスカのお笑いカード「舞踏場」をネタとして建ててみると、萌もSFもまんまとこれに引っかかり手番を失ってしまう。そしてこういううっかりミスで罰を受けると屈辱的で、若年の2人はそこからカリカリイラっとなり、俺が「ありがとうございます殿下 (Your Highness)」というと「いま閣下 (Your Excellency) と言わなかった!」と揚げ足取りに躍起になり、アツくなってしまい大変だった。
これはいかんと以後俺は王を取らぬ波風回避行動でプレイしたのだが、こういう暗殺が増えちゃうようなカードは危険だな。抜いておこう。もし入れるなら罰としては2金収入がなしくらいのほうがいいだろうな。
しかしやっぱりこのゲームは面白い。始まりはややシーンと静かだけれど、手番がすぐ回ってくる3人戦ならば十分に早く場が暖まるのである。2戦目は萌が魔術師の手札強奪を生かし勝利となった。
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午後からMKとその友人が当家に集まり、うちでゲーム会となった。MKが持ってきたのが「ユグドラシル」という協力ゲーム。何をするのか分からない感満載の抽象画のようなボードを見ただけで萌は退散し、俺も説明を聞いた時点でこれは俺が楽しめない「パンデミック」のバリエーションでめんどくさいと即思ったのだが抜けるわけにもいかず、後から来たBRに代わってもらうまで1時間ほど付き合った。
これはパンデミックと同じメーカーの同系ゲーム、つまり問題対策ドリルゲームなのだが、パンデミックは爆発的感染を防ぐために各都市に飛ぶという目的と手段が誰でも見ればわかるのに対し、これは見てわかるのは敵が迫ってきて、それをサイコロで押し戻すという最もプリミティブな(そして特に面白くもない)核心部分だけで、その他の「○○神の加護を得る」という名目でなされる『袋からチップを取る』『各所のゲージを進める』『カードを取る』というすべての手番選択肢が、ゲームをドライブするための人工的創作ルールで、ボード上に見える根拠がないのだ。根拠がないことは覚えられないので、その都度聞かないと行えないのである。
たとえば右上にあるゲージを最大まで上げると起死回生の神が降臨し全モンスターを2コマ押し戻すみたいなイベントがあったが、そうした無からゲームを作ろうとするご都合ルールはゲームメカニクスと呼ぶに値しないだろう。あとで検索してみるとこのゲームは「もぐら叩き」と評されていたが、その通りである。それはまあ「パンデミック」も同じだと俺は思うが。
新しく面白いメカニクスやアイデアを思いつき、その周りを固めてゲーム化するというのが理想のボードゲームの生まれ方だと思うが、これは北欧神話でゲームを作ろうと決め、特に新規アイデアも出ずソリッドなパンデミックでいこうとなったのだろうな。
その他のゲームもどれも聞いたことのないもので絵柄や雰囲気がアメリカンでやる気が起こらず、俺は見学と飲み物サポートに徹していた。MKは「グレンモア」や「あやつり人形」はそんなに熱中してないようだし他のドイツゲームもあまり知らんし、同じボードゲーム好きといえどもすり合わせが難しいなあと思う。
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■12/11/01(木) □ 2年半ぶりの金魚
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BRのお医者待ちの時間つぶしにペットショップに寄ると、金魚が目に入った。うちのイモリ水槽でまた金魚を飼いたいなあと思い始める。最近イモリたちは健康でまるまる太り幸せそうだが、そうなると刺激がなくてあまり活動してくれんのである。
うちのイモリ水槽で金魚は前に試し死なせてしまい、繁殖に成功したアカヒレたちまでも絶滅させてしまったのだが、それは水に入れていたフロアタイルから溶剤が溶け出したせいだと今ではほぼ確信している。今なら普通に水質を保持して育てられると思うのである。
学校帰りに萌に話してみると乗ってきたので、小赤を5匹買ってきた。1年ぶりの魚、2年半ぶりの金魚だ。すぐにコケをついばみ始める。金魚はやっぱかわいい。そしてイモリたちが新入りにすごく興奮している。ここんとこずっと水上にいたのに、水に潜りじっと見つめている。食べようとしてるわけじゃなく、なんだなんだお前たちはと好奇心を持ち見に来てる感じ。かわいい。これで死なせずに育てられたら、手間が増すわけでもないし水槽を保持していて金魚を飼わない理由はないなと思うかわいさだわ。
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今日萌がカンナムスタイルに触発され K-Pop を聴いていたので心配し(「くだらないなと思って笑ってるだけ」と言うが)、俺が最近最もかっこいいと思った Jpop である「リーガル・ハイ」の歌(女神のキス)を聴かせたのだが、いい反応はなかった。萌が聞いてるアメリカンポップスにはない美しいコードと意外なメロディなのだが、そういうところには北米ティーンの感受性はまったく発動しないらしい。
「まあカンナムスタイルはいいけどさ、他の K-Pop なんてみんな AKB とかと同じ CD 会社がオーディションで作ったアイドルでしょ。日本は 50 年前からフォークとロックがあるけど、コリアのロックバンドなんて聞いたことがないよ」―――だから日本のロックはえらい、ロックを聴きなされと俺の見解を述べたのだが、馬の耳に念仏状態。やれやれ。
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■12/11/02(金) □ カルカソンヌ2は名作だった
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金魚は全員元気。初めてエサを少量与えるとアカヒレのようには食いつかないが、しばらくすると食べ始めた。育ちすぎないよう少しずつ食べさせていこう。この金魚たちは前回の奴らに比べると、ウィンドウ前面餌くれくれダンスを全然しない。水槽内のコケついばみだけで相当に満足してる感じ。
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この頃オンラインボードゲームサイト Yucata.de にはまっている。最初にやった「アルカディアの建設」は面白かったが、10 戦ほどやってこれは俺は全然うまくならないなとわかってきた。常人に良手悪手が見えず、プレイしていてうまくなる感覚が得られないゲームは、メカニクス的になにかが足りないのだろう。アブストラクトなゲームはキタ! 王手! みたいな決め手がないと、面白どころが薄いかなという感じ。最初は碁のようなプレイ感と感じたのだが、どう打っても決め手に欠けるあたりは5目並べっぽくもある。
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で最近やってるのが「カルカソンヌ2・原始の営み」。これはリアルで友人が所有してるので何度もプレイしそこそこだと思っていたのだが、オンラインで強い相手とやってみて改めて見直している。これは元版とは違った面白さがしっかりとあるわ。
同作者の元祖カルカソンヌでの華であるミープル多人数を送り込んでの敵陣(森=元カルの都市に相当)乗っ取りは、このバージョンでは悪手となっている。乗っ取りをかけ大きくなった森を閉じるのに必要な3面・4面森タイルが元カルより少ないので、巨大森を作るとなかなかクローズできず、多くの自ミープルがそこで完成を待ち多大な時間を無為に過ごす羽目となる(※)。このバージョンのミープルはたった5個(元は7個)しかないので、2個が足止めを食らうと痛い。このため敵陣への攻撃は1個のみで相乗りして得点をイーブンにする、つまり敵の単独得点機会を削るのみという地味なアタックとなる。
(※)この版は森を完成するとボーナスタイルが引けるという特典もあり、森の完成遅延は不利が大きい。だから相手の森を(破壊ではなく)広げてやり完成を遅らせるのも妨害となりうる。大きな森もやがては完成し敵の得点となるわけだが、その間ミープル不足で得点機会を削ることができるのだ。
このように森での攻防は元カルよりも淡白で盛り上がらないわけで、それが以前プレイした時の主な感想だったのだが、熟練者と何度も戦ってこれは森ではなく川の魚と草原の動物を育てるゲームなんだなとわかってきた。森では差がつかない。魚と象鹿で差がつくのである。自分の川と草原に獲物を増やしていき、そこを独占するために敵が入れないよう閉じていく。これが元版とはひと味ちがうパズルとなっており非常に楽しい。
↑これは 14 匹 14 点の魚を湛えた水系(つながった河湖)に赤が小屋を建て、端を閉鎖中の図。右上と左下から他のプレイヤーが入れないよういかに閉じていくかが考えどころ。水系所有に使える川小屋は2個しかないので、いつどこに使うかも決断どころ。
ミープルはわずか5個なので、草原の攻防も元版ほど豪勢にミープルを投入はできない。最少の1個の投資できっちり草原を取れるよう考えて地形をデザインし、侵入を許した場合はさらにミープルを追加するか、他の草原を探すかまた悩みどころとなる。元版だと勝負がかかった大草原には3~4個もミープルが置かれることがあり、そこでの勝敗がゲームを決めることが多々あったのだが、そういう争いはまず起こらない。つまり1つの大きな森や草原の攻防で勝負が決まることがなく、森と川と草原のあらゆるところからチマチマと点を絞り出すアイデアと技を競う、渋好みでスピーディなカルカソンヌとなってるわけである。
かように戦略が他の版とは違い面白い。いやーオンライン戦で見直したわ。カル2を買った時に店のおっちゃんが「これが実はベストなカルカソンヌだ」と言っていたが、拡張1・2入りの元カルカソンヌを BSW で 500 回はやり込んだ俺でも楽しめる新鮮さがあるのは間違いない。
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■12/11/04(日) □ ボードゲーム好きといえども
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昨夜から姪SFがうちに逗留。朝一で「あやつり人形」を紹介する。ゲーマーであるSFは前にこれをゲーム会でやったことがあるそうで飲み込みが早く、ゲーマーらしく初期に建てた安い建物を自分で壊し大型建物に変えるなどといった小技も駆使して初戦勝利。
2戦目は拡張建物を全部入れてやってみたのだが、例の「ありがとうございます閣下」と言わないと手番を失うというムスカのお笑いカード「舞踏場」をネタとして建ててみると、萌もSFもまんまとこれに引っかかり手番を失ってしまう。そしてこういううっかりミスで罰を受けると屈辱的で、若年の2人はそこからカリカリイラっとなり、俺が「ありがとうございます殿下 (Your Highness)」というと「いま閣下 (Your Excellency) と言わなかった!」と揚げ足取りに躍起になり、アツくなってしまい大変だった。
これはいかんと以後俺は王を取らぬ波風回避行動でプレイしたのだが、こういう暗殺が増えちゃうようなカードは危険だな。抜いておこう。もし入れるなら罰としては2金収入がなしくらいのほうがいいだろうな。
しかしやっぱりこのゲームは面白い。始まりはややシーンと静かだけれど、手番がすぐ回ってくる3人戦ならば十分に早く場が暖まるのである。2戦目は萌が魔術師の手札強奪を生かし勝利となった。
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午後からMKとその友人が当家に集まり、うちでゲーム会となった。MKが持ってきたのが「ユグドラシル」という協力ゲーム。何をするのか分からない感満載の抽象画のようなボードを見ただけで萌は退散し、俺も説明を聞いた時点でこれは俺が楽しめない「パンデミック」のバリエーションでめんどくさいと即思ったのだが抜けるわけにもいかず、後から来たBRに代わってもらうまで1時間ほど付き合った。
これはパンデミックと同じメーカーの同系ゲーム、つまり問題対策ドリルゲームなのだが、パンデミックは爆発的感染を防ぐために各都市に飛ぶという目的と手段が誰でも見ればわかるのに対し、これは見てわかるのは敵が迫ってきて、それをサイコロで押し戻すという最もプリミティブな(そして特に面白くもない)核心部分だけで、その他の「○○神の加護を得る」という名目でなされる『袋からチップを取る』『各所のゲージを進める』『カードを取る』というすべての手番選択肢が、ゲームをドライブするための人工的創作ルールで、ボード上に見える根拠がないのだ。根拠がないことは覚えられないので、その都度聞かないと行えないのである。
たとえば右上にあるゲージを最大まで上げると起死回生の神が降臨し全モンスターを2コマ押し戻すみたいなイベントがあったが、そうした無からゲームを作ろうとするご都合ルールはゲームメカニクスと呼ぶに値しないだろう。あとで検索してみるとこのゲームは「もぐら叩き」と評されていたが、その通りである。それはまあ「パンデミック」も同じだと俺は思うが。
新しく面白いメカニクスやアイデアを思いつき、その周りを固めてゲーム化するというのが理想のボードゲームの生まれ方だと思うが、これは北欧神話でゲームを作ろうと決め、特に新規アイデアも出ずソリッドなパンデミックでいこうとなったのだろうな。
その他のゲームもどれも聞いたことのないもので絵柄や雰囲気がアメリカンでやる気が起こらず、俺は見学と飲み物サポートに徹していた。MKは「グレンモア」や「あやつり人形」はそんなに熱中してないようだし他のドイツゲームもあまり知らんし、同じボードゲーム好きといえどもすり合わせが難しいなあと思う。
2012/11/02
日記「無邪気なアイデンティティ」
「ハロウィーン間近だが」「北斎で日本語学習」「日本語ボイスと英語ボイス」「やはり楽しいハロウィーン」
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■12/10/19(金) □ ハロウィーン間近だが
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昨夜友達がうちにスリープオーバーし、今日は疲れてややダウナーな萌と過ごす。友達を家まで送った後買い物をしにいくと、プラントショップのビニールハウスでハロウィーン祭りをやっていた。こんなの前はなかったな。素晴らしい。しかしパンプキンづくしオレンジづくしの可愛らしい飾りつけを見て俺がうわあと言ってるのに、萌はふーんという顔で眺めている。
ハロウィーンはティーンになったら終わりというのが相場だそうで、つまり 12 歳の今年が萌の最後のハロウィーンになるらしい。数年前からもう親は送迎するだけの行事で、準備を手伝うこともそんなにないし子供の頃ほど無邪気に盛り上がってもいなかったが、それにしてもこの萌の反応のなさは物寂しい。
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■12/10/20(土) □ 北斎で日本語学習
=======================
今日は近所日本語キッズ勉強会がキャンセルされたので、萌とマンツーマンで日本語ワーク。せっかく2人きりなので趣向を変えようと、前に録ってあったイッセー尾形が北斎を演じる「歴史秘話・葛飾北斎」を萌に見せた。信州小布施の北斎美術館には何度も行ってるので、うちはみんな北斎が好きなのだ。家は北斎のポスターだらけなのだ。
番組を見ながら、「北斎の実物はほとんど海外にある」「世界の重要人物として尊敬されている」といったフレーズを拾いノートに書かせる。北斎がいかにあちこちから着想と技術を得て自分の画風を確立していったかという話は面白いし、演じてるイッセー尾形の芝居がまたうまくて説得力があり、萌も楽しかった様子。日本語に限らず親子でマンツーマンでなにかを教えるとケンカになりがちなんだが、いつもとまったく違う内容にしたのが正解で生産的な気持ちになりいい勉強だった。
◇
日本語学習を自宅勉強会に切り替えて1月以上やってみているけれど、このフレキシブルさがやはりいい。「いつまでにこれだけやる」という期限を設ける必要もないフリースタイル学習なので(今年 12 月の検定は現実的ではないので目指していない)、語彙は覚えるまで何度でも戻っておさらいしている。子供は言葉の音はすぐに覚え、「鎌倉は都内から1時間で、海に面している。鎌倉幕府があった」とコンテキストを与えれば記憶定着率も高い。『幕府は? 面しているは?」と問えば正解が返ってくる。
しかしその漢字の読みを覚えるのはやはりそう簡単には行かず、書き取りドリル以外の方法がまだ見つからない。英単語なら音とスペルはほぼ一致するので音と同時に覚えられるのだが。小1から中1までずっとやって、週一では何の成果も生まなかった日本式漢字書き取り/単語カード法はやらせたくないので、最小の努力で読みをある程度覚える方法はないかとずっと考えている。
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■12/10/25(木) □ 無邪気なアイデンティティ
=======================
担任との懇談に行く。毎日学校の帰りに萌に今日は何かあったかと問うと顔で「別に……」と答え会話が終わるので、夏休み前の不機嫌なティーンに戻ってしまったな、学校でもあまり楽しくないんじゃないかと思っていたのだが、授業中はうるさくて常時叱られるほど盛り上がってるのだそうだ。担任いわく去年よりずっと友達が増えハッピーで、自分に自信を持てていると。あれま。ほんとですか。日本での子供っぽい自分と、カナダでのアンチ子供っぽい友達との間で居場所に迷ってるのかなとずっと思っていたのだが、そうではないらしい。
一緒に行ったMは、逆に「日本で自然に子供らしくしてたおかげで無邪気でハッピーな自分というアイデンティティが確立でき、周りに合わせ大人ぶらずとも平気になったのだろう。それで自分に自信が持てているのだ」と分析する。萌と話してそう感じたらしい。そうだったんですか。
萌は俺とはそんな話は一切してくれんとMに言うと、あたしだって普通に会話してたらこんな深い話にはならない、萌が面倒がっても話をやめず質問攻めにしていくからこういう話も出るのだという。なるほど。俺はそのへんのスキルはないからなあ。
ともあれ、萌が学校でハッピーだと聞いてうれしいよ、先生たちは萌のことを明らかに好きだねと帰って萌に話す。そのハピネスの一因に、夏のあの日本旅行が関わっているというのは、とてもうれしいことである。
カナダの中学生は大笑いなことを「LOL(ロル!)」とすんげえイラつく発声でいい、こうして指で(バナナじゃなくて指だそうです)LOL とサインを出す。そんな調子でキャッキャと授業中も騒いでいるんだろう。
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■12/10/30(火) □ 日本語ボイスと英語ボイス
=======================
最近Lさんと一緒にいることが多いのだが、彼女は英語と日本語を喋るときに声質が変わらないなと気がついた。つまり日本の 12 歳の子のように高く小さな声で、喋る内容は日本の同年齢よりしっかりめのカナダのティーンエイジャーなのだ。ちょっと日本アニメの英語版吹き替えボイスっぽくてナイスな感じ。
萌は日本語では力まないやわらかい声を出すのに、英語では低く張った無駄に我の強いトーンになる。Mが見るところの「無邪気でハッピーな萌」よりはだいぶ、クールでストロング側に偏っている。
日英同じは萌の環境的に無理だとは思うが、たとえば力を抜いて英語版「桜蘭ハイスクール」のハルヒみたいに喋ってくれんかな。低いけれど力が抜け無駄な主張のこもらない声。ずいぶん長いこと「桜蘭」を見てないが、今度また見せよう。
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■12/10/31(水) □ やはり楽しいハロウィーン
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「血塗られた花嫁」怖すぎた(汗)。
コスチュームとメイクアップをつけての登校なので 30 分早く起きて準備したのだが、顔に塗るおしろいが難しくてちっともきれいに塗れず、予定を大幅に超過し遅刻して登校。最終的にまったく均一には塗れず、目の下と鼻梁に黒を入れてとにかくコワくするしかなかった。怖いけどいいデキではない。難しいんだなああの白塗りって。練習しておくべきだった。
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前倒しで晩飯を食わせ萌をコキットラムの丘の上の友人宅に届け、急いで戻りハロウィーン開始。しかし本日はここ 10 年のハロウィーンで初めての大雨で、これがたたりうちは待機を始めて 30 分以上も誰も来ず、結局総計でも 20 人くらいしか来なかったと思う。例年の半分だ。
8時半に玄関灯りを消し(うちは終わりだよの合図)萌を友人宅に迎えに行くと、ずぶ濡れガールズが宝を山分けしていた。床のチョコがだいたい1人分です。この子たちと行くために長距離2往復走ってやった甲斐あって盛り上がりどころ満載だったそうで、萌はずぶ濡れで震えつつもこれまでで最高のハロウィーンだったありがとうと興奮していた。
ハロウィーンに向かって萌は俺が寂しく思うほどに盛り上がらず、コスチュームや飾り付けも俺が命じてやらせたわけだが、やっぱりやればいつまでだって楽しいんだろう。それほど楽しいのだったら、来年ももう一度くらいやったらいいのではないかと思う。実際これがほとんど唯一の国民的お祭りなわけだからな。
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■12/10/19(金) □ ハロウィーン間近だが
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昨夜友達がうちにスリープオーバーし、今日は疲れてややダウナーな萌と過ごす。友達を家まで送った後買い物をしにいくと、プラントショップのビニールハウスでハロウィーン祭りをやっていた。こんなの前はなかったな。素晴らしい。しかしパンプキンづくしオレンジづくしの可愛らしい飾りつけを見て俺がうわあと言ってるのに、萌はふーんという顔で眺めている。
ハロウィーンはティーンになったら終わりというのが相場だそうで、つまり 12 歳の今年が萌の最後のハロウィーンになるらしい。数年前からもう親は送迎するだけの行事で、準備を手伝うこともそんなにないし子供の頃ほど無邪気に盛り上がってもいなかったが、それにしてもこの萌の反応のなさは物寂しい。
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■12/10/20(土) □ 北斎で日本語学習
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今日は近所日本語キッズ勉強会がキャンセルされたので、萌とマンツーマンで日本語ワーク。せっかく2人きりなので趣向を変えようと、前に録ってあったイッセー尾形が北斎を演じる「歴史秘話・葛飾北斎」を萌に見せた。信州小布施の北斎美術館には何度も行ってるので、うちはみんな北斎が好きなのだ。家は北斎のポスターだらけなのだ。
番組を見ながら、「北斎の実物はほとんど海外にある」「世界の重要人物として尊敬されている」といったフレーズを拾いノートに書かせる。北斎がいかにあちこちから着想と技術を得て自分の画風を確立していったかという話は面白いし、演じてるイッセー尾形の芝居がまたうまくて説得力があり、萌も楽しかった様子。日本語に限らず親子でマンツーマンでなにかを教えるとケンカになりがちなんだが、いつもとまったく違う内容にしたのが正解で生産的な気持ちになりいい勉強だった。
◇
日本語学習を自宅勉強会に切り替えて1月以上やってみているけれど、このフレキシブルさがやはりいい。「いつまでにこれだけやる」という期限を設ける必要もないフリースタイル学習なので(今年 12 月の検定は現実的ではないので目指していない)、語彙は覚えるまで何度でも戻っておさらいしている。子供は言葉の音はすぐに覚え、「鎌倉は都内から1時間で、海に面している。鎌倉幕府があった」とコンテキストを与えれば記憶定着率も高い。『幕府は? 面しているは?」と問えば正解が返ってくる。
しかしその漢字の読みを覚えるのはやはりそう簡単には行かず、書き取りドリル以外の方法がまだ見つからない。英単語なら音とスペルはほぼ一致するので音と同時に覚えられるのだが。小1から中1までずっとやって、週一では何の成果も生まなかった日本式漢字書き取り/単語カード法はやらせたくないので、最小の努力で読みをある程度覚える方法はないかとずっと考えている。
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■12/10/25(木) □ 無邪気なアイデンティティ
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担任との懇談に行く。毎日学校の帰りに萌に今日は何かあったかと問うと顔で「別に……」と答え会話が終わるので、夏休み前の不機嫌なティーンに戻ってしまったな、学校でもあまり楽しくないんじゃないかと思っていたのだが、授業中はうるさくて常時叱られるほど盛り上がってるのだそうだ。担任いわく去年よりずっと友達が増えハッピーで、自分に自信を持てていると。あれま。ほんとですか。日本での子供っぽい自分と、カナダでのアンチ子供っぽい友達との間で居場所に迷ってるのかなとずっと思っていたのだが、そうではないらしい。
一緒に行ったMは、逆に「日本で自然に子供らしくしてたおかげで無邪気でハッピーな自分というアイデンティティが確立でき、周りに合わせ大人ぶらずとも平気になったのだろう。それで自分に自信が持てているのだ」と分析する。萌と話してそう感じたらしい。そうだったんですか。
萌は俺とはそんな話は一切してくれんとMに言うと、あたしだって普通に会話してたらこんな深い話にはならない、萌が面倒がっても話をやめず質問攻めにしていくからこういう話も出るのだという。なるほど。俺はそのへんのスキルはないからなあ。
ともあれ、萌が学校でハッピーだと聞いてうれしいよ、先生たちは萌のことを明らかに好きだねと帰って萌に話す。そのハピネスの一因に、夏のあの日本旅行が関わっているというのは、とてもうれしいことである。
カナダの中学生は大笑いなことを「LOL(ロル!)」とすんげえイラつく発声でいい、こうして指で(バナナじゃなくて指だそうです)LOL とサインを出す。そんな調子でキャッキャと授業中も騒いでいるんだろう。
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■12/10/30(火) □ 日本語ボイスと英語ボイス
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最近Lさんと一緒にいることが多いのだが、彼女は英語と日本語を喋るときに声質が変わらないなと気がついた。つまり日本の 12 歳の子のように高く小さな声で、喋る内容は日本の同年齢よりしっかりめのカナダのティーンエイジャーなのだ。ちょっと日本アニメの英語版吹き替えボイスっぽくてナイスな感じ。
萌は日本語では力まないやわらかい声を出すのに、英語では低く張った無駄に我の強いトーンになる。Mが見るところの「無邪気でハッピーな萌」よりはだいぶ、クールでストロング側に偏っている。
日英同じは萌の環境的に無理だとは思うが、たとえば力を抜いて英語版「桜蘭ハイスクール」のハルヒみたいに喋ってくれんかな。低いけれど力が抜け無駄な主張のこもらない声。ずいぶん長いこと「桜蘭」を見てないが、今度また見せよう。
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■12/10/31(水) □ やはり楽しいハロウィーン
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「血塗られた花嫁」怖すぎた(汗)。
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前倒しで晩飯を食わせ萌をコキットラムの丘の上の友人宅に届け、急いで戻りハロウィーン開始。しかし本日はここ 10 年のハロウィーンで初めての大雨で、これがたたりうちは待機を始めて 30 分以上も誰も来ず、結局総計でも 20 人くらいしか来なかったと思う。例年の半分だ。
8時半に玄関灯りを消し(うちは終わりだよの合図)萌を友人宅に迎えに行くと、ずぶ濡れガールズが宝を山分けしていた。床のチョコがだいたい1人分です。この子たちと行くために長距離2往復走ってやった甲斐あって盛り上がりどころ満載だったそうで、萌はずぶ濡れで震えつつもこれまでで最高のハロウィーンだったありがとうと興奮していた。
ハロウィーンに向かって萌は俺が寂しく思うほどに盛り上がらず、コスチュームや飾り付けも俺が命じてやらせたわけだが、やっぱりやればいつまでだって楽しいんだろう。それほど楽しいのだったら、来年ももう一度くらいやったらいいのではないかと思う。実際これがほとんど唯一の国民的お祭りなわけだからな。
2012/10/19
日記「子供のアート写真」
『「アセンション」お試し』「ロンシャン競馬場の喝采に」「フランス撃破」「日本メディアの長所」「嵐のガス欠レスキュー」
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■12/10/06(土) □「アセンション」お試し
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新しいゲームやりたさにネットを巡り、「アセンション」というカードゲームのソロプレイ版を見つけた。これは派生元になっている「ドミニオン」よりもお手軽で楽しいかもしれない。
手持ちの金と兵力で新戦力を買いモンスターを倒して、自分のカードデッキ(兵力+持ち金カードの束)に強いカードを加え強化していくというゲーム。このデッキから毎回5枚+@がそのターンの手札となり、それをうまくやりくりするとゲームが進むにつれより高価な戦力を手に入れ、強いモンスターを倒すことができるようになる。ドミニオンと違いアクション回数に制限がなく、毎回手札に入ってきた資金と兵力はどう使ってもいいという単純さが気持ちいい。
そしてドミニオンとの最大の違いが場札が常時ランダムに補充されるところで、これが面白い。場に出てる札は建物/戦力/モンスターと入り交じり完全にランダムなので、大金ができたターンに高価な強戦力カードが場に出てるとは限らず、戦力が見事に揃ったターンに倒したい強大モンスターがいるとも限らないところがひねりになっている。つまりラックと場の流れを読む要素が盛り込まれているのだ。攻撃力+4の妖刀ムラマサなんぞが出ると、他プレイヤーに取られる前に7金を揃えたくて焦る。俺はこうしてチャンスに振り回され胸惑わされるのが好きなのだ。
4戦目ですごいカードの揃い方をしてコンボが炸裂した。しかし「メカなんとかコンストラクト(建物)の数だけ攻撃力上がる」「すべてのコンストラクトをメカなんとかコンストラクトと見なす」「なになにコンストラクトの数と同数のカードを引く」みたいな微妙な効果が積算するので、こうやって PC が計算してくれればいいが自分で計算してたら間違えそうだな。あまりデザインのきれいなゲームではない。コンストラクトの種類なんて省略したほうがすっきりしただろう。しかしラック要素があり強いカードの争奪戦があるところが楽しいゲームです。
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■12/10/07(日) □ ロンシャン競馬場の喝采に
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【凱旋門賞】惜しい。惜しすぎる。しかし素晴らしい走りだった。最後の最後で脚が止まってしまったけれど、「ついに日本の夢が叶うのか!」と英アナウンサーがゴール直前まで言っていたよオルフェーブル。
日本中がオグリキャップに涙していた頃、これほどまでに支持されている日本の競馬が世界一流じゃないわけがないだろうと思い、それを世界に示してほしいと願っていたんだけれど、父母ともに内国産のオルフェーブルは本当にそれを示してくれたと思う。えらい。よく頑張った。
◇
リプレイを見ると、最後の数歩は内ラチに詰まって追えなくなり、ほぼ立ち止まっている。内ラチまであと1馬身幅残り、最後まで追えていればもっと際どかったろう。スピードは世界一なのに、まっすぐ走る能力は小学生みたいなやつなんだろうな。ため息……。
日本で競馬を見ていたあの頃、強い馬が出るたびに「凱旋門賞?」という希望の言葉が浮かんでは消えていた。寺山修司の詩が皆の胸にしみついていた。トウカイテイオーが先頭で駆け抜けたジャパンカップのスタンドで、テイオーが行くなら俺たちもロンシャンに行かなくちゃと言っていたARも今日、このレースを見ていたことだろう。
「さらばテンポイント
目をつぶると
何もかもが見える
ロンシャン競馬場の満員のスタンドの
喝采に送られて出てゆく
おまえの姿が」
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■12/10/12(金) □ フランス撃破
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【フランス-日本】俺は香川を、独力で事態を切り開きゲームを動かすプレイヤーではなく、アシストを得て輝くタイプなのでそんなにすごい選手とは思っていないのだが、試合を通しずっとイーブンボールにかじりついていく執着心や跳ね飛ばされても間髪入れず体勢を立て直し進む速さを見て、なるほどこういうところがいいんだなと思った。ぶつかり合いで飛ばされないという意味でのフィジカルは普通だが、バランスの復元力が高い。このへこたれなさと復元力があるからブンデスやプレミアで活躍できるのだろう。
あの奇跡のカウンター時、あまりに素晴らしい長距離ドリブル&完全予想外の右スルーパスを見てそれが香川だと思った。「ああ香川ってやっぱスゴイんだな恐れいった!」と思った。そしたらそれは香川ではなく今野だった(笑)。今野偉大すぎ。
そのスルーを長友が折り返した先に飛び込み、相手 DF と崩れながら一瞬先に触ったのがやっぱり香川だったのである。香川はああしてとにかく最後に触り点を取るために生まれてきた男なんだろう。マン U の主役は荷が重いと思うが、攻撃陣の一員としてチャンスをもらうたびにああしてコツコツ点を取っていけるだろう。
◇
清武はオリンピックでもよかったけど実にいい選手で、ボディコンタクトさせずボールを動かし間合いで交わすところは中田や本田とタイプが違う。相手に飛び込む間合いとタイミングを与えず、敏捷性の高さでどんどん先にボールを動かしてしまう清武のプレイスタイルは、体重のない日本人として理にかなっている。
フィジカルでボールをキープできる本田が今の日本の柱で、今日も不在がまったく響いていたが、かつてフィジカルを誇った中田のピークがあまりにも短かったことを思うと、ぶつかり合い踏ん張る本田の脚が引退まで万全なまま持つだろうかと怖い。もう怪我をしませんように。
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■12/10/13(土) □ 子供のアート写真
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インスタグラムで萌の写真アップロードがスローダウンしてしまった。あまりフォロワーが増えないからモチベーションが上がらないのだろうか。俺が撮った「スカイプで日本のイトコとゲーム」写真などをアップロードさせてみるが、そんなに反応はない。
萌は「SPなんか千人もフォロワーがいるんだよ」とうらやましそうに俺に見せる。しかしこれは彼女が匿名で有名人写真を拾ってきてアップロードしてるからで、SP自身も千人をフォローバックしてるし、つまり Twitter でもよくいるフォロワー数を増やすことを楽しんでる人たちと同じである。それはソーシャル活動や自己表現ではない。
◇
「たとえばさ」と、俺が昔見つけたうちと同じキャノン Powershot A530 を使っていた若い女の子のフリッカーページを萌に見せる。俺も5年ぶりに見たが、相変わらず創意あるいい写真を撮っている。子供は誰でもカメラを持つと自分の顔写真を撮りまくり、写真サイトはどうしてもそういうナルシスティックな写真で溢れかえるわけだが、この子は違うのだ。静物人物あらゆる種類の写真にひと工夫がこもっており、自分撮りの写真もこの通り。素晴らしい。
ほら、自分を撮るにも工夫した↑こういうアーティスティックなものにすれば面白いじゃないと説くと、萌はなるほどといろいろ考えた構図で写真を撮り始めた。よしよし。そのうちきっと面白い写真が撮れるだろう。頑張ってくれ。
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■12/10/17(水) □ 日本メディアの長所
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北米 TV Japan の今秋ドラマはけっこう当たりが多く、朝ドラ「純と愛」は今のところ鬱陶しいけれど「リーガル・ハイ」が特に面白い。こういうコミカルでストーリーがあるドラマって日本っぽいよな。アメリカのドラマはどシリアスか、ストーリーなしのスタジオセット内コメディ(シットコム)しかない。
シットコムはもうほんと同じパターンの繰り返しにあの「どわっ」という観客大爆笑ボイスがかぶせてあって飽き飽きするし(Mが今毎夜見てるうち半数は、10 年くらいに俺も一緒に見た番組のリピートだし)、シリアスものはとにかく会話が多い。オッサンが会社オフィスで延々となにか深刻な話をしてる感じ。北米ドラマは絵よりも言葉で何ごとかを表現しようとしている。それを萌がなにが面白いのかじっと見ていたりする。言葉や文化背景さえわかれば、萌にだっておっさん会話ドラマよりは「リーガル・ハイ」のほうが面白いと思うのだが。
◇
「リーガル・ハイ」は歌もいいぞ誰これと調べて、初めて RIP SLYME というラップグループを知る。名前からなんかエクザイルとかそーゆーやつでしょと思っていたが、メンバーがこんなかっこいい歌を作るならば別物っぽいすね。
日本メディアのいいところはこうして普通に TV から新しい音楽が流れてきて「お?」となることで、カナダでは MTV にチャンネルを固定してない限り最新の音楽なんてまったく聞こえてこない。ラジオは俺のようなオヤジでも古くてうんざりするクラシックロックか、ティーン向けポップだけなのだ。
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■12/10/18(木) □ 嵐のガス欠レスキュー
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外は嵐。夕方Mが、大渋滞にはまりガス欠になりそうだ、メーターがゼロで点滅している、セルフォンの電池ももう終わる助けに来てくれと半泣きでコールしてきた。メーターがゼロになってもあと数十キロは走れるからそのまま帰って来いと言ったが、やっと小路に入りエンジンを切り待機してるのだ、通りに戻り道の真中で立ち往生するのは嫌だという。たしかにそれは怖いだろう。仕方がないので速攻で GS に行き携行用ガソリンタンクとガス少々を買ってレスキューに向かうと、「おお輝く甲冑の私の騎士よ」とえらい喜ばれた。
俺が乗ってきたポンティアックでMを帰らせ、俺はエリオのガスを入れに行くとやはりタンクにはまだ 6L も残っていた。しかしこんな状態でメーターが点滅するのだから、オーナーを無駄にフリークアウトさせるスズキのメーター設計が悪い。あと 3L くらいまで点滅はやめてもらいたいものである。
しかし久々に乗るエリオは、ボディと操作系がゆるゆるなアメ車ポンティアックに比べすべてがカチっとし速くて気持ちよかった。豪雨の中ついついスピードを出してしまいそうになる。窓ガラスからして品質が違うような気がする。ポンティアックはどれほど窓を洗っても水滴がこびりつき視界が悪くなる。これからのシーズンはとにかく雨・雨・雨なので、RainX とかで水滴対策しないとな。
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■12/10/06(土) □「アセンション」お試し
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新しいゲームやりたさにネットを巡り、「アセンション」というカードゲームのソロプレイ版を見つけた。これは派生元になっている「ドミニオン」よりもお手軽で楽しいかもしれない。
手持ちの金と兵力で新戦力を買いモンスターを倒して、自分のカードデッキ(兵力+持ち金カードの束)に強いカードを加え強化していくというゲーム。このデッキから毎回5枚+@がそのターンの手札となり、それをうまくやりくりするとゲームが進むにつれより高価な戦力を手に入れ、強いモンスターを倒すことができるようになる。ドミニオンと違いアクション回数に制限がなく、毎回手札に入ってきた資金と兵力はどう使ってもいいという単純さが気持ちいい。
そしてドミニオンとの最大の違いが場札が常時ランダムに補充されるところで、これが面白い。場に出てる札は建物/戦力/モンスターと入り交じり完全にランダムなので、大金ができたターンに高価な強戦力カードが場に出てるとは限らず、戦力が見事に揃ったターンに倒したい強大モンスターがいるとも限らないところがひねりになっている。つまりラックと場の流れを読む要素が盛り込まれているのだ。攻撃力+4の妖刀ムラマサなんぞが出ると、他プレイヤーに取られる前に7金を揃えたくて焦る。俺はこうしてチャンスに振り回され胸惑わされるのが好きなのだ。
4戦目ですごいカードの揃い方をしてコンボが炸裂した。しかし「メカなんとかコンストラクト(建物)の数だけ攻撃力上がる」「すべてのコンストラクトをメカなんとかコンストラクトと見なす」「なになにコンストラクトの数と同数のカードを引く」みたいな微妙な効果が積算するので、こうやって PC が計算してくれればいいが自分で計算してたら間違えそうだな。あまりデザインのきれいなゲームではない。コンストラクトの種類なんて省略したほうがすっきりしただろう。しかしラック要素があり強いカードの争奪戦があるところが楽しいゲームです。
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■12/10/07(日) □ ロンシャン競馬場の喝采に
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日本中がオグリキャップに涙していた頃、これほどまでに支持されている日本の競馬が世界一流じゃないわけがないだろうと思い、それを世界に示してほしいと願っていたんだけれど、父母ともに内国産のオルフェーブルは本当にそれを示してくれたと思う。えらい。よく頑張った。
◇
リプレイを見ると、最後の数歩は内ラチに詰まって追えなくなり、ほぼ立ち止まっている。内ラチまであと1馬身幅残り、最後まで追えていればもっと際どかったろう。スピードは世界一なのに、まっすぐ走る能力は小学生みたいなやつなんだろうな。ため息……。
日本で競馬を見ていたあの頃、強い馬が出るたびに「凱旋門賞?」という希望の言葉が浮かんでは消えていた。寺山修司の詩が皆の胸にしみついていた。トウカイテイオーが先頭で駆け抜けたジャパンカップのスタンドで、テイオーが行くなら俺たちもロンシャンに行かなくちゃと言っていたARも今日、このレースを見ていたことだろう。
「さらばテンポイント
目をつぶると
何もかもが見える
ロンシャン競馬場の満員のスタンドの
喝采に送られて出てゆく
おまえの姿が」
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■12/10/12(金) □ フランス撃破
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【フランス-日本】俺は香川を、独力で事態を切り開きゲームを動かすプレイヤーではなく、アシストを得て輝くタイプなのでそんなにすごい選手とは思っていないのだが、試合を通しずっとイーブンボールにかじりついていく執着心や跳ね飛ばされても間髪入れず体勢を立て直し進む速さを見て、なるほどこういうところがいいんだなと思った。ぶつかり合いで飛ばされないという意味でのフィジカルは普通だが、バランスの復元力が高い。このへこたれなさと復元力があるからブンデスやプレミアで活躍できるのだろう。
あの奇跡のカウンター時、あまりに素晴らしい長距離ドリブル&完全予想外の右スルーパスを見てそれが香川だと思った。「ああ香川ってやっぱスゴイんだな恐れいった!」と思った。そしたらそれは香川ではなく今野だった(笑)。今野偉大すぎ。
そのスルーを長友が折り返した先に飛び込み、相手 DF と崩れながら一瞬先に触ったのがやっぱり香川だったのである。香川はああしてとにかく最後に触り点を取るために生まれてきた男なんだろう。マン U の主役は荷が重いと思うが、攻撃陣の一員としてチャンスをもらうたびにああしてコツコツ点を取っていけるだろう。
◇
清武はオリンピックでもよかったけど実にいい選手で、ボディコンタクトさせずボールを動かし間合いで交わすところは中田や本田とタイプが違う。相手に飛び込む間合いとタイミングを与えず、敏捷性の高さでどんどん先にボールを動かしてしまう清武のプレイスタイルは、体重のない日本人として理にかなっている。
フィジカルでボールをキープできる本田が今の日本の柱で、今日も不在がまったく響いていたが、かつてフィジカルを誇った中田のピークがあまりにも短かったことを思うと、ぶつかり合い踏ん張る本田の脚が引退まで万全なまま持つだろうかと怖い。もう怪我をしませんように。
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■12/10/13(土) □ 子供のアート写真
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インスタグラムで萌の写真アップロードがスローダウンしてしまった。あまりフォロワーが増えないからモチベーションが上がらないのだろうか。俺が撮った「スカイプで日本のイトコとゲーム」写真などをアップロードさせてみるが、そんなに反応はない。
萌は「SPなんか千人もフォロワーがいるんだよ」とうらやましそうに俺に見せる。しかしこれは彼女が匿名で有名人写真を拾ってきてアップロードしてるからで、SP自身も千人をフォローバックしてるし、つまり Twitter でもよくいるフォロワー数を増やすことを楽しんでる人たちと同じである。それはソーシャル活動や自己表現ではない。
◇
「たとえばさ」と、俺が昔見つけたうちと同じキャノン Powershot A530 を使っていた若い女の子のフリッカーページを萌に見せる。俺も5年ぶりに見たが、相変わらず創意あるいい写真を撮っている。子供は誰でもカメラを持つと自分の顔写真を撮りまくり、写真サイトはどうしてもそういうナルシスティックな写真で溢れかえるわけだが、この子は違うのだ。静物人物あらゆる種類の写真にひと工夫がこもっており、自分撮りの写真もこの通り。素晴らしい。
ほら、自分を撮るにも工夫した↑こういうアーティスティックなものにすれば面白いじゃないと説くと、萌はなるほどといろいろ考えた構図で写真を撮り始めた。よしよし。そのうちきっと面白い写真が撮れるだろう。頑張ってくれ。
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■12/10/17(水) □ 日本メディアの長所
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北米 TV Japan の今秋ドラマはけっこう当たりが多く、朝ドラ「純と愛」は今のところ鬱陶しいけれど「リーガル・ハイ」が特に面白い。こういうコミカルでストーリーがあるドラマって日本っぽいよな。アメリカのドラマはどシリアスか、ストーリーなしのスタジオセット内コメディ(シットコム)しかない。
シットコムはもうほんと同じパターンの繰り返しにあの「どわっ」という観客大爆笑ボイスがかぶせてあって飽き飽きするし(Mが今毎夜見てるうち半数は、10 年くらいに俺も一緒に見た番組のリピートだし)、シリアスものはとにかく会話が多い。オッサンが会社オフィスで延々となにか深刻な話をしてる感じ。北米ドラマは絵よりも言葉で何ごとかを表現しようとしている。それを萌がなにが面白いのかじっと見ていたりする。言葉や文化背景さえわかれば、萌にだっておっさん会話ドラマよりは「リーガル・ハイ」のほうが面白いと思うのだが。
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「リーガル・ハイ」は歌もいいぞ誰これと調べて、初めて RIP SLYME というラップグループを知る。名前からなんかエクザイルとかそーゆーやつでしょと思っていたが、メンバーがこんなかっこいい歌を作るならば別物っぽいすね。
日本メディアのいいところはこうして普通に TV から新しい音楽が流れてきて「お?」となることで、カナダでは MTV にチャンネルを固定してない限り最新の音楽なんてまったく聞こえてこない。ラジオは俺のようなオヤジでも古くてうんざりするクラシックロックか、ティーン向けポップだけなのだ。
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■12/10/18(木) □ 嵐のガス欠レスキュー
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外は嵐。夕方Mが、大渋滞にはまりガス欠になりそうだ、メーターがゼロで点滅している、セルフォンの電池ももう終わる助けに来てくれと半泣きでコールしてきた。メーターがゼロになってもあと数十キロは走れるからそのまま帰って来いと言ったが、やっと小路に入りエンジンを切り待機してるのだ、通りに戻り道の真中で立ち往生するのは嫌だという。たしかにそれは怖いだろう。仕方がないので速攻で GS に行き携行用ガソリンタンクとガス少々を買ってレスキューに向かうと、「おお輝く甲冑の私の騎士よ」とえらい喜ばれた。
俺が乗ってきたポンティアックでMを帰らせ、俺はエリオのガスを入れに行くとやはりタンクにはまだ 6L も残っていた。しかしこんな状態でメーターが点滅するのだから、オーナーを無駄にフリークアウトさせるスズキのメーター設計が悪い。あと 3L くらいまで点滅はやめてもらいたいものである。
しかし久々に乗るエリオは、ボディと操作系がゆるゆるなアメ車ポンティアックに比べすべてがカチっとし速くて気持ちよかった。豪雨の中ついついスピードを出してしまいそうになる。窓ガラスからして品質が違うような気がする。ポンティアックはどれほど窓を洗っても水滴がこびりつき視界が悪くなる。これからのシーズンはとにかく雨・雨・雨なので、RainX とかで水滴対策しないとな。
2012/10/09
日記「子供のインスタグラム」
『「ガンナムスタイル」の謎』「ブロックスをゲット」
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■12/10/03(水) □ 「ガンナムスタイル」の謎
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日本ガール化期間は学校生活の進行と共に薄まり期限が切れ、萌はカナダのティーンに戻ってしまった。機嫌がよくやさしい気分のときは日本語で、そうでないときはややぶっきらぼうな英語で話すという使い分けになっている。萌は「日本での自分とカナダでの自分の2人がいる」とMに言ったらしい。やはり「日本での自分」スタイルでカナダで暮らしてはいけないんだろう。そしてその「カナダでの自分」と俺とは折り合いが悪い。やれやれ。
◇
ともあれ、「コリアのポップスが学校で流行ってる」というので「あああのタクシータクシーってやつ?」と聞いたら、違う違うと韓国のオッサンが踊ってるディスコソングみたいなものを Youtube で見せてくれた。
どこにでもいる剽軽なコメディアンがたわけた歌を歌ってるようににしか見えんのだが、これが世界中で大人気なんだそうである。意味がわからん。まあ子供がこういうひょうきんなものに反応するのはわかるが、世界規模の大ヒットになるというのがわからない。萌に聞いてもただファニーだというだけ。みんなでこれを踊ってるんだそうだ。
もしかすると非アジア圏の人々はこういう志村けん的な動きを見たことがなくて、どえらくファニーなのかな。「ラウルが人生で一番可笑しかったのはワッキーが見せた芝刈り機のものまね」という動画が昔あったが(今見たら消えてました)、これも普通のドリフターズ的動きにラウルとモリエンテスが抱腹絶倒するというものだった。つまり『アジアのアクションギャグは欧米人にはとてつもなく面白い』ということがありうるのかもしれない。
日本で本当に面白い芸人は間やズレや意外性を操り、新しい笑いを見せてくれる人たちなわけだが、そういう笑いは米加では練り上げられたテレビのコメディと映画の中にしかない。つまりハリウッドの笑いに匹敵するクオリティの笑いを、日本の芸人はビンボーでも作っているということである。
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■12/10/04(木) □ ブロックスをゲット
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この夏うちの近辺では大きなビジネスシフトが起きていて、半年前に移転したカナディアンタイヤに続き地域最大の量販店 Zellers が閉店することになってしまった。いっそう不便になるが、ともあれ全品 40% オフセールをやってるのであれこれを必要品を揃えに行く。
生活必需品のついでにカナダ量販店で売ってる唯一のユーロゲーム、ブロックス(フランスのゲーム)をゲット。百円ショップのおもちゃみたいな見た目美しくないハードプラスチック製なのでこれまで興味なかったのだが、最近聞いたボードゲーム・ポッドキャスト「2人はボドキュア」で絶賛されていたのである。でこれ以上安く手に入ることはありえないバーゲンだったのでゲットした。
1人で試してみると面白くもなんともなく(当たり前)、1人3役でやってみたら面白さがわかった。敵の背後のスペースを取ることが面白いわけである。なるほどね。
1人2役だとブロックしても両方置ききれてしまう。これじゃつまらないな。こういうときは障害物でも置けばいいのだろうか。―――あ、これは4人専用ゲームなんだ。2人/3人ルールは「バリアント」として用意されている別ルールとなり、1人2色を置くだって。それはいかにもめんどくさい。失敗したかなー。
見た目はつまらなそうだが面白い
ブロックス。これが非公式2人用設定。
2~3人で普通ルールで遊べないか、あれこれトライしてみる。BoardGameGeek のファンフォーラムで推奨されている 14x14 に盤を狭くし(支配の2人用ブロックスがそうなってるとのこと)、あとは普通に1人1色でプレイするという非公式2人用ルールは、やってみると相当に狭いがなるほど丁丁発止になり面白い。こうして適度な狭さにできれば何人でも普通に遊べそうだが、いちいち区切るのは面倒である。テープでも使おうかな。要検討。
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■12/10/05(金) □ 子供のインスタグラム
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SPが来たのでボードゲームやる気ゼロの2人ムスメを説き伏せて、新ゲーム「ブロックス」にトライ。みんなビギナーなので4人用のフル盤面に3人でもうまく隙間を埋められず、それぞれ4~5コマ残るちょうどいいバランスになった。3人戦をマジにやればたぶん真ん中の人が両側から攻められ不利になるのだろうが、気軽なゲームではこれで十分いいなという感じ。
このゲーム最大の美点はルールが置き方の制限1つしかないことで、ルール説明 15 秒で誰でも即プレイでき、すぐにブロックする勘所もわかり盛り上がれる。SPら普段ボードゲームなんてしない子でも面白さは説明不要で即わかり、実際SPが一番声を立てて笑い楽しんでくれたと思う。これは接待ゲームに最適だろう。
俺は陣取りゲームがやりたいのだが、うちにある簡単陣取り系の「おいそれはオレの魚だぜ」はあっさりしすぎて盛り上がらない。あれは攻撃をするとほぼ必中で1~2手で敵を水際に追い込み詰むことができるが、その時点で自分も狭い水際にいるので別のプレイヤーに一発で背後を取られ詰まれてしまい、結局攻撃をしない人が勝つゲームになってしまうのである。
ブロックスは見た目は悪いが陣を取る面白さだけをうまく抽出していて、攻撃してもブロックしても一発で致命傷にはならず、詰将棋のように王手王手と追い込む攻防がたっぷりと楽しめる。ときには逆に裏を取られ痛い返し技をくらい、ときにはまったく別なエリアで紛争が勃発しアワを食う。面白い。そしてもちろん見た目通りのテトリスの「パチ」っと狭いスペースに見事にでかいピースをはめるパズル的な気持ちよさもある。いいゲームだ。
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SPに勧められて萌が「インスタグラム」に入りたいという。なんだか知らないので調べてみると、写真をポストするとフォロワーのホームにそれが流れていくという SNS。「写真によるツイッター」と評されていたが、SPのをざっと見たところ友達同士が写真を見せ合いコメントしてるだけで、ツイッターほどパブリックに開いたメディアではない。萌はこういう SNS をずっとやりたがっていたのであり、文章なしに写真だけで解決するこれはいいかもしれない。
SNS をやりたい病は日本でいう中二病で、とにかく大衆に認めてもらいたいという自己顕示欲で子供らは皆はちきれそうになっているのだ。しかし Twitter など交通の激しい場所に子供が出ていけば何が起こるかわからない。インスタグラムはSPのアカウントから見渡したところ彼女のフォロワー全員がティーンで(※)、コメントも「クール!」程度の一言ばかり。ネガティブなサムダウンはつけられないし、言葉ではなく写真でのコミュニケーションだけに炎上の危険がほとんどなさそうである。言葉のリスクの少ないコミュニケーションツールとして、これは子供に向いているな。
ネットにおけるプライバシーに関してはいつも厳しく言ってるので、萌が投稿する写真の質だけ俺がチェックしていけば問題なく運用していけるだろう。萌の友達に学校名とフルネームと学籍番号が載っている学生証のクリアな写真をまんま載せてる子がいたので、ほらこれはマズイだろうと萌に見せるとオーマイゴッと驚いていた。もし悪い奴がこれを見たら怖いじゃないか。この子には知らせてあげたほうがいいな。
というわけで使用を許可すると萌はさっそくアンドロイドからガシガシ写真をアップロードし始め、するとフォロワーがつきコメントがついて、もう夢中になってやっている。このネットの楽しみはうちのお母さんにはわかってもらえないが、俺にはよく分かる。考えて人に見せる価値のあるいい写真を撮り、アップロードしていけばいいよ :-)。
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■12/10/03(水) □ 「ガンナムスタイル」の謎
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日本ガール化期間は学校生活の進行と共に薄まり期限が切れ、萌はカナダのティーンに戻ってしまった。機嫌がよくやさしい気分のときは日本語で、そうでないときはややぶっきらぼうな英語で話すという使い分けになっている。萌は「日本での自分とカナダでの自分の2人がいる」とMに言ったらしい。やはり「日本での自分」スタイルでカナダで暮らしてはいけないんだろう。そしてその「カナダでの自分」と俺とは折り合いが悪い。やれやれ。
◇
ともあれ、「コリアのポップスが学校で流行ってる」というので「あああのタクシータクシーってやつ?」と聞いたら、違う違うと韓国のオッサンが踊ってるディスコソングみたいなものを Youtube で見せてくれた。
どこにでもいる剽軽なコメディアンがたわけた歌を歌ってるようににしか見えんのだが、これが世界中で大人気なんだそうである。意味がわからん。まあ子供がこういうひょうきんなものに反応するのはわかるが、世界規模の大ヒットになるというのがわからない。萌に聞いてもただファニーだというだけ。みんなでこれを踊ってるんだそうだ。
もしかすると非アジア圏の人々はこういう志村けん的な動きを見たことがなくて、どえらくファニーなのかな。「ラウルが人生で一番可笑しかったのはワッキーが見せた芝刈り機のものまね」という動画が昔あったが(今見たら消えてました)、これも普通のドリフターズ的動きにラウルとモリエンテスが抱腹絶倒するというものだった。つまり『アジアのアクションギャグは欧米人にはとてつもなく面白い』ということがありうるのかもしれない。
日本で本当に面白い芸人は間やズレや意外性を操り、新しい笑いを見せてくれる人たちなわけだが、そういう笑いは米加では練り上げられたテレビのコメディと映画の中にしかない。つまりハリウッドの笑いに匹敵するクオリティの笑いを、日本の芸人はビンボーでも作っているということである。
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■12/10/04(木) □ ブロックスをゲット
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この夏うちの近辺では大きなビジネスシフトが起きていて、半年前に移転したカナディアンタイヤに続き地域最大の量販店 Zellers が閉店することになってしまった。いっそう不便になるが、ともあれ全品 40% オフセールをやってるのであれこれを必要品を揃えに行く。
生活必需品のついでにカナダ量販店で売ってる唯一のユーロゲーム、ブロックス(フランスのゲーム)をゲット。百円ショップのおもちゃみたいな見た目美しくないハードプラスチック製なのでこれまで興味なかったのだが、最近聞いたボードゲーム・ポッドキャスト「2人はボドキュア」で絶賛されていたのである。でこれ以上安く手に入ることはありえないバーゲンだったのでゲットした。
1人で試してみると面白くもなんともなく(当たり前)、1人3役でやってみたら面白さがわかった。敵の背後のスペースを取ることが面白いわけである。なるほどね。
1人2役だとブロックしても両方置ききれてしまう。これじゃつまらないな。こういうときは障害物でも置けばいいのだろうか。―――あ、これは4人専用ゲームなんだ。2人/3人ルールは「バリアント」として用意されている別ルールとなり、1人2色を置くだって。それはいかにもめんどくさい。失敗したかなー。
見た目はつまらなそうだが面白い
ブロックス。これが非公式2人用設定。
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■12/10/05(金) □ 子供のインスタグラム
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SPが来たのでボードゲームやる気ゼロの2人ムスメを説き伏せて、新ゲーム「ブロックス」にトライ。みんなビギナーなので4人用のフル盤面に3人でもうまく隙間を埋められず、それぞれ4~5コマ残るちょうどいいバランスになった。3人戦をマジにやればたぶん真ん中の人が両側から攻められ不利になるのだろうが、気軽なゲームではこれで十分いいなという感じ。
このゲーム最大の美点はルールが置き方の制限1つしかないことで、ルール説明 15 秒で誰でも即プレイでき、すぐにブロックする勘所もわかり盛り上がれる。SPら普段ボードゲームなんてしない子でも面白さは説明不要で即わかり、実際SPが一番声を立てて笑い楽しんでくれたと思う。これは接待ゲームに最適だろう。
俺は陣取りゲームがやりたいのだが、うちにある簡単陣取り系の「おいそれはオレの魚だぜ」はあっさりしすぎて盛り上がらない。あれは攻撃をするとほぼ必中で1~2手で敵を水際に追い込み詰むことができるが、その時点で自分も狭い水際にいるので別のプレイヤーに一発で背後を取られ詰まれてしまい、結局攻撃をしない人が勝つゲームになってしまうのである。
ブロックスは見た目は悪いが陣を取る面白さだけをうまく抽出していて、攻撃してもブロックしても一発で致命傷にはならず、詰将棋のように王手王手と追い込む攻防がたっぷりと楽しめる。ときには逆に裏を取られ痛い返し技をくらい、ときにはまったく別なエリアで紛争が勃発しアワを食う。面白い。そしてもちろん見た目通りのテトリスの「パチ」っと狭いスペースに見事にでかいピースをはめるパズル的な気持ちよさもある。いいゲームだ。
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SNS をやりたい病は日本でいう中二病で、とにかく大衆に認めてもらいたいという自己顕示欲で子供らは皆はちきれそうになっているのだ。しかし Twitter など交通の激しい場所に子供が出ていけば何が起こるかわからない。インスタグラムはSPのアカウントから見渡したところ彼女のフォロワー全員がティーンで(※)、コメントも「クール!」程度の一言ばかり。ネガティブなサムダウンはつけられないし、言葉ではなく写真でのコミュニケーションだけに炎上の危険がほとんどなさそうである。言葉のリスクの少ないコミュニケーションツールとして、これは子供に向いているな。
(※)SPはネットで拾った有名人写真をすさまじい数アップロードしており、千人ものフォロワーを持っている。もしその中に大人がいたらとっくに著作権侵害でアカウント停止されてるはずで、つまりフォロワーに大人はいないのだと思われる。
ネットにおけるプライバシーに関してはいつも厳しく言ってるので、萌が投稿する写真の質だけ俺がチェックしていけば問題なく運用していけるだろう。萌の友達に学校名とフルネームと学籍番号が載っている学生証のクリアな写真をまんま載せてる子がいたので、ほらこれはマズイだろうと萌に見せるとオーマイゴッと驚いていた。もし悪い奴がこれを見たら怖いじゃないか。この子には知らせてあげたほうがいいな。
2012/09/30
日記「初めての日本語ワークショップ」
「丘の上で米欧ゲームを思う」「欧米の説明書」「画伯復活の兆し」「あやつり人形実戦」「あやつり人形@ホーム」
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■12/09/15(土) □ 初めての日本語ワークショップ
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今日は初めての日本語勉強会。俺が先生となり、萌とLちゃん(共に12歳中2、日本語会話は完璧だが語彙と読み書き力が小学校低学年レベル)に教えることになる。初回の手応えはなかなかよかった。
時間割としては最初の1時間は一緒に JLPT(外国人向け日本語検定)問題集をやり、後はそれぞれの語彙ビルド課題をやるという感じ。JLPT の何がいいかというと、日本の国語教科書を使い漢字ドリルをやる(――つまり日本の伝統国語教育法を踏襲する――)日本人子弟向け日本語学校と違い、『漢字が書けなくても見て意味がわかれば OK(テストの回答は常に4択)』というユルい方針で、外国人向けにより生活用語方面に即した学習要素が組まれていることである。
今日やったのはポスターを見て情報を読み取るという課題で、これはクイズだから子供にも楽しいに決まっている。このクイズに答えつつ、「夏物」「最終」「雑貨」とはなにかとトピックにまつわる用語を拾い解説し、必要に応じノートを作らせていった。こういう題材は長い文章が続く国語教科書よりも楽しいし、シチュエーションに言葉が織り込まれているので記憶しやすい。これがつまりうちのM先生が専門のグローバルエデュケーション(総合・複合・寄り道をキモとする教育思想)だろう。
考えてみれば国語教科書のように文芸作品などの抜粋を使い長文読解する英語学習テキストなんて俺は使ったことがないわけで、あんな高度なものを外国で暮らす子供の日本語学習に使うのは相当に無理があると思う。もっと早くこっちに気づけばよかったと思っている。
◇
言語学習はやったことを記憶に定着させるのが難しいわけだが、それは作った単語ノート(一覧)とテキスト(文脈)をクロスリファレンスとして使い、何度もレビューさせるしかないだろうな。一覧や単語カードだけで丸暗記なんてできないが、文脈があれば覚えられる。この併用のコツを子供の身につけさせたいわけである。このノート作りはやりながら手探り即興でやってみた学習法だが、要は俺が英語を自習したのと同じことをやっぱりやっているなと思った。
萌に集中力がないのが弱りものだったが、まあこれは人の家に来ているという高揚感もあるかもしれん。それに家で俺と2人だけでやっていたらもっと集中せずただケンカになるだけなので、こうしてワークショップ仕立てにする意義は大きい。
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MK がボードゲームを大量に買ったとの知らせ。なにを買ったのよとワクワクして聞いてみたら、
Miskatonic School for Girls (ミニスカトニック女学院)
Yggdrasil (ユグドラシル)
Betrayal at the House on the Hill (丘の上の裏切者の館)
1つも知らん(笑)。つまり日本で話題になるようなドイツなゲームではないらしい。どうもやつの行くゲーム屋にはユーロなゲームはあまり入ってこないようだ。きっと世界のボードゲームはドイツ系とアメリカ系に大分できて、日本は前者、カナダは後者に属するんだろうな。アメリカ系はパラメータが細かくあってルールが複雑で+-表を参照しながらやるイメージで、食指が進まない。実際ボードゲーム開眼時にそういうゲームに当たっていたら、俺は「まあこういうのもあるだろうね」くらいで興奮してなかったと思う。
セールで一気買いしたとのことでこの他にもあるらしく、明日のゲーム会ではお化け屋敷的から逃げ惑うという「丘の上の裏切者の館」をやってみたいと発注しておいた。
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■12/09/16(日) □ 丘の上で米欧ゲームを思う
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MK 家ゲーム会に行きたかったのだが、4時までずっとMと庭仕事。ゲーム会の最後だけ参加し、「丘の上の裏切者の館 (Betrayal at the House on the Hill) 」をプレイした。お化け屋敷に迷い込んだ冒険者たちが出口を求めさまよう TRPG(テーブルトーク RPG)系ゲームである。冒険者の1つ1つに微妙な能力とひとクセある容貌のフィギュアがついている。微細画で描かれたタイルを引いて置くことで新たな展開を持つ部屋が次々に開かれていくのは実に魅力的で、その部屋に入ることによってイベントカードが引かれ、敵が襲ってくるとか落とし穴に落ちるといったイベントが発生するわけ。
中盤俺が裏切り者にノミネートされ(くじ引き的な強制)、すると「裏切りの書」を持って別室に行きそれを読まされるというのがおかしかった。この書に書かれた裏切り行動要領と勝利条件に則り冒険者たちの邪魔をするわけである。俺がそれを読んでいる間に、残りメンバーも冒険者側の勝利条件を話し合うという段取り。なるほど。
このお邪魔者役の仕事は「呪いのミイラ」のミイラ役のようで、「そっちか今行く待っておれー(コロコロ)」とサイコロを転がし冒険者を追い詰め、超たのしかった。結局退治され負けたが。
◇
Web で読んだ説明から想像と期待した通りのゲームで面白かったが、しかしこうした TRPG 系は不可避的に
「敵パラメータの○○が3だからサイコロ3個を振って、自分のシートのライフの値より大きければダメージありなのでサイコロをパラメータ○○個分振って……ただし前のターンの毒が効いてるのでアジリティがマイナス1で……」
みたいな処理で動くので、どうしてもテンポが悪い。面白いけど待ちが長いし、自分の番でも数値が飛び交いなにが起きているかはっきりわからず、萌が招いた SP ら子供はややノリ悪し。アメリカ/カナダのゲーマーは本当にこういうパラメータものが好きだよな。ディテイルにアイデアを盛り込むと面白く(というか interesting - 興味深く)なるのは当然だが、スピードは反比例して落ちるのだ。
こういう面倒処理をオートですっ飛ばすためにコンピュータ RPG ができたわけだが、多人数 TRPG には対戦や協力などこれならではの楽しみがあるのはよくわかる。裏切り者役は楽しかったしね。だから要は計算を単純にしてスピードを上げてくれたらいいのだがな。パラメータをいじるのはヒットポイントとスピードくらいにしておいて、細かい数値シートを参照せずとも盤上のビジュアルだけで進められるよう単純化したら、短時間で大きな邸をくまなく周り、事件があちこちで発生して楽しいんじゃないかと思った。
まあ考えてみれば現代ドイツ・ユーロゲーム群というのはおそらく、俺が望むような単純化をイントレスティングなゲーム理論群に対し行い、処理量をそぎ落として面白さを抽出し生まれてきたものなのだろう。短気で何ごとも最適化しないと気が済まない俺がそっちにより心動かされるのは当然のことだ。逆に北米ゲーマーたちはユーロゲームに対して、「メカニクス(抽出された面白さ=ゲーム性)しかない」とディテイルの不足を批判するわけだしな。
今日は 90 分で終了。ゲームは面白いのでそんなに長くは感じなかったけど、カルカソンヌとコロレット以外のボードゲームは未体験の SP には明らかに重すぎた。彼女には Dixit みたいなパーティゲームをやらせてやりたかったな。
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これで俺たちは帰宅となったのだが、今日のゲーム会には「ドミナントスピーシーズ」という珍しいゲームを持ち込んでた新顔君がいた。「これは聞いたことがあるよ。面白い?」と聞くと、「いや実はまだやったことがない」という。「他には RPG っぽいルーンバウンドも拡張まで全部持ってる……だけどあまりプレイする機会がない」という。
どうも好きなゲームはその拡張まで全部揃えずにはいられないという、強度のコレクターなヒトらしいw 「んじゃ、ゲームがやりたくなったら連絡してくれよ。あまり長いのは苦手なんだけど、ミドル級までならいくらでも付き合うよ」と伝えておいた。なんかいいのを掘り出してきてくれないかな :-)。
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■12/09/22(土) □ 欧米の説明書
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強欲商人が金を貯めすぎ殺される物語……的な
MK が一気に多数のボードゲームを買いすぎたためプレイされず死蔵されてたものの中にクラシックカードゲーム「あやつり人形」があったので、これは俺がもらっておくと借りてきた。ルールを読み1人2役でやってみる。王、暗殺者、泥棒、建築家といったさまざまなキャラクターを選ぶことでその能力を使い建物カードを建てていくゲームで、コツコツお金をため建物を買っていくのはそれだけで楽しいが、肝心の役割選択部分のルールがよくわからない。王が暗殺者を取って王を殺せば永遠に手番が変わらないではないか。そんなシステムの穴があるゲームなわけがないのだが。
欧米のボードゲームは例外なく説明書がわかりにくい。学校の通知でもなんでもそうだが、欧米人は全部を読まないと細部がわからないような書き方ばかりする。時系列や箇条書きを使うことによって、何も知らない人が流し読んでビジュアルに概要が掴める説明を書くということができないのだ。
でルールが全部わかった後から読むと、例外処理の方法(この場合は殺された王がどうなるか)は次のページに書いてあったわみたいなケースが多い。「それは次ページにちゃんと書いてある。目を通さないユーが悪い。イッツユー!」というわけである。そんなアナタ、裁判に勝つために説明書を書いてるわけじゃないんだから。未知のプレイヤーは不明な場所があれば「あれ、おかしいな(矛盾が出るから)王を暗殺してはいけないんだっけ?」とルールブックの前の方は見るが、後ろのページは見ないのである。ルールを知らない者にとって、後ろのページは未知の迷いの森だから。だから疑問点はそれが出る時点で、つまり時系列で書いといてくれないと詰まってしまうのだ。
ともあれ、毎度のことながら説明書じゃよくわからんので BoardGameGeek のフォーラムなどあちこちを読んで役割選択がわかり、コインがたまると面白くなってきた。「緑の建物が多いから商人を取ると1ターンで5金入る」といったインセンティブがうまく働くわけである。当然暗殺者や泥棒はそれを読み商人を狙う。これは面白そう。
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■12/09/23(日) □ 画伯復活の兆し
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萌の絵のうまさが突然戻った。壁を破った。お母さんの絵。似てる(笑)。―――土曜にバンクーバーアートギャラリーでマチスを見たからうまくなったのかと聞くと「そうなの」とうなづく。ホントか? 最近バドミントンもうまくなっているし、身長ドカ伸び&反抗期突入から1年とひと夏を過ぎ、心身のバランスが取れてきたのかな。
◇
昨日今日であやつり人形をソロで計3ゲームほどやってみた。これは面白い。同色の建物カードを揃えるだけで収入がどんと増え高価な建物に手が届くため、簡単な仕組みなのに拡大再生産の加速感がちゃんと出る。しっかりとした構築(前の努力が後につながる)感があるし、敵がそれを止める攻撃手段も用意されている。その攻撃をさらに読んで裏を取るという戦術的な面白さが濃厚にある。ミニ建物を速攻で8枚建てフィニッシュなどという戦術もあるそうで、ドミニオンなどより見通しもコントロールも効く。これはいいゲームだな。
名探偵コナンの犯人と殺され役勢揃いという感じのキャラの絵柄は好きじゃないが、建物の絵柄はどれもいいし、カードの品質は非常に高く美しい。得点が高い大きな建物やプラス効果のある紫建物を建てると非常にうれしいのである。建築、つまり苦労してお金を貯めものを買う楽しさはグレンモア以上で、サンファン・プエルトリコに近い。せっかく建てたものを壊されると腹煮えくり返りそうだが :-)。
これはいったんM萌をその気にできたら、あっさりしすぎて大ヒットにならなかったコロレット、3人では盛り上がらないお邪魔者に代わり、ちょっと遊びたい時に最適なゲームになるんじゃないかな。
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■12/09/26(水) □ あやつり人形実戦
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MK のところで「あやつり人形」をようやくプレイ。事前に1人で何度も回して感じていた通りの面白さ、スピーディな3人戦でおお受けし、2連荘となる。これはいいゲームだ。
初戦はルール説明がてらのテストプレイ。3人ともゲーマーだったので2戦目はもう本気で、各種職業のメリットを生かし攻撃を受けたり交わしたりしつつガンガンと建築していく。2~3人戦だと役割を2枚取るというルールが効いていて、暗殺者と泥棒が暗闘している間に攻撃されなかった2枚目が仕事を進めていく感じになる。RPG パーティの前衛と後衛といった感じで、たとえ前衛が暗殺者にやられても後衛を使いうまく建設していくという感じ。非常によろしい。これは多人数だとシビアで少人数だと軽く楽しいゲームなんじゃないかな。
今日も会うなりいきなり挨拶もせず自分の持ちゲームのルールをとうとうと説明するほどのゲームマニアである BR 青年(ドミナントスピーシーズを持ってるがプレイしたことがないという彼w)が、中盤に建築家を使いいきなり小建物3軒を建て7軒となってしまう。やられた!
このままでは次のラウンドで8軒となり負けるが、もう彼の建物を壊す時間がない。そこでどうやって自分の点を最大化するかを熟考し、1ラウンドで2軒建て5色揃えのボーナスを取り見事逆転。ヨシ。しかし彼が9軒めを建てて再逆転し、ゲームセット。うーん、いいゲームだった。
「俺が取った時に暗殺者がなかったからAが取った可能性が 50%、俺が泥棒で次のラウンドで商人が消えたからBが取った可能性が 50%」と考えていけば攻撃と防御のヒット率は上がるだろうが、実際にやってみるとそこまでは考えきれないし、考えるとテンポが落ち面倒になる。BR はそうやってカウンティングしていたが、それは彼がマニアックなゲーマーかつ計算好きな人だからで、俺はそこまでは考えてなかった。
しかしそれでも「このターンで MK はたぶん王を取る。暗殺者を取れば殺せる」「MK か BR が俺の金を狙ってくるから、俺にメリットがない傭兵を取れば狙いをやり過ごせる」くらいは場の流れで自然に読めるし(敵のモチベーションがヒントになる)、それはとてもドキドキすることで、当たっても外れても超楽しいのである。やってもやられても楽しい。
お手軽なカードゲームなのに、俺がゲームにほしいスピードと加速感、拡大再生産、ギャンブルとリターン、ラック、敵の裏をかくこと、逆にダマされること、いい手を思いついてドキドキと実行すること、思いがけぬ手を打たれ唸ること――そんなこんながここに全部入ってる。これは傑作ですね。
カードを立てて隠して置く楽しさも久々に味わったな。カード立てのいいのが欲しくなってしまった。これは買いだ。当分俺がキープし、自分のコピーも是非買おう。
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■12/09/29(土) □ あやつり人形@ホーム
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本日は日本語勉強会で教師ワタクシに叱られ機嫌が悪くボードゲームやる気ゼロだったムスメを入れて初の【あやつり人形】@ホーム。序盤はルールもわからんしナニコレ最悪というグダグダ態度の彼女だったのだが、盗みが成功して巨万の富を得大きな建物を建てたあたりでスイッチが入る。
そこからはお父さん早くしてよ遅いわよなんなのどゆことと職業選択を急かし、「建築家で2軒!」などとビシバシと建物を建てていく娘。俺と MK がムスメ建物の破壊などは手控えたせいもあって、8軒建てのボーナスも得て見事勝利。これはインスト成功感高し :-)。
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■12/09/15(土) □ 初めての日本語ワークショップ
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今日は初めての日本語勉強会。俺が先生となり、萌とLちゃん(共に12歳中2、日本語会話は完璧だが語彙と読み書き力が小学校低学年レベル)に教えることになる。初回の手応えはなかなかよかった。
時間割としては最初の1時間は一緒に JLPT(外国人向け日本語検定)問題集をやり、後はそれぞれの語彙ビルド課題をやるという感じ。JLPT の何がいいかというと、日本の国語教科書を使い漢字ドリルをやる(――つまり日本の伝統国語教育法を踏襲する――)日本人子弟向け日本語学校と違い、『漢字が書けなくても見て意味がわかれば OK(テストの回答は常に4択)』というユルい方針で、外国人向けにより生活用語方面に即した学習要素が組まれていることである。
今日やったのはポスターを見て情報を読み取るという課題で、これはクイズだから子供にも楽しいに決まっている。このクイズに答えつつ、「夏物」「最終」「雑貨」とはなにかとトピックにまつわる用語を拾い解説し、必要に応じノートを作らせていった。こういう題材は長い文章が続く国語教科書よりも楽しいし、シチュエーションに言葉が織り込まれているので記憶しやすい。これがつまりうちのM先生が専門のグローバルエデュケーション(総合・複合・寄り道をキモとする教育思想)だろう。
考えてみれば国語教科書のように文芸作品などの抜粋を使い長文読解する英語学習テキストなんて俺は使ったことがないわけで、あんな高度なものを外国で暮らす子供の日本語学習に使うのは相当に無理があると思う。もっと早くこっちに気づけばよかったと思っている。
◇
言語学習はやったことを記憶に定着させるのが難しいわけだが、それは作った単語ノート(一覧)とテキスト(文脈)をクロスリファレンスとして使い、何度もレビューさせるしかないだろうな。一覧や単語カードだけで丸暗記なんてできないが、文脈があれば覚えられる。この併用のコツを子供の身につけさせたいわけである。このノート作りはやりながら手探り即興でやってみた学習法だが、要は俺が英語を自習したのと同じことをやっぱりやっているなと思った。
萌に集中力がないのが弱りものだったが、まあこれは人の家に来ているという高揚感もあるかもしれん。それに家で俺と2人だけでやっていたらもっと集中せずただケンカになるだけなので、こうしてワークショップ仕立てにする意義は大きい。
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MK がボードゲームを大量に買ったとの知らせ。なにを買ったのよとワクワクして聞いてみたら、
Miskatonic School for Girls (ミニスカトニック女学院)
Yggdrasil (ユグドラシル)
Betrayal at the House on the Hill (丘の上の裏切者の館)
1つも知らん(笑)。つまり日本で話題になるようなドイツなゲームではないらしい。どうもやつの行くゲーム屋にはユーロなゲームはあまり入ってこないようだ。きっと世界のボードゲームはドイツ系とアメリカ系に大分できて、日本は前者、カナダは後者に属するんだろうな。アメリカ系はパラメータが細かくあってルールが複雑で+-表を参照しながらやるイメージで、食指が進まない。実際ボードゲーム開眼時にそういうゲームに当たっていたら、俺は「まあこういうのもあるだろうね」くらいで興奮してなかったと思う。
セールで一気買いしたとのことでこの他にもあるらしく、明日のゲーム会ではお化け屋敷的から逃げ惑うという「丘の上の裏切者の館」をやってみたいと発注しておいた。
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■12/09/16(日) □ 丘の上で米欧ゲームを思う
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MK 家ゲーム会に行きたかったのだが、4時までずっとMと庭仕事。ゲーム会の最後だけ参加し、「丘の上の裏切者の館 (Betrayal at the House on the Hill) 」をプレイした。お化け屋敷に迷い込んだ冒険者たちが出口を求めさまよう TRPG(テーブルトーク RPG)系ゲームである。冒険者の1つ1つに微妙な能力とひとクセある容貌のフィギュアがついている。微細画で描かれたタイルを引いて置くことで新たな展開を持つ部屋が次々に開かれていくのは実に魅力的で、その部屋に入ることによってイベントカードが引かれ、敵が襲ってくるとか落とし穴に落ちるといったイベントが発生するわけ。
中盤俺が裏切り者にノミネートされ(くじ引き的な強制)、すると「裏切りの書」を持って別室に行きそれを読まされるというのがおかしかった。この書に書かれた裏切り行動要領と勝利条件に則り冒険者たちの邪魔をするわけである。俺がそれを読んでいる間に、残りメンバーも冒険者側の勝利条件を話し合うという段取り。なるほど。
このお邪魔者役の仕事は「呪いのミイラ」のミイラ役のようで、「そっちか今行く待っておれー(コロコロ)」とサイコロを転がし冒険者を追い詰め、超たのしかった。結局退治され負けたが。
◇
Web で読んだ説明から想像と期待した通りのゲームで面白かったが、しかしこうした TRPG 系は不可避的に
「敵パラメータの○○が3だからサイコロ3個を振って、自分のシートのライフの値より大きければダメージありなのでサイコロをパラメータ○○個分振って……ただし前のターンの毒が効いてるのでアジリティがマイナス1で……」
みたいな処理で動くので、どうしてもテンポが悪い。面白いけど待ちが長いし、自分の番でも数値が飛び交いなにが起きているかはっきりわからず、萌が招いた SP ら子供はややノリ悪し。アメリカ/カナダのゲーマーは本当にこういうパラメータものが好きだよな。ディテイルにアイデアを盛り込むと面白く(というか interesting - 興味深く)なるのは当然だが、スピードは反比例して落ちるのだ。
こういう
まあ考えてみれば現代ドイツ・ユーロゲーム群というのはおそらく、俺が望むような単純化をイントレスティングなゲーム理論群に対し行い、処理量をそぎ落として面白さを抽出し生まれてきたものなのだろう。短気で何ごとも最適化しないと気が済まない俺がそっちにより心動かされるのは当然のことだ。逆に北米ゲーマーたちはユーロゲームに対して、「メカニクス(抽出された面白さ=ゲーム性)しかない」とディテイルの不足を批判するわけだしな。
今日は 90 分で終了。ゲームは面白いのでそんなに長くは感じなかったけど、カルカソンヌとコロレット以外のボードゲームは未体験の SP には明らかに重すぎた。彼女には Dixit みたいなパーティゲームをやらせてやりたかったな。
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これで俺たちは帰宅となったのだが、今日のゲーム会には「ドミナントスピーシーズ」という珍しいゲームを持ち込んでた新顔君がいた。「これは聞いたことがあるよ。面白い?」と聞くと、「いや実はまだやったことがない」という。「他には RPG っぽいルーンバウンドも拡張まで全部持ってる……だけどあまりプレイする機会がない」という。
どうも好きなゲームはその拡張まで全部揃えずにはいられないという、強度のコレクターなヒトらしいw 「んじゃ、ゲームがやりたくなったら連絡してくれよ。あまり長いのは苦手なんだけど、ミドル級までならいくらでも付き合うよ」と伝えておいた。なんかいいのを掘り出してきてくれないかな :-)。
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■12/09/22(土) □ 欧米の説明書
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強欲商人が金を貯めすぎ殺される物語……的な
欧米のボードゲームは例外なく説明書がわかりにくい。学校の通知でもなんでもそうだが、欧米人は全部を読まないと細部がわからないような書き方ばかりする。時系列や箇条書きを使うことによって、何も知らない人が流し読んでビジュアルに概要が掴める説明を書くということができないのだ。
でルールが全部わかった後から読むと、例外処理の方法(この場合は殺された王がどうなるか)は次のページに書いてあったわみたいなケースが多い。「それは次ページにちゃんと書いてある。目を通さないユーが悪い。イッツユー!」というわけである。そんなアナタ、裁判に勝つために説明書を書いてるわけじゃないんだから。未知のプレイヤーは不明な場所があれば「あれ、おかしいな(矛盾が出るから)王を暗殺してはいけないんだっけ?」とルールブックの前の方は見るが、後ろのページは見ないのである。ルールを知らない者にとって、後ろのページは未知の迷いの森だから。だから疑問点はそれが出る時点で、つまり時系列で書いといてくれないと詰まってしまうのだ。
ともあれ、毎度のことながら説明書じゃよくわからんので BoardGameGeek のフォーラムなどあちこちを読んで役割選択がわかり、コインがたまると面白くなってきた。「緑の建物が多いから商人を取ると1ターンで5金入る」といったインセンティブがうまく働くわけである。当然暗殺者や泥棒はそれを読み商人を狙う。これは面白そう。
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■12/09/23(日) □ 画伯復活の兆し
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萌の絵のうまさが突然戻った。壁を破った。お母さんの絵。似てる(笑)。―――土曜にバンクーバーアートギャラリーでマチスを見たからうまくなったのかと聞くと「そうなの」とうなづく。ホントか? 最近バドミントンもうまくなっているし、身長ドカ伸び&反抗期突入から1年とひと夏を過ぎ、心身のバランスが取れてきたのかな。
◇
昨日今日であやつり人形をソロで計3ゲームほどやってみた。これは面白い。同色の建物カードを揃えるだけで収入がどんと増え高価な建物に手が届くため、簡単な仕組みなのに拡大再生産の加速感がちゃんと出る。しっかりとした構築(前の努力が後につながる)感があるし、敵がそれを止める攻撃手段も用意されている。その攻撃をさらに読んで裏を取るという戦術的な面白さが濃厚にある。ミニ建物を速攻で8枚建てフィニッシュなどという戦術もあるそうで、ドミニオンなどより見通しもコントロールも効く。これはいいゲームだな。
名探偵コナンの犯人と殺され役勢揃いという感じのキャラの絵柄は好きじゃないが、建物の絵柄はどれもいいし、カードの品質は非常に高く美しい。得点が高い大きな建物やプラス効果のある紫建物を建てると非常にうれしいのである。建築、つまり苦労してお金を貯めものを買う楽しさはグレンモア以上で、サンファン・プエルトリコに近い。せっかく建てたものを壊されると腹煮えくり返りそうだが :-)。
これはいったんM萌をその気にできたら、あっさりしすぎて大ヒットにならなかったコロレット、3人では盛り上がらないお邪魔者に代わり、ちょっと遊びたい時に最適なゲームになるんじゃないかな。
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■12/09/26(水) □ あやつり人形実戦
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MK のところで「あやつり人形」をようやくプレイ。事前に1人で何度も回して感じていた通りの面白さ、スピーディな3人戦でおお受けし、2連荘となる。これはいいゲームだ。
初戦はルール説明がてらのテストプレイ。3人ともゲーマーだったので2戦目はもう本気で、各種職業のメリットを生かし攻撃を受けたり交わしたりしつつガンガンと建築していく。2~3人戦だと役割を2枚取るというルールが効いていて、暗殺者と泥棒が暗闘している間に攻撃されなかった2枚目が仕事を進めていく感じになる。RPG パーティの前衛と後衛といった感じで、たとえ前衛が暗殺者にやられても後衛を使いうまく建設していくという感じ。非常によろしい。これは多人数だとシビアで少人数だと軽く楽しいゲームなんじゃないかな。
今日も会うなりいきなり挨拶もせず自分の持ちゲームのルールをとうとうと説明するほどのゲームマニアである BR 青年(ドミナントスピーシーズを持ってるがプレイしたことがないという彼w)が、中盤に建築家を使いいきなり小建物3軒を建て7軒となってしまう。やられた!
このままでは次のラウンドで8軒となり負けるが、もう彼の建物を壊す時間がない。そこでどうやって自分の点を最大化するかを熟考し、1ラウンドで2軒建て5色揃えのボーナスを取り見事逆転。ヨシ。しかし彼が9軒めを建てて再逆転し、ゲームセット。うーん、いいゲームだった。
「俺が取った時に暗殺者がなかったからAが取った可能性が 50%、俺が泥棒で次のラウンドで商人が消えたからBが取った可能性が 50%」と考えていけば攻撃と防御のヒット率は上がるだろうが、実際にやってみるとそこまでは考えきれないし、考えるとテンポが落ち面倒になる。BR はそうやってカウンティングしていたが、それは彼がマニアックなゲーマーかつ計算好きな人だからで、俺はそこまでは考えてなかった。
しかしそれでも「このターンで MK はたぶん王を取る。暗殺者を取れば殺せる」「MK か BR が俺の金を狙ってくるから、俺にメリットがない傭兵を取れば狙いをやり過ごせる」くらいは場の流れで自然に読めるし(敵のモチベーションがヒントになる)、それはとてもドキドキすることで、当たっても外れても超楽しいのである。やってもやられても楽しい。
お手軽なカードゲームなのに、俺がゲームにほしいスピードと加速感、拡大再生産、ギャンブルとリターン、ラック、敵の裏をかくこと、逆にダマされること、いい手を思いついてドキドキと実行すること、思いがけぬ手を打たれ唸ること――そんなこんながここに全部入ってる。これは傑作ですね。
カードを立てて隠して置く楽しさも久々に味わったな。カード立てのいいのが欲しくなってしまった。これは買いだ。当分俺がキープし、自分のコピーも是非買おう。
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■12/09/29(土) □ あやつり人形@ホーム
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本日は日本語勉強会で教師ワタクシに叱られ機嫌が悪くボードゲームやる気ゼロだったムスメを入れて初の【あやつり人形】@ホーム。序盤はルールもわからんしナニコレ最悪というグダグダ態度の彼女だったのだが、盗みが成功して巨万の富を得大きな建物を建てたあたりでスイッチが入る。
そこからはお父さん早くしてよ遅いわよなんなのどゆことと職業選択を急かし、「建築家で2軒!」などとビシバシと建物を建てていく娘。俺と MK がムスメ建物の破壊などは手控えたせいもあって、8軒建てのボーナスも得て見事勝利。これはインスト成功感高し :-)。
2012/09/28
日記「タフなカナダのティーンライフ」
「センチメンタルジャーニー」「キモノパーティ」「スチルカメラの力」「田舎のロックフェス」「日本語テキストブック」
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■12/09/01(土) □ センチメンタルジャーニー
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帰国初日、家の冷蔵庫には当然なにも入ってないので、階下のおばあちゃんところからミルクを借りてシリアルを食う。考えてみれば日本にいて食わなかったのはラーメンとシリアルだな。ラーメンは日本が暑すぎたからで、シリアルだけはカナダのほうがうまいから。
ひと月分のメールその他を消化する。個人メールはもちろん日本でも受信していたのだが、8月初旬に読み書きしたものを再度目にすると、オリンピックで寝不足だったあの夏のおばあちゃんちの気持ちが蘇り、切なくなる。萌も楽しかった夏の日々の写真を眺めてはため息をつき、「なんか甘悲しい気持ちがする」と言っている。センチメンタルジャーニー。
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■12/09/02(日) □ キモノパーティ
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萌は帰国後、起きてる時間はずっと TV を見ている。カナダは TV チャンネルが多すぎ、子供は TV を見過ぎるんだよな。何十チャンネルもあり人気番組は何十回もリピートされてるおかげで、Mも萌も何か何か好きな番組を見つけては1日じゅうだって TV を見ていられる。日本じゃ子供が見て面白い番組なんてそんなにないから、TV だけずっと見てるなんて不可能である。日本の子供にとっては TV なんてそんなに面白くないのだ。
Mは日本の子供は TV ゲームをやりすぎると言い実際その通りではあるが、何一つ新しい笑いが出てこない SAME OLD アメリカ製 TV コメディを見るよりも、ゲーム内で工夫してなにかを作ったり問題を解決していくほうがよほどクリエイティブで子供らしいだろう。萌にはなにか面白いゲームをやってほしいと思う。DS の「バンドブラザーズ」をやってた頃なんかすばらしく創造的だったよ。
◇
午後SPを呼んでおみやげを渡しキモノパーティとなる。このSPが着てる方のキモノは萌が東寺マーケットでおみやげに買ったものだが、コンディションがよく素晴らしく美しい。萌が着てるのはおばあちゃんのイトコ(?)にあたる方が少女時代に着ていたものだそうだ。そんなものがまだ着れるんだから、すごいことだよな。美しい。
萌は大学生になったらSPと一緒に日本に留学したいなんてけっこう本気で言っている。SPは実に明るくイージーな子で、2人は子供の頃のままの表情でゲラゲラ笑っている。学校の友達がみんな彼女みたいにイージーな子ならば、萌の人生はハッピーなのだがなあ。萌は他の子と一緒にいるときはどこか気を張っていると思う。
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■12/09/05(水) □ タフなカナダのティーンライフ
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今日萌を迎えに学校に行くとSLと話していたのだが、帰ると暗い顔をしていた。ケンカ等があったわけじゃないが、あのグループは気の強い子ばかりなので気疲れするんだろう。日本でひと月年下のイトコたちと思いっきり子供らしい生活をした萌は学校が始まった今週、日本的イノセンスとカナダ的クールの両方から引っ張られているのが見ていてよくわかる。仲のいい「クール&ポピュラーガールズ」と共にクールでいたいけれど、イノセントだった日本での自分も好きなのだ。難しいな。
日本のことを話したかとMに聞かれた萌は、「そんなの誰も興味ないし」と堅い表情で答えた。Mによるとティーンにとっては現在のこと、学校のこと、友達やボーイズのことが「クール」なのであり、家族のこと、親戚と過ごしたことなんかは「アンクール」なのだという。日本語で言えば「そんなのイマ関係ねえし」とバッサリと切り捨てるメンタリティが支配的なんだろうな。そんな話題を持ち出すことすら憚れるんだろう。
そんな疲れる背伸びソーシャルライフはさっさとやめて、SPのようなハッピーな友達やナードな趣味仲間を作っていけば無用なストレスから遠ざかりハッピーになれるはずなのだが、周りにどんな子がいるかなんて自分でコントロールできないわけで、そんなにうまくはいかないよな。カナダのティーンライフは本当にタフだと思う。
Mはこうしたカナダのティーンライフをすごく嫌っていて、「日本に住んだらこの環境からは離れられるけど、でも日本だってイジメとか深刻らしいし、どこに行っても子供は大変よね」と溜息をついている。
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■12/09/06(木) □ スチルカメラの力
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今朝は完璧日本式弁当を作成。おばあちゃんの梅漬けのおにぎり、塩麹サケ、親戚の関谷醸造でいただいた味噌&きゅうり、麦茶、そしてむかしの宗石亭の包装紙という、萌のスキのないオーダーにきちんとお応えしました。
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旅行中メモ程度にしか書けなかった日記をまとめブログにアップしようとすると、案外京都や信州観光地の写真が少ないことに気づく。暑くて暑くて屋外では立ち止まるのも嫌でなかなか写真を取れなかった上に、ビデオとカメラを両方携帯してたのが失敗だった。ビデオはスチルカメラのおまけ動画程度にしておいて、写真の枚数を稼ぐべきだった。ビデオは撮ってもやっぱ見ないわ。旅行はビデオよりスチルだと改めて思う。子供が大きくなるとビデオの出番は習い事やスポーツ関連だけだな実際。
MIさんが斑尾と戸隠で撮った写真ももらえ、これがまたいい写真ばかりで助かったのだが、リコーとパナソニックは画質がシャープな分やや絵柄が平板な感じがする。俺のキャノンはホワイトバランスをグリーン気味にセットしてあり露光も常時1つ上げてあるのだが、この甘い画質が日本での俺と萌のホンワカおめでた気分をうまく表してくれている。よくよく見るとレンズのシャープさ(ピントかな?)が甘くなってきた感はあるしこの旅でファインダーにゴミが入っちゃったけど、そこは我慢して使っていこう。
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■12/09/09(日) □ 田舎のロックフェス
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昨夜信州須坂ミュージックフェスという史上初らしいイベントのネット放送があり、見ているとなんと長野の長老バンド So-Do のアクタさんが出てきたので、市民向けの某所で So-Do などのリアルタイム解説をしながら見ていた。
しかしこれを書いている間反応はなし。町ではこのフェス自体が盛り上がってなかったんだろうな。須坂というのはライブハウスもなく本当に音楽不毛の地で、このフェスティバルに出た人たちも見ていた人たちも、基本的に有名なミュージシャンでしか音楽を体験したことがないのだろうと思う。小さなライブハウスでアクタさんのような素性の分からぬ体験したことのないたぐいの音を聞いたり、そういう場所で厳しい目線にさらされ演奏したことはそんなにないんじゃないかな。
「♪電気ガスに水道、それに家賃。保険も少々入っておかなくちゃ。
キミが疲れて眠る頃、僕は座ってギター弾いてる。
アリとキリギリス、いつもすまないね」
俺とMは長野の焼き鳥屋でたまたまアクタさんと同席し、この歌を歌ってもらい感動したことがあるのだが、貧乏ブルースマン・アクタさんのこの男おいどんペーソスは、どうも理解されてなさそうな客席の静かさだった。3曲め Everybody Must Get Stoned ではジミーペイジばりの華麗な生ギターソロもあったのだが、その薄くも素晴らしく充実した音に拍手が沸くこともなかったのである。残念。
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■12/09/14(金) □ 日本語テキストブック
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今年から日本語学校をやめ俺が教えることにした萌の日本語勉強用に、「日本語能力試験 N3(日本語勉強歴半年~1年向け)」というテキストを日本で買ってきたのだが、のっけから
『広告の少ない文字数の中から、情報を読み取ります。「募集」とは……』
なんて文体の説明が2ページに渡ってびしーっと書いてある。全部ふりがなは振ってあるが、学習者にこの説明が読解できるとも思ってるのかな。なんだこれは。これしか見つからず買ってきたんだけど、基本的に日本語学習者に日本で解説をするテキストは役に立たん。もちろん俺が教えるわけだからわからんところは補助できるが、こんな内容ではワークブックの大半が使いものにならないわけである。
日英併記のテキストを探さねばと検索するが、アマゾンでもロクなものが見つからない。日本語教育は英語教育よりよほど後進的なんだろうな。
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本屋で日本語テキストを探す。完璧なものは見つからないが、俺が英語を習ったときに使ったようなロジカルな構成のワークブックが見つかった。JLPT 4-5 で必要な漢字のすべてにその成り立ちが、つまり
「にんべん」は人を表し、「云」は言葉を表すので、「伝」は communication となる
みたいな説明が【英語で】書いてある。これは俺がこれまで見たすべての日本語教科書を超えている。俺が日本語学習者ならばこれを使うだろう。ちょっと真面目過ぎて子供の教科書としては堅いのだが、そこは他のテキスト等で補うとして漢字読み訓練はこれをベースにしていこう。
このように学習対象を【わかり】【納得】することが学習には大事なわけで、日本人は完璧に駆使できる日本語を使い外国語を【わかり】【納得】して覚えればいいし、カナダ人は英語を使えばいいのだ。大事なことは仕組みを理解し納得し、意味のある記憶としていくことなのだから。
言語学習はどこの言葉も原語絶対主義が強くて、学習対象言語以外の言葉を使うことを拒否し、いいからそのまま飲み込め、習うより慣れろと母語を廃す。この原語絶対主義は効率が悪い上に、学習者の知的ポテンシャルをフルに発揮することを不可能にすると思う。会話訓練は口を動かし耳を鍛えることが眼目なので母語を使ったら意味がないが、文法・構造理解と語彙学習は、学習者のありとあらゆる知的能力を使い簡易化し定着させるべきだろう。その能力のベースとなるのが母語なわけである。
というわけで、萌たちにふさわしい、最も効率のいい=ラクして身になる日本語学習法を探していきたい。
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■12/09/01(土) □ センチメンタルジャーニー
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帰国初日、家の冷蔵庫には当然なにも入ってないので、階下のおばあちゃんところからミルクを借りてシリアルを食う。考えてみれば日本にいて食わなかったのはラーメンとシリアルだな。ラーメンは日本が暑すぎたからで、シリアルだけはカナダのほうがうまいから。
ひと月分のメールその他を消化する。個人メールはもちろん日本でも受信していたのだが、8月初旬に読み書きしたものを再度目にすると、オリンピックで寝不足だったあの夏のおばあちゃんちの気持ちが蘇り、切なくなる。萌も楽しかった夏の日々の写真を眺めてはため息をつき、「なんか甘悲しい気持ちがする」と言っている。センチメンタルジャーニー。
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■12/09/02(日) □ キモノパーティ
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萌は帰国後、起きてる時間はずっと TV を見ている。カナダは TV チャンネルが多すぎ、子供は TV を見過ぎるんだよな。何十チャンネルもあり人気番組は何十回もリピートされてるおかげで、Mも萌も何か何か好きな番組を見つけては1日じゅうだって TV を見ていられる。日本じゃ子供が見て面白い番組なんてそんなにないから、TV だけずっと見てるなんて不可能である。日本の子供にとっては TV なんてそんなに面白くないのだ。
Mは日本の子供は TV ゲームをやりすぎると言い実際その通りではあるが、何一つ新しい笑いが出てこない SAME OLD アメリカ製 TV コメディを見るよりも、ゲーム内で工夫してなにかを作ったり問題を解決していくほうがよほどクリエイティブで子供らしいだろう。萌にはなにか面白いゲームをやってほしいと思う。DS の「バンドブラザーズ」をやってた頃なんかすばらしく創造的だったよ。
◇
午後SPを呼んでおみやげを渡しキモノパーティとなる。このSPが着てる方のキモノは萌が東寺マーケットでおみやげに買ったものだが、コンディションがよく素晴らしく美しい。萌が着てるのはおばあちゃんのイトコ(?)にあたる方が少女時代に着ていたものだそうだ。そんなものがまだ着れるんだから、すごいことだよな。美しい。
萌は大学生になったらSPと一緒に日本に留学したいなんてけっこう本気で言っている。SPは実に明るくイージーな子で、2人は子供の頃のままの表情でゲラゲラ笑っている。学校の友達がみんな彼女みたいにイージーな子ならば、萌の人生はハッピーなのだがなあ。萌は他の子と一緒にいるときはどこか気を張っていると思う。
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■12/09/05(水) □ タフなカナダのティーンライフ
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今日萌を迎えに学校に行くとSLと話していたのだが、帰ると暗い顔をしていた。ケンカ等があったわけじゃないが、あのグループは気の強い子ばかりなので気疲れするんだろう。日本でひと月年下のイトコたちと思いっきり子供らしい生活をした萌は学校が始まった今週、日本的イノセンスとカナダ的クールの両方から引っ張られているのが見ていてよくわかる。仲のいい「クール&ポピュラーガールズ」と共にクールでいたいけれど、イノセントだった日本での自分も好きなのだ。難しいな。
日本のことを話したかとMに聞かれた萌は、「そんなの誰も興味ないし」と堅い表情で答えた。Mによるとティーンにとっては現在のこと、学校のこと、友達やボーイズのことが「クール」なのであり、家族のこと、親戚と過ごしたことなんかは「アンクール」なのだという。日本語で言えば「そんなのイマ関係ねえし」とバッサリと切り捨てるメンタリティが支配的なんだろうな。そんな話題を持ち出すことすら憚れるんだろう。
そんな疲れる背伸びソーシャルライフはさっさとやめて、SPのようなハッピーな友達やナードな趣味仲間を作っていけば無用なストレスから遠ざかりハッピーになれるはずなのだが、周りにどんな子がいるかなんて自分でコントロールできないわけで、そんなにうまくはいかないよな。カナダのティーンライフは本当にタフだと思う。
Mはこうしたカナダのティーンライフをすごく嫌っていて、「日本に住んだらこの環境からは離れられるけど、でも日本だってイジメとか深刻らしいし、どこに行っても子供は大変よね」と溜息をついている。
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■12/09/06(木) □ スチルカメラの力
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今朝は完璧日本式弁当を作成。おばあちゃんの梅漬けのおにぎり、塩麹サケ、親戚の関谷醸造でいただいた味噌&きゅうり、麦茶、そしてむかしの宗石亭の包装紙という、萌のスキのないオーダーにきちんとお応えしました。
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旅行中メモ程度にしか書けなかった日記をまとめブログにアップしようとすると、案外京都や信州観光地の写真が少ないことに気づく。暑くて暑くて屋外では立ち止まるのも嫌でなかなか写真を取れなかった上に、ビデオとカメラを両方携帯してたのが失敗だった。ビデオはスチルカメラのおまけ動画程度にしておいて、写真の枚数を稼ぐべきだった。ビデオは撮ってもやっぱ見ないわ。旅行はビデオよりスチルだと改めて思う。子供が大きくなるとビデオの出番は習い事やスポーツ関連だけだな実際。
MIさんが斑尾と戸隠で撮った写真ももらえ、これがまたいい写真ばかりで助かったのだが、リコーとパナソニックは画質がシャープな分やや絵柄が平板な感じがする。俺のキャノンはホワイトバランスをグリーン気味にセットしてあり露光も常時1つ上げてあるのだが、この甘い画質が日本での俺と萌のホンワカおめでた気分をうまく表してくれている。よくよく見るとレンズのシャープさ(ピントかな?)が甘くなってきた感はあるしこの旅でファインダーにゴミが入っちゃったけど、そこは我慢して使っていこう。
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■12/09/09(日) □ 田舎のロックフェス
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昨夜信州須坂ミュージックフェスという史上初らしいイベントのネット放送があり、見ているとなんと長野の長老バンド So-Do のアクタさんが出てきたので、市民向けの某所で So-Do などのリアルタイム解説をしながら見ていた。
2012/09/09(日) 14:44:00
長野で一番のバンド、SoDoのアクタさんとキンボーだ! 始まるよ。須坂ミュージックフェス。 (録画 - 0:50から「キンボーバンド」) http://www.ustream.tv/recorded/25284798
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(♪アリとキリギリス)やっぱいいなアクタさん。キンボーが須坂出身なんですよね。僕が高校の頃(70年代)先輩ドラマーとしてキンボーは有名だったのです。
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高校の学祭に見に行ったら、当時おそらく20くらいだったキンボーのバンドがゲストでクラプトンの「アフターミッドナイト」をやっていて、「すげえ16ビートだ」とぶったまげました。当時身内で16をちゃんと叩ける奴はいなかった(笑)。
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その後キンボーはこのアクタさんとSo-Doというバンドを長野で結成し、僕は何度か見に行ってます。長野じゃ有名なんだけど、須坂の若者は知らないだろうな。4年前に見たときはRCサクセションのG2がメンバーとなりピアノを弾いててびっくりしたな。
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(♪Everybody Must Get Stoned)キンボーバンド終了。うーん、よかったでした。So-Doはアクタさんはじめみな楽器がうますぎて、バンドでライブをやると楽器のアドリブソロが長すぎプログレみたいな難解音楽になっちゃうんだけど、アクタさんの歌とギターだけだとほんとに適度でいい感じ。ピアニカも効いていた。
しかしこれを書いている間反応はなし。町ではこのフェス自体が盛り上がってなかったんだろうな。須坂というのはライブハウスもなく本当に音楽不毛の地で、このフェスティバルに出た人たちも見ていた人たちも、基本的に有名なミュージシャンでしか音楽を体験したことがないのだろうと思う。小さなライブハウスでアクタさんのような素性の分からぬ体験したことのないたぐいの音を聞いたり、そういう場所で厳しい目線にさらされ演奏したことはそんなにないんじゃないかな。
「♪電気ガスに水道、それに家賃。保険も少々入っておかなくちゃ。
キミが疲れて眠る頃、僕は座ってギター弾いてる。
アリとキリギリス、いつもすまないね」
俺とMは長野の焼き鳥屋でたまたまアクタさんと同席し、この歌を歌ってもらい感動したことがあるのだが、貧乏ブルースマン・アクタさんのこの男おいどんペーソスは、どうも理解されてなさそうな客席の静かさだった。3曲め Everybody Must Get Stoned ではジミーペイジばりの華麗な生ギターソロもあったのだが、その薄くも素晴らしく充実した音に拍手が沸くこともなかったのである。残念。
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■12/09/14(金) □ 日本語テキストブック
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今年から日本語学校をやめ俺が教えることにした萌の日本語勉強用に、「日本語能力試験 N3(日本語勉強歴半年~1年向け)」というテキストを日本で買ってきたのだが、のっけから
『広告の少ない文字数の中から、情報を読み取ります。「募集」とは……』
なんて文体の説明が2ページに渡ってびしーっと書いてある。全部ふりがなは振ってあるが、学習者にこの説明が読解できるとも思ってるのかな。なんだこれは。これしか見つからず買ってきたんだけど、基本的に日本語学習者に日本で解説をするテキストは役に立たん。もちろん俺が教えるわけだからわからんところは補助できるが、こんな内容ではワークブックの大半が使いものにならないわけである。
日英併記のテキストを探さねばと検索するが、アマゾンでもロクなものが見つからない。日本語教育は英語教育よりよほど後進的なんだろうな。
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本屋で日本語テキストを探す。完璧なものは見つからないが、俺が英語を習ったときに使ったようなロジカルな構成のワークブックが見つかった。JLPT 4-5 で必要な漢字のすべてにその成り立ちが、つまり
「にんべん」は人を表し、「云」は言葉を表すので、「伝」は communication となる
みたいな説明が【英語で】書いてある。これは俺がこれまで見たすべての日本語教科書を超えている。俺が日本語学習者ならばこれを使うだろう。ちょっと真面目過ぎて子供の教科書としては堅いのだが、そこは他のテキスト等で補うとして漢字読み訓練はこれをベースにしていこう。
このように学習対象を【わかり】【納得】することが学習には大事なわけで、日本人は完璧に駆使できる日本語を使い外国語を【わかり】【納得】して覚えればいいし、カナダ人は英語を使えばいいのだ。大事なことは仕組みを理解し納得し、意味のある記憶としていくことなのだから。
言語学習はどこの言葉も原語絶対主義が強くて、学習対象言語以外の言葉を使うことを拒否し、いいからそのまま飲み込め、習うより慣れろと母語を廃す。この原語絶対主義は効率が悪い上に、学習者の知的ポテンシャルをフルに発揮することを不可能にすると思う。会話訓練は口を動かし耳を鍛えることが眼目なので母語を使ったら意味がないが、文法・構造理解と語彙学習は、学習者のありとあらゆる知的能力を使い簡易化し定着させるべきだろう。その能力のベースとなるのが母語なわけである。
というわけで、萌たちにふさわしい、最も効率のいい=ラクして身になる日本語学習法を探していきたい。
2012/09/18
【日本滞在記・終】かけがえのない時間
「買い物天国ジャパン」「猿公園と古物屋」「至高のすき焼き」「帰国」
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■12/08/27(月) □ 買い物天国ジャパン
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本日はMの体調すぐれず観光オフ。まあカナダからついて休みなく活動してるのだから、1日くらい全休でもよし。ADは出かけたそうな顔をしているので、スーパーその他の用足しに連れて行った。スーパーの魚と肉の棚を全部説明し見て回る。
「うちのおばあちゃんは食材にうるさいので、一般的なスーパーよりもちょっとお高いこっちのスーパーをひいきにしている」
「つまりあっちは庶民のスーパーで、こっちはハイソサエティのスーパーなんだな」
「その通り」
実際魚とかイキがよさそう。さんまとかほんとうまそう。
◇
午後はホームセンターへ連れて行き買い物。皆で座布団だの弁当箱だの水筒だのを買いまくる。日本はカナダで買えない面白いものばかり売ってるので、5人とも買い物量がタイヘンなことになっている。弁当箱なんて見るからに高性能高機能で、ほしくなっちゃうのだ。去年のイングランドは歴史と博物館探訪の旅だったようだが、日本は食べ物と買い物の旅だよな。買い物天国。全部無事に持って帰れるかな。特に俺が買った長座布団と、ADが戸隠で買った木刀が問題である。
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晩飯に実家焼肉屋の賄い飯オカズが届く。おばあちゃんが作ってくれるご飯だけでも毎晩2食分ほどのメニュー数なので、これで3食分である。うれしい悲鳴としか言いようがない。
この亭主奥様の賄い飯がまたうまくて、こないだは鯖味噌をADがおかわりしたのだが、今日はなんと奥様が海水浴時に買ってきたというエイが出てきた。エイってなんだ? あのスティングレイだよと手をひらひらさせるとADがおおおと喜ぶ。トロトロしてゼラチン質でなかなかおいしい。賄い飯に出るくらいでそれほど高いものではないそうだが、あんなものが食えるなんてすごいよな日本。
実際日本の食べ物のえらいところは、高いものでなくてもおいしいところで、これほど極度の不況でも従業員の食べ物までちゃんとうまい。おばあちゃんの作ってくれるものも、別に高級なものではなくナスの味噌焼きやタケノコの味噌汁などフツーの日本の晩ご飯で、これがしみじみうまいわけである。盛夏という季節もあって、ナスもきゅうりもトマトも桃も、とにかくなんでも新鮮でうまい。うまいものを使いささっと手早く作るからうまいのである。日本家庭ご飯の底力である。
◇
帰国が迫り、萌はカメラを持っておばあちゃんの家とその周りの写真を撮りまくっている。特に子供たちと遊んだ家の前の駐車場なんかを念入りに撮っている(この旅で萌は計 1500 枚! の写真を撮影)。そして夜になるとあと4日だとため息をつきポロポロと涙を流す。最後の日に大泣きになるのはもはや明らかである。
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■12/08/28(火) □ 猿公園と古物屋
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日本滞在大詰め、本日は信州山ノ内町・地獄谷野猿公苑へ。
公園の管理人に聞くと夏場は風呂の温度は下げてるらしいが、さすがにこの季節は風呂に入っていない。しかしまわりじゅうサルだらけで、サルの数は前に来た冬場より多い。ありとあらゆる日陰に猿がいて、あついーといっている。猿好きの天国である。
ひとしきり見て岩の上に腰を下ろすと、若くイタズラなサルたちが忍び寄ってきて、持ち物を盗もうとする。かわいい。もちろん持ち物に触らせてはいかんのだが、ADは飲み物のボトルにサルたちの指が触れそうなくらいまでギリギリまで誘い遊んでいた。日陰にいればいつまでも眺めていられるくらい楽しかったな。
◇
帰りに地獄谷訪問時恒例の湯田中の親戚味噌屋・関谷醸造を訪問する。いつもの通りおばちゃんは訪問に喜び、そばやらなにやら注文しようと忙しく立ちまわるので、いやいやいやいやおばちゃんと話をしに来たんだからと腕をとっ捕まえて座らせ、ゆっくりと話をする。うちの母さんもそうだが、田舎のおばちゃんの世話情熱はすさまじい。
味噌に興味をもつADのために工場を見せてもらうと、今はもうあの味噌の大樽は記念に1つ残してあるだけだった。子供の頃は蔵中にこれがあって、仕込みの時なんか大人数ですごい活気だったんだよな。
カナダサカタ家とAD家用にそれぞれ味噌をもらってきた。また荷物が重くなるが、これはなんとしても持って帰らなければならない。毎朝おばあちゃんところで食べているきゅうりについてる味噌が、ここの味噌なのだから。
◇
帰路中野の古物屋に案内すると、予想通りADの好奇心が炸裂した。「なんだこれは! すごい!」と古い正体不明の道具たちを見て興奮する。民俗博物館に飾られているようなものが店頭で売ってるんだもんな。ここはたしかにすごいよ。
放っておけばいつまでも見ていそうだったが時間が限られているので急かすと、ADはでかい木のボウルのようなものを持ってきた。なんだかわからないが古く使い込まれていてスゴイ(たぶん4年前の上の写真に写ってるお椀、そば粉をこねる椀だとのこと)。これをレジに持って行くとレジ横の中古竹刀が彼の目に入り、これを開けてみると程度がいい。これも息子へのみやげに2本ほしいという。まあすでに戸隠で木刀を買ってしまっているので、持ち帰りの大変さは1本でも3本でも大差なかろうから、好きにしてください(笑)。帰り道で彼はニッコニコであった。
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■12/08/29(水) □ 至高のすき焼き
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日本滞在は残り2日。観光は昨日のモンキーパークでほぼ終わりで、みんなを善光寺に行かせ俺はカナダへ持っていくおみやげ荷物を成田まで送る手配をする。もう帰るんだと思うと猛烈に日本滞在機会がもったいなくなり、焦って大量の古本を買ってきたりしていた。
◇
夜は今回の旅の食べ物上のハイライト、我が実家須坂・宗石亭で大定番信州牛すき焼きをいただく。この萌のとろける顔がすべてを物語っている。うますぎ。みながこんな顔になってしまう、至福の味であった。やっぱサカタの肉はうまいよ。焼肉だと客の火加減焼け具合で肉の実力を出し切れない失敗もあるが、すき焼きはハズレなし。百発百中、これぞ伝統の味である。
ADとSHは京都で自分たちだけミシュラン★★★1人3万円の料亭に行ったほどの食べ物好きなのだが、信州牛と宗石亭のタレが作る絶妙なるあの味に「インクレディブル! インクレディブル!」と何度も何度もうめいていた。付け加えるならその料亭のお値段は、今夜のだいたい1週間分ですからね。
萌は宗石亭のランチとんかつとこのすき焼きのうまさに、「I'm so proud of being サカタ」と何度も宣言し、おばあちゃんところにあったサカタ宗石亭の包装紙を記念にもらって来ました。めでたしめでたし。
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■12/08/30(木) □ かけがえのない時間
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須坂滞在最終日、渡日前からADたちが行きたいと願っていた酒蔵の見学に行く。行くというかおばあちゃんちから徒歩1分に酒蔵があるのである。俺が子供の頃忍び込もうとして塀に登っては怒られていた酒屋、地酒「臥龍山」の松葉屋さんだ。
30年前うちの店(宗石亭)に出入りしてた怖いおっちゃんは今聞くと松葉屋さんの番頭さんだったとのことで、当然ながら先代店主ともどもお亡くなりになり、今は当代の奥様が経営されてるとのこと。この奥様がうちのおばあちゃんと懇意だということで、中を見せてもらえることになった。「昨日宗石亭でここのお酒をいただきました、おいしかったデス」とADが奥様に挨拶する。
案内され入ってみて驚いた。この酒蔵に入ったのはもちろん初めてだが、俺が子供の頃に行っていた湯田中の親戚味噌屋・関谷醸造の、今はなき旧式醸造所がまんまそこにあるのだ。こんな総木造の超レトロな昭和の酒蔵がこんな町中に残っていたとは。細かいディテイルが全部昭和っぽくて、俺はいちいちおーっと声を上げまくる。おばあちゃんも懐かしげ。カナダでワインの卸もやっていたADは醸造にも興味があり、工程を細かに尋ねては「ワインと同じだ。なるほど」と深くうなづいている。
◇
そして薄い板張りの階段というか橋を渡ったところにあったのが、これですよ。ばばーん。巨大な樽・樽・樽。子供の頃の記憶の関谷醸造そのまんまだ。すごい。関谷ではこの樽に味噌が入っていたわけです。スゴイ。
敷地の広さも驚きで、小学校の通学路の左側は、実は全部この酒蔵の塀なのだった。完全にクローズドな邸だったのでまったく知らなかった。駅前の一等地でこの広さ、地価が高くて税金が大変なのだそうである。そんな杓子定規に税をかけるなよ、こういうのは文化財だよな。
いやーいいものを見せてもらいましたと、店頭の囲炉裏を囲む事務所内の試飲所でお茶をいただく。この事務所がまた昭和で、曇りガラスに引き戸に日めくりカレンダーに時計からもー俺の子供時代がそのまんまですよ。21 世紀のものが何一つない(笑)。こんな時代の真空パックを見れて本当に感激であった。ありがとうございました。
◇
最後の晩御飯をいただき、晩飯後に花と写真と手紙をおばあちゃんに渡し、日本におけるすべてのイベントが終了。ADたちは1週間以上も毎日うまいものを食わせてくれたおばあちゃんを外食に連れていくとか、なにか買ってあげるとか、もっとでかいお礼をしたくて胸が張り裂けそうだったのだが、日本のおばあさんは欲がないのでお礼のしようがないのである。花と写真と手紙、これ以上のものはたぶんないだろう。それと毎日見せた喜ぶ顔とね。
最後の別れを告げて家に帰るイトコたちを送り、萌が号泣する。クライクライクライ。
◇
皆が寝静まった頃やっと萌が泣き止んだので、リビングに2人で座り、TVを見ながら最後のプリンを食べた。最初の日もプリンだったよねと萌がまたセンチメンタルモードに入り泣きそうになるので、いやいやいやそういうことを言ってるとキリがないと止めて笑わせる。
だけど萌、泣くから言わないけれど実は私も同じ気持ちだよ。スーパーでプリンを買ってきて一緒に食べた、あの日本夏休み初日の幸せな気持ちが忘れられない。
玄関先の水浴び、プール、子供たちが毎夕遊んだ銀行の駐車場。くだらないTVを見てKNやKSと笑ったこと、ギターセッション。花火、高原ホテル、釣り、お祭り、盆踊り。京都、信州名所めぐり、忍者村。楽しいことを存分にやれたけれど、やりたかったのにできなかったこともやっぱりたくさんある。温泉とかラーメン屋とかね。暑さがきつすぎたせいもあるな。東京だって本当は行きたかったんだけどね。
おばあちゃんにプリントするために今日全部の写真に目を通したのだが、胸が痛くなるほどいい写真がたくさんある。かけがえのない時間をカメラはきれいに写し取ってくれている。
子供たちがああして一緒に無邪気に遊んでくれることを楽しみに、はるばる海を渡ってきたんだぜ。ホント。
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■12/08/31(金) □ 帰国
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余裕のあるスケジュールを組み、成田へとゆっくり移動していく。駅でおばあちゃんと涙の別れを告げた萌は、電車が出てもしばらくメソメソと泣いていたが、やがて自分の泣き顔の写真を撮り出した(笑)。もう大丈夫だな。
上野でうまいテイクアウトフードを首尾よく見つけ、食べながら成田へ。懸案の木刀竹刀と古椀セットも無事チェックイン。俺の長座布団も丸めて風呂敷に詰め手荷物して無事テイクイン。味噌も、萌がもらったおばあちゃんの手作りジャムもきちんとパックできた。すべてがうまく行った。
◇
帰路はなぜかシート間が狭く空調も暑く、JAL マークの神通力も霧散するようなフライトで疲れた。バンクーバーは20度とさすがの涼しさ。空港での別れ際、ADは「この旅はこれまでで最高のバケーションの1つとなったよ」と言ってくれた。いやあ隣の客はよく柿喰う客なりとして、キミもよく期待に応えてくれたよ。ADは食い過ぎて最後は明らかに太っていたが(笑)、よく食ってよく喜んでくれた。いいお客であった。
実際暑さ以外はほぼすべてがうまく行ったし、特に信州編は長野での土地カンとおばあちゃんの食べ物のおかげで、どこへ出しても恥ずかしくない特級品の滞在だったと思う。それこそ京都で渇望した「どこへ行き何を食え」情報が自分とMの中にきっちりあったわけだからな。戸隠での忍者事件なんて語り草になるような経験もしてもらえたし。
アフター旅行鬱になっている萌は、「日本だったらああだったのにこうだったのに」といつまで経ってもメソメソしている。
もういいから寝なさい。いい旅行だったよね。明日さっそく関谷の味噌きゅうりとおばあちゃんのジャムトーストを食べよう。早く寝なさい。おやすみ。
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■12/08/27(月) □ 買い物天国ジャパン
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本日はMの体調すぐれず観光オフ。まあカナダからついて休みなく活動してるのだから、1日くらい全休でもよし。ADは出かけたそうな顔をしているので、スーパーその他の用足しに連れて行った。スーパーの魚と肉の棚を全部説明し見て回る。
「うちのおばあちゃんは食材にうるさいので、一般的なスーパーよりもちょっとお高いこっちのスーパーをひいきにしている」
「つまりあっちは庶民のスーパーで、こっちはハイソサエティのスーパーなんだな」
「その通り」
実際魚とかイキがよさそう。さんまとかほんとうまそう。
◇
午後はホームセンターへ連れて行き買い物。皆で座布団だの弁当箱だの水筒だのを買いまくる。日本はカナダで買えない面白いものばかり売ってるので、5人とも買い物量がタイヘンなことになっている。弁当箱なんて見るからに高性能高機能で、ほしくなっちゃうのだ。去年のイングランドは歴史と博物館探訪の旅だったようだが、日本は食べ物と買い物の旅だよな。買い物天国。全部無事に持って帰れるかな。特に俺が買った長座布団と、ADが戸隠で買った木刀が問題である。
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晩飯に実家焼肉屋の賄い飯オカズが届く。おばあちゃんが作ってくれるご飯だけでも毎晩2食分ほどのメニュー数なので、これで3食分である。うれしい悲鳴としか言いようがない。
この亭主奥様の賄い飯がまたうまくて、こないだは鯖味噌をADがおかわりしたのだが、今日はなんと奥様が海水浴時に買ってきたというエイが出てきた。エイってなんだ? あのスティングレイだよと手をひらひらさせるとADがおおおと喜ぶ。トロトロしてゼラチン質でなかなかおいしい。賄い飯に出るくらいでそれほど高いものではないそうだが、あんなものが食えるなんてすごいよな日本。
実際日本の食べ物のえらいところは、高いものでなくてもおいしいところで、これほど極度の不況でも従業員の食べ物までちゃんとうまい。おばあちゃんの作ってくれるものも、別に高級なものではなくナスの味噌焼きやタケノコの味噌汁などフツーの日本の晩ご飯で、これがしみじみうまいわけである。盛夏という季節もあって、ナスもきゅうりもトマトも桃も、とにかくなんでも新鮮でうまい。うまいものを使いささっと手早く作るからうまいのである。日本家庭ご飯の底力である。
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帰国が迫り、萌はカメラを持っておばあちゃんの家とその周りの写真を撮りまくっている。特に子供たちと遊んだ家の前の駐車場なんかを念入りに撮っている(この旅で萌は計 1500 枚! の写真を撮影)。そして夜になるとあと4日だとため息をつきポロポロと涙を流す。最後の日に大泣きになるのはもはや明らかである。
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■12/08/28(火) □ 猿公園と古物屋
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日本滞在大詰め、本日は信州山ノ内町・地獄谷野猿公苑へ。
公園の管理人に聞くと夏場は風呂の温度は下げてるらしいが、さすがにこの季節は風呂に入っていない。しかしまわりじゅうサルだらけで、サルの数は前に来た冬場より多い。ありとあらゆる日陰に猿がいて、あついーといっている。猿好きの天国である。
ひとしきり見て岩の上に腰を下ろすと、若くイタズラなサルたちが忍び寄ってきて、持ち物を盗もうとする。かわいい。もちろん持ち物に触らせてはいかんのだが、ADは飲み物のボトルにサルたちの指が触れそうなくらいまでギリギリまで誘い遊んでいた。日陰にいればいつまでも眺めていられるくらい楽しかったな。
◇
帰りに地獄谷訪問時恒例の湯田中の親戚味噌屋・関谷醸造を訪問する。いつもの通りおばちゃんは訪問に喜び、そばやらなにやら注文しようと忙しく立ちまわるので、いやいやいやいやおばちゃんと話をしに来たんだからと腕をとっ捕まえて座らせ、ゆっくりと話をする。うちの母さんもそうだが、田舎のおばちゃんの世話情熱はすさまじい。
味噌に興味をもつADのために工場を見せてもらうと、今はもうあの味噌の大樽は記念に1つ残してあるだけだった。子供の頃は蔵中にこれがあって、仕込みの時なんか大人数ですごい活気だったんだよな。
カナダサカタ家とAD家用にそれぞれ味噌をもらってきた。また荷物が重くなるが、これはなんとしても持って帰らなければならない。毎朝おばあちゃんところで食べているきゅうりについてる味噌が、ここの味噌なのだから。
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帰路中野の古物屋に案内すると、予想通りADの好奇心が炸裂した。「なんだこれは! すごい!」と古い正体不明の道具たちを見て興奮する。民俗博物館に飾られているようなものが店頭で売ってるんだもんな。ここはたしかにすごいよ。
放っておけばいつまでも見ていそうだったが時間が限られているので急かすと、ADはでかい木のボウルのようなものを持ってきた。なんだかわからないが古く使い込まれていてスゴイ(たぶん4年前の上の写真に写ってるお椀、そば粉をこねる椀だとのこと)。これをレジに持って行くとレジ横の中古竹刀が彼の目に入り、これを開けてみると程度がいい。これも息子へのみやげに2本ほしいという。まあすでに戸隠で木刀を買ってしまっているので、持ち帰りの大変さは1本でも3本でも大差なかろうから、好きにしてください(笑)。帰り道で彼はニッコニコであった。
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■12/08/29(水) □ 至高のすき焼き
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日本滞在は残り2日。観光は昨日のモンキーパークでほぼ終わりで、みんなを善光寺に行かせ俺はカナダへ持っていくおみやげ荷物を成田まで送る手配をする。もう帰るんだと思うと猛烈に日本滞在機会がもったいなくなり、焦って大量の古本を買ってきたりしていた。
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夜は今回の旅の食べ物上のハイライト、我が実家須坂・宗石亭で大定番信州牛すき焼きをいただく。この萌のとろける顔がすべてを物語っている。うますぎ。みながこんな顔になってしまう、至福の味であった。やっぱサカタの肉はうまいよ。焼肉だと客の火加減焼け具合で肉の実力を出し切れない失敗もあるが、すき焼きはハズレなし。百発百中、これぞ伝統の味である。
ADとSHは京都で自分たちだけミシュラン★★★1人3万円の料亭に行ったほどの食べ物好きなのだが、信州牛と宗石亭のタレが作る絶妙なるあの味に「インクレディブル! インクレディブル!」と何度も何度もうめいていた。付け加えるならその料亭のお値段は、今夜のだいたい1週間分ですからね。
萌は宗石亭のランチとんかつとこのすき焼きのうまさに、「I'm so proud of being サカタ」と何度も宣言し、おばあちゃんところにあったサカタ宗石亭の包装紙を記念にもらって来ました。めでたしめでたし。
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■12/08/30(木) □ かけがえのない時間
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須坂滞在最終日、渡日前からADたちが行きたいと願っていた酒蔵の見学に行く。行くというかおばあちゃんちから徒歩1分に酒蔵があるのである。俺が子供の頃忍び込もうとして塀に登っては怒られていた酒屋、地酒「臥龍山」の松葉屋さんだ。
30年前うちの店(宗石亭)に出入りしてた怖いおっちゃんは今聞くと松葉屋さんの番頭さんだったとのことで、当然ながら先代店主ともどもお亡くなりになり、今は当代の奥様が経営されてるとのこと。この奥様がうちのおばあちゃんと懇意だということで、中を見せてもらえることになった。「昨日宗石亭でここのお酒をいただきました、おいしかったデス」とADが奥様に挨拶する。
案内され入ってみて驚いた。この酒蔵に入ったのはもちろん初めてだが、俺が子供の頃に行っていた湯田中の親戚味噌屋・関谷醸造の、今はなき旧式醸造所がまんまそこにあるのだ。こんな総木造の超レトロな昭和の酒蔵がこんな町中に残っていたとは。細かいディテイルが全部昭和っぽくて、俺はいちいちおーっと声を上げまくる。おばあちゃんも懐かしげ。カナダでワインの卸もやっていたADは醸造にも興味があり、工程を細かに尋ねては「ワインと同じだ。なるほど」と深くうなづいている。
◇
そして薄い板張りの階段というか橋を渡ったところにあったのが、これですよ。ばばーん。巨大な樽・樽・樽。子供の頃の記憶の関谷醸造そのまんまだ。すごい。関谷ではこの樽に味噌が入っていたわけです。スゴイ。
敷地の広さも驚きで、小学校の通学路の左側は、実は全部この酒蔵の塀なのだった。完全にクローズドな邸だったのでまったく知らなかった。駅前の一等地でこの広さ、地価が高くて税金が大変なのだそうである。そんな杓子定規に税をかけるなよ、こういうのは文化財だよな。
いやーいいものを見せてもらいましたと、店頭の囲炉裏を囲む事務所内の試飲所でお茶をいただく。この事務所がまた昭和で、曇りガラスに引き戸に日めくりカレンダーに時計からもー俺の子供時代がそのまんまですよ。21 世紀のものが何一つない(笑)。こんな時代の真空パックを見れて本当に感激であった。ありがとうございました。
◇
最後の晩御飯をいただき、晩飯後に花と写真と手紙をおばあちゃんに渡し、日本におけるすべてのイベントが終了。ADたちは1週間以上も毎日うまいものを食わせてくれたおばあちゃんを外食に連れていくとか、なにか買ってあげるとか、もっとでかいお礼をしたくて胸が張り裂けそうだったのだが、日本のおばあさんは欲がないのでお礼のしようがないのである。花と写真と手紙、これ以上のものはたぶんないだろう。それと毎日見せた喜ぶ顔とね。
最後の別れを告げて家に帰るイトコたちを送り、萌が号泣する。クライクライクライ。
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皆が寝静まった頃やっと萌が泣き止んだので、リビングに2人で座り、TVを見ながら最後のプリンを食べた。最初の日もプリンだったよねと萌がまたセンチメンタルモードに入り泣きそうになるので、いやいやいやそういうことを言ってるとキリがないと止めて笑わせる。
だけど萌、泣くから言わないけれど実は私も同じ気持ちだよ。スーパーでプリンを買ってきて一緒に食べた、あの日本夏休み初日の幸せな気持ちが忘れられない。
玄関先の水浴び、プール、子供たちが毎夕遊んだ銀行の駐車場。くだらないTVを見てKNやKSと笑ったこと、ギターセッション。花火、高原ホテル、釣り、お祭り、盆踊り。京都、信州名所めぐり、忍者村。楽しいことを存分にやれたけれど、やりたかったのにできなかったこともやっぱりたくさんある。温泉とかラーメン屋とかね。暑さがきつすぎたせいもあるな。東京だって本当は行きたかったんだけどね。
おばあちゃんにプリントするために今日全部の写真に目を通したのだが、胸が痛くなるほどいい写真がたくさんある。かけがえのない時間をカメラはきれいに写し取ってくれている。
子供たちがああして一緒に無邪気に遊んでくれることを楽しみに、はるばる海を渡ってきたんだぜ。ホント。
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■12/08/31(金) □ 帰国
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余裕のあるスケジュールを組み、成田へとゆっくり移動していく。駅でおばあちゃんと涙の別れを告げた萌は、電車が出てもしばらくメソメソと泣いていたが、やがて自分の泣き顔の写真を撮り出した(笑)。もう大丈夫だな。
上野でうまいテイクアウトフードを首尾よく見つけ、食べながら成田へ。懸案の木刀竹刀と古椀セットも無事チェックイン。俺の長座布団も丸めて風呂敷に詰め手荷物して無事テイクイン。味噌も、萌がもらったおばあちゃんの手作りジャムもきちんとパックできた。すべてがうまく行った。
◇
帰路はなぜかシート間が狭く空調も暑く、JAL マークの神通力も霧散するようなフライトで疲れた。バンクーバーは20度とさすがの涼しさ。空港での別れ際、ADは「この旅はこれまでで最高のバケーションの1つとなったよ」と言ってくれた。いやあ隣の客はよく柿喰う客なりとして、キミもよく期待に応えてくれたよ。ADは食い過ぎて最後は明らかに太っていたが(笑)、よく食ってよく喜んでくれた。いいお客であった。
実際暑さ以外はほぼすべてがうまく行ったし、特に信州編は長野での土地カンとおばあちゃんの食べ物のおかげで、どこへ出しても恥ずかしくない特級品の滞在だったと思う。それこそ京都で渇望した「どこへ行き何を食え」情報が自分とMの中にきっちりあったわけだからな。戸隠での忍者事件なんて語り草になるような経験もしてもらえたし。
アフター旅行鬱になっている萌は、「日本だったらああだったのにこうだったのに」といつまで経ってもメソメソしている。
もういいから寝なさい。いい旅行だったよね。明日さっそく関谷の味噌きゅうりとおばあちゃんのジャムトーストを食べよう。早く寝なさい。おやすみ。
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